【注記事項】

(継続企業の前提に関する事項)

当社は、令和元年11月期以降、前期まで5期継続して営業損失及び経常損失を計上していた。当期においては黒字転換を果たしたが、安定的な利益の獲得には至っておらず、当社には引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。

当社は、このような状況を解消し、健全な企業活動を継続するために、「中期経営計画2026」に基づき以下の点を重点項目として取り組んでいる。

 

① 繊維機械事業の受注・売上、採算性向上

「中期経営計画2026」では産業資材、高級スポーツブランド、一般衣料の3つの市場をターゲットとし、売価改善と原価低減を両立し、低操業度でも利益確保できる体制を構築すべく施策を進めている。具体的には下記の取り組みを進めている。

a. エアジェットルーム ZAX001neo Plusの販売促進

従来機種比で消費電力量15%削減を実現したZAX001neo Plusにて、新たな価値観を提案し、拡販に努める。

b. ウォータジェットルームの販売強化と中国内需向けボリュームゾーンの市場確保

中国においては、中国国内ブランドの高級スポーツカジュアル分野が好調であり、大手企業の設備計画が具体化し受注を積み上げた。現在も大型案件の引き合いが継続している。一方で欧州の大手アパレルブランドの脱中国を背景にしたインド、バングラデシュ、台湾、ベトナムからの引き合いも続いている。

c. 準備機械の性能向上

サイジングマシン(準備機械)は、より付加価値の高い製品を提供できるよう、客先の質問・要望に対し設計開発へフィードバックしている。また産業資材向けの仕様の充実を進め、受注の積み上げを図っている。

d. 産業資材分野への取り組み、販売促進

エアバッグ、タイヤコード、フラットヤーン、医療用基布といった既に実績ある分野に加え、オーニング、広告バナー、パラシュートなど新たな分野も加え、欧米・中国を中心に販促中である。ITMA ASIA+CITME2024上海においても反響があった。エアバッグは中国市場において受注を積み上げ、タイヤコードも引き続き増設の商談中である。炭素繊維向けレピアルームについては、海外からの引き合いが増加中である。

e. 販売価格の更なる改善とコストダウンによる収益性向上

客先の声に応えた製品性能を追求するとともに、原材料やエネルギーコストを反映した適正な価格での販売を行い、また関連部門との連携を密にしたDXに取り組み、生産効率や業務効率、納期管理の向上を推し進めていく。

 

② 工作機械関連事業の受注・売上の拡大、採算性向上

「中期経営計画2026」では市場ニーズに応えるべく事業・製品の多角化を目指している。今後需要が増えると予想される業種、また自動化へのニーズに対応した製品の販促を進める。当期は日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)において様々な新製品の展示・アプリケーションの提案を行い、要求が強くなっている自動化・省人化ニーズに対応した製品開発を進めた。

a. 自動車業界の駆動要素の多様化に対応したNC円テーブルの販売促進

EVシフトには一服感が見られるが、将来的には駆動要素の一つとなることは必至である。

ワーク素材や加工技法が今後多様化するにあたり、それに対応したNC円テーブルを市場投入している。NC円テーブルの通常の機能である切削に加え旋削機能を付加したモデル、ワークや治具の大型化に対応したモデルは既に販促活動を行っており、海外市場を中心に販売実績を積み上げている。

b.新しい産業分野・加工技術・省人化に対応する新製品の迅速な開発と市場投入

今後拡大が見込まれる航空宇宙産業やクリーンエネルギー発電などでは、既に開発・市場投入済である当社が得意とする大型NC円テーブルの需要があり、短納期で供給できる社内体制ができている。現在データセンター用のバックアップ電源供給として大型ディーゼルエンジンの需要が増加傾向にあり、その部品加工用に大型NC円テーブルの需要増加が見込まれる。また医療用機材加工用として開発した製品のリニューアル化を行い、北米向けに順調に売上を続けている。

 

c. 新分野への取り組み

昨秋に開催された日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)で出品した小型加工機は、積層造形後の仕上げ加工や、試作など様々な分野での活用が期待される。また、NC円テーブルの回転軸駆動要素を活かしたバリ取り機についても今後改良を加え、販促を進めていく。また工作機械の拡張機能を高める周辺機器の開発にも着手し、今後も新製品の投入を続けていく。

 

③ キャッシュ・フロー確保に向けた対応策

資金計画については、令和7年度の通期予算を基礎に策定している。通期予算等は、最近の受注高及び受注見込額の推移、過去の売上の推移による趨勢を検討の上、収益予測を行っている。また、費用面においても通期予算を基に計算しているが、更なるコストダウンの遂行、経費節減の徹底によって改善を図っていく。なお、資金計画には主要金融機関からの借入更新が含まれている。

取引金融機関とは、定期的に資金計画及び中期経営計画の進捗状況の説明を行うなど、緊密な関係を維持している。

また、売却の意思決定を行った政策保有株式について、相手企業との同意の内容や株式相場を勘案したうえで売却を実施していく。

 

