文中の将来に関する事項は、明記されている箇所を除き、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標としております。
グループビジョン:「CRESCO Group Ambition 2030」
人が想い描く未来、その先へ
クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します
中期経営計画2023
「CRESCO Group Ambition 2030」の実現を通して売上高1,000億円を目指してまいります。その実現に向けて中期経営計画2023では、2023年度における連結売上高500億円の達成を目指しております。具体的には、ITサービス事業(エンタープライズ、金融、製造)とデジタルソリューション事業の4本柱により、ビジネスの成長戦略を推進してまいります。

中期経営計画2023では、「コアビジネス領域をより強固なものにするための3つの基本戦略」においてビジネスの土台を強化しつつ、「新たなビジネスの柱を生み出すための3つの重点戦略」に取り組んでおります。

当社企業グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益額、ROEを設定しております。
(注) 1 2023年度の目標値については、当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2 2022年度の売上高及び営業利益額の予想値は、2022年5月10日時点での公表値であります。
3 2022年度のROEの予想値は、当該年度における自己資本の変動が親会社株主に帰属する当期純利益及び剰余金の配当のみであると仮定して算定しております。
(3) 中期経営計画の進捗状況
重点戦略
① デジタルソリューションの強化
当連結会計年度において、当社のデジタルソリューション推進部門として、ビジネスイネーブルメントサービスユニットを設置し、当社のデジタルソリューションブランドの再整理を始めるとともに、主力クラウドサービスである「Creage」の機能向上や、RPAライセンスの販売強化を進めました。また、当社企業グループにおける協業体制を推進することで販路の拡大を図ってまいりました。
② 機動的経営の進化
当社は、2021年5月に経済産業省のDX認定制度である「DX認定事業者」に認定されました。また、同年11月には東京証券取引所の市場区分の見直しに伴ってプライム市場への上場を選択し、2022年2月にはコーポレートブランドロゴの変更を発表しております。当社企業グループの取り組みとして、2021年7月に㈱OECの全株式を取得し連結子会社化するとともに、当社企業グループ内における営業・案件情報の共有を強化し、事業ポートフォリオの多様化に向けて取り組んでまいりました。
③ 人間中心経営の深化
当社企業グループでは、前連結会計年度に引き続いて、テレワークやワークスペース整備等を推進するともに、ワクチン休暇制度を導入するなど、「ニューノーマル(新常態)」に対応した働き方改革を進めてまいりました。また、多様な人材の交流拠点として当社内に多目的スタジオを設置したほか、社員の外部講演等のエバンジェリスト活動を通して積極的な外部発信に力を注いでまいりました。さらに、2022年3月には、当社は「健康経営優良法人2022」に認定され、2,869社中801~850位の順位を獲得しております。
基本戦略
① ITサービスの拡大
当連結会計年度において、新規取引先の開拓に向けて営業人員の増強を行いました。また、当社の連結子会社であるCRESCO VIETNAM CO., LTD.の開発体制を増強し、不足する国内開発人員への対策を講じました。さらにソリューショニングプロセスの活用を進め、新規案件の獲得を進めてまいりました。
② 品質の強化
当連結会計年度において、品質戦略を見直し、「お客様に安心・感動の品質を」をスローガンにさらなる高品質を目指すための品質マネジメントプロセスの改善と実践に着手いたしました。その一環として、社員向け研修制度の内容を刷新しております。
③ 技術の強化
当連結会計年度において、AI技術、組込みセキュリティ等の研究に係る産学連携を進めました。また、当社は2021年8月に画像処理AI学習データ作成時のアノテーション作業負荷を軽減する手法の特許を取得しております。さらに、特定の技術領域に限定せず、幅広い顧客やニーズに対応できるよう技術研修制度の見直しを行いました。
2021年度の経営環境は、新型コロナウイルス禍が続く中、ワクチン接種も進んで「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が定着し、特に下期は好転の兆しが強く見られました。2022年度は、オミクロン株の感染状況や新たな変異株の発生に加え、ロシア・ウクライナ紛争に起因する景気の下振れが懸念されますが、その影響は限定的であり、経済活動の正常化に向けた動き自体は活発な状況が続くものと判断しております。なお、2022年3月の月例経済報告では「景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる」旨の判断が下されております。
国内外の企業動向も、業種によって濃淡はあるものの概ね改善傾向が続いております。当社企業グループにおきましても、引き合いは旺盛な状況にあり、コロナ禍で大きな打撃を受けた業界・業種も将来を見据え、IT投資は回復の兆しを見せております。オンライン商談のほか、対面での営業活動も従来の勢いに回復し、新規顧客の開拓にもほぼ支障はありません。
このような経営環境の中、「攻めのIT経営」を主眼とした「デジタル変革(DX)」に対するIT投資は、システム基盤の再整備や、業務のデジタル化、基幹システムの刷新など今後も着実に増加するものと考えております。特に、クラウドやAI、RPAなどのテクノロジーを織り込んだシステム開発やデジタルソリューションへのニーズは、業種業態を問わずさらに本格化するものと確信しております。
