第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

経営者の認識については、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、「社会や企業の発展も技術開発も、人と人との心のつながりが基本である」との意味をこめた『Heart to Heart』の経営理念に基づき、日々高度・多様化する顧客の「技術要請」に的確に応えるべく技術系アウトソーシングサービスを行ってまいりました。

今後も、当社の経営資源を顧客と共有することにより、顧客の経営効率化に資するとともに、課題解決に繋がる提案や付加価値の高いサービス提供を行い、当社の事業価値向上に努めてまいります。また、社内では技術者が自律的にキャリアアップしていく仕組みを取り入れ、さらに高度な技術者を育成してまいります。

グループ戦略につきましては、既存事業はもとより、創業50周年を迎えた第二創業として、2018年に開始した農業・介護事業、強みである技術力を生かした「ものづくり」事業、人材の国際的流動化に対応したグローバル事業の成長を目指し、グループのシナジーを強化しています。引き続き、社会課題解決型の新規事業創出に取組み、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、継続的な成長及び収益の向上を実現させるため、「自己資本利益率(ROE)」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」を重要な経営指標と考えております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、2018年7月に第11次5ヵ年計画「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」をスタートし、推進しております。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とし、急速に進展した働き方改革や、サステナビリティを巡る対応など不確実で変化が激しい時代だからこそ、経営理念に立ち返り、グループ全社員で目標を達成してまいります。


 

 

① アウトソーシング市場における持続可能な競争優位性の創出

当社グループの持続的発展を目的として、各社の事業ドメインを再構築し、グループのスケールメリットを最大化した高付加価値のアウトソーシングサービスを展開してまいりました。2018年より新たにアグリ・アグリテック人材の採用を開始し、グローバル人材は2022年12月末時点で全社員の約1割を占め、技術分野・農業分野を中心に活躍しております。

 

② 投資の拡大による成長の加速と収益基盤の強化

成長産業へと向かう農業関連分野及び人材不足が顕著となっている介護関連分野に対して、新たなモデルのアウトソーシング市場の創出を掲げ、推進しております。農業分野では㈱アルプスアグリキャリアと㈱DONKEYを中心に、介護分野では㈱アルプスケアハートと当社ソフト受託開発部門を中心に技術力を活かした高付加価値のサービスを提供しております。また、ものづくり事業については、2020年7月に㈱デジタル・スパイスをグループに加え、宇宙・医療分野を中心に規模を拡大しております。

 

③ 事業環境の変化に対応した人材育成と組織の最適化

新たな取組みを効率的かつ迅速に遂行することを目的として、社内組織の最適化を図ってまいります。ITによる高水準の業務効率化、知的機動力の高い組織づくりに挑むと同時に、ミドルの育成と共に多様な人材が活躍するダイバーシティ企業を目指しております。「2026年3月31日までに管理職に占める女性の割合6.0%」という目標を掲げており、2022年12月末時点で5.3%となっております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、持ち直しがみられました。一方、地政学的リスクの顕在化を契機とした物価上昇により、世界的な金融引締めが続き、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しする可能性があります。さらに、国内の金融政策の変化にも十分注意する必要があります。

このような環境の下、当社グループの中核である無期雇用型技術者派遣事業において、採用・教育・営業の仕組みを抜本的に変革し、高度技術者集団としてのブランドの確立を図るため、「顧客との強固な信頼関係を構築」、「ステークホルダーから選ばれ続ける人材集団」、「社会のニーズを先読みした事業創出・組織構築」の諸施策を推進してまいります。顧客の量的・質的要望に応えるとともに、技術者と顧客の最適な組み合わせによる高付加価値サービスの提供により、企業価値の向上を持続させていくことが重要な課題と認識しております。また、農業や介護関連分野においても既存事業とのシナジーを強化することで、さらなる事業拡大を目指してまいります。

 

当社グループが対処すべき主要な経営課題は、以下のとおりであります。

 

① 採用の強化

当社グループの主要事業である技術者派遣事業においては、顧客からの即戦力かつ高度技術を有する人材の要請が高まっていることから、質の高い多様な人材を確保すべく、中途入社の人数増加や、優秀な新卒社員の獲得に向けた積極的な採用活動の展開を図ってまいります。また、全役職員一体となり連携を活かしたリファラル採用や、オンライン選考といった手法を駆使し、国外を含めた多様な採用チャネルを構築してまいります。

 

 

