文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標としております。
グループビジョン:「CRESCO Group Ambition 2030」
人が想い描く未来、その先へ
クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します
中期経営計画2023
「CRESCO Group Ambition 2030」の実現を通して売上高1,000億円を目指してまいります。その実現に向けて中期経営計画2023では、2023年度における連結売上高500億円の達成を目指しております。具体的には、ITサービス事業(エンタープライズ、金融、製造)とデジタルソリューション事業の4本柱により、ビジネスの成長戦略を推進してまいります。

中期経営計画2023では、「コアビジネス領域をより強固なものにするための3つの基本戦略」においてビジネスの土台を強化しつつ、「新たなビジネスの柱を生み出すための3つの重点戦略」に取り組んでおります。

当社企業グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益額、ROEを設定しております。
(注) 1 2023年度の目標値及び予想値については、当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2 2023年度の売上高及び営業利益額の予想値は、2023年5月10日時点での公表値であります。
3 2023年度のROEの予想値は、当該年度における自己資本の変動が親会社株主に帰属する当期純利益及び剰余金の配当のみであると仮定して算定しております。
2022年度の経営環境は、ロシア・ウクライナ紛争を端緒とする世界的な物資の供給不足と資源価格の高騰が発生し、インフレーション対策として海外での政策金利が引き上げられた影響で円安が過度に進行したことにより、国内物価も急激に上昇いたしました。当社企業グループにおいても、人件費や外注費、電力代など諸原価の高騰圧力を実感し、価格転嫁と生産性向上による収益力の確保が課題となる一年となりました。
その一方で、複数年にわたって続いた新型コロナウイルス感染症の影響も当年度の後半には徐々に落ち着きを取り戻し、国内企業がコロナ後を見据えて積極的なIT投資を再開するなど、情報サービス産業にとってはプラスになる動きが認められ、当社企業グループにおいても年度を通じて堅調に受注を確保することができました。
社会的には地球温暖化や労働力不足を背景として「サステナビリティ」に注目が集まっており、「人的資本」を含めた情報開示の法制度化の機運も一段と高まっております。当社企業グループとしてもこれらの課題に背を向けることなく、従来にも増して積極的に取り組んでいく方針であります。また、AI分野では目覚ましい技術革新が進んでおり、AIが人間を超える「シンギュラリティ」(技術的特異点)を迎える時も遠い将来の話ではないといわれるまでになりました。当社企業グループも既存の情報技術に捕らわれることなく、常に新たな技術を取り込んで事業体制を構築していく必要性を強く認識しております。
このような変化の著しい経営環境にスピーディーに対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
①顧客ニーズと時代の変化への対応
当社企業グループの掲げる「CRESCO Group Ambition 2030」の実現や「中期経営計画2023」の達成のためには、安定した顧客基盤の構築と拡大が必要不可欠であると認識しておりますが、特にITシステムは「作る」時代から「使う」時代へ流れが加速しており、それに伴い顧客ニーズも多様化しているため、サービス形態を柔軟に変革することが求められております。
このような経営課題に対し、当社企業グループでは、営業・マーケティング部門の強化やM&Aによる販路の拡大に引き続き取り組むほか、デジタルソリューション事業を新たな収益の柱に据えるべく、担当部署におけるラインナップの拡充、社員へのDX教育に取り組んでまいります。また、顧客との業務・資本提携等のアライアンスや当社企業グループ内での営業案件の共有により顧客ニーズを着実に取り込んでまいります。加えて、顧客からの更なる知名度と信頼を獲得するために、積極的な広報活動によるブランディングも進めてまいります。
②技術と品質の追求に基づくコアビジネスの強化
デジタルソリューション事業への投資の一方で、当社企業グループの強みである開発力を中核とした総合的なITサービス事業を安定したビジネスの根幹とするべく、継続的な強化を図る必要があると認識しております。そのためには、品質の強化はもちろんのこと、新技術の先取りも欠かせないと考えております。
このような経営課題に対し、当社企業グループでは、エンタープライズ・金融・製造の産業別セグメントごとに適切な戦略を立案し実行するほか、継続的なM&Aによる事業の補強及び拡大も進めながら「稼ぐ力の最大化」に努め、顧客ニーズに的確に対応してまいります。また、品質管理プロセスの継続的な見直しに取り組むほか、新技術の獲得を目的として、資格取得や社内勉強会、グループ横断的な最新動向の共有機会の提供など幅広い教育訓練投資を実行してまいります。
③DX時代に適合した人材の確保と育成
当社企業グループが属する情報サービス産業では、「ヒト」こそが最も重要な経営資源であると認識しております。しかし、ITの普及や少子高齢化の進行といった社会経済情勢の変化により、慢性的なIT人材不足と流動化が生じており、従業員の採用や外注先であるビジネスパートナーの確保が困難な状況にあります。
このような経営課題に対し、当社企業グループでは、従業員の給与水準の見直し、テレワーク制度・オフィス配置等の労働環境の見直し、広報活動による採用活動支援を行うとともに、新たに策定した「DX人財育成プログラム」「次世代人財育成プログラム」の実践等を通じた社員への教育投資やリテンション対策投資にも取り組んでまいります。また、ビジネスパートナーを確保するための取組みとして、ニアショア(子会社やビジネスパートナーとの協業による国内分散開発)やベトナムを中心とするオフショア(海外現地企業との協業による国外分散開発)も引き続き推進してまいります。併せて、M&Aを通じたIT人材の獲得も進めてまいります。
④機動的な経営基盤の構築
当社企業グループの持続的な企業価値の向上のためには、顧客ニーズの多様化、国内における生産年齢人口の減少、グループ経営の重要性といった事業環境の変化に柔軟に対応し、当社企業グループにおける多種多様な経営資源をより効果的かつ効率的に活用するための経営基盤が必要不可欠であると認識しております。
このような経営課題に対し、当社企業グループでは、自らDXによる経営改革を実践するべく、業務プロセスの見直しを含めた情報システム基盤の再整備、オフィスワーク及びリモートワーク環境の整備等の全体最適化、並びに当社の管理部門を中心に据えたグループ・ガバナンス・システムの更なる強化に取り組んでまいります。
⑤サステナビリティ経営及び人的資本経営の推進
