第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「お客様が最適・快適な購買環境で、簡単便利に保険を購入いただく」という基本理念に基づき、お客様のニーズやマーケット動向に機敏に対応し、経営成績の向上に努めてまいります。

 下記①~⑥を主要な施策としております。

 ①当社グループは保険業界のイノベーターとして常に進化し続けるべく人材の育成・強化を図ってまいります。

 ②保険代理店事業においては、「オンライン面談」を軸としたOMO(Online Merges with Offline.=オンラインとオフラインの融合)戦略をアバター等の活用によりさらに高度化させ、真にお客様の役に立つ情報の提供とコンサルティングの実現を図ってまいります。

 ③WEBマーケティングを一層強化するとともに、スマートフォンやSNSへの対応も引き続き強化し、「プラットフォーム戦略」をさらに推進してまいります。

 ④協業代理店との連携強化により、お客様ニーズに効率的かつ効果的に対応できる体制を構築し、当社グループの経営成績の進展を図ってまいります。

 ⑤保険代理店事業を中心としてASP事業、メディア事業、メディアレップ事業及び再保険事業のシナジーを最大限追求し、保険に係るすべての収益にアプローチすべく「総合保険事業」の確固たる営業基盤を構築してまいります。

 ⑥改正保険業法の施行に対応して、コンプライアンスチェック体制の充実やシステム化、情報セキュリティ体制の構築、研修制度の強化等、より一層の保険募集管理態勢の強化を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社が目標としている経営指標は下表のとおりであります。

経営指標

採用理由

目標数値

自己資本利益率

収益性

20%以上

売上高経常利益率

経営効率改善

20%以上

配当性向

株主への利益還元率

50%以上

自己資本比率

経営安定度

80%以上

 

(3)経営環境

 生命保険マーケットにおけるリテール市場は、少子高齢化の進展等により構造的には縮小が想定されますが、求められる役割が「遺族保障の提供」から「年金・社会保障の補完」、「子供の教育資金」等のライフプラン全般へと広がっております。また、消費者行動が、「より便利に快適に」を求めて多様化しており、保険ニーズはますます多様化、高度化してきております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上述の経営環境を踏まえ、当社グループは、引き続き保険マーケットでのシェア拡大を目指し、WEBマーケティングを一層強化するとともに、スマートフォンやSNSへの対応に引き続き注力し、保険会社及び取扱商品もさらに拡充してまいります。また、対面販売におきましては、その核となる、コンサルティングプラザ「保険市場(ほけんいちば)」の機能を拡充するとともに、お客様のコンシェルジュとして、あらゆるニーズに誠心誠意お応えすべく、従業員に対する教育・研修を推進してまいります。さらに、進化する「オンライン面談」を軸として、アバター等の活用によりOMO戦略をさらに高度化させ、真にお客様の役に立つ情報の提供とコンサルティングの実現を図ってまいります。また、保険業界の共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform」(以下「ACP」という。)のさらなる機能拡充を引き続き進め、保険代理店等に提供することでサブスクリプションモデルとしてのストック収入の確保及び協業事業の拡大を図ってまいります。

 管理面では、内部監査室による当社各部門、各支店ならびに子会社に対しての内部監査を実施しております。また、コンプライアンス部を中心に全社的なコンプライアンス体制の充実・強化を図るとともに教育・啓発に努めており、グループ全従業員に対して継続的な啓発活動と監査を積み重ねることにより、管理体制の充実、向上を図ってまいります。

 一方、当社は、保険代理店事業における代理店手数料売上の計上方法として、将来受け取る代理店手数料の金額を見積り、その割引現在価値合計額を売上として計上する方法(以下「PV計算」といい、PV計算により計上された売上を「PV売上」という。)につきまして、当社の会計監査人である桜橋監査法人より、PV計算の結果の一部について実態との乖離が見られるため、見積りの再検証が必要であるとの指摘を受けました。桜橋監査法人からの指摘を受け、事実関係の調査のための社外の独立した第三者である弁護士及び社外監査役から構成される調査委員会を組成し調査を行いました。

 当社は、2024年10月8日付「調査委員会の調査報告書に関するお知らせと再発防止の取り組みについて」及び2025年1月10日付「調査委員会の追加調査報告書に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、調査委員会から調査報告書及び追加調査報告書(以下「調査報告書等」という。)を受領いたしました。調査報告書等に記載のとおり、手数料計算システムにおいて発生していた想定外のエラーに対して適切な対応が行われておらず、PV売上の金額算出のプロセスが精緻ではなかったことが判明いたしました。なお、PV計算の結果と実態の乖離については意図的なものではなく、当時の経営陣等から経理担当者に対して、実態のない売上や一定額以上の売上を計上するような指示、ないし圧力がかかっていた事実は認められませんでした。

 本事案を受け、当社はPV計算の実態との乖離額の算定作業を行いましたが、この乖離についての影響は単年度のみならず過年度にも及ぶため、2024年9月期決算発表の延期ならびに過年度決算の訂正を行うことで是正することが適切であるとの判断に至り、影響を受ける過年度の決算を訂正することといたしました。

 また、調査報告書等の内容を踏まえ、2025年2月21日付「再発防止策の策定と取り組みに関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、当社は、再発防止策を策定し取り組みを進めております。

 内部統制ならびにコーポレート・ガバナンスの強化は、顧客や社会から信頼される企業として重要な経営課題であると認識し、より一層の体制整備に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業使命である、真の消費者志向の「保険の小売業」を目指し、積極的な人材育成と不易流行の企業文化の醸成を図り、高品質なサービスを提供することにより地域・社会に貢献し信頼される企業となり、保険販売業の新しい在り方を提案し続けていくことが、当社グループのサステナビリティに資すると考えています。

また、「人生は有限、可能性は無限!」を企業理念としております。人生とは時間であり、今、この瞬間を懸命に生き抜くことで、価値ある人生は生まれます。今を生き抜く人に、保険という愛情の経済的表現手段を最高のサービスで提供するとともに、無限の可能性を創造する人材を育成することで永続的に社会に貢献することを目指しております。

このような企業使命、企業理念のもと、当社グループは持続可能な社会の実現と、事業を通じた無限の可能性を創造する人材の育成及び社会的価値の創造に取り組むことを経営上の重要事項と認識し、サステナビリティに関する考え方を次のとおり定め、取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関する方針及び取り組みは、議長である代表取締役社長と業務執行取締役及び執行理事、参与等で構成される経営会議において、審議及び検討を行い、重要なものについては取締役会に報告しています。取締役会は、当社グループのサステナビリティに関する取り組み等に対して、重要な事項の決定と取締役の職務執行状況の監督を行っております。また、取締役会の決議事項として、サステナビリティを含めた経営方針、事業計画の決定や重要な規則及び規程の制定等について決議することを社内規程で定めている他、業務執行取締役等による議論の場である経営会議において、部室長または参加を求められた者から各部門の月次業務執行状況や部門の事業目標、課題に関する取り組みの進捗状況を報告するよう規定しており、サステナビリティに関する事項もこれらに含まれております。また、代表取締役社長は、取締役会、経営会議それぞれにおける議長として、サステナビリティを含む重要事案の戦略的な取り組みの議論、意思決定等を主動しております。

