当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、バリア(障害)をバリュー(価値)に変えることを意味する「バリアバリュー」を企業理念としております。多様な視点、経験、感性を活かし、創造と革新を追求することで、「ミライロ」が意味する「誰もが自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をつくる」ことを経営方針としております。
(2) 経営環境
当社が提供する「ミライロID」の対象となる障害者に関して、身体障害、知的障害、精神障害の3区分に分かれております。内閣府が公表している「令和6年版障害者白書」によると、各区分における国内の障害者数は、身体障害者(身体障害児を含む。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。)109万4千人、精神障害者614万8千人となっております。また、厚生労働省が公表している「令和4年生活のしづらさに関する調査」によると、日本の障害者の総数は1,164万人、国民のおよそ9.3%が何らかの障害を有していると推計されています。加えて、世界保健機関が公表している「World report on disability」によると、世界人口の約15%にあたる10億人以上に障害があり、The Return on Disability Group Inc.が公表している「The Global Economics of Disability Report:2024」によると、世界の障害者とその家族や友人を合計した購買力の総額は18兆ドルと言われております。また、公益財団法人共用品推進機構が2023年度に実施した共用品市場規模調査によると、2022年度の共用品(アクセシブルデザイン製品)市場規模金額は、3兆1千億円と推計され、前年比で3.9%(1,164億円)増となりました。
そして、当社が取り組む障害者にまつわる経営環境は大きく変化しております。2016年4月に施行された「障害者差別解消法」は、事業者の障害者への「合理的配慮」を求めております。さらに2021年5月には障害者差別解消法の改正が国会で可決され、2024年4月には義務として、あらゆる事業者に配慮提供が求められることとなりました。合理的配慮とは、行政や事業者に対して、障害者が社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することです。当社の提供するインフラやソリューションは、企業等が合理的配慮義務を果たすために有効に機能するものと考えており、これまで以上に当社の重要性は高まるものと考えております。
さらに、2025年の大阪・関西万博や東京2025デフリンピック等のイベント開催、2030年の達成を目標とした持続可能な開発目標(SDGs)等により、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、障害者にまつわる社会の取組みは益々加速していくものと考えております。特に2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、バリアフリーの整備が急速に進んだように、2025年に開催される大阪・関西万博に向けても環境整備等が進むことが予想されます。大阪・関西万博では、SDGsの達成や、Society5.0(ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組みにより、人々に豊かさをもたらす社会)の実現がテーマとなっていることから、障害者対応のデジタルトランスフォーメーション等、先進的な取り組みが進むことが期待できます。
また、ESG投資など企業の非財務情報を含めたサステナビリティを評価する指標にも注目が集まっており、ESG投資市場は世界的に拡大しております。ビジネス分野における障害者の社会進出を、ビジネスリーダーが軸となって推進する世界的な運動「The Valuable 500」も広がりを見せております。
(3) 経営戦略等
当社はデジタル障害者手帳「ミライロID」を活用した障害者サービスのデジタルトランスフォーメーションによる社会改革の推進に加えて、障害者の社会的障壁(環境、意識、情報のバリア)を解消するためのバリアバリューソリューションの提供を軸とし、以下のような経営戦略を構築しております。
① 「ミライロID」を利用する企業等及びユーザーに対する普及促進
「ミライロID」の提示により障害者手帳の代替可能とする企業等は急速に増加しており、利用拠点の増加や機能拡充に伴い「ミライロID」のユーザー数も順調に増加しております。
「ミライロID」の普及により、研修やコンサルティングの営業活動だけでは開拓不可能であった企業等と当社とのコンタクトや商談化が進んでおります。
② バリアバリューソリューションの提供
「ミライロID」は障害者への何らかの対応が必要な企業等に利用されております。当社ではこれらの企業等に対して、バリアバリューソリューションを複合的に提案することによって、企業等からのコンサルティング料や研修料による収益化を図っております。
③ 「ミライロID」を活用した連携企業等とのサービス開発やマーケティング活動の推進
「ミライロID」と他の企業等との連携により、障害者の利便性を向上させるデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者差別解消法に定める合理的配慮の負担軽減に繋がるサービス開発を進めております。また、「ミライロID」を企業等のマーケティング活動としても活用いただくことで、継続的な収益の拡大を図ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、利益以外に以下の指標を重視しております。
① 「ミライロID」の導入事業者数、ユーザー数
② バリアバリューソリューションにおける取引先数と1社あたりの平均売上高
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
① 「ミライロID」の利便性・メリットの向上及び普及活動
「ミライロID」は、UIの改善や機能開発、サービス開発により、ユーザー・企業等の双方にとっての利便性・メリットの向上を図る必要があると認識しております。これらのシステム開発・改善と当社及び各導入事業者による普及活動により、「ミライロID」の導入事業者数及びユーザー数を拡大させることが当社の事業基盤を強化することに繋がると認識しております。