当社企業グループは事業目的を達成する責務を負っておりますが、一方で、企業価値の向上と社会課題の解決の双方を実現する「サステナビリティ経営」や、人材の価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値の向上を実現する「人的資本経営」を推進することが求められております。
このような経営課題に対し、当社企業グループは、当連結会計年度において「サステナビリティに関する基本方針」を制定し、持続可能な社会の実現に向けた行動を推進していくことを明らかにいたしました。また、「健康経営宣言」「マルチステークホルダー方針」を公表し、従業員をはじめとした多様なステークホルダーとの価値共創を進めていくことを明らかにしております。今後も引き続き、これらの方針等に則った事業活動を展開し、適時適切な情報開示に努めてまいります。
なお、サステナビリティ経営及び人的資本経営に関する詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(4) 中期経営計画の進捗状況
「中期経営計画2023」の「重点戦略」及び「基本戦略」に係る当連結会計年度における主な活動と成果は以下のとおりであります。
重点戦略
① デジタルソリューションの強化
当連結会計年度は特に新ソリューションとサービスの開発及び収益改善に向けた活動に注力しました。
<主な取り組み>
・「マネージドセキュリティサービス For SIEM」「マネージドセキュリティサービス for EDR」の提供開始
・RPAに関するe-Learning及びDX研修サービスなどの教育サービスの提供開始
・「AWS公共部門パートナープログラム」「AWS公共部門ソリューションプロバイダー」の認定取得
・UiPath社「ダイヤモンドパートナー」の認定取得
・当社とJR九州ホテルズ㈱の共同で、「数理最適化手法を用いたホテル部屋割り最適化」の実証実験を行い、部屋割り最適化ツールのプロトタイプを開発
② 機動的経営の進化
・2022年4月、持続可能な社会に向けた行動を積極的に推進するため、当社企業グループのサステナビリティ基本方針を制定し、公表
・当社企業グループにおける営業・案件情報の共有強化及び事業ポートフォリオの多様化に向けた取り組みを実施(連結子会社3社の統合や日本ソフトウェアデザイン㈱の株式取得等)
・「アイデアコンテスト」などへのスポンサー活動の推進、青少年の育成支援などの社会貢献
③ 人間中心経営の深化
・前期に引き続き、テレワークやワークスペース整備やWithコロナに対応した働き方改革を推進するとともに、拠点規模及び環境の改善を目的とした移転等を実施
・当社の技術力を活かし、外部教育機関におけるエバンジェリスト活動を積極的に実施
・2023年3月、特に優良な健康経営を実践する法人として「健康経営優良法人2023」に認定
・2023年3月、社員の健康増進のためにスポーツに積極的に取り組む企業として、スポーツ庁から「スポーツエールカンパニー」に認定
基本戦略
① ITサービスの拡大
・エンタープライズ、金融、製造の各セグメント領域における営業力の強化のため、営業体制を変更
・自動車領域の事業が拡大し、製造セグメントが伸長
・公共事業への参画が進み、既存領域の継続拡大だけでなく、新領域も開拓
・不足する国内開発人員への対策で、ニアショア・オフショア活用を引き続き推進
・ソリューショニングプロセスの活用を進め、新規案件を獲得
② 品質の強化
・品質スローガン「お客様に安心・感動の品質を」を実現するため、品質管理本部による品質マネジメントシステムの構築・改善、プロジェクト状況の監視、品質プロセス実施状況の監査を実施
・全開発部門においてISMSを取得(2023年度は当社全体での獲得を目指すこととしております。)
・プロジェクトマネジメント学会において当社のマネジメント活動に関する報告を行うなど、品質活動に関する価値を向上
・一般にいう「品質」と当社での「品質」を全社で共有し、品質強化を目的とした全員参加型の「品質に関する研修(eラーニング)」を実施
③ 技術の強化
・2022年9月、当社が得意とする画像認識AIや機械学習の分野において、画像認識AIによる画像分類結果の根拠を可視化する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの特許を取得
・2022年12月、日本航空㈱と医療AIによる画像認識技術を活用した「航空機エンジン内部検査ツール」を開発することを発表
・5年連続で「IBM Champion」、3年連続で「UiPath Japan MVP」に当社社員が認定
・企業のDX人財育成を支援する、外部向け「DX研修サービス」の提供を拡充
・社員のDXリテラシーを高めるため、社員教育カリキュラムの拡充を推進
当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは2022年4月、持続可能な社会の実現に向けた、積極的かつ能動的な取り組みを推進する姿勢を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。様々な事業活動を通じて、社会の課題解決とサステナビリティに関する取り組みを推進し、私たちが実現したい『世界中の人々の想像を超える「その先」、もっと豊かでわくわくする未来』を通して、「持続可能な社会」の実現と当社企業グループの成長を目指してまいります。
当社企業グループのESG経営
当社企業グループは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、2021年度から、今後10年間の長期ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートいたしました。社会に新しい価値を提供し、利益を上げると共にステークホルダー全体の利益も考慮していくべきだと考えております。E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、企業が認識すべき「社会から企業への期待」であり、政府が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを踏まえ、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、ESGにおいて「何ができるか」を常に思考し、行動し、継続することを大切にしております。
当社企業グループにおいては、「事業を通じた活動」、「持続可能な社会への貢献」の2軸からESG経営に紐づく6つの重点テーマを設定いたしました。そして、それぞれのテーマについてSDGsで提唱された17の国際目標から関連する項目を選定し、全事業活動を通じた「価値創造」と「社会の課題解決」に取り組んでいます。
当社企業グループは、グローバルな経営環境の変化への対応と事業機会の拡大、社会課題の解決を目指し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための柔軟なガバナンスを構築しています。