なお、需給状況に関わらず、「デジタル変革(DX)」を担う人材の不足感は依然否めず、人材の獲得・育成はもとより、生産性及びサービス品質の向上、オフショア(国外分散開発)を含む開発体制の強化は、継続的な課題となっております。
こうした経営環境に的確に対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
①お客様とのリレーションシップの強化及び新規顧客の獲得
ニーズの多様化、複雑化に伴い、当社企業グループは、お客様の事業目標達成や未来構想に向けたイノベーションを実現する、まさに「ITパートナー」としての役割を期待されております。お客様の期待に応えるための、幅広いITサービス、デジタルソリューションを提供できるよう、営業体制の強化とマーケティング活動を継続的に実施し、お客様とのリレーションシップの強化及び新規顧客の獲得を図ってまいります。また、営業情報、顧客情報を共有できる仕組みを構築し、当社企業グループ間及び各事業部門の営業メンバーが連携し、戦略的、網羅的に幅広い提案型営業を展開してまいります。
②デジタルソリューションビジネスの拡大と新技術の研究・開発
「デジタル変革(DX)」が本格化する中、従来のITサービス(システムインテグレーションを含む。)のみならず、お客様のDXに直結するデジタルソリューションビジネスの拡大が競争優位性を担保するために必要であると考えております。当社企業グループが強みとするAIやクラウド分野を戦略技術に据え、これらの技術を活かした、幅広い産業向けのソリューション群を提供してまいります。また、市場ニーズに適時・的確に応えることができる技術力の保持と革新的なビジネスの組成に不可欠な知見・アイデアを募集、集約するため、他企業とのアライアンスや産学連携、お客様との共同研究、オープンイノベーション等を通じた新技術の研究・開発に努めてまいります。
③人材の獲得と開発体制の強化
人材は、企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源と考えております。しかしながら、IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人材不足は否めず、人材の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社企業グループは、事業戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、ニアショア(子会社や協力会社との協業による国内分散開発)やクレスコベトナムを通じたオフショア(ベトナムの現地企業との協業による国外分散開発)を積極的に活用し、機会損失(案件の失注や縮小など)が発生しないよう取り組んでまいります。また、併せて人材の流出防止施策の実施や育成の強化に努めてまいります。
④M&Aの推進とブランディング強化
継続的なM&Aによる事業の拡大は、中期経営計画における成長戦略の重要テーマであり、加えて、グループ連携をはじめ、業務インフラの整備、人事交流等の施策を通じたシナジー効果による「稼ぐ力の最大化」は不可欠と考えております。また、ブランディングは、当社企業グループにとって市場での認知度を高め、優位性を強化する重要な事業戦略であり、企業の成長を大きく左右するものです。2022年4月1日をもって、創業以来掲げてまいりましたコーポレートブランドロゴを刷新いたしました。当社企業グループがこれまで培ってきたブランドイメージを最大限活用しつつ、新たなブランドイメージを創造し、当社企業グループ一丸となって企業価値の向上を目指してまいります。
⑤DX推進と機動的経営の実現
経営課題やビジネス課題への素早い対応を実現するためには、企業活動を加速する「仕組みづくり」と行動を促進する「マインドセットの醸成」が必要となります。『中期経営計画2023』をベースに、人材の確保・育成はもとより、組織改革や制度改革を含めた「デジタル変革(DX)」への取り組みを積極的に進め、経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでまいります。また、データ経営基盤の構築を視野に入れた情報システムの全体最適化やオフィスワーク・リモートワークの環境整備、時代に即した働き方改革を通じて、”継続的に挑戦していこう”とするマインドセットを醸成してまいります。なお、当社は、2021年5月に経済産業省から「DX認定事業者」に認定されております。
⑥安心・感動を生み出す品質強化
お客様に提供する製品やサービスの品質強化は、「技術と品質のクレスコ」として、お客様からの信頼・信用を確固たるものとし、結果として、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上につながります。当社企業グループは品質管理を経営の重要課題に位置付け、2021年10月に新たに「品質方針」を掲げ、お客様に安心・感動していただける高品質なITサービス、デジタルソリューションの提供を宣言いたしました。必要な力量を備えるために、充分な教育・訓練を実施するとともに、業務プロセスの評価・見直しを定期的に行い、品質マネジメントシステムの継続的な改善を図ってまいります。
⑦ESG経営の推進とサステナビリティに関する取り組み
