名称 太陽鉱工株式会社
所在地 神戸市中央区磯辺通一丁目1番39号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2024年1月30日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の発行済普通株式(以下「当社株式」といいます。)726,700株(所有割合(注1)31.35%)を所有しており、当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当します。
(注1)「所有割合」とは、当社が2024年1月30日に提出した「2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」(以下「当社第3四半期決算短信」といいます。)に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(2,338,001株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,991株)を控除した株式数(2,318,090株)に占める割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下、所有割合の記載について同じです。
この度、公開買付者は、2024年1月30日付で会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第370条及び公開買付者定款第26条の規定に基づく取締役会決議に代わる書面決議により、当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。
公開買付者は、当社の完全子会社化を企図しているため、本公開買付けにおいて、818,700株(所有割合35.32%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(818,700株)は、当社第3四半期決算短信に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(2,338,001株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,911株)を控除した株式数(2,318,090株)に係る議決権数(23,180個)の3分の2以上となる議決権数(15,454個)から、本書提出日現在において公開買付者が所有する当社株式数(726,700株)に係る議決権の数(7,267個)を控除し、当社の単元株式数である100株を乗じた数としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を着実に遂行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者が当社の総株主の議決権の3分の2以上を所有することとなるようにするためであるとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けに係る決済等に要する資金を、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に係る融資条件の詳細は、三井住友銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされているとのことです。
当社は、公開買付者より、本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程につき、以下の説明を受けております。
公開買付者は、明治から大正時代の総合商社である鈴木商店の子会社として1919年10月に設立された太陽曹達株式会社を起源とし、1939年9月には太陽産業株式会社と商号変更、その後1945年8月の第二次世界大戦の終結による直営鉱山の休山、戦後の財閥解体、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の制定による関係会社の保有株式の処分を行った上での解散を経て、1949年3月に企業再建整備法に基づき太陽産業株式会社の資産を引き継ぐ形で太陽鉱工株式会社が設立されたとのことです。その後、2004年10月には同じく鈴木商店を起源とする新日本金属化学株式会社と合併し、現在に至るとのことです。
公開買付者は、本書提出日現在、公開買付者並びにその子会社6社で構成され、ライフサイエンス、IT、環境、エネルギーなどの分野において、モリブデン、バナジウム、ジルコニウムなどのレアメタルやセラミック原料の開発・製造、鉄鋼用合金鉄、化学工業用薬品、希土類等の製造・販売を通じて、安全で快適な社会の実現に貢献すべく事業活動を行っており、特にモリブデン、バナジウムの取扱量は業界トップクラスのシェアを有していると自負しているとのことです。
公開買付者は、「独創的な自主技術開発を基に顧客の要望に応える製品供給を使命とし、環境の調和と安全の確保を責務として豊かな社会の実現に努める」を企業理念とし、レアメタルやレアアースを中心に鉄鋼、化成品、ガラス、航空等の幅広い業界のお客様のニーズに応える素材を提供するメーカーであるとのことです。中でも鉄鋼用及び化成品用モリブデンの精練、鉄鋼用及び化成品用バナジウムの精練、その他ニオブなどの精練を主力事業として手掛けており、主力商材であるモリブデンやバナジウムは、主に鉄鋼用添加剤としての用途として用いられ、熱に対する強さや変形しにくい性質を鉄に持たせることで自動車用薄板や航空機用特殊複合材、ビル建設資材、電子部品、原子炉、ターボエンジンのタービン、橋梁、パイプラインなど高機能かつ高品質が求められる産業分野で使用され、石油精製時の脱硫触媒(注1)、化学用添加剤としても幅広く利用されているとのことです。
(注1)「脱硫触媒」とは、重油などの燃料や排煙から硫黄分を除去する触媒をいいます。
一方、当社は、解散した旧 日本冶金株式会社(1918年に鈴木商店の非鉄金属事業として設立、1949年解散)の関係者を中心として、1950年2月に設立され、タングステンを用いた電気接点の製造販売を開始しました。当社の発行する株式については、1964年10月に証券会員制法人大阪証券取引所市場第二部に上場した後、2013年7月に株式会社大阪証券取引所と東京証券取引所の市場が統合されたことに伴い、東京証券取引所市場第二部に上場となり、現在は、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第二部からスタンダード市場へ移行しております。当社は、本書提出日現在、子会社及び関連会社を有さず、タングステン、モリブデン及びその他の合金の製造販売を行う電気・電子事業、削岩等に用いられる各種ビット及び超硬合金チップの製造販売を行う超硬合金事業を営んでおります。また、当社は、「顧客へ魅力のある製品を提供することで、継続的な成長と社会に貢献できる企業『継続的な成長』を軸に健全な社会を実現する企業を目指す。」、「当社の独自技術(商品開発技術、製造技術、管理技術)の確立を通して、競争力のある体質基盤を築く。」、「外部環境、市場ニーズの変化に迅速且つ的確に対応できる人を育成し『スピード感のある経営』を目指す。」、「ステークホルダー、地球環境、コンプライアンス、もの造りを重視し信頼される企業として発展する。」という経営理念に基づいて、お客様の要望する製品を一貫製造し提供できる国内唯一の会社を目指し、タングステン、モリブデン製品を中心とする安定的な成長を追求してまいりました。
そして、当社は、市場における安定基盤を作り、適正な利益を確保するため、2017年4月から開始した2026年度までの中期経営計画「≪REVIVE2026≫~復活東邦に向けて~」を達成し、ROE(自己資本利益率)8%以上を安定的に確保すべく、様々な施策に取り組んでおります。具体的には、「引き合い事案を確実に取り込む」を合言葉に、(ⅰ)顧客の要求にこたえる高品質・安定供給の追求、(ⅱ)製造販売体制の機能の強化、(ⅲ)ステークホルダーへの説明責任の貫徹に重点的に取り組んでまいりました。
上記中期経営計画は2022年5月12日に公表しており、2022年度は、目標値としていた売上高、営業利益(それぞれ4,700百万円、110百万円)をそれぞれ約3.6%、約129%上回る水準を達成し、ROEは8.9%と目標とする8%を上回り、PBR(株価純資産倍率)も1.19倍と目標とする1倍を上回る水準を達成しました。また、上記の各種取組みについては、顧客への適正な価格での安定供給、製造・販売・技術が一体となった体制の整備、中期経営計画や技術開発状況の公表を通じてのステークホルダーへの説明等を実現しました。
当社と公開買付者の資本関係としては、公開買付者は、当社が証券会員制法人大阪証券取引所に上場した1964年10月時点で当社株式3,679,000株(当時の当社の発行済株式総数対比61.32%)を所有し、その後、1965年3月時点で3,079,000株(当時の当社の発行済株式総数対比51.32%)に減少したものの、1965年3月から2017年3月までに当社が実施した増資による株式引き受けにより、2017年3月時点で7,046,250株(当時の当社の発行済株式総数対比30.14%)を所有するに至りました。そして、2017年10月1日を効力発生日として実施した10株を1株とする株式併合により当社株式は704,625株となり、その後10,000株を追加取得した結果、公開買付者が所有する当社株式は714,625株(当時の当社の発行済株式総数対比30.56%)となり、2020年3月に公開買付者が市場外の相対取引により当社株式12,075株を取得したことにより726,700株(当時の当社の発行済株式総数対比31.08%)に増加し、現在に至っております。
公開買付者は、1954年の当社への出資を契機とし、同じ鈴木商店を起源に持つ企業同士として、公開買付者から当社に対する経営実務に精通した人材の派遣や、当社へのモリブデン原材料の販売を行う等、ともにレアメタルを扱う関連会社として、長年にわたり経営面及びビジネス面の両面において相互に事業の発展を支え合ってきたとのことです。
公開買付者としては、当社の主要販売先である家電、産業用電気設備及び通信設備・機器に関する市場の特徴として、製品技術の急速な進展や、顧客ニーズの変化に応じた頻繁な新製品の開発・導入等、製品の改廃が極めて短期間に集中的に進展する点が挙げられると認識しているとのことです。今後もこれら新製品開発・市場投入のタイミングを逸失することなく変化に対して迅速に対応していくためには、環境の変化を的確に把握することが重要と考えており、当社単独ではなく、公開買付者と当社がより密に連携し、情報源の複数化や営業部内の情報共有化を進め、顧客ニーズへの対応力を強化することで、リスク低減に努める必要があると認識しているとのことです。また、当社の中長期的な事業成長のためには、事業環境の動きに応じた経営を念頭に、経営資源の効果的投入を図っていくこと、及び市場や顧客ニーズに合致した製品開発に資すると判断される場合等には大胆な経営資源を投下していくことが求められると認識しており、今後も公開買付者及び当社が一体となり、双方の企業価値向上のために相互の協力関係を更に深化させることが不可欠であると考えていたとのことです。公開買付者としては、公開買付者と当社の一体的な連携強化を行うことは、両社のユーザーからのニーズの迅速な共有や的確な対応を可能とし、お互いのノウハウや技術の組み合わせによる競争力のある製品開発に取り組める体制の構築ができると考えているとのことです。更には購買分野における一括購入による原価低減等、スケールメリットの追求を行うことは両社の企業価値向上に資するものと考えているとのことです。一方で、現時点において当社には公開買付者以外の一般株主も存在するため、当社の上場会社としての独立性や当社の少数株主に対する利益への配慮という観点から、公開買付者と当社の間の連携策を推進するに際しては当社において慎重な検討を履践することが必要となる等、当社株式の上場を維持したままでの迅速かつ機動的な連携強化には一定の制約があると感じていたとのことです。