取締役会は、リスクや機会を含むサステナビリティに関する監督及び管理の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各部門が業務執行を担っています。また、社外取締役が、逐次、経営層に監督・助言する機能や取締役会における経営判断が、様々な社内施策や取り組みに的確かつ迅速に反映され、実行に移される機能が備わっております。
サステナビリティ関連の全体的な業務執行については経営戦略室が中心になり、また、当社における人的資本の活用については経営戦略室及び人事部が中心になり、それぞれマネジメントを行い、サステナビリティへの取り組みの方向性を議論、決定の上、各部門と連携して活動し、取締役会への議案の提出及び活動状況の報告を行っております。

当社企業グループ事業活動をとりまく国内外の情勢は今後も大きく変動することが予測されますが、そこで想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するため、ESG視点の戦略、ビジネスモデルの重要性が一層高まっております。
日々の報道で頻繁に見聞きする深刻な社会課題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには、技術革新、特にIT技術は必須であり、サステナビリティへの取り組みを進める上で、IT技術を応用した「デジタル変革(DX)」は、欠かせないツールであることに間違いはありません。
当社企業グループの展開するビジネスモデルは、まさに、お客様のDX支援です。当社企業グループの2大事業であるITサービス事業、デジタルソリューション事業は、お客様の作業効率性や付加価値の上昇や「働き方改革」を含めた社会(S)や環境負荷の低減や保全といった環境(E)に寄与するものです。このことこそが私たちの社会的使命であり、存在価値、そして存在理由そのものであると考えております。
当社企業グループは、創業以来、IT技術を応用した“システム開発(モノづくり)”に徹底的にこだわり、成長してまいりました。技術と品質に裏打ちされたESG視点でのビジネスモデルは、当社企業グループの持続的な成長を支え、人、社会、地球に大きなインパクトを与えることができるものと考えております。加えて、多彩なESG活動が、自らのリスク低減や事業機会の創出に繫がり、ひいては事業の成長を促進し、そこで創出された利益が様々なステークホルダー(マルチステークホルダー)や社会に還元される、といったサイクル(価値創造プロセス)を形成していくと考えております。
イ 人的資本に関する戦略
当社企業グループの競争力の源泉は「人財」です。重要な財産である人材の「材」を「財」であるという認識のもと、当社は、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を掲げております。

ロ 人財育成方針
成長を楽しみ互いに高め合う風土や自立・挑戦といったマインドをベースにしております。当社はこのマインドをベースに、「スペシャリティ強化」「キャリア開発支援」「基礎力向上」の3つを柱として様々な取り組みを実施しております。自ら学び挑戦し成長を楽しみながら、「一人ひとりが輝きスペシャリティを活かしたキャリアを実現する人財育成モデル企業」を目指します。

a.ITプロフェッショナルの育成
自己の実力を最大限に発揮するために、「資質」「人間力」「技術力」「仕事力」の4つの力が重要であると考えています。この4つの力が高い状態であるほど、より大きな成果を生み出すことができます。当社企業グループの人財育成では、もともと備わっている「資質」に加え、「人間力」「技術力」を磨き、これらの力を成果に結びつける「仕事力」を高め、市場で活躍するITプロフェッショナルを育成しております。
b.DX人財育成
スペシャリティ強化の一つとして、ITサービス事業DXの観点では、エンジニア集団としてお客様に価値を提供し続けるために、デジタル技術、ビジネスデザイン(ビジネスをお客様と共創できる)スキルを身に付けた、次世代のビジネスをリードできるDX人財を育成しております。
また、社内業務DXの観点では、当社自身のDX(社内業務効率化、社内業務改革)を実現するために、デジタル技術やデータ活用に関する知識や技術を活用して、DXへの取り組みを推進できるDX人財を育成しています。DX人財の基礎教育として、例えば、次のプログラムを実施し、エンジニアだけでなく、社内間接部門についても育成を行っております。

c.次世代人財育成
当社企業グループが持続的に発展していくためには、これからを創造、牽引できる人財の育成が重要であると考えています。2022年より「次世代マネジメント育成プログラム」をスタートさせ、毎年40名前後を選抜し、バックキャスト(思考)を用いたこれからの在りたい姿を描きながら、自身の強み・弱みを踏まえたキャリアの設定、マネジメントとしてのマインドや考え方を学び、優秀な人財の発掘と育成を行っております。
d.キャリア開発支援
個人が自律的・主体的にキャリア開発に取り組み、持続的に成長することによって新たな価値を創造し続け、それが企業の成長、ひいては社会貢献にも繋がるとともに、個人の成長を支えるという循環を生み出します。個人の成長あっての企業の成長という考えのもと、一人ひとりが自らのキャリア形成に取り組めるよう、キャリアデザインシートの活用やキャリア相談窓口の設置等を通じて、社員をサポートしております。
ハ 社内環境整備方針
当社企業グループは多様な属性・専門性・経験・価値観を持つ個人を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮することにより、新たな価値を創造できると考えております。このため、多様な人財が活躍できる環境を整備するとともに、お互いを認め、高め合う職場を実現するため様々な取り組みを進めております。
a.人財獲得
IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人財不足は否めず、人財の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社は、経営戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、外国人、障がい者や「これだけは負けない」という国内・国外で秀でた実績・経験を持つ方を採用するユニーク採用等、多様な人財獲得についても強化しております。また、就職活動中の学生をターゲットに魅力的な企業イメージを持ってもらうため、採用広告でのブランディングにも力を入れています。
その他、ニアショアやクレスコベトナムを通じたオフショアを積極的に活用し、機会損失(案件の失注や縮小等)が発生しないよう取り組んでおります。
b.人財活用
当社では、新卒社員が現場に定着し着実に成長できるよう、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は職場の先輩が担当し、1年間のOJTを通して、業務上で必要な技術・知識・マインドを指導しています。メンターは2年間、他部門の社員が担当し、直接の業務から離れた立場でのアドバイスを行っております。メンター制度についてはキャリア入社者にも適用し、早期に当社に慣れ、実力を発揮できるよう支援しています。また、配置については、経営戦略と社員の能力・適性をマッチングさせた戦略的な配置と社員が自ら希望する部門へ異動を申し出ることができる社内公募・FA制度を実施し、最適かつモチベーション向上に寄与する配置を行っております。
