当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「優れたテクノロジーを、親しみやすく」をMission(企業理念)とし、またVision(目指す姿)として「社会のデジタル変革をリードするNo.1クラウドインテグレーター」を掲げているほか、5つのValue(行動指針)を定めております。
Mission(企業理念)
「優れたテクノロジーを、親しみやすく」
世の中は技術革新によって目まぐるしい進歩を続けます。
企業・社会が持続的な成長を為すには、先進技術をいち早く取り入れる必要がある一方、
正しい使い方を見極めて徹底活用しなければ望んだ成果は得られません。
私たちJBS(当社、「日本ビジネスシステムズ㈱」を指します)は、お客さまに寄り添い、お客さまにとって必要な技術を最適な形で届け続けることで、
技術革新がもたらす企業・社会の持続的成長に貢献してまいります。
Vision(目指す姿)
「社会のデジタル変革をリードするNo.1クラウドインテグレーター」
働き方の変化やダイバーシティ等の加速により、世界中の社会・経済の在り方が大きく変わろうとしています。
すべてのプレイヤーが社会課題の解決に必要なビジネスモデルの確立や構造改革に取り組むべき時代です。
このチャレンジをスピーディに遂行するためには、お客さま自身がテクノロジーを理解し、自らデジタル変革
を起こしていく必要があります。
私たちJBSはクラウド活用のプロフェッショナル集団です。
お客さま自身のクラウド活用力を高めデジタル変革を起こす体制・仕組み作りに貢献できる存在として、一番にお声がけいただけるパートナーを目指してまいります。
Value(行動指針)
Customer First「お客さまの期待を超える」
お客さまの視点に立ち、主体性を持ってスピーディに行動することで、
お客さまの成功につながる最良の解決策を提供します。
Diversity & Inclusion「一人ひとりの個性を大切に」
お客さま、ビジネスパートナー、社員・家族など、関わるすべての人々の個性を尊重します。
Integrity「誠実かつ、ひたむきに」
信頼関係を築くことを大切にし、あらゆる活動に真摯に向き合います。
Passion for Technology「情熱を持ってテクノロジーを追求」
テクノロジーに触れたときの感動を忘れずに、 無限の可能性を追い続けます。
Commitment to Growth「挑戦と成長」
常に挑戦し、学び、成長し続けます。
(2)経営戦略
企業のDXシフトを背景に、クラウド需要が引き続き堅調に拡大していく中、当社グループは引き続きマイクロソフトクラウドを中核に足元の成長スピードを維持しながら、クラウド領域における付加価値化を図っていきます。
クラウドインテグレーション事業においては需要の増えているクラウドセキュリティやアプリケーション開発領域での収益力強化、クラウドサービス事業においては常駐型の保守運用からマネージドサービスへの転換を進めてまいります。また、ライセンス&プロダクツ事業においてはAzure Expert MSP認定の維持によるマイクロソフトライセンスの仕入れ額の改善やソリューションに紐づく物販促進により利益改善を図ります。
① ID×APRUによるクラウド促進を継続
当社グループは、M365のID数を増加させるとともに、顧客一人当たりの単価であるクラウドARPU(Average Revenue Per User)の拡大が、基本戦略となっております。
ID数の増加においては、企業のクラウド導入の入り口となるM365ライセンス契約をエンタープライズ中心にさらにシェアを高めていきます。
ARPU拡大においては、クラウド導入の入り口であるモダンワークプレイスの領域で、堅調に拡大するM365需要を獲得し、その後、クラウドセキュリティやM365とつながる各種システムデータの連携により、オフィスワーク環境のData&AI領域へと広げていく方針です。また、当社の独自ソリューションブランドであるJBS Cloud Suiteにより、クラウドインフラにおけるAzureへのLift&Shift(注)需要への対応、内製化支援とアプリケーション開発に必要なインフラ構築といった、クラウドの導入計画から保守運用までをワンストップでの支援が実現でき、導入、運用保守、さらなる導入といったサイクルを連動させ、ARPUを拡大していきます。
(注)Lift&Shiftとは、既存のオンプレミスシステムをそのままクラウド環境へ持ち込み(Lift)、その後、クラウドへ持ち込んだ業務システムを徐々にクラウド環境に最適化していく(Shift)という2つのステップを踏むことで、移行にかかる手間を最小限に抑えることができるクラウド移行の手法をいいます。
② 人材獲得・育成強化(人的資本経営)
人材獲得においては、これまでと同様に、年間約200名の新卒採用を継続する一方で、中途採用についても、年間約100名の採用をしていく方針です。
人材育成・強化においては、顧客ニーズの高い領域(セキュリティ、上流設計、アプリケーション開発等)のケイパビリティを引き続き強化していきます。セキュリティやAI等の技術者の獲得競争が厳しい領域においては、パートナー連携を積極的に行う中で、パートナー企業との技術連携を担うブリッジエンジニアの育成につなげていきます。
また、クラウド時代に合ったリスキル、アップスキルを進めており、エンジニアのスキルポートフォリオを可視化・分析し、分析に基づいた戦略的な育成に取り組みます。上流設計やData&AIといった領域については、パートナー企業との積極的なアライアンスを通じてエンジニアの確保を進め、優れた技術や仕組みを取り入れることで、顧客への価値転換を優先に取り組んでいきます。合わせて、DE&I「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」においては、社員が互いの価値観を尊重し合う職場環境や、多様な人材が公平に活躍でき、最大限にパフォーマンスを発揮できる制度を構築することで、組織と人材の力を最大限に生かす企業風土を醸成し、価値創出につなげてまいります。
上記の施策による社員増加に伴う社宅や新しいオフィスの整備など職場環境作りにも取り組んでおります。最新の設備や環境への配慮だけでなく、当社グループオフィスの特徴であるLucy’s CAFE & DININGのような顧客や社員同士が集まりコラボレーションできる施設を設けていくことで、自由で柔軟な働き方やプラットフォームづくりを整備しております。
③ 標準化×内製化支援
世の中のシステム環境はクラウドによって変革期を迎えております。今日では、標準的な機能は自社で作るより、世界中のベストプラクティスを集約して日夜アップデートされるクラウドサービスをできる限りそのまま活用する方が最適な状況となってきております。当社グループは、それらの優れたテクノロジーを顧客向けに最適、かつ親しみやすい方法論・パッケージで届けています。当社の JBS Cloud Suite を通じて、顧客自身にベストプラクティスをベースとした方法論を理解してもらうことで、顧客自身がクラウドを最適に使うことができ、スピード感を持った導入と導入効果において価値を認めてもらえるよう取り組んでいきます。
④ 資本業務提携企業とのグループシナジーの創出