更に、公開買付者においては、2020年2月に東京証券取引所が新市場区分の概要等の公表を行った頃から当社の上場維持基準の適合性に関する課題認識を強めるようになり、2021年6月30日の移行基準日時点で当社がスタンダード市場において規定される株主数、流通株式数、流通株式時価総額、流通株式比率の4項目からなる上場維持基準において、流通株式時価総額が9.08億円と上場維持基準である10億円を満たしておりませんでした。公開買付者としては、上場維持基準を満たすための手段、方法については当社が検討すべきとの考えであるものの、当社において上場維持基準を満たすための施策を実行されたとしても上場廃止となる可能性があることも想定し、2021年8月上旬より、公開買付者と当社の資本関係の一本化について検討するようになったとのことです。その後、2023年3月31日の判定基準日まで上場維持基準未達の状況が継続したことによって、公開買付者と当社の資本関係の一本化についての検討を更に深めることとなったとのことです。本書提出日時点においては、当社の市場株価の回復もあり、流通株式時価総額の上場維持基準を充足しておりますが、今後の当社株価の動向によっては再び上場維持基準を満たさない状況に陥る可能性も否定できないことや、公開買付者の現状の当社株式に対する所有割合を今後も維持しながら当社が上場を継続する場合、当社が東京証券取引所の「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」において議論されている実質的な支配力を持つ株主(「支配的な株主」)を有する上場会社に区分され得ることで、当社において支配的な株主からの独立性を高める対応策を講じるための追加的な対応や経営リソースの投入・コスト負担等を迫られる可能性も否定できないと考えたことも相まって、2022年9月上旬、本取引の検討を開始するに至ったとのことです。
なお、公開買付者が、本取引において想定しているディスシナジーとしては、当社株式の買付資金を銀行融資で賄うため、有利子負債の増加による財務面への影響を検討しましたが、当該ディスシナジーを考慮したとしても、以下イ)からハ)に記載の本取引後に想定しているシナジーが両社にとっての企業価値向上に資するものと考えており、具体的には以下の諸施策の実施及びシナジーを想定しているとのことです。
公開買付者は湿式合成(注2)や化学反応を得意とし、当社は乾式工程(注3)や加工技術に強みがあると認識しており、従前より公開買付者及び当社の間で互いの研究内容の紹介や、技術相談や技術交流等の面で議論を行っていたとのことです。しかし、現状の当社への出資比率では両社間で製品開発体制の構築やお互いに秘匿性の高い情報を必要とする共同研究を行うことができず、また製品の共同搬送や倉庫の共有など、全体最適の考えのもとでお互いの経営リソースの集約や効率化を図るような取組みを行うには限界がありました。本取引の実現により、湿式合成によりモリブデンを主成分とする中間製品の製造を担う上工程を担当する公開買付者と、乾式工程によりモリブデン合金を製造、更には合金を加工し製品化することを担う下工程を担当する当社がより連携を深めることにより、一気通貫でのモノづくりが可能となることで、現状の当社への出資比率では実現できなかった経営資源の相互活用や収益性向上、また両者間での製品開発体制の構築や共同研究の実施といったメリットを、完全子会社化により全体最適の考えのもとで両社が享受することができ、更には、競合他社に対する優位性を高めることに繋がると考えているとのことです。更に、本取引の実現により実質的に公開買付者と当社が一体運営となることで、互いの秘匿性の高い情報や研究内容を融合し最適条件を見出すことにより、それぞれの強みを活かすことが可能となり、また顧客と直接の接点がある当社が顧客からのニーズを入手し、その対応において公開買付者が原料段階から改善・応用に関与することによって、より競争力のある製品開発体制の構築が可能となると考えているとのことです。
(注2)「湿式合成」とは、水溶液中で化学反応操作を加えて粒子を合成する方式です。以下同じです。
(注3)「乾式工程」とは、液体を用いず不純物の多い金属から純度の高い金属を取り出す方式、もしくは液体を蒸発させる方式の工程です。以下同じです。
本取引の結果、公開買付者の完全子会社としての信用力が当社に付加されることにより、取引金融機関からの資金調達余力の改善や、現状財務的に負担となっていることと想定される金利条件・担保条件の改善が期待できると考えているとのことです。また、両社一体でみて得策と判断される場合は、必要に応じて直接的な資金支援や保証差入による側面的な支援等も考えているとのことです。
間接部門におけるノウハウ共有や、両社間における人材交流により、これまでよりも幅広く適材適所の人材配置を検討できる等、人事面での活性化が期待でき、本取引後に想定している上記の事業面及び財務面と合わせたシナジーの実現による企業価値向上策を実行していくことでより魅力的な企業となり従業員のモチベーションの向上に繋がると考えているとのことです。また、新卒の採用面においては大学及び大学院の研究室との関係構築が重要であり、大学及び大学院の研究室と企業との信頼関係構築において、学生の就職先として実績があることは大きな強みであるとのことです。本取引後、大学及び大学院の研究室から見て公開買付者と当社が一体の会社として捉えられることにより、両社それぞれに繋がりや採用実績のある大学及び大学院の研究室を紹介することができるようになり、互いに採用実績がない大学及び大学院の採用窓口が広がることが期待でき、優秀な人材確保に寄与するものと考えているとのことです。加えて、採用活動における両社のノウハウを共有し、採用活動を連携及び一体化することを通じて採用力を向上させるとともに紹介料や広告媒体費等コスト削減にも繋がり、効率的かつ幅広い採用活動が可能になると考えているとのことです。
以上の検討を進める中、公開買付者は、本格的な検討を開始すべく、2023年7月下旬に公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を選任し、同年10月上旬にリーガル・アドバイザーとして弁護士法人大江橋法律事務所を選任したとのことです。その上で、公開買付者は、2023年10月3日に当社に対し本取引に関する初期的な打診を行い、同年10月12日に当社に対して本取引の提案に至った背景、公開買付者にて想定しているシナジーを記載した意向表明書を提出し、本取引の本格的な検討を開始したい旨の意向を伝えるとともに、本取引の提案に至った背景及び本取引の意義・目的について初期的な説明を行ったところ、当社より、具体的な意思表示や否定的な回答は無く、仮に本件を進めることになった場合の手続き、非公開化の時期等の詳細を確認したいとの申し出があったため、当社と本取引に向けた具体的な協議・検討を開始したとのことです。
その後、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のために当社について法務及び財務・税務デュー・ディリジェンスを2023年11月中旬から同年12月中旬まで実施するとともに、並行して、当社との間で、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)について協議・検討を続けてきたとのことです。具体的には、公開買付者は、2023年12月25日、当社に対して2023年11月中旬から同年12月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、当社の損益計算書、貸借対照表及びキャッシュ・フロー計算書の財務情報及び提案実施日の前営業日の当社株式の終値を基準とした同日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間、過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム率等を総合的に勘案し、本公開買付価格を1,570円(提案実施日の前営業日である2023年12月22日の当社株式の終値1,207円に対して30.07%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,260円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して24.60%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,291円に対して21.61%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,386円に対して13.28%のプレミアムを加えた価格。以下「第1回提案価格」といいます。)とする提案を実施したとのことです。これに対して、当社から、2023年12月27日、第1回提案価格は一般株主にとって十分な水準ではなく提案価格を再考するよう要請を受けたことから、公開買付者は、2024年1月9日、提案実施日の前営業日である2024年1月5日の当社株式の終値1,246円に対して34.03%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,231円に対して35.66%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,262円に対して32.33%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,371円に対して21.81%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,670円(以下「第2回提案価格」といいます。)とする提案を実施したとのことです。