第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、以下を経営理念として、全てのステークホルダーの更なる発展に貢献して参ります。

 経営理念

企業価値向上に貢献する

Vitalize Company グループ

我々企業グループ全社は知的アスリート集団を目指します。

当社グループは常にもてる知識を結集し、創造力を発揮し、

最高品質のサービスでイノベーションとビタミンを社会に提供し続けます。

 

 共通施策・コンセプト

 当社グループの共通施策として、①ビジネスモデルの変革への対応、②提案力の強化、③人材育成に努めてまいります。また、当連結会計年度では、グループ共通コンセプト「Pro’s TeQ(プロズテック)」を掲げ、収益力(Profit)、営業力(Sales)、技術力(Technology)、品質力(Quality)を高めるために取り組んで参ります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、独立系システムインテグレーターとして、1990年の創業以来、30年を超える実績を積み重ねて、幅広いITサービスを提供してきました。

 システムインテグレーションサービスにおいては、大手メーカー、大手システムインテグレーターから各種の社会インフラ系基幹システム開発及び、ネットワーク基盤構築の受注を柱にしております。特に、公共(中央省庁、自治体)、通信(携帯キャリア)、金融(銀行、クレジット、保険)、エネルギー(電力、ガス)、運輸・物流の分野における開発実績とノウハウの蓄積を強みに、顧客との長期的な継続取引により安定した受注を確保しており、今後も安定的な成長を見込むことが可能であります。また、大手システムインテグレーターでは対応できない多くの中小規模事業者に向けて、生産性向上につながるシステム化コンサルティングサービスを提供するとともに、エンドユーザとの取引となるプライム案件の受注高を増加させるため、エンジニア社員のスキル底上げ、新技術分野の拡充及び、顧客満足度の向上にも取り組んでまいります。

 DXソリューションサービスにおいては、当社グループの自社プロダクトであるWisebook及びDynaCADの高収益ビジネスへの選択と集中により、新たなサービス、価値の創出を目指してまいります。Wisebookでは、紙からデジタルへのシフトを加速させるため、基本料0円から始められるデジタルブック配信サービス『Trend Tap』によるデジタルブックの普及とユーザ数の拡大を図り、教育に特化したクラウドサービス『Wisebook EdTech』の資格学校、企業研修等のリスキリングマーケットへの展開と、自治体と連携したGIGAスクール支援事業で教育環境DX化事業の拡大、さらには印刷や配送コストを減らし環境保全への貢献を目指してまいります。また、建設現場における足場図面のCAD製図サービスにおいて、新たに『DynaCAD CUBE』を活用した3D CADデータ提供サービスを開始し、国土交通省が推奨する3次元モデルの活用を積極的に推進するとともに、首都圏中心であったサービス提供を関西・九州地方でも展開することで、更なる収益拡大を目指してまいります。

 加えて、Wisebookでは、紙の消費量を削減できるというデジタルブックの特性を活かしたサービスを提供することで、ビジネスから日常までのデジタルシフトを支援し、カーボンニュートラル社会の実現に取り組んでいます。

 

(3)経営環境

 当社グループが属する情報サービス業界におきましては、労働人口の減少に伴い、企業活動における生産性の向上、コスト削減だけでなく、労働環境の変化への対応、ビジネスモデルの変革、顧客への新しい価値の創出など、企業競争力の強化にIT投資は必要条件になりつつあります。また、IT技術を活用したサービスの開発に携わる高度な専門知識やスキルを持つ人材の需要は、今後さらに高まることが予測されています。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、利益の株主の皆様への還元と社員への還元を図るために収益力の向上を目標としており、当期の目標達成状況を判断するため、システムインテグレーションサービスにおいて、売上高と人月工数を重要な経営指標としております。

 上記指標を重視する理由としては、期首に月次での売上目標を社員に提示しており、進捗状況の把握が容易であり未達の場合の度合いがわかりやすい点であります。また、工数については月次工数が増加することにより業務の拡大が明確になるためであります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが属する情報サービス業界においては、労働人口の減少に伴い、企業活動における生産性の向上、コスト削減だけでなく、労働環境の変化への対応、ビジネスモデルの変革、顧客への新しい価値の創出など、企業競争力の強化にIT投資は必要条件になりつつあります。また、IT技術を活用したサービスの開発に携わる高度な専門知識やスキルを持つ人材の需要は、今後さらに高まることが予測されています。

