(注) 1.第2回新株予約権(以下、「本新株予約権」といいます。)の発行については、2025年2月21日に開催された当社取締役会決議によるものであります。
2.申込み及び払込みの方法は、当社及び三田証券株式会社(以下、「割当予定先」といいます。)との間で本新株予約権に係る買受契約(以下、「本買受契約」といいます。)を締結し、払込期日までに上記払込取扱場所へ発行価額の総額を払込むものとします。
3.本有価証券届出書の効力発生後、払込期日までに本新株予約権の割当予定先との間で本買受契約を締結しない場合は、本新株予約権に係る割当は行われないこととなります。
4.本新株予約権の募集は、第三者割当の方法によります。
5.本新株予約権の振替機関の名称及び住所は次のとおりであります。
名称:株式会社証券保管振替機構
住所:東京都中央区日本橋兜町7番1号
(注) 1.本新株予約権(行使価額修正条項付新株予約権付社債券等)の発行により資金調達をしようとする理由
(1) 募集の目的及び理由
ア.当グループの事業概要
当グループは、当社と連結子会社3社で構成され、印字記録媒体及び事務用消耗品関連事業、プラスチック成形関連事業の製造・販売を主な内容として事業活動を行っております。
当グループの主要製品・商品は以下のとおりです。
(ア)サーマルトランスファーメディア
サーマルトランスファーメディア(熱転写印字記録媒体。略称「TTM」)は、当社が世界に先駆けて開発したノンインパクトタイプの製品です。
サーマルカラーリボン(TCRカラー)、サーマルモノクロームリボン(TCRモノクロ)等の主力製品は、プリンターの小型・軽量・低騒音化及び低価格化を実現し、世界中で圧倒的な支持を獲得しております。とりわけ、バーコードプリンターやラベルプリンターとして好評を博しております。
さらにノンインパクトタイプに対する様々な要望に対応するため、新製品開発を積極的に進めております。
(イ)インパクトリボン
プリンターやタイプライターに用いられる、ファブリックリボンなど、世の中のプリントアウトに対するニーズにお応えできる、数々の特長ある製品を開発・製造しております。
鮮明さや耐久性に定評のある当社のインパクトリボンは高い市場占有率を獲得しております。
(ウ)テープ類
文具の分野に当社の技術を応用したものです。修正テープは国内外の大手文具メーカーに採用され、消費者(ユーザー)の皆様に幅広く利用いただいております。また、環境保全を考慮して、廃棄・回収された家電製品を再生加工した樹脂を利用した修正テープも開発・製造しております。
(エ)機能性フィルム(FIXFILM)
基材の表面に非常に薄い皮膜を形成することにより、市場で求められる多種多様な機能を基材に付与する技術です。FIXFILMは、当社の高度な機能層設計技術、高精度塗工技術を駆使した機能性フィルムシリーズのトータルブランドです。用途に適した製品をラインナップし、お客様のニーズにお応えすべく新しい製品を日々開発し、新しい分野(半導体、建築等)への取り組みを行っております。FIXFILMは、液晶パネル・タッチパネル・車載パネルなど各種部品・製品の保護や固定・搬送等で幅広く使われております。
・基材への付与機能の例
接着固定機能(吸着/粘着)、光制御機能(光反射/透過/光拡散)、硬度制御機能(表面硬度制御)、電気制御機能(導電/絶縁性)、表面滑性機能(易滑/高摩擦)、その他(抗菌等)
・基材の選択自由度
プラスチックフィルム(PET/PI/TPU等)、金属箔(アルミ/銅/SUS等)、紙等
(オ)プラスチック成形品
当社子会エフシー ベトナム コーポレーションにおいて、プリンター関係、自動車関係、化粧品関係、水管関係の成形品など多様な用途のプラスチック成形品の製造・販売を行っております。
当社は1950年に創業し、各種カーボン紙の製造販売をスタートして以来、固有技術の研鑽に努め、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
当社の強みは、4つの技術シーズ(注1)、すなわち、①処方設計、ブレンド技術、②塗工・表面処理技術、③加工技術、④分析技術です。それぞれの概要は以下のとおりです。
① 処方設計、ブレンド技術(分散・混合)
・処方設計技術
多様なニーズに的確にお応えし、必要な機能を有する塗工液を自社で設計・開発できる技術です。
・ブレンド技術
塗工液処方に応じた製造設備(攪拌機、分散機)を用いたナノレベルの分散ができる技術です。
② 塗工・表面処理技術(設備開発)
・精密塗工技術
高機能な塗工液について最も適した塗工方式や塗工条件を選択し、薄膜から厚膜まで高精度に塗工できる技術、及びそれを可能とする設備開発技術です。
・積層塗工技術
異なる機能を持つ塗膜を何層にも重ねることにより、高度な機能を持たせることができる技術です。
③ 加工技術(スリット、組立)
・スリッティング技術
狭幅から広幅までのスリットができる技術です(光学用にクリーンルームも完備)。
・ラミネート技術
クリーンルームでのラミネート加工ができる技術です。
・カセット設計・組立技術
独自の組立工程の設計、設備の設計により、超小型から大型サイズカセットの組立ができる技術です。
④ 分析技術(計測、解析)
・定性・定量分析
分子量測定、IR分析、X線分析等が可能です。
・物性測定
粘性特性、粒度分布、光学特性、色測定、引張・剥離試験、硬度測定、粘着性の測定等が可能です。
・測定手法開発
一般市販測定器では測定できない物性等の測定手法の開発が可能です。
(注1) シーズ
英語の「種」に由来するビジネス用語であり、商品やサービス開発の素となる企業独自の技術やノウハウ、特別な素材、材料等を指します。
このような4つの技術シーズを礎として、機能層設計技術、高精度塗工技術及び転写技術などの価値提供技術を花開かせ、世界に先駆けたサーマルトランスファーメディア(熱転写印字記録媒体。略称「TTM」)や、国内外の大手文具メーカーに多数採用されている修正テープといった画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓いてまいりました。
また、こうした技術により、国内・海外合わせて200件前後の特許を保有しております。
加えて、以上のような技術の中でも、「『粘着・吸着』と『剥離』というトレードオフとなる機能を1つの製品においてバランスよく両立する界面制御技術(注2)」が、当社において競争力の源泉となる「コア技術」であると、国内大手シンクタンクより評価を得ているところであります。当社の機能性フィルム「FIXFILM」は、この「コア技術」を顕著に活かした成果の1つです。
(注2) 界面
機能層と離型層、機能層と被着体との界面を指します。
当グループは、印字記録媒体及び事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。
人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。
イ.当グループの事業方針及び中期経営計画
2024年12月期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復、企業の堅調な設備投資を背景に緩やかな回復基調となり、日銀は政策金利の引き上げを実施しました。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化を受けて原材料・エネルギーコストが高止まるなか、欧州や中国などを中心に全般的に需要回復が停滞し、景気減速の懸念が強まっていることに加え、米国では保護主義政策を掲げる第2次トランプ政権が発足する影響など先行きは不透明な状況となっております。
このような状況のもと、当グループの強みである、創造型企業としての技術をもとに、新製品の開発及び市場の開拓を重点課題とし、多様化・高度化する顧客のニーズに対応する開発に努めてまいりました。
以上の結果、2024年12月期における当グループの業績は、連結売上高8,984百万円(前年同期比9.2%増)、営業損失15百万円(前年同期は営業損失774百万円)、経常利益94百万円(前年同期は経常損失668百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益397百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失856百万円)となりました。
また、2023年12月期における自己資本比率は64.0%、2024年12月期における自己資本比率は64.3%となっております。
なお、2025年12月期の当グループの業績予想につきましては、連結売上高9,100百万円、営業利益80百万円、経常利益70百万円、親会社株主に帰属する当期純利益20百万円となっております。
また、当グループは、2023年3月3日付で当社ホームページに公表した「中期経営計画(2023~2025)飛躍・成長する3年」(以下、「中期経営計画」といいます。)に記載のとおり、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期までの中期経営計画を策定し、以下の方針に基づき各施策を進めております。
<中期経営方針 2023~2025>
1.自らが経営者目線で考え、チャレンジする人財の育成
2.市場ニーズ、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する
3.成長ドライブを支える開発力・ものづくり力の強化
<連結経営指標推移>
(百万円)
(注) 1.2023年12月期から2025年12月期までの中期経営計画につきましては、2023年3月3日付で当社ホームページにて公表し、同月28日付提出の「第73期 有価証券報告書」にて開示しております。また、2024年3月28日付提出の「第74期 有価証券報告書」において、中期経営計画にて公表した当初計画と実績値及び予測値との比較を開示しております。したがいまして、上記表中の2023年12月期及び2024年12月期の当初計画及び実績値につきましては、上記有価証券報告書に記載した比較にならい、中期経営計画にて公表した当初計画と実績値との比較を記載しております。
2.2023年12月期の計画数値につきましては、2023年8月10日付「2023年12月期 第2四半期累計期間の連結業績予想数値と実績の差異および通期連結業績予想の修正ならびに配当予想の修正に関するお知らせ」及び2023年11月14日付「業績予想の修正および役員報酬減額に関するお知らせ」に記載のとおり、当初計画として掲げておりました上記表中の計画数値から、売上高8,200百万円、営業損失800百万円、経常損失700百万円、親会社株主に帰属する当期純損失800百万円に業績予想の修正を行いました。上記表中の2023年12月期の当初計画数値は、修正前の計画数値(「中期経営計画」にて公表した当初計画数値)を記載しております。
3.2024年12月期の計画数値につきましては、期首に計画数値の見直しを行い、中期経営計画にて公表した当初計画を変更し、2024年12月期の業績予想を売上高9,300百万円、営業利益160百万円、経常利益160百万円、親会社株主に帰属する当期純利益120百万円といたしました。その上で、2024年11月14日付「業績予想の修正および役員報酬減額に関するお知らせ」に記載のとおり、上記変更後の計画数値から、売上高9,100百万円、営業利益60百万円、経常利益140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益400百万円に業績予想の修正を行いました。上記表中の2024年12月期の当初計画数値は、修正前の計画数値(「中期経営計画」にて公表した当初計画数値)を記載しております。
4.2025年12月期の業績予想につきましては、2025年2月14日付「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載のとおり、当初中期経営計画における2025年度目標として掲げておりました計画数値である売上高11,000百万円、営業利益1,050百万円、経常利益1,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円から、上記表中の計画数値に業績予想の修正を行いました。上記表中の2025年12月期の業績予想は、修正後の計画数値を記載しております。
(将来に関する記述等についての注意点)
上記に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
<中期経営計画における重点課題>
(イ)新製品・新規事業の開発
(a) 重点課題の概要
・成長に向けた領域・テーマの明確化と推進
・開発体制の強化
(b) 2024年12月期までの主な取り組み実績
・計画遅れとなっている開発テーマもあるが、前年度比で売上高伸長。
・新規開発案件の売上高推移
2024年12月期 830百万円
(2023年12月期 実績595百万円)
・開発技術調査能力向上(教育訓練計画遂行)。
・サーマルトランスファーメディア(TTM)分野の用途開発継続(各種マーキング技術)。
・サーマルトランスファーメディア(TTM)、テープ類分野での環境対応に係る技術開発、製品化の検討継続。
・要素技術の拡充
産学連携継続(京都工芸繊維大学、九州大学、京都大学の3校)
→有機合成技術取り込みのための設備導入、基礎合成実験開始など。
(c) 今後の課題
・未実現の開発チャレンジテーマ、営業チャレンジテーマの取り組み加速。
・機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、現在の開発テーマ以外の用途展開検討及び企画検討中テーマの早期具現化。
・開発技術調査能力向上の継続。
・産学連携の継続とノウハウの取り込み継続。サーマルトランスファーメディア(TTM)分野の用途展開(各種マーキング技術)、テープ類分野の環境対応にかかる技術開発等の継続推進。
(ロ)ものづくり力・生産性の強化
(a) 重点課題の概要
・安全第一
・生産性のさらなる強化
環境に配慮した効率的な原材料の使用
コストダウン活動
・生産技術革新
設備投資によるさらなる生産性の向上(自社設計による技術力強化を含む)
新規事業に向けた生産体制の構築
(b) 2024年12月期までの主な取り組み実績
・安全第一の啓蒙、安全パトロールの実施。
・環境に配慮した効率的な原材料の使用に係るプロジェクト活動は順調に進捗。
・コストダウンについては、計画に対し、2023年12月期は96%、2024年12月期は165%の達成率。
・スリット加工工程において、作業性改善のための自社設計による設備更新を実施(2023~2024年12月期で5台)。
・新規対象市場における規格要求事項と検査運用状況の確認を継続。
(c) 今後の課題
・安全ルールの見直し及びルール遵守。
・安全教育の一層の強化。
・全員参加型での安全第一への取り組み継続。
・環境に配慮した効率的な原材料使用のプロジェクト継続。
・2025年度のコストダウン計画達成に向けた取り組み推進。