これに対して、当社より、2024年1月11日、第2回提案価格は依然として一般株主にとって十分な水準ではなく提案価格を再考するよう要請を受けたことから、公開買付者は、2024年1月17日、提案実施日の前営業日である2024年1月16日の当社株式の終値1,217円に対して43.80%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,221円に対して43.33%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,255円に対して39.44%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,361円に対して28.58%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,750円(以下「第3回提案価格」といいます。)とする提案を実施したとのことです。これに対して、当社より、2024年1月18日、第3回提案価格は依然として少数株主にとって十分な水準ではなく提案価格を再考するよう要請を受けたことから、公開買付者は、2024年1月22日、提案実施日の前営業日である2024年1月19日の当社株式の終値1,198円に対して56.93%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,217円に対して54.48%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,252円に対して50.16%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,356円に対して38.64%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,880円(以下「第4回提案価格」といいます。)とする提案を実施したとのことです。これに対して、当社より、2024年1月23日、少数株主の利益に最大限配慮する観点から、第4回提案価格から更なる引上げの要請を受けたことから、公開買付者は、2024年1月25日、提案実施日の前営業日である2024年1月24日の当社株式の終値1,219円に対して54.63%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,217円に対して54.89%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,251円に対して50.68%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,349円に対して39.73%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,885円とする最終提案を実施したとのことです。これに対して、公開買付者は、2024年1月29日、当社より、当該提案を応諾し、本公開買付価格を1,885円とすることに合意するとの回答を受領したとのことです。
以上の当社との協議・交渉を経て、公開買付者は、2024年1月30日付で会社法第370条及び公開買付者定款第26条の規定に基づく取締役会決議に代わる書面決議により、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決議したとのことです。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2023年10月3日に公開買付者より本取引に関する初期的な打診を受け、その上で、同月12日に、公開買付者からの意向表明書の提出を受け、本取引の本格的な検討を開始したい旨の意向を伝えられるとともに、本取引の提案に至った背景及び本取引の意義・目的について初期的な説明を受け、公開買付者に対し、具体的な意思表示や否定的な回答はせず、仮に本件を進めることになった場合の手続き、非公開化の時期等の詳細を確認したいとの申し出を行い、公開買付者と本取引に向けた具体的な協議・検討を開始いたしました。当社においてかかる提案について慎重に検討を行った結果、デュー・ディリジェンスその他の本取引に向けた具体的な検討及び協議を開始することを決定するとともに、2023年10月下旬、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、それぞれ選任いたしました。また、当社は、公開買付者の連結子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による従属会社の買収には該当しないものの、公開買付者が当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当すること、当社の役員に公開買付者の役員を兼任する者がいること等を考慮し、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、TMI総合法律事務所の助言を踏まえ、2023年10月30日付で、当社の社外取締役である飯島宗文氏、社外監査役である大谷泰史氏及び外部有識者である三谷革司氏(弁護士・スパークル法律事務所)の3名によって構成される、公開買付者及び当社のいずれからも独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社は、公開買付者から独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、2023年11月9日に開催された第1回特別委員会において、本特別委員会により、かかる検討体制につき独立性及び公正性の観点から問題がないことについて承認を受けております(詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)。
当社は、上記体制を整備した後、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性等に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。
本公開買付価格については、当社は、2023年12月25日に、公開買付者から、本公開買付価格を1,570円(提案実施日の前営業日である同月22日の終値1,207円に対して30.07%、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,260円に対して24.60%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,291円に対して21.61%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,386円に対して13.28%のプレミアム)とする第1回目の提案書の提出を受けました。当社は、公開買付者の提案に対し、同月27日に、当社の一般株主にとって十分な水準ではないとの判断に至ったとして、本公開買付価格の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年1月9日に、本公開買付価格を1,670円(提案実施日の前営業日である2024年1月5日の終値1,246円に対して34.03%、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,231円に対して35.66%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,262円に対して32.33%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,371円に対して21.81%のプレミアム)とする第2回目の提案書の提出を受けました。当社は、公開買付者の再提案に対し、同月11日に、依然として一般株主にとって十分な水準ではないとの判断に至ったとして、本公開買付価格の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年1月17日に、本公開買付価格を1,750円(提案実施日の前営業日である同月16日の終値1,217円に対して43.80%、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,221円に対して43.33%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,255円に対して39.44%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,361円に対して28.58%のプレミアム)とする第3回目の提案書の提出を受けました。当社は、公開買付者の再提案に対し、同月18日に、依然として少数株主にとって十分な水準ではないとの判断に至ったとして、本公開買付価格の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年1月22日に、本公開買付価格を1,880円(提案実施日の前営業日である同月19日の終値1,198円に対して56.93%、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,217円に対して54.48%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,252円に対して50.16%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,356円に対して38.64%のプレミアム)とする第4回目の提案書の提出を受けました。当社は、公開買付者の再提案に対し、同月23日に、少数株主の利益に最大限配慮する観点から、本公開買付価格の更なる引き上げについて、再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、2024年1月25日に、本公開買付価格を1,885円(提案実施日の前営業日である同月24日の終値1,219円に対して54.63%、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,217円に対して54.89%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,251円に対して50.68%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,349円に対して39.73%のプレミアム)とする最終提案を受けました。当社は、当該提案に対し、同月29日に、当該提案を応諾し、本公開買付価格を1,885円とすることに合意するとの回答をしました。
以上の検討・交渉過程において、当社は、適宜、本特別委員会に報告し、特別委員会から確認及び意見の申述等を受けております。具体的には、公開買付者との交渉にあたっては、本特別委員会の意見を踏まえた交渉方針に従って対応を行っており、また、公開買付者から本公開買付価格の提案を受領した際には、その都度、直ちに特別委員会に対して報告を行い、その助言を踏まえて当社内にて検討を行い、対応を行っております。
そして、以下のとおり、当社としても、公開買付者の完全子会社となることにより、以下のようなシナジーの創出を見込むことができ、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
