第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

ニッケグループは、長期安定的に企業価値を向上させるために、「経営理念」「経営方針」に則り、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまから信頼される経営を目指しております

<経営理念>

”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、

わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”

<グループビジョン>

・未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、みらい生活創造企業を目指します。

<経営方針>

・「全員がチャレンジ精神を持ち」「人が育つ」、生命力あふれた会社を目指します。

・お客様の声と研究開発から、独自性のある商品・サービスで市場を創造します。

・常に未来を見つめ、グローバルな視点に立ち、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献します。

・多くの市場で勝ち抜くために、広く人財を求め、多様な「知」を結集して、事業を革新・発展させます。

・お客様や株主様、社員、取引先、地域社会をはじめとした様々なステークホルダーとの永続的な信頼関係を築くことにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

(2) 経営環境

国内の経済環境は、雇用・所得環境の改善や企業業績の回復はあるものの、急激な円安による物価高により実質賃金の上昇には至らず、その回復ペースは緩やかな状況です。世界経済におきましても、中国の不動産不況や世界的な政情不安・地政学リスクの高まりから、先行き不透明な状況が継続しております。エネルギー価格の高騰や為替の変動に伴う仕入れコストの上昇、人手不足への対応など、今後も厳しい事業環境が続くと考えられます。

ニッケグループもこのような経営環境の影響を大きく受けておりますが、中長期的・グローバルな目線で変化を捉え、リスクに対処するとともに「チャンス」も認識し、RN130第3次中期経営計画を推し進めて参りました。

 

当社グループにおける環境認識は以下のとおりです。

 

<衣料繊維事業>

・主力である国内スクールユニフォーム事業は、少子化により市場規模が漸減していく。足元では欧州や中国の市況低迷はあるも、世界の衣料市場は拡大していく。

・国内産地の疲弊は更に進み、バリューチェーンの再構築が喫緊の課題となる。

・SDGsの意識の高まりにより、顧客の要望が多様化・高度化していく。環境配慮素材に対する需要は更に高まっていく。

 

<産業機材事業>

・中国市場は、自動車・環境・生活関連、何れの分野においても景気減速の影響を受けており、今後も当面継続する。一方、地政学リスクが比較的低い東南アジアや他地域への中国からの生産移転は続く。また、インフラなどの課題はあるも、インドは更なる発展が見込まれる。

・EV化などの技術発展によるビジネスチャンスは引き続き期待できる。家電・OA分野は、海外での堅調な需要拡大を見込む。

・環境意識の高まりと各地での規制強化が進み、環境関連の市場規模は伸長する。特に、リサイクルビジネスの需要は拡大が期待できる。

 

<人とみらい開発事業>

・商業施設では地域密着型ショッピングセンターは堅調に推移する。不動産開発では省エネビルなど資産価値を高めた物件の引き合いが増える。

 

・ライフサポート分野では、介護関連市場は引き続き拡大していく。スポーツ関連市場は、ゴルフはブームがピークアウトするも、テニスは今後も堅調な推移が見込まれる。

・各分野とも安定した事業拡大には、施設の計画的なメンテナンス実施、人財の確保と安定化、並びに運営力強化が喫緊の課題である。

 

<生活流通事業>

・Eコマース市場はあらゆる分野にすそ野が広がり、その利便性から拡大基調は続く。

・一方、Eコマースはボーダレス化が進み、海外勢やメーカー直販も含め競合が増加する。大手モールの交渉力がより強くなると共に、仕入品価格や物流費、広告宣伝費の上昇基調も続く。

 

<メディカル関連事業>

・国内外において、医療機器・医薬用品業界は拡大していく。

・長期的には再生医療分野の市場が拡大していく。

 

(3) 対処すべき課題

①RN130ビジョン第3次中期経営計画(2024~2026年度)の進捗

 

 

 

(単位:百万円)

 

第2次中期

経営計画

第3次中期経営計画(2024年度~2026年度)※1

 

2023年度

2024年度

2025年度

2026年度

 

実績

計画

実績

計画

業績予想

※2

計画

売上高

113,497

111,000

115,438

120,000

128,000

130,000

営業利益

11,016

11,000

11,640

12,000

12,000

13,000

経常利益

11,634

11,600

12,098

12,400

12,400

13,400

親会社株主に

帰属する当期純利益

7,643

7,700

8,970

7,800

8,500

8,800

 

※1 2024年1月12日公表

※2 2025年1月10日公表

 

(a)2024年度実績

RN130ビジョンの最終フェーズである第3次中期経営計画(2024~2026年度)は、グループビジョンに掲げる「みらい生活創造企業」の具現化を目指して、着実に「前年よりも成長」し、過去最高の売上高・各利益の更新を目標に、その初年度をスタートしました。

その結果、人とみらい開発事業での事業ポートフォリオの見直しによる減収はあったものの、産業機材事業や生活流通事業での新規M&A会社の業績寄与、並びにショッピングセンター・FA設備など、既存事業が好調に推移し、売上高・営業利益は4期連続の増収増益を達成、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新しました。

厳しい経営環境変化のなか、事業ごとに好不調の波はありますが、これらが相互補完することにより営業利益は継続して110億円台を維持し、強靭な企業グループの構築が進んでおります。衣料繊維事業では、円安に伴う羊毛原料価格高騰やエネルギー費など各種コストアップはあるものの、ユニフォーム事業における値上げ効果や筋肉質な経営体制の構築により高い利益率を維持しました。産業機材事業では、自動車・半導体向けを中心に、FA設備の受注が好調に推移しました。また、不織布事業を強化するため、アンビック株式会社と株式会社フジコーの経営統合、および株式会社カンキョーテクノと呉羽テック株式会社のグループ化を推進しました。人とみらい開発事業では、不採算事業の再編を進めるとともに、ショッピングセンターや保有不動産の付加価値向上と低効率資産の再開発・処分を進めました。生活流通事業では、災害用毛布やコンテナ、クラフト用スタンプ・インクなどの販売が好調に推移しました。Eコマースビジネスは競争の激化とコストアップにより低調でしたが、今後の再成長を目指し、独自商品の開発力強化や物流機能の強化を推進しました。メディカル分野では、主力商品の販売拡大と自社開発品の市場投入を進め、営業利益増につなげました。