② 技術力の強化

当社グループでは、技術者が高い志をもって、自らの技術力を向上させることが企業価値の源泉であるとの思いの下、創業以来、技術者教育には特に力を入れてまいりました。この考えは今後も変わることなく、引き続き高度な技術力と、顧客から信頼される人間力を兼ね備えた社員の育成に努めてまいります。

なかでも、顧客ニーズに特化したカスタマイズ研修、技術者の長期キャリア形成を目的とした、シニア人材を含む年代別キャリア開発研修、次代を担う若手人材向けのマネジメント研修等に取組んでまいります。

さらに、積極的に「チーム派遣」を推進するために、高度な技術力を有するに留まらず、工程管理やマネジメントにも長けた、いわゆる「チームリーダー」を育成すべく、リーダー養成の研修を実施し、市場価値の高い高度技術者を養成してまいります。

また、座学の研修のみならず、ものづくりの現場に携わることも、技術者、とりわけ若手の社員にとっては実践的な技術力を身につけるために必要な経験であるとの認識から、OJTの場を多く設けるとともに、アルプスロボットコンテストや新入社員の技術発表会等により、グループの垣根を超えて「ものづくり」の技術力を高めてまいります。

なお、コロナ禍ではありますが、オンラインや動画などの研修コンテンツを強化し、非対面でも継続できる教育環境を整えております。

 

③ 営業力の強化

当社グループの主要顧客である自動車、半導体、電機メーカーなど大手製造業各社においては、国際競争力強化の必要性から、今後も引き続き、開発設計部門における効率化の流れは継続するものと思われます。その影響により、複数名の技術者をまとめて派遣する「チーム派遣」や、開発工程の一定部分を受託する「プロジェクト受注」への要請は一層の高まりをみせております。このような環境変化に対応すべく、営業部門の強化、拠点体制の見直し、営業と技術者との連携強化を図ることで、「チーム派遣」や「プロジェクト受注」等を積極的に開拓してまいります。

さらに、先端技術や環境問題の改善を始めとする成長分野における需要が拡大していることから、当該分野の人材育成を強化し、更なる案件獲得を図ってまいります。また、「チームアルプス」というビジョンのもと、営業担当者のみならず、技術者自身も顧客ニーズへの迅速な対応と付加価値の高いサービス提供を行うことで、高水準の契約単価の実現にも注力してまいります。

 

④ 国際化への対応

アジア圏における高度経済成長を睨み、上海と台湾、ミャンマーに現地法人を構え、人材育成事業と製造業各社に対するエンジニアリング事業(プラント設備、機械・設備機器等の据付及びメンテナンス)を展開しております。

さらに、現地における人材確保等、当社グループの有する強みを活かし、国内グループ各社と海外現地法人とが緊密な連携を図ることで、製造業各社のアジア戦略にも積極的に対応してまいります。地政学的なリスクとコロナ禍の感染再拡大による移動制限リスクに注意し、オンラインを活用しながら事業の継続を図ってまいります。

 

⑤ グループ戦略

当社グループでは、アウトソーシングサービス事業の強化はもとより、農業・介護を始めとする新たな事業分野の開拓、ものづくり事業の拡大を推進しております。2020年3月には㈱DONKEYを設立し、2022年2月に子会社化しました。また、2020年7月には㈱デジタル・スパイスをグループに加え、成長分野における事業の強化を図ってまいりました。

2021年7月1日には、更なる介護事業の拡大を見据え、当社の人材採用・育成ノウハウとIT技術を活かし、充実した介護環境を実現すべく㈱アルプスケアハートを設立いたしました。

引き続き、人材サービスのみならず、これまで培ってきた技術力、ものづくりの強みを融合した事業を展開してまいります。

 

⑥ サステナビリティを巡る取組み

2021年6月11日にコーポレートガバナンス・コードの改訂が実施されました。企業に求められる重要な使命の一つとして、サステナビリティへの対応が存在感を増している中で、当社の中長期的な企業価値の向上を目的として、サステナビリティ基本方針を制定いたしました。

ガバナンス体制は、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、具体的な企画・実行・管理を進めております。特に、気候変動に対する取組みは、当社にとってリスクのみならず大きなビジネスチャンスであることを踏まえ、取組みについてはコーポレート・ガバナンス報告書に記載しております。

また、企業の成長に不可欠な人的資本への投資は、経営理念「Heart to Heart」のもと創業以来、取組みを続けてまいりました。現在の状況について、以下に記載いたします。

 