当社としては、公開買付者は湿式合成や化学反応を得意としており、当社は乾式工程や加工技術に強みがあると認識しております。しかし、現状の当社への出資比率では両社間で製品開発体制の構築やお互いに秘匿性の高い情報を必要とする共同研究を行うことができず、また製品の共同搬送や倉庫の共有など、全体最適の考えのもとでお互いの経営リソースを集約・効率化を図るような取組みは行うには限界がありました。本取引を行うことで、湿式合成によりモリブデンを主成分とする中間製品の製造を担う上工程の業種である公開買付者と、乾式工程によりモリブデン合金を製造、更には合金を加工し製品化することを担う下工程の業種である当社がより連携を深めることにより、一気通貫でのモノづくりが可能となることで、現状の当社への出資比率では実現できなかった経営資源の相互活用や収益性向上、また両者間での製品開発体制の構築や共同研究の実施といったメリットを、完全子会社化により全体最適の考えのもとで両社が享受することができ、更には、競合他社に対する優位性を高めることに繋がると考えております。従前より、公開買付者と当社の間では、互いの研究内容の紹介や、技術相談や技術交流等の面で議論を行っており、本取引の実現により実質的に公開買付者と当社が一体運営となることで、互いの秘匿性の高い情報や研究内容を融合し最適条件を見出すことで、それぞれの強みを活かすことが可能となると考えております。具体的には、当社の技術開発部と公開買付者の赤穂研究所でコラボレーションが可能になる機会が増えることで、これまでにない新規製品づくりの可能性が広がると考えております。実際には、以下の具体的な取り組みができると考えております。
① 既に取り組んでいるバナジウム材料の共同研究の深化
② 公開買付者の製品である金属バナジウムの加工への当社関与
③ 主に新規金属を取り扱う際の、公開買付者の持つ知見とネットワークを利用
④ 当社⇒精密加工会社⇒公開買付者⇒原料メーカー間での定期的交流の増加、営業面・製造面でのコラボレーションの実現による新たな製品の共同開発
また、顧客と直接の接点がある当社が顧客からのニーズを入手し、その対応において公開買付者が原料段階から改善・応用に関与することにより、より競争力のある製品開発体制の構築が可能となると考えております。
公開買付者の完全子会社としての信用力が当社に付加されることにより、取引金融機関からの資金調達余力の改善や、現状の財務的負担と想定される金利条件・担保条件の改善が期待できると考えております。また、両社間で得策と判断される場合は、必要に応じて直接的な資金支援や保証差入による側面的な支援等も考えております。更に、完全子会社化による上場廃止により、当社において不要な費用削減ができ、労務面、開発面の運営に資金を向けることが出来ると考えております。
間接部門におけるノウハウ共有や、両社間における人材交流により、これまでよりも幅広く適材適所の人材配置を検討できる等、人事面での活性化が期待でき、本取引後に想定している上記の事業面及び財務面と合わせたシナジーの実現による企業価値向上策を実行していくことでより魅力的な企業となり従業員のモチベーションの向上に繋がると考えております。また、新卒の採用面においては大学及び大学院の研究室との関係構築が重要であり、大学及び大学院の研究室と企業との信頼関係構築において、学生の就職先として実績があることは大きな強みであると考えております。本取引後、大学及び大学院の研究室から見て公開買付者と当社が一体の会社として捉えられることにより、両社それぞれに繋がりや採用実績のある大学及び大学院の研究室を紹介することができるようになり、互いに採用実績がない大学及び大学院の採用窓口が広がることが期待でき、優秀な人材確保に寄与するものと考えています。加えて、採用活動における両社のノウハウを共有し、採用活動を連携及び一体化することを通じて採用力を向上させるとともに紹介料や広告媒体費等コスト削減にも繋がり、効率的かつ幅広い採用活動が可能になると考えております。
総務・法務関係については、上場会社とその主要株主という従前の関係性においては、情報管理の観点等から緊密な連携が容易ではなかったものの、当社が公開買付者の完全子会社となることにより、緊密な連携を推進することができると考えております。具体的には、総務関係では、社内規程類について、双方に相談する機会を増やすことができ、双方が有する経営管理・労務管理等に関するノウハウを共有し、相互の社内規程に反映することにより、これまで以上に従業員が安心して働くことのできる職場づくりを目指すことができると判断しております。
また、法務関係では、公開買付者の法務チームのノウハウと当社の上場企業としてのノウハウを共有することができ、国内外の顧客の要望する新規契約関係並びに既存契約の確認、顧客との取引形態の確認等について幅広くコミュニケーションを行い、当社と顧客が安心且つ安全に取引ができる体制の構築が可能となると判断しております。
なお、上場廃止により、当社は、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社であることに伴う社会的な信用の獲得といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを得られなくなります。もっとも、昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、現在の当社の知名度・ブランド力や社会的な信用は、上場会社としてのステータスよりも、事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きいため、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的であると考えております。
また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格(1,885円)は妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しております。
(a)当該価格が、下記「(3)算定に関する事項」に記載されているみずほ証券から2024年1月29日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)における当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価基準法に基づく算定結果の範囲を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果の範囲内であること。
(b)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年1月29日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値1,254円に対して50.32%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,224円に対して54.00%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,251円に対して50.68%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,341円に対して40.57%のプレミアムが加算されたものであり、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日から2024年1月19日までに公表された、支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を企図した公開買付けの類似事例19件におけるプレミアムの中央値(公表日前営業日の終値に対して45.4%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して48.1%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して53.2%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して55.7%)と比較しても、公表日前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値は遜色のない合理的なプレミアムが付されており、直近6ヶ月間の終値単純平均においても、過去の類似事例におけるプレミアムの中央値はやや下回るものの大きな乖離はなく、6ヶ月の間に株価の高騰があったことも踏まえると、低廉とは言えないこと。
(c)当該価格が、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、本特別委員会からの意見・助言を踏まえた交渉方針に従って、公開買付者との間で真摯な交渉を重ねた結果、決定された価格であること。
(d)当該価格は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。
以上より、当社は、2024年1月30日開催の取締役会において当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記取締役会決議の詳細は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
公開買付者は、本取引後の当社の経営体制については、本公開買付けの成立後、両社の企業価値を更に向上させる観点から公開買付者及び当社との間で協議を行い決定していく予定であり、現時点で具体的に想定している当社の経営体制はなく、また、現時点で当社との間で当社の経営体制に関して交渉は行っておらず、具体的に決定している事実及び両社で合意している事実はないとのことです。本取引後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本取引後、公開買付者グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し当社と協議しながら決定していく予定であるとのことですが、原則として当社の現在の経営体制を維持することを想定しているとのことです。
当社は、公開買付者及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年1月29日に、当社株式価値算定書を取得いたしました。なお、みずほ証券は、公開買付者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は、公開買付者に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っているものの、みずほ証券は当該取引等について利益相反に係る重要な利害関係を有しておりません。みずほ証券によれば、みずほ証券は金融商品取引法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。当社は、みずほ証券及びみずほ銀行との間において情報隔壁措置等の適切な弊害防止措置が講じられていること、当社とみずほ証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているため、みずほ証券は第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、みずほ証券を公開買付者及び当社並びに本取引から独立した第三者算定機関として選定いたしました。