② 「ミライロID」の連携企業等の拡充
当社は、他の企業等と連携して「ミライロID」を活用したデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者の利便性を向上させるサービスを開発することを経営戦略の重点事項と考えており、これらの連携企業等とのパイプラインの拡充により当社成長を加速させることに取り組んでまいります。
③ 人材の採用及び育成
当社の競争力の源泉は、障害者に関する知識と経験を有する人材にあります。今後も、当社の企業理念に共感し、高い成長意欲と使命感を持った人材を積極的に採用し、育成することで、企業力の強化に努めてまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社が継続的に成長するためには、企業規模拡大の基礎となる内部管理体制の強化が重要であると認識しております。当社では、コーポレート・ガバナンス体制を強化するため、マネジメント層の採用及び育成、コンプライアンス・リスクマネジメント教育の徹底、管理部門の体制強化に取り組んでまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は、金融機関からの借入金を有するものの十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の重要課題はありません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、バリア(障害)をバリュー(価値)に変えることを意味する「バリアバリュー」 を企業理念としており、「ミライロ」が意味する「誰もが自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をつくる」ための事業活動を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献できると考えております。
(1) ガバナンス
当社は、公正かつ透明な企業活動を目指し、経営の効率性の追求と健全性を確保することで、コーポレート・ガバナンス体制や企業価値の向上を目指しております。取締役会は、事業に精通した取締役と客観的な視点を持つ独立社外取締役とで構成し、効率的かつ透明性の高いガバナンス体制を構築しております。詳細は、「
(2) 戦略
当社は、様々な障害のある従業員が在籍し、ジェンダー多様性にも富んでおり、多様なバックグラウンドの従業員を抱えております。加えて、ユニバーサルデザインに関連した多岐にわたるソリューションを提供しており、手話通訳者、デザイナー及びリサーチャーなど、様々な専門知識を有した従業員が在籍しております。そのような多様性に富む組織を運営していく上では、企業理念を個々の従業員に浸透させていくことや、社内環境の整備が極めて重要であると考えております。
企業理念である「バリアバリュー」を体現する組織を目指しており、その構成要素を行動指針として定め、業績(パフォーマンス)評価に加えて、個々人の評価と連動させております。また、採用時にもこのような行動指針に適した人物であるか選考過程で見極めることを徹底し、企業理念が組織全体に隈無く浸透していくことを図っております。
環境整備におきましては、多様な人材の可能性を最大化することを目指しており、フレックスタイム制を活用できる環境整備や運用、資格合格報奨金等によるスキルや専門的知識の獲得支援、メンタルヘルス対策としての社外カウンセラーの配置や担当役員による産業カウンセラー資格の取得、コミュニケーションツールのデジタル化による生産性の向上等を実施しております。
(3) リスク管理と機会
当社ではサステナビリティ関連のリスクを、取締役会、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を通じて、その他経営上のリスクと一体的に監視及び管理しております。リスク管理委員会では当社の事業活動に関連する潜在的なリスクの把握と当該リスクに対する対応状況について協議及び共有されております。また、当社は社会貢献性の高い事業を営んでいるとの認識のもと、当社事業が広がることが持続可能な社会に貢献することであると考えており、サステナビリティに関連する機会については、今後の方針として、中長期的な企業価値向上を目指す中で、識別・評価及び管理をしてまいります。詳細は、「
(4) 指標及び目標
当社では、現時点におきまして、具体的な女性、外国人、中途採用者等の区分での管理職の構成割合や人数、障害者の雇用率等の目標値は定めておりません。今後、当社の事業特性に見合った関連指標のデータ収集と分析を進め、適切な指標及び目標を設定し、その進捗に合わせた開示項目を検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
各リスクについて、発生可能性、発生可能性のある時期、影響度は以下のとおりとなっております。
|
分類 |
リスク |
発生可能性 |
発生可能性のある時期 |
影響度 |
|
(1) 事業環境に関する リスク |
① 障害者関連市場と関連法令の動向について |
低 |
特定時期なし |
大 |
|
② ミライロIDに競合する企業の参入について |
中 |
特定時期なし |
中 |
|
|
③ 収益事業に競合する企業の参入について |
高 |
特定時期なし |
中 |
|
|
(2) 事業内容に関する リスク |
① 経営成績の変動について |
中 |
特定時期なし |
中 |
|
② システム障害について |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
③ セキュリティについて |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
④ ブランド、風評等について |
中 |
特定時期なし |
中 |
|
|
⑤ 情報管理について |
低 |
特定時期なし |
大 |
|
|
⑥ 知的財産権の侵害について |
中 |
特定時期なし |
小 |
|
|
⑦ ミライロIDの不正利用に関するリスク |
低 |
特定時期なし |
小 |
|
|
(3) 組織体制に関する リスク |
① 小規模組織体制及び人材の確保・育成について |
中 |
特定時期なし |
小 |
|
② 特定の経営者への依存について |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
