文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、人や企業が世の中に生み出す「価値」とそれに対して得られる「対価」の2つが等しい社会を
実現することを経営ビジョンとしております。そのために、中長期経営方針として成果報酬型コンサルティング・サービス及びその他BtoBサービスの拡充を掲げております。
(2)経営環境等
当社グループの主要な事業領域であるコンサルティング市場におきましては、顧客企業における慢性的な人材不足、インフレ進行、ウクライナ及びロシアの情勢により顕在化した地政学的リスクの懸念、米国の金利上昇による円安進行等、先行き不透明な経済情勢もあり、コスト削減はもとより企業活動を様々な面から支援するコンサルティング・サービスのニーズは引き続き高いものと認識しております。
このような経営環境のもと、当社グループとしては報酬体系の改定、インフレ状況下においても継続的なサービス提供を行うための柔軟な報酬体系の導入、営業パートナーの拡充及びリレーション強化、営業プロセスの見直しにより受託活動の推進に努めてまいりました。また、固定報酬型のコンサルティング・サービスにおいて有償契約の前に「投資フェーズ」を設ける新たなコンサルティング・サービスのモデルを確立すべく、提供を開始しました。
(3)優先的に対処すべき課題
① コンサルティング品質の向上
当社グループは、主にコストマネジメントの領域において成果をクライアントと共有する成果報酬型コンサルティング・サービスを提供しております。プロジェクト期間の短縮及びサービス品質の向上に努め、クライアントの満足度向上からリピート率(クロスセル)の向上へとつなげてまいります。また、複雑化するコスト削減/企業改革ニーズに対応すべく固定報酬型コンサルティング・サービスを拡充し、ハンズオンにて策定から実行まで一気通貫でサービス提供しております。固定報酬型コンサルティング・サービスは、プロジェクトによって提供する知見や難易度が異なるため、メンバーの能力を高めることはもとより、クライアントサーベイの実施及び分析により、クライアントの満足度向上からリピート率(アップセル)の向上へとつなげてまいります。
② 優秀な人材の採用と育成
当社グループの事業の中核である経営コンサルティング・サービスの提供を行うためには、高い能力を有する人材が必要になります。コンサルティング事業は知識集約型のビジネスであり、持続的な成長及び発展をしていくためには、常にメンバーの能力を高めるという質的向上と高い能力を有する人材を獲得するという量的拡大の両方の施策が必要であります。質的向上については、充実した研修プログラムやコンテストを設けてビジネススキルの向上を図るとともに、多様性を重んじて個人の成長を最大限に引き出しております。量的拡大については、リクルーティングの方法として、多様なリクルーティングチャネル及びリファーラルを活用しております。また、社内環境は、メンバーへのストック・オプション制度の導入の検討、多様な価値観を認め合える社風、安心して働きやすい環境・待遇の整備に努めてまいります。
③ 大企業への営業力
当社グループにはコンサルティング・サービスを通じて、これまで積み重ねてきた実績とパートナー陣の幅広い人的ネットワークがあり、プロジェクトの受注においても奏効しております。今後は企業として組織的に営業活動を行うべく、会社としての実績を着実に一つ一つ積み重ね、ブランディングを踏まえた広報活動を通して、企業としての信用を向上させることが必要と考えております。BtoBビジネスに必要な認知度向上のために随時セミナーや出版を行い、マスコミとも良好な関係を構築することで、当社グループの知名度向上を図る方針であります。
④ ストレス耐性を意識したビジネスモデルの構築と深化
原材料価格の高騰等の世界的なインフレ水準、ウクライナ情勢、米国の金利上昇による急激な円安進行等、先行きが不透明な状況が続く経済環境において、当社では様々な経済的ストレスに柔軟に対処可能な、新たなビジネスモデルの構築や既存ビジネスの深化に取り組むことが必要であると認識しております。
⑤ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制
当社が継続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスの更なる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスについては、経営の効率性、健全性を確保すべく、監査体制及び内部統制システムの整備により充実を図っております。また、内部管理体制については、管理部門の増員を実施しておりますが、適時開示の重要性が高まる中、一層の体制強化が必要であると認識しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社では、「価値=対価」をビジョンとし、事業においては成果測定を浸透させることで報酬体系を明瞭化し、従来コンサルティングが受けづらかった企業へもコンサルティングサービスを届けることを可能としてきました。また、バリューには「COMPASSION」=「多様性を受け入れ、敬いと思いやりを持って人々に接する」があり、社内・社外含めて多様性を受け入れ対応する文化が根付いています。このように、多様な人材による透明性の高い事業を提供することが当社の存在意義でもあり、持続的にサービス提供を続けるためにはサステナビリティ課題への対応は必須となっています。
また、取締役会においてもサステナビリティ関連課題への対応は重要課題と認識しており、重要課題の特定について検討を開始しており、今後適切に情報開示を行う予定です。