 

(b)基本戦略の進捗

(ⅰ) 成長事業や新規事業・合理化への資源の重点配分および海外ビジネスの拡大

<衣料繊維事業>

・成長ドライバーの育成については、海外でのファッション向けテキスタイル販売の拡大を目指し、欧州や中国での展示会出展などプロモーション強化による認知度向上に努めています。また、当社独自開発糸を用いたニット製品の販売については、アウトドア市場での拡販を実現するため、有力ブランドとの取り組みを強化しています。

・合理化への資源配分については、省エネ・省人化を目指した製造設備への投資、並びにバリューチェーンの生産性向上を目指したデジタル化に取り組んでいます。

<産業機材事業>

・成長ドライバーの育成については、当社グループがターゲットとする、自動車・環境関連市場向けの不織布事業を強化し、ユニフォーム事業、不動産開発事業に続く第三の柱として育てるべく、アンビック株式会社と株式会社フジコーを統合して株式会社エフアンドエイノンウーブンズを立ち上げ、経営の合理化を進めました。また、株式会社カンキョーテクノと呉羽テック株式会社のグループ化により、不織布事業の規模を拡大すると共に、東南アジアや北米など海外販売拠点の拡充も推進しました。

・新規事業として、リサイクルビジネスへ本格参入し、回収した古着からジッパーやボタンなどの異物を自動除去する設備の導入決定や、古着を反毛して再生した繊維を活用した新商材の開発に注力しました。

<人とみらい開発事業>

・商業施設運営分野については、ニッケコルトンプラザにおける2022年度秋のリニューアル効果が今期も継続し、顧客満足度と収益性の向上に寄与しております。

・不動産開発分野においては、八重洲通フィルテラス(旧ニッケ東京ビル)や一宮遊休地の開発、神戸本店ビルの改修、並びに伊丹土地開発の検討着手など、保有不動産の資産価値向上への取り組みを推進しました。また、省エネ・再エネなど環境に配慮した施設作りを行い、ZEB Ready・ZEH認証を取得した開発も進めております。

<生活流通事業>

・競争が激化するEコマース分野は、家具・寝装品・アイデア家電などの分野を中心に、独自商品による差別化を図るべく、SPA(製造小売り)のバリューチェーン構築を推進しました。

・また、EC事業に適した物流基盤の構築についても、検討を進めています。

<メディカル分野>

・生体吸収性シート「Pawdre®」や腹腔鏡手術用マルチポート「Dome Port™」などの新規開発品を市場に投入し、拡販に注力しました。

・また、今後の市場拡大が予想される再生医療分野においては、細胞培養用ゼラチン繊維基材「Genocel®」を活用した産学連携での臨床研究など、用途開発を推進しました。

(ⅱ) 資本効率の改善

・不採算事業の見直しによる事業ポートフォリオの最適化や、低収益不動産の処分を継続して実施しております。

・新規投資案件については、ROICを指標とした投資判断を継続しております。(目標8%、最低5%以上)

(ⅲ) 事業部内・事業部間におけるシナジー効果の創出

・衣料繊維事業においては、海外テキスタイル拡販に向けた展示会の共同出展など、グループ会社間の連携強化や、生産工程の省人化に向けた設備投資、およびバリューチェーンのデジタル化を推進しております。

・産業機材事業においては、アンビック株式会社と株式会社フジコーの統合による生産および管理機能の効率化、並びにグループ化した呉羽テック株式会社、株式会社カンキョーテクノを含めたバリューチェーン合理化を進めております。

・資源循環システムにおいては、衣料繊維事業と産業機材事業が協働し、衣料品や副産品の回収、異物の除去、反毛などのスキーム構築を進めております。

 

② 2025年度の施策について

2025年度は、RN130ビジョンの最終フェーズ「第3次中期経営計画」における中間点であり、ビジョン達成に向けた大切な一年となります。一方、国内外の経済環境は先行き不透明な状況が続いており、今後も更に厳しさが増すことが想定されます。この様な環境変化にしなやかに対応することで、過去最高の売上高・各利益を更新すると共に、2026年度のビジョン実現を見据えた各施策を実行してまいります。

 

 

グループ全体の重点方針は以下のとおりです。

・3つの成長投資の加速(商品開発や合理化・省エネ設備への投資、顧客拡大投資、人財投資)

・海外事業拡大への挑戦

・人的資本の拡充(チャレンジする人財の育成、多様な能力の活用など)

・資本効率を意識した運営(構造改革の推進、不採算物件の再開発・処分、ROIC・ROEの向上など)

・地政学リスクや為替の変動を踏まえた強固なバリューチェーンの構築(国内外)

・サステナブル経営への取り組み(SDGs、CO2削減活動、災害ゼロへの取り組み、など)

 

これらを踏まえた、各事業で取り組む施策は以下のとおりです。

 