③ 内部管理体制について |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
(4) 法的規制に関するリスク |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
(5) その他のリスク |
① 配当政策について |
中 |
特定時期なし |
中 |
|
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に 関するリスク |
高 |
新株予約権 |
小 |
|
|
③ 訴訟等について |
低 |
特定時期なし |
中 |
|
|
④ 資金使途について |
中 |
特定時期なし |
小 |
|
|
⑤ 自然災害、感染症等に関するリスク |
低 |
特定時期なし |
大 |
|
|
⑥ 株式の流動性について |
中 |
特定時期なし |
中 |
|
(1) 事業環境に関するリスク
① 障害者関連市場と関連法令の動向について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、「障害者基本法」の理念に則り、関連する「障害者差別解消法」「障害者の雇用の促進等に関する法律」「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」等の目的の達成に向けて、法規制の対象となる事業者や自治体、教育機関に対して様々なソリューションの提供を行っております。これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② ミライロIDに競合する企業の参入について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が運営するデジタル障害者手帳「ミライロID」においては、政府が提供する「マイナポータルAPI」の民間活用の第1号として、マイナポータルと連携しております。「ミライロID」は、自治体が管理する障害者手帳の情報をマイナポータル経由で取得できることから、当該連携を行った利用者は信頼性の高い情報として事業者に提示が可能です。現在、当社と同様に障害者手帳の代替を行うことが可能な類似アプリは存在せず、ビジネスモデル特許の取得など開発した技術・ノウハウなどの保護・保全に努めておりますが、競合企業によるサービスの模倣等により、当社の事業展開に支障が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 収益事業に競合する企業の参入について(発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社のバリアバリューソリューションは許認可制度がないことに加え、事業の開始にあたって大規模な設備投資も不要であることから、相対的に参入障壁が低い事業であります。デジタル障害者手帳「ミライロID」を活かしたソリューションの提供や、手話通訳士等の有資格者をはじめとした多様な専門人材の採用や育成をすることにより、事業の付加価値の向上や差別化を図っておりますが、新規参入企業が増加する可能性は否定できず、競合企業の増加により競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスク
① 経営成績の変動について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、顧客からの障害者に対する幅広い課題やニーズに対して、多様なソリューションを保有している強みを活かすことによって、1社あたりの売上高や継続取引先を増やし、経営の安定と持続的成長を可能とすることを目指しております。しかしながら、各ソリューションが単発での受注に留まるなど、顧客あたりの売上の最大化や継続的な取り組みが出来なかった場合には、想定どおりの成長が見込めず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の提供するサービスやそれを支える社内業務は、コンピューター及びインターネット技術を高度に活用しており、通信事業者が運営する通信ネットワークサービスへの依存度が高いと言えます。したがって、予期せぬトラブル等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、当社のサービス提供が不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、顧客等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ セキュリティについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社はハッカーやコンピューターウイルス等に備えるためのセキュリティ対策を施しておりますが、外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入等の犯罪や従業員の過誤等により顧客の個人情報等重要なデータが消去または不正に取得される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には、損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ブランド、風評等について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の事業は、障害者やその家族、事業者や行政、教育機関等との連携の元に成り立つものであると認識しております。そのため、当社の従業員には、企業理念・ビジョン等を浸透させ、コンプライアンスを遵守する意識を高く保つように社員教育を徹底しております。しかしながら、従業員の不祥事等の発生や、当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合には、当社及び当社サービスのブランド価値が棄損し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社はその事業運営の性質上、個人情報及び機密情報を保有しており、当社の個人情報の取り扱いについては、「個人情報の保護に関する法律」が適用されております。そのため、適切に個人情報を取り扱う体制を整備していることの証として、プライバシーマークを取得しております。