このような経営環境の下、当社グループは、2024年12月1日付けで完全子会社である株式会社システムイオを存続会社、同じく完全子会社である株式会社NetValueを消滅会社とする吸収合併を行いました。東京を中心に関東甲信越に事業展開している株式会社システムイオと、大阪を中心に福岡・名古屋にも事業展開している株式会社NetValueの2社の事業活動を統合することで、経営資源の集中と有効活用を図り、当社グループの主力事業であるシステムインテグレーションサービスの成長の加速と収益性の向上を目指してまいります。また、当社グループが得意とする公共、金融、通信、エネルギー、運輸物流の分野では、引き続き堅調なIT投資が見込まれるため、既存顧客との信頼関係を活かし、更なる取引規模拡大を目指すとともに、人材の確保、キャリア採用、高度技術者の育成とパートナー企業との連携強化により、高付加価値ビジネスへの変革を積極的に推進してまいります。

DXソリューションサービスにおいては、当社グループの自社プロダクトであるWisebook及び、DynaCADの高収益ビジネスへの選択と集中により、新たなサービス、価値の創出を目指してまいります。

また、当社は2022年4月の東証の市場再編に伴い、スタンダード市場に上場しております。現状では「流通株式時価総額」について上場維持基準を充たしていないことから、上場維持基準への対応も優先的に取り組むべき課題と捉えております。

 

① 人材の確保と育成

当社グループは、持続的な成長のため、人材の確保と育成に特に重点を置いており、新しい技術に適応することができ、変化し続けることができる人材の育成と、社員の多様性や個性を尊重した安心して働ける職場環境の整備を基本方針としています。

人材の確保については、新卒採用を主軸とし、海外人材の採用、他業種からのキャリアチェンジを含む育成枠を増員、業界未経験者や職業訓練生を積極的に採用し、前職の経験を活かせる職位を提供します。また、エンジニアとして多様な働き方ができる環境づくりを進めることで、年齢や家庭環境に応じた柔軟な就労条件を設けます。

育成については、新卒入社者及び未経験中途入社者向けのITエンジニア基礎研修を始め、階層別スキルアップ研修、キャリアデザイン研修、リーダー層へのマネジメント研修及び、資格取得支援など、教育体制の充実化に取り組んでまいります。また、AIやアジャイル開発を重点とした技術開発推進プロジェクトを編成し、高度な専門知識や先端的スキルを持つ高度技術者の育成に取り組みます。

 

② 自社商材ソリューションサービスの拡大

当社グループの自社商材であるWisebook、DynaCADの高収益ビジネスへの選択と集中を強化し、DXソリューションサービスの収益拡大を図ってまいります。

Wisebookでは、紙からデジタルへのシフトを加速させるため、基本料0円から始められるデジタルブック配信サービス『Trend Tap』によるデジタルブックの普及とユーザ数の拡大を図り、教育に特化したクラウドサービス『Wisebook EdTech』の資格学校、企業研修等のリスキリングマーケットへの展開と、自治体と連携したGIGAスクール支援事業で教育環境DX化事業の拡大、さらには印刷や配送コストを減らし環境保全への貢献を目指してまいります。また、建設現場における足場図面のCAD製図サービスにおいては、新たに『DynaCAD CUBE』を活用した3D CADデータ提供サービスにより、国土交通省が推奨する3次元モデルの活用を積極的に推進するとともに、首都圏中心であったサービス提供を関西・九州地方でも展開することで、更なる収益拡大を目指してまいります。

 

③ M&Aによる業容の拡大

当社グループは、事業拡大の効率的な手法の一つとしてM&Aを行っております。今後も、投資効果、対象企業の提供サービスにおける事業規模や成長性、当社グループとのシナジー効果を十分に検討したうえで、当社グループの企業価値向上につながるM&Aを進めてまいります。

 