当社グループは㈱三菱総合研究所及びその子会社である三菱総研DCS㈱から19.7%の出資を受けております。三菱総研グループ(㈱三菱総合研究所、その子会社及び関連会社を指します)内においてはマイクロソフト社のクラウド製品の実装に関わる案件での協業強化を模索しており、特に公共分野でのAzure採択の可能性において、同社グループと共同での顧客開拓を図っていきます。また、同グループが金融機関等との取引で培ったData&AIの知見などを生かした共同提案の強化を図っていきます。
また、日本テレビ放送網㈱のIT戦略子会社であり、当社グループが20.2%出資している㈱日テレWandsに関しても戦略的提携を深めていきます。同社を通じて、インフラ領域でのクラウド内製化支援に加え、アプリケーション領域での新たなクラウドアプリケーション及びプラットフォーム事業の開発支援を行っていきます。本協業を強化していくとともに、メディア業界へのさらなる事業拡大を目指していきます。
⑤ 新事業へのチャレンジ
既存ビジネスにとらわれることなく、新たな事業の創出によるさらなる成長を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高及び営業利益であります。
|
|
2023年9月期実績 |
2024年9月期計画 |
2025年9月期計画 |
|
売上高 |
1,128億円 |
1,268億円 |
1,244億円 |
|
営業利益 |
41億円 |
51億円 |
89億円 |
また、上記を達成するために、M365のID数、ARPU、ビジネスパートナー活用比率の向上を関連指標として設定
し、達成状況を確認していく予定です。
(4)経営環境
新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、経済活動が正常化に向かう中、顧客においてはクラウドサービスへのノウハウ獲得やITベンダーに依存したシステム設計・開発の見直しといったニーズが引き続き増加しています。当社グループは国内外のクラウド製品に精通し豊富な導入・運用実績を持つだけでなく、世界中のクラウド活用ナレッジが集約されたCAFに準拠したコンサルティング、クラウドサービスライセンスの提供、導入・保守運用サポートの実装、それらを包括したマネージドサービスに早期から取り組んでおり、マルチベンダーとしてスピーディかつ最新のクラウド利活用をご提供できる体制を整えております。また、クラウドを活用して大きな経営効果を生み出した先行事例のベストプラクティスを集約した方法論を適用しながら、グローバル標準のクラウドマネージドサービスを提供できる実績・ノウハウを保有している企業として、当社は、2022年4月には、Microsoft Azureの最上位パートナープログラムであるAzure Expert MSP認定を取得しております。さらに、当社は、本資格を有するクラウドマネージドサービスプロバイダーとして、同認定で評価された当社の実績・ノウハウを集約した自社クラウドマネージドサービスであるJBS Cloud Suiteの提供を開始しました。本サービスは、クラウドを用いたDXデザインから導入・保守運用、利活用までの一貫した支援と、数多くあるクラウドサービスを購入から一元管理、コスト最適化までを実現する管理ツールで構成されており、当社のクラウドプロフェッショナル集団が顧客の経営環境に即した形でお届けするものです。
また、2022年12月にはMicrosoft Azure、MR デバイス、動画配信及びアプリ開発など、当社が今後事業拡大を見据えている領域に強みを持つ、㈱ネクストスケープを子会社化し、さらなる体制強化を実施しました。今後も効率的かつ多様なソリューションを提供するクラウドマネージドサービスプロバイダーとしてさらなる成長を目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、顧客企業のオンプレミスからクラウドへの事業転換を加速し、クラウド市場成長に合わせた事業成長を実現し、上記の経営戦略を実現していくため、下記の事業上及び財務上の課題に対処してまいります。
① JBS Cloud Suiteの事業展開強化
顧客当たりのARPUを拡大していくにあたっては、マネージドサービスによる顧客当たりのクラウド利用の拡大が重要であり、当社は、JBS Cloud Suite内におけるマネージドサービスの充実を図ることで、付加価値向上に努めてまいります。部門組織横断での本ブランド推進体制を整え、開発から販売までの一貫した体制により、推進を図ってまいります。
② 人材戦略の強化
当社は、「徹底的に、社員ファースト」を人材戦略の礎に置き、社員の幸せや成長につながる人事制度、人材育成など、採用から一貫した人事バリューチェーンを構築、実行しております。
採用においては、エンジニア不足が加速している環境下において、顧客ニーズの高い領域で活躍できる専門性の高い人材の採用・育成・定着に努めております。
育成においては、豊富なプロジェクトによる業務経験を通じたOJT(On the Job Training)を中心に、当社独自の研修プログラムやEラーニング等に加え、マイクロソフト社をはじめとした各社のトレーニングプログラム等も有効活用しながら継続的な育成を図っております。
エンゲージメントにおいては、定期的に実施しているエンゲージメント調査の結果を生かした組織作りを実施しております。これまでも注力してきた育成プログラムの充実、多様な労働環境の提供のほか、オンボーディング施策の拡充、及びキャリアカウンセリングルームの新設など、さまざまな施策を実行してまいります。DE&I推進においても、女性活躍の認定である「えるぼし」の3つ星取得や、男性育児休業の取得推進、LGBTQsの権利に対応したパートナーシップ規程を施行など、積極的な取り組みを実施しております。また、障がい者雇用の増員、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組み「トモニン」マークの活用など、DE&I推進に取り組んでおります。
こういった取組や施策がエンゲージメント向上につながっていると考えており、2023年9月期における当社の離職率は5.9%となりました。今後も、社員が最大限に力を発揮でき、働きがいのある企業として、継続的に尽力してまいります。
③ 事業生産性の向上
必要な人材の確保に努めるとともに、ビジネスパートナー活用拡大による生産性の向上に努めてまいります。JBS Cloud Suiteを始めとした標準化されたノウハウの蓄積により、コアパートナー制度(注)を用いて品質を担保しながらさらなるビジネスパートナーの活用促進を図ることで、生産性の向上につなげてまいります。また、営業活動や社内システムにおいても効率化、仕組み化を図り、より効率的な事業運営につなげてまいります。
(注)コアパートナー制度とは、当社が扱うソリューション提供を支援できるスキルの高いパートナーと継続的な協業体制を構築し、エンジニアリソースの安定した確保につなげていく取り組みです。
④ 事業ポートフォリオの拡大
変化の速いIT業界において継続的に事業拡大を図っていくためには、既存のビジネスのみにとらわれず、最新の業界動向をいち早く察知し、顧客への提供価値のある技術を取り込み、顧客に最適な形で提供することが求められております。当社グループは、パートナー企業との協業も深めながら、新たな事業の創出に努めてまいります。