第三者によるセキュリティ侵害、ハッキング、従業員等による故意または過失などによって、当社が保有する個人情報や機密情報の外部流出または不正使用などが発生した場合、当社は顧客などに対する損害賠償責任を負うとともに、社会的信用に重大な影響を与え、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権の侵害について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の事業においては、「ミライロID」や「ユニバーサルマナー」など、オリジナルのサービスやコンテンツの展開を強みとしている関係上、著作権、商標権、ビジネスモデル特許等の知的財産権の確保が重要だと認識しております。当社は、商標権やビジネスモデル特許の取得、さらには開発した技術・ノウハウ等の保護・保全に努めておりますが、第三者によるサービスの模倣等により、当社の営業展開に支障が生じ、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。また、第三者に帰属する著作権、商標権、ビジネスモデル特許等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権、肖像権等を侵害した場合、当社の社会的信用を失うとともに、損害賠償による損失が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ ミライロIDの不正利用に関するリスク(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
デジタル障害者手帳「ミライロID」は、ユーザーからの画像データの申請に基づき、障害者手帳の登録を行っております。各自治体の障害者手帳のフォーマットに基づき、システムによって照合した上で、目視による確認も行っております。また、ユーザーの同意を前提にマイナポータル経由で自治体サーバーから障害者手帳の情報を取得し、登録された情報が一致しているか否かの照合も行っております。しかしながら、精緻に偽装された手帳情報が誤って登録される可能性は否定できず、不正利用などが横行した場合には、当社及び当社サービスの社会的信用力が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当該偽装については、紙の障害者手帳にも同様のことが生じると言えます。したがって、「ミライロID」に限って不正利用が横行するものではないと思料いたします。
(3) 組織体制に関するリスク
① 小規模組織体制及び人材の確保・育成について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の従業員数は、最近日(2024年12月31日)現在50名の小規模組織であり、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。現時点においては、当社の規模に対して適切な人員体制が構築出来ているものと認識しておりますが、今後の業容拡大に応じて、採用活動及び人材育成により組織強化を図る必要性が生じることが想定されます。しかしながら、当社が優秀な人材をタイムリーに採用・育成できる保証はなく、人材確保に成功しなかった場合には、当社の事業の成長及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の経営者への依存について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の創業者であり大株主である代表取締役社長垣内俊哉及び取締役副社長民野剛郎は、当社の経営方針や事業戦略、人的ネットワークの構築等において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い両者に依存しない経営体制の強化を進めておりますが、現状において何らかの理由により、両者が退任する事態が生じた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制に関するリスク(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の提供する「ミライロID」の個人情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「特定商取引に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」等により、一部の広告に際し、法定事項の表示義務を負う場合があります。
当社は、上記法的規制等について適切な対応をしておりますが、不測の事態により、当該法令等に抵触しているとして何らかの行政処分を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、若しくは新たな法令等が定められ当社の事業が制約を受ける場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他のリスク
① 配当政策について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識しておりますが、設立以来、将来の事業展開と財務体質強化のための必要な内部留保の確保を優先し、配当は実施しておりません。
今後につきましては、配当可能利益の状況、経営成績、財政状態及び事業投資の必要性を総合的に勘案のうえ、配当の実施を検討する方針としておりますが、現時点において、配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク(発生可能性:高、発生可能性のある時期:新株予約権行使時、影響度:小)
当社は、役員、従業員及び外部協力者に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存株主の保有株式の価値及び議決権割合が希薄化される可能性があります。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は403,500株であり、発行済株式数9,225,000株の4.37%に相当しております。なお、新株予約権の詳細は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。