以上の対応策に取り組んでいるが、これら対応策の実現可能性は、国際情勢の動向、原材料価格等の仕入れ価格、海上運賃等の諸経費の高騰や部品の突発的な長納期化などの外部要因に影響を受け、業績回復による黒字の安定的な計上が遅延し、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。

なお、当社の財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響は財務諸表に反映していない。

 

 

(重要な会計方針)

1 有価証券の評価基準及び評価方法

(1) 子会社株式及び関連会社株式

移動平均法による原価法

(2) その他有価証券

市場価格のない株式等以外のもの

時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)

市場価格のない株式等

移動平均法による原価法

 

2 棚卸資産の評価基準及び評価方法

(1) 製品、仕掛品……個別法による原価法

(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算出)

(2) 半製品、原材料、貯蔵品…移動平均法による原価法

(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算出)

 

3 デリバティブ取引の評価基準及び評価方法…時価法

 

4 固定資産の減価償却の方法

(1) 有形固定資産

定率法によっている。

ただし、平成10年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)、平成28年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法を採用している。

なお、主な耐用年数は次のとおりである。

建物      3~50年

構築物     7~50年

機械及び装置  7~12年

車両運搬具     4~6年

(2) 無形固定資産

定額法によっている。

なお、自社利用のソフトウェアについては、社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法によっている。

 

 

5 引当金の計上基準

(1) 貸倒引当金

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上している。

(2) 受注損失引当金

受注契約に係る損失に備えるため、当事業年度末において将来の損失が見込まれ、当該損失額を合理的に見積もることができるものについて、翌事業年度以降の損失見込額を計上している。

(3) 退職給付引当金

従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、当事業年度末において発生していると認められる額を計上している。

①退職給付見込額の期間帰属方法

退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっている。

②数理計算上の差異の費用処理方法

数理計算上の差異は、各事業年度の発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により、それぞれ発生の翌事業年度から費用処理している。

(4) 製品保証引当金

出荷済み製品の部品交換費用等に充てるため、今後必要と見込まれる金額を計上している。

(5) 環境対策引当金

主として環境対策に伴い発生する処理費用の支出に備えるため、期末においてその金額を合理的に見積もることができる処理費用について、翌事業年度以降に発生が見込まれる金額を計上している。

 

6 収益及び費用の計上基準

当社の顧客との契約から生じる収益に関する主要な事業における主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下の通りである。

繊維機械事業

繊維機械事業においては、織機、準備機、繊維機械部品装置の製造および販売を主な事業とし、これらの製品の販売について国内向けは製品の据付完了時点において、海外向けは製品の船積み時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、国内向けは主として製品の据付完了時点で、海外向けは主として製品の船積み時点で収益を認識している。

工作機械関連事業

工作機械関連事業においては、工作機械アタッチメントの製造および販売を主な事業とし、これらの製品の販売について国内向けは製品の出荷時点において、海外向けは製品の船積み時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、国内向けは主として製品の出荷時点で、海外向けは主として製品の船積み時点で収益を認識している。

 

 

7 ヘッジ会計の方法

(1) ヘッジ会計の方法

繰延ヘッジ処理を採用している。

なお、為替予約が付されている外貨建金銭債権債務等については振当処理を行っている。

(2) ヘッジ手段とヘッジ対象

ヘッジ手段…為替予約

ヘッジ対象…外貨建金銭債権債務、外貨建予定取引

(3) ヘッジ方針

外貨建取引における為替変動リスクを回避する目的で、輸出入に伴う実需の範囲内で為替予約取引を行っている。

投機目的やトレーディング目的での取引は一切行わない方針である。

(4) ヘッジ有効性評価の方法

為替予約は、相場変動額をヘッジ期間全体にわたり比較し、有効性を評価している。

 

8 その他財務諸表作成のための重要な事項

  退職給付に係る会計処理

退職給付に係る未認識数理計算上の差異の会計処理の方法は、連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なっている。

 

 

(重要な会計上の見積り)

 1.棚卸資産の評価

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

製品

3,930

3,111

仕掛品

664

863

原材料及び貯蔵品

1,541

1,588

 

 

(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載した内容と同一である。

 

 2.固定資産の減損

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

 

 

(百万円)

 

前事業年度

当事業年度

有形固定資産

6,617

6,226

無形固定資産

263

94

減損損失

 

 

(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

当社は管理会計上の区分により、主として工場別にグルーピングを行っている。減損の兆候を識別した資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合、減損損失を認識する。減損損失を認識すべきと判定された資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額する。

回収可能価額は、正味売却価額と使用価値により算定している。正味売却価額は不動産鑑定士による不動産鑑定評価額等に基づいて算定しており、不動産鑑定評価には複数の見積手法が存在し、その選択には判断が伴っている。使用価値は、令和6年度通期予算等に基づいて算定しており、当該通期予算は直近の受注高及び受注見込額、製品ごとの変動費及び固定費の費用予測等の仮定を用いて算定している。また、資産の耐用年数等一定の仮定を用いて算定している。