E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、国連が提唱する「社会的責任投資(SRI)」における企業が認識すべき「社会から企業への期待」であります。また、企業として持続的な成長を遂げ、自身の企業価値を高める際には、ESGに関して「企業から社会にできることは何か」を常に思考しそして行動し続けることが必要となります。当社は、「持続可能な社会」の成長に貢献するため、地球環境問題への配慮の他、危機管理、人権の尊重、社員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引や各種ガバナンス(監督・監視体制の構築、リスク管理、内部統制、コンプライアンス等)など、あらゆるステークホルダーとの協働を通じたESG経営に取り組んでおります。また、在宅勤務推進によるオフィススペース削減や電気使用量・紙使用量の削減、自社システムのクラウド化など、直面する様々な課題に真摯に向き合い、適宜適切な対応を行っております。なお、地球環境の中でも、とりわけ気候変動に関する問題は、「リスクと機会」の両面から喫緊の課題と認識しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を参考に、積極的な活動と情報開示に努めてまいります。
⑧健康経営の推進
健康経営は、健康管理を経営的な観点から企業戦略として実践することであり、中長期的には、社員の活力や生産性のアップ、組織活性化をもたらし、企業価値や業績の向上につながります。社員の心身の健康を維持・増進し、社員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実現するこの取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要なものであります。当社では「健康経営宣言」を掲げ、下図の健康経営推進体制を整備し、健康経営を推進しており、2022年3月には3年連続で「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2022」に認定されております。

⑨働き方改革と健全な労働環境づくり
働き方改革は、生産性向上のみならず、個人生活の質的向上につながるテーマであり、社員のモチベーションや人材採用、離職防止の面でも効果が期待できるものと捉え、『働く人の立場・視点』で労働環境づくりや諸制度の導入に取り組んでおります。特に近年では2020年4月にテレワーク勤務制度を導入し70%以上の社員が利用しております。また、2021年4月にはコアタイムのないフルフレックスタイム制を導入し、柔軟で働きやすい職場を実現し、感染症流行時の業務継続や家庭と仕事の両立、業務効率化・時間の有効活用に役立てております。さらに、健全な労働環境を実現するため、長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進にも注力しており、時間外労働は低い水準を、年次有給休暇は高い取得率を継続しております。これらの取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、リスクマネジメントの観点からも重要であります。今後も国の政策や法制度の動向を注視し、実効性の高い諸施策を推進してまいります。
⑩ダイバーシティへの取り組み
多様性の受け入れは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。女性の採用や女性管理職比率の増加にも注力する他、外国人や障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたしました。今後も、多様な人材が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて様々なイノベーションを生み出し、価値創造につなげてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社企業グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
当社は『リスク管理規程』を制定し、当該規程に基づいて当社企業グループにおけるリスクを区分・管理しております。当社取締役会は、リスクの種類・内容に応じて責任部門を定め、各責任部門長、各業務執行取締役及び内部統制委員会がリスク管理体制の整備とモニタリングを行っております。
① サービスリスク
サービスリスクは、当社企業グループが提供するソフトウェア開発・保守等のサービスに関連して発生する不採算リスクや納品物の不具合による損害賠償リスク等をいいます。当社企業グループでは、十分な収支計画や技術的な検証を行ったうえで受注を決定しておりますが、顧客からの仕様変更要求、予期せぬ技術的なミスマッチ等により追加の工数が発生した場合や、納品したソフトウェアの契約不適合責任等に基づく損害賠償請求を受けることとなった場合に、信用の悪化も含めて当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、当社の品質管理本部を中心に品質マネジメントプロセスの推進を図っており、当該リスクを未然に防止しております。
なお、当連結会計年度において、受注損失引当金を6,377千円計上しております。
② 情報漏洩・システムリスク
サイバー攻撃や当社企業グループの過失等により第三者の秘密情報・資産を漏洩又は消失した場合には、当社企業グループは損害賠償責任や信用の悪化を招くことになり、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、定期的にコンプライアンスチェックを実施しており、役員・社員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、セキュリティ事故発生時の体制を整備することでその悪影響を最低限にとどめるようにしております。
③ 災害等リスク(疫病を含む)
大規模な自然災害や疫病が発生した場合には、事業上必要となる情報システムへの被害や外出の危険性の観点から、当社企業グループの事業継続が困難となり、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、システムのクラウド化の推進、テレワーク体制の充実等のBCP(事業継続計画)を策定・実行しております。
④ 開発人材の獲得に関するリスク
