第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題

 サーラグループは、創立110周年を迎えた2019年に、私たちが実現したい未来を2030年ビジョン「私のまちにSALA、暮らしとともにSALA」として掲げました。同ビジョンにおいて、社会が大きく変化するなかでもお客さまの暮らしやすさを徹底して追求し、安心、安全、快適、便利はもちろんのこと、新しく、楽しい価値の提供を続けることを約束しています。また、お客さま、地域、取引先、株主の皆さまからはサーラブランドが信頼のあかしとなり、社員にとっては最も働きがいのある会社となることを目指しています。現在、グループを挙げて取り組む第5次中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)は、一層の成長に挑戦するため「枠を越える」を基本方針に定めています。同計画の最終年度となる2025年11月期は、グループ内外との連携・共創や積極的な成長投資による新しい価値の創造を進めるとともに、地域やお客さまの課題解決に向けた事業変革を通じて、着実な事業の成長を実現します。さらに、2024年12月の株式会社安江工務店の連結子会社化を契機に、リフォーム事業をはじめとする住まい、暮らしの事業領域の飛躍的な成長を目指します。

 

 セグメント別の重点取組みは次のとおりです。

 

 

(2)セグメント別の重点取組み

(エネルギー&ソリューションズ)

・省エネやカーボンニュートラル提案を通じて、お客さまや地域の課題解決に取り組みます。また、グループ内外との連携・共創により暮らしに関するビジネスの拡大に挑戦します。

・電力事業において、蓄電ビジネスを通じて需給バランスを均衡させる調整力を提供するとともに、需給調整市場等における取引により新たな収益機会の創出を目指します。

・次期基幹システムの構築により業務効率の向上を図るとともに、グループ内の顧客データ連携によりサービス品質の向上と収益力の拡大を目指します。

 

(エンジニアリング&メンテナンス)

・安定的な収益基盤づくりのための業務プロセス改革を継続するとともに、IT化やマネジメントレベルの向上、社員教育の強化などによる組織力の強化を図ります。

・省エネや創エネ、カーボンオフセットなど脱炭素化に寄与する設備・インフラ提案やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の提案により、お客さまの事業活動におけるカーボンニュートラル化に貢献します。

 

(ハウジング)

・住宅販売部門は、断熱等性能等級7(最高等級)に対応した新商品「SINKA KIWAMI(シンカ キワミ)」の販売を2025年1月に開始し、新シリーズの商品ラインアップが揃ったことから、省エネと快適性に優れた注文住宅の販売をさらに促進します。

・住宅部資材加工・販売部門は、新築市場における取引拡大に加え、リフォーム市場や非住宅市場の開拓及びカーボンニュートラル関連商材の取扱い強化など、新たな分野に挑戦します。

 

(カーライフサポート)

・新車販売部門、中古車販売部門及びサービス部門の連携の強化により、事業運営のレベルアップを図るとともに、お客さま満足度向上につながる顧客情報の活用に取り組みます。

・グループ連携により店舗のカーボンニュートラル化を一層進めるとともに、EV(電気自動車)の積極的な販売や車社会を取り巻く環境変化に対応した新たな事業・サービスの創造に取り組みます。

 

(アニマルヘルスケア)

・営業と配送の分離により倉庫業務を集約化することに伴い、効率的な事業構造へ変革を図るとともに、組織的な営業力の強化に取り組みます。

・業務フローの見直しや受注、営業サポート業務等の集約による効率化を図るとともに、取扱い商品の選択と集中により収益力を高めます。

 

(プロパティ)

・不動産部門は、法人取引の強化やお客さまの資産管理・運用ビジネスの拡充、グループ連携による中古住宅ビジネスの推進などにより収益力を強化します。

・ホスピタリティ部門は、商品企画力や社員教育などを強化し、質の高い商品・サービスの提供を通じて、新たなお客さまを増やすとともに、データを活用したマーケティング施策の実現によりお客さまのリピート利用を促進します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方や取り組みは以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、「美しく快適な人間空間づくりを通し、地域社会から信頼される企業グループとして、豊かな社会の実現をめざします。」を基本理念に掲げています。「お客さま起点」に立脚した多彩なサービスで、「豊かな暮らし」、「魅力ある“まち”」を作り出し、「地域社会の発展」を目指して、持続可能な社会の実現に貢献すべく、サステナビリティに関するガバナンスの強化と適切なリスク管理に努めています。