ア.人材の多様性

新卒採用・キャリア採用については、国籍・性別問わず、当社で活躍できる人材要件を設定し採用活動をしております。特に外国籍人材につきましては、2003年より20年にわたり、延べ1,000名以上の技術系人材を育成・採用し、多くのお客様に高度な技術サービスを提供しております。2018年からは、さらに農業・介護分野へ活躍のフィールドを広げ、先駆的に人材の育成と採用に取組んでおります。

外国籍人材やキャリア採用者の管理職への登用につきましては、当社では既に積極的かつ適正な人数の登用を実施していると認識しており、改めて目標は設定しておりません。

様々な分野、業種のお客様と取引している利点を活かし、エンジニアが担当する業務をローテーションすることにより、新たな経験を積み、スキルを高めていく当社のビジネスモデルそのものがリスキリングと考えております。一人ひとりの描くキャリアに適したローテーションを実施する為、研修や勉強会などの教育体制を充実させ、キャリア形成を支援しています。

 

イ.人材の育成

教育体系及びキャリアパスを定め、それぞれに沿った教育を行っております。新入社員、若手、中堅、シニア向けと年代に合わせた研修を実施しております。また、専門技術研修のみならず、マネージャーやリーダー向けのマネジメント研修にも力を入れております。

 

 


 

ウ.社内環境整備

入社時からエンジニアの継続的なキャリア形成を支援しています。システムには社員一人一人の業務経歴、専門技術、スキル、資格などが登録でき、目指すエンジニア像を入力すると、そのキャリアに必要な能力や知識が提示されます。社内のキャリアサポーターがアドバイスを実施し、スキル、モチベーション、生活面とトータルにサポートしています。この一連のシステムがESS(エンジニアサポートシステム)です。

 


 

また、健康面では、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に基づき、ストレスチェックを実施しております。2022年度の受検率は、99.8%となりました。2022年度の一般定期健康診断は、対象者の100%が受診いたしました。

 

⑦ コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)への取組み

当社グループでは従来「企業倫理憲章」を始めとした社内ルールを制定するとともに、法令・社会倫理規範遵守のための社内体制を整備し、コンプライアンス教育を徹底してまいりました。コンプライアンスは経営の重要課題の一つと認識し、今後も引き続き取組んでまいります。

また、当社は、企業市民としてサステナビリティ基本方針に則り、環境経営の推進や、財団、NPO法人を通じた起業家育成・教育・コミュニティー活動等の社会貢献活動を支援してまいります。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症への取組み

当社グループでは2020年2月に対策本部を設置し、感染症拡大防止に向けた基本対策を徹底してまいりました。在宅勤務、オフピーク通勤やTV会議・社内スタジオの活用など、お客様、従業員の安全に配慮した対策を講じております。

また、オンラインの商談・採用選考・教育を実施し、対面や距離の制約を受けない体制を構築してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループにとり事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を個々に記載しております。なお、投資者に対する積極的情報開示の観点から、事業上のリスクに該当しないと考えられる事項であっても、投資者が投資判断する上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項を含めて記載しております。当社グループはリスク発生の可能性の認識、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。下記の事項には、将来に係るリスク要因が含まれておりますが、これらの事項は有価証券報告書提出日現在における判断を基にしており、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

分類

リスクの内容

主な取組み

人材の確保や育成

・少子高齢化・労働人口の減少により、中長期的には 人材の確保が難しくなる傾向

・採用専門の部署を中心に国内はもとより海外の優秀 な人材の確保を継続

・教育と人事ローテーションを組み合わせた人材育成

労働者派遣法改正

による影響

・働き方改革に関連した改正労働者派遣法の施行 (2020年4月1日)に伴う事業への影響

・当社のビジネスモデルである無期雇用による技術者 派遣事業を継続

・安定した雇用・待遇を確保

内部統制・

コンプライアンス

・役職員の故意または過失による法令違反行為により 損害賠償を求められる事案が発生する可能性

・内部統制システム構築の基本方針を制定、運用

・倫理や行動規範を定めた「企業倫理憲章」や諸規程等のルールを遵守

海外情勢の影響

・政治、社会情勢の変化や予期しない法令・規制の変更

・外国通貨の為替変動

・地政学的リスクを四半期ごとに検証

・オンラインを活用した緊密な情報連携体制を構築

企業買収

・会社の経営陣や多くの株主の賛同を得ることなく、 一方的に大量の株式の買付を行う動き

・当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の決定、運用

関係会社

・グループ各社が期待した収益を生まない

・管理体制の強化(役員の出向、月次報告等)