⑤ 当社の流通株式比率及び企業価値の向上
当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の観点から、経営戦略の着実な遂行やIR活動の促進・強化を図るとともに、必要に応じて当社株式を保有している取引先や主要株主へ一部売出しに向けて協議を進めるなど流動性の確保に努めてまいります。
当社グループは、企業理念「優れたテクノロジーを、親しみやすく」の実現に向けて、「社会の持続可能性」と「JBSの持続的成長」の両立を目指して、事業を通じた社会価値と企業価値の創出に取り組んでいます。豊かな地球環境や持続可能な社会を次世代へと受け継いでいくために、社会の一員としての責任を果たしながら、環境や社会の課題解決に寄与する取り組みを事業活動に取り込んでいます。
また、サステナビリティを推進する指針として「サステナビリティ基本方針」を定め、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。今後は、マテリアリティに基づく目標、計画を策定し、実行していくことで、持続可能な社会の実現と、事業の発展を図ってまいります。
<サステナビリティ基本方針>
JBSは、「優れたテクノロジーを、親しみやすく」を企業理念とし、お客さまに寄り添い、お客さまにとって必要な技術を最適な形でお届けすることで、技術革新がもたらす社会・事業の持続的成長に貢献してまいります。
(1)ガバナンス
現在、当社の取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会に対する監督権限を有しております。サステナビリティに関する取組状況をグループ全体で監督し、強化することを目的とした「サステナビリティ推進委員会」の設置を検討しております。
(2)戦略
当社グループでは、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現に貢献する「事業機会」に関する4つのマテリアリティと、当社グループの持続的な事業成長を支える「経営基盤」に関する2つのマテリアリティ、計6つのマテリアリティを特定しております。
|
重点テーマ |
マテリアリティ |
|
|
事業機会 |
イノベーションの推進 |
クラウド導入効果の最大化 |
|
安心・安全な社会インフラ |
時代に即したIT環境の実現・維持 |
|
|
働き方・活躍 |
すべての人が生きがいを感じる多様な働き方の実現 |
|
|
環境 |
パートナーとの協創によるカーボンネガティブへの貢献 |
|
|
経営基盤 |
人材 |
信頼されるプロフェッショナル人材の育成 |
|
DE&I |
すべての社員が個性を最大限に活かせる企業文化の醸成 |
|
①クラウド導入効果の最大化
JBSは、世界標準のフレームワークをベースに、お客さまごとに必要な技術を最適な形で適用させることで、迅速に導入でき、技術革新がもたらす経済生産性の向上をはじめとするさまざまな効果を最大限に享受できる状態を目指します。
②時代に即したIT環境の実現・維持
JBSは、世界標準のフレームワークをベースに、お客さまごとに必要な技術を最適な形で適用させることで、迅速に導入でき、技術革新がもたらす経済生産性の向上をはじめとするさまざまな効果を最大限に享受できる状態を目指します。
③すべての人が生きがいを感じる多様な働き方の実現
JBSは、多様化するコミュニケーションのあり方に対して、先進テクノロジーによるデジタルとリアルを組み合わせた新たなワークスタイルを提案することで、個人のウェルビーイングにつながる多様な働き方の実現を支援します。
④パートナーとの協創によるカーボンネガティブへの貢献
JBSは、テックリードカンパニーの環境に対する取り組みと連携し、クラウド活用によるお客さまの CO2 削減を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。
⑤信頼されるプロフェッショナル人材の育成
JBSは、お客さまとの信頼関係を構築できるクラウドネイティブな人材の育成に向けて、社員が最大限に活躍できる環境づくりへの惜しみない投資を継続し、お客さまへの提供価値の最大化を目指します。
⑥すべての社員が個性を最大限に活かせる企業文化の醸成
JBSは、社員一人ひとりの価値観を互いに尊重し合う職場環境や、多様な人材が公平に活躍でき、最大限にパフォーマンスを発揮できる制度設計を構築することで、組織と人材の力を最大限に生かす企業風土を醸成します。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスク管理については、全社的なリスク管理の一環として推進状況及び推進を阻害する要因の把握に務めているほか、毎月開催されるリスク管理委員会においてもリスク情報の収集と分析を行っております。また、重要と判断するリスクについては、その重要性に応じて、代表取締役社長又は取締役会に報告をしております。
(4)人的資本への取り組み
「徹底的に、社員ファースト」を人材戦略の礎に置き、社員の幸せや成長につながる人事制度、人材育成など、採用から一貫した人事バリューチェーンを構築、実行しております。
①人材育成
人材育成においては、豊富なプロジェクトによる業務経験を通じたOJT(On the Job Training)を中心に、当社独自の研修プログラムやEラーニング等に加え、マイクロソフト社をはじめとした各社のトレーニングプログラム等も有効活用しながら継続的な育成支援を図っております。
2023年4月に新設したHR戦略本部では、採用から人材育成、人事評価など、人事のバリューチェーンを構築し、一貫した社員への価値貢献に努めております。また、四半期ごとにエンゲージメント調査を実施することで全組織の状態が見える化され、その結果をもってマネジメント層でのディスカッションや各組織での振り返りを行っています。こうした定期的な調査と課題解決アクションを継続して、社員一人ひとりのやりがいを醸成しながら、働きがいのある環境整備を推進していきます。
②DE&I「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」
Diversity & Inclusion「一人ひとりの個性を大切に」を行動指針の一つとして掲げ、多様な人材が公平に活躍でき、最大限にパフォーマンスを発揮できる制度を構築することで、組織と人材の力を最大限に生かす企業風土を醸成し、価値創出につなげてまいります。
また、多様な人材が活躍できる環境整備を推進するためにさまざまな取り組みを進めており、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」の最高位(3つ星)の認定を受けております。また、障がい者雇用や男性の育児休業取得を積極的に推進しているほか、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組んでおり「トモニン」マークを活用しております。
③社内環境整備