(1)ガバナンス
当社グループでは、取締役会にて、ESG・SDGs関連の重要課題に関する対応方針や目標設定、実績のモニタリングなどが報告、検討されています。
リスクを洗い出す際には、対象を絞り込む際の指標として、バリューチェーンの段階を自社だけでなく、サプライヤーや顧客等も含めてバリューチェーンの上流から下流まで含めて検討し、リスクの発生可能性を予算上の単年度である短期・中期経営計画期間である中期・それより長い時間軸である長期のいずれかに分類しています。手順としては、各部門で関連したリスクと機会の洗い出しを実施し、売上への影響や上記で検討した発生可能性・実現可能性を加味して評価を実施しています。
ここで発見されたリスクについて、取締役及び各事業本部長が出席するリスク管理委員会において報告と対応方針が話し合われ、その中でも重大なリスクと認識された事案については取締役会にかけられ対応策が検討されることで、全社的なリスク管理プロセスとして実施されています。
(2)戦略、指標及び目標
①気候関連リスクへの対応方針
当社グループにおいては、環境に関するコンサルティング提供を実施していることから、事業を通じてクライアントへの環境施策支援を実施しています。こうした環境支援を実施するためにも、当社がまず自社の気候関連リスクを把握し、対応をすること、また脱炭素の新しい取り組みへ積極的に参加することで自社だけでなく社会全体の再エネ調達の普及にもつながると考え、取り組みを実施しています。
i. CDP質問書への回答を通じた情報開示
気候変動に関する質問書への回答を通して、投資家への情報開示を実施しています。2022年度の回答ではスコアB-を取得しており、環境リスクやその影響に対するアクションを取っていること等を評価されています。今後はマテリアリティの特定等と合わせて、自社HPでも開示を進めていく予定です。
ii. RE Action(再生エネルギー100%達成プロジェクト)への参画
2022年より再生エネルギー100%達成プロジェクトへ参画しており、2025年中に再生エネルギー100%を達成する目標を立てています。具体的には下記記載の再エネ調達の促進を進めております。
iii. 再エネ調達の促進
脱炭素への解決策の1つとして、非化石証書やJクレジットなどの証書調達の実現へ取り組みを開始しています。具体的には、環境省実証事業の一つであり、電力調達プラットフォームを提供する会社が主催する環境価値取引実験に被験者として複数回参加しています。こうした環境証書は、特に弊社のような電力の直接契約を持たないテナント拠点などでは、脱炭素化を主な行う手法となる為、今後より取引がしやすくなるような制度改変に繋がれば、より再生可能エネルギー使用の普及に繋がると認識しています。
②人材の育成及び社内環境整備に関する方針
コンサルティングサービス提供においては、人材への投資が重要課題と認識しております。そのため、社員一人一人が最大限パフォーマンスを発揮できる環境を提供することを重視しており、全社的な自立推進型の組織開発を進めています。また、前連結会計年度での女性労働者の割合は40.9%、中途採用者(概ね30歳以上の労働者)の在籍状況は71.3%、うち男性が60.5%、女性が39.5%となっています。このように性別や年齢にかかわらず幅広い人材が在籍していることからも、多様な人材が活躍できる社内制度を整備し、組織のパフォーマンスの最大化を目指しています。
具体的には以下のような取り組みを実施しています。
i. 自律的な働き方の推進
フルリモート勤務や、在宅勤務と出社のハイブリッド勤務制度の整備を進めることで社員の状況に応じた働き方の選択を可能としています。期末時点での平均出社率は約40%で推移しており、ハイブリッド勤務が全社的に定着しています。あわせて全社的に始終業時刻を本人が決定し且つ就労義務のあるコアタイムのないスーパーフレックスタイムを導入し週休3日も可能とするなど、個人が裁量権をもって仕事をすることができ、ライフワークバランスを取りやすくしています。
また、副業についても許可を得ることで実施ができる体制となっており、社員の7%が活用しています。
ii. 健康状況の把握
毎月の事業本部長以上が出席する役員会議にて、労働時間や休暇取得状況の確認を実施しています。全社的な労働状況を把握することでリソース配分の検討や社員の健康状態を把握する一助としています。前連結会計年度においては、年間平均残業時間は12.6時間、有休取得割合については57%となっており、業務状況に応じた残業、休暇取得ができる環境となっています。合わせて心身の健康状態を確認する「パルスサーベイ」を毎月実施し、各チームの状態を定量的に把握する取り組みを実施しています。
iii.長期的なキャリア形成の支援
入社時の社内独自のコンサルティング研修に加え、オンライン研修プログラムの導入による様々なスキルの取得支援を実施しています。また、資格取得支援制度を導入し所属部門に関連するスキルの取得支援をすることで中長期的なキャリア形成を支援しています。
サバティカル休暇の導入により最長1年間の長期休暇を認めるなどリスキリング等の機会も設けており、実際に大学院進学や海外滞在に本制度を利用した実績もあり、制度活用が進んでいます。
こうした人的資本への投資等についても、今後開示を進めていく予定です。
(3)リスク管理