c.人事制度
社員と当社のさらなる成長のために、「スペシャリティの追求」「実力本位に基づく処遇」「多様な人財が活躍できる職場の実現」をコンセプトとした人事制度では、個々の専門性や強みを追求できるよう職務・職責を7等級・16職種に分類し、複線型のキャリアパスを歩めるようにしています。担当する職務・職責と成果創出に応じたメリハリのある処遇を実現し、より高いレベルで「実力」を発揮することを促す制度としています。また報酬については市場の動向も踏まえながら、2年連続でベースアップを実施し、人財への投資も積極的に行っております。
d.健康経営
健康経営は、健康管理を経営的な観点から戦略的に実践することであり、中長期的には、生産性向上や組織活性化をもたらし、企業価値や業績の向上につながります。社員の心身の健康を維持・増進し、社員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実現するこの取り組みは、企業のレピュテーションや人財採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要なものであります。当社では「健康経営宣言」を掲げ、健康経営推進体制を整備し、健康リテラシー向上の研修やウォーキングイベントによる運動等に取り組んでおり、2023年3月には4年連続で「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2023」に認定されております。
なお、最新の当社の健康経営に関する体制や具体的な取組みについては、下記URLにてご覧いただけます。
https://www.cresco.co.jp/ja/sustainability/social/hc/kenko-keiei.html
e.働き方改革
働く“場所”については、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型勤務」を推進し、担当業務や指導体制をもとに社員一人ひとりが最適な選択をできるようにしています。オフィス環境については、「コミュニケーション促進」と「集中力向上」をコンセプトに本社のレイアウトを変更し、対面機会の創出を図るとともに、Web会議に対応した環境づくりとして個別ブースを設けたほか、Web配信スタジオ「Fusion Studio」(フュージョンスタジオ)を設置する等、オンライン対応も充実させています。
働く“時間”については、コアタイムのない「フルフレックスタイム制度」のもと社員が働く時間帯を自由に選択できるようにしています。その上で、健全な就業環境の実現にも力を入れており、時間外労働は低い水準を継続し、年次有給休暇は80%を超える取得率を達成しています。働く“場所”と“時間”ともに柔軟性を高め、多様な人財が生産性の向上やワークライフバランスを実現できるよう支援しております。
f.ダイバーシティ&インクルージョン
多様性の受け入れは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。その中で女性の活躍を支援し、女性管理職比率の増加にも注力するほか、外国人や障がい者も積極的に採用し、活躍できるよう取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたしました。また、2022年4月には「男性育休100%宣言」に賛同する等、性別を問わず仕事と育児の両立を支援しています。今後も、多様な人財が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて様々なイノベーションを生み出し、価値創造につなげてまいります。
なお、最新の当社のダイバーシティ&インクルージョンに関する体制や具体的な取り組みについては、下記URLにてご覧いただけます。
https://www.cresco.co.jp/ja/sustainability/social/hc/diversity.html
(3) リスク管理
当社企業グループは、サステナビリティガバナンスのもと、リスク低減と事業機会の創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、リスクの重要性を内部統制委員会で定期的にモニタリングしております。その中でも、特に経営への影響が大きく、速やかな対応を要する人財、内部統制に関するリスク等については常務会、取締役会でとり上げ、リスクオーナーを選定し、進捗管理を行っております。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。機会管理においては、当社企業グループ全体でテーマを共有し、優先順位の設定とESG視点での活動を促進する仕組みや管理体制を構築し、具体的な事業活動に繋げております。
当社企業グループは、上記「当社企業グループのESG経営」に示した6つのテーマ毎に、目標を定めております。目指すべき方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG経営を着実に実行しています。サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しております。
イ 気候変動(TCFD提言への取り組み)に関する事項
気候変動は、現在及び将来世代が豊かな生活文化を実現することに対する大きなリスクとなっております。当社企業グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、気候変動への対応の必要性を認識しております。
現時点では、社内体制が未整備のため、TCFDに賛同しておりませんが、可能な範囲で、気候変動に関する取り組みを行い、環境負荷の低減と事業活動の効率性の向上のため以下の活動に取り組んでおります。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
■ITを通じた地球環境保全活動
当社企業グループは、ITを通じ、様々な業種、業態のお客様向けに、ITサービス事業(システム開発)及びデジタルソリューション事業(クラウド、AI、ロボティクス、IoTなど)を展開しております。事業活動を通じて、お客様の情報システムの導入や更改による環境負荷低減を実現し、ひいては社会の環境負荷低減に貢献してまいります。
■環境負荷の低減活動
気候変動により平均気温が上昇することは、環境や社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、「環境負荷の低減活動」を実行することが、重要であると認識しています。当社企業グループの事業における最大のネガティブインパクト(CO2削減や環境への影響)は、電力の消費量やコピー等の紙の使用量であるため、日常的に省電力や節電やペーパーレスに取り組んでおります。これらの取り組みは、システム開発におけるエネルギー利用の効率化やコストダウンにも繋がります。