④ スタンダード市場の上場維持基準への適合

当社は、2022年4月の東証の市場再編に伴い、スタンダード市場に上場しております。しかしながら、現状では「流通株式時価総額」については基準を充たしていないことから、流通株式時価総額の構成要素である時価総額の向上を中心に取り組み、2025年11月期末までに上場維持基準の適合を目指してまいります。

基準への適合に向けては、2025年11月期を最終年度とする中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)の重点施策である上記①~③を実施していくことで、業績拡大による時価総額の向上を図り、IRの強化と株主還元の充実にも努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、経営理念の「企業価値向上に貢献する Vitalize Company グループ」及びグループ経営ビジョンの「世界と戦える一流の知的アスリート集団を目指します」を掲げ、新しい時代に向けて、持てる最高の技術と情熱で、最高のサービスを提供し続け、すべてのステークホルダーの皆様の価値向上に貢献するため、よりグローバルなIoT活動を推進し、サステナブル社会の一員として責任を果たすことに取り組んでおります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ活動を推進するため、経営企画室を中心に施策の立案や目標達成状況のモニタリングを行い、取締役会においてサステナビリティに関する活動状況の報告や課題に関する議論を行っております。また、リスク管理については代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会においてリスクの評価、分析、対応方針の検討を行っており、これらの取組みを取締役会に報告する体制を整備しております。

 

(2)戦略

 当社グループは、企業としての持続的な成長を果たしていくため、法令・企業倫理の遵守を徹底するとともに、常に高い社会良識を持って行動する以下の「企業倫理・適法宣言」を定めています。

1.法令及び社内規程を遵守し、社会規範を尊重します。

2.互いの人権並びに多様性を尊重し、差別・嫌がらせ・ハラスメントを許しません。

3.取引先との適法・適正な取引、公明正大な自由競争の実現に努めます。

4.機密情報・個人情報は、法令及び社内規程に則り適切に管理します。

5.労働関連法令を厳格に守り、安全や衛星に配慮した職場環境や、ゆとりのある就業環境をつくり、労働災害の防止と従業員の健康維持に努めます。

6.違法な派遣や偽装請負とならないよう、雇用関係法令の順守を徹底します。

7.社会の秩序又は安全に脅威を与える反社会的勢力とは一切の関係を持ちません。

8.組織の自浄作用を向上させ、コンプライアンスを推進するために、内部通報窓口を社内及び社外に設置し、その積極的な活用に努めます。

9.企業倫理・法令遵守に向けて社内教育を繰り返し実施することにより、倫理・遵法思想の徹底を図ります。

 

 人的資本への投資について、当社グループは、持続的な成長のため、人材の確保と育成に特に重点を置いており、新しい技術に適応することができ、変化し続けることができる人材の育成と、社員の多様性や個性を尊重した安心して働ける職場環境の整備を基本方針としています。

 人材の確保については、新卒採用を主軸とし、大学卒、専門卒、高校卒及び海外人材の採用、他業種からのキャリアチェンジを含む育成枠を増員、業界未経験者や職業訓練生の採用を積極的に実施し、前職の経験を活かせる職位を提供します。また、エンジニアとして多様な働き方ができる環境づくりを進めることで、年齢や家庭環境に応じた柔軟な就労条件を設けます。

 人材の育成については、グループ全従業員を対象としたコンプライアンス教育、情報セキュリティ教育に加えて、新卒入社者及び未経験中途入社者向けのITエンジニア基礎研修を始め、階層別スキルアップ研修、キャリアデザイン研修、リーダー層へのマネジメント研修及び、資格取得支援制度の拡充や奨励金支給、受験費用のサポートなど、教育体制の充実化に取り組んでまいります。さらに、AIやアジャイル開発を重点とした技術開発推進プロジェクトを編成し、高度な専門知識や先端的スキルを持つ高度技術者の育成に取り組みます。