<衣料繊維事業>

・海外市場での拡販に向けた、「ニッケ」ブランドの浸透と価値向上。最終消費者を意識したマーケティング戦略の確立。オリジナル糸の開発・販売強化。

・垂直・水平連携を意識したサプライチェーンの構築と整流化。グループ会社間の連携強化。

・糸・生地・縫製品など様々な段階での商品提供機能の実現。バリューチェーンのデジタル化による生産管理強化と生産・販売の最適化。

・サーキュラーエコノミーの仕組み構築による販売拡大。

<産業機材事業>

・不織布事業の収益性向上。グループ会社間の連携強化によるシナジーの追求。

・海外拠点の設備投資および海外販売の拡大。

・新規事業としてリサイクルビジネス(古着反毛・新たな用途開発)への本格参入。

<人とみらい開発事業>

・ショッピングセンターでの新店導入による魅力アップ。

・不動産開発案件のスピードアップと収益化(東京ビル・伊丹・夙川の再開発など)。低収益不動産の再開発による資産価値の向上。

・ライフサポート分野(スポーツ・介護・保育)は、低収益事業所の見直し、人財確保と育成による安定化、並びにDX化による効率的運営を推進。

<生活流通事業>

・Eコマースビジネスにおける、商品企画・製造、コンテンツ制作、広告・販促施策、物流など、バリューチェーンを自社グループ内で完結できるSPA(製造小売り)機能の強化。

・グループ各社の連携強化による海外での拡販。

<メディカル分野>

・戦略商品(Pawdre®)および新商品(Dome Port™、穿刺ガイド、人工硬膜等)の拡販

・再生医療領域への挑戦(Genocel®、Pawdre®)

 

③ 成長投資と株主還元について

(ⅰ)成長投資と安定的な株主還元のバランスを志向します。

(ⅱ)成長投資については、研究開発投資、M&A投資、設備投資、人財投資など、中長期的な企業価値向上の観点から積極的に実行します。

(ⅲ)株主還元

・配当性向については現行の30%程度から順次切り上げ、第3次中期経営計画最終年度での35%を目標とします。なお、2024年度の配当性向は30.7%となりました。

・投資の進捗も鑑み機動的な自己株式取得を行い、総合的な株主還元を充実させてまいります。

 

厳しさと不確実性が増す経営環境下ではありますが、第3次中期経営計画を推進しRN130ビジョンの具現化を目指します。そして、その先の中長期ビジョンに向けた「ありたい姿」も描くと共に、自社のパーパス(存在意義)を改めて見つめ直すことで、地球環境も含めた各ステークホルダーから信頼され「人が集まる」魅力的な事業の創造に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、グループビジョンに“みらい生活創造企業”を掲げ、サステナビリティを意識した魅力的な事業を創造し、持続可能な社会の実現に向けた貢献及び企業の永続的な成長と発展を目指しております。企業も社会の一員であり、社会的課題の解決に貢献していくことが、ステークホルダーの皆様からのご期待に応え、企業価値の向上に繋がると考えております。

 

<経営理念> 

”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、

わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”

<グループビジョン>

 未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、

 みらい生活創造企業を目指します。

<ニッケグループSDGsビジョン>

Innovations Aiming at Sustainable

 Growth of Nikke

ニッケグループは、人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、情熱と誇りをもって

チャレンジし、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に向けて貢献してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティをめぐる社会的課題への対応が経営の重要課題(マテリアリティ) の一つであると認識しており、これらを経営に統合していくことが、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの永続的な成長に寄与するものと考えております。当社グループでは、マテリアリティ等を認識し、取り組みを推進することを目的として、2022年2月に常設委員会として「サステナビリティ委員会」を設置しました。本委員会は、経営戦略センター長(コーポレート担当役員)を委員長とし、代表取締役社長および各事業本部長、研究開発センター長、人財戦略室長、その他関連部門室長によって構成されており、その審議内容については、取締役会へ適時報告されております。

また、常設委員会として「ニッケグループ地球環境委員会」「企業ブランド戦略委員会」「グループ人財戦略委員会」を設置し、地球環境保全や人的資本経営を推進するとともに、企業ブランドの構築を図っております。

加えて、代表取締役社長直下に「ニッケグループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定し、リスクの防止および損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。

 

<ニッケグループ サステナビリティ推進におけるガバナンス体制図>


 

② 戦略

当社グループは、2024年度を初年度とする「RN130ビジョン第3次中期経営計画(2024年~2026年度)」において、「安心・安全への取り組み」「健康・快適への取り組み」「環境への取り組み」「経営基盤の強化」をマテリアリティとして掲げ、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)への取り組みを進めております。また、信頼の基盤はステークホルダーに対して誠実な経営であることと、コンプライアンスレベルを超えて倫理的に行動することであると考え、「企業倫理規範」「企業行動基準」を制定、価値観や意思決定基準をニッケグループで共有しグループ全員での意識向上を図っております。

 

③ リスク管理

当社グループでは、代表取締役社長直下に「ニッケグループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定し、リスクの防止および損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。また、各事業部およびグループ各社においても随時、リスク管理委員会を開催し、事業毎の固有リスクの把握を図っております。

また、当社監査役および内部監査部門の監査や、年2回開催の「ニッケグループリスク管理委員会」を通じて、グループ全体の包括的なリスクの認識と共有を図り、リスク管理体制について定期的なレビューを行っております。

 

ニッケグループリスク管理委員会体制


 

④ 指標及び目標

当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、持続可能な社会の実現を意識した企業活動に取り組んでおります。各事業が社会的課題の解決に繋がる「高機能商品」「地域NO.1サービス」を提供していくことをサステナビリティ全般にかかる目標として掲げております。

 

 

(2) 気候変動

当社グループは、企業理念のもと「環境への配慮と高い企業倫理により社会から信頼される企業グループを指向すること」を環境基本方針としております。とりわけ地球環境の保全を最重要の課題と捉え、豊かで住みよい社会の実現に向けた企業活動に努めるため、4つの重点施策と3つの行動指針を定めており、研究開発から製造、技術、販売、流通に至るあらゆる分野において、グループ全従業員が積極的に環境保全活動に取り組んでおります。