 また、社会は気候変動への対応をはじめ様々な課題に直面しており、当社グループが取り組むべき社会課題等を踏まえて2022年3月に「サーラグループ サステナビリティ方針」を策定し、8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。特に、2050年のカーボンニュートラルの達成や気候変動対応、人的資本経営の取組みは、当社グループの重要なテーマであると認識しており、マテリアリティについて対応方針及びリスクと機会を設定し取り組んでいます。

 そして、当社グループでは環境、社会、ガバナンス領域に関連する事項において、グループに損失を与えるリスクを常に評価、検証し、リスクマネジメント委員会に報告を行っています。また、当社グループ全体の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて整理し、対応を進め、事業機会創出に取り組んでいます。

 

<サステナビリティ方針>

 私たちサーラグループは、地域に根差した企業グループとしてこれからも地域とともに発展するため、サステナビリティへの対応を重要な経営課題として捉え、積極的に推進しています。

 私たちの企業活動が地域社会に与える影響と社会的責任の観点からマテリアリティを特定し、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組むことにより地域の皆さまからの期待に応え、持続可能な社会の実現を目指します。

 

<マテリアリティ>

ESG

マテリアリティ

環境

(E)

事業を通じた気候変動リスク緩和への貢献

脱炭素社会への移行を推進

自社保有を含めた建物の環境負荷低減

生物多様性へ配慮した事業推進

社会

(S)

地域コミュニティとの関係強化

人権方針の明文化

人材マネジメントの強化

ガバナンス

(G)

腐敗防止方針の開示と徹底

 ※マテリアリティの特定に関する詳細は下記URLを参照。

  https://www.sala.jp/ja/sustainability.html

 

(2)気候変動への取り組み

 当社グループは、気候変動を重要な経営課題と認識し、気候変動によるリスク、機会、その対応について整理しました。2024年に公表した「カーボンニュートラルビジョン」では、「事業セグメントを越えたカーボンニュートラル起点でのサービス融合」と「グループ内外との連携によるまちづくりを通じたカーボンニュートラルの推進」を掲げ、「2050年“まち”のカーボンニュートラルの実現」を目指しています。サプライチェーン全体の低炭素化、脱炭素化に向け、気候変動リスクの削減と機会の最大化に取り組んでいます。

① ガバナンス

 気候変動対策については、経営会議の下に当社経営戦略本部長を委員長とする「環境委員会」を設置し、環境に関する重要な課題及び環境活動に関する組織・体制や年間計画について審議・承認を行っています。計画を実行する組織としてセグメント基幹会社6社とサーラコーポレーションで構成する「環境ワーキンググループ」を四半期に1回開催し、気候変動に関する重要な事項やカーボンニュートラルの実現に向けた方針・目標・取組みなどについて進捗管理し、環境委員会へ報告・提言を行っています。

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② 事業リスクと機会の把握と対応策

 気候変動による将来の気温上昇が抑えられた世界(※1:移行シナリオ)と低炭素が進まない温暖化が進行する世界(※2:物理シナリオ)を参考に2030年以降のリスクと機会を洗い出し、リスクを軽減し機会を最大化するため対応策に取り組んでいます。

 

※1移行シナリオ(IPCC RCP2.6 地球温暖化を産業革命前に比べて2℃未満に抑えるシナリオ)

  温室効果ガス排出規制の強化、炭素価格の上昇、再生可能エネルギーへの投資拡大、新たな技術の導入など気候変動対策に伴う社会経済構造が変化し、気温上昇が抑えられた世界。

※2物理シナリオ(IPCC RCP8.5 2100年に世界の平均気温が約4℃上昇するシナリオ)

  対策が進まず、海面上昇、異常気象(豪雨、干ばつなど)、生物多様性の損失など、気候変動が社会に大きな影響を与えている世界。

 

・気候変動に伴う主なリスク、機会

外部環境

要因と事象

影響

時期

「移行シナリオ」

脱炭素社会への移行による影響

政策・法規制

炭素税や新たな環境規制が導入されコストが増加する

短~中

温室効果ガス削減の義務化や達成に向けたZEHやZEBの義務化などにより、低炭素商品やサービスの需要が増加する

中~長

技術

ZEB化や高付加価値対応化など、新技術への対応の遅速により、経営成績に影響を及ぼす可能性がある

中~長

市場

異常気象による被害により原材料、商品等の調達が困難になった場合や、原油価格の高騰などにより、仕入価格が上昇する