 知的財産への投資については、当社グループは主としてソフトウエア資産(無形固定資産)への投資を行っており、当社独自のソフトウエアサービスに関する技術、ブランド、デザイン、コンテンツ、データ、ノウハウを蓄積し、事業における知的財産の確保を図ってまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティを含む当社グループの事業展開に伴うリスクに適正かつ迅速に対処できるようにするため、リスク管理規程を整備し、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置しています。業務上のリスクを積極的に予見し、適切に評価するとともに、会社にとって最小のコストで最良の結果が得られるようにするため、リスクの回避、軽減および移転その他必要な措置を事前に講じるよう取り組んでおり、リスク・コンプライアンス委員会において、リスク情報の共有化を図り、グループ会社横断的な対策を推進することで、当社グループ会社のリスク管理の実効性を高めるよう取り組んでいます。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、人材育成と社内環境の整備を含むサステナビリティ関連のリスクと機会を長期的に評価し管理するため、次の指標を用いています。

指標

目標

2024年度実績

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度末まで20.0

15.6

男性労働者の育児休業取得率

毎年 100.0

42.9

労働者の男女の賃金の差異率

2025年度末まで85.0

83.0

有給休暇取得率

毎年  80.0

79.4

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関してのリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのような事業上のリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループは、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の回避に努めるとともに、発生した場合の的確な対応に努めてまいります。

 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため将来発生する可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)事業環境について

 当社グループの事業は、顧客企業によるIT投資動向によって影響を受ける傾向にあります。国内の経済情勢の変化や景気の悪化等により顧客企業のIT投資が減少した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、各種の社会インフラ系基幹システム開発及び、ネットワーク基盤構築の受注を柱にしております。特に、公共(中央省庁、自治体)、金融(銀行、クレジット、保険)、通信(携帯キャリア)、エネルギー(電力、ガス)、運輸・物流の分野における開発実績とノウハウの蓄積を強みに、顧客との長期的な継続取引により安定した受注を確保しており、特定業種に依存しないことで当該リスクの低減に努めてまいります。

 

(2)人材の確保について

 当社グループでは、継続的な新卒採用、即戦力である中途採用及び未経験者採用を行っており、優秀な人材の確保に努めております。優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社グループにとって重要であり、これに対して新卒採用や中途採用の促進及び研修制度の各施策を実施しておりますが、このような人材を採用又は育成することができない場合、また、人材の流出があった場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、多様な人材が活躍できる風土、人事制度、従業員が働きやすい環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、教育研修費予算を十分に確保し、階層別研修、ITスキル研修、資格取得支援など、教育・研修体制の充実化に努めてまいります。

 

(3)特定顧客への依存について

 当社グループのシステムインテグレーションサービスにおいては、長期にわたり、顧客との安定的な取引関係を築いています。2024年11月期において、当社グループの売上全体の10%以上を占める顧客は、株式会社日立社会情報サービス(15.0%)となっており、特定顧客の経営状況の変化や事業方針の変更が、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、既存顧客との関係を強化して継続的に受注を獲得するとともに、新規顧客の獲得にも注力してまいります。

 

(4)ビジネスパートナーの確保について

 当社グループは、システムインテグレーションサービスにおいて、顧客要請への迅速で適切な対応を実現し、機会損失を防ぐために、必要に応じてパートナー企業に外注しております。今後も事業を拡大するにあたり、万が一適切な技術者、外注先が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、パートナー企業との安定的な取引関係を保つとともに、パートナー企業の新規開拓を行ってまいります。

 

(5)価格競争について

 システムインテグレーションサービス業界においては、システムエンジニア等の人材不足や人件費の高騰等の原因により、海外でシステム開発や運用管理を海外事業者に委託する「オフショア開発」によるコスト低減を図る傾向にあります。顧客からの要望も相まって競争価格は激化の傾向が当面続くと考えられます。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、付加価値の高いサービスを提供することに努め更に、「ニアショア開発」等による低価格競争への対応も図ってまいります。しかしながら更なる価格の競争の激化が続く場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)労務管理について

 システムインテグレーションサービスのプロジェクトにおいては、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、予想外のトラブルや開発環境等の変化が生じた場合、品質や納期を遵守するため一時的に長時間労働が発生することがあります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、長時間労働の発生を未然に防ぎ、従業員の健康を損なうことがないよう、労務管理体制を整備しておりますが、やむを得ない事情により長時間労働が発生した場合には、システム開発の生産性の低下や従業員の士気の低下等により、社会的・法的な労務問題につながり、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)不採算プロジェクトの発生について