 


 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンス体制に組み込まれております。

地球環境問題に関しては、「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の分析を行い経営戦略に反映いたします。「サステナビリティ委員会」はコーポレート担当の取締役常務執行役員が委員長を務め、その審議結果は取締役会に適切に報告されております。また、「ニッケグループ地球環境委員会」は、温室効果ガス削減などの地球環境問題に関する指標と目標の設定、実行のための技術の検討、および実績の計量とモニタリングを担い、「サステナビリティ委員会」と連携しております。具体的な実行計画は各事業本部・事業部に設置された「部門地球環境委員会」が立案し遂行する体制となっております。「ニッケグループ地球環境委員会」の委員長は、主として技術部門出身の取締役常務執行役員が指名されております。

 

② 戦略

ニッケグループでは、全ての事業分野を対象として、1.5℃シナリオを想定した移行リスク、4℃シナリオを想定した物理リスク、および機会について分析を行っております。

1.5℃シナリオにおいては、エネルギーコストや資材の高騰、環境対策費用や炭素税の負担増加が想定され、製造機能を有する「衣料繊維事業本部」、「産業機材事業本部」、および商業施設運営や不動産開発を行う「人とみらい開発事業本部」において相応の影響が想定されております。また、環境性能や低炭素素材の採用に対する要求が高まる結果、新たな素材の開発やサプライチェーンの再構築が必要となりコストが増大する可能性があります。

4℃シナリオにおいては、風水害の甚大化により一部の工場や商業施設が被災し、操業停止による損失、および復旧コストが生じる可能性があります。また、羊毛の原産地において干ばつ等が発生した場合、その調達に支障をきたす可能性があります。

一方で、機会の面では、全国に保有する太陽光発電施設はすでにグリーンエネルギー需要の高まりに貢献しておりますが、将来的には自家使用により自社のエネルギーコストの低減とカーボンオフセットに活用することも検討してまいります。また、低環境負荷型オフィスビルの開発やウール素材のサーキュラーエコノミーの追求など、お客さまに選ばれ社会に貢献できるサービスと製品を提供することで、ニッケグループは持続的で着実な成長を実現できるものと考えております。

 

分類

実現時期

影響

説明

現在の取り組み

移行

政策

法規制

技術

短中期

・工場や大規模商業施設における直接エネルギーコストの増大

・各施設、設備のエネルギー効率の最適化

・太陽光発電による創エネ

・再生可能エネルギーの導入

中長期

中~大

・化石エネルギー使用施設、設備の価値低下

・環境対応投資や研究開発費増大の可能性

市場

評判

短中期

中~大

・消費者の低炭素化への期待に対応できない場合、企業ブランドが棄損し競争力低下の可能性

・原材料コスト高騰

・消費者購買行動の的確な把握

・環境配慮商品の積極的開発

・原材料メーカーや業界動向のモニタリング

中長期

中~大

・主にBtoB事業で取引先からCO2排出量削減要請の可能性

・環境対応投資や研究開発費増大の可能性

物理

急性

短中長期

・激甚な風水害による一部施設、設備及び在庫被災の可能性

・BCP体制強化及びリスク管理委員会での体制整備状況のモニタリング

・研究開発施設の改築、移設

中長期

・酷暑による屋外施設の集客力低下

・電力ひっ迫による商業施設、工場の稼働停止

慢性

中長期

・羊毛の産出量減少、品質低下

・工場での労働環境、在庫品質維持コスト増加

・介護、保育施設での利用者の体調管理負担増加

・原材料調達の多様化

・地域医療機関との連携強化

・介護、保育施設の設備改善

機会

資源

エネルギー源

中期

中~大

・太陽光発電施設活用によるエネルギーコスト低減とカーボンオフセット

・製品の再生利用によるコスト削減

・生産技術革新によるCO2削減

・売電用太陽光発電設備の将来的な自家使用検討

・サーキュラーエコノミーへの取り組み推進

・環境配慮型革新紡糸"Breeza®"

生産設備導入拡大

製品

サービス

市場

中期

中~大

・低炭素ビルディング開発による競争力の向上

・低環境負荷製品選好の強まりによる天然素材であるウールそのものや当社高機能製品のブランド力、競争力向上の可能性

・製造工程でのCO2排出量削減による顧客評価向上

・東京ビル再開発での低炭素設計採用

・ごみ焼却施設等向け高機能フィルターバグ「アドミレックス」の中国での生産能力増強及びグローバル市場への販売拡大

・環境配慮型革新紡糸"Breeza®"

生産設備導入拡大

・「ZQ認証」(※)原料の調達拡大

 

※ZQ認証:羊毛原料について「動物愛護」「環境配慮」「作業の安全性」「雇用環境」等の厳格な基準を第三者機関が監査した上で認証する制度

 

③ リスク管理

気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理の中に組み込まれております。

加えて、気候関連リスクに関しては、2022年2月に設置した「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の特定と評価を開始し、特定された短期、中長期リスクの管理に係わる行動計画の策定と見直し、実施状況のモニタリングを「ニッケグループ地球環境委員会」と連携して行っております。

 

 

④ 指標及び目標

ニッケグループは、スコープ1、2のCO2排出量について、2018年度を基準年として2030年度での50%の削減を目指しております。また、2050年度のカーボンニュートラル実現に向け、工場生産設備の更新等によるエネルギー使用量の削減、既存太陽光発電設備の活用および新設、グリーンエネルギーの調達拡大などあらゆる選択肢を検討してまいります。