・グループ間の緊密な連携によるシナジー効果を向上

減損会計

・地価の動向及び対象となる固定資産を保有する事業の収益状況による減損損失の発生

・保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定

・算定結果を基に四半期ごとに保有の継続を判断

システム障害

・情報システムの停止・誤作動、ネットワークセキュリティー対策の不備による外部からの不正アクセス、 大規模な自然災害によるシステム障害

・システム障害リスクを掌握し、障害が発生した場合の危機管理対策を事前に準備

・事業継続に必要なバックアップ体制を整備

情報セキュリティー・

機密情報管理

・第三者による不正アクセス等により機密情報漏洩が 発生

・社員の不正により機密情報漏洩が発生

・ファイヤーウォールによる社内ネットワークの保護とPCのハードディスク暗号化

・全社員へ啓発・教育を継続実施し、周知徹底を図る

自然災害、環境問題等

・予期せぬ台風・地震等の大規模な自然災害及び事故

・環境問題等への対応

・自家発電装置の設置や、安否確認システムを導入

・サステナビリティ基本方針を定め、提供するサービスを通じて貢献

新型コロナウイルス

感染症の再拡大

・感染症の再拡大による緊急事態宣言の発動

・ロックダウン等による事業活動の制限

・感染予防の基本対策を全社員が徹底して実践

・オンライン対応が可能である業務体制を構築

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況1連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、持ち直しがみられました。一方、地政学的リスクの顕在化を契機とした物価上昇により、世界的な金融引締めが続き、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しする可能性があります。更に、国内の金融政策の変化にも十分注意する必要があります。

 当社グループの主要顧客である大手製造業各社において、こうした社会・経済環境の中ではありますが、DXの進展に伴うネットワーク等の需要拡大を受けた半導体業界や、環境対応を含む次世代車の開発が激化する自動車業界などを中心に、研究開発投資を維持しております。

当社は経営理念「Heart to Heart」のもと、「チームアルプス」というビジョンを掲げ、グループのシナジーを活かし、企業価値の向上を目指しています。また、当社グループの中核である技術者派遣事業では、オンライン採用をいち早く導入し、リファラル採用の強化と併せて、優秀な技術者の確保に努めました。さらに全社を挙げて、高稼働率の維持及び契約単価の向上、チーム派遣の推進等の営業施策に取組みました。以上のような施策の結果、総稼働人数、契約単価ともに上昇いたしました。

これらの技術者派遣事業における諸要因を主因として、当連結会計年度の売上高は436億47百万円(前年同期は392億61百万円)、営業利益は46億49百万円(前年同期は38億75百万円)、経常利益は45億60百万円(前年同期は45億74百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億16百万円(前年同期は30億95百万円)となりました。

なお、当社は次世代に向けた強みを創出すべく、アウトソーシングサービス事業の強化はもとより、農業・介護を始めとする新たな事業分野の開拓と、ものづくり事業の拡大に向けた施策を推進しております。

当社グループは、創業以来培ってきた高度な技術力と人材育成のノウハウを活かし、人材サービスのみならず、ものづくりを融合した幅広い価値を提供いたします。

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

ア.アウトソーシングサービス事業

主要事業であるアウトソーシングサービス事業では、技術者派遣を中心に、技術プロジェクトの受託、事務派遣、職業紹介等も行っております。

 アウトソーシングサービス事業におきましては、コロナ禍であっても優秀な人材を確保するため、オンライン採用やリファラル採用などの施策に注力いたしました。また、高稼働率の維持や契約単価の改善を柱とした営業施策により、総稼働人数、契約単価ともに上昇いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は401億41百万円(前年同期は375億19百万円)、営業利益は44億30百万円(前年同期は36億71百万円)となりました。

 

イ.グローバル事業

海外におけるプラント設備、機械・設備機器等の据付及びメンテナンス並びに人材サービスを行っております。

グローバル事業におきましては、需要が拡大している半導体業界を中心に、新規案件の受注獲得と人材サービス事業の拡大に向けた施策に注力いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は35億5百万円(前年同期は17億42百万円)、営業利益は2億16百万円(前年同期は2億1百万円)となりました。

 

(財政状態)

当社グループにおける当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は242億74百万円となり前連結会計年度末に比べ17億29百万円増加いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。負債合計は85億32百万円となり前連結会計年度末に比べ6億22百万円増加いたしました。主に賞与引当金の増加によるものであります。この結果、純資産の部は157億41百万円となり前連結会計年度末に比べ11億6百万円増加いたしました。

これらの結果、自己資本比率は64.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は100億3百万円となり前連結会計年度末に比べて7億10百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