③ 訴訟等について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
現在、当社の事業に影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、訴訟等が発生し、当社に不利な判断がなされた場合は、事業活動における制限を受け、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資金使途について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
今回、当社が計画している公募増資による調達資金につきましては、ソフトウエア開発、人材採用、借入金返済等に充当する予定であります。しかしながら、資金使途につきましては、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に対応するため変更する可能性があり、また、計画どおりに使用された場合であっても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。また、当社の属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、調達資金の使途が変更になった場合には、速やかに開示する方針でありますが、このような場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 自然災害、感染症等に関するリスク(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業拠点は、大阪市淀川区、東京都品川区に主要拠点があります。過去においては、地震、津波、洪水、火災等の災害によって、当社の事業活動に大きな影響を受けたことはありませんが、これらの地域において大規模な自然災害、テロ等が発生した場合や、感染症が想定を大きく上回る規模で発生あるいは流行した場合、事業活動全般に影響を及ぼす可能性があり、当社の経営成績及び財政状態等にも影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 株式の流動性について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、株式会社東京証券取引所グロース市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において26.1%となる見込みです。今後は、公募増資による当社の事業計画に沿った成長資金の調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は538,854千円となり、前事業年度末に比べ94,943千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が62,851千円、売掛金が28,181千円増加したことによるものであります。固定資産は
161,963千円となり、前事業年度末に比べ66,318千円増加いたしました。これは主に、税効果会計の適用により繰延税金資産が58,465千円、ミライロIDのシステム開発によりソフトウエアが6,183千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は700,818千円となり、前事業年度末に比べて161,261千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は232,559千円となり、前事業年度末に比べ16,693千円増加いたしました。これは主に、未払消費税等が8,912千円、未払費用が6,371千円、買掛金が5,322千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が2,849千円減少したことによるものであります。固定負債は131,231千円となり、前事業年度末に比べ34,289千円減少いたしました。これは主に、借入金の返済により長期借入金が34,188千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は363,790千円となり、前事業年度末に比べて17,595千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は337,027千円となり、前事業年度末に比べ178,857千円増加いたしました。これは、当期純利益178,857千円の計上によるものであります。
第16期第1四半期累計期間(自 2024年10月1日 至 2024年12月31日)
(資産)
当第1四半期会計期間末における流動資産は563,168千円となり、前事業年度末に比べ24,313千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が26,219千円、「その他」に含まれる前払費用が3,661千円、仕掛品が2,864千円増加し、売掛金が8,866千円減少したことによるものであります。固定資産は155,156千円となり、前事業年度末に比べ6,807千円減少いたしました。これは主に、ミライロID等のシステム開発や既存システムへの機能追加、改修等により無形固定資産の「その他」に含まれるソフトウエア仮勘定が6,387千円増加し、繰延税金資産が8,817千円、ソフトウエアが2,692千円減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は718,324千円となり、前事業年度末に比べて17,505千円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期会計期間末における流動負債は241,657千円となり、前事業年度末に比べ9,098千円増加いたしま