また当社グループでは、監査役及び内部監査室がそれぞれサステナビリティに関連する監査等を行っております。監査役会のもと、監査役は監査役会において定めた監査計画等に従い、取締役会や経営会議をはじめとする重要な会議に出席し、業務及び財産の状況調査を通して会社の状況及び経営の執行状況について監査を実施しており、監査の過程においてサステナビリティに関する取り組み等に関してリスクと機会を確認し、必要に応じて各監査役が取締役会等で意見を述べております。内部監査室は、内部監査計画に基づき、各部門の業務執行状況等に係る監査を年1回(支店については年2回)実施・モニターし、結果については月に1度、業務執行取締役等による議論の場である経営会議に各部門長が参加し議論する「拡大経営会議」及び取締役会において報告しております。

今後も、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進するために、経営会議においてサステナビリティに関する対応について協議し対応を強化するとともに、取締役会において監督を行ってまいります。

なお、当社では取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会を設置しております。ガバナンス委員会は、コンプライアンス担当役員を委員長とし、社内委員、外部の弁護士を含む社外委員及びオブザーバーとして参加する監査役にて構成されています。今後もコーポレートガバナンスの向上のため、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、取締役会に対してその実効性を高める方策等について提言を行ってまいります。

 

・主なサステナビリティ関連の監査報告項目

内容

詳細

取締役会の運営状況

サステナビリティ関連の議題が話し合われているか等

全社の勤怠管理状況

時間外労働の実態把握、各部への指導・牽制の状況等

人事制度の運用状況

職能資格規程の昇格基準に基づく資格試験の管理状況、受験促進の状況等

教育・研修制度の運用状況

年間研修計画の実施状況等

 

 

(2)戦略

①気候変動対策

 当社グループは、気候変動によるリスク及び機会について次のように識別しております。

・物理的リスク

 気候変動に関連した災害(嵐、洪水、干ばつ、熱波など)により、ステークホルダーの安全が脅かされるリスクがあるだけでなく、当社グループの事業拠点等への物理的な損害及びシステム障害への対応コストが発生するリスクや、当社グループの再保険事業においては、災害による生命保険・損害保険の給付金支払いが増えることにより収益性が悪化するリスクが見込まれます。また、慢性的な影響としてオフィスやデータセンター等事業拠点の空調コストが増加するリスクもあります。

・移行リスク

低炭素経済への移行や脱炭素に向けて再生可能エネルギーの使用などの政策や炭素税等の導入化によるコストの増加、新技術の普及や消費者の価値観・行動の変化に伴う保険購買環境の変化による保険販売サービス提供機会の減少、及び環境配慮に対する不十分な対応による当社のレピュテーションリスクの増加等が見込まれます。

・機会

気候変動(地球温暖化)に伴い消費者の価値観・行動が変化し、DX化が進むことによる当社のオンライン面談での保険販売サービス提供機会の拡大及び自社開発のオンライン面談システムの需要増による収益拡大等が見込まれます。

 

 当社グループは、「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を標榜し、あらゆる保険ニーズに対応できる「保険業界のプラットフォーム」と、OMO(Online Merges with Offline.=オンラインとオフラインの融合)時代に相応しい体制を構築すべく、日々新たな挑戦を行っております。これまで保険募集プロセスのDX化を推進し、お客さまの利便性を追求してまいりましたが、更なる業務効率化と高付加価値化を進めていくことで持続可能な地球環境に貢献できるものと考えております。これまで進めてきた戦略は、次のとおりです。

(ⅰ) ペーパーレス化推進による環境負荷低減

独自開発した保険業界の業務効率化共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform(ACP)」を通じて、あらゆるデータのペーパーレス化を図ることで、お客さまの利便性を向上させるとともに環境負荷を低減させてまいりました。今後も保険業界の中でトップクラスの紙資源使用の削減に努めてまいります。

(ⅱ)「オンライン保険相談」の推進によるCO2排出の削減

 独自開発した保険相談特化型のオンライン面談システム「Dynamic OMO」を使用した「オンライン保険相談」を実現・拡大させることで、お客さまや社員の物理的な移動をゼロにし、温室効果ガス削減に貢献してまいりました。当該オンライン面談システム「Dynamic OMO」は、対面と変わらないレベルのコンサルティングを可能にしております。今後もオンライン面談システム「Dynamic OMO」の機能を拡充させるとともに「オンライン保険相談」を推進してまいります。

(ⅲ) 直営支店の土日祝日休業による電力消費削減

直営支店(12支店)について、土日祝日を休業日とすることで電力消費量の削減に貢献するとともに、「人財・人的資本経営」の一環として社員の心身をリフレッシュできる環境整備に努めております。

また、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同と情報開示について検討しておりますが、並行してサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)による開示義務化等の動向を踏まえ対応を進めてまいります。

 

②人財・人的資本経営

「人こそ全て」-当社グループは、創業以来一貫して、会社にとって最も大切な財産は社員であると考え、「人財・人的資本経営」に取り組んでまいりました。採用方針として「仕事に全力で貪欲に向かい人生を輝かせたい、一流のプロを本気で目指したいという志、高い倫理観と誠実性、そして謙虚さと素直な心をもつ人材」の採用を掲げ、人材育成と社内環境整備を「人財・人的資本経営」の柱としております。

人材教育・育成方針に関しては、企業文化・創業精神を軸とした教育・研修制度を基礎とし、非管理職社員への自己投資支援手当、自己啓発補助制度や通信教育制度などを設け、定期的に利用促進を行うなど人材育成に継続して取り組んでおります。

また、創業以来、社員一人ひとりを大切にする企業文化を背景に、社内環境整備として働きやすい職場環境と多様性、包摂性、公平性を大切にする職場を作り上げてきました。人事・報酬制度について、全社統一の「固定給制」を採用し「機会均等」「信賞必罰」「敗者復活」の人事三原則のもと、業績のみに偏らず誠実性や企業文化に対する理解度等も評価する人事考課制度を導入するとともに、給与水準の向上を図る人事制度改定やライン管理職登用制度の導入等絶えず制度の改革を進めています。働きやすい職場環境も創業以来の伝統であり、毎週水曜日の「ノー残業デー」の導入、「リフレッシュルーム」の設置等福利厚生制度の充実を図っております。

2024年9月末時点の社員構成は、男性社員が53.7%、女性社員が46.3%、管理職に占める女性社員の割合は34.4%となっています。この背景には、ジェンダーに関わらず働くことができる職場環境や社員一人ひとりを大切にする企業文化がその根底にあり、新卒採用開始から約20年の当社では、支店における営業社員の20代の割合が77.3%、支店長の平均年齢が30.3歳となるなど活気あふれる組織となっております。また、各種取り組みを継続的に実施してきた結果、例えば女性管理職比率34.4%の実績につながり、女性活躍推進法に基づく優良企業として厚生労働大臣より「えるぼし」認定の3つ星を取得しております。

今後も当社グループは、社員一人ひとりを大切にする企業文化を維持・継続させ、「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を目指し、企業理念、経営戦略、財務目標と連動した「人財・人的資本経営」を実践してまいります。

 

・人的資本を高める主な取り組み

内容

詳細

人材採用方針

・積極的な新卒採用

・多様性な人材採用(ジェンダー、年齢、出身、国籍を問わない)