ア.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は、当連結会計年度には36億63百万円(同15.6%増)となりました。これは主に法人税等の支払額の減少によるものであります。

イ.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は、当連結会計年度には1億25百万円(同43.3%減)となりました。これは主に定期預金の預入による支出の減少によるものであります。

ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は、当連結会計年度には28億81百万円(同66.2%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出の増加によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

  金額(千円)

前年同期比(%)

アウトソーシングサービス事業

30,360,809

104.7

グローバル事業

2,836,759

187.9

合計

33,197,569

108.8

 

 

イ.受注実績

当社グループの事業については、提供する主要なサービスの性格上、受注実績の記入になじまないために記載を省略しております。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

  金額(千円)

前年同期比(%)

アウトソーシングサービス事業

40,141,746

107.0

グローバル事業

3,505,952

201.3

合計

43,647,698

111.2

 

(注)総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、主な相手先別の販売実績の記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア.財政状態

資産合計が前連結会計年度末に比べ17億29百万円増加しておりますが、これは主に受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。負債合計は前連結会計年度に比べ6億22百万円増加しておりますが、これは主に賞与引当金の増加によるものであります。

イ.経営成績

(売上高)

当社グループの主要顧客である大手製造業各社においては、多くの主要企業が研究開発投資を維持しております。自動車関連の売上高は増加しましたが、比率は減少しました。半導体関連は、デジタル化、働き方改革の影響などによるネットワーク関連の需要拡大を受け、シェアを拡大いたしました。売上高に占める業種別のシェアは以下のとおりであります。

 


 

(注) 上記グラフは、㈱アルプス技研個別の実績であります。

 

 

当社は経営理念「Heart to Heart」のもと、「チームアルプス」というビジョンを掲げ、グループのシナジーを活かし、企業価値の向上を目指しています。また、当社グループの中核である技術者派遣事業では、全役職員一体となり連携を活かしたリファラル採用や、オンライン選考といった手法を駆使し、国外を含めた多様な採用チャネルを構築し、優秀な技術者の確保に努めました。さらに全社を挙げて、高稼働率の維持及び契約単価の向上、チーム派遣の推進等の営業施策に取組みました。以上のような施策の結果、総稼働人数、契約単価ともに上昇いたしました。

主要指標については以下のとおりであります。

 


 

(注) 上記指標は、㈱アルプス技研個別の実績であります。

 

これらの技術者派遣事業における諸要因を主因として、当連結会計年度の売上高は436億47百万円(前年同期は392億61百万円)となり、うち76%を㈱アルプス技研個別の売上高が占めております。

 

(売上総利益、営業利益)

売上総利益は、総稼働人数の増加と高稼働率の維持により、104億88百万円(前年同期は89億39百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、社員数の増加等により、58億39百万円(前年同期は50億63百万円)となりました。以上の結果、営業利益は46億49百万円(前年同期は38億75百万円)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、雇用調整助成金の減少などにより2億66百万円(前年同期は9億57百万円)となり、営業外費用は、企業版ふるさと納税を活用し、北海道大樹町へ寄付を行ったことから3億54百万円(前年同期は2億58百万円)となりました。この結果、経常利益は45億60百万円(前年同期は45億74百万円)となりました。

 

(特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失は、のれんの減損等により1億28百万円(前年同期は57百万円)となりました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は、47億32百万円(前年同期は45億17百万円)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、34億16百万円(前年同期は30億95百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動により36億63百万円の資金を獲得した一方、投資活動に1億25百万円、財務活動に28億81百万円をそれぞれ使用いたしました。投資活動の主なものとしましては、車両運搬具やソフトウェア等の固定資産の取得に1億2百万円、㈱DONKEYの株式追加取得に65百万円を支出しております。財務活動の主なものとしましては、配当金の支払いに14億51百万円、自己株式の取得に8億44百万円を支出しております。なお、当社グループにおける投資は、自己資金によることを基本としており、借入金等新たな資金調達の予定はありません。当期末時点での現金及び現金同等物は、100億3百万円と当社グループの事業活動を推進していく上で十分な流動性を確保しているものと認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、将来事象の結果に依存するため確定できない金額については、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、自己資本の有効利用及び連結の利益が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」を重要な指標と位置づけております。当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は22.6%(前年同期と同率)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億16百万円(前年同期は30億95百万円)となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

研究開発体制は、当社のソフト受託開発部門において介護事業者向けシステムの開発を、子会社である㈱DONKEYにおいて小型多機能型農業ロボットの開発を行っております。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、70百万円であり、すべてアウトソーシングサービス事業に係るものであります。