これらの取り組みに関しては、「ニッケグループ地球環境委員会」において、基本方針・具体的目標の設定、活動および運用、報告および点検、改善方針策定のPDCAサイクルを繰り返すことで推進しております。

 


 

スコープ1、2 CO2排出量実績 - 連結

 

 

(単位:t-CO2/年度)

2018年度

(基準年度※1)

2024年度実績

 

・衣料繊維事業は、2019年度において出資持分譲渡により江陰日毛紡績有限公司が連結子会社から外れた影響も含め、基準年対比で▲41.2%減となりました。

・産業機材事業は、グループ化した㈱フジコー(※2)を2022年度から連結排出量の集計対象としたため、基準年対比で増加しました。

・人とみらい開発事業は、通信・フランチャイズ事業縮小に伴う店舗数の減から基準年対比で減少しました。

・グループ全体では、電力会社の排出係数増加はあるものの、省エネ・合理化製造設備への更新によるエネルギー使用量の削減、太陽光発電設備の拡張と活用、再エネ電力購入など、排出量削減施策を引き続き推進することで、2030年度における50%削減を目指し取り組んでまいります。

衣料繊維事業

33,593

19,738

 

産業機材事業

9,544

10,718

 

人とみらい

開発事業

11,100

8,229

 

生活流通事業

441

433

 

その他

20

175

[増減率]

(※2)2024年度の事業再編により、不織布・フェルト事業をアンビック㈱(現㈱エフアンドエイノンウーブンズ)へ統合のうえ、ニッケと合併いたしました。

合計

54,698

39,292

△28.1%

 

※1 連結全社全事業所を対象にスコープ1、2の集計を

開始した2018年度を基準年度と定めております。

 

スコープ3 CO2排出量実績 - ニッケ単体

 

 

(単位:t-CO2/年度)

2024年度実績

 

・2022年度から、ニッケ単体の主要事業所(製造事業所、商業施設、賃貸施設等)を対象とし、スコープ3への影響が大きいと考える6つのカテゴリーで実績の集計を開始しました。

・引き続き、対象とする事業所、カテゴリーならびに対象項目の拡大に取り組んでまいります。

合計※

42,955

 

 

※カテゴリー1(購入・サービス品)、2(資本財)、3(エネルギー活動)、5(廃棄物)、13(リース資産)を集計しております。

 

 

(3) 人的資本

① 戦略

ニッケグループでは、2008年から16年にわたり中長期ビジョンを策定し経営を行っております。その根底を貫いているのは『人財が最も重要な経営資本である』という認識であり、「人が成長する会社」をスローガンに人財が安心して働き、能力が発揮できる職場環境の整備を行っております。

 

<人財が成長するための取り組み>

(a) 人財理念

私たちは2008年に人財の成長にフォーカスし人財理念を定めました。

 

「社員の使命は、仕事を通じて自ら学び成長することです」

「会社の使命は、成長しようと努力する社員に対して支援することです」

 

この理念を実現することを最優先課題とし様々な取り組みを行っております。特に人財育成については育成体系を構築し当社グループにとって必要なコア能力を「思考力」と「対人能力」であると定義、各階層に必要な研修を行っております。グループの主要な役割を担っている人財は次世代経営者養成研修(VOC研修)を受講することにより戦略を磨き、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。この研修は10年以上継続して実施しており、卒業生は延べ130名を超えております。卒業生は社長、役員、執行役員、事業部長などグループの主要なポストで活躍しております。さらに、20歳代や30歳代の人財を対象にしてビジネスリーダー育成プログラムを実施しております。会社を飛び出しビジネススクールに通い、グループ外の人財と議論、他流試合をすることによって強いビジネスパーソンを創っております。この取り組みは7年経過し、50名程度の人財を輩出しました。階層別研修はすべて手挙げ方式によって募集し、人財の自律した成長を促進させております。

 

(b) 健康経営

心身共に健全な状態でなければ組織の活性化や生産性の向上は望めません。ヘルスリテラシーの向上を目的とした医療情報サイトの導入や、罹患後の病気や生活の相談ができる外部窓口の設置、健康保険組合の活動と連携したコラボヘルスの推進、ストレスチェックの導入などに取り組んでおります。また、現在のところ8社に増えましたが、引き続き指標となる行動指針として、グループ全体で「健康経営優良法人」の認定取得を進めております。

 

(c) ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)

国籍、性別、文化、価値観などの多様性を受け入れ、新卒・キャリア採用ともに幅広く活躍の場を提供してグローバル化や顧客ニーズの変化に対応した新たな価値を創造しております。また、働き方に対する価値観が多様化していくこれからの時代を見据え、全ての人財がより幅広く活躍できる働きやすい職場環境づくりに着手しております。男女共に仕事を続けながら子育てができる環境づくりを目指し、提出会社では法定を上回る育児短時間勤務制度(小学校6年生の年度末まで)の拡充や、男性育児休業の推進(提出会社2024年度実績(注):60.00%)など、仕事と育児の両立を支援しております。さらに、2009年には65歳定年制を導入、介護世代への支援を広げた介護休業制度、地域限定総合職制度など、安心して働ける環境を構築しております。ワーク・ライフ・バランスを尊重する柔軟な勤務形態・休暇制度の検討、高齢者・障がい者のさらなる雇用促進、福利厚生の拡充など、常に変化する環境や価値観に対応し続けられるよう努めこれらの活動をグループ全体に拡げるよう取り組んでおります。

 

 

② 指標及び目標

人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりであります。なお当該指標につきましては、連結グループに属する全ての会社で目標値を設定しているものではなく、連結グループにおける記載が困難であることから、提出会社単体で記載しております。

指標

実績(2024年度)(注)