当社企業グループの事業の特性上、計画どおりに開発に従事する人材を獲得することができず、協力会社と適宜・適切に連携ができない場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が生じ、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、テレワーク・オフィススペース戦略等の働き方改革を推進することで積極的な採用活動を進めるとともに、オフショア(国外分散開発)を進めることで国内人材不足に対応しております。
なお、当連結会計年度において、オフィススペース戦略に伴う減損損失72,779千円を計上しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」をご参照ください。
⑤ 事業投資(M&A・アライアンス)及び余剰資金の運用に関するリスク
当社は、事業領域の拡大を目的として積極的なM&A・アライアンス投資を進めるとともに、余剰資金の運用を行っていることから、多額の金融商品を保有しております。したがって、M&A・アライアンスが当初想定した効果を発揮できない場合や金融市場が大きく変動した場合に、保有する金融商品の価値が下落し、のれんや有価証券の評価損を計上するなど当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社ではコーポレート統括本部を中心としたグループ管理体制を構築するとともに、財務部による運用管理体制を整備しております。
⑥ 重大な訴訟等に関するリスク
上記の他、当社企業グループの事業遂行過程で第三者に対して損害を与えた場合に、損害賠償責任を追及する訴訟等を提起され、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、上記のリスク管理体制により当該リスクを未然に防止しております。
なお、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している以下の事項が発生しております。
重要な訴訟事件等
当社の連結子会社であるクレスコワイヤレス㈱が、過年度において訴訟の提起を受けております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 2.重要な訴訟事件等」をご参照ください。
当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、明記されている箇所を除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の経営環境は、新型コロナウイルス禍が継続する中、業種によって濃淡はあるものの、前期に比べ、幅広い業界で景況感が改善しました。緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の全面解除以降、新たに発生したオミクロン株の感染拡大が懸念ではありましたが、その影響は限定的であり、経済活動の正常化に向けた動きは、活発な状況が継続しました。
企業動向の改善が続く中、IT戦略の遂行状況も、「デジタル変革(DX)」を核として加速しております。当社企業グループにおきましても、引き合いは旺盛な状況にあり、コロナ禍で大きな打撃を受けた業界・業種も将来を見据え、IT投資は回復の兆しを見せております。オンライン商談のほか、対面での営業活動も従来の勢いに回復し、新規顧客の開拓にも大きな支障はありませんでした。
当社企業グループでは、中期経営計画2023に則り、環境の変化に即した顧客ポートフォリオや事業体制の見直し、既存顧客を中心とした受注量の確保、先端技術(AIやクラウド分野等)を取り込んだ新規事業・サービスの開発に注力するとともに、社内DXの推進(テレワーク体制の強化、オンラインコミュニケーションツールの活用、デジタルマーケティングの強化)、オフィススペースの最適化など、攻めの施策を継続的に実行しております。また、エバンジェリスト活動の一環として、AIやクラウド、RPA関連の社外向けセミナーや各種イベントでの講演など、様々なプロモーションを実施いたしました。
なお、当連結会計年度のトピックスは、以下のとおりです。
2021年4月:
・グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタート
・当社社員が、UiPath社主催「UiPath Today」で講演
2021年5月:
・報告セグメントを変更
・経済産業省から「DX認定事業者」に認定
・マイクロソフト社のパートナーとして「Goldコンピテンシー」に認定
2021年6月:
・新型コロナワクチン接種時及び副反応時の特別休暇制度を導入
・新型コロナウイルス感染症に係る支援により、日本赤十字社から「金色有功章」を拝受
・㈱OECの株式取得(子会社化)を発表
・報酬委員会を設置
2021年7月:
・クラウドマネージドサービス「Creage」(クレアージュ)のMicrosoft Azure®への適用を発表
・当社社員が、PMI日本支部主催「PMI日本フォーラム2021」で講演
・2021年10月1日付の役員人事を決定
2021年8月:
・リアルとオンラインを融合する「ニューノーマルな交流拠点」となる多目的スタジオを設置
・都内公立小中学校のデジタル活用支援の取組みへ参画
・当社及び当社子会社の取締役に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分を完了
2021年9月:
・当社のソリューション及びお客様事例等を紹介する新Webサイトをオープン
・2021年10月1日付の組織変更及び人事異動を決定
・子会社である㈱クリエイティブジャパンが、「ELTRESアドオンIoT開発キット」を発表
2021年10月:
・オンラインイベント「クレスコフェア2021」を開催
・IaaS型クラウドサービス「SOROBAN」の販売代理店契約を締結
・㈱クリエイティブジャパンが、「IoT・エッジAIアイデアコンテスト2021」を開催