働きやすい環境を提供し、社員のエンゲージメントを高めることで、お客さまに対してより良いサービスを提供できるものと考え、社内環境整備の向上に力を入れております。このような考え方のもと、各社員のワークスタイルに合わせた多様かつ柔軟な労働環境を提供し、社員一人ひとりに最先端のIT環境を提供しております。
加えて、社員同士のコミュニケーション活性化を図るために社員食堂「Lucy’s CAFE & DINING」を運営するとともに、一人暮らしをする社員には利便性の高い都心部にある社宅を用意するなど、社員が最大限に力を発揮できる環境を整えています。
④健康経営
社員の健康課題の解決に有用な健康管理システム「Carely」を導入し、健康経営を推進しています。また、産業医の常駐をはじめ、年1回の健康診断、ストレスチェックなどを実施して各社員の健康情報を一元的に管理するとともに、社員の健康増進に有益な情報の発信等を行っています。
⑤指標及び目標
人的資本への取り組みに関する主な指標及び目標は次のとおりです。
|
指標 |
2023年9月期実績 |
目標と達成時期 |
|
|
女性管理職(課長級) |
16.9% |
20% |
2026年3月末 |
|
男性育児目的休暇取得率 (注)1 |
96.6% |
100% |
2026年3月末 |
|
エンゲージメントスコア (注)2 |
70(B⁻) |
- |
- |
(注)1.配偶者の産後1年以内に育児休業または育児を目的とした当社独自の休暇制度を取得した男性従業員の割合
2.調査には㈱アトラエ提供のエンゲージメント測定ツール「Wevox」を利用し、当社の全社員(正社員・契約社員)を対象に実施しています。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
|
|
発生可能性 |
発生時期 |
影響度 |
|
(1)事業環境に関するリスク |
|
|
|
|
① 景気変動及び業界動向の変化によるリスク |
小 |
不特定 |
中 |
|
② 競合企業によるリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
③ 技術革新によるリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
(2)当社グループの事業に関するリスク |
|
|
|
|
① 日本マイクロソフト㈱との関係に関するリスク |
小 |
不特定 |
大 |
|
② 特定の製品・サービス等の関係に関するリスク |
小 |
不特定 |
中 |
|
③ 顧客との関係継続に関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
④ プロジェクトの採算管理に関するリスク |
中 |
不特定 |
中 |
|
⑤ 労務管理に関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑥ 外注人材の確保に関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑦ 情報システムに関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑧ 法的規制について |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑨ プロジェクトに関する係争リスクについて |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑩ 海外展開について |
小 |
不特定 |
小 |
|
(3)経営管理体制に関するリスク |
|
|
|
|
① 代表者への依存について |
小 |
不特定 |
中 |
|
② 人材の確保及び育成に関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
③ 顧客情報等漏洩のリスク |
小 |
不特定 |
中 |
|
④ 知的財産権のリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
⑤ コンプライアンスに関するリスク |
小 |
不特定 |
小 |
|
(4)その他のリスク |
|
|
|
|
① 自然災害等によるリスク |
小 |
不特定 |
中 |
|
② 大株主について |
小 |
不特定 |
小 |
|
③ ㈱三菱総合研究所及び三菱総研DCS㈱との関係に |
小 |
不特定 |
小 |
|
④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について |
小 |
不特定 |
小 |
(1)事業環境に関するリスク
① 景気変動及び業界動向の変化によるリスク
当社グループが提供するクラウドインテグレーション事業・クラウドサービス事業・ライセンス&プロダクツ事業は、顧客のクラウド化が進む中で市場は成長しており、この傾向は継続すると想定しております。同市場の中で競争力維持のため、マイクロソフト社のAzure Expert MSP資格の継続保持のための人材及びプロセス開発を進めていますが、国内外の経済情勢や景気動向等の理由による、顧客企業におけるシステム投資の縮小や製品開発の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社グループが提供するサービスに係る市場規模が縮小される可能性があります。従って、国内システム投資動向が悪化した場合及び顧客が属する事業分野の市況が悪化した場合には、既存顧客からの受注の減少や新規顧客開拓の低迷により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合企業によるリスク
当社グループは、情報サービス業界に属しており、多数の競合企業が存在しておりますが、今後はシステム開発のグローバル化により国内競合企業に限らず、海外企業も含めた人材獲得競争・価格競争が激化することが予想されます。
人材獲得競争に対しては人材確保に向けた各種施策に取り組んでおります。新卒採用においては、首都圏だけではなく、地方からも優秀な人材を確保するため、都内好立地での社宅の提供や社内コミュニケーション活性化のための社員食堂Lucy’s CAFE & DININGの完備など、社員の福利厚生を充実させることで採用競争力を高めております。また、マイクロソフト社をはじめとした各メーカーと連携した資格取得制度やオフサイトで学習を進めることができるEラーニングの充実、オンサイトにて学びを深めるためのJBSトレーニングセンターの設置など社員を育成する仕組みも充実させております。中途社員に対しても、従業員紹介制度の導入など、優秀な人材の採用に向けた選択肢を充実させております。
また、価格競争に対してはプロジェクト管理や品質管理の強化を通じて開発コストの低減及び収益性の向上に努めております。しかしながら、競合企業増加に伴い人材獲得競争・価格競争等がさらに激化した場合には、受注量の減少、営業案件の失注や収益性の低下等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新によるリスク
当社グループが属する情報サービス業界の著しい技術革新に対応するため、採用、教育研修、開発環境整備等によって対応していく方針でありますが、急激な技術革新等の方向性を予測、認識できない場合や、適時適切に対応できない場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業に関するリスク