当社ではリスク管理委員会において取締役及び各事業本部長が出席し、サステナビリティに関する課題を含むリスク全般についての評価報告と対応方針が話し合われています。中でも重要なものについては取締役会にて議論されることとなっています。また、事業に関連して発生した問題点については、各チームからマネージャークラス以上へ事例共有がなされ、再発防止策等の検討が実施されています。中でも大きな問題となり得るものについてはリスク管理委員会において対応が検討されることとなっています。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあり、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)当社グループのコンサルティング・サービスについて
当社グループは、大手・上場企業やプライベート・エクイティ・ファンド等、広範囲に事業を展開する大企業を中心にコンサルティング・サービスを提供しております。コンサルティング・サービスのうち、コストマネジメントに関する報酬は、クライアントのコスト削減の成果に連動する成果報酬型になっております。
国内のインフレーションの進行、為替の変動等により、直接材や間接材の価格高騰が発生した場合には、これらの影響を受け、コスト削減が困難になることで、クライアントに十分なコスト削減の成果を提供できない可能性があります。その場合、コスト削減の成果または受託案件の減少を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)業績の変動について
当社グループは成果報酬型のコンサルティング・サービスを提供しており、受託案件の規模により、報酬が異なっております。当社グループでは、受託案件数を増やすことにより、安定した業績をあげられるよう取り組んでおりますが、案件規模の大小や案件数の一時的な変動により、四半期毎の一定期間で区切った場合に各四半期の業績が大きく変動する可能性があります。
また、当社グループはコンサルティング・サービスの品質向上、契約条件の明確化等に取り組んでおりますが、当初想定した成果をあげられないこと、取引先に当社グループの提案が採用されないことにより想定した報酬を受領できない可能性があります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社グループが属するコンサルティング業界は、許認可等の制限がないため、基本的に参入障壁は高くない業界といえます。当社グループが成果報酬型コンサルティング・サービスの提供を通じて積み上げてきた豊富な経験、実績及び社内ノウハウや教育システムは容易に模倣できるものではないと認識しております。しかしながら、競合のコンサルティングファームによる成果報酬型コンサルティング・サービスの導入やサービス品質の向上により、競争環境が激化した場合においては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)人材の確保について
当社グループの事業の中核である経営コンサルティング・サービスの提供を行うためには、高い能力を有するコンサルタントの獲得・育成・維持が課題であると認識し、人材投資を強化しております。職場としての魅力を高めて発信し、採用手法や育成機会を多様化する等、人材投資の効果向上を図っておりますが、人材を適時に確保できない、または能力開発が進まない場合、あるいは人材が大量に社外流出してしまった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)代表取締役への依存について
創業者であり代表取締役である佐谷進は、当社グループ全体の経営方針や経営戦略の立案をはじめ、取引先との関係構築、新規事業の構想等、当社グループの事業活動上重要な役割を担っております。代表取締役に対し、過度に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、不測の事態により代表取締役が職務を執行することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)小規模組織であることについて
当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに準じたものとなっております。当社グループは今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制及び内部管理体制の充実を図っていく方針であります。しかしながら、当社の事業領域の環境や競合状況が急変する場合、対応に要する経営資源が不十分なために、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)システム等に関するリスクについて
当社グループのサービスは、外部クラウドサーバーにて提供しており、当該サーバーの安定的な稼働が当社グループの事業運営上、重要な事項となっております。システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生により当該サーバーが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、または当該サーバーの運営会社との契約が解除される等により当該サーバーの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社グループの追加費用負担、または当社グループのブランドの毀損などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報管理について