■GHG排出量
当社の本社ビルにおいては、再生可能エネルギー(電力)の購入による温室効果ガス削減への取組を行い、環境負荷低減に努めております。
今後、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への実現に寄与すべく、更なるCo2削減にむけた具体的な目標、取り組みを検討してまいります。
なお、2021年度及び2022年度の当社におけるScope別Co2排出量は下記のとおりです。
(注)1.Scope3については、今後の開示に向けた検討を進めてまいります。
2.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)に係るもの。
3.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出に係るもの。
4.地方拠点増床による電力使用量が増加したため、対前年度比較で増加しております。
ロ 人的資本に関する事項
上記「(2)戦略 ロ」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、当社企業グループに属する全ての会社では行われていないため、当社企業グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社企業グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。
(注) 1.就業時間中に研修、セミナー、eラーニング、勉強会等に参加した時間を集計しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、育児休業等及び育児目的休暇制度の取得率を算出しております。
4.「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づき算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社企業グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
当社は『リスク管理規程』を制定し、当該規程に基づいて当社企業グループにおけるリスクを区分・管理しております。当社取締役会は、リスクの種類・内容に応じて責任部門を定め、各責任部門長、各業務執行取締役及び内部統制委員会がリスク管理体制の整備とモニタリングを行っております。
① サービスリスク
サービスリスクは、当社企業グループが提供するソフトウェア開発・保守等のサービスに関連して発生する不採算リスクや納品物の不具合による損害賠償リスク等をいいます。当社企業グループでは、十分な収支計画や技術的な検証を行ったうえで受注を決定しておりますが、顧客からの仕様変更要求、予期せぬ技術的なミスマッチ等により追加の工数が発生した場合や、納品したソフトウェアの契約不適合責任等に基づく損害賠償請求を受けることとなった場合に、信用の悪化も含めて当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、当社の品質管理本部を中心に品質マネジメントプロセスの推進を図っており、当該リスクを未然に防止しております。
なお、当連結会計年度において、受注損失引当金を51,415千円計上しております。
② 情報漏洩・システムリスク
サイバー攻撃や当社企業グループの過失等により第三者の秘密情報・資産を漏洩又は消失した場合には、当社企業グループは損害賠償責任や信用の悪化を招くことになり、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、定期的にコンプライアンスチェックを実施しており、役員・社員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、セキュリティ事故発生時の体制を整備することでその悪影響を最低限にとどめるようにしております。
③ 災害等リスク(疫病を含む)
大規模な自然災害や疫病が発生した場合には、事業上必要となる情報システムへの被害や外出の危険性の観点から、当社企業グループの事業継続が困難となり、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、システムのクラウド化の推進、テレワーク体制の充実等のBCP(事業継続計画)を策定・実行しております。
④ 開発人材の獲得に関するリスク
当社企業グループの事業の特性上、計画どおりに開発に従事する人材を獲得することができず、協力会社と適宜・適切に連携ができない場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が生じ、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、テレワーク・オフィススペース戦略等の働き方改革を推進することで積極的な採用活動を進めるとともに、オフショアを進めることで国内人材不足に対応しております。
⑤ 事業投資(M&A・アライアンス)及び余剰資金の運用に関するリスク
当社は、事業領域の拡大を目的として積極的なM&A・アライアンス投資を進めるとともに、余剰資金の運用を行っていることから、多額の金融商品を保有しております。したがって、M&A・アライアンスが当初想定した効果を発揮できない場合や金融市場が大きく変動した場合に、保有する金融商品の価値が下落し、のれんや有価証券の評価損を計上するなど当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社ではグループ統括本部を中心としたグループ管理体制を構築するとともに、財務部による運用管理体制を整備しております。
なお、当連結会計年度において、デリバティブ評価損を2億26百万円、投資有価証券評価損を1億70百万円計上しております。
⑥ 重大な訴訟等に関するリスク
上記の他、当社企業グループの事業遂行過程で第三者に対して損害を与えた場合に、損害賠償責任を追及する訴訟等を提起され、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、上記のリスク管理体制により当該リスクを未然に防止しております。
なお、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している以下の事項が発生しております。
重要な訴訟事件等
当社の連結子会社であるクレスコワイヤレス㈱が、過年度において訴訟の提起を受けております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 2.重要な訴訟事件等」をご参照ください。
当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)においては、新型コロナウイルス禍からの正常化が進む一方で、ロシア・ウクライナ紛争に端を発する物価高騰と、それらに対する各国の金融政策及び財政政策の結果、金融市場の不透明感が増大し、家計消費と企業投資に極めて重大な影響を与えてまいりました。