また、本特別委員会は、第1回の特別委員会において、みずほ証券の独立性及び専門性に問題がないことから、当社の第三者算定機関として承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しております。なお、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、みずほ証券から本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりません。
みずほ証券は、当社株式の価値算定にあたり必要となる情報を収集・検討するため、当社の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受け、それらの情報を踏まえて、当社株式の価値算定を行っています。みずほ証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価基準法及びDCF法を採用して、当社株式の価値を算定しております。
みずほ証券が上記の手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価基準法 : 1,224円から1,341円
DCF法 : 1,745円から2,738円
市場株価基準法では、2024年1月29日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,254円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,224円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,251円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,341円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,224円から1,341円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した2024年3月期から2027年3月期までの事業計画、直近までの業績動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した、当社が生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,745円から2,738円と算定しております。
なお、当社の事業計画については、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2024年3月期において営業利益の大幅な減益の予測(前期比60.6%の減少)となっておりますが、これは半導体関連の需要減速、投資を中心とした固定費等の増加が見込まれているためです。また、2026年3月期において営業利益の大幅な増益の予測(前期比113.9%の増加)となっておりますが、これは半導体分野を中心としたタングステン、モリブデン及びヒートシンクの需要回復が見込まれているためです。更に、2027年3月期において営業利益の大幅な増益の予測(前期比128.8%の増加)となっておりますが、これは半導体分野の需要は堅調に推移する見込みであることに加え、自動車用特殊電極部品の新製品の量産化による販売増が見込まれているためです。
また、2024年3月期から2027年3月期までの事業計画期間において、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減益が見込まれておりますが、これは当社が見込んでいる運転資本の増減額や設備投資額が毎期変動することによるものです。
なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において価値算定に重要な影響を及ぼす可能性を定量的に評価できる事項は認識されないため、みずほ証券がDCF法に用いた事業見通しには加味されておりません。
(注)みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。また、当該財務予測については、本特別委員会が当社との間で質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しております。
公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定であるとのことです。
株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定であるとのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求める予定であるとのことです。当社が取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承認を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。そして、公開買付者は、売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、各売渡株主に対して本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定であるとのことです。なお、当社は、公開買付者から株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、取締役会にて株式売渡請求を承認する予定です。
株式売渡請求に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、株式併合を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを当社に要請する予定であるとのことです。また、公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日(本書提出日現在においては、2024年3月31日を予定しているとのことです。)が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)中に基準日設定公告を行うことを要請する予定であるとのことです。本書提出日現在において、当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者による要請に応じる予定であり、本臨時株主総会の開催は2024年5月中旬頃を予定しております。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定であるとのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、当社の株主の皆様は、株式併合がその効力を生ずる日において、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当該端数の株式を所有する当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定であるとのことです。なお、株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社の株主が公開買付者のみとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定であるとのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する当社株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定であるとのことです。以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
また、本スクイーズアウト手続により当社の完全子会社化が2024年6月30日までの間に完了する場合には、公開買付者は、当社に対し、2024年3月期に係る当社の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することができる株主を、当社の完全子会社化が完了した後の株主(公開買付者を意味します。)とするため、本定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定であるとのことです。当該要請があった場合には、本定時株主総会の開催に先立ち臨時株主総会にて定款の一部変更に係る決議を行う予定です。そのため、2024年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても本定時株主総会において権利を行使できない可能性があるとのことです。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けが成立した後、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続の実施を予定しておりますので、その場合には東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
本書提出日現在において、当社は公開買付者の連結子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による従属会社の買収には該当しません。もっとも、公開買付者は当社株式726,700株(所有割合:31.35%)を直接所有し、当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当すること、及び当社の役員に公開買付者の役員を兼任する者が存在すること等を考慮し、公開買付者及び当社は、買付け等の価格の公正性を担保し、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性を排除し、利益相反を回避する観点から、それぞれ以下のような措置を実施しました。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
当社は、公開買付者及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年1月29日に、当社株式価値算定書を取得いたしました。
当社がみずほ証券から取得した当社株式価値算定書の詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。
当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2023年10月30日に、飯島宗文氏(当社社外取締役)、大谷泰史氏(当社社外監査役)及び三谷革司氏(弁護士・スパークル法律事務所)の3名から構成される、公開買付者及び当社のいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。