・自社設計による設備更新に関する2025年度テーマの推進。
・新規対象市場の品質保証体制構築のための社内教育継続。
・将来の成長を見据えた生産キャパシティアップ策の検討・推進。
(ハ)人財育成
(a) 重点課題の概要
・既往人事制度のモニタリング、PDCA機能の発揮による高度化
チャレンジを評価する人事制度の運用、中核人財育成、女性活躍推進など
・従業員エンゲージメント向上のための施策推進
・経営課題(サステナビリティ)としての「人的資本」への投資
(b) 2024年12月期までの主な取り組み実績
・チャレンジを評価する新・人事評価制度の運用を開始し、継続。
・チャレンジの評価に対する後押しとして、管理職のコーチング研修実施(プロコーチによるコーチング体験)。
・ベースアップ実施、初任給アップ。
・人財育成検討会における方針に則り、新たに執行役員就任及び新たな管理職登用。
・新卒採用、経験者採用強化。
・女性活躍推進法の各項目につき目標値達成(管理職に占める女性の割合を除く)。
・健康優良法人認定取得に向けた準備を開始。
・従業員エンゲージメント
健康優良法人認定制度における健康経営度調査の回答実施。
従業員エンゲージメント調査の実施及び課題の把握。
(c) 今後の課題
・チャレンジを評価する新・人事評価制度の運用継続。
・処遇にかかるモニタリング継続。
・経験者採用の継続、新卒採用の強化
大学・高専・高校との関係強化、広告媒体以外の採用活動サービス導入。
・女性活躍推進法の目標達成に向けた対応継続。
<2021年4月~2026年3月の目標>
各項目につき以下のとおり引き上げる。
労働者に占める女性の割合:13%から15%
管理職に占める女性の割合:4%から10%
男性の看護休暇取得対象者に対する取得者比率:5%から30%
・自己啓発支援制度利用者の一層の増加。
・健康優良法人認定取得にかかる課題明確化と取り組み。
・従業員エンゲージメントを高める施策検討。
・人的資本投資にかかる当社独自のKPIとして「ワークエンゲージメント」(仕事に対する活力、熱意、没頭)の平均評点4点以上(7点満点)に目標を設定し、施策を実施(2024年5月調査結果3.53点)。
(ニ)カーボンニュートラルへの取り組み
(a) 重点課題の概要
・CO2排出量の削減目標
対象範囲:日本国内拠点(国内子会社を含む)
排出対象:Scope1、Scope2(注)
削減目標:2019年度を基準として、2030年度にCO2排出量を30%削減
(注) Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出
Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出
Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)
・岡山工場におけるLNGの優先使用(重油をできる限り使用しない)
・岡山工場における高効率設備の導入
・各拠点における省電力機器・照明などの導入
・海外子会社エフシー ベトナム コーポレーションにおけるScope1、Scope2の削減
・Scope3の算定及び削減(日本国内拠点)
(b) 2024年12月期までの主な取り組み実績
・岡山工場が属する工業団地にてLNGを一括購入し、パイプラインにて供給を受ける運用を2023年1月より開始し、継続。
・岡山工場において、重油使用ボイラーをLNG熱媒ボイラーに置き換え実施(4台)。本社にて高効率の熱交換機への更新。
・岡山工場におけるLED照明の追加導入。本社におけるLED照明の導入。
・海外子会社エフシー ベトナム コーポレーションにおけるScope1、Scope2のCO2排出量算定を完了。
・2019~2022年度のScope3(日本国内拠点)における全カテゴリーの算定完了。
(c) 今後の課題
・2025年を目途に超高効率ボイラー導入を検討。
・岡山工場におけるLED照明の追加導入。
・再生可能エネルギーの導入検討。検討対象例として、電力会社におけるパッケージの導入検討(電力の一定割合を再生可能エネルギーにする等)。
・Scope3(日本国内拠点)において構成比の高いカテゴリー1(購入した製品・サービス)を対象として、購買先へのアンケート調査を検討。
また、当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により、利益及び売上高を極大化することを経営方針の1つとしております。これらを反映する売上高及び営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。
当グループは、上記中期経営計画(2023~2025)において、ROE及び株価の目標を以下のとおり設定しております。
目標ROE:5.0%以上
目標株価 :2,000円以上
当グループは、上記中期経営計画及び目標ROE・目標株価の達成に向けて、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、従来積極的に販売展開してこなかった製品についても掘り起こしを行い、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップや顧客基盤の強化等に注力することにより、さらなる販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、上記中期経営計画における重点課題について優先的に取り組んでまいります。
また、株主還元につきましては、将来の成長に必要なキャッシュ・フローや内部留保等を勘案しつつ、経営成績に応じ安定した配当を実施し、株主還元の一層の強化により企業価値の向上を図るため、2024年12月期決算に係る配当より、連結配当性向30%以上、但し、配当の下限を連結DOE(株主資本配当率)1.0%とすることを基本方針としております。
今後も、持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けて、引き続き中期経営計画における重点課題への取り組み等を推進することにより、将来の成長投資と株主還元の両立・強化をさらに進めてまいります。
ウ.当グループにおける知的財産への投資戦略及び本資金調達における資金使途
当社は1950年の創立以降、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
したがいまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい資産であります。
現在、以下のとおり、中期経営計画における重点課題「イ)新製品・新規事業の開発」において、足元の新製品開発を通じた技術力強化、知的財産権等にかかる人財育成及び将来も見据えた要素技術の拡充に取り組むなど開発技術力の向上を図っております。
<取り組み課題>
(イ)新製品(開発チャレンジテーマ)を通じた開発技術力の強化
(ロ)開発技術調査能力の向上(若手開発者の人財育成)
・知財研修の実施、出願アイデア検討会の実施、技術勉強会の実施など
(ハ)要素技術の拡充
・産学連携(京都工芸繊維大学、九州大学、京都大学。詳細は後記)
また、当社は、原則2ヶ月に1度開催される「特許出願審査委員会」において議論を積み重ねてきた結果、この約10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投資を続けております。
引き続き、200件程度の特許件数を維持するとともに、質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
2023年12月期の研究開発費は426百万円、2024年12月期の研究開発費は423百万円となりました。
当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)
当グループは、今後も新製品開発と既存事業の拡充により利益及び売上高を極大化し、ステークホルダーの信頼と満足、並びに、より一層魅力のある企業に成長できるよう、現在の経営資源や価値を再研鑽しながら、経営基盤の強化と企業価値向上を図っていく方針であります。
それとともに、当グループの強みは開発技術力にあり、前述のとおり国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしております。今後さらに当グループの技術力・競争力を高めていくため、知的財産への投資戦略をより一層強化し、高機能・高品質な新製品の開発・製造を加速化させていく方針です。
当社においては、製品の開発スピードを速め、早期の市場への製品投入に努めておりますが、今後も当業界において当社が優位性を確保し、さらに事業を拡大していくためには、質の高い研究開発をより一層速いスピードで効率的に進展させることが重要であり、そのためには、今後さらなる研究開発費や設備投資等が必要となります。このように、当社が研究開発のスピード及び質を高め、将来の財務リスク軽減を図るためには、資本バッファーを構築した上で負債調達余力の確保・拡大を図り、多様な資金調達手段の可能性を予め確保しておくことが必要かつ適切であると考えております。
なお、2024年12月期末現在において当グループが保有する現預金は約28億円であり、純資産は約105億円、自己資本比率は約64.3%となっており、現時点において当グループの事業運営上必要な資金は既に確保されております。
他方で、今後、当グループがさらなる事業拡大及び収益力の強化を実現するためには、当グループの成長戦略である新製品・新規事業開発のための研究開発投資及び設備投資等を確実に実行していくことが重要であり、今後さらなる研究開発費や設備投資等が必要不可欠となります。後記のとおり、本新株予約権による調達資金の支出予定時期である2025年3月~2028年3月の期間において、研究開発投資として合計約1,300~1,500百万円程度、また、設備投資として少なくとも合計約1,800~2,100百万円程度の成長投資を実行する計画であり、かかる研究開発資金及び設備投資資金に関する資金手当てといたしましては、本新株予約権による調達資金のほか、主に金融機関からの借入及び必要に応じて手元資金等を活用する予定です。このような研究開発計画及び設備投資計画を着実に実行し、当グループが今後も安定的に事業を継続してさらなる利益成長を実現していくためには、引き続き有事に備えて当グループの事業運営上必要な資金を現預金として確保した上で、中長期的な成長投資のための資金については別途資金手当てを行うことが必要であると考えております。今般の資金調達を実行することにより、このような中長期的な成長投資のための資金手当てが可能となるとともに、それに伴う純資産の増加による資本バッファーの構築により負債調達余力の確保・拡大を図ることができ、将来の財務リスクの軽減に繋がるものと判断しております。
また、上記のとおり、当業界において当社が優位性を確保し、さらに事業を拡大していくためには、質の高い研究開発をより一層速いスピードで効率的に進展させ、かつ、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発・製造を可及的速やかに実現することが重要であり、そのための研究開発資金及び設備投資資金について足元での資金需要が生じていることから、このような足元での資金需要に迅速に対応し、今後の成長戦略のための研究開発資金及び設備投資資金を確保できるよう、権利行使が比較的進みやすい行使価額修正型の本新株予約権により資金調達を行うことといたしました。
当社といたしましては、新製品開発と既存事業の拡充による収益力強化、並びに、財務基盤のさらなる強化を実現し、今後も当社事業における技術力・競争力の源泉を成す研究開発投資を確実に実行していくことが、当社における市場競争力の強化及び中長期的な収益基盤のさらなる拡大に寄与するものと考えております。
以上のとおり、当グループにおけるさらなる収益力強化及び事業拡大を図り、将来の研究開発投資を確実に実行していくため、自己資本を拡充し財務基盤を強化するとともに、上記各施策を推進するために必要な資金を確実に確保し企業価値の向上を図ることを目的として、本資金調達を実施することを決定いたしました。
したがいまして、本資金調達における資金使途の具体的な内容につきましては、当社のさらなる収益力強化、事業拡大及び資本バッファーの構築による財務基盤強化を目的として、以下のとおり、①新製品・新規事業開発のための研究開発資金、②生産キャパシティ拡大のための設備投資資金に充当する予定です。
① 新製品・新規事業開発のための研究開発資金
当グループの研究開発は、①コア技術である処方設計・精密塗工・転写技術を強化し、顧客の企画に最も適した機能性材料の開発を共同して行うこと、及び、②当グループ独自の企画・開発による機能性材料を提案することを基本としております。
熱転写分野において、印字の高速化・高感度化・高堅牢化を目指し、印字条件の研究や各種リボンの開発を行っております。とりわけバーコードや軽包装の印字に用いられるリボンは市場からのニーズも大きく、積極的に開発を行っております。また、金属等の機能性材料を転写することが可能な熱転写技術の特長を生かし、産業用途へのオンデマンド印刷システムの提案及びそれに使用する各種機能を有するリボン等の開発を行っております。
文具分野では、修正テープ、テープのりのさらなる高品質化を推進するとともに、市場ニーズに合わせた新製品の企画提案を行っております。また、本分野で培った粘着剤技術を利用し、その高機能化や各種基材との組み合わせにより工業用粘着フィルムをはじめとする製品の各種産業分野への応用展開を推進しております。
その他分野では、機能性フィルムを統一ブランドである「FIXFILM」として展開し、特長ある付加価値の高い製品を開発推進しており、各種産業向けに生産工程内のプロセスで使用される消耗品分野をはじめとする様々な独自製品の開発を行っております。また、注目されている環境・エネルギー分野やエレクトロニクス分野へも当社のコア技術を活かした受託塗工を含めて積極的に展開し、開発を推進しております。
このほか、新たな事業を生み出す市場創造型の製品づくりのため、各大学と新素材に関する共同研究も行っております。
なお、近年における当グループの主な研究開発は、次のとおりです。
<サーマルトランスファーメディア>
高品質なバーコード用、軽包装用、及びラベル用リボンの開発
装飾性の高い印字が可能なシステム提案及びリボンの開発
環境配慮型リボンの開発
熱転写技術の新たな用途展開
<テープ類>
新規修正テープの開発
新規テープのりの開発
<機能性フィルム「FIXFILM」>
粘着・接着機能や光学機能を有する材料の開発
ディスプレイや各種産業分野に使用される各種機能を有するフィルム及びシートの開発
機能性フィルムの統一ブランドである「FIXFILM」として、各種機能を付与した製品の開発
生産工程内のプロセスで使用される消耗品フィルムの開発
各種機能を有する材料を転写するフィルム及びシートの開発