・当社社員が2年連続で『UiPath Japan MVP 2021』に認定
2021年11月:
・当社社員が組込みシステム技術協会「ET & IoT 2021」で講演
・「第5回 日経スマートワーク経営調査」で3つ星の評価を獲得
・東証新市場区分における「プライム市場」を選択
2021年12月:
・当社社員が「第2回日本眼科AI学会総会 眼科AIコンテスト」で入賞
・名古屋大学と組込みセキュリティに関する共同研究を開始
・当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分を完了
・関連会社である㈱ウェインの株式を一部売却し、持分法適用の範囲から除外
・代表取締役の異動(2022年4月1日付)を決定
2022年1月:
・当社IRサイトが主要3社のIRサイトランキング調査で受賞
・東証新市場区分(プライム市場)に決定
・新型コロナウイルスワクチン3回目接種時の休暇を付与
・都内公立小中学校に対するデジタル活用支援に関する取り組みを開始
・当社連結子会社3社間の合併方針合意を発表
2022年2月:
・日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)「FC東京」とのクラブスポンサー契約を継続
・コーポレートブランドロゴの変更及び㈱クリエイティブジャパンの商号変更を発表
・役員人事(2022年6月17日付)を決定
・組織変更及び人事異動(2022年4月1日付)を決定
・業績予想(連結・個別)及び配当予想の修正を決定
2022年3月:
・当社社員が「ITトレンドEXPO2022 Spring」で講演
・健康経営優良法人制度に基づく「健康経営優良法人2022」に認定
・当社社員が「IBM Champion 2022」に認定
・当社連結子会社3社の再編(完全子会社間の合併)を公表
・ラジオNIKKEI「この企業に注目!相場の福の神」に当社新社長である冨永が出演
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高444億50百万円(前年同期売上高397億6百万円、11.9%増)、営業利益44億57百万円(前年同期営業利益34億84百万円、27.9%増)、経常利益47億82百万円(前年同期経常利益41億1百万円、16.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益32億36百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益26億34百万円、22.9%増)と増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
①ITサービス事業
ITサービス事業の売上高は、423億42百万円(前年同期比10.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は57億18百万円(前年同期比23.4%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(エンタープライズ)
「エンタープライズ」区分の売上高は、182億19百万円(前年同期比6.7%増)となりました。これは主として、前年同期は新型コロナウイルス禍の影響を受けていた「人材紹介・人材派遣」「運輸」「建設・不動産」「旅行・ホテル」の各分野での受注が回復したことと、第2四半期より㈱OECを連結したことに伴う「医療・ヘルスケア」分野での売上高の増加によるものであります。
また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、22億55百万円(前年同期比34.6%増)となりました。これは主として、上記の売上高の増加や、前年上期の新型コロナウイルス禍に伴うテレワーク体制への移行時における生産性の低下が解消されたことに加え、前年上期に連結子会社において発生していた不採算プロジェクトが解消したことによるものであります。
(金融)
「金融」区分の売上高は、136億89百万円(前年同期比10.7%増)となりました。これは、「保険」分野において大型案件を受注したことに加え、証券やクレジットカード等「その他」の分野におけるIT投資の拡大があったほか、㈱OECの連結効果により「その他」分野の増収があったことによるものであります。
また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、17億19百万円(前年同期比12.1%増)となりました。これは主として、上記の売上高の増加によるものであります。
(製造)
「製造」区分の売上高は、104億33百万円(前年同期比18.4%増)となりました。これは、新型コロナウイルス禍に伴う半導体不足により「自動車・輸送機器」分野では売上高は前年同期とほぼ同水準となったものの、「機械・エレクトロニクス」分野において先行投資を目的とする案件の増加があったことや㈱OECを連結したことによるものであります。
また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、17億44百万円(前年同期比22.4%増)となりました。これは、「自動車・輸送機器」分野において連結子会社における不採算プロジェクトが生じたものの、前年上期の新型コロナウイルス感染症による生産性の低下を解消できたことに加え、上述の「機械・エレクトロニクス」分野における売上高の増加があったことによるものであります。
②デジタルソリューション事業
デジタルソリューション事業の売上高は、21億7百万円(前年同期比44.4%増)となりました。これは主として、当社の主力クラウドサービスである「Creage」やRPAライセンスの販売が増加したこと、及び一部の連結子会社において大型のソリューション案件を獲得したことによるものであります。