当社企業グループの顧客企業においては、一部でIT投資を厳選又は延期あるいは規模を縮小する等の動きが認められるものの、既存システムの刷新やDX推進による生産性向上を目的としたIT投資需要は依然として旺盛であり、当社企業グループの受注は順調に推移しております。
このような経営環境のもと、当社企業グループは当連結会計年度において下記の取組みを行ってまいりました。
組織及び体制
当社においては、2022年4月1日付で代表取締役会長及び代表取締役社長執行役員の2代表制に移行するとともに、『CRESCO Group Ambition 2030』の策定を機に、創業以来初となるコーポレートロゴの変更を実施いたしました。また、『CRESCO Group Ambition 2030』実現のために経営戦略本部を設置するとともに、グループシナジーの更なる発揮のためにグループ統括本部を設置し、グループ間での営業案件の共有を進めてまいりました。さらに、適切な権限委譲による経営上の意思決定と施策実行の迅速化を目的として、当社の執行役員を本部長に据える組織改革を行いました。
当社企業グループにおいては、機動的経営の強化及びグループガバナンス向上のため、グループ役員会議の頻度を増やし、グループ役員間の連携強化を図ってまいりました。また、当社企業グループの人材・経営資源の有効活用によるシナジー効果の更なる発揮を目的として、2022年7月1日付で連結子会社3社(アルス㈱、㈱エヌシステム及び㈱ネクサス)を合併し、㈱クレスコ・ジェイキューブとして再編いたしました。また、2023年2月には、大阪・東京・名古屋の三大都市圏に拠点を持つソフトウェア開発会社である日本ソフトウェアデザイン㈱の全発行済株式を取得し、連結子会社(みなし取得日は2023年3月末)としております。
事業
当社においては、2022年4月にUiPath社の認定リセラー「ゴールドパートナー」に認定され、5月にはUiPathライセンス購入企業向けにe-Learningの提供を開始いたしました。さらに、2023年3月には同社の「ダイヤモンドパートナー」に認定されました。また、2022年10月にはアマゾンウェブサービス(AWS)の「AWS公共部門パートナープログラム」及び「AWS公共部門ソリューションプロバイダー」に認定されたほか、企業のDX人材を育成する「DX研修サービス」を開始するとともに、当社の大容量ファイル共有サービスである「インテリジェントフォルダ」のiOSアプリをリリースいたしました。今後もRPAやクラウド、DX領域でのビジネスラインナップを拡充し、デジタルソリューションの強化に取り組んでまいります。
また、近年サイバー攻撃への対策が企業の優先課題となっていることから、2022年8月にはサイバー攻撃の兆候を検知・分析し、その情報をもとに専門家による対策支援を提供する「マネージドセキュリティサービス for SIEM」の販売を開始し、多くの反響をいただいております。さらに、2023年3月には、端末を監視しサイバー攻撃被害を最小化できるソリューションである「マネージドセキュリティサービス for EDR」の提供を開始いたしました。
当社が得意とする画像認識AIや機械学習の分野では、2022年9月に、画像認識AIによる画像分類結果の根拠を可視化する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの特許を取得しました。また、12月には日本航空㈱との間で医療AIによる画像認識技術を活用した「航空機エンジン内部検査ツール」を開発することを発表いたしました。2023年2月には、当社はJR九州ホテルズ㈱と共同で数理最適化手法を用いたホテル部屋割り最適化の実証実験を行い、部屋割り最適化ツールのプロトタイプを開発いたしました。今後も、獲得した知見や技術をベースにお客様のDXを推進し、社会の発展に貢献してまいります。
資本・業務提携の分野では、2022年11月に㈱フォーラムエンジニアリングのエンジニアを専門とした人材サービス「コグナビ」のグローバル展開を目的としたインド法人への資本出資に関する基本合意を締結いたしました。
以上のような事業の底上げとビジネス機会の創出をより一層強化するために、当年度より当社社員に対し技術・品質・ビジネス変革に関する自己学習を奨励しております。また、エバンジェリスト活動も継続して取り組んでおり、複数名の当社社員が大学で教鞭をとる機会をいただいております。
連結子会社においては、2022年5月に、㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズが同社のIoT機能を搭載した「ソーシャルトイレシステム」の販売を㈱光合金製作所との共同開発により開始いたしました。また、7月にはクレスコ・イー・ソリューション㈱がSAP S/4HANAへの移行サービス「MOA」の内容をリニューアルいたしました。10月にはCRESCO VIETNAM CO., LTD.がベトナムのフードデリバリー市場向け最新POSシステムの販売を開始しております。
また、昨今のコロナ禍を契機として、当社企業グループでは事業所及び開発拠点の移転等のオフィススペースの見直しを進めており、事業効率の更なる向上に取り組んでおります。
しかしながら、資金運用において、米国でのインフレ抑制策としての政策金利の引上げとリセッション入り懸念により米国において株安が進行し、当社が保有する金融商品(期限前償還条項付円建て他社株式連動債)に関してデリバティブ評価損(営業外費用)を2億26百万円計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高483億68百万円(前年同期売上高444億50百万円、8.8%増)、営業利益49億98百万円(前年同期営業利益44億57百万円、12.1%増)、経常利益51億35百万円(前年同期経常利益47億82百万円、7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33億28百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益32億36百万円、2.8%増)と増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①ITサービス事業
ITサービス事業の売上高は、456億12百万円(前年同期比7.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は63億54百万円(前年同期比11.1%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(エンタープライズ)
「エンタープライズ」区分の売上高は、188億39百万円(前年同期比3.4%増)となりました。これは、「運輸」「人材紹介・人材派遣」分野での大型案件の収束があったものの、「流通サービス」「建設・不動産」「情報・通信・広告」「公共」の各分野における売上高が増加したことによるものであります。