現行の中期経営計画の重点課題の1つである「(イ)新製品・新規事業の開発」において、とりわけ「開発チャレンジテーマ」の個別案件については、当グループの中長期的な成長ドライバーと位置付けており、今後大きな成長が見込まれる有望な開発案件が少なからず存在しております。一例として、当社は、既にサーマルトランスファーメディア(TTM)を活用したオンデマンド印刷方式を確立しております。これは、ユーザーにて事前の印刷版の作製を必要としない効率的・機動的な印刷方式ですが、その技術的な用途拡大を図ることにより、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発案件に積極的に取り組んでおります。
また、「FIXFILM」については、当グループにおける「第三の柱」とすべく、現在の開発テーマ以外の用途展開を積極的に検討しており、フラットパネルのディスプレイに応用展開しているほか、半導体加工プロセスにおいて実績を上げてきており、この分野でのさらなる用途展開に取り組んでおります。
加えて、そうした個別の製品開発案件のみならず、要素技術等の拡充にも力を入れております。当社独自の要素技術開発テーマもありますが、以下のとおり大学3校との産学連携による取り組みも進めております。
㋐ 京都工芸繊維大学
・京都工芸繊維大学の研究室に当社の研究開発者を常駐派遣し、有機合成技術を活用した新素材の研究開発を進めてまいりました。
・当社内にそのノウハウを取り込むとともに、必要な設備を導入して基礎合成の実験を進めております。
㋑ 九州大学
・九州大学が開発を進める分離ナノ膜を用いた大気中二酸化炭素(CO2)の直接回収技術、並びに回収CO2の燃料や化学品等への変換技術開発とその社会実装に向けた研究プロジェクトに参画しております。
・九州大学を中心とした、分離ナノ膜を用いた大気中CO2の直接回収技術とそのCO2利活用を可能とする化学変換研究は、内閣府が推進するムーンショット型研究開発事業(注3)に採択されております。また、2020年代の社会実装を目指しており、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環の実現に向け、注目を集めている技術です。
㋒ 京都大学
・京都大学が研究中の合成高分子による濃厚ポリマーブラシ(注4)の実用化に向けた取り組みに参画しております。
・濃厚ポリマーブラシは、主に、高弾性特性、超低摩擦特性、生体適合性という3つの優れた機能を有し、様々な用途への展開が期待されます。
(注3) ムーンショット型研究開発事業
未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される大胆な発想にもとづく挑戦的な研究開発を実施する事業を指します。
(注4) 濃厚ポリマーブラシ
長いひも状のポリマー(高分子)の形態を制御することによりまっすぐに伸ばし、高密度に配列させたブラシ系の状態になったもの。これにより濃厚ポリマーブラシが独自で全く新しい性質・物性を持ちます。
以上のとおり、当グループは、個別開発案件や要素技術研究テーマにおいて、有望な取り組みを進めており、これらの研究開発をさらに推し進めることが当グループの中長期的に大きな成長に繋がるものと確信しております。
したがいまして、新製品・新規事業開発のための研究開発を着実に実施するため、十分な自己資金を確保するとともに、当社の財務基盤の強化を図ることを目的として、本新株予約権による調達資金のうち100百万円を、新製品・新規事業開発のための研究開発資金の一部として充当する予定です。
本新株予約権による調達資金の支出予定時期は、2025年3月~2028年3月を予定しておりますところ、当該期間において合計約1,300~1,500百万円程度の研究開発投資を実行する計画です。
新製品・新規事業開発のための研究開発資金合計約1,300~1,500百万円のうち、100百万円については、本新株予約権による調達資金で賄い、残りの約1,200~1,400百万円については、主に金融機関からの借入及び必要に応じて手元資金等にて賄う予定です。
以上より、本新株予約権による調達資金のうち100百万円を、新製品・新規事業開発のための研究開発資金の一部として充当する予定であり、当該資金使途につき資金が不足する分に関しては、原則として金融機関からの借入又は手元資金等を充当する予定です。
② 生産キャパシティ拡大のための設備投資資金
前述のとおり、中期経営計画の重点課題「(イ)新製品・新規事業の開発」における「開発チャレンジテーマ」の個別開発案件や要素技術研究テーマについては、当グループの中長期的な成長ドライバーとして今後大きな成長が見込まれる有望な開発案件が少なからず存在しており、現在、当グループは、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発案件に積極的に取り組んでおります。
このような大きな市場規模に繋がる案件がビジネスとして量産化ラインに乗ってきた場合、老朽化が進みつつある当社の現有設備のみでは生産キャパシティがボトルネックになることが想定されます。
当グループにおいては、生産能力の拡大及び生産体制の合理化・最適化を図るため、焦点を絞った設備投資を行っておりますが、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発・製造を実行していくためには、単に老朽化による設備更新のみならず、環境負荷に配慮した高機能・高効率な新規設備導入及び現有設備の高機能化・高効率化のための大型改良に係る投資を可及的速やかに手当てする必要があるものと認識しております。
したがいまして、環境負荷に配慮した高機能・高効率な新規設備導入及び現有設備の高機能化・高効率化のための大型改良に係る投資を確実に実行するため、十分な自己資金を確保するとともに、当社の財務基盤の強化を図ることを目的として、本新株予約権による調達資金のうち517百万円を、生産キャパシティ拡大のための設備投資資金の一部として充当する予定です。
本新株予約権による調達資金の支出予定時期は、2025年3月~2028年3月を予定しておりますところ、当該期間において少なくとも合計約1,800~2,100百万円程度の設備投資を実行する計画です。生産キャパシティ拡大のための設備投資資金合計約1,800~2,100百万円のうち、517百万円については、本新株予約権による調達資金で賄い、残りの約1,283~1,583百万円については、主に金融機関からの借入及び必要に応じて手元資金等にて賄う予定です。
以上より、本新株予約権による調達資金のうち517百万円を、生産キャパシティ拡大のための設備投資資金の一部として充当する予定であり、当該資金使途につき資金が不足する分に関しては、原則として金融機関からの借入又は手元資金等を充当する予定です。
以上のとおり、今後の当グループにおける成長戦略である①新製品・新規事業開発のための研究開発投資及び②生産キャパシティ拡大のための設備投資を確実に実行し、さらなる事業拡大及び収益力の強化を図るため、今後想定される成長投資に備えて十分な自己資金を確保するとともに、本資金調達に伴う純資産の増加により当グループの財務基盤を強化することを目的として、本新株予約権の発行を決定いたしました。
エ.上場維持基準の適合に向けた流動性向上に関する取り組み
2021年12月14日付「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下、「計画書」といいます。)に記載のとおり、新市場区分への移行基準日である2021年6月30日時点における当社の流通株式時価総額は8.9億円であり、スタンダード市場における上場維持基準である流通株式時価総額10億円を下回ったことから、適合計画期間を2025年12月期末と定め、各種取り組みを進めてまいりました。
その後、2023年2月28日付「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」に記載のとおり、2022年12月末日時点における当社の流通株式時価総額は10.03億円であり、スタンダード市場における上場維持基準に適合いたしました。
しかしながら、2024年3月26日付「上場維持基準への適合に向けた計画」に記載のとおり、2023年12月末日時点における当社の流通株式時価総額は8.1億円であり、スタンダード市場における上場維持基準である流通株式時価総額10億円を下回りました。
その後も引き続き、当社においては、流通株式数の増加を図るためのコーポレートアクションについて情報収集を重ね、複数の選択肢を検討・議論してまいりました。そのような中、当社は、後記「第1 第三者割当の場合の特記事項 1 割当予定先の状況 (2) 割当予定先の選定理由」に記載のとおり、2024年4月中旬頃、既存取引行よりストームハーバー証券株式会社の紹介を受け、上場維持基準の適合やPBR改善に向けた当社の資本政策等に関する情報提供及び助言をいただくとともに、本資金調達の提案を受け、検討を進めました。当社は、複数の金融機関から情報収集ないし提案を受け、複数の選択肢を検討いたしました結果、ストームハーバー証券株式会社から提案のあった本新株予約権の発行が、現時点における当社の最優先課題の1つである上場維持基準の達成のための流動性向上に最も資する方法であり、かつ、自己株式をも効率的に活用することにより成長投資資金を確保することも可能な方法であったことから、当社が今後さらなる企業価値の向上を目指していくためには、本新株予約権の発行が現時点において最も必要かつ有効な手段であると判断し、上場維持基準の達成・PBR改善等に向けた流動性の向上を図ることを目的として、本新株予約権の発行を決定いたしました。
また、当社は、上記「イ.当グループの事業方針及び中期経営計画」及び2025年2月14日付「剰余金の配当に関するお知らせ」に記載のとおり、将来の成長に必要なキャッシュ・フローや内部留保等を勘案しつつ、株主還元の一層の強化により企業価値の向上を図るため、2024年度決算に係る配当より、連結配当性向30%以上、但し、配当の下限を連結DOE(株主資本配当率)1.0%とすることを基本方針とすることといたしました。その上で、当該基本方針及び2024年12月期の業績を踏まえ、直近の配当予想(1株当たり63円)より増額し、期末配当を1株あたり78円とすることといたしました。
さらに、当社といたしましては、本第三者割当による1株当たり利益の希薄化の影響(資本コストの増加)を上回る投下資本の効率的な活用を通じて、安定的な利益成長及びキャッシュ創出力の拡大を図り、早期の業績回復・向上を実現することこそが、中長期的な株価及び企業価値を形成するものと考えております。したがいまして、本第三者割当による1株当たり利益の希薄化の影響(資本コストの増加)を上回る投下資本利益率を達成するため、本新株予約権により調達した資金を活用することによって、当グループにおける本質的な収益力の向上を図り、株価及び企業価値の向上により一層努めてまいります。
今般の資金調達において、割当予定先は、本新株予約権の行使により取得した当社株式については、株価への悪影響を極力排除するよう株価及び出来高等の状況に配慮しながら、比較的短期間で市場売却等する方針となっております。したがいまして、割当予定先が本新株予約権の行使により取得した当社株式を市場売却した場合には、当社株式の流動性向上を期待することができます。当社の試算によれば、現時点での発行済株式総数を基準とすると、本新株予約権の行使が完了した時点においては、当社の流通株式比率は約33.9%まで高まり、流動性が向上する見込みです。その上で、当該時点における流通株式比率約33.9%を前提とすると、当社株価が概ね1,550円を超える場合に流通株式時価総額10億円以上の基準を達成する見込みです。
当グループといたしましては、中長期的な株価及び企業価値を形成するのは、資金調達の手法・スキームそのものではなく、資本コストを上回る投下資本利益率を達成できるか否かであり、本新株予約権により調達した資金を活用することによって当グループの本質的な収益力を向上させることが重要であると考えております。したがいまして、本新株予約権により調達した資金を活用することによって、当グループの本質的な収益力の向上を実現することができれば、流通株式時価総額10億円以上の基準を達成することは十分に可能であると考えております。当グループは、2025年12月期末までに上場維持基準を達成するため、今般の資金調達を実施し流動性の向上に努めるとともに、業績及び株価の回復に向けて引き続き以下の各種施策を進めてまいります。
1) 資本収益性向上(ROE向上)、中期経営計画の着実な実行
前述のとおり、現行の中期経営計画(2023~2025)において、ROE及び株価の目標を以下のとおり設定しております。
目標 ROE:5.0%以上
株価:2,000円以上
2024年12月期も厳しい経営環境にありましたが、引き続き、中期経営計画における重点課題及び以下の各取り組みをしっかりと実行し、2025年12月期の目標達成に向け、全社一丸となって業務に邁進いたします。
① 収益性の向上:売上高当期純利益率の向上
当社は、生産性向上のための設備導入や改造、外注工程の内製化のための設備導入等によるコストダウンに努めるとともに、「選択と集中」により利益率の高い製品販売に注力しております。その結果、当社の限界利益率(注5)は、製造業全般に比較して相当程度高いという特徴があります。今後は、トップラインである売上高をより重視し、付加価値が高く十分な限界利益を確保すべき製品と、製品ライフサイクルや市場ニーズ・顧客ニーズ等を勘案し、相応の限界利益を稼ぐための製品とを区分した上で、従来積極的に販売展開してこなかった製品の掘り起こしに加え、サーマルトランスファーメディア(TTM)・テープ類分野での環境対応にかかる製品の提案を行うなど、トップラインの売上高を向上させ、利益の回復・拡大を図ってまいります。
(注5) 限界利益=売上高-変動費
限界利益率(%)=(限界利益÷売上高)×100
② 資産効率の向上:総資産回転率の向上
当社といたしましては、売上高の減少が総資産回転率の低迷に直結していると認識しております。
生産性向上のための設備導入・改造、外注工程の内製化のための設備導入、海外子会社エフシー ベトナム コーポレーションにおける成形事業の拡大のための設備投資等といった、生産キャパシティ拡大・高機能化・高効率化のための成長投資は継続する方針であることから、資産効率の向上策といたしましては、総資産の大幅な圧縮ではなく、売上高拡大を図ってまいります。
③ 資本構成の最適化:財務レバレッジの最適化(株主資本のコントロール)、株主還元のさらなる強化
当社の現在の流動性に鑑みると、自己株式の追加取得は、当社株式の流動性をさらに低下させることとなり適切でないと考えます。
したがいまして、連結配当性向の目標値による配当方針を見直すこととし、2024年度決算に係る配当より、下限基準として「連結DOE(株主資本配当率)1.0%」を導入いたしました。
2) コーポレートガバナンスの充実
① 取締役会の実効性向上
(a) 経営計画等のモニタリング強化