また、セグメント利益(営業利益)は1億45百万円(前年同期比15.1%増)となりました。これは主として、前年第4四半期において利益率の高いライセンス販売があったものの、当期は上述のとおり売上高が大きく増加していることによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 当連結会計年度の日本アイ・ビー・エム㈱への販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載しておりません。
当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、27億94百万円増加し、331億36百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ21億7百万円増加し、221億86百万円となりました。これは主に、現金及び預金が8億6百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が6億83百万円、有価証券が4億97百万円、前払費用が60百万円、仕掛品が45百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、6億87百万円増加し、109億49百万円となりました。これは主に、投資有価証券が2億37百万円、ソフトウェアが73百万円、繰延税金資産が37百万円それぞれ減少したものの、のれんが10億34百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ1億46百万円増加し、110億2百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ2億81百万円増加し、74億34百万円となりました。これは主に、未払法人税等が1億20百万円減少したものの、買掛金が2億55百万円、賞与引当金が1億42百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ1億35百万円減少し、35億68百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が2億3百万円増加したものの、長期借入金が3億22百万円、資産除去債務が17百万円それぞれ減少したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ26億48百万円増加し、221億34百万円となりました。これは主に、利益剰余金が23億77百万円、その他有価証券評価差額金が1億97百万円それぞれ増加し、自己株式が23百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7億22百万円増加し、117億37百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは32億22百万円の収入(前年度31億55百万円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が17億42百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が48億79百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは11億55百万円の支出(前年度47百万円の支出)となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入が43億73百万円、投資有価証券の売却による収入が9億48百万円、有価証券の売却による収入が3億85百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が49億94百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が11億68百万円、有価証券の取得による支出が5億53百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは13億52百万円の支出(前年度14億79百万円の支出)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入が3億60百万円あったものの、配当金の支払額が8億40百万円、長期借入金の返済による支出が8億9百万円あったことによるものです。
当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス禍による当社企業グループへの影響及び事業計画の前提となる仮定につきましては、「(9)経営者の問題認識と今後の方針について ①事業環境と経済の見通し」をご参照ください。
当社企業グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて11.9%増の444億50百万円となりました。営業利益は前年同期に比べて27.9%増の44億57百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて22.9%増の32億36百万円となりました。
ITサービス事業の売上高は、前連結会計年度に比べて10.7%増の423億42百万円となり、デジタルソリューション事業の売上高は、前連結会計年度に比べて44.4%増の21億7百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度より32億45百万円増加し、357億51百万円となりました。費目別では、外注費が17億20百万円、労務費が10億40百万円、材料費が3億55百万円、経費が2億55百万円それぞれ増加しておりますが、上記の売上高の増加に伴うものであります。