① 日本マイクロソフト㈱との関係に関するリスク
当社グループは、日本マイクロソフト㈱との長年にわたる取引・協業によって、事業を拡大させており、今後の持続的な成長においても、同社との関係の維持・強化が重要であると考えております。当社グループは、現在同社とは安定した取引関係を継続しておりますが、一部または全部において、同社製品・ソリューションが含まれるサービスの提供割合は2023年9月期の実績で当社売上の77%を占めており、同社紹介による新規案件の獲得や同社技術を用いた新規事業の開発も行っております。同社との契約内容・取引条件に大きな変動が生じるなどの何らかの事情により、同社との関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の製品・サービス等の関係に関するリスク
当社グループは、日本マイクロソフト㈱との間に提供する製品・サービス等に係る契約を締結し、顧客に対して当該製品・サービスの提供を行っております。当社グループは、こうした特定の取引先と安定した取引関係を継続しておりますが、何らかの事情により、特定の製品・サービス等の市場訴求力に大きな変動が生じた場合、及び当社グループからの特定の製品・サービスの提供に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 顧客との関係継続に関するリスク
当社グループは、顧客との関係を強化し、当社グループの提供するサービスを活用していただける事業パートナーであり続けることを目指しております。しかしながら、クラウドでのシステム構築やシステム導入後の保守管理サービスのサービスレベルが顧客ニーズや期待の変化に対応しきれず、これらの顧客が当社グループとの取引又は契約関係を継続しない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ プロジェクトの採算管理に関するリスク
当社グループでは、作業工程等に基づき発生コストを予測し、適正な利益を加味した見積り金額を算出し、プロジェクトの採算管理をしておりますが、当初想定できなかった事象等の発生による追加コストの発生、当社グループの過失による納期遅延が発生した場合には、当初見込みからプロジェクトの採算が悪化するほか、当社グループの評価の低下等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 労務管理に関するリスク
一括請負契約のシステム開発のプロジェクトにおいては、納期厳守と高い品質の確保が要求され、予想外のトラブルや開発環境等の変化が生じた場合、品質や納期を遵守するため一時的に長時間労働が発生することがあります。当社グループでは、長時間労働の発生を未然に防ぎ、従業員の健康を損なうことがないよう、労務管理体制を整備しておりますが、やむを得ない事情により長時間労働が発生した場合には、システム開発の生産性の低下や従業員の士気の低下等により、社会的・法的な労務問題につながり、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 外注人材の確保に関するリスク
当社グループにおけるシステム構築、開発業務等については、人材の確保、開発業務の効率化、顧客要請への迅速な対応等を目的として、業務の一部について協力会社への外部委託を活用しております。当連結会計年度末現在では信頼できる協力会社との良好な連携を維持しており、今後も協力会社の確保、及びその連携体制の強化を積極的に推進していく方針ではありますが、協力会社から十分な人材を確保できない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報システムに関するリスク
当社グループは、業務効率化や情報共有のため、社内情報システムをクラウド環境・オンプレミス環境それぞれに構築・運用しております。重要システムにおけるバックアップ取得や冗長化、ペネトレーションテストやセキュリティアセスメントの実施及び対策を進めるとともに、リアルタイムの脅威監視とログ分析を行うSOC(Security Operation Center)と連携して、情報セキュリティインシデントが発生した場合にも適切な対応を実施できるよう備えておりますが、社内情報システムの不具合、外部からの予期せぬ不正アクセスやマルウエア感染などのセキュリティインシデントによる情報システムの深刻な障害が発生した場合には、業務効率性の低下を招くだけでなく、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法的規制について
当社グループは、当社グループ事業の遂行にあたり、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)、下請代金支払遅延等防止法(下請法)、電気通信事業法、古物営業法、その他法令(プライバシー・個人情報保護関連法、反社会的勢力排除・贈収賄禁止等腐敗防止法を含みますがこれに限りません。)の規制を受けております。当社グループは、労働者派遣法については人事部、電気通信事業法については経営企画部、古物営業法についてはビジネスサポート部をそれぞれ管理部署として定め、法令に従い許認可の取得を行う等、法令を遵守しております。
しかしながら、法改正への対応を怠るなど、法令違反が生じた場合は、当社グループ事業の遂行が制限される可能性があるほか、顧客からの損害賠償請求のおそれがあり、また社会的信用の失墜の可能性があります。このような事態となった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑨ プロジェクトに関する係争リスクについて
当社グループは、事業の遂行にあたり、システムインテグレーション、クラウドインテグレーション等の開発プロジェクトを受託します。当社グループは、適用される法令等規制や契約条件を遵守しプロジェクトを遂行できるよう、開発プロジェクト提案・受注・遂行・完了それぞれのタイミングでプロジェクト管理体制を整備しておりますが、予期できないシステムの不具合や納期の遅延等により損害賠償請求を受けることで当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 海外展開について
当社グループは、これまでに米国、中国、シンガポール、メキシコ、香港に子会社を設立し、海外展開を進めていく方針ですが、海外展開に際しては現地の法令・規制の変更、社会情勢、為替相場の変動、サービスが市場に受け入れられない可能性等のさまざまな潜在的リスクが存在しております。それらのリスクに対処できなかった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営管理体制に関するリスク
① 代表者への依存について