した。これは主に、「その他」に含まれる契約負債が16,286千円、賞与引当金が6,010千円、預り金が5,527千円増加し、「その他」に含まれる未払費用、未払消費税等がそれぞれ11,814千円、9,991千円減少したことによるものであります。固定負債は122,684千円となり、前事業年度末に比べ8,546千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が8,547千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は364,342千円となり、前事業年度末に比べて551千円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期会計期間末の純資産は353,982千円となり、前事業年度末に比べ16,954千円増加いたしました。これは、四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が16,954千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境が改善したことに加え、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大により緩やかな回復基調が続きました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費等の上昇による物価上昇、為替変動、ロシア・ウクライナ情勢の長期化など、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社は「バリアバリュー」を企業理念とし、障害(バリア)を価値(バリュー)に変えることで社会を変革することを目指し、様々な障害者に関連するサービスの提供に取り組んでまいりました。デジタル障害者手帳「ミライロID」によるインフラの提供、企業・団体・行政へのバリアバリューソリューションの提供を軸として、障害者が活躍できる社会への変革を実現するための事業展開を行っております。
2019年7月にリリースしたデジタル障害者手帳「ミライロID」では、当事業年度末現在で、導入事業者数
4,062事業者(前事業年度末より190事業者増加)、ユーザー数40.4万人(前事業年度末より12.8万人増加)と認知度の向上を推進いたしました。また、使える場所やユーザー数の増加、コンテンツ力の向上等に伴い、アクティブユーザー数は月間15.5万人に増加しており、障害者の外出や消費の促進に寄与しております。2024年1月よりリリースしたオンラインショップ「ミライロストア」においては、当事業年度末現在で、セラー数29事業者、商品数229アイテムを掲載しており、今後さらなる商品数の拡充と、GMV(流通取引総額)の増加を目指しております。また、「ミライロID」とのシステム連携も増加しており、鉄道事業者では初めてとなるアプリ間連携による障害者割引を適用したきっぷ購入や、不正利用の防止を目的とした駐車場検索アプリとの連携等を実現いたしました。
バリアバリューソリューションにおきましては、2024年4月の改正障害者差別解消法の施行に伴い、障害者に対する合理的配慮の提供や事前的改善措置への対応に関する需要がこれまで以上に高まっております。特にユニバーサルマナー研修及び検定におきましては、法改正前に役員や従業員に対する知識習得を図りたいという企業が一定数発生し、大規模な検定の実施に繋がりました。また、「ユニバーサルマナー検定 ヤマトグループ オリジナル版」や「ユニバーサルマナー検定(鉄道)」に続き、不動産業界全体のDE&I推進を目的とした「ユニバーサルマナー検定(不動産)」、株主総会運営における合理的配慮について体系的に学べる「ユニバーサルマナー検定(株主総会)」を新たにリリースいたしました。業界や業種に特化したプログラムを構築することで、他社プログラムとの差別化に繋がり、継続的な受注や新たな市場獲得に寄与しております。ミライロIDソリューションにおきましては、「ミライロID」のユーザー数の増加に伴い、障害者の就労支援サービスを提供する企業からの広告掲載や、デジタル上での割引決済や認証等を目的としたシステム連携による継続的な売上が増加しております。2024年7月には、ミライロIDが持つ障害者手帳の情報を外部の社員IDと紐づけることで、企業と社員のスムーズなやりとりを可能とし、障害のある社員が働きやすい環境づくりを推進するための情報連携サービスもリリースいたしました。また、「ミライロ・サーベイ」のサービス版と雇用版の導入先も増加しており、ミライロ・サーベイを実施した企業に対するバリアバリューソリューションの複合的なサービスの導入拡大を継続的に推進しております。
以上の結果、当事業年度の売上高は709,561千円(前年同期比21.7%増)、営業利益は116,861千円(前年同期は営業利益1,901千円)、経常利益は121,334千円(前年同期は経常利益11,006千円)、当期純利益は178,857千円(前年同期は当期純利益9,601千円)となっております。
なお、当社は、バリアバリュー事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載は省略しております。
第16期第1四半期累計期間(自 2024年10月1日 至 2024年12月31日)
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要により緩やかな景気回復が見られる一方で、原材料価格の高騰や円安による物価上昇、国際的な情勢の不安は長期化しており、依然として先行きの不確実性の高い状況が継続しております。
このような状況の中、当社は「バリアバリュー」を企業理念とし、障害(バリア)を価値(バリュー)に変えることで社会を変革することを目指し、様々な障害者に関連するサービスの提供に取り組んでまいりました。デジタル障害者手帳「ミライロID」によるインフラの提供、企業・団体・行政へのバリアバリューソリューションの提供を軸として、障害者が活躍できる社会への変革を実現するための事業展開を行っております。
2019年7月にリリースしたデジタル障害者手帳「ミライロID」では、当第1四半期会計期間末現在で、導入事業者数4,094事業者(前事業年度末より32事業者増加)、ユーザー数43.5万人(前事業年度末より3.1万人増加)と認知度の向上を推進いたしました。また、使える場所やユーザー数の増加、コンテンツ力の向上等に伴い、アクティブユーザー数は月間15.6万人に増加しており、障害者の外出や消費の促進に寄与しております。2024年1月よりリリースしたオンラインショップ「ミライロストア」においては、当第1四半期会計期間末現在で、セラー数39事業者、商品数389アイテムを掲載しており、今後さらなる商品数の拡充と、GMV(流通取引総額)の増加を目指しております。また、「ミライロID」とのシステム連携も増加しており、2024年11月には鉄道事業者で初めてとなるアプリ間連携による障害者割引を適用したきっぷが購入できるサービスを開始いたしました。