この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の18.1%より1.5%上昇し19.6%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から5億25百万円増加し、42億41百万円となりました。これは主として「中期経営計画2023」の遂行に当たってデジタルソリューション事業やグループ連携の推進に向けた体制を強化したこと等により人件費が3億70百万円増加したこと、及びブランディング強化のために広告宣伝費や支払報酬が68百万円増加したこと、並びに㈱OECの新規連結に伴ってのれん償却額が48百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の8.8%から1.8%上昇し10.0%となりました。
営業外収益は、前連結会計年度より3億57百万円減少し、5億46百万円となりました。これは主として、前期に計上したデリバティブ評価益3億38百万円がなくなったこと、及び助成金収入が15百万円減少したによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度から66百万円減少し、2億21百万円となりました。これは主に投資顧問料が30百万円増加し、当期にデリバティブ評価損を90百万円、有価証券評価損を15百万円それぞれ計上したものの、寄付金が197百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度の10.3%から0.5%上昇し10.8%となりました。
特別利益は、前連結会計年度から37百万円減少し、2億50百万円となりました。これは主に投資有価証券売却益が37百万円減少したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度から2億21百万円減少し、1億53百万円となりました。これは主に減損損失が1億2百万円、投資有価証券売却損が89百万円、投資有価証券償還損が58百万円それぞれ減少したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より6億2百万円増加し、32億36百万円となり、売上高当期純利益率は、前連結会計年度の6.6%から0.7%上昇し7.3%となりました。
なお、「中期経営計画2023」及びKPIの進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
① 市況の動向
新型コロナウイルス禍によるテレワークの浸透や昨今の円安・資源高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
② プロジェクトマネジメント
当社企業グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
③ 事業投資及び資金運用
当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに余剰資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当社企業グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や余剰資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。
当社企業グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。
なお、当連結会計年度においては、当社及び連結子会社において、運転資金として合計3億60百万円の長期借入れを行いました。
当社企業グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。
当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
2022年度の連結業績予想につきましては、現時点において入手可能かつ合理的な情報による判断及び以下の仮定に基づいて作成しており、さまざまなリスクや不確定な要素等の要因により、実際の業績と大きく異なる可能性がございます。
・新型コロナウイルス禍の収束時期は不透明ながら、影響は限定的であり、事業に大きな支障はない。
新型コロナウイルス禍の収束が当面難しいこと、新たな変異株の発生・流行に起因する景気の下振れリスクが、依然拭い切れないことに変わりはありません。新型コロナウイルスに起因する特定の業種における休業要請や時短要請をはじめとする感染予防対策等が再度講じられた場合、新たな変異株の発生による世界的な感染拡大に対する政府の措置等があった場合、お客様や当社企業グループへの影響は避けられず未だ楽観できない状況にあります。しかし、足元では、3回目のワクチン接種を含む感染の予防対策に重点を置き、できるだけ制約のない日常生活と経済活動に戻していくための取り組みが浸透しつつあることに加え、オンラインや対面による営業活動やリモート開発、在宅勤務も常態化しており、2022年度における新型コロナウイルス禍の事業への影響は限定的と判断しております。
・ロシア・ウクライナ紛争の状況次第で、お客様のビジネスに大きな影響が生じ、IT投資にも影響が及ぶ。
ロシア・ウクライナ紛争は、戦争に発展し、2国間のみならず欧米や中国を巻き込んだ国際的な問題となっております。関係各国による経済制裁や輸出入制限に起因するサプライチェーンの悪化や物価の高騰が顕在化しており、予断を許さない状況が続いております。ロシア・ウクライナ紛争による情勢の変化次第では、景気が悪化し、お客様のビジネスにも大きな影響が生じて、IT投資が下振れすることも予想されます。景気動向や紛争の情勢を注視し、前広で機動的な営業活動を行い、常に臨機応変に当該危機に対応してまいります。
・景況感は、先行き不透明感はあるものの、基本的にはIT投資は改善傾向が継続し、受注は増加する。