当社は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明の内容を含む。)を決定することが当社の少数株主に不利益なものでないこと(以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。さらに、当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないことを併せて決議しております。
加えて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明を求めることを含む。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び(b)本特別委員会自ら公開買付者(本取引に関与するその役職員及び本取引に係るそのアドバイザーを含む。)と協議する機会の設定を要望することができる権限、(ⅲ)特に必要と認めるときは、当社の費用で、本特別委員会独自のアドバイザーを選任することができる権限を付与いたしました。これを受けて、本特別委員会は、当社の第三者算定機関であり、かつ、ファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券及び当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関兼ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
本特別委員会は、2023年11月9日より2024年1月29日までの間に合計11回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、(ⅰ)公開買付者に対する、本取引の目的・背景、本取引の条件及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、(ⅱ)当社に対する、みずほ証券による当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容及び策定方法、並びに公開買付者の提案内容及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、並びに(ⅲ)みずほ証券に対する、当社株式の株式価値算定に関する事項のヒアリング等を行っております。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、本取引における公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容その他本取引に関する事項全般について法的助言を受けております。
更に、本特別委員会は、みずほ証券から受けた財務的見地からの助言を踏まえ、公開買付者からより高い価格を引き出すための交渉方針について審議・検討するとともに、当社が公開買付者から本公開買付価格に関する提案を受領する都度、適時に報告を受け、みずほ証券から受けた財務的見地からの助言も踏まえて公開買付者に対する交渉方針を審議・検討すること等により、公開買付者との間の本公開買付価格に関する協議・交渉に実質的に関与いたしました。
本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2024年1月30日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする本答申書を提出しております。
a 本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項について
(a) 本取引の目的等
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社及び公開買付者に対して質疑を行った。それらの内容をまとめると、概要は以下のとおりである。
・ 公開買付者は、1954年の当社への出資を契機とし、公開買付者から当社に対する経営実務に精通した人材の派遣や、当社へのモリブデン原材料の販売を行う等、長年にわたり経営面及びビジネス面の両面において相互に事業の発展を支えあってきたところ、当社の主要販売先である家電、産業用電気設備及び通信設備・機器に関する市場の特徴として、製品技術の急速な進展や、顧客ニーズの変化に応じた頻繁な新製品の開発・導入等、製品の改廃が極めて短期間に集中的に進展する点が挙げられると認識し、今後もこれら新製品開発・市場投入のタイミングを逸失することなく変化に対して迅速に対応していくためには、環境の変化を的確に把握することが重要と考えており、当社単独ではなく、公開買付者と当社がより密に連携し、情報源の複数化や営業部内の情報共有化を進め、顧客ニーズへの対応力を強化することで、リスク低減に努める必要があると認識している。また、当社の中長期的な事業成長のためには、事業環境の動きに応じた経営を念頭に、経営資源の効果的投入を図っていくこと、及び市場や顧客ニーズに合致した製品開発に資すると判断される場合等には大胆に経営資源を投下していくことが求められると認識しており、今後も公開買付者及び当社が一体となり、双方の企業価値向上のために相互の協力関係を更に深化させることが不可欠であると考えていた。
・ 一方で、当社には公開買付者以外の一般株主も存在するため、当社の上場会社としての独立性や当社の少数株主の利益への配慮という観点から、公開買付者と当社の間の連携策を推進するに際しては当社において慎重な検討を履践することが必要となる等、当社株式の上場を維持したままでの迅速かつ機動的な連携強化には一定の制約があると感じていたことから、2021年8月より、公開買付者と当社の資本関係の一本化について検討するようになった。
・ 公開買付者が、本取引において想定している具体的なシナジー効果は以下のとおりである。
(i)事業面のシナジー
上工程を担当する公開買付者と、下工程を担当する当社がより連携を深めることにより、一気通貫でのモノづくりが可能となり、優位性を持つことができると考えている。更に、本取引の実現により実質的に公開買付者と当社が一体運営となることで、互いの秘匿性の高い情報や研究内容を融合し最適条件を見出すことにより、それぞれの強みを活かすことが可能となり、また顧客と直接の接点がある当社が顧客からのニーズを入手し、その対応において公開買付者が原料段階から改善・応用に関与することによって、より競争力のある製品開発体制の構築が可能となると考えている。
(ii)財務面のシナジー
本取引の結果、公開買付者の完全子会社としての信用力が当社に付加されることにより、取引金融機関からの資金調達余力の改善や、現状財務的に負担となっていることと想定される金利条件・担保条件の改善が期待できると考えている。また、両社一体でみて得策と判断される場合は、必要に応じて直接的な資金支援や保証差入による側面的な支援等も考えている。
(iii)組織面のシナジー
間接部門におけるノウハウ共有や、両社間における人材交流により、これまでよりも幅広く適材適所の人材配置を検討できる等、人事面での活性化が期待できると考えている。採用面においては互いに採用実績がない大学及び大学院の採用窓口が広がることが期待でき、優秀な人材確保に寄与するものと考えている。
・ 当社としても、公開買付者の完全子会社となることにより、上記(i)乃至(iii)の事業面のシナジー、財務面のシナジー及び組織面のシナジーの創出を見込むことができると考えている。なお、組織面に関する具体的なシナジーとして、総務・法務関係については、上場会社とその主要株主という従前の関係性においては、情報管理の観点等から緊密な連携が容易ではなかったものの、当社が公開買付者の完全子子会社となることにより、緊密な連携を推進することができると考えている。具体的には、総務関係では、社内規程類について、双方に相談する機会を増やすことができ、双方が有する経営管理・労務管理等に関するノウハウを共有し、相互の社内規程に反映することにより、これまで以上に従業員が安心して働くことのできる職場づくりを目指すことができると判断している。また、法務関係では、公開買付者の法務チームのノウハウと当社の上場企業としてのノウハウを共有することができ、国内外の顧客の要望する新規契約関係並びに既存契約の確認、顧客との取引形態の確認等について幅広くコミュニケーションを行い、当社と顧客が安心且つ安全に取引ができる体制の構築が可能となると判断している。
(b) 検討
公開買付者は、当社の主要販売先である家電、産業用電気設備及び通信設備・機器に関する市場の特徴を踏まえると、製品技術の急速な進展や、顧客ニーズの変化に応じた頻繁な新製品の開発・導入等、製品の改廃が極めて短期間に集中的に進展し、今後もこれら新製品開発・市場投入のタイミングを逸失することなく変化に対して迅速に対応していくためには、環境の変化を的確に把握することが重要であり、公開買付者と当社がより密に連携し、情報源の複数化や営業部内の情報共有化を進め、顧客ニーズへの対応力を強化することで、リスク低減に努める必要があり、また、当社の中長期的な事業成長のためには、事業環境の動きに応じた経営を念頭に、経営資源の効果的投入を図っていくこと、及び市場や顧客ニーズに合致した製品開発に資すると判断される場合等には大胆な経営資源を投下していくことが求められると認識しており、そのため、今後も公開買付者及び当社が一体となり、双方の企業価値向上のために相互の協力関係を更に深化させることが不可欠であると認識しており、かかる公開買付者の認識に不合理な点は認められない。
また、公開買付者が本取引を通じて実施することを期待している各施策、すなわち、事業面における連携の深化による一気通貫でのモノづくり、競争力のある製品開発体制の構築、財務面における信用力の付加による資金調達余力や金利条件・担保条件の改善及び現状の財務的な負担・コストの改善・解消を含む資金力の向上、組織面における人事面での活性化や採用に関する大学等とのリレーション構築・強化等は、これらが実現すれば、当社の企業価値の向上が期待できると考えられる。
更に、本特別委員会からの質問及び回答を通じ、当社も、本取引を通じてこれらの施策を実現することが可能であり、又は、期待することができると認識していることが確認できていることから、その実現可能性はあると考えられる。
また、本特別委員会からの質問及び回答を通じ、当社及び公開買付者における認識として、本取引に伴うデメリットとしては、当社が上場会社ではなくなることによる新規の人材の採用への影響の可能性が考えられるものの、想定される影響の程度は限定的であり、また、従業員の士気、取引先の信用、金融機関との関係についても、十分に説明することで手当てが可能であり、加えて、現在の当社の知名度・ブランド力や社会的な信用は、上場会社としてのステータスよりも、事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きいことからすると、本取引に伴う大きなデメリットは存在しないと考えられることが確認できた。