 システムインテグレーションサービスのプロジェクトにおいては、対価や納期を定めた請負契約において、納期遅延や開発工数の増加等による追加コストや、納品後に不具合等が発生した場合には、不具合の対応・修正による追加コストにより、不採算プロジェクトが発生する可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、対価や納期を定めた請負契約によるプロジェクト案件を受託するにあたり、プロジェクト判定会議等により発生が見込まれるコストやリスクを判定しております。また、ISO9001の認証を取得し製品やサービスの品質向上に取組んでおり、プロジェクトの進捗管理の徹底と品質レビューを行うことで未然防止に努めております。しかしながら、予測できない要因により、採算が大幅に悪化したプロジェクトが発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権の対応について

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することがないよう常に留意しております。当連結会計年度末現在において、過去に第三者から知的財産権の侵害に関して訴訟を提起されたことはありません。しかしながら、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。そのような事態が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、サービス等の提供前に開発又は提供予定の技術や製品が他社の特許に抵触していないかを確認する調査を行う他、弁理士などの専門家に調査を依頼することにより、その防止に努めております。

 

(9)情報セキュリティ管理について

 当社グループは業務に関連して個人情報・機密情報を取扱う場合があります。当社グループではISMS(ISO/IEC27001)やプライバシーマークの認証を取得し、全社的にセキュリティ対策に取り組んでおります。当連結会計年度末現在においては、個人情報及び機密情報の漏洩は確認されておりませんが、今後不正アクセスその他により、情報漏洩が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜や顧客との取引停止、損害賠償請求等により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、情報セキュリティ方針に基づき、情報セキュリティ管理規程及びセキュリティガイドラインを定め、情報の適切な管理を行うとともに、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めています。また、外敵からの脅威に対する施策としては、ファイヤーウォール、ウイルス対策ソフト等を導入し、安全性の高い情報システム体系の構築に努めております。

 

(10)ストック・オプションの権利行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社グループの役員及び従業員に対するストック・オプションを発行しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、新株式が発行されることによって株式価値及び議決権割合が希薄化される可能性があります。当連結会計年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は54,400株であり、発行済株式総数の2.6%に相当しております。

 

(11)自然災害・パンデミック等について

 地震、風水害等の自然災害や、感染症によるパンデミックの発生、戦争、テロ等により当社グループにおいて人的又は物理的被害が発生した場合、又はコンピュータネットワーク等に障害が発生した場合は、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生等を想定したリスク管理体制の整備を実施しております。

 

 

(12)配当政策について

 当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%以上を目安に安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。しかしながら、業績の低迷等により安定的な配当を維持できなくなる可能性があります。

 

(13)コンプライアンスについて

 当社グループは、システムの受託開発などにおいてクライアント内にプロジェクトチームを編成して開発業務を行なう場合等において、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)」「職業安定法」「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「著作権法」、「不正競争防止法」などの関係法規の適用を受けます。当社グループでは関係法規の遵守につとめておりますが、法的規制の変更があった場合又は法令に違反した場合等、当社が的確に対応できなかった場合には、当社グループの事業活動が制限されるとともに、当社グループの信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後事業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えており、「コンプライアンス規程」、「リスク管理規程」を策定し、全役員及び全従業員に対しコンプライアンス重視の経営を徹底しておりますが、コンプライアンスリスクを完全に排除することは困難であるため、今後の当社グループの事業運営に関して他の法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの企業価値が毀損し、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、グループ全従業員に対し、法令や社内規程を遵守するよう、教育・研修などを通じた啓発活動を行うことにより従業員のコンプライアンス意識を高めるとともに、社内外通報窓口の設置によりコンプライアンス違反の把握と未然防止に努めております。

 

(14)許認可について

 当社グループは、顧客先に従業員を派遣してシステム開発等を行う場合があるため、労働者派遣事業者として厚生労働大臣の許可等を受け事業を行っております。当社グループの許可・届出状況については以下のとおりであります。