当社の取締役会では、毎月、輪番で各部門(子会社を含みます。)が部門活動報告を行うこととしております。
特に、中期経営計画の重点課題については、以下のとおり報告頻度を上げており、「何ができていて、何が課題として残ったのか」「新たに判明した課題は何か」等の認識共有を図り、対応策について議論するなど、モニタリングを強化しております。
・「新製品・新規事業の開発」及び「ものづくり・生産性の強化」:年4回
・「人財育成」:年2回
・「カーボンニュートラルへの取り組み」:年2回
(b) 指名・報酬に係る監督機能強化(指名・報酬諮問委員会における社外取締役の活用等)
当社は、取締役の指名・報酬等の重要な経営事項に関する検討について、公正性・透明性・客観性を一層強化する目的で、取締役会の諮問機関として、2020年12月、任意の委員会として「指名・報酬委員会」を設置いたしました。
委員の構成は、社内取締役2名、社外取締役2名であり、委員長は社内取締役が務めておりますが、決議について、規程上「社外取締役である委員全員の賛成がなければ可決されない」と定めております。このように、社外取締役にいわば拒否権を持たせることにより、公正性・客観性を確保しております。
委員会の開催は、年2回又は年3回で、指名・報酬に関連する各種基本方針のほか、個別の指名や取締役会として備えるべきスキルなどに関する審議がなされており、社外取締役である委員は、客観的・独立的な立場から積極的に意見を述べるなど、指名・報酬の決定プロセスの独立性・客観性及び透明性の向上に貢献を果たしております。
② サステナビリティに関する課題への取り組み
当社は、サステナビリティに関する課題のうち、「気候変動問題への対応」、「人的資本投資及びダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)」及び「知的財産への投資について」の3点に重要性(マテリアリティ)を置き、優先的に取り組んでおります。
(a) 気候変動問題への対応
環境マネジメントシステム(ISO14001)に沿って、半期毎に、前半期の振り返り及び今後の課題やリスクについて、「マネジメントレビュー報告」にて代表取締役に報告・協議を行っております。
同じく半期毎に、中期経営計画の重点課題である「カーボンニュートラルへの取り組み」として、取締役会に進捗状況と今後の課題やリスクについて報告の上、議論しております。
さらに、これらの取り組み成果について、ISO審査機関における審査にて確認を受けております。
(b) 人的資本投資及びダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
「人財育成検討会」において、代表取締役以下の取締役・執行役員が、次世代役員候補者及び次世代管理職候補者に係る育成方針について、年1回以上、議論・検討しております。
また、半期毎に、中期経営計画の重点課題である「人財育成」として、取締役会に進捗状況と今後の課題やリスクについて報告の上、議論しております。
(c) 知的財産への投資について
原則2か月に1度、代表取締役ほか関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、新たな開発技術について特許出願の是非を議論した上で特許を出願しております。
3) 情報開示の充実
① 経営戦略、財務情報、非財務情報の開示充実
定時株主総会招集通知、有価証券報告書において、「対処すべき課題」として、中期経営計画の内容及び重点課題と進捗状況について記載しているほか、サステナビリティに関する課題への取り組みについて記載をしております。
また、当社ホームページに2023年3月3日付で「中期経営計画(2023~2025)飛躍・成長する3年」及び「2022年12月期 決算説明資料」を掲載し、当社の概要や製品、技術的な強み等の紹介とともに、前回中期経営計画の振り返り、現行の中期経営計画の内容のほか、財務情報、非財務情報(サステナビリティに関する課題への取り組み)を公表いたしました。
上記を皮切りに、以降半年毎に、2023年8月29日付で「2023年12月期(2Q)決算説明資料」及び2024年3月5日付で「2023年12月期 決算説明資料」をホームページにて公表し、中期経営計画における重点課題の進捗状況、財務情報及び非財務情報を公表いたしました。
特に、2023年8月29日付「2023年12月期(2Q)決算説明資料」の後段では、「資本コストや株価を意識した経営について」を公表し、同日付のコーポレートガバナンス報告書においてその旨を開示いたしました。
また、2018年から、毎年3月に、IR担当である管理部担当取締役が、機関投資家である株主を訪問した上で対話を行っております。さらに、その対話の内容を毎年4月度の取締役会で報告し、コーポレートガバナンスの強化に活用しております。
今後も情報開示の一層の充実に取り組んでまいります。
さらに、2023年8月29日付「2023年12月期(2Q)決算説明資料」の後段「資本コストや株価を意識した経営について」に記載のとおり、当グループは、安定した収益の確保及びPBR・PERの改善を実現するため、資本コストや株価を意識した経営の実現に取り組んでおります。
当グループ連結のPBRは、2005年度の0.53倍以降は、概ね0.2~0.3倍と低位で推移しております。
当グループ連結のPERの推移は、各年度によって変動が激しい状況ですが、2015年度以降は概ね5倍~13倍程度で推移しております。
当社といたしましては、このようにPBRが低水準となっていることやPERの変動が激しいことは、毎年安定した収益を継続して確保できていない結果であり、かつ、成長戦略に関して株主の理解を十分に得られていないため当グループの将来性が評価されていない結果であると分析しております。
<連結経営指標等>
(注) PER及びPBRは、各年度最終取引日の終値をもとに算出しております。
上記分析を踏まえ、株主をはじめとした各ステークホルダーの皆様から当グループの成長性を適切に評価していただくことを基本的な方針として、安定した収益の確保とPBR及びPERについて東証スタンダード市場の平均値(2024年12月の東証スタンダード市場平均 PBR:0.9倍、PER:14.8倍)を上回る水準を恒常的に確保することを第一に、PBRについては1倍を上回る水準を目標としてまいります。
今後、当グループは、資本コストを上回る投下資本の効率的な活用を通じて、安定的な利益成長及びキャッシュ創出力の拡大を図り、さらなる業績向上及び株価向上に努めるとともに、成長戦略の強化・実行、流動性の向上、EPS(1株当たり純利益)の成長等を目指し、様々な施策を通じて株式価値の向上及び株主の皆様への還元により一層努めてまいります。
以上のとおり、今般の第三者割当による本新株予約権の発行は、上場維持基準の適合及び資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた流動性向上策の1つとして実施するものです。なお、割当予定先が本新株予約権の行使により取得した当社株式については、市場の状況等を勘案し、株価への悪影響を極力排除しつつも、比較的短期間で市場売却等する方針となっていることから、当社株式の市場売却により株価への下落圧力がかかる可能性もあります。しかしながら、中長期的な株価及び企業価値を形成するのは、本第三者割当による1株当たり利益の希薄化の影響(資本コストの増加)を上回る投下資本利益率を当グループが今後達成できるか否かであり、株価及び企業価値の向上を図るためには、本新株予約権により調達した資金を活用することによって当グループの本質的な収益力を向上させることが重要であると考えております。
当社といたしましては、本第三者割当により、当グループの成長戦略の強化及び成長投資資金の確保が可能になるとともに、財務基盤の強化及び資本バッファーの構築による負債調達余力の確保・拡大をも図ることができ、当グループの中長期的な企業価値の向上に繋がるものと考えております。
当グループは、引き続き、さらなる流動性の向上及び投資家層の多様化・拡大を図り、持続的な企業成長と中長期的な企業価値の向上により一層努めてまいります。
したがいまして、今後の当グループにおける成長戦略である①新製品・新規事業開発のための研究開発投資及び②生産キャパシティ拡大のための設備投資を確実に実行し、さらなる事業拡大及び収益力の強化を図るため、今後想定される成長投資に備えて十分な自己資金を確保するとともに、本資金調達に伴う純資産の増加により当グループの財務基盤を強化すること及び上場維持基準の達成・PBR改善等に向けた流動性の向上を図ることを目的として、本新株予約権の発行を決定いたしました。
(2) 資金調達方法の概要
本資金調達は、当社が割当予定先に対し、対象株式数を380,000株、行使期間を3年間とする、行使価額修正条項付新株予約権である本新株予約権を割り当て、割当予定先による本新株予約権の行使に伴って当社が資金を調達する仕組みとなっております。
なお、本新株予約権の行使期間は、2025年3月11日から2028年3月10日までの3年間です(但し、当該期日が取引日でない日に該当する場合は、その直後の取引日を期日とします)。
なお、今般の資金調達においては、本新株予約権の行使の結果交付されることとなる当社株式の一部には、当社が保有する自己株式(258,000株を予定)を充当する予定です。
本新株予約権の概要は以下のとおりです。
本新株予約権の当初行使価額は1,676円であり、行使価額は、割当日以後、各修正日の直前取引日の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値(同日に終値がない場合には、その直前の終値)の90%に相当する金額の1円未満の端数を切り上げた金額(修正日価額)が、当該修正日の直前に有効な行使価額を1円以上上回る場合又は下回る場合には、当該修正日の翌日以降、当該修正日価額に修正されます。
但し、修正日にかかる修正後の行使価額が下限行使価額(838円。上記「新株予約権の行使時の払込金額」欄第4項の規定を準用して調整されます。)を下回ることとなる場合には、行使価額は下限行使価額とします。
本新株予約権の行使により調達した資金については、前記「(1) 募集の目的及び理由 ウ.当グループにおける知的財産への投資戦略及び本資金調達における資金使途」において述べましたとおり、①新製品・新規事業開発のための研究開発資金、②生産キャパシティ拡大のための設備投資資金に充当する計画であり、支出予定時期は2025年3月から2028年3月までを想定しております。
上記各成長投資資金は、今後当社の収益力強化及び事業拡大を図るために必要不可欠な資金であり、足元での資金需要が生じていることから、本新株予約権については、権利行使が比較的進みやすい行使価額修正型のスキームを採用することといたしました。これにより、当社において必要不可欠な足元での資金需要に迅速に対応することができ、今後の成長戦略のための上記各成長投資資金を確保することが可能となります。
したがいまして、本資金調達は、当社のさらなる収益力向上、事業拡大及び財務基盤の強化を目的として、足元での資金需要に対応するための機動的な調達を実現できるものであることから、既存株主の皆様の持分の希薄化を考慮しましても、中長期的に株主価値の向上に寄与するものと判断し、本資金調達を行うことを決定いたしました。
(3) 資金調達方法の選択理由
当社は、資金調達に際し、間接金融の融資姿勢及び財務状況、今後の事業展開等を勘案し、既存株主の利益に対する影響を抑えつつ自己資本を拡充させることを軸として、直接金融で調達できる方法を検討してまいりました。このため、下記「[他の資金調達方法との比較]」に記載の各項目及び他の手段との比較を行い、また、下記「[本資金調達スキームの特徴]」に記載のメリット及びデメリットを総合的に勘案した結果、割当予定先からの提案である第三者割当による本新株予約権による資金調達が、既存株主の利益に配慮しながら当社の将来の資金ニーズに対応しうる、現時点において最適な選択であると判断し、これを採用いたしました。
本資金調達スキームは、以下の特徴を有しております。
[本資金調達スキームの特徴]
<メリット>
① 対象株式数の固定
本新株予約権の対象株式数は、発行当初から発行要項に示される380,000株で固定されており、将来的な市場株価の変動によって潜在株式数が変動することはありません。そのため、希薄化の規模は予め限定されております。なお、本新株予約権の対象株式数は、株式分割等の一定の事由が生じた場合には、本新株予約権の発行要項に従って調整されることがあります。
② 株価への影響の軽減及び資金調達額の減少のリスクの軽減
本新株予約権には下限行使価額が設定されており、修正後行使価額が下限行使価額を下回る価額に修正されることはありません。したがいまして、当社株価が下限行使価額を下回る局面において、当社普通株式が市場へ過剰に供給され、さらなる株価低迷を招き得る事態が回避されるとともに、資金調達額の減少リスクを防止する設計となっております。
③ 株価上昇時における資金調達額の増加
本新株予約権には行使価額修正条項が付されており、株価に連動して行使価額が修正されるため、株価が上昇した局面においては資金調達額が増額されます。
④ 株価上昇時における行使促進効果
本新株予約権には行使価額修正条項が付されており、株価に連動して行使価額が修正されるため、株価が大きく上昇した局面においては、割当予定先が早期にキャピタル・ゲインを実現すべく速やかに行使を行う可能性があり、これにより迅速な資金調達が実現されます。
⑤ 取得条項
本新株予約権は、2026年3月11日以降、割当予定先に対し、当社取締役会で定める取得日の15取引日前までに書面によって通知することにより、本新株予約権の発行価額と同額で残存する新株予約権の全部又は一部を取得することができます。これにより、将来的に当社の資金ニーズが後退した場合や資本政策方針が変更になった場合等、本新株予約権を取得することにより、希薄化の防止や資本政策の柔軟性が確保できます。
⑥ 不行使期間
当社は、本新株予約権に係る行使期間中、割当予定先が本新株予約権を行使することができない期間(以下、「不行使期間」といいます。)を、割当予定先に対し、当該期間の初日から遡って5取引日前までに書面で通知することにより最大4回設定することができます。1回当たりの不行使期間は10連続取引日以下とし、各不行使期間の間隔は少なくとも5取引日空けるものとします。但し、本新株予約権の取得事由が生じた場合には、当社は、それ以後取得日までの間、不行使期間を設定することができず、かつ、当該取得事由に係る通知の時点で設定されていた不行使期間は、当該通知がなされた時点で直ちに終了します。このように当社が不行使期間を設定することにより、本新株予約権の行使の数量及び時期を当社が一定程度コントロールすることができるため、資金需要や市場環境等を勘案しつつ、当社の裁量で株価への影響を抑えることが可能となります。
⑦ 譲渡制限