・仕事に全力で貪欲に向かい人生を輝かせたい、一流のプロを本気で目指したいという志、高い倫理観と誠実性、そして謙虚さと素直な心をもつ人材の採用

人材教育・育成方針

・企業文化・創業精神を軸とした教育・研修制度の充実

・各種成長支援制度の制定と利用促進

社内環境整備

職場環境整備

・人事・報酬制度

・毎週水曜日の「ノー残業デー」の導入

・福利厚生制度「Welfare Program」の発行

・「リフレッシュルーム」の設置

・リモートワーク体制の整備

多様性

包摂性

公平性

ジェンダー、年齢、出身、国籍に関わらず、能力を発揮できる環境の整備

 

・主な成長支援制度

内容

詳細

自己投資支援手当

2022年4月1日より非管理職社員を対象に、自己投資支援として毎月一定額を給付

2022年3月までは入社(社会人経験)1~3年目の社員を対象

自己啓発補助制度

資格取得にかかる教材、スクールなどの費用を補助

通信教育制度

102コースから選択し、一定条件で修了すれば受講費の50~70%を補助

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、環境や社会課題を始めとする様々なサステナビリティに関する課題は、企業の事業活動にとって重要なリスクであるとともに機会であると認識しております。当社グループでは、経営危機管理規程、法務リスク管理規程、システムリスク管理規程等リスク管理に関係する規程を整備し、サステナビリティ関連のリスクについても他のリスクと同様に管理を行っております。

 各事業部が認識したリスク及び機会は、取締役会事務局である総務担当部門に随時報告され、事務局を通じて、その内容は月に1回開催される取締役会に随時報告されます。また、毎年1回、取締役会事務局において過去のリスク発生状況や最新の環境変化を考慮した上で関連するリスク要因を詳細に洗いだし、現行のリスク管理体制に照らし合わせて分析し、取締役会に報告しております。

 

 当社グループは、上記過程を通してサステナビリティ関連のリスク及び機会を認識、評価、管理することにより、経営に関わるリスクの低減に努めるとともに、持続的な成長を目指してまいります。

 

①気候変動対策

当社グループでは、気候変動によるリスク及び機会について以下に挙げるものを認識しております。

区分

種類

想定されるリスク

物理的リスク

急性

異常気象による自然災害(台風、洪水、高潮、干ばつ、熱波など)に伴う事業拠点等への物理的な損害及びシステム障害への対応コストの発生

再保険事業において、異常気象による自然災害(台風、洪水、高潮、干ばつ、熱波など)に伴う生命保険・損害保険の給付金支払い増大、収益性悪化のリスク

慢性

オフィスやデータセンター等事業拠点の空調コストの増加

移行
リスク

低炭素経済への移行や脱炭素に向けて再生可能エネルギーの使用などの政策や炭素税等の導入によるコストの増加

新技術の普及や消費者の価値観・行動の変化に伴う保険購買環境の変化による保険販売サービス提供機会の減少

環境配慮への不十分な対応による当社のレピュテーションリスクの増加

機会

気候変動(地球温暖化)に伴い消費者の価値観・行動が変化し、DX化が進むことによる当社のオンライン面談での保険販売サービス提供機会の拡大及び自社開発のオンライン面談システムの需要増により収益拡大の可能性がある

オンライン面談推進やペーパーレス化等を通じてCO2排出量の削減等社会の気候変動課題に貢献するとともに、コスト削減効果により収益向上に資する可能性がある

 

②人的資本

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進するために、事業を通じた無限の可能性を創造する人材の育成及び社会的価値の創造に取り組むことを経営上の重要事項と認識し事業に取り組んでおりますが、事業の継続および社会的価値の創造には、優秀な人材の確保が重要であると考えております。当社グループでは、新卒者の採用を積極的に行うとともに、第二新卒と専門職を中心としたキャリア採用を行い、企業文化・創業精神を軸とした教育・研修制度を充実させ、社内環境を整備してまいりました。したがいまして、人的資本に関する主なリスクは、当社グループが必要とする人材の確保が十分にできない場合、当社グループの経営成績及びその後の事業展開が影響を受ける可能性があることです。

 

・人的資本に関するリスク(人材確保のリスク)について以下に挙げるものを認識しております。

内容

詳細

人材採用リスク

当社グループが必要とする人材の採用ができないリスク

人材教育・育成リスク

・研修計画に基づく研修が実施されず育成が停滞・遅延するリスク

・各種成長支援制度が活用されず社員の成長の機会損失となるリスク

社内環境リスク

職場環境整備

・人事・報酬制度が改定されず、社員の離職に繋がるリスク

・これまでの就業規則内容や福利厚生の内容、毎週水曜日の「ノー残業デー」、「リフレッシュルーム」、リモートワーク体制等の環境が後退し、社員の離職に繋がるリスク

多様性

包摂性

公平性

ジェンダー、年齢、出身、国籍に関わらず、能力を発揮できる環境が後退し、社員の離職に繋がるリスク

 

 

 

(4)指標及び目標

①気候変動対策

当社グループではサステナビリティに関連する指標として、CO2排出量(Scope1,2)及びペーパーレス化比率を開示しております。本業のペーパーレス化を通じてCO2排出量の削減に貢献していく姿勢を示したものです。なお、お客さまが紙面でのお申し込みを希望される場合、対応できる保険商品についてはお客さまのご意向を尊重し、紙面でのお申し込み手続きをお受けしております。

 

指標

前事業年度

(2023年9月期)

当事業年度

(2024年9月期)

CO2削減量

CO2排出量(t-CO2)

369

344

25

 

指標

前事業年度

(2023年9月期)

当事業年度

(2024年9月期)

前年比

ペーパーレス化比率

88.5%

91.0%

2.5ポイント増

(注)1. 当社でお申込みいただいた保険契約のうち、ペーパーレスによりお申し込みいただいた比率です。

 

②人的資本経営

多様な人材が活躍できることを示す指標として、女性管理職比率及び男女の賃金の差異を掲載しております。

女性の管理職比率は25%以上を目標としており、当事業年度においては、34.4%と目標値以上の数字となっております。また、当事業年度における男女の賃金の差異は、全ての労働者で80.5%となっております。なお、女性活躍推進法に基づく優良企業として厚生労働大臣より「えるぼし」認定の3つ星を取得しております(継続)。

 当社グループは、今後もより一層、女性社員のキャリアアップ支援を強化していくとともに、引き続きダイバーシティを重視した取り組みを継続してまいります。

 

指標

目標

前事業年度

(2023年9月期)

当事業年度

(2024年9月期)

女性管理職比率

25.0

34.7

34.4

(注)1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2. 女性管理職人数(課長以上)を管理職全体数(課長以上)で除して得た数値を百分率で記載しております。

 

指標

当事業年度(2024年9月期)

女性の平均年間賃金(千円)

男性の平均年間賃金(千円)

差異(

男女の賃金の差異

(正規雇用労働者)

4,966

5,874

84.5

男女の賃金の差異

(パート・有期労働者)

3,913

4,469

87.5

男女の賃金の差異

(全ての労働者)

4,687

5,827

80.5

(注)1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2. 女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で除して得た数値を百分率で記載しております。