取得・登録者名

許可名称及び所管官庁

許可番号

取得年月

有効期限

株式会社システムイオ

労働者派遣事業許可 厚生労働省

派 12-300921

2018年7月1日

2026年6月30日

株式会社エーピーエス

労働者派遣事業許可 厚生労働省

派 13-316661

2023年6月1日

2026年5月31日

 当社グループは、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可を厚生労働大臣から取得して事業を行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業者として欠格事由(派遣法第6条)に該当した場合や当該許可の取消事由(派遣法第14条)に該当した場合には、許可の取り消しや事業の全部又は一部を停止できる旨を定めております。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、労働者派遣契約及び業務請負契約の締結時、プロジェクト運営時のチェック体制を整備いたしました。また、定期的にコンプライアンス研修をグループ全従業員向けに実施しております。これらにより再発防止の徹底に努めておりますが、万一、当社グループ各社にて、重大な法令違反が発生し、許可の取り消し、又は事業の停止を命じられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、現在そのような事由は発生しておりません。

 

(15)M&Aについて

当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を目的として、M&Aを効率的な手法の一つとして考えております。M&Aにおいては、対象会社の事業環境や競合状況の変化等により当初の事業計画の遂行に支障が生じる可能性、対象企業の顧客基盤や主要な従業員の流出等により当初見込んだシナジーが期待できない可能性があり、これらによる対象企業の業績悪化によりのれん等の減損等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、M&A検討段階において、法務・会計等の有識者による第三者評価及びデューデリジェンスを実施し、事前にリスクの把握とその対応策を踏まえて意思決定することに加え、M&A後においては、適切なPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:合併・買収後の統合プロセス)を実施することにより、当該リスクの回避又は低減に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の総資産は2,442,674千円となり、前連結会計年度末と比べて168,380千円の増加となりました。流動資産は1,841,058千円となり、前連結会計年度末と比べて207,989千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加221,607千円によるものであります。固定資産は593,042千円となり、前連結会計年度末と比べて39,685千円の減少となりました。これは主に顧客関連資産の減少16,780千円、のれんの減少14,405千円、ソフトウエア仮勘定の減少33,487千円及び、ソフトウエアの増加21,937千円によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は1,778,770千円となり、前連結会計年度と比べて56,291千円の増加となりました。流動負債は1,037,863千円となり、前連結会計年度末と比べて80,125千円の増加となりました。これは主に1年以内返済予定の社債の増加50,000千円及び、未払費用の増加48,665千円によるものであります。固定負債は740,906千円となり、前連結会計年度末と比べて23,834千円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少32,392千円によるものであります。

(純資産)

純資産は663,904千円となり、前連結会計年度末と比べて112,089千円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益124,639千円の計上及び、配当金の支払いによる利益剰余金の減少15,835千円によるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(2023年12月1日から2024年11月30日)におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の復調や雇用・所得環境の改善など、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、世界的な地政学リスクの長期化に伴う資源価格の高騰及び円安進行による物価高騰や金融政策の変動等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属する情報サービス産業におきましては、引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、あらゆる産業において、企業の競争力強化のためのIT投資意欲は拡大していくことが見込まれております。

このような環境の下、当社グループは、2022年12月にスタートした中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)の2期目として、重点施策である①人材の確保と育成、②自社プロダクトソリューションサービスの拡大を中心に取り組み、システムインテグレーションサービスにおいては、引き続き堅調な受注が見込まれる「公共」「金融」「エネルギー」「運輸物流」分野のニーズを背景に、人材の確保、キャリア採用、高度技術者の育成を推進するとともに、パートナー企業との連携強化及びグループ企業による共同提案、共同開発などのシナジー効果を高め、高付加価値ビジネスへの変革を推進しております。また、当年4月には、長引く物価高騰を受けて2期連続となるベースアップに伴う賃上げ(グループ平均賃上げ率は4.9%)を実施、賞与などの従業員還元及び、スキルアップ研修、資格取得支援など、教育体制の充実化による人的資本への投資を継続して実施しております。