また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、23億74百万円(前年同期比5.3%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。
(金融)
「金融」区分の売上高は、141億15百万円(前年同期比3.1%増)となりました。これは、主として「銀行」分野での基盤構築・移行といった個別案件の増加によるものであります。
また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、18億20百万円(前年同期比5.9%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。
(製造)
「製造」区分の売上高は、126億57百万円(前年同期比21.3%増)となりました。これは、「機械・エレクトロニクス」「自動車・輸送機器」の両分野におけるクラウド・セキュリティ案件や先行投資目的の案件の増加と、特に「自動車・輸送機器」分野において新規顧客を獲得できたことによるものであります。
また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、21億59百万円(前年同期比23.8%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。
②デジタルソリューション事業
デジタルソリューション事業の売上高は、27億55百万円(前年同期比30.7%増)となりました。これは主として、当社の主力クラウドサービスである「Creage」とRPAライセンスの販売増加によるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は1億65百万円(前年同期比14.3%増)となりました。これは、当社のデジタルソリューション担当部署において新規サービスやソリューションの企画、研究・検証活動を推進した結果、間接コストが増加したものの、ライセンス販売が大きく伸びたことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上となる取引先がないため、記載しておりません
当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、4億98百万円増加し、336億35百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ3億円増加し、224億87百万円となりました。これは主に、現金及び預金が8億19百万円、受取手形が4億34百万円、有価証券が1億96百万円それぞれ減少したものの、電子記録債権が7億19百万円、売掛金が5億12百万円、「その他」に含まれる未収入金が3億94百万円、契約資産が1億16百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、1億98百万円増加し、111億47百万円となりました。これは主に、投資有価証券が2億56百万円、ソフトウェアが94百万円、保険積立金が67百万円それぞれ減少したものの、繰延税金資産が2億40百万円、建物が2億15百万円、敷金及び保証金が64百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ18億17百万円減少し、91億85百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ1億83百万円減少し、72億50百万円となりました。これは主に、買掛金が88百万円、受注損失引当金が45百万円それぞれ増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が1億54百万円、未払金が88百万円、「その他」に含まれる資産除去債務が50百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ16億33百万円減少し、19億35百万円となりました。これは主に、資産除去債務が58百万円、社債が50百万円それぞれ増加したものの、退職給付に係る負債が12億57百万円、長期借入金が4億83百万円それぞれ減少したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ23億15百万円増加し、244億49百万円となりました。これは主に、利益剰余金が23億39百万円、退職給付に係る調整累計額が50百万円それぞれ増加し、その他有価証券評価差額金が1億36百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ8億22百万円減少し、109億15百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは16億79百万円の収入(前年度32億22百万円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が16億93百万円、退職給付に係る負債の減少額が13億24百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が49億44百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは8億74百万円の支出(前年度11億55百万円の支出)となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入が17億5百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が20億43百万円、有形固定資産の取得による支出が2億94百万円、無形固定資産の取得による支出が1億3百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは16億31百万円の支出(前年度13億52百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払額が9億88百万円、長期借入金の返済による支出が6億39百万円あったことによるものです。
当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社企業グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて8.8%増の483億68百万円となりました。営業利益は前年同期に比べて12.1%増の49億98百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて2.8%増の33億28百万円となりました。