当社グループの提供するコンサルティング・サービスにおいては、クライアントの機密情報や個人情報を取得することから、秘密保持契約等によって守秘義務を負っております。厳重な情報管理の徹底及び従業員への守秘義務の徹底をしておりますが、何らかの理由によりこれらの機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制について
現時点においては、当社グループの事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社グループの事業を直接的もしくは間接的に制限する法的規制がなされた場合、または従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社グループの事業展開は法的規制により制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)風評リスクについて
当社グループは、高品質のコンサルティング・サービス提供、役職員に対する法令遵守浸透、厳格な情報管理、コンプライアンス体制の構築等の取組みを行うことにより、健全な企業経営を行っております。しかしながら、悪意を持った第三者が、意図的に噂や憶測、評判等のあいまいな情報を流す、または何らかの事件事故等の発生に伴う風評により、当社グループに対する誤解、誤認、誇大解釈等が生じ、事業に対し直接間接に損失を被ることが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟等に係るリスクについて
当社グループは、有効なコンプライアンス体制の確立に努めておりますが、事業遂行にあたり当社の法令違反の有無にかかわらず、何らかの原因で当社が訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟が提起されること及びその結果によっては、当社グループの事業及び業績に直接的な影響や、風評を通じた間接的な影響を及ぼす可能性があります。
(12)自然災害、事故等について
当社グループは、主に東京都に事業拠点を有しております。これら事業拠点が、地震、津波、台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の被害を受けた場合、交通網の混乱、営業活動の停止、システム障害等により事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、当社は現在まで配当を実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(14)M&Aについて
当社グループは、コンサルティングサービスの拡充を目的として、国内におけるM&Aを事業展開の選択肢の一つとして考えております。
M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスク低減に努めております。
しかしながら、M&Aによる事業展開においては、当社グループが当初想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があります。また、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは、国内屈指の実績を持つ成果報酬型コストマネジメント・コンサルティングを中心としたコンサルティング事業の成長に取り組んでおります。
コンサルティング事業においては、インフレ進行の影響により想定以上にコスト削減の実現が困難となっていることから、厳しい事業環境が続いております。他方で、コストマネジメントに対する需要及び成果報酬型ではサービス提供が難しい企業活動への様々な支援に対する需要は依然として高い状況が続いており、これらに応えるためサービスの拡充を進めております。当社グループとしては、成果報酬型コストマネジメント・コンサルティングの立て直しに加え、固定報酬型コンサルティングサービス拡充による事業の成長により、成長軌道に回帰するよう事業運営を行ってまいります。
プロサイン事業については、BSMにおいて事業譲渡が完了し、事業譲渡益215百万円を計上しております。なお、賃貸借契約書を含む店舗情報を一元管理できる賃貸借契約書管理(店舗情報管理)サービスについては、引き続き当社が開発及び運営しております。
また、当社グループが出資している投資事業有限責任組合の運用の結果、投資事業組合運用益5,075百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,715百万円(前期比0.1%減)、営業損失372百万円(前期は148百万円の営業損失)、経常利益4,378百万円(前期は209百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益818百万円(前期は871百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ2,655百万円増加し、11,978百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ636百万円増加し、6,172百万円となりました。これは主に売掛金及び契約資産が51百万円減少したものの、現金及び預金が674百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,018百万円増加し、5,805百万円となりました。これは主にのれんが30百万円減少したものの、投資有価証券が2,019百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ108百万円増加し、1,911百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ91百万円減少し、920百万円となりました。