(c) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値の向上に資することを企図するものであると認められ、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
b 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項について
(a) みずほ証券による株式価値算定書
当社が、当社及び公開買付者から独立した第三者算定機関であるみずほ証券から取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価基準法によると1,224円から1,341円、DCF法によると1,745円から2,738円、とされているところ、本公開買付価格は、市場株価基準法に基づく算定結果の範囲を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果の範囲内である。
そして、本特別委員会は、みずほ証券の株式価値評価に用いられた算定方法等について、みずほ証券から、評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる当社の事業計画の作成方法・作成過程及び内容、割引率の算定根拠、余剰現預金や事業外資産等の取扱いを含め、詳細な説明を受けるとともに、質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。また、当社の事業計画については当社とも質疑応答を行い、その作成過程及び事業の現状に照らして不合理な点がないかという観点から検討した結果、合理的なものと認められた。
加えて、本公開買付価格(1,885円)は、当社株式の2024年1月29日の東京証券取引所スタンダード市場における終値1,254円に対して50.32%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同様とする。)、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,224円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同様とする。)に対して54.00%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,251円に対して50.68%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,341円に対して40.57%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であって、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日から2024年1月19日までに公表された、支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を企図した公開買付けの類似事例19件におけるプレミアムの中央値(公表日前営業日の終値に対して45.4%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して48.1%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して53.2%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して55.7%)と比較しても、公表日前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値は遜色のない合理的なプレミアムが付されており、直近6ヶ月間の終値単純平均においても、過去の類似事例におけるプレミアムの中央値はやや下回るものの大きな乖離はなく、6ヶ月の間に株価の高騰があったことも踏まえると、低廉とは言えないこと。
(b) 交渉過程の手続の公正性
下記「c 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について」記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる公正性担保措置が採られた上で、本特別委員会からの意見・助言を踏まえた交渉方針に従って、公開買付者との間で真摯な交渉を重ねた結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(c) 本公開買付け後の手続の合理性
本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の本スクイーズアウト手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められる。
(d) 対価の種類の妥当性
本取引の対価は、本公開買付け及びその後に実施される予定の本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者が非上場会社であることを踏まえると、本取引において、流動性が乏しい公開買付者の株式を対価とするのではなく、金銭を対価とすることは妥当であるといえる。
(e) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
c 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項について
(a) 特別委員会の設置
当社は、2023年10月3日に公開買付者より本取引に関する初期的な打診を受け、その上で、公開買付者から、同月12日に本取引の提案に至った背景、公開買付者にて想定しているシナジーを記載した意向表明書を提出され、本取引の本格的な検討を開始したい旨の意向を伝えられたことを受けて、当社は公開買付者の連結子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による従属会社の買収には該当しないものの、公開買付者が当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当すること、当社の役員に公開買付者の役員を兼任する者がいること等を考慮し、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、2023年10月30日開催の取締役会の決議に基づき、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明の内容を含む。)を決定することが当社の少数株主に不利益なものであるか否かについての意見を取得することを目的として、当社の社外取締役である飯島宗文氏、当社の社外監査役である大谷泰史氏及び外部有識者である三谷革司氏(弁護士・スパークル法律事務所)の3名から構成される本特別委員会を設置している。また、当社は、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないこととしている。なお、本特別委員会の委員は、設置当初から変更されていない。
(b) 当社による検討方法
当社が本取引について検討するにあたっては、当社及び公開買付者から独立した第三者算定機関兼ファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券並びにリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
なお、本特別委員会は、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社の第三者算定機関兼ファイナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認している。
(c) 当社による協議・交渉
当社は、本特別委員会が事前に承認した交渉方針に従い、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。具体的には、当社は書面及びみずほ証券を通じて、延べ4回にわたり本特別委員会が承認した交渉方針に基づく価格交渉を、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券株式会社を介して実施した。
そして、その交渉の結果として、1株当たり1,885円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり1,570円とする公開買付者の当初の提案より、315円の価格引上げを引き出している。
(d) 本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与
当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者及び本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。なお、当社の取締役のうち、鈴木一史氏は公開買付者の代表取締役社長を兼務していることから、利益相反の疑いを回避する観点より、本取引について決議する当社取締役会の審議及び決議には一切参加しないことが予定されており、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておらず、今後参加の予定もない。加えて、岩隈和夫氏は健康上の理由から本取引について決議する当社取締役会を欠席する予定であるものの、上記取締役会に先立ち、当該決議の内容につき説明を受け、当社取締役会が上記決議を行うことにつき異議がない旨の意見を得ることが見込まれている。
また、当社の取締役のうち、藤原一信氏(専務取締役)は、公開買付者の出身であるが、当社のみに在籍してから10年以上が経過しており、また、本取引に関して、公開買付者の側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加することが予定されているところ、かかる取扱いにつき不合理な点は見当たらない。
(e) マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件
本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを企図しているため、本公開買付けにおいて、818,700株(所有割合35.32%)を買付予定数の下限と設定しており、応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わない予定である。