ITサービス事業の売上高は、前連結会計年度に比べて7.7%増の456億12百万円となり、デジタルソリューション事業の売上高は、前連結会計年度に比べて30.7%増の27億55百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度より29億74百万円増加し、387億26百万円となりました。費目別では、外注費が15億8百万円、材料費が6億35百万円、労務費が4億91百万円、経費が3億11百万円それぞれ増加しておりますが、いずれも上記の売上高の増加に伴うものであります。
この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の19.6%より0.3%上昇し19.9%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から4億2百万円増加し、46億43百万円となりました。これは主に、デジタルソリューション事業の拡大や営業力強化のための人員強化と、経営戦略本部やグループ統括本部の新設等により人件費が94百万円増加したこと、及びブランディング強化のために広告宣伝費が36百万円増加したこと、並びに連結子会社3社の合併や日本ソフトウェアデザイン㈱の新規連結に伴い支払報酬や取得関連費用等の経費が増加したことによるものであります。
以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の10.0%から0.3%上昇し10.3%となりました。
営業外収益は、前連結会計年度より64百万円減少し、4億82百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益が51百万円増加したものの、受取利息が1億24百万円減少したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度から1億23百万円増加し、3億45百万円となりました。これは主にデリバティブ評価損が1億36百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度の10.8%から0.2%低下し10.6%となりました。
特別利益は、前連結会計年度から85百万円減少し1億64百万円となりました。これは主に当期に投資有価証券償還益を1億42百万円計上したものの、投資有価証券売却益が2億17百万円減少したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度から2億1百万円増加し、3億55百万円となりました。これは主に、前期の減損損失72百万円がなくなったものの、当期において投資有価証券評価損を1億70百万円、コーポレートロゴ等変更費用を1億13百万円計上したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より91百万円増加し、33億28百万円となりましたが、売上高当期純利益率は、前連結会計年度の7.3%から0.4%低下し6.9%となりました。
なお、「中期経営計画2023」及びKPIの進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
① 市況の動向
新型コロナウイルス感染症による社会経済情勢の変化や昨今の物価高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
② プロジェクトマネジメント
当社企業グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
③ 事業投資及び資金運用
当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに余剰資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当社企業グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や余剰資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。
当社企業グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。
なお、当連結会計年度において、特筆すべき資金調達は行っておりません。
当社企業グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。
当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多くなってきております。画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げに体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することに取組んでおります。研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。
先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で9件)行っており、その成果を眼科学会及び情報処理系の学会にて発表してまいりました。これまで進めてきた研究テーマである、疾患の診断支援に加えまして、多くの医療関係者や製薬会社の方々と協議して、病気の初期段階の検知や正常状態から予兆となる症状が見られる段階での検知・スクリーニングに関する研究がほとんど未着手状態であり、今後有益であると判断し、この領域の研究にも力を注いでおります。また、医療だけでなく、航空機エンジンなどに代表される大型で高度な産業機械に関しても、故障の特定も大切ではありますが、早期の故障検知、故障予兆の検知や予測に関しての要望が強く、従来技術(様々なセンサーデータの分析)に加えて当社の画像処理技術が有効であることがわかり、この領域での研究も進めております。医療の発展への直接的な貢献、医療AI研究で得たITへの貢献、そして、実ビジネスへの貢献のため、今後もコアとしての研究活動をしてまいります。
先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。医療機関との共同研究を進めた成果の実用化を目指し、眼科学会併設機器展示会場でデモシステムの学術展示を複数回(当連結会計年度の実績で3件)行いました。また、研究過程で見出された特異な技術の特許申請・権利化も実施してきております。医療領域の商用化は時間がかかるため、発表できるようになるまでには更なる時間を要しますが、現在複数案件の話を進めております。航空運送事業者との航空機エンジン整備支援の共同研究の成果をもとに航空機エンジン内部検査ツールを開発しました。検査ツールにより得られた検査記録をデータベース化し、より精密な内視鏡検査に取り組むとともに、今後は日々の検査で蓄積された情報と運航中に収集しているエンジンデータを融合させることで、不具合の発生を予測して事前に整備処置を行う予測整備へつなげることを目指します。産業機器の保守作業に向けて、医療と同様に画像を用いた保守作業支援の共同研究を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における当社企業グループの研究開発費の総額は