これは主に未払費用が67百万円、買掛金が48百万円、賞与引当金が41百万円、1年内返済予定の長期借入金が22百万円増加したものの、その他流動負債が192百万円、未払金が100百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ200百万円増加し、991百万円となりました。これは主に社債が80百万円減少したもの、長期借入金が274百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,546百万円増加し、10,066百万円となりました。これは主に減資により資本金が2,015百万円減少したものの、資本金からの振替により資本剰余金が2,015百万円、非支配株主持分が1,667百万円、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により818百万円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より674百万円増加し、5,404百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は579百万円(前期は186百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,590百万円があった一方で、投資有価証券運用益5,075百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は3,250百万円(前期は1,109百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出2,385百万円があった一方で、投資有価証券の売却による収入5,365百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果として使用した資金は、1,996百万円(前期は1,459百万円の獲得)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入1,993百万円、長期借入れによる収入342百万円があった一方で、非支配株主への分配金の支払額4,205百万円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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コンサルティング事業 |
2,715,262 |
△0.1 |
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合計 |
2,715,262 |
△0.1 |
(注)主な相手先の販売実績は、いずれも総販売実績に対する当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、売上高2,715百万円(前期比0.1%減)となりました。これは主に、足元における急激な物価上昇により、当初想定していたコスト削減の実現が困難となっていることによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、1,952百万円(前期比43.7%増)となりました。これは主に、新規事業に係
る人件費を販管費から売上原価へ変更したこと及び、人材配置の見直しを行ったことによるものです。
この結果、売上総利益は763百万円(前期比43.9%減)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業損失
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,135百万円(前期比24.7%減)となりました。これは主に、新規事業に係る費用を販管費から売上原価へ変更したことによるものです。
この結果、営業損失は372百万円(前期は148百万円の営業損失)となりました。
d.経常利益
当連結会計年度において主に投資事業組合運用益の計上により営業外収益が5,082百万円(前期比246倍)、営業外費用は主に投資事業組合管理費の計上により332百万円(前期比28.4%増)発生しております。この結果、経常利益は4,378百万円(前期は209百万円の経常損失)となりました。
e.特別損益、包括利益
税金等調整前当期純利益は事業譲渡益の計上により4,590百万円(前期は995百万円の税金等調整前当期純損失)となりましたが、法人税等合計87百万円(前期比21.9%減)の計上により包括利益は4,513百万円(前期は△1,107百万円の包括利益)となりました。
③財政状態の状況
財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。
④キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、人件費等や従業員等の採用に係る人材関連費用、並びに販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。
当事業年度における資金の主な増減要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、人材の確保等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。