当社の代表取締役社長牧田幸弘は、当社グループ設立の中心人物であり、事業活動全般において重要な役割を果たしており、代表者に依存する部分が相当程度存在しております。当社グループは、代表者への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化及び人材の育成を進めておりますが、何らかの理由により代表者が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保及び育成に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社グループにとって重要であり、これに対して新卒採用や中途採用の促進及び研修制度の各施策を実施しておりますが、このような人材を採用又は育成することができない場合や人材流出が想定以上に進んだ場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 顧客情報等漏洩のリスク
当社では、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。当社においては、ISO27001(ISMS)やJIS Q 15001(プライバシーマーク)の認証取得を行い、CISO(Chief Information Security Officer)を責任者とする、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ体制を構築するとともに、情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウエアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録等各種の情報セキュリティ対策を講じ、個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施することで、情報漏洩のリスクの回避を図っております。しかしながら、当社又は協力会社より情報の漏洩が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権のリスク
当社グループが行うシステム開発等の事業活動において、他社が権利者となる商標権、特許権及び著作権その他の知的財産権を侵害しないように十分に啓発活動を行い、常に注意を払って事業展開をしており、当連結会計年度末現在において、知的財産権を侵害した事実はありませんが、当社グループの認識の範囲外で他社が権利者となる知的財産権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担や損害賠償請求を受けるなど、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、自社の事業を展開するうえで必要となる知的財産権の取得及び自社で創造した知的財産の権利化を積極的に行っておりますが、取得及び権利化に支障が生じた場合には、自社事業展開に問題が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、社会規範の変化によりコンプライアンスに関するリスクが今後も増大していくと認識しております。これに対し、当社グループは、全役職員が遵守すべき行動規範として「コンプライアンス行動指針」を制定し、コンプライアンス推進体制を構築することで、全役職員の法令、社会規範及び社内規則類の遵守並びに企業人としての倫理的な活動の確保に努めております。
しかしながら、重大なコンプライアンス違反の発生により、損害賠償請求を受ける可能性や重要パートナー含む取引先から取引見直しを受ける可能性があるほか当社グループの社会的信用の失墜等によって当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)その他のリスク
① 自然災害等によるリスク
当社グループは、地震、火災等の自然災害の発生等を想定したリスク管理体制の整備を実施しております。しかしながら、当社グループにおいて、直接的な被害の発生や電力供給の停止または通信障害等により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 大株主について
当社の代表取締役社長である牧田幸弘及び牧田幸弘の親族並びに同人の資産管理会社である㈱ロマネの所有株式は、当連結会計年度末現在で議決権数の49.4%となっており、引き続き大株主となる見込みです。牧田幸弘及び同人の資産管理会社は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。牧田幸弘は、当社の創業者であるとともに代表取締役であるため、安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ ㈱三菱総合研究所及び三菱総研DCS㈱との関係について
当社は、㈱三菱総合研究所及び三菱総研DCS㈱と包括協業契約を締結しており、当連結会計年度末現在、㈱三菱総合研究所は議決権数の15.4%、及びその子会社である三菱総研DCS㈱は議決権数の4.3%を保有しており、㈱三菱総合研究所は当社のその他の関係会社に該当します。
人的関係については、当社の取締役である森崎孝は㈱三菱総合研究所から招聘しております。また、当社の監査役である兒玉眞二は三菱総研DCS㈱出身でありますが、監査役就任にあたり当社へ転籍しており、当連結会計年度末現在、同氏は同社の業務執行を行っておらず、一般株主と利益相反が生じるおそれはないものと判断しております。
当社グループは㈱三菱総合研究所及びその子会社との間でIT関連商品販売やSE・ITの業務提供等の取引を行っておりますが、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等は確保しているほか、関連当事者取引として取締役会での取引の事前承認及び取引結果の報告を行っております。
事業領域においては、三菱総研グループ各社の強みを活かせる分野や顧客に応じた協業体制(当社グループでいえば、マイクロソフト社のクラウドサービスの案件での協業等)となっており、事業の棲み分けはなされていると考えております。
なお、当社の意思決定において両社による事前協議・事前承認を必要とする事項等もないことから、当社の経営方針及び事業活動等は当社独自の基準及び判断に基づいて行われており、上場会社として当社の独立性及び自律性は保たれていると認識しております。また、三菱総研グループは、当社の上場後も当社の中長期的な安定株主であると認識しております。しかしながら、将来において、何らかの要因により両社が経営方針や事業戦略(当社株式の保有方針を含む。)を変更した場合には、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しております。当社では、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に従って、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末現在の新株予約権に関する潜在株式の累計は、2,765,740株であり、これは発行済株式総数48,366,400株の5.7%に相当します。なお、新株予約権の内容は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は25,834百万円となりました。その主な内訳は、売掛金が13,870百万円、現金及び預金が5,345百万円であります。固定資産は23,774百万円となりました。その主な内訳は、有形固定資産が16,177百万円、投資その他の資産が5,318百万円であります。