目標(2026年度

管理職に占める女性労働者の割合

8.57

15.0

男性労働者の育休取得率

60.00

90.0

労働者の男女の賃金の差異(全労働者)

58.34

70.0

 

 

(注)(3) 人的資本に記載のある実績につきましては、管理職に占める女性労働者の割合は2024年9月30日現在、その他の指標については2023年10月1日から2024年9月30日までの間の実績となっております。

 

3 【事業等のリスク】

「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定して、リスクの防止及び損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。そのうち、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりであります。

なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な取引先の業績悪化、事業撤退等

当社グループは、衣料繊維、繊維資材、産業向機械等の各種製品を、国内外の取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求等が生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクが顕在化する可能性は認識しておりますが、営業力の強化や販路の拡大、事業領域の拡大・多角化を図るなどの対応を推進しております。

また、景気後退等により重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。また、取引内容によっては、取引信用保険等によるリスク移転も行っております。

(2) 事業の再編、事業構造改善

当社グループは、持続的な成長と収益の向上を目指すため、必要に応じ事業の再編や事業構造改善を実施する場合があります。この場合、事業構造改善の費用が増加するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、事業の概況や市場動向を注視し、適切なタイミングで事業の再編や構造改善を実施するように努めております。

(3) 株価の大幅下落、為替相場の変動等

当社グループは、取引先を中心として市場性のある株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

保有する株式については、取締役会で、保有銘柄ごとに、その保有目的や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、その保有の適否を検証しております。

また、年金資産にも市場性のある株式が含まれているため、株価が大幅に下落した場合には、年金資産の減少及び退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理)の増加が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、退職給付債務の把握、年金資産の運用状況のモニタリングを定期的に行い、年金資産の運用配分の見直しを適宜行うことによりリスクの低減を図っております。

また、繊維事業の原料の多くは海外から輸入しており、為替相場が大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、為替予約等のリスクヘッジを行い、為替相場の変動による影響を最小限に止める措置を講じております。

(4) 製品の欠陥等

当社グループは、重大な製品の欠陥等が発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのような事態に備えて、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、品質管理体制を強化し、重大な製品の欠陥が発生しないように努めております。

(5) 原材料の購入

当社グループの繊維事業の主要製品に使用される原材料の価格は国際市況やその他の環境要因(天候、為替相場等)により大きく左右されるため、当該事業の経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、複数購買やグローバル調達による購買ルートの検討等を行い、安定調達に努めております。

(6) 海外事業展開

当社グループは、繊維事業を中心に海外に生産拠点を保有しておりますが、予期しない法律または規制の変更、不利な政治的要因、社会混乱などのリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には、生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、在外子会社と密接なコミュニケーションをはかることにより現地の情勢把握に努めるとともに、現地専門家の助言を得ることによりリスクの軽減を図っております。

(7) 災害・重大な感染症の拡大等

当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行う上で、それらの工場等での大規模な地震、風水害、雪害等の自然災害や火災等が発生した場合、生産活動等に著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

災害等のリスクは常に顕在化する恐れがあると認識していますが、実際に災害等が発生した場合でも被害、損失を最小限に食い止められるよう、予防対策、緊急時の措置についての関連規程、マニュアルを整備するとともに、各種訓練を定期的に実施しております。

また、新型コロナウイルス感染症等の重大な感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、市況の悪化や国内外サプライチェーンの停滞、当社グループ事業活動の停滞等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、重大な感染症拡大の事態が発生した場合には、出張や大会議の自粛、Web会議システム等のオンラインツールの活用、テレワークや時差出勤などの措置を講じることで感染症拡大の防止に努めております。

(8) 固定資産の減損

当社グループは、様々な事業分野で製品の販売やサービスの提供を行っており、このため、継続的な設備投資や事業の成長のためのM&Aを実施しております。各市場における事業環境の悪化や競合の激化等により、事業の収益性が低下した場合には、当社グループの保有する有形固定資産及びのれん等の減損損失を計上するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、各市場の事業環境を注視し、各事業分野においては、高付加価値の商品やサービスを提供するなど顧客満足の向上を目指しております。また、設備投資やM&Aの新規投資においては投資効率や投資回収期間を勘案の上、実施しております。

 

(9) 情報セキュリティリスク

当社グループは、各種の基幹システムを導入して業務運営を行うとともに、業務上必要となる各種情報を情報システム上で管理しております。サイバー攻撃、不正アクセス、大規模停電などの予期せぬ事態により、システム停止、重要データの破壊、情報流出等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、これらの情報システムやネットワークの管理において、安定稼働やセキュリティ対策に力を入れ、適切なサーバの管理や情報のバックアップ、サイバーセキュリティ保険加入等の必要な措置を講じております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

ニッケグループは、中長期ビジョン「ニッケグループRN(リニューアル・ニッケ)130ビジョン(2017~2026年度)」(以下「RN130ビジョン」という)において、各事業が魅力的な事業を創造し、今後の更なる企業価値向上に向けて、永続的な成長と発展を目指すことを掲げております。

当連結会計年度は、「RN130ビジョン」の最終フェーズとなる「RN130第3次中期経営計画(2024~2026年度)」の初年度となります。現在の不確実な事業環境下においても、足元の状況のみに左右されず中長期的かつグローバルな目線でリスクに対処するとともに、これらの変化をチャンスと捉え各種施策を実行しました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高115,438百万円(前期比1.7%増)、営業利益11,640百万円(前期比5.7%増)、経常利益12,098百万円(前期比4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,970百万円(前期比17.4%増)となりました。収益性と事業リスクを考慮し、当期から人とみらい開発事業の通信・新規サービス分野を縮小したものの、産業機材事業のファクトリーオートメーション設備の販売が好調だったことや人とみらい開発事業で販売用不動産を売却したこと、また新規連結会社の業績が寄与したこと等の効果で、売上高は4期連続増収、営業利益は3期連続で過去最高値を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高値を更新しました。