 

 

(貸借対照表関係)

※1 担保資産及び担保付債務

担保に供している資産及び担保付債務は次のとおりである。

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

建物

1,722百万円

1,583百万円

機械及び装置

95

89

土地

2,049

2,049

3,867

3,722

 

 

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

短期借入金

780百万円

780百万円

長期借入金

3,150

2,370

3,930

3,150

 

 

※2 関係会社に対する資産及び負債

区分表示されたもの以外で各科目に含まれている関係会社に対する資産及び負債は次のとおりである。

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

短期金銭債権

2,174百万円

2,621百万円

短期金銭債務

339

354

 

 

3  保証債務

関連会社の金融機関等からの借入債務に対し、保証を行っている。

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

津田駒機械製造(常熟)有限公司

560百万円(27,413千人民元)

472百万円(23,070千人民元)

 

 

4  輸出手形割引高

 

 

 前事業年度
 (令和5年11月30日

 当事業年度
 (令和6年11月30日

輸出手形割引高

226

百万円

百万円

 

 

※5 財務制限条項

当社の短期借入金及び長期借入金の一部について、貸借対照表の純資産の部の金額及び損益計算書の経常損益の金額に、財務制限条項が付されており、借入金残高は次のとおりである。

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

短期借入金

300百万円

300百万円

長期借入金

1,350

1,050

1,650

1,350

 

 

 

※6  期末日満期手形等の会計処理

期末日満期手形等の会計処理については、手形交換日等をもって決済処理している。

なお、当事業年度末日が金融機関の休日であったため、次の期末日満期手形等が、期末残高に含まれている。

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

受取手形

-百万円

86百万円

支払手形

20

未払金

497

 

 

 

(損益計算書関係)

※1  各科目に含まれている関係会社に対するものは、次のとおりである。

 

 

前事業年度

(自  令和4年12月1日

至  令和5年11月30日)

当事業年度

(自  令和5年12月1日

至  令和6年11月30日)

売上高

1,872百万円

1,872百万円

仕入高

2,784

2,557

その他の営業取引高

1,292

1,243

営業取引以外の取引高

43

49

 

 

※2 販売費及び一般管理費の主要な費目及び金額は次のとおりである。

 

 

前事業年度

(自  令和4年12月1日

至  令和5年11月30日)

当事業年度

(自  令和5年12月1日

至  令和6年11月30日)

販売手数料

865

百万円

741

百万円

荷造運搬費

1,359

 

1,083

 

業務委託費

563

 

590

 

給料及び手当

754

 

728

 

賞与

104

 

126

 

退職給付費用

99

 

73

 

旅費及び交通費

320

 

326

 

減価償却費

229

 

220

 

環境対策引当金繰入額

 

39

 

 

 

おおよその割合

 

 

前事業年度

(自  令和4年12月1日

至  令和5年11月30日)

当事業年度

(自  令和5年12月1日

至  令和6年11月30日)

販売費

約41%

約38%

一般管理費

約59%

約62%

 

 

 

(有価証券関係)

前事業年度(令和5年11月30日)

子会社株式及び関連会社株式は、市場価格のない株式等のため、時価を記載していない。

なお、子会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりである。

 

 

区分

前事業年度
(百万円)

子会社株式

1,832

 

 

当事業年度(令和6年11月30日)

子会社株式及び関連会社株式は、市場価格のない株式等のため、時価を記載していない。

なお、子会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりである。

 

 

区分

当事業年度
(百万円)

子会社株式

1,832

 

 

(税効果会計関係)

1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

繰延税金資産

 

 

税務上の繰越欠損金

3,860百万円

3,781百万円

退職給付引当金

1,008

988

賞与引当金

74

90

貸倒引当金

557

601

棚卸資産評価損

221

230

関係会社株式評価損

733

733

その他

228

204

繰延税金資産小計

6,685

6,632

税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額

△3,860

△3,781

将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額

△2,825

△2,850

評価性引当額小計

△6,685

△6,632

繰延税金資産合計

 

 

 

繰延税金負債

 

 

 その他有価証券評価差額金

△138

△52

 前払年金費用

△336

△422

繰延税金負債合計

△475

△475

繰延税金資産(負債)の純額

△475

△475

 

 

 

2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳

 

 

前事業年度
(令和5年11月30日)

当事業年度
(令和6年11月30日)

 法定実効税率

30.5%

(調整)

 

 

交際費等永久に損金に算入されない項目

1.3%

受取配当金等永久に損金に算入されない項目

△0.7%

評価性引当額の増減

3.6%

繰越欠損金

△11.2%

住民税均等割等

1.8%

その他

0.4%

   税効果会計適用後の法人税等の負担率

25.6%

 

 (注) 前事業年度については、税引前当期純損失を計上しているため記載していない。

 

(収益認識関係)

   顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報

   「注記事項(重要な会計方針)6 収益及び費用の計上基準」に記載のとおりである。

 

(重要な後発事象)

 該当事項はない。