この結果、総資産は49,608百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は17,185百万円となりました。その主な内訳は、買掛金が5,228百万円、契約負債が2,911百万円であります。固定負債は10,201百万円となりました。その主な内訳は、長期借入金が9,285百万円であります。
この結果、負債合計は27,387百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は22,221百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金が13,089百万円、資本剰余金が8,648百万円であります。
この結果、自己資本比率は44.8%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、経済活動が正常化に向かう中、景気は緩やかな持ち直しが続きました。一方で、資源価格の高騰や物価高に加え、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行きへの懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内IT市場においては、幅広い業種にわたり事業の拡大や競争力強化を目的とした各企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、顧客企業におけるIT投資は拡大基調が続いております。生産性向上や業務効率化に加えて、「働き方改革」等のニーズは引き続き拡大しており、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。
このような環境のもと、当社グループは市場拡大が続くパブリッククラウド市場において、マイクロソフト製品を中心に、価値のデザインから構築、利活用促進までを一気通貫で担えるソリューション提供力を強みに、大手エンタープライズとの直接取引によって事業拡大を実現してまいりました。当社顧客においては、クラウド利活用推進のニーズが高まっており、支援体制の強化のための積極的な人材採用及びスキルシフトを実施してきたほか、重点顧客に対応する製販一体の組織を新設し、顧客深耕を図ってまいりました。また、2022年12月には、マイクロソフトクラウドにおいて、特にMicrosoft Azure、MRデバイス、動画配信及びアプリ開発などに強みを持つ株式会社ネクストスケープの子会社化を実施いたしました。さらに、グローバルでのマイクロソフトライセンスを一括で契約いただける体制を整えたほか、当社海外拠点の拡充を進めたことに加え、Crayon Group Holding ASAとの業務提携を締結し、海外における日系企業に対する支援体制の強化を進めてまいりました。
生成AIについては、2023年4月にChatGPTに関する新規ソリューションサービスの提供を開始して以来、顧客企業からは高い関心が寄せられ、徐々に導入が始まってきており、今後はさらなるサービスの拡充に向けた開発及びエンジニア育成に努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高は112,800百万円、営業利益は4,192百万円、経常利益は4,349百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,350百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(クラウドインテグレーション事業)
M365の拡大を見込んだものの、顧客需要がインフラやアプリにシフトしたことに対応すべく、エンジニアのスキルシフトを進めていった結果、Microsoft AzureやERPなどのクラウド活用の案件が増加したことにより、売上高は23,023百万円、セグメント利益は3,537百万円となりました。
(クラウドサービス事業)
継続案件を中心に運用・保守案件が順調に拡大し、売上高は15,403百万円、セグメント利益は1,983百万円となりました。
(ライセンス&プロダクツ事業)
マイクロソフト社のライセンス販売において、製造業及び公共向けの大型ライセンスの一括受注獲得が売上拡大につながったことに加え、ハイブリッド需要による物販の拡大が特に利益拡大に貢献し、売上高は74,398百万円、セグメント利益は2,045百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という)の当連結会計年度末残高は、5,345百万円となりました。
これは、営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュ・フローの合計が2,262百万円減少し、現金及び現金同等物に係る換算差額により38百万円増加したことによるものです。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、206百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,318百万円、契約負債の増加額1,058百万円による増加があった一方で、売上債権及び契約資産の増加額4,171百万円、法人税等の支払額2,193百万円による減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、7,044百万円の減少となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出4,528百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,576百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、4,989百万円の増加となりました。これは主に、長期借入れによる収入5,800百万円、短期借入金の純増加額1,500百万円による増加があった一方で、配当金の支払額1,352百万円、長期借入金の返済による支出1,148百万円による減少があったことによるものであります。
④ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
|
|
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ライセンス&プロダクツ |
72,431 |
- |
|
その他 |
2,017 |
- |
|
合計 |
74,448 |
- |
(注)当社グループの仕入実績におけるライセンス&プロダクツの占める割合が高いため、上記のとおりライセンス&プロダクツとその他に区分し、集計しております。
b.受注実績
当社グループは受注から納品及び役務提供の完了までの期間が短く、受注実績と販売実績に大きな乖離が発生しないため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