本新株予約権は、割当予定先に対する第三者割当の方法により発行されるものであり、かつ本買受契約において譲渡制限が付されており、当社取締役会の承認がある場合を除き、割当予定先から第三者へは譲渡されません。
また、割当予定先は、当社取締役会の承認がある場合を除き、本新株予約権の行使により取得した当社普通株式について、発行済株式総数に対する割合にして5%を超える当社普通株式を一度に市場外取引によって第三者に譲渡することはできません。
⑧ 行使コミット
割当予定先は、東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値が5連続取引日(終値のない日を除く。)にわたり、権利行使時点において適用を受ける行使価額の130%を超過し、かつ、参照期間中に権利行使を一切行っていなかった場合、当該日の出来高の30%を上限に権利行使を行うものとします。なお、参照期間とは権利行使義務発生日前の5連続取引日(終値のない日を除く。)をいいます。これにより、原則として本新株予約権は一定の期間内に一定数又は全て行使されることとなり、当社は比較的短期間で資金調達を実現することが可能となります。
<デメリット>
① 本新株予約権の行使により希薄化が生じる可能性
本新株予約権の対象株式数は発行当初から発行要項に示される380,000株で一定であり、最大増加株式数は固定されているものの、本新株予約権の行使がなされた場合には、総議決権数が増加するため希薄化が生じます。
② 当初に満額の資金調達ができないこと
新株予約権の特徴として、新株予約権者による権利行使があって初めて、行使価額に対象株式数を乗じた金額の資金調達がなされます。そのため、本新株予約権の発行時に満額の資金調達が行われるわけではなく、当初に満額が調達される資金調達方法と比べると実際に資金を調達するまでに時間が掛かる可能性があります。
③ 株価低迷時に本新株予約権が行使されず資金調達が当初想定額を大きく下回る可能性
株価が下限行使価額を下回る場合には、本新株予約権の行使はされず、資金調達額が当初想定額を大きく下回る可能性があります。
④ 割当予定先が当社株式を市場売却することにより当社株価が下落する可能性
割当予定先の当社株式に対する保有方針は短期保有目的であることから、割当予定先は本新株予約権を行使して取得した株式を売却することを前提としており、割当予定先による当社株式の市場売却により当社株価が下落する可能性があります。
⑤ 取得請求
割当予定先が本新株予約権の行使期間の末日の1ヶ月前の時点で未行使の本新株予約権を保有している場合、又は、当社の発行する株式が東京証券取引所により監理銘柄、特別注意銘柄若しくは整理銘柄に指定された場合若しくは上場廃止となった場合には、当該時点又は当該事由の発生時から行使期間の満了日までの間いつでも、割当予定先は、当社に対し、当社による取得日の5取引日前までに通知することにより、本新株予約権の発行価額と同額で残存する本新株予約権の全部又は一部を取得することを請求することができます。当社は、かかる請求があった場合、当該本新株予約権を発行価額と同額で取得するものとします。この場合、割当予定先は、本新株予約権の移転に係る記録が取得日になされるように、機構関連諸規則及び振替法に従い、かかる記録のために割当予定先が執るべき手続を行うものとします。なお、本新株予約権の発行要項に定める期日が取引日でない日に該当する場合は、その直後の取引日を期日とします。
したがいまして、本新株予約権の行使期間の末日の1ヶ月前の時点で割当予定先が未行使の本新株予約権を保有している場合等において、割当予定先が当社に対して本新株予約権の取得請求を行った場合には、本新株予約権の行使による資金調達が行われないことにより、資金調達額が当社の想定額を下回る可能性があり、また、本新株予約権の払込金額と同額の金銭の支払いが必要になることにより、本新株予約権による最終的な資金調達額が減少する場合があります。
⑥ 優先交渉権及びエクイティ性証券の発行の制限
本買受契約において、当社は、本契約締結日以降、1)本新株予約権の全数が行使された日、2)当社が取得又は買入れした日、3)行使期間の末日、又は4)本買受契約が解約された日のいずれか先に到来する日から6か月後までの間、当社株式又は当社株式の交付を請求できる新株予約権等を第三者に発行(当社の株式の発行に関しては自己株式の処分を含みます。)しようとする場合には、当社は、当該第三者に対する発行に合意する前に、割当予定先に対して、同条件にてその予定する発行額の全部又は一部について引受け又は購入する意図があるかどうか、又は同等以上の条件を提案する意向があるかを優先的に確認しなければならないこととされております。また、割当予定先の事前の書面による同意がない限り、当社普通株式及びこれを取得する権利又は義務が付された有価証券を発行してはならないこととされているため、追加の資金調達方法については一定の制約を受けることとなります。
但し、ア)当社、当社子会社又は関連会社の役員・従業員又は取引先に対するインセンティブ目的での株式の発行又は新株予約権の付与、イ)株式分割又は株式無償割当てに伴う株式交付、ウ)吸収分割、株式交換、株式交付及び合併に伴う株式交付、エ)新株予約権若しくは転換予約権の行使又は強制転換・一斉転換による場合、オ)当社が他の事業会社との間で行う業務上の提携(既存の提携に限らず、新規又は潜在的な提携や導出入契約(ライセンス契約)に伴う提携を含みます。)の一環として又はこれに関連して当該他の事業会社に対してこれらの有価証券を発行する場合(本買受契約締結日前にかかる態様での証券の発行により当社の株主となっていた者につき、本新株予約権の行使によって持株比率の希釈化が生じることを防止する目的で証券を追加発行する場合を含みます。また、当該事業会社が金融会社若しくは貸金業者ではなく、また、当社に対する金融を提供することを主たる目的として業務上の提携を行うものでもない場合に限られます。)等の一定の場合を除きます。
⑦ 権利不行使
本新株予約権は、割当予定先が本新株予約権の行使を行わない可能性があり、権利が行使されない場合、資金調達額は、当社が想定した額を下回る可能性があります。
⑧ 不特定多数の新投資家へのアクセスの限界
第三者割当方式という当社と割当予定先のみの契約であるため、不特定多数の新投資家から資金調達を募るという点において限界があります。
[他の資金調達方法との比較]
当社が本資金調達を選択するに際して検討した他の資金調達方法は以下のとおりです。
1) 公募増資
株式の公募増資は、資金調達が当初から実現するものの、同時に1株当たり利益の希薄化を一度に引き起こすため、株価に対する直接的な影響を与える可能性があります。また、当社の現状の時価総額・流動性等に鑑みると、公募増資を実施することは事実上困難であると考えられることから、今回の資金調達方法としては適切でないと判断しました。
2) 株主割当増資
株主割当増資では、既存株主持分の希薄化は払拭されますが、調達額が割当先である既存株主参加率に左右されることから、当社の資金需要の額に応じた資金調達が困難であるため、今回の資金調達方法としては適切でないと判断いたしました。
3) 第三者割当による新株発行
新株発行の場合は、発行と同時に資金を調達することができますが、一方、発行と同時に株式の希薄化が一度に起こってしまうため、既存株主様の株式価値へ悪影響を及ぼす懸念があります。また、第三者割当による新株発行により今般の資金調達と同規模の資金を調達しようとした場合、割当先が相当程度の議決権を保有する大株主となり、当社のコーポレート・ガバナンス及び株主構成に重要な影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、現時点では適当な割当先が存在しないと判断いたしました。
4) 第三者割当による新株予約権付社債の発行
新株予約権付社債の場合は、発行と同時に資金を調達でき、また株式の希薄化は一気に進行しないというメリットがあります。しかしながら、社債の株式への転換が進まなかった場合、満期時に社債を償還する資金手当てが別途必要になります。償還時点におけるキャッシュ・フローの状況等によっては資金手当てが困難である可能性もあり、資金手当てができなかった場合デフォルトを起こし、経営に甚大な影響を与えるリスクがあります。また、新株予約権付社債の設計によっては、転換又は償還が行われるまで利息負担が生じることから、今回の資金調達方法としては適切でないと判断いたしました。
5) 行使価額が修正される転換社債型新株予約権付社債(MSCB)の発行
株価に連動して行使価額が修正される転換社債型新株予約権付社債(いわゆるMSCB)の発行条件及び行使条件は多様化していますが、一般的には、転換により交付される株式数が転換価額に応じて決定されるという構造上、転換の完了までに転換により交付される株式総数が確定しないため、株価に対する直接的な影響が大きく、今回の資金調達方法としては適切でないと判断いたしました。
6) 新株予約権無償割当による増資(ライツ・オファリング)
いわゆるライツ・オファリングには、金融商品取引業者と元引受契約を締結するコミットメント型ライツ・オファリングと、そのような契約を締結せず、新株予約権の行使が株主の決定に委ねられるノンコミットメント型ライツ・オファリングがありますが、コミットメント型ライツ・オファリングについては、引受手数料等のコストが増大することが予想され、今回の資金調達方法として適当ではないと判断いたしました。また、ノンコミットメント型ライツ・オファリングについては、株主割当増資と同様に、調達額が割当先である既存株主又は市場で新株予約権を取得した者による新株予約権の行使率に左右されることから、ライツ・オファリングにおける一般的な行使価額のディスカウント率を前提とすると当社の資金需要の額に応じた資金調達が困難であるため、今回の資金調達手法としては適切でないと判断いたしました。
7) 第三者割当による固定行使価額新株予約権の発行
固定行使価額新株予約権は、行使価額が一定であるため、株価が行使価額を下回って推移する場合には新株予約権の行使が進まず、資金調達そのものが困難となる可能性があります。また、株価が行使価額を超えている場合であっても、行使価額近辺を推移するような場合には、同様に新株予約権の行使が進まず、足元での資金需要に対応するための機動的な行使が行われない可能性があります。
他方で、このような固定行使価額新株予約権は、行使価額が一定であるため、株価が行使価額を上回って推移する場合であっても、一定の額以上の資金調達を見込むことはできません。
したがいまして、固定行使価額新株予約権は、株価が行使価額を下回って推移する場合や行使価額近辺を推移するような場合には当社の資金需要に対応するための機動的な行使が行われないおそれがあり、また、株価が上昇した場合であっても一定額以上の資金調達を見込むことができないことから、今回の資金調達手法としては適切でないと判断いたしました。
8) 金融機関からの借入や社債による調達
低金利環境が継続する現在の状況下においては、比較的低コストで負債調達が可能であり、金融機関からの借入や社債による資金調達は、運転資金や設備投資等の比較的リスクの低い資金の調達として適しているというメリットがあります。もっとも、金融機関からの借入や社債による資金調達では、利払負担や返済負担が生じるとともに、調達額全額が負債となるため当社の財務健全性が低下し、今後の借入余地が縮小する可能性があります。したがいまして、将来の財務リスクの軽減のためには、資本バッファーを構築した上で有利子負債の調達余力を十分に確保しておくことが必要かつ適切であると思料されることから、今回の資金調達手法として間接金融での資金調達は適切でないと判断いたしました。
これらに対し、新株予約権の発行は、一般的に段階的に権利行使がなされるため、希薄化も緩やかに進むことが想定され、既存株主の株式価値への悪影響を緩和する効果が期待できます。また、本新株予約権は、2026年3月11日以降、割当予定先に対し、当社取締役会で定める取得日の15取引日前までに書面によって通知することにより、本新株予約権の発行価額と同額で残存する新株予約権の全部又は一部を取得することができることとなっており、希薄化の防止や資本政策の柔軟性を確保した設計としております。
以上の検討の結果、本新株予約権の発行による資金調達は、上記の他の資金調達方法よりも現実的な選択肢であり、既存株主の利益にもかなうものと判断いたしました。
2.企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第9項に規定する場合に該当する場合にあっては同項に規定するデリバティブ取引その他の取引として予定する取引の内容
該当事項はありません。
3.当該行使価額修正条項付新株予約権付社債券等に表示された権利の行使に関する事項について割当予定先との間で締結する予定の取り決めの内容
当社が割当予定先との間で、金融商品取引法に基づく届出の効力発生後に締結する本買受契約には、上記「(注) 1.本新株予約権(行使価額修正条項付新株予約権付社債券等)の発行により資金調達をしようとする理由」の「(2) 資金調達方法の概要」及び「(3) 資金調達方法の選択理由」に記載した内容が含まれます。また、当社と割当予定先は、本新株予約権について、東京証券取引所の定める有価証券上場規程第434条第1項及び同施行規則第436条第1項から第5項までの定め、並びに日本証券業協会の定める「第三者割当増資等の取扱いに関する規則」第13条の定めに基づき、原則として、単一暦月中に割当予定先が本新株予約権の行使により取得される株式数が、本新株予約権の払込日時点における上場株式数の10%を超える部分に係る行使を制限するよう措置を講じる予定です。また、本買受契約において、割当予定先は、所定の適用除外の場合を除き、制限超過行使に該当する本新株予約権の行使を行わないことに同意し、本新株予約権の行使にあたっては、あらかじめ当社に対し、本新株予約権の行使が制限超過行使(定義は後記「第3 第三者割当の場合の特記事項 1 割当予定先の状況 (4) 株券等の保有方針」に記載のとおりです。)に該当しないかについて確認を行うことが定められる予定です。さらに、本買受契約において、割当予定先は、本新株予約権を譲渡する場合、あらかじめ譲渡先となる者に対して、当社との間で制限超過行使に係る義務を負うことを約束させ、また譲渡先となる者がさらに第三者に譲渡する場合にも当社に対して同様の義務を承継すべき旨を約束させることが定められる予定です。
4.当社の株券の売買について割当予定先との間で締結する予定の取決めの内容
該当事項はありません。
5.当社の株券の貸借に関する事項について割当予定先と当社の特別利害関係者等との間で締結される予定の取決めの内容
割当予定先と当社及び当社の特別利害関係者等との間において、本新株予約権の行使により取得する当社普通株式に関連して株券貸借に関する契約を締結しておらず、またその予定もありません。
6.その他投資者の保護を図るために必要な事項
該当事項はありません。
7.本新株予約権の行使請求及び払込の方法