バリアバリューソリューションにおきましては、2024年4月の改正障害者差別解消法の施行や、法定雇用率の
2.3%から2.5%への引き上げに伴い、障害者に対する合理的配慮の提供や事前的改善措置への対応に関する需要がこれまで以上に高まっております。ユニバーサルマナー研修及び検定におきましては、障害者雇用の現場で役立つ実践的なコミュニケーション手法など、障害のある社員が活躍するための雇用ノウハウの習得を目的とした「ユニバーサルワーク研修 実務編」の提供を開始いたしました。また、コミュニケーションサポートにおきましては、聴覚障害のある方々が社会のあらゆる場面で円滑にコミュニケーションを行えるよう、遠隔手話通訳専用の「ミライロ・コネクトオンライン手話通訳サービス」を開始いたしました。障害者雇用を進めている企業の面接や会議での利用、サービスの窓口、イベントの受付でも活用が可能です。駐車場利用者に向けた、減免対応や精算方法の案内・駐車場に関する問い合わせ対応などで活用する手話通訳サービスも開始いたしました。
以上の結果、当第1四半期累計期間の売上高は183,333千円、営業利益は25,849千円、経常利益は26,031千円、四半期純利益は16,954千円となっております。
なお、当社は、バリアバリュー事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ62,851千円増加し、421,763千円となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は137,801千円(前事業年度は12,319千円の収入)となりました。これは主に、税
引前当期純利益121,334千円、減価償却費27,673千円、未払消費税等の増加額8,912千円、未払費用の増加額6,371千円、売上債権の増加額28,181千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は37,912千円(前事業年度は27,060千円の支出)となりました。これは、無形固定
資産の取得による支出35,603千円、有形固定資産の取得による支出2,309千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は37,037千円(前事業年度は68,761千円の収入)となりました。これは、長期借入
金の返済による支出37,037千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第15期事業年度及び第16期第1四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
第15期事業年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
第16期第1四半期累計期間 (自 2024年10月1日 至 2024年12月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
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ミライロIDソリューション |
238,326 |
117.6 |
64,656 |
|
ユニバーサルマナー研修及び検定 |
298,331 |
128.2 |
71,624 |
|
コミュニケーションサポート |
172,903 |
117.2 |
47,052 |
|
合計 |
709,561 |
121.7 |
183,333 |
(注)1.当社の事業セグメントは、バリアバリュー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記
載しておりません。
2.最近2事業年度及び第16期第1四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
第15期事業年度末の財政状態は、前事業年度末に比べて、総資産額は161,261千円、純資産額は178,857千円増
加しております。
資産、負債、純資産別の財政状態は、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
第16期第1四半期累計期間(自 2024年10月1日 至 2024年12月31日)
第16期第1四半期会計期間末の財政状態は、前事業年度末に比べて、総資産額は17,505千円、純資産額は
16,954千円増加しております。
資産、負債、純資産別の財政状態は、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載
のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
第15期事業年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」にも記載しております。
(売上高)
売上高は709,561千円(前年同期比21.7%増)、顧客数は561社、顧客平均単価は118万円となりました。これは主に、2024年4月の改正障害者差別解消法施行に伴い、ユニバーサルマナー研修及び検定に関しては、改正法の施行前に役員や従業員に対する知識習得を図りたいという企業が一定数発生し、大規模な検定の実施に繋がったことによるものであります。また、ミライロIDソリューションに関しては、「ミライロID」の導入事業者数4,062事業者(前事業年度末より190事業者増加)、ユーザー数40.4万人(前事業年度末より12.8万人増加)となり、ユーザー数は毎月約1万人が継続的に増加しております。プラットフォームとしての価値がより一層高まったことで、障害者の就労支援サービスを提供する企業からの広告掲載や、デジタル上での割引決済や認証等を目的としたシステム連携による継続的な売上が増加しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は249,399千円(前年同期比0.8%増)となりました。これは主に労務費等の固定費や手話通訳派遣やモニター派遣などの業務委託費によるものであります。
この結果、売上総利益は460,162千円(前年同期比37.1%増)となり、売上総利益率は64.9%(前年同期比7.3ポイント上昇)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、343,300千円(前年同期比2.9%増)となりました。これは主に労務費等の固定費やミライロIDに係る業務委託費によるものであります。