 

指標

目標

前事業年度

(2023年9月期)

当事業年度

(2024年9月期)

産休・育休取得率/

産休・育休後の復帰率

100

100%

100

 

(5)その他のサステナビリティに関する事項

 ①お客さま本位の業務運営

当社の基本理念は、「最適・快適な購買環境で、簡単便利に保険を購入いただく」ことであり、お客さま満足の向上は、当社の根幹的なミッションに直結する重要課題です。当社は創業以来、“保険を「売りに行く」ものから「買いに来ていただく」ものへ”と変革するため、「新たな保険流通市場の創造」の実現を目指して精励してまいりました。これまでの保険販売の概念を変え、日本中のあらゆる保険商品とお客さまとの間に新たな流通市場を創造し続けることこそが、「お客さま満足の向上」につながる「お客さま本位の業務運営」であると当社は考えています。

 

 ②社会課題の解決に向けた取り組み

当社グループは、事業活動を通じた地域・社会への貢献にとどまらず、大阪マラソンへの協賛や関西大学寄附講座「安心・安全な社会を支える保険制度」の開催、新日本フィルハーモニー交響楽団「第九特別演奏会」への特別協賛等、これまで様々なCSR(企業の社会的責任)・地域貢献の取り組みを積極的に行ってまいりました。当事業年度においても、関西大学寄附講座を開催し、これからの未来を担う若人を育て導くという形でCSR活動を続けております。

 今後も、当社グループは、企業としての持続的成長と社会課題の解決に向けて、CSR・地域貢献の取り組みを積極的に継続し、社会的責任を果たしてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月28日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1) コンサルティングプラザ「保険市場(ほけんいちば)」の展開について

 当社グループは、対面(オンライン面談を含む)による保険募集を行う直営のコンサルティングプラザ「保険市場(ほけんいちば)」を当連結会計年度末において12拠点展開しております。当面の出店計画につきましては、引き続き都市部を中心に厳選した新規出店と生産性を考慮した廃店を推進し、一層の生産性の向上に努めてまいりますが、今後の状況によっては新規出店が困難になる可能性も考えられます。また、廃店に伴う除却損等が発生するリスクがあります。

(2) 保険会社との関係について

① 保険会社の財政状態による影響について

 当連結会計年度において、当社グループの売上高のうち大半は保険契約に係る保険代理店手数料に拠っておりますが、取引保険会社の財政状態が悪化し、また万一、当該保険会社が破綻したとき等には、当該保険会社に係る当社グループの保有保険契約が失効・解約されること等により、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性も考えられます。

② 特定の保険会社への依存について

 当社グループの保険代理店事業は、メットライフ生命保険株式会社の保険商品を取り扱う比率が高く、当連結会計年度において、当社グループの売上高の18.4%を占めております。従って、メットライフ生命保険株式会社及びその保険商品に対する風評等により、当社グループの新規保険契約件数、保有保険契約の継続率等が影響を受ける可能性も考えられます。同様に、当社グループの事業及び経営成績等は、保険会社の営業政策の変更等により、影響を受ける可能性も考えられます。

③ 収益計算に係る保険会社への依拠について

 保険代理店事業の主たる収入は保険代理店手数料収入であります。当社グループは、保険契約の媒介及び代理行為に伴い、各保険会社との契約及び手数料規程に基づき保険代理店手数料を受領しております。

 保険代理店手数料の受領形態は、保険商品の種類(生命保険・損害保険、契約期間(1年・複数年)、保険料支払方法(年払い・月払い)、その他)、保険会社毎の契約及び規程により様々な形態があり、保険契約成立時に受領するもの(初回手数料)及び保険契約継続に応じて受領するもの(2回目以降手数料)等、これらについて一括又は分割ならびにその受領割合等が異なるものが存在しております。

 当社グループは、保険代理店手数料収入は顧客との契約における当社の履行義務が充足した契約から見込まれる将来代理店手数料の金額を売上として計上しております。当該計上に基づき、保険代理店事業における代理店手数料収入に関して、保険会社から得られる契約一覧により手数料額の計算を行っております。自社計算システムの精度向上及び内部統制に依拠した計算結果の検証の対応を行っておりますが、保険会社から得られる情報が不十分となり自社計算の要件を満たさない場合には、支払通知書面等による入金確定ベースによる収益計上となり、その場合、売上計上時期が変動し保険代理店事業の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合について

 当社グループと共通の保険商品を取り扱う保険代理店は増加しており、同様の小型店舗を展開し対面販売を行う保険代理店や、電話帳等のデータベースをもとにして、電話により保険を勧誘するテレマーケティング保険代理店があり、またクレジットカード会社、信販会社、通信販売会社等は請求書等の送付物に保険商品に係る「資料請求ハガキ」を同封する方法等により保険募集を行っており、当社グループと直接的に競合するものと認識しております。さらに、インターネットを中心としたダイレクトマーケティング手法による保険募集は当社グループ独自の手法ではなく、インターネットによるプロモーションを実施している保険代理店は多数存在します。当社グループでは、インターネットによるプロモーションのコンテンツ充実やツールの強化、積極的なプロモーション活動による潜在顧客の早期取込み、取引保険会社との連携強化等によって差別化を図っておりますが、これらの施策にもかかわらず、新たな事業者の参入又は競合の状況によって当社グループの事業及び経営成績等が影響を受ける可能性も考えられます。

(4) 個人情報の取扱いについて

 当社グループは、プロモーション活動及び保険募集の過程で資料請求者及び保険契約者に関する多量の個人情報を取得・保有しております。個人情報保護については、法律の遵守だけでなく、情報漏洩による被害防止を行う必要があります。当社グループにおいては、外部からの不正アクセス及びウイルス感染の防御、内部管理体制の強化等の対策を行っておりますが、万一、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合は、当社グループの信用の失墜につながり、今後の営業活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、事後対応等によるコストが増加し、当社グループの事業及び経営成績等に悪影響を及ぼすことが考えられます。

 

(5) 法的規制について

 当社グループは、損害保険代理店及び生命保険募集人として「保険業法」に基づく登録を行っております(登録の有効期限は特に定められておりません)。保険業法では、保険業法第300条に定める虚偽説明及び不告知教唆ならびに告知妨害等の保険募集に関する禁止行為に違反した場合等、内閣総理大臣は代理店登録の取消し、業務の全部又は一部の停止、業務改善命令の発令等の行政処分を行うことができると定めています。仮に当社グループが上記当該行政処分を受けた場合には保険代理店事業における営業が困難となり、当社グループの事業及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、本書提出日現在において行政処分の対象となる事象は認識しておりません。

 上記のように、当社グループは保険業法及びその関連法令ならびにそれに基づく関係当局の監督等による規制、さらには、一般社団法人生命保険協会及び一般社団法人日本損害保険協会による自主規制を受けた保険会社の指導等を受けて事業を運営しております。また、保険募集に際しては、保険業法の他、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法等の関係法令を遵守する必要があります。近年、保険業法等の関係法令及び監督指針の改正等によって、意向把握義務や情報提供義務が必須となる等、求められる保険募集管理態勢の水準が高まっております。当社グループでは、社員教育の徹底や内部監査体制の強化等コンプライアンス体制の充実を図り適切な保険募集を行うとともに、法律の改正等に対応したシステム開発を進める等しておりますが、今後、これらの法令や規制、制度等が変更された場合には、管理コストの増大やコンプライアンス違反リスクの高まり等、当社グループの事業及び経営成績等に影響が出る可能性があります。