DXソリューションサービスにおいては、当社グループの自社プロダクトであるWisebook及びDynaCADの高収益ビジネスへの選択と集中を強化し、デジタルマーケティングと建築・土木CADの分野において、多様化する顧客ニーズに対応し、顧客のDX推進をサポートする新たなサービスを提供することで、受注拡大と収益力向上に取組んでまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は5,240,301千円(前期比9.5%増)、売上総利益は1,175,986千円(同10.8%増)、営業利益は197,339千円(同134.4%増)、経常利益は187,863千円(同98.3%増)、また、賃上げ促進税制の適用により法人税等の負担が軽減され、親会社株主に帰属する当期純利益は124,639千円(同162.3%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、985,487千円となり、前連結会計年度末と比べて221,007千円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は354,775千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額187,835千円、減価償却費の計上額88,440千円、法人税等の支払額80,551千円、未払費用の増加額48,683千円の資金増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は70,768千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出65,415千円の資金減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は62,999千円となりました。これは主に、社債の発行による収入296,625千円、社債の償還による支出240,000千円、長期借入金の返済による支出105,123千円、長期借入金の借入による収入100,000千円、短期借入金の減少額100,000千円の資金減少によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注状況

 当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

販売高(千円)

前期比(%)

システムインテグレーションサービス

4,550,007

109.9

DXソリューションサービス

690,293

106.9

合計

5,240,301

109.5

 (注)1.当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の実績を記載しております。

2.サービス間の取引については、相殺消去しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社日立社会情報サービス

637,012

13.3

786,477

15.0

富士通株式会社

554,743

11.6

519,996

9.9

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況について連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルスによる影響は軽微であると判断し見積りを行っております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上高は5,240,301千円(前期比9.5%増)となり、売上総利益は1,175,986千円(同10.8%増)となりました。

主力のシステムインテグレーションサービスは、公共、金融、通信、エネルギー、運輸物流等の分野を中心に、システム導入のコンサルティングから、システム設計、開発、環境構築、稼働支援、稼働後の運用・保守までを手掛けており、特に社会インフラ系の基幹システム開発及び、ネットワーク基盤構築を柱として、安定した受注の確保を実現しています。当期は、主要顧客からの受注が引き続き堅調に推移したことに加え、新規顧客開拓による受注案件の拡大とそれに伴う要員の確保、受注単価アップや高利益率案件へのシフトが好調に推移するとともに、大型案件受注による運輸物流分野での売上が拡大しました。また、エンドユーザとの取引となるプライム案件の受注高を増加させるため、エンジニア社員のスキル底上げ、新技術分野の拡充及び、顧客満足度の向上にも取り組んでまいりました。それらの結果、システムインテグレーションサービスの売上高は、4,550,007千円(前期比9.9%増)となり、過去最高売上高を更新しました。

また、DXソリューションサービスは、デジタルマーケティング、図面DXソリューション、クラウドソリューションの3つのソリューションサービスを行っております。当期は、自社プロダクトであるWisebook及びDynaCADの高収益ビジネスへの選択と集中を戦略的に推進したことで、クラウドソリューションの売上高は縮小したものの、デジタルマーケティング及び、図面DXソリューションの売上高が拡大したことから、売上高は690,293千円(前期比6.9%増)となり、過去最高売上高を更新しました。

各ソリューション別の状況は以下のとおりであります。

a.デジタルマーケティング

デジタルマーケティングは、デジタルブックの制作・配信並びに、紙媒体の電子化サービス、電子書籍化サービス、社内文書管理サービス、教育現場での電子教科書への対応及び、閲覧データ解析によるマーケティングツールとしても活用できるWisebookのサービスを提供しております。当期は、新サービスとして、基本料0円から始められるデジタルブック配信サービス『TrendTap powered by Wisebook』、新規顧客開拓におけるマーケティング活動をサポートする『MA Tree』をリリース、『Wisebook EdTech』の機能追加と教育機関向けテキスト教材出版社との協業開始、新たに6つの言語に対応し計10か国の多言語対応とするなど、新規ニーズの開拓と新規ユーザの獲得に注力するとともに、既存ユーザのWisebookバージョンアップ案件の受注が順調に推移したことにより、売上高は217,642千円(前期比22.6%増)となりました。