2022年度の経済見通しは、2022年3月の日銀短観において、製造業、非製造業ともに、2020年6月以来、7期ぶりの悪化となりました。代表的な指標である大企業・製造業の「最近」業況判断指数(DI)は、前回12月調査から1ポイント悪化しプラス14、「先行き」DIはプラス9と、「最近」のプラス14から5ポイントの悪化が見込まれております。また、大企業・非製造業の「最近」DIも前回12月調査から1ポイント悪化しプラス9、「先行き」DIはプラス7と、「最近」のプラス9から2ポイントの悪化が見込まれており、景況感は先行きの不透明感を否めません。その反面、2022年度のソフトウェア投資額(計画)は、2021年度に比べ、引き続き全規模合計、全産業でプラスの推移となっており、2021年度におけるIT投資遅れの反動やDXの更なる進展が起きるものと予想しております。ニューノーマルへの対応ニーズは、事業変革や競争力強化などを実現する「デジタル変革(DX)」の追い風となり、今後も受注は増加する見込みです。多様化、複雑化するニーズを取り込み、着実な受注の獲得に努めてまいります。
今後、仮定の誤り等により開示すべき事象が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社は、経営ビジョンである「CRESCO Group Ambition 2030」と「中期経営計画2023」に沿った経営を進め、当社企業グループ全体の事業ポートフォリオの最適化と環境変化に適応した柔軟な組織経営に努め、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
(連結子会社間の合併契約)
当社の連結子会社であるアルス㈱、エヌシステム㈱及び㈱ネクサスの3社は、2022年3月28日付で合併契約を締結し、2022年4月13日開催の各社の臨時株主総会でその承認を受けており、2022年7月1日付でアルス㈱を存続会社として吸収合併を行う予定であります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多くなってきております。画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げは、翌連結会計年度以降で新たに体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することを計画しております。研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。
また、当社の連結子会社である㈱クリエイティブジャパンにおいては、Society5.0の実現に向けた「IoTに関する研究開発」に取り組んでまいりました。
先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で7件)行ってきており、その成果を国際ジャーナルや眼科学会及び情報処理系の学会にて発表してまいりました。当連結会計年度は、眼科系国際ジャーナルに3件を公開しました。また、研究過程で見出された特異な技術の特許申請・権利化も実施してきております。当連結会計年度は、権利化できたものも2件ありました。これまで進めてきた研究テーマである、疾患の診断支援に加えまして、多くの医療関係者や製薬会社の方々と協議して、病気の初期段階の検知や正常状態から予兆となる症状が見られる段階での検知・スクリーニングに関する研究がほとんど未着手状態であり、今後有益であると感じて、この領域の研究にも力を注いでおります。また、医療だけでなく、産業における大型で高度な産業機械に関しても、故障の特定も大切ではありますが、早期の故障検知、故障予兆の検知や予測に関しての要望が強く、従来技術(様々なセンサーデータの分析)に加えて当社の画像処理技術が有効であることがわかり、この領域での研究も進めております。
医療の発展への直接的な貢献、医療AI研究で得たITへの貢献、そして、実ビジネスへの貢献のため、今後もコアとしての研究活動をしてまいります。
先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。医療機関との共同研究を進めながら、これらの成果を医療機器メーカーに展開し、"MINERVAE SCOPE"に続く実ビジネス化への取り組みを行っています。医療領域の商用化は時間がかかるため、発表できるようになるまでには更なる時間を要しますが、現在複数案件の話を進めております。翌連結会計年度には、1件のニュースリリースができる見込みとなっております。また、医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。産業機器の保守作業に向けて、医療と同様に画像を用いた保守作業支援の共同研究も行っております。
㈱クリエイティブジャパンは大学と連携して「超スマート社会のためのIoTシステムに関する研究」を進めてまいりました。この研究による成果によって、大学・高専生へのIoT教育支援が可能となる「ELTRESアドオンIoT開発キット」を開発し、その販売を開始しました。本サービスは大学の通常授業でも採用いただき、センシング技術やプログラミング、通信やクラウドアプリケーション開発など、幅広い知識が必要となるIoTの教育現場での有効性が証明されました。また、全国の大学・高専生を対象とした「IoT・エッジAIアイデアコンテスト」を行い、一次審査を通過した方々に対して同ソリューションの無償提供や技術支援を行うことで、日本の将来を担うIT技術者の育成に貢献しております。これらの活動から同ソリューションが認められ、他の大学・高専でも教材としての活用検討が進められている状況であります。
この他にも、上記の大学との共同研究を応用した「ソーシャルトイレシステム」を事業会社と共同開発し、その実用化に向けた対応を行っております。これは、公共トイレの利用状況の見える化による街全体の活性化、故障検知や防犯対策及び新型コロナウイルス感染症への対策につながる衛生支援などを目的とした公共向けIoTシステムであります。
なお、当連結会計年度における当社企業グループの研究開発費の総額は