(6) 子会社の再保険会社について

 Advance Create Reinsurance Incorporatedにおきましては、再保険業という性質上、保険代理店事業とは異なり、支払いとなる保険金が事故発生後に確定する特殊な事業であります。このため将来の支払保険金は、事故頻度の増加、巨大災害、大規模な事故の発生等、現段階では予測不能な事象の発生により、変化することがあります。現時点では、将来の不確定リスクで相対的に幅の小さい第三分野の保険(傷害・疾病・介護等)を中心に取扱うこととしておりますが、予測不能な事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 代表者への依存について

 当社グループの創業者であり代表取締役社長である濱田佳治は、当社グループの経営方針や戦略の決定をはじめ、取引先との交流等に重要な役割を果たしております。当社グループは、業容の拡大に伴い外部から高い能力の人材を確保し、濱田佳治から権限の委譲を行う等、マンパワーを強化するとともに、濱田佳治に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、このような経営体制が構築される前に、何らかの要因により業務執行ができない事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及びその後の事業展開が影響を受ける可能性があります。

(8) コンピューターシステムに関するリスク

 コンピューターシステムの災害・事故・故障等による停止または誤作動等の障害やシステムの不正使用の発生、WEBからの資料請求数の急激な増加により処理不能に陥った場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、コンピューターの処理能力の拡大ならびに情報の使用・管理に関する各種社内規程を定めるとともに、アクセス権限等の不正使用防止措置を講じております。また、サーバーを安全なデータセンターに収納して東京・大阪に分散配置する等、災害・事故・故障対策も講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、当社グループの信頼性が失墜するような事態となった場合、当社グループの事業及び経営成績等に影響が出る可能性があります。

(9) 人材の確保について

 当社グループでは、優秀な人材の確保が重要であると考えており、新卒者の採用を積極的に行うとともに、キャリア採用については、第二新卒を中心に行っております。また、「教育、研修」を重点課題として、階層別研修等をより強化して取り組んでおります。しかしながら、今後、当社グループが必要とする人材の確保が十分にできない場合、当社グループの経営成績及びその後の事業展開が影響を受ける可能性があります。

(10) 外部検索エンジンへの依存について

 インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しております。当社グループ事業の主軸である保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への誘導は、概ね検索エンジン経由であり、これらの集客は検索エンジンの表示結果に依存しております。検索結果についてどのような条件により上位表示されるかは、各検索エンジン運営者に委ねられており、その判断に当社グループが介在する余地はありません。当社グループは検索結果において上位に表示されるべくSEO等の必要な対策を進めておりますが、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じる可能性があり、この場合、当社グループが運営するサイトへの集客効果が低下し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、検索結果の上位に表示されるための対策に掛かるコストが上昇した場合におきましても、売上原価の上昇等を招く可能性があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 重要事象等について

 当社グループは、当連結会計年度において、連結財務諸表の「注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載のとおり、保険代理店事業における代理店手数料売上の計算について再検証を実施し、過年度に遡って売上高の訂正を行いました。併せて、固定資産に係る減損損失の計上及び繰延税金資産の取崩等も行っております。これらの訂正等の結果、当連結会計年度において営業損失711百万円、経常損失808百万円、親会社株主に帰属する当期純損失2,250百万円を計上し、2期連続で営業損失及び経常損失、3期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上、さらに2期連続で営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスの状況となっております。また、これらの損失の計上に伴い、当連結会計年度末において4,973百万円の債務超過となっております。加えて、一部の取引金融機関と締結している債権流動化に係る諸契約について、財務制限条項に抵触しております。以上より、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 当社グループは、当該状況を解消すべく以下の対応策を講じておりますが、これらの対応策は実施途上であり、想定どおりの進捗と十分な成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

① 資本政策

 債務超過の状態を早期に解消すべく、財務状態を抜本的に改善するための資本増強施策等の検討と実行が必須であると考えております。資本政策に関する具体的な時期や規模は確定しておりませんが、具体化に向けた検討を進めております。

② 営業社員の商品提案力強化による生産性の向上

 業績の回復と再成長に向け、営業社員一人ひとりの商品提案力を強化することにより、一人あたり生産性の向上を目指してまいります。当社の保険代理店事業においては、入社3年目以内の社員が自社開発のオンライン面談システム(Dynamic OMO)やアバターといった最新テクノロジーを駆使し高い営業成果を挙げる等、多くの若手社員が活躍しております。また、AVITA株式会社が開発したアバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」を営業社員教育、特に新卒の営業社員教育に積極的に活用することで、新卒社員の即戦力化に繋げております。このようなテクノロジーを用いた営業教育により若手社員の更なる成長を促すとともに、営業社員全体の総合提案力の向上、一人あたりの生産性の向上に繋げてまいります。

③ 固定費の適正化

 新規採用及び既存人員の配置転換等を行うことにより、当社全体の人員構成の最適化を図り、人件費を適切にコントロールしてまいります。並行して、業務委託費を中心とした活動経費の見直しを進め、固定的な費用の削減を進めてまいります。

④ 財務制限条項

 一部の取引金融機関と締結している債権流動化に係る諸契約については、財務制限条項に抵触しているものの、当該条項には、抵触した場合に契約上の債務の返済等について期限の利益を喪失する旨の定めはありません。取引金融機関には当社より今後の事業計画についてご説明し、良好な関係の維持に努めております。

⑤ 資金の確保

 当社は、連結財務諸表の「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年12月から2025年2月にかけて、取引金融機関との当座貸越契約等に基づき、計719百万円の借入を実行し、手元資金の確保に努めております。

(12) 内部統制について

 当社は、保険代理店事業における代理店手数料売上の計上方法として、将来受け取る代理店手数料の金額を見積り、その割引現在価値合計額を売上として計上する方法(以下「PV計算」といい、PV計算により計上された売上を「PV売上」という。)につきまして、当社の会計監査人である桜橋監査法人より、PV計算の結果の一部について実態との乖離が見られるため、見積りの再検証が必要であるとの指摘を受けました。桜橋監査法人からの指摘を受け、事実関係の調査のための社外の独立した第三者である弁護士及び社外監査役から構成される調査委員会を組成し調査を行いました。

 当社は、2024年10月8日「調査委員会の調査報告書に関するお知らせと再発防止の取り組みについて」及び2025年1月10日付「調査委員会の追加調査報告書に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、調査委員会から調査報告書及び追加調査報告書(以下「調査報告書等」という。)を受領いたしました。調査報告書等に記載のとおり、手数料計算システムにおいて発生していた想定外のエラーに対して適切な対応が行われておらず、PV売上の金額算出のプロセスが精緻ではなかったことが判明いたしました。なお、PV計算の結果と実態の乖離については意図的なものではなく、当時の経営陣等から経理担当者に対して、実態のない売上や一定額以上の売上を計上するような指示、ないし圧力がかかっていた事実は認められませんでした。