(1) 本新株予約権を行使する場合、上記「新株予約権の行使期間」欄記載の本新株予約権を行使することができる期間中に、当該本新株予約権者が本新株予約権の振替を行うための口座の開設を受けた振替機関又は口座管理機関を通じて、上記「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄記載の行使請求受付場所に対して行使請求に必要な事項を通知するものとします。
(2) 本新株予約権を行使する場合、前号の行使請求の通知に加えて、本新株予約権の行使に際して出資の目的とされる金銭の全額を、上記「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄に定める払込取扱場所の当社が指定する口座に振り込むものとします。
(3) 本新株予約権の行使の効力は、行使請求に必要な全部の事項が上記「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄第1項「新株予約権の行使請求の受付場所」に通知され、かつ当該本新株予約権の行使に際して出資される金銭の全額が上記「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄第3項「新株予約権の行使請求の払込取扱場所」に定める口座に入金された日に発生します。
8.本新株予約権証券の発行及び株式の交付方法
(1) 当社は、本新株予約権にかかる新株予約権証券を発行しません。
(2) 当社は、本新株予約権の行使請求の効力が生じた日の2銀行営業日後の日に、当該本新株予約権者が指定する振替機関又は口座管理機関における振替口座簿の保有欄に振替株式の増加記録を行うことによって株式を交付します。
9.社債、株式等の振替に関する法律の適用等
本新株予約権は、社債、株式等の振替に関する法律に定める振替新株予約権とし、その全部について同法の規定の適用を受ける。また、本新株予約権の取扱いについては、株式会社証券保管振替機構の定める株式等の振替に関する業務規程、同施行規則その他の規則に従います。
該当事項はありません。
(注) 1.払込金額の総額は、本新株予約権の発行価額の総額(3,059,000円)に、本新株予約権の行使に際して払い込むべき金額(636,880,000円)を合算した金額であります。
2.発行諸費用の概算額には、消費税等は含まれておりません。
3.発行諸費用の概算額の内訳は、ストームハーバー証券株式会社への財務アドバイザリーフィー(19,106千円。当該財務アドバイザリーフィーは成功報酬制であり、左記の金額は本新株予約権が全て当初行使価額で行使された場合の調達金額を基礎とした金額です。)、新株予約権公正価値算定費用(1,250千円)、登録免許税(900千円)及び有価証券届出書作成費用(1,188千円)です。
4.払込金額の総額は、全ての本新株予約権が当初行使価額で行使された場合の金額であり、行使価額が修正又は調整された場合には、本新株予約権の払込金額の総額及び差引手取概算額は増加又は減少する可能性があります。また、本新株予約権の行使期間内に行使が行われない場合又は当社が本新株予約権を取得し、又は買い取った場合には、払込金額の総額及び差引手取概算額は減少する可能性があります。
具体的な使途及び支出予定時期につきましては、以下のとおりです。
(注) 1.上記の金額は本新株予約権が全て当初行使価額で行使された場合の調達金額を基礎とした金額です。そのため、行使価額が修正又は調整された場合には、増加又は減少する可能性があります。また、本新株予約権の行使期間中に行使が行われない場合及び当社が取得した本新株予約権を消却した場合には、減少する可能性があります。
2.当社は本新株予約権の払込みにより調達した資金を上記の資金使途に充当するまでの間、当該資金は銀行預金等にて安定的な資金管理を図る予定であります。
3.本新株予約権により調達した資金は、上記具体的な使途①及び②の進捗状況及び本新株予約権の行使状況等に応じて、支出時期の早いものから順に充当いたします。
上記「1 新規発行新株予約権証券(第2回新株予約権) (2) 新株予約権の内容等 (注) 1.本新株予約権(行使価額修正条項付新株予約権付社債券等)の発行により資金調達をしようとする理由 (1) 募集の目的及び理由 ウ.当グループにおける知的財産への投資戦略及び本資金調達における資金使途」に記載のとおり、新製品開発と既存事業の拡充による収益力強化、並びに、財務基盤のさらなる強化を実現し、今後も当社事業における技術力・競争力の源泉を成す研究開発投資を確実に実行していくことが、当社における市場競争力の強化及び中長期的な収益基盤のさらなる拡大に寄与するものと考えております。
したがいまして、本資金調達における資金使途の具体的な内容につきましては、以下のとおり、①新製品・新規事業開発のための研究開発資金、②生産キャパシティ拡大のための設備投資資金に充当する予定です。
当グループの研究開発は、①コア技術である処方設計・精密塗工・転写技術を強化し、顧客の企画に最も適した機能性材料の開発を共同して行うこと、及び、②当グループ独自の企画・開発による機能性材料を提案することを基本としております。
熱転写分野において、印字の高速化・高感度化・高堅牢化を目指し、印字条件の研究や各種リボンの開発を行っております。とりわけバーコードや軽包装の印字に用いられるリボンは市場からのニーズも大きく、積極的に開発を行っております。また、金属等の機能性材料を転写することが可能な熱転写技術の特長を生かし、産業用途へのオンデマンド印刷システムの提案及びそれに使用する各種機能を有するリボン等の開発を行っております。
文具分野では、修正テープ、テープのりのさらなる高品質化を推進するとともに、市場ニーズに合わせた新製品の企画提案を行っております。また、本分野で培った粘着剤技術を利用し、その高機能化や各種基材との組み合わせにより工業用粘着フィルムをはじめとする製品の各種産業分野への応用展開を推進しております。
その他分野では、機能性フィルムを統一ブランドである「FIXFILM」として展開し、特長ある付加価値の高い製品を開発推進しており、各種産業向けに生産工程内のプロセスで使用される消耗品分野をはじめとする様々な独自製品の開発を行っております。また、注目されている環境・エネルギー分野やエレクトロニクス分野へも当社のコア技術を活かした受託塗工を含めて積極的に展開し、開発を推進しております。
このほか、新たな事業を生み出す市場創造型の製品づくりのため、各大学と新素材に関する共同研究も行っております。
なお、近年における当グループの主な研究開発は、次のとおりです。
<サーマルトランスファーメディア>
高品質なバーコード用、軽包装用、及びラベル用リボンの開発
装飾性の高い印字が可能なシステム提案及びリボンの開発
環境配慮型リボンの開発
熱転写技術の新たな用途展開
<テープ類>
新規修正テープの開発
新規テープのりの開発
<機能性フィルム「FIXFILM」>
粘着・接着機能や光学機能を有する材料の開発
ディスプレイや各種産業分野に使用される各種機能を有するフィルム及びシートの開発
機能性フィルムの統一ブランドである「FIXFILM」として、各種機能を付与した製品の開発
生産工程内のプロセスで使用される消耗品フィルムの開発
各種機能を有する材料を転写するフィルム及びシートの開発
現行の中期経営計画の重点課題の1つである「(イ)新製品・新規事業の開発」において、とりわけ「開発チャレンジテーマ」の個別案件については、当グループの中長期的な成長ドライバーと位置付けており、今後大きな成長が見込まれる有望な開発案件が少なからず存在しております。一例として、当社は、既にサーマルトランスファーメディア(TTM)を活用したオンデマンド印刷方式を確立しております。これは、ユーザーにて事前の印刷版の作製を必要としない効率的・機動的な印刷方式ですが、その技術的な用途拡大を図ることにより、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発案件に積極的に取り組んでおります。
また、「FIXFILM」については、当グループにおける「第三の柱」とすべく、現在の開発テーマ以外の用途展開を積極的に検討しており、フラットパネルのディスプレイに応用展開しているほか、半導体加工プロセスにおいて実績を上げてきており、この分野でのさらなる用途展開に取り組んでおります。
加えて、そうした個別の製品開発案件のみならず、要素技術等の拡充にも力を入れております。当社独自の要素技術開発テーマもありますが、以下のとおり大学3校との産学連携による取り組みも進めております。
㋐ 京都工芸繊維大学
・京都工芸繊維大学の研究室に当社の研究開発者を常駐派遣し、有機合成技術を活用した新素材の研究開発を進めてまいりました。
・当社内にそのノウハウを取り込むとともに、必要な設備を導入して基礎合成の実験を進めております。
㋑ 九州大学
・九州大学が開発を進める分離ナノ膜を用いた大気中二酸化炭素(CO2)の直接回収技術、並びに回収CO2の燃料や化学品等への変換技術開発とその社会実装に向けた研究プロジェクトに参画しております。
・九州大学を中心とした、分離ナノ膜を用いた大気中CO2の直接回収技術とそのCO2利活用を可能とする化学変換研究は、内閣府が推進するムーンショット型研究開発事業(注3)に採択されております。また、2020年代の社会実装を目指しており、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環の実現に向け、注目を集めている技術です。
㋒ 京都大学
・京都大学が研究中の合成高分子による濃厚ポリマーブラシ(注4)の実用化に向けた取り組みに参画しております。
・濃厚ポリマーブラシは、主に、高弾性特性、超低摩擦特性、生体適合性という3つの優れた機能を有し、様々な用途への展開が期待されます。
(注3)ムーンショット型研究開発事業
未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される大胆な発想にもとづく挑戦的な研究開発を実施する事業を指します。
(注4)濃厚ポリマーブラシ
長いひも状のポリマー(高分子)の形態を制御することによりまっすぐに伸ばし、高密度に配列させたブラシ系の状態になったもの。これにより濃厚ポリマーブラシが独自で全く新しい性質・物性を持ちます。
以上のとおり、当グループは、個別開発案件や要素技術研究テーマにおいて、有望な取り組みを進めており、これらの研究開発をさらに推し進めることが当グループの中長期的に大きな成長に繋がるものと確信しております。
したがいまして、新製品・新規事業開発のための研究開発を着実に実施するため、十分な自己資金を確保するとともに、当社の財務基盤の強化を図ることを目的として、本新株予約権による調達資金のうち100百万円を、新製品・新規事業開発のための研究開発資金の一部として充当する予定です。
本新株予約権による調達資金の支出予定時期は、2025年3月~2028年3月を予定しておりますところ、当該期間において合計約1,300~1,500百万円程度の研究開発投資を実行する計画です。
新製品・新規事業開発のための研究開発資金合計約1,300~1,500百万円のうち、100百万円については、本新株予約権による調達資金で賄い、残りの約1,200~1,400百万円については、主に金融機関からの借入及び必要に応じて手元資金等にて賄う予定です。
以上より、本新株予約権による調達資金のうち100百万円を、新製品・新規事業開発のための研究開発資金の一部として充当する予定であり、当該資金使途につき資金が不足する分に関しては、原則として金融機関からの借入又は手元資金等を充当する予定です。
前述のとおり、中期経営計画の重点課題「(イ)新製品・新規事業の開発」における「開発チャレンジテーマ」の個別開発案件や要素技術研究テーマについては、当グループの中長期的な成長ドライバーとして今後大きな成長が見込まれる有望な開発案件が少なからず存在しており、現在、当グループは、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発案件に積極的に取り組んでおります。
このような大きな市場規模に繋がる案件がビジネスとして量産化ラインに乗ってきた場合、老朽化が進みつつある当社の現有設備のみでは生産キャパシティがボトルネックになることが想定されます。
当グループにおいては、生産能力の拡大及び生産体制の合理化・最適化を図るため、焦点を絞った設備投資を行っておりますが、今後大きな市場規模に繋がる複数の製品開発・製造を実行していくためには、単に老朽化による設備更新のみならず、環境負荷に配慮した高機能・高効率な新規設備導入及び現有設備の高機能化・高効率化のための大型改良に係る投資を可及的速やかに手当てする必要があるものと認識しております。
したがいまして、環境負荷に配慮した高機能・高効率な新規設備導入及び現有設備の高機能化・高効率化のための大型改良に係る投資を確実に実行するため、十分な自己資金を確保するとともに、当社の財務基盤の強化を図ることを目的として、本新株予約権による調達資金のうち517百万円を、生産キャパシティ拡大のための設備投資資金の一部として充当する予定です。
本新株予約権による調達資金の支出予定時期は、2025年3月~2028年3月を予定しておりますところ、当該期間において少なくとも合計約1,800~2,100百万円程度の設備投資を実行する計画です。
生産キャパシティ拡大のための設備投資資金合計約1,800~2,100百万円のうち、517百万円については、本新株予約権による調達資金で賄い、残りの約1,283~1,583百万円については、主に金融機関からの借入及び必要に応じて手元資金等にて賄う予定です。
以上より、本新株予約権による調達資金のうち517百万円を、生産キャパシティ拡大のための設備投資資金の一部として充当する予定であり、当該資金使途につき資金が不足する分に関しては、原則として金融機関からの借入又は手元資金等を充当する予定です。
なお、本新株予約権の行使による払込みの有無と権利行使の時期は新株予約権者の判断に依存し、また株価が下限行使価額を下回る状況等では権利行使がされず、本新株予約権の行使価額は修正又は調整される可能性があるため、現時点において調達できる資金の額及び時期は確定したものではなく、現時点において想定している調達資金の額及び支出予定時期に差異が発生する可能性があります。また、本新株予約権が行使されずに調達資金が不足した場合は、当該状況に応じて、金融機関からの借入又は手元資金のほか、調達コストを勘案しつつ新たな増資等も含めた追加の資金調達方法を検討することにより不足分を補完する予定です。
該当事項はありません。
(注) 割当予定先の概要欄及び提出者と割当予定先との間の関係の欄は本有価証券届出書提出日現在におけるものです。