b.図面DXソリューション

図面DXソリューションは、CADソリューション(2次元汎用CADであるDynaCADシリーズ開発・販売や自治体の電子化に伴うコンサルティング、紙図面の電子化サービス及び、3次元CADに対応した「DynaCAD CUBE」の開発・販売)、ドローンソリューション(ドローン操縦技術者講習サービス)及び、建設工事現場における足場の仮設計画図・外壁下地調査図などのCAD製図サービスを提供しております。当期は、DynaCAD製品の保守契約による売上及び紙図面の電子化サービスの売上が堅調に推移したことに加え、新たに足場図面の3D CADデータ提供サービスを開始するなど、建設現場におけるDX推進支援を積極的に進めてまいりました。それらの結果、売上高は380,738千円(前期比7.5%増)となりました。

c.クラウドソリューション

クラウドソリューションは、認証ソリューション(3D顔認証を始めとした生体認証機器の販売及び入退管理システム、勤怠管理システム、食事予約システムとの連携などによる総合クラウド認証サービス)及び、中小規模事業者向けシステムソリューション、自社クラウドサービスを利用したシステムサービスを提供しております。当期は、自社プロダクトへの選択と集中のため営業規模を縮小、「The Meal」「自治体申請ナビ」「駐輪場管理システム」などのクラウドサービスを中心とした事業 を展開したことにより、売上高は91,912千円(前期比19.4%減)となりました。

売上原価及び売上総利益につきましては、長引く物価高騰を受けて2期連続となるベースアップに伴う賃上げ(グループ平均賃上げ率は4.9%)を実施、賞与などの従業員還元及び、スキルアップ研修、資格取得支援など、教育体制の充実化による人的資本への投資を継続して実施した一方、新規顧客開拓による受注案件の拡大と、それに伴う要員の確保、受注単価アップや高利益率案件等へのシフトに注力したことで、売上原価は4,064,314千円(前期比9.1%増)となり、売上総利益は1,175,986千円(前期比10.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当社グループの販売費及び一般管理費は、人件費、賃借料、支払手数料が7割以上を占めております。当期は、広告宣伝等営業投資の見直し、前期発生したM&A費用の減少などにより、販売費及び一般管理費は978,646千円(前期比0.1%増)となり、営業利益は197,339千円(前期比134.4%増)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益は、人材開発支援助成金などの助成金収入が6割以上を占めており、当期は9,859千円(前期比53.8%減)となりました。営業外費用は、金融機関からの借入金等に係る支払利息、社債利息が5割以上を占めており、当期は19,335千円(前期比79.4%増)となりました。この結果、経常利益は187,863千円(前期比98.3%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、賃上げ促進税制の適用により法人税等の負担が軽減され、法人税、住民税及び事業税は73,873千円となり、また、繰延税金資産を計上したことにより法人税等調整額△10,677千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は124,639千円(前期比162.3%増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等の支払いを目的とした運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、案件の都度、金融機関からの借入又は新株発行による資金調達の検討を行っております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

当社グループの売上高の8割以上はシステムインテグレーションサービスとなっております。システムインテグレーションにおいては、基準生産性を基にした工数管理が一般的な指標であることから、人月工数と売上高を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における上記指標は、人月工数の年間合計は6,778工数(前期比3.7%増)であり、その結果、売上高は4,550,007千円(前期比9.9%増)となりました。

 これらの指標につきましては、引き続き改善できるよう努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(共通支配下の取引等)

当社は、2024年9月13日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社システムイオを存続会社、当社の連結子会社である株式会社NetValueを消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で吸収合併契約を締結し、2024年12月1日付で吸収合併を行いました。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループの株式会社ビーガルでは、国土交通省が推進する「CIM導入ガイドライン(注)」におけるロードマップに合わせて、現行のDynaCADシリーズ及び、3次元CAD「DynaCAD CUBE」機能拡張のための研究開発を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は4,300千円となっております。

なお、当社グループの事業は情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(注)「CIM(Construction Information Modeling, Management)導入ガイドライン」とは、国土交通省が推進している取り組みであり、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて、事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産システムの効率化・高度化を図ることを目的とした取組みであります。