 

セグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 

(a) 衣料繊維事業

衣料繊維事業の当連結会計年度は売上高31,557百万円(前期比0.6%増)、営業利益3,455百万円(前期比4.0%増)となりました。

(ユニフォーム分野)

学校制服用素材は、価格改定の効果で堅調でした。官公庁制服用素材は、警察向けは前期並みでしたが、消防および諸官庁向けが好調で、全体では好調でした。一般企業制服用素材は、私企業向けが不調でしたが、交通向けが好調で、全体では前期並みでした。

(テキスタイル分野)

一般衣料用素材は、国内では、スーツ生地等の販売が大幅に減少し不調でした。海外では、中国向けの販売は好調でしたが、欧米向けの販売が不調で、全体では前期並みでした。

(ヤーン分野)

売糸は、ニット関連の糸の販売が減少し低調でした。

 

 

(b) 産業機材事業

産業機材事業の当連結会計年度は売上高30,836百万円(前期比24.8%増)、営業利益1,972百万円(前期比24.3%増)となりました。

(自動車関連分野)

車両向けの不織布や縫製糸・結束紐等は、自動車生産台数の減少による影響を受けましたが、8月にグループに加わった呉羽テック㈱の売上が貢献し増収となりました。車載電装品他製造ラインのファクトリーオートメーション設備の販売は、顧客からの受注・引合いが回復傾向にあり好調でした。

(環境関連分野)

フィルター資材等の環境・エネルギー関連資材は、顧客の在庫調整の影響を受けましたが、4月にグループに加わった㈱カンキョーテクノの売上が貢献し増収となりました。

(その他産業関連分野)

半導体関連装置や画像検査装置は、部材不足による客先への納品遅れが解消傾向にあり好調でした。OA向け資材は、顧客の需要が回復し好調でした。

(生活関連分野)

ラケットスポーツ関連は、バドミントンガットが市況回復に加え新商品も好評であることから好調でした。フィッシング関連は、釣り糸の新規OEM受注もありましたが、コロナ特需後の市況悪化により前期並みでした。生活関連資材は、中国市況低迷の影響を受け、楽器用フェルトの受注が不調でした。

 

(c) 人とみらい開発事業

人とみらい開発事業の当連結会計年度は売上高26,488百万円(前期比19.4%減)、営業利益6,977百万円(前期比1.5%減)となりました。

(商業施設運営分野)

商業施設運営は、コルトンプラザのリニューアル効果が継続していることに加え、コロナ禍の影響も軽減され好調でした。自社所有外の商業施設におけるプロパティマネジメントおよびコンサルティング業務は、不調でした。

(不動産開発分野)

不動産賃貸事業は、施設賃貸で安定した収益を確保したことに加え、販売用不動産の売却もあり好調でした。ソーラー事業は、天候不良と出力抑制指示により低調でした。建設関連は、工事受注が伸び悩んだことや建築資材及び人件費の高騰などから低調でした。

(ライフサポート分野)

保育関連は、既存施設が安定的に推移したことで前期並みでした。介護関連は、コロナ禍の影響も弱まり、前期新たに開設した施設の利用者、入所者数が徐々に回復していることにより堅調でした。スポーツ関連は、首都圏エリアで来場者が増加したことで前期を上回りました。

(通信及び新規サービス分野)

通信・新規サービス分野は、収益性と事業リスクを考慮し当期から事業を縮小しております。

 

(d) 生活流通事業

生活流通事業の当連結会計年度は売上高22,527百万円(前期比8.3%増)、営業利益847百万円(前期比52.6%増)となりました。当期からサンコー株式会社、株式会社インテリアオフィスワンの2社が通期連結を開始していることが寄与し前期比では大幅な増収となりました。なお原材料費の高騰による仕入価格の上昇、競争が激化しているEC事業等においては、広告宣伝費および物流費の上昇が継続しております。

(寝装品及び業務用品分野)

寝装品は、EC向け販売が不調でした。業務用品は、航空機内膝掛けや災害用毛布が好調でした。

(生活雑貨分野)

100円ショップ向け等の雑貨販売は、円安の影響を受け低調でした。家具類販売は、前期より株式会社インテリアオフィスワンがグループに加わったことから好調でした。生活家電販売は、低調でした。フィルム関連は、スマートフォン等の新機種発売により堅調でした。

(ホビー・クラフト分野)

スタンプ、スタンプ用インク、乗馬用品の販売は、いずれも好調でした。

(その他)

保険代理店の経営成績は、前期を上回りました。コンテナ販売は、大幅な増収となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ、売上債権の減少等により、1,163百万円増加して10,158百万円となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加等により8,847百万円増加して7,856百万円となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ、短期借入金の増加等により、5,554百万円減少して4,213百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比1,873百万円減少して33,419百万円となりました。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

2022年度期末

2023年度期末

2024年度期末

自己資本比率(%)

65.3

68.1

68.2

時価ベースの自己資本比率(%)

43.6

53.8

47.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

2.1

1.6

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

102.2

98.8

124.8

 

(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の計算式により計算しております。

    自己資本比率           :自己資本/総資産

    時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

    キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

    インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い

(注2)株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

(注4)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態・単位等は必ずしも一様でなく、また受注生産をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については「①財政状態及び経営成績の状況」における、各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析

当連結会計年度における総資産は179,935百万円(前連結会計年度比8.3%増)となりました。

当連結会計年度における自己資本比率は68.2%となり、当連結会計年度における1株当たり純資産は1,780円73銭となりました。また、自己資本当期純利益率(ROE)は、7.6%(前連結会計年度比0.6ポイント増)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産は97,295百万円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。その主な内容は、売上債権の増加3,771百万円や棚卸資産の増加3,516百万円等であります。