 本事案を受け、当社はPV計算の実態との乖離額の算定作業を行いましたが、この乖離についての影響は単年度のみならず過年度にも及ぶため、2024年9月期決算発表の延期ならびに過年度決算の訂正を行うことで是正することが適切であるとの判断に至り、影響を受ける過年度の決算を訂正することといたしました。

 

 また、調査報告書等の内容を踏まえ、2025年2月21日付「再発防止策の策定と取り組みに関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、当社は、再発防止策を策定し取り組みを進めております。今後は、再発防止策の着実な実行及び内部統制の強化に努めてまいります。

 しかし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、大株主、取引先、監督省庁等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13) PV計算に係る手数料計算システム及び運用の見直しについて

 上述のとおり、調査報告書等の内容を踏まえ再発防止策を策定しております。当社は、再発防止策の一環として手数料計算システム及び運用の見直しを進めてまいります。

 一方、代理店手数料規程の内容は保険会社ごと、保険商品ごとに千差万別なうえ、その件数も膨大であることから、代理店手数料規程の解釈の誤りや、手数料計算システムの設定誤り等により計算を誤り、その結果、財務報告等に重大な誤りが生じ、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する見通しの中で、緩やかな回復基調を辿りました。その一方で、物価上昇、長期化する不安定な世界情勢、金融資本市場の変動等により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

保険業界においては、少子高齢化社会による公的医療保険制度への不安感から、医療保障を補う商品の多様化が進んでおります。併せて、生命保険会社における貯蓄性商品の予定利率の引き上げや、個人金融資産を貯蓄から投資へ移行する動きから、外貨建保険等の貯蓄性保険商品が注目を浴びる等、民間保険に対するニーズは依然として底堅く推移するものと見込まれております。また、当社も認定されている一般社団法人生命保険協会の「認定代理店」制度に見られるように、保険業界は保険代理店事業の体制整備及びお客様本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の実現が求められている状況にあります。

このような状況下、当社グループは「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を標榜し、あらゆる保険ニーズに対応できる「保険業界のプラットフォーム」と、OMO(Online Merges with Offline.=オンラインとオフラインの融合)時代に相応しい体制を構築すべく、日々新たな挑戦を行っております。具体的には、2020年以降、自社開発のオンライン面談システム「Dynamic OMO」により、対面と非対面の垣根をなくし、オフラインと同等のオンライン保険相談を実現しております。また、2022年7月からは、大阪大学の石黒浩教授が代表を務めるスタートアップ企業「AVITA株式会社(以下「AVITA社」という。)」と提携し、同社が開発したアバターを保険相談等に活用すると共に、アバターの活用事例やシステム改修案、顧客アンケート結果等をAVITA社と連携することで、より利便性の高いアバターの共同開発を進めております。また、ChatGPT-4oを用いた『アバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」』での教育を通して、営業社員の早期戦力化を目指しております。さらに、従来はお客様とのコミュニケーション手段として電話を使用することが一般的でしたが、LINEやSMS等のテキストツールの活用、ChatGPT-4oを用いた夜間・早朝のお問い合わせに対する自動応答等、お客様の利便性の向上に努めております。加えて、生成AIを用いたSNS上でのプロモーション活動を行い、若年層をターゲットにした集客を開始しております。

当社は今後も、保険募集プロセスのDX化を推進することで、収益力のさらなる向上を図ってまいります。併せて、保険業界の共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform」(以下「ACP」という。)の開発と販売についても、引き続き推進してまいります。ACPの普及により、営業活動のデジタル化と事務負担の大幅な軽減が期待できます。ACPの主要機能である顧客情報管理システム「御用聞き」、申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」、保険証券管理アプリ「folder」、オンライン面談システム「Dynamic OMO」は、いずれも導入したお客様からご好評をいただいております。また各種システムのアプリ化等さらなる機能拡充を進めております。さらに、「Dynamic OMO」とAVITA社のアバターを連携するシステム開発を行い、共に販売を行っております。これらACPシステムを保険業界のスタンダードとすべく積極的に展開し、サブスクリプションモデルとしてのストック収入の確保及び協業事業の拡大を目指します。これらの営業施策を推進・拡充する一方で、情報セキュリティ体制、保険募集管理体制の強化等、ガバナンス及びコンプライアンス体制を一層充実させるために、積極的に経営資源を投下してまいります。

 当社は2019年9月期より収益認識に関する会計基準を適用し、保険契約ごとの残存有効契約期間の将来手数料収入を、解約率や無リスク利子率等で割り引いて、現在価値(PV)を算定し、売上として計上しております。しかし、当連結会計年度におきまして、当社の会計監査人である桜橋監査法人より、PV計算の結果の一部について実態との乖離が見られるとの指摘を受け、この乖離を過年度決算の訂正を行うことで是正することといたしました。また、これを踏まえて、当期の売上高についても保守的な想定に基づき算出した結果、減収となりました。さらに、過年度の売上高の訂正等に伴い、固定資産の減損損失を計上したことが減益要因となりました。

なお、PVの再計算を行う過程において、当社を通じて販売された保険商品に係る保険契約の自動更新等に伴い、当社が将来的に収受できる代理店手数料が存在することが確認されております。当社は現時点において、当該代理店手数料について過去の実績値を考慮して概算で10数億円程度を見込んでおります。一方、現時点において保険契約の自動更新が確実に行われるとは限らないことから、PVの再計算を通じた過年度決算における売上高の訂正においては上記の金額は考慮しておりません。このような事情等から、再計算したPVは保守的な金額となっておりますことも、念のため付言いたします。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,856百万円(前期比24.3%減)、営業損失は711百万円(前期は1,302百万円の損失)、経常損失は808百万円(前期は1,472百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,250百万円(前期は2,433百万円の損失)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(保険代理店事業)

コールセンター部門の再構築を進めるうえでの過渡期にあたり、アポイント獲得数が減少し新規保険面談数に影響(減少)が出たことで、特に協業での実績が伸び悩んだこと、それに伴う新規契約から計算されるPV額が減少したこと等により減収となりました。

この結果、保険代理店事業におきましては、当連結会計年度の売上高は5,670百万円(前期比28.0%減)、営業損失は1,194百万円(前期は1,822百万円の損失)となりました。

(ASP事業)

乗合保険代理店等へのACPの新規販売が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。

この結果、ASP事業におきましては、当連結会計年度の売上高は299百万円(前期比15.5%増)、営業利益は115百万円(前期比21.4%増)となりました。

(メディア事業)

保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が低調に推移したことにより、減収減益となりました。

この結果、メディア事業におきましては、当連結会計年度の売上高は1,231百万円(前期比44.1%減)、営業利益は251百万円(前期比46.0%減)となりました。

(メディアレップ事業)

前年同期に比べ受注が伸び悩んだことにより、減収減益となりました。

この結果、メディアレップ事業におきましては、当連結会計年度の売上高は694百万円(前期比45.9%減)、営業損失は30百万円(前期は77百万円の利益)となりました。

(再保険事業)

 売上高が引き続き堅調に推移したことと、新型コロナウイルス感染症の分類移行に伴い再保険金支払いが一巡したことにより、増収増益となりました。

この結果、再保険事業におきましては、当連結会計年度の売上高は1,130百万円(前期比1.8%増)、営業利益は107百万円(前期は121百万円の損失)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,619百万円減少し6,860百万円(前連結会計年度末は8,479百万円)となりました。