当社は、1950年の創立以降、印字記録媒体及び事務用消耗品等のメーカーとして、世界に先駆けたサーマルトランスファーメディア(熱転写印字記録媒体。略称「TTM」)や、国内外の大手文具メーカーに多数採用されている修正テープといった画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るため、新製品開発と既存事業の拡充により、利益及び売上高の極大化を実現するための取り組みを進めており、間接金融からの調達のみならず、直接金融からの調達も含め、資金調達方法を模索してまいりました。
そのような中で、2024年4月中旬頃、既存取引行よりストームハーバー証券株式会社(所在地:東京都港区赤坂一丁目12番32号、代表取締役社長:渡邉佳史。以下、「ストームハーバー証券」といいます。)の紹介を受け、上場維持基準の適合やPBR改善に向けた当社の資本政策等に関する情報提供及び助言をいただくとともに、資金調達スキームの提案を受け、検討を進めておりました。
その後も、当社においては、流通株式数の増加を図るためのコーポレートアクションについて複数の金融機関から情報収集ないし提案を受け、複数の選択肢を検討いたしました結果、ストームハーバー証券から提案のあった本新株予約権の発行が、現時点における当社の最優先課題の1つである上場維持基準の達成のための流動性向上に最も資する方法であり、かつ、自己株式をも効率的に活用することにより成長投資資金を確保することも可能な方法であったことから、当社が今後さらなる企業価値の向上を目指していくためには、本新株予約権の発行が現時点において最も必要かつ有効な手段であると判断し、2025年1月下旬頃、上記ストームハーバー証券から提案のあった資金調達について本格的に準備を開始することとし、ストームハーバー証券を当社の財務アドバイザーとして起用することといたしました。
ストームハーバー証券は、2009年に設立されたグローバルな金融市場に精通した独立系投資銀行であり、国内又は海外の機関投資家引受によるエクイティファイナンスやM&A・資本業務提携等、顧客企業の財務戦略・資本政策に関するアドバイザリー業務を幅広く展開しております。ストームハーバー証券は、顧客企業の財務アドバイザーとして、資金調達スキームを立案・構築した上で、そのグローバルなネットワークを活用して複数の国内又は海外の機関投資家の中から顧客企業の資金調達戦略に適すると考えられる割当先を選定し、本資金調達を含む財務戦略・資本政策全般に関する助言等を行う役割・機能を担っております。このように、ストームハーバー証券からは、当社の財務アドバイザーとして、割当先の紹介のみならず、本資金調達の実務面のプロセス等を含めて多岐にわたり助言・支援をいただけること、ストームハーバー証券が国内上場企業のエクイティファイナンス等に関する財務アドバイザーとして多数の実績を有すること、本資金調達以外の面においても当社の財務戦略及び資本政策全般に関して継続的に助言・支援をいただけること等から、当社は、ストームハーバー証券を本資金調達に関する財務アドバイザーとして起用いたしました。
その後、当社は、2025年1月下旬頃、ストームハーバー証券より割当予定先の紹介を受け、ストームハーバー証券を通じて割当予定先より、第三者割当による本新株予約権発行の提案を受けました。なお、ストームハーバー証券は、これまでも、割当予定先を新株予約権の割当先とするエクイティファイナンスの案件を複数手掛けた実績があります。
当社は、今後の当グループにおける重要な成長戦略である新製品・新規事業の開発及び設備投資のための成長投資資金を着実に調達するとともに、上場維持基準の適合及びPBR改善に向けた当社株式の流動性向上を達成するニーズを有していたところ、足元での資金需要に対応するための機動的な調達を実現できるとともに、自己株式をも効率的に活用することによって当社株式の流動性向上を図ることが可能な資金調達スキームであったことから、今後の成長戦略に資する資金調達方法であると判断いたしました。
以上より、当社は、ストームハーバー証券及び割当予定先から提案を受けた資金調達スキームが当社の資金調達ニーズを満たすものであったこと、割当予定先のこれまでの国内での活動及び実績や保有方針等を総合的に勘案し、その結果、本新株予約権の第三者割当の割当予定先として適切であると判断いたしました。
(注) 本新株予約権の発行は、日本証券業協会会員である割当予定先による買受けを予定するものであり、日本証券業協会の定める「第三者割当増資等の取扱いに関する規則」の適用を受けて募集が行われるものです。
本新株予約権の目的である株式の総数は380,000株であります。
当社と割当予定先の担当者との協議において、割当予定先が第三者割当で取得する本新株予約権の行使により取得する当社株式について、適宜判断の上、比較的短期間で売却を目標とするものの、運用に際しては市場への影響を常に留意する方針であることを口頭にて確認しております。
なお、本新株予約権について、当社と割当予定先との間で、本有価証券届出書の効力発生後、本買受契約を締結する予定です。
また、本買受契約において、当社と割当予定先は、本新株予約権について、東京証券取引所の定める有価証券上場規程第434条第1項及び同規程施行規則第436条第1項乃至第5項、並びに日本証券業協会の定める「第三者割当増資等の取扱いに関する規則」第13条の定めに基づき、原則として、単一暦月中に割当予定先が本新株予約権を行使することにより取得される株式数が、本新株予約権の払込日時点における上場株式数の10%を超える部分に係る行使(以下、「制限超過行使」といいます。)を制限するよう措置を講じる予定です。
具体的には、以下①~⑥の内容を本買受契約で定める予定です。
① 割当予定先は、本新株予約権を行使しようとする日を含む暦月において、本新株予約権の行使によって取得することとなる当社普通株式の数(以下、「行使数量」といいます。)が、本新株予約権の発行の払込期日時点における上場株式数の10%を超えることとなる場合には、制限超過行使を行うことができないものとし、また、当社は、割当予定先による制限超過行使を行わせないものとします。
なお、行使数量について、次の各号に該当する場合は当該各号に定めるところにより計算します。
(ⅰ)本新株予約権を複数の者が保有している場合は、当該複数の者による本新株予約権の行使数量を合算します。
(ⅱ)本新株予約権以外に当社が発行する別のMSCB等(日本証券業協会の第三者割当増資等の取扱いに関する規則の定義によるものとします。)で新株予約権等を転換又は行使することができる期間が重複するもの(以下、「別回号MSCB等」といいます。)がある場合は、本新株予約権と当該別回号MSCB等の新株予約権等の行使数量を合算します。
また、上場株式数について、次の各号に該当する場合は当該各号に定めるところにより取り扱うものとします。
(ⅰ)本新株予約権の発行の払込期日後において株式の分割、併合又は無償割当てが行われた場合は、当社の発行済普通株式総数に公正かつ合理的な調整を行います。
(ⅱ)当社が本新株予約権を発行する際に別回号MSCB等がある場合は、当該別回号MSCB等に係る上記に基づく当社の発行済普通株式総数の数とします。
② 割当予定先は、制限超過行使を行わないことに同意し、本新株予約権行使にあたっては、あらかじめ、当社に対し、本新株予約権の行使が制限超過行使に該当しないかについて確認を行うものとします。
③ 割当予定先は、本新株予約権を転売する場合には、あらかじめ、転売先となる者に対して、当社との間で上記①②の内容及び転売先となる者が更に第三者に転売する場合にも上記①②の内容を約させるものとします。
④ 当社は、上記③の転売先となる者との間で、上記①及び②の内容及び転売先となる者が更に第三者に転売する場合にも上記①及②の内容を約するものとします。
⑤ 割当予定先は、次の各号に掲げる期間又は場合において制限超過行使を行うことができるものとします。
(ⅰ)当社普通株式が上場廃止となる合併、株式交換及び株式移転等(以下、本項において「合併等」といいます。)が行われることが公表された時から、当該合併等がなされた時又は当該合併等がなされないことが公表された時までの間
(ⅱ)当社に対して公開買付けの公告がなされた時から、当該公開買付けが終了した時又は中止されることが公表された時までの間
(ⅲ)取引所金融商品市場において当社普通株式が監理銘柄又は整理銘柄に割り当てられた時から当該割当てが解除されるまでの間
(ⅳ)本新株予約権の行使価額が発行決議日の取引所金融商品市場の売買立会における当社普通株式の終値以上の場合
(ⅴ)本新株予約権の行使可能期間の最終2ヶ月間
⑥ 割当予定先は、制限超過行使に該当することを知りながら、本新株予約権の行使を行ってはならないものとします。
また、本新株予約権は行使コミットが付されており、本買受契約において、割当予定先は、東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値が5連続取引日(終値のない日を除く。)にわたり、権利行使時点において適用を受ける行使価額の130%を超過し、かつ、参照期間中に権利行使を一切行っていなかった場合、当該日の出来高の30%を上限に権利行使を行う旨が定められる予定です。なお、参照期間とは権利行使義務発生日前の5連続取引日(終値のない日を除く。)をいいます。
当社は、割当予定先が金融商品取引法第46条の4に基づき公表する2024年3月期「業務及び財産の状況に関する説明書」により、割当予定先が当該事業年度の末日において現金及び預金2,279,208千円を保有していることを確認し、本新株予約権の払込みに要する資金(約3百万円)及び本新株予約権の行使に要する資金(約636百万円)の財産の存在について確実なものと判断いたしました。
割当予定先は、第一種金融商品取引業(関東財務局長(金商)第175号)の登録を受けており、東京証券取引所その他の金融商品取引所の取引参加者であり、また、日本証券業協会をはじめとする日本国内の協会等に加入しております。割当予定先は、「反社会的勢力に対する基本方針」を策定し、反社会的勢力との関係を遮断すること等を定め、役職員に周知徹底するとともに、これをホームページに掲載し公表しております。また、当社は、割当予定先が「反社会的勢力に対する基本方針」に基づき、外部専門機関との連携や態勢の整備等、反社会的勢力排除のための取組みを行っていることを割当予定先からのヒアリング等により確認しております。以上より、当社は、割当予定先並びにその役員及び主要株主が反社会的勢力等の特定団体等とは何らの関係も有しないものと判断しております。
本新株予約権は、会社法第236条第1項第6号に定める新株予約権の譲渡制限はありませんが、本買受契約における制限として、割当予定先が本新株予約権を第三者に譲渡する場合には、当社取締役会の決議による当社の承認を要する旨の制限が付されております。但し、割当予定先が、本新株予約権の行使により交付された株式を第三者に譲渡することを妨げません。
また、本買受契約において、割当予定先は、当社取締役会の承認がある場合を除き、本新株予約権の行使により取得した当社普通株式について、発行済株式総数に対する割合にして5%を超える当社普通株式を一度に市場外取引によって第三者に譲渡することはできない旨が定められる予定です。
本新株予約権の発行価額は、第三者算定機関である株式会社Stewart McLaren(所在地:東京都港区白金台五丁目9番5号、代表取締役:小幡治)に算定を依頼しました。当社は、財務アドバイザーであるストームハーバー証券株式会社より、当該算定機関の紹介を受けたところ、当該算定機関が新株予約権の発行実務及び価値評価に関する十分な専門知識・経験を有すると認められること、当社との間に資本関係・人的関係等はなく、また、当該算定機関は当社の会計監査を行っている者でもないため当社との継続的な契約関係が存在せず、当社経営陣から一定程度独立していると認められること等に鑑み、当該算定機関を本新株予約権の第三者算定機関として選定いたしました。
当該算定機関は、価格算定に使用する価格算定手法の決定に当たって、境界条件から解析的に解を求めるブラック・ショールズ方程式や格子モデルといった他の価格算定手法との比較及び検討を実施した上で、一定株数及び一定期間の制約の中で段階的な権利行使がなされること、並びに本新株予約権の発行要項及び割当予定先との間で締結する予定の本買受契約に定められたその他の諸条件を適切に算定結果に反映できる価格算定手法として、一般的な価格算定手法のうち汎用ブラック・ショールズ方程式を基礎とした数値計算手法(モンテカルロ法)を用いて本新株予約権の評価を実施しています。
汎用ブラック・ショールズ方程式を基礎とした数値計算手法(モンテカルロ法を含む)は、新株予約権の原資産である株式の価格が汎用ブラック・ショールズ方程式で定義されている確率過程で変動すると仮定し、その確率過程に含まれる標準正規乱数を繰り返し発生させて将来の株式の価格経路を任意の試行回数分得ることで、それぞれの経路上での新株予約権権利行使から発生するペイオフ(金額と時期)の現在価値を求め、これらの平均値から理論的な公正価値を得る手法です。
当該算定機関は、本新株予約権の諸条件、新株予約権の発行決議に先立つ算定基準日である2025年2月20日における当社普通株式の株価終値1,676円/株、当社普通株式の価格の変動率(ボラティリティ)26.31%(過去3.05年間の日次株価を利用)、満期までの期間3.05年、配当利率3.82%、非危険利子率0.90%、当社の行動、割当予定先の行動を考慮して、一般的な価格算定モデルである汎用ブラック・ショールズ方程式を基礎とした数値計算手法を用いて、本新株予約権の評価を実施しました。
本新株予約権の価値評価にあたっては、当社は、2026年3月11日以降、金融商品取引所における当社普通株式の普通取引の終値が、20取引日連続して、当該各取引日における行使価額の200%を超えた場合、当社取締役会が別途定める日(取得日)の2週間前までに割当予定先に対する通知を行うことにより、当該取得日において本新株予約権1個につき発行価額で、当該取得日に残存する本新株予約権の全部又は一部を取得することができると想定しており、当社は基本的に割当予定先による権利行使を待つものとしています。また、当社に付された取得条項は、発行要項上、2026年3月11日以降、いつでも行使することが可能な権利とされております。
なお、上記のとおり、当社は、株価が一定程度上昇した場合、残存する本新株予約権を全部取得するものと想定しており、当該評価においてはその水準を当該各取引日における行使価額の200%以上となった場合と設定しております。発行要項上取得条項は任意コール(ソフトコール)であり、同条項が発動される具体的な株価水準は定められていません。通常任意コールの発動は取得者の収益が正の値を取る場合に行われるため、この発動水準を行使価額の100%と設定する場合もあります。しかし、本新株予約権の算定においてはこの発動水準を保守的に設定し、2026年3月11日以降、金融商品取引所における当社普通株式の普通取引の終値が、20取引日連続して、当該各取引日における行使価額の200%を超えた場合、当社は、当社取締役会が別途定める日(取得日)の2週間前までに割当予定先に対する通知を行うことにより、当該取得日において本新株予約権1個につき発行価額で、当該取得日に残存する本新株予約権の全部又は一部を取得することができると想定しております。発動水準を200%と設定した理由は、当社がより有利な代替資金調達手法を確保することという既存株主の保護の観点を加味し、代替資金調達コストをCAPMと調達金利から10%程度と見積もり、取得条項を発動する株価水準は、行使価額に代替資金調達コストを加えた水準をさらに保守的に設定しました。これは、株価が当該水準を超えた場合、対象新株予約権による資金調達よりも代替の資金調達の方が、調達コストが安価となり、企業が株主価値の最大化のため取得条項を発動することが合理的と考えられるためです。