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産は82,639百万円(前連結会計年度比12.7%増)となりました。その主な内容は、投資有価証券の増加4,211百万円や土地の増加3,110百万円等であります。

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債は38,203百万円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。その主な内容は、仕入債務の増加2,719百万円やその他流動負債の増加1,356百万円等であります。

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債は18,001百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。その主な内容は、繰延税金負債の増加1,233百万円や長期借入金の減少796百万円等であります。

(純資産)

当連結会計年度における純資産は123,730百万円(前連結会計年度比8.4%増)となりました。その主な内容は、利益剰余金の増加4,681百万円やその他有価証券評価差額金の増加3,070百万円等であります。

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は115,438百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。

セグメント別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業利益)

衣料繊維事業につきましては、原料コストの上昇やエネルギー費等製造コストの上昇を値上げや諸経費の圧縮がカバーしたことにより、営業利益は増加いたしました。

産業機材事業につきましては、2024年4月に㈱カンキョーテクノ、2024年8月に呉羽テック㈱を新規連結した他、㈱ニッケ機械製作所における部材の入荷遅延の影響が解消し、自動車、電池、半導体向けの受注が旺盛であったこと等により、営業利益は増加いたしました。

人とみらい開発事業につきましては、一昨年に実施した市川コルトンプラザのリニューアル効果が継続しているものの、不動産開発分野の建設関連において工事受注が伸び悩んだことや建築資材及び人件費高騰等により、営業利益は減少いたしました。

生活流通事業につきましては、当期よりサンコー㈱、㈱インテリアオフィスワンを通期連結した他、ホビー・クラフト分野、コンテナ販売が好調であったこと等により営業利益は増加いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は21,367百万円(前連結会計年度比7.1%減)となり、営業利益は11,640百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。

 

(経常利益)

営業外損益は、租税公課や貸倒引当金繰入額の増加等により、収益減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度における経常利益は12,098百万円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損益は、投資有価証券売却益や負ののれん発生益があったものの、事業構造改善費用の増加等により、収益減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は11,369百万円(前連結会計年度比0.0%減)となり、法人税等調整額の減少等により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は8,970百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要は、主に衣料繊維事業における原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等であり、投資を目的とした資金需要は、主に保有する不動産への設備投資等によるものであります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は13,591百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は33,419百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来の利益計画に基づき慎重に検討を行っておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。

(退職給付会計)

退職給付に係る資産及び負債のうち、確定給付制度に係る分については、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の計算が前提条件と異なる場合、または制度に変化や変更が生じた場合は、将来の退職給付に係る負債、及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」、「営業利益」、「自己資本当期純利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「売上高」は115,438百万円(前連結会計年度比1.7%増)、「営業利益」は11,640百万円(前連結会計年度比5.7%増)、「自己資本当期純利益率(ROE)」は7.6%(前連結会計年度比0.6ポイント増)となりました。

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(建物等賃貸契約)

契約会社名

相手先

契約内容

期限

日本毛織株式会社

(当社)

株式会社ダイエー

商業施設「ニッケコルトンプラザ」

の賃貸

2024年11月から2027年11月

日本毛織株式会社

(当社)

株式会社エディオン

商業施設「ニッケパークタウン」

の賃貸

2022年10月から2028年10月

日本毛織株式会社

(当社)

ユニー株式会社

商業施設「アピタ各務原」の賃貸

2000年9月から2026年9月

 

 

(株式取得による連結子会社化)

当社は、2024年8月26日付で呉羽テック株式会社の全株式を取得し、同社を当社の完全子会社といたしました。

 

(共通支配下の取引等)

当社は、2024年4月12日開催の取締役会において、当社の完全子会社である株式会社フジコーを吸収合併することを決議し、2024年6月1日付で合併いたしました。

 

株式取得による連結子会社化及び共通支配下の取引等の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は985百万円であり、主なセグメントの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1) 衣料繊維事業

羊毛産業のリーディングカンパニーに相応しい、「安全」「安心」「快適」「環境」をテーマに社会貢献につながるモノ作りを目指しています。

当連結会計年度における当社グループの衣料繊維事業の研究開発費は256百万円であり、当期に取り組んだ主な内容は前期からの継続を含め次のとおりであります。

①新しい紡績工法による毛羽の少ないウール糸・織物の開発

②服から服への取り組み、循環型制服素材の開発

③植物由来ポリエステルおよび再生ポリエステル、生分解性原料を活用した環境に配慮したウール織物およびニット素材の開発

 

(2) 産業機材事業

当社グループの産業機材事業における研究活動は、主に資材製造販売子会社の研究開発部門を中心に、産業用資材、スポーツ用品等顧客満足に応えられる商品開発を行っております。

当連結会計年度における当社グループの産業機材事業の研究開発費は248百万円であり、当期に対外的に発表した主な製品及び技術は次のとおりであります。

・釣り糸 ANSWER LIGHTGAME PE×8 他

 

(3) 研究開発センター

研究開発センターは「研究開発ビジョン:既存事業の一歩先を行く成長分野にチャレンジ」を基に「安全・安心」「健康・快適」「環境」の実現に向けた研究テーマに取り組んでいます。

当連結会計年度における研究開発センターの研究開発費は480百万円であり、当期に取り組んだ主な内容は前期からの継続を含め次のとおりです。

① 医療用素材の開発

② 高機能素材の開発

③ 環境対応素材の開発

④ デジタルツイン技術開発

⑤ 新規デバイス開発

⑥ 未利用エネルギーの利用研究 他