流動資産は、前連結会計年度末比462百万円減少しましたが、これは主に、未収還付法人税等の減少409百万円等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末比1,165百万円減少しましたが、これは主に、長期前払費用の減少567百万円及び保険積立金の減少318百万円等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,024百万円増加し11,833百万円(前連結会計年度末は10,809百万円)となりました。

流動負債は、前連結会計年度末比3,360百万円減少しましたが、これは主に、債権流動化に係る調整勘定が4,490百万円減少した一方で、短期借入金が1,817百万円増加したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末比4,384百万円増加しましたが、これは主に、債権流動化に係る調整勘定4,348百万円を固定負債に計上したこと等によるものです。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,643百万円減少し△4,973百万円(前連結会計年度末は△2,329百万円)となりました。

これは主に、新株予約権の行使による新株発行により資本金及び資本剰余金が357百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失2,250百万円の計上及び剰余金の配当による減少789百万円等によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローの支出1,674百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出117百万円及び財務活動によるキャッシュ・フローの収入1,512百万円により、250百万円減少し、941百万円となりました。

当連結会計年度中における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、税金等調整前当期純損失2,238百万円(前連結会計年度は2,252百万円の損失)、減価償却費81百万円(前連結会計年度は68百万円)、減損損失1,373百万円(前連結会計年度は744百万円)、売上債権の増減額△933百万円(前連結会計年度は523百万円)、未収入金の増減額308百万円(前連結会計年度は1,034百万円)及び法人税等の支払額100百万円及び還付額429百万円(前連結会計年度は△748百万円の支払)等により、1,674百万円の支出(前連結会計年度は206百万円の支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、無形固定資産の取得による支出619百万円(前連結会計年度は607百万円)及び保険積立金の解約による収入310百万円等により、117百万円の支出(前連結会計年度は668百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、短期借入れによる収入1,817百万円、社債の償還による支出250百万円(前連結会計年度は200百万円)及び配当金の支払額791百万円(前連結会計年度は789百万円)等により、1,512百万円の収入(前連結会計年度は217百万円の支出)となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.売上実績

当連結会計年度の売上実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

前年同期比

(%)

保険代理店事業(千円)

6,169,055

4,745,943

76.9

ASP事業(千円)

258,988

299,138

115.5

メディア事業(千円)

2,202,118

1,231,834

55.9

メディアレップ事業(千円)

633,676

449,060

70.9

再保険事業(千円)

1,110,512

1,130,973

101.8

合計(千円)

10,374,351

7,856,949

75.7

 (注)1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.保険代理店事業は、アポイント減少により特に協業販売において実績が減少したことと、保険代理店事業の売上から今般見直しを行った現在価値(PV)の減少分が差し引かれたことが主な減少要因です。
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が低調に推移したことが主な減少要因です。
メディアレップ事業は、受注が伸び悩んだことが主な減少要因です。

3.前連結会計年度の保険代理店事業における数値は、過年度決算訂正を反映した数値を記載しております。

4.主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

メットライフ生命保険株式会社

1,962,954

18.9

1,446,739

18.4

チューリッヒ生命保険株式会社

1,518,773

14.6

960,839

12.2

(注)1.当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

2.前連結会計年度における数値は、過年度決算訂正を反映した数値を記載しております。

 

b.仕入(外注)実績

当連結会計年度の仕入(外注)実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

前年同期比(%)

保険代理店事業(千円)

2,703,008

1,290,029

47.7

ASP事業(千円)

51,778

58,565

113.1

メディア事業(千円)

3,938

304

7.7

メディアレップ事業(千円)

1,206,002

725,221

60.1

合計(千円)

3,964,727

2,074,121

52.3

 (注)1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.保険代理店事業は、マーケティング費用を抑制したことが主な減少要因です。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年2月28日)現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に影響されるため不確実な金額におきましては、予測・情報の適切性及び正確性に注意しながら、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

連結財務諸表の作成にあたって実施した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度の財政状態につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は7,856百万円(前期比24.3%減)となりました。保険代理店事業において、アポイント獲得数が減少し新規保険面談数に影響(減少)が出たことで、特に協業での実績が伸び悩んだこと、それに伴う新規契約から計算されるPV額が減少したことと、メディア事業において、保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が低調に推移したことが主な要因です。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上原価は、2,074百万円(前期比47.7%減)となりました。主な減少要因としましては、マーケティング費用の抑制によるものであります。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、6,494百万円(前期比15.8%減)となりました。主な減少要因としましては、保険代理店事業におけるコールセンターのコスト削減による人件費および間接費の減少によるものであります。

(営業利益)

当連結会計年度の営業損失は、711百万円(前期は1,302百万円の損失)となりました。損失縮小の主な要因としましては、保険代理店事業において前述の要因により売上高が減少したものの、売上原価並びに販売費および一般管理費の抑制をしたためです。

(経常利益)

当連結会計年度の経常損失は、808百万円(前期は1,472百万円の損失)となりました。損失縮小の主な要因としましては、同様に保険代理店事業において前述の要因により売上高が減少したものの、売上原価並びに販売費および一般管理費の抑制をしたためです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は2,250百万円(前期は2,433百万円の損失)となりました。主な要因としましては、固定資産の減損により特別損失として減損損失を1,373百万円計上したためです。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金は、主にWEBプロモーションコスト、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。

なお、当連結会計年度末において4,973百万円の債務超過となっております。当社グループは、当該状況を解消すべく以下の対応策を講じておりますが、これらの対応策は実施途上であり、想定どおりの進捗と十分な成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

① 資本政策

 債務超過の状態を早期に解消すべく、財務状態を抜本的に改善するための資本増強施策等の検討と実行が必須であると考えております。資本政策に関する具体的な時期や規模は確定しておりませんが、具体化に向けた検討を進めております。

② 営業社員の商品提案力強化による生産性の向上

 業績の回復と再成長に向け、営業社員一人ひとりの商品提案力を強化することにより、一人あたり生産性の向上を目指してまいります。当社の保険代理店事業においては、入社3年目以内の社員が自社開発のオンライン面談システム(Dynamic OMO)やアバターといった最新テクノロジーを駆使し高い営業成果を挙げる等、多くの若手社員が活躍しております。また、AVITA株式会社が開発したアバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」を営業社員教育、特に新卒の営業社員教育に積極的に活用することで、新卒社員の即戦力化に繋げております。このようなテクノロジーを用いた営業教育により若手社員の更なる成長を促すとともに、営業社員全体の総合提案力の向上、一人あたりの生産性の向上に繋げてまいります。

③ 固定費の適正化

 新規採用及び既存人員の配置転換等を行うことにより、当社全体の人員構成の最適化を図り、人件費を適切にコントロールしてまいります。並行して、業務委託費を中心とした活動経費の見直しを進め、固定的な費用の削減を進めてまいります。

④ 財務制限条項

 一部の取引金融機関と締結している債権流動化に係る諸契約については、財務制限条項に抵触しているものの、当該条項には、抵触した場合に契約上の債務の返済等について期限の利益を喪失する旨の定めはありません。取引金融機関には当社より今後の事業計画についてご説明し、良好な関係の維持に努めております。