また、割当予定先の行動は、当社株価が権利行使価額を上回っている場合に随時権利行使を行い、取得した株式を直近3年間にわたる当社普通株式の1日当たり平均売買出来高の約10%で売却することと仮定しております。但し、本新株予約権には、行使コミット条項が付帯されていることから、割当予定先は、当社普通株式の終値が5連続取引日にわたり、権利行使時点において適用を受ける行使価額の130%を超過した場合、行使コミット条項を反映させるため、直近1年間にわたる当社普通株式の1日当たり平均売買出来高の30%を行使するものと想定しております。
これらの算定方法により、当該算定機関の算定結果として、本新株予約権の1個当たりの払込金額は805円となりました。また、本新株予約権の行使価額は、当初、1,676円としました。本新株予約権の行使価額の修正に係るディスカウント率は、当社普通株式の株価動向等を勘案した上で、割当予定先との間での協議を経て、10%としました。
本新株予約権の払込金額の決定に当たっては、当該算定機関が公正な評価額に影響を及ぼす可能性のある事象を前提として考慮し、新株予約権の評価額の算定手法として一般的に用いられている汎用ブラック・ショールズ方程式を用いて公正価値を算定していることから、当該算定機関の算定結果は合理的な公正価格であると考えられるところ、払込金額が算定結果である評価額を参考に、当該評価額と同額で、割当予定先との間での協議を経て決定されているため、本新株予約権の払込金額は、有利発行には該当せず、適正かつ妥当な価額であると判断いたしました。
さらに、当社監査等委員3名全員(うち会社法上の社外取締役2名)から、会社法上の職責に基づいて以下の各点を確認し審議を行った結果、本新株予約権の発行条件が有利発行に該当しない旨の取締役の判断について、法令に違反する重大な事実は認められず、適法である旨の見解を得ております。
(ⅰ)本新株予約権の発行においては、新株予約権の発行実務及び価値評価に関する知識及び経験が必要であると考えられ、第三者算定機関である株式会社Stewart McLarenがかかる専門知識及び経験を有すると認められること
(ⅱ)当社と株式会社Stewart McLarenとの間に資本関係はなく、また、同社は当社の会計監査を行っているものでもないことから、当社の継続的な契約関係は存在せず、当社経営陣から一定程度独立していると認められること
(ⅲ)当社取締役がそのような株式会社Stewart McLarenに対して本新株予約権の価値評価を依頼していること
(ⅳ)本新株予約権の価値評価に当たっては、株式会社Stewart McLarenが本新株予約権の発行要項に基づいて本新株予約権の価値評価を行い、評価報告書を提出していること
(ⅴ)本新株予約権の発行に係る決議を行った取締役会において、株式会社Stewart McLaren作成に係る評価報告書を参考にしつつ、当社取締役による具体的な説明を踏まえて検討が行われていること
(ⅵ)本新株予約権の発行プロセス及び発行条件についての考え方並びに新株予約権の発行に係る実務慣行について、当社の財務アドバイザーであるストームハーバー証券株式会社から当社取締役に対して具体的な説明が行われており、かかる説明を踏まえた上で当社取締役が金融商品取引法その他の法令に基づき本新株予約権の発行のための諸手続きを行っていること
(ⅶ)本新株予約権の発行価額の決定にあたっては、株式会社Stewart McLarenが公正な評価額に影響を及ぼす可能性のある事象を前提として考慮し、新株予約権の評価額の算定手法として一般的に用いられているモンテカルロ・シミュレーションを用いて公正価値を算定していること
(ⅷ)上記(ⅶ)により株式会社Stewart McLarenの算定結果は合理的な公正価格であると認められるところ、割当予定先との協議も経た上で、本新株予約権の払込金額が算定結果である評価額と同額で決定されていること
本新株予約権の目的である株式の総数は380,000株であり、本新株予約権が全て行使された場合に交付される株式数は380,000株(議決権数3,800個)であります。さらに、2024年12月31日現在の当社発行済株式総数1,789,487株(自己株式及び単元未満株式を除く当社普通株式に係る議決権数15,248個)を分母とする希薄化率は21.24%(自己株式及び単元未満株式を除く当社普通株式に係る議決権の総数に対する割合は24.92%。小数第3位四捨五入)の希薄化をもたらすこととなります。
しかしながら、前記「第1 募集要項 2 新規発行による手取金の使途」のとおり、今回の資金調達における資金使途は、①新製品・新規事業開発のための研究開発資金及び②生産キャパシティ拡大のための設備投資資金であり、今回の新株予約権の募集による資金調達を成功させ、上記資金使途に充当することで、当社のさらなる企業価値向上を図ることが可能となります。したがいまして、当社といたしましては、今回の第三者割当による新株予約権の募集は、当社の企業価値及び株式価値の向上を図るためには必要不可欠な規模及び数量であると考えております。なお、将来何らかの事由により資金調達の必要性が薄れた場合、又は本新株予約権より有利な資金調達方法が利用可能となった場合には、当社の判断により、残存する新株予約権を取得できる条項を付すことで、必要以上の希薄化が進行しないように配慮しております。
また、本新株予約権が全て行使された場合に交付される当社の普通株式数380,000株に対し、2025年2月20日から起算した当社株式の過去6か月間における1日あたりの平均売買出来高は585株、過去3か月間における1日あたりの平均売買出来高は848株、過去1か月間における1日あたりの平均売買出来高は887株となっております。したがいまして、市場で売却することによる流通市場への影響は、1年間(年間取引日数:246日/年営業日で計算)で行使して希薄化規模が最大となった場合、1日あたりの売却数量は1,545株であり、上記過去6か月間における1日あたりの平均売買出来高の264.1%となることから、現時点での平均売買出来高に照らすと当社株価に一定の影響が生じる可能性があります。しかしながら、当社といたしましては、このような希薄化や株価への一定の影響が生じたとしても、前述の資金使途は当グループにおけるさらなる収益力強化、事業拡大及び財務基盤の強化に資するものであり、当社の中長期的成長及び企業価値の向上にとって必要不可欠な資金であると考えております。したがいまして、本第三者割当の必要性と市場への影響を総合的に考慮した結果、今回の第三者割当による本新株予約権の募集は、当社の中長期的成長及び企業価値の向上を図るためには必要不可欠な規模及び数量であり、株式価値向上の観点からも合理的であると判断しております。
該当事項はありません。
(注) 1.割当前の「所有株式数」及び「総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、2024年12月31日現在の株主名簿を基準として記載をしております。
2.「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」の算出にあたっては、「割当後の所有株式数」に係る議決権の数を、2024年12月31日現在の総議決権数(15,248個)に本新株予約権の目的である株式の総数に係る議決権数(3,800個)を加算した数(19,048個)で除して算出しております。
3.「総議決権数に対する所有議決権数の割合」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、小数点以下第3位を四捨五入して算出しております。
4.割当予定先の「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、本新株予約権を全て行使した上で取得する当該株式を全て保有したと仮定した場合の数となります。本新株予約権の行使後の当社株式に関する割当予定先の保有方針は、純投資であり、長期間保有する意思を表明しておりませんため、本新株予約権の発行後の大株主の状況は直ちに変動する可能性があります。
5.割当予定先が本新株予約権を行使した場合、当社が保有する自己株式(258,000株を予定)を充当する予定です。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
第1 【公開買付け又は株式交付の概要】
該当事項はありません。
第2 【統合財務情報】
該当事項はありません。
第3 【発行者(その関連者)と対象者との重要な契約(発行者(その関連者)と株式交付子会社との重要な契約)】
該当事項はありません。
後記「第四部 組込情報」の有価証券報告書(第74期)及び半期報告書(第75期中)(以下、「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本有価証券届出書提出日(2025年2月21日)までの間に生じた変更その他の事由はありません。
また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されておりますが、本有価証券届出書提出日(2025年2月21日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。
後記「第四部 組込情報」の第74期有価証券報告書の提出日(2024年3月28日)以降、本有価証券届出書提出日(2025年2月21日)までの間において、以下の臨時報告書を近畿財務局長に提出しております。
(2024年3月29日提出の臨時報告書)
当社は、2024年3月28日の定時株主総会において、決議事項が決議されましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。
2024年3月28日
第1号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)6名選任の件
取締役(監査等委員である取締役を除く。)として、赤城貫太郎、光本明、上田正隆、 志波博幸、赤城耕太郎、金城宜秀の6名を選任する。
第2号議案 監査等委員である取締役3名選任の件
監査等委員である取締役として、榮聖二、齊藤昌宏、岡田誠の3名を選任する。
第3号議案 補欠の監査等委員である取締役1名選任の件
補欠の監査等委員である取締役として、相内真一を選任する。
(注) 議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の賛成による。
本総会前日までの事前行使分及び当日出席の一部の株主のうち賛否に関して確認できたものを合計したことにより、決議事項の可決又は否決が明らかになったため、本総会当日出席の株主のうち、賛成、反対及び棄権の確認ができていない議決権数は加算しておりません。
2025年2月14日に開示いたしました「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」に掲載されている第75期(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)連結会計年度の連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人の監査を終了しておりませんので、監査報告書は受領しておりません。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
該当事項はありません。
該当事項はありません。
1 報告セグメントの概要
(1)報告セグメントの決定方法
当グループの報告セグメントは、当グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものを基本としております。当グループは、主に製品および商品の性質を総合的に勘案して事業セグメントを決定しており、「印字記録媒体および事務用消耗品関連事業」、「プラスチック成形関連事業」の2区分を報告セグメントとしております。
(2)各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
報告セグメントに属する主要な製品、サービスは以下のとおりであります。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成に用いた会計処理基準と概ね同一であります。報告セグメントの利益は、売上総利益ベースの数値であります。セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:千円)
(注)1 調整額は、以下のとおりであります。
(1) セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間の債権の相殺消去および棚卸資産の調整額であります。
2 セグメント利益の合計額は、連結損益計算書の売上総利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(単位:千円)
(注)1 調整額は、以下のとおりであります。
(1) セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間の債権の相殺消去および棚卸資産の調整額であります。
2 セグメント利益の合計額は、連結損益計算書の売上総利益と調整を行っております。
(注) 1 前連結会計年度の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。当連結会計年度の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 算定上の基礎
1. 1株当たり純資産額
2. 1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額
該当事項はありません。
次に掲げる書類の写しを組み込んでおります。
なお、上記書類は、金融商品取引法第27条の30の2に規定する開示用電子情報処理組織(EDINET)を使用して提出したデータを開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する留意事項について(電子開示手続等ガイドライン)A4-1に基づき本有価証券届出書の添付書類としております。
該当事項はありません。
第1 【保証会社及び連動子会社の最近の財務諸表又は財務書類】
該当事項はありません。