買付予定数の下限(818,700株)は、当社第3四半期決算短信に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(2,338,001株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,911株)及び公開買付者が所有する当社株式数(726,700株)を控除した株式数(1,591,390株)の過半数に相当する株式数(795,696株)を上回っている。これは、買付予定数の下限が、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する数を上回っていることを意味しており、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の過半数の賛同が得られない場合には、当社の少数株主の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしている。
(f) 対抗的な買付け等の機会を確保していること
公開買付者は、当社との間で、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、本公開買付けの公表後における対抗的買収提案者による買収提案の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
また、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な検討期間を提供しつつ、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保することとしており、上記対抗的な買付け等の機会の確保と併せ、当該公開買付期間の設定により、本公開買付けの公正性の担保について配慮している。
なお、本取引においては、積極的なマーケット・チェックが実施されていないものの、情報管理の観点に加え、現時点における公開買付者の当社株式の所有割合(31.35%)を踏まえると、積極的なマーケット・チェックを実施する意義が大きいとはいえないものと考えられる。
(g) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
d 上記を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明の内容を含む。)を決定することが当社の少数株主に不利益なものでないことについて
上記を踏まえ慎重に検討した結果、当社取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。すなわち、当社取締役会が、(i)本公開買付けに賛同の意見を表明し、かつ、当社の株主が本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ii)本公開買付け後に株式売渡請求又は株式併合の方法を用いた本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主に不利益ではないと判断するに至った。
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
なお、TMI総合法律事務所は、公開買付者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、TMI総合法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、当社は、2023年10月12日に本取引の実施に向けた検討・協議を開始したい旨の意向表明書を受領した時点以降、当社の代表取締役社長、専務取締役、総務部部長、経理部部長及び総務部課長の合計5名(公開買付者との間で利害関係を有する者は含まれておりません。)からなる検討チームを立ち上げ、それ以降、当該検討チームが、公開買付者からの当社に対するデュー・ディリジェンスに対応するほか、特別委員会とともに、当社と公開買付者との間の本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与してまいりました。また、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、現に公開買付者の役職員を兼任する当社の役職員について、当社株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成過程や、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与させないこととしており、かかる取り扱いを継続しております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、2023年11月9日に開催された第1回特別委員会において、本特別委員会の承認を得ております。
当社取締役会は、TMI総合法律事務所から受けた法的助言及び当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、当社の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のようなイ)事業面のシナジー、ロ)財務面のシナジー及びハ)組織面のシナジーの創出を見込むことができることから、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、(a)本公開買付価格が、上記「(3)算定に関する事項」に記載されているみずほ証券による当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価基準法に基づく算定結果の範囲を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果の範囲内であること、(b)本公開買付価格が、公表日前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムについては、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日から2024年1月19日までに公表された、支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を企図した公開買付けの類似事例19件におけるプレミアムの中央値(公表日前営業日の終値に対して45.4%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して48.1%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して53.2%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して55.7%)と比較しても、公表日前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値は遜色のない合理的なプレミアムが付されており、直近6ヶ月間の終値単純平均においても、過去の類似事例におけるプレミアムの中央値はやや下回るものの大きな乖離はなく、6ヶ月の間に株価の高騰があったことも踏まえると、低廉とは言えないこと、(c)本公開買付価格が、本「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、本特別委員会からの意見・助言を踏まえた交渉方針に従って、公開買付者との間で真摯な交渉を重ねた結果決定された価格であること、並びに(d)本公開買付価格は、上記「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていることから、本公開買付価格(1,885円)は妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年1月30日開催の取締役会において、当社取締役5名のうち審議及び決議に参加した3名の取締役の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対して公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記取締役会においては、当社の取締役5名(小樋誠二氏、藤原一信氏、岩隈和夫氏、鈴木一史氏、飯島宗文氏)のうち、鈴木一史氏は現に公開買付者の代表取締役の地位を有していることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議及び決議に一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して、公開買付者との協議及び交渉に一切参加しておりません。加えて、岩隈和夫氏は健康上の理由から欠席したものの、上記取締役会に先立ち、当該決議の内容につき説明を受け、当社取締役会が上記決議を行うことにつき異議がない旨の意見を得ています。
また、2024年1月30日開催の取締役会においては、当社の監査役3名全員が、上記決議に異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち、藤原一信氏(専務取締役)は、公開買付者の出身ですが、当社のみに在籍してから10年以上が経過しており、また、本取引に関して、公開買付者の側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております。
公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを企図しているとのことですので、本公開買付けにおいて、818,700株(所有割合35.32%)を買付予定数の下限と設定しており、応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。
買付予定数の下限(818,700株)は、当社第3四半期決算短信に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(2,338,001株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,911株)及び公開買付者が所有する当社株式数(726,700株)を控除した株式数(1,591,390株)の過半数に相当する株式数(795,696株)を上回っているとのことです。これは、買付予定数の下限が、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の皆様が所有する当社株式数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する数を上回っていることを意味しており、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、当社の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしているとのことです。
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
該当事項はありません。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。
(注3) 取締役鈴木一史氏及び飯島宗文氏は、社外取締役であります。
(注4) 監査役深瀬真一氏及び大谷泰史氏は、社外監査役であります。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】