|
|
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
クラウドインテグレーション |
23,015 |
- |
|
クラウドサービス |
15,389 |
- |
|
ライセンス&プロダクツ |
74,381 |
- |
|
その他 |
13 |
- |
|
合計 |
112,800 |
- |
(注)1.内部取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うために、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりです。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、112,800百万円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、99,722百万円となりました。その主な内訳は、案件増加により商品仕入高が7,252百万円増加したことによるものです。
その結果、売上総利益は13,077百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、8,884百万円となりました。その主な内訳は、給与手当2,911百万円、業務委託費773百万円です。
その結果、営業利益は4,192百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、351百万円となりました。その主な内訳は、持分法による投資利益114百万円、保険解約返戻金64百万円です。
営業外費用は、194百万円となりました。その主な内訳は、支払手数料115百万円、支払利息46百万円です。
その結果、経常利益は4,349百万円となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、0百万円となりました。その内訳は、新株予約権戻入益0百万円です。
特別損失は、31百万円となりました。その主な内訳は、固定資産除却損29百万円です。
法人税等合計は、967百万円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,350百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、サービスを安定的に運営し、また拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、研究開発に係る費用であります。投資を目的とした資金需要は、福利厚生の一環としての社宅への設備投資等によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは、クラウドシフトが進む市場環境において、マイクロソフト社のクラウド製品を中心に、オンプレミスからクラウドへの事業転換を加速することで事業規模の拡大を図る方針のもと、M365のID数を増加させるとともに、顧客一人当たりの単価であるクラウドARPUの拡大が、基本戦略となっております。
ID数の増加においては、企業のクラウド導入の入り口となるM365ライセンス契約をエンタープライズ中心にさらにシェアを高めていきます。
ARPU拡大においては、クラウド導入の入り口であるモダンワークプレイスの領域で、堅調に拡大するM365需要を獲得し、その後、クラウドセキュリティやM365とつながる各種システムデータの連携により、オフィスワーク環境のData&AI領域へと広げていく方針です。また、当社の独自ソリューションブランドであるJBS Cloud Suiteにより、クラウドインフラにおけるAzureへのLift&Shift需要への対応、内製化支援とアプリケーション開発に必要なインフラ構築といった、クラウドの導入計画から保守運用までをワンストップでの支援が実現し、導入、運用保守、さらなる導入といったサイクルを連動させ、ARPUを拡大していきます。
加えて、事業拡大の基盤となる人材の確保においては、新卒・中途採用を通じた人員獲得及び人員拡大に加え、ビジネスパートナーとの協業拡大を通じたケイパビリティの向上とコスト削減を図っております。コアパートナー制度を通じて、ビジネスパートナー活用比率の拡大に努めてまいります。
当社グループの各指標についての推移は以下のとおりであります。
|
|
2022年9月期 |
2023年9月期 |
|
Microsoft 365のID数 |
171.9万ID |
239.0万ID |
|
ARPU |
50,282円/ID |
47,197円/ID |
|
ビジネスパートナー活用比率 |
32% |
33% |
2023年9月期においては、引き続きユーザーのリモートワークの採用が進んだこともあり、マイクロソフト社のクラウド製品であるM365の導入が進んだ結果、ID数が大きく伸長しました。
また、コアパートナー制度の拡充により、ビジネスパートナーとの協業が大きく拡大し、ビジネスパートナー活用比率が前事業年度から1%増の33%となった結果、ケイパビリティの向上による売上拡大とコスト削減につながりました。
ARPUにつきましては、ID数が想定より伸長した結果、47,197円(前期比93.9%)となりました。
当社が商品供給等を受けている契約
|
契約締結日(注)1 |
2019年11月12日 |
2022年9月14日 |
|
契約の名称 |
Partner Agreement (CSPプロバイダー契約)(注)2 |
MICROSOFT CHANNEL PARTNER TERMS AND CONDITIONS FOR RESELLERSCORE TERMS (LSPライセンス契約)(注)3 |
|
相手先 |
日本マイクロソフト㈱ |
日本マイクロソフト㈱ |
|
契約の概要 |
日本マイクロソフト㈱のCSPライセンスについて当社が販売する。 契約締結日から原則として自動更新(契約解除の場合、解除日から30日以上前までに書面にて通知) |
日本マイクロソフト㈱のLSPライセンスについて当社が販売する。 契約締結日から原則として自動更新(契約解除の場合、解除日から30日以上前までに書面にて通知) |
(注)1.日本マイクロソフト㈱との現行契約の契約締結日は上記記載となっているものの、同社とは1994年6月の取引基本契約における同社製品に関する代理販売契約から開始しております。事業内容の変遷やマイクロソフト社の体制変更に伴う契約変更を行っているものの、今日に至るまで長年に亘って取引関係を継続しております。
2.CSPプロバイダー契約とは、クラウドソリューションプロバイダー(Cloud Solution Provider)として、マイクロソフトクラウド製品を自社サービスに組み込んで販売することが可能になる契約です。
3.LSPライセンス契約とは、ライセンシングソリューションパートナー(Licensing Solution Partner)として認定された企業のみが締結できる契約であり、一定規模以上の顧客を対象にしたマイクロソフト製品の再販プログラムとなります。
当社グループでは、新規事業投資に係る費用の一部を研究開発費として計上しておりますが、金額が僅少のため、記載を省略しております。