⑤ 資金の確保

 当社は、連結財務諸表の「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年12月から2025年2月にかけて、取引金融機関との当座貸越契約等に基づき、計179百万円の借入を実行し、手元資金の確保に努めております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが目標としている経営指標における当連結会計年度の実績値は下表のとおりであります。

経営指標

目標数値

当連結会計年度実績(連結)

自己資本利益率

20%以上

-%

売上高経常利益率

20%以上

△10.3%

配当性向

50%以上

-%

自己資本比率

80%以上

△72.7%

 自己資本利益率は親会社株主に帰属する当期純損失のため表示しておらず(前期も同様)、売上高経常利益率は△10.3%(前期は△14.2%)、配当性向は当期純損失のため表示しておらず(前期も同様)、自己資本比率は△72.7%(前期比45.2ポイント減少)となりました。

 自己資本利益率、売上高経常利益率、配当性向及び自己資本比率について、当社グループが目標としている数値に達しておりません。当社グループは引き続き、「お客様が最適・快適な購買環境で、簡単便利に保険を購入いただく」という基本理念に基づき、お客様のニーズやマーケット動向に機敏に対応し、業績の向上に努めるとともに、自己資本の充実を図ってまいります。

(3)保険代理店事業に係る売上計上について

保険代理店手数料について

保険代理店事業の主たる収入は保険代理店手数料収入であります。当社グループは、保険契約の媒介及び代理行為に伴い、各保険会社との契約及び手数料規程に基づき保険代理店手数料を受領しております。

保険代理店手数料の受領形態は、保険商品の種類(生命保険・損害保険、契約期間(1年・複数年)、保険料支払方法(年払い・月払い)、その他)、保険会社毎の契約及び規程により様々な形態があり、保険契約成立時に受領するもの(初回手数料)及び保険契約継続に応じて受領するもの(2回目以降手数料)等、これらについて一括又は分割ならびにその受領割合等が異なるものが存在しております。

当社グループは、初回手数料については保険契約成立時に受領する手数料額を売上計上しているほか、将来支払われる代理店手数料の割引現在価値を算出し、これを保険契約成立時に認識、計上する方法により売上を計上しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

   保険代理店事業

1.保険代理店委託契約を締結している生命保険会社は次のとおりです。当該契約の概要は、保険募集の媒介を行い、契約締結に至ったものにつき代理店手数料を受けるというものです。

 

アフラック生命保険株式会社

メットライフ生命保険株式会社

東京海上日動あんしん生命保険株式会社

ソニー生命保険株式会社

SBI生命保険株式会社

オリックス生命保険株式会社

エヌエヌ生命保険株式会社

チューリッヒ生命保険株式会社

アクサ生命保険株式会社

SOMPOひまわり生命保険株式会社

ネオファースト生命保険株式会社

三井住友海上あいおい生命保険株式会社

富国生命保険相互会社

ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社

住友生命保険相互会社

太陽生命保険株式会社

ジブラルタ生命保険株式会社

マニュライフ生命保険株式会社

FWD生命保険株式会社

ライフネット生命保険株式会社

明治安田生命保険相互会社

メディケア生命保険株式会社

楽天生命保険株式会社

フコクしんらい生命保険株式会社

朝日生命保険相互会社

T&Dフィナンシャル生命保険株式会社

みどり生命保険株式会社

はなさく生命保険株式会社

なないろ生命保険株式会社

第一フロンティア生命保険株式会社

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社

 

(注)上記各契約のほとんどが、有効期間1年間であり、当事者から何等の申し出がない場合はさらに1年間自動延長され、以後も同様です。

 

2.保険代理店委託契約を締結している損害保険会社及び少額短期保険会社は次のとおりです。当該契約の概要は、保険募集の代理等を行い、契約締結に至ったものにつき代理店手数料を受けるというものです。

 

損害保険ジャパン株式会社

東京海上日動火災保険株式会社

三井住友海上火災保険株式会社

AIG損害保険株式会社

アメリカンホーム医療・損害保険株式会社

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

キャピタル損害保険株式会社

チューリッヒ保険会社(チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド)

ソニー損害保険株式会社

三井ダイレクト損害保険株式会社

ジェイアイ傷害火災保険株式会社

セコム損害保険株式会社

Chubb損害保険株式会社

コファスジャパン信用保険会社(コンパニー・フランセーズ・ダシュランス・プール・ル・コメルス・エクステリュール)

ユーラーヘルメス信用保険会社(ユーラーヘルメス・エスエー)

SOMPOダイレクト損害保険株式会社

アニコム損害保険株式会社

SBIプリズム少額短期保険株式会社

ペット&ファミリー損害保険株式会社

エイチ・エス損害保険株式会社

スマイル少額短期保険株式会社

ペットメディカルサポート株式会社

ABC少額短期保険株式会社

株式会社メモリード・ライフ

アクサ損害保険株式会社

SBI損害保険株式会社

アイアル少額短期保険株式会社

アイペット損害保険株式会社

au損害保険株式会社

SBIリスタ少額短期保険株式会社

SBIいきいき少額短期保険株式会社

株式会社FPC

ベル少額短期保険株式会社

フローラル共済株式会社

プラス少額短期保険株式会社

スター保険会社(スター・インデムニティ・アンド・ライアビリティ・カンパニー)

日新火災海上保険株式会社

SBI日本少額短期保険株式会社

AWPチケットガード少額短期保険株式会社

日本ペット少額短期保険株式会社

楽天損害保険株式会社

イーペット少額短期保険株式会社

イーデザイン損害保険株式会社

健康年齢少額短期保険株式会社

ジャパン少額短期保険株式会社

富士少額短期保険株式会社

エール少額短期保険株式会社

株式会社あそしあ少額短期保険

株式会社justInCase

Mysurance株式会社

USEN少額短期保険株式会社

東急少額短期保険株式会社

ジェイコム少額短期保険株式会社

MICIN少額短期保険株式会社

リトルファミリー少額短期保険株式会社

ダブルエー少額短期保険株式会社

ミカタ少額短期保険株式会社

チューリッヒ少額短期保険株式会社

ニッセイプラス少額短期保険株式会社

あんしん少額短期保険株式会社

オリーブ少額短期保険株式会社

第一スマート少額短期保険株式会社

株式会社アシロ少額短期保険

アフラック少額短期保険株式会社

 

(注)上記各契約の有効期間は、無期限もしくは1年間~2年間であり、当事者の双方の合意もしくは当事者の一方の申し出により解約できます。期間のある契約は、当事者から何等の申し出がない場合は自動延長され、以後も同様です。

 

3.その他の契約

   当社グループは2022年6月30日にAVITA株式会社とアバター制作及び活用に関する基本合意書を締結いたしました。当該契約の概要は、AVITA株式会社が開発したアバターを当社が活用し、プロモーション等を展開するものであります。また、2023年7月1日に覚書を締結し、契約期間延長と業務内容を追加しております。

   当社グループは、アバター技術を活用した次世代コミュニケーションを通じて保険提案面談における新しいサービス価値の創造を行うべく2024年7月に出資契約を締結いたしました。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。