この結果、営業利益は116,861千円(前年同期は営業利益1,901千円)となり、営業利益率は16.5%(前年同期比16.1ポイント上昇)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、8,210千円(前年同期比35.1%減)となりました。これは主に助成金収入によるものであります。
営業外費用は、3,737千円(前年同期比5.5%増)となりました。これは主に支払利息によるものであります。
この結果、経常利益は121,334千円(前年同期は経常利益11,006千円)となり、経常利益率は17.1%(前年同期比15.2ポイント上昇)となりました。
(特別損益、当期純利益)
特別損益は、当事業年度は発生しなかったため、この結果、税引前当期純利益は121,334千円(前年同期は税引前当期純利益10,760千円)となり、法人税等調整額△58,567千円を計上した結果、当期純利益は178,857千円(前年同期は当期純利益9,601千円)となりました。
第16期第1四半期累計期間(自 2024年10月1日 至 2024年12月31日)
第16期第1四半期累計期間の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」にも記載しております。
(売上高)
売上高は183,333千円となりました。これは主に、2024年4月の改正障害者差別解消法の施行や、法定雇用率の2.3%から2.5%への引き上げに伴い、ユニバーサルマナー研修及び検定に関しては、障害者に対する合理的配慮の提供や事前的改善措置への対応に関する需要がこれまで以上に高まってきたことによるものであります。また、ミライロIDソリューションに関しては、「ミライロID」の導入事業者数4,094事業者(前事業年度末より32事業者増加)、ユーザー数43.5万人(前事業年度末より3.1万人増加)となり、前事業年度に引き続きユーザー数は毎月約1万人が継続的に増加しております。プラットフォームとしての価値がより一層高まったことで、障害者の就労支援サービスを提供する企業からの広告掲載や、デジタル上での割引決済や認証等を目的としたシステム連携による継続的な売上が増加しております。
なお、当社の収益構造において、顧客数や顧客平均単価は四半期単位では変動があるものの、通期で見るとその影響は限定的であり、成長をより適切に評価するため、四半期単位での記載は省略しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は66,366千円となりました。これは主に労務費等の固定費や手話通訳派遣やモニター派遣などの業務委託費によるものであります。
この結果、売上総利益は116,967千円となり、売上総利益率は63.8%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、91,117千円となりました。これは主に労務費等の固定費やミライロIDに係る業務委託費によるものであります。
この結果、営業利益は25,849千円となり、営業利益率は14.1%となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、1,121千円となりました。これは主に助成金収入によるものであります。
営業外費用は、939千円となりました。これは主に支払利息によるものであります。
この結果、経常利益は26,031千円となり、経常利益率は14.2%となりました。
(特別損益、四半期純利益)
特別損益は、当第1四半期累計期間は発生しなかったため、この結果、税引前四半期純利益は26,031千円となり、法人税等調整額8,817千円を計上した結果、四半期純利益は16,954千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源は、第三者割当増資及び金融機関からの借入等を中心に資金調達を行ってまいりましたが、今後はエクイティファイナンスを合わせて、手元流動性、財務健全性、ROI(投資収益率)を総合的に判断し、資金調達を行ってまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
第15期事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しており、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定のうち、以下の事項について、重要な変更を行って
おります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、当事業年度において、現在の事業環境及び今後の業績動向等を勘案して、将来の課税所得の見積り
の見直しを行いました。
当該見直しに伴い、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づいて慎重に検討した結果、企業
分類を変更し、繰延税金資産の計上を含め、法人税等調整額として△58,567千円を計上いたしました。
繰延税金資産の回収可能性は将来の収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及びタックス・プ
ランニングを考慮し判断しております。
また、将来の収益力に基づく課税所得の十分性を判断するにあたっては、経営計画を基礎として、一時差異
等の解消見込年度の課税所得を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有する将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得の見積りに用いた主要な仮定は売上計画を構成する案件別の受注見込額であり、過去の実績
や現在の事業環境を踏まえて見積もっております。
第16期第1四半期累計期間(自 2024年10月1日 至 2024年12月31日)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ⑤ 重要な会計
上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 第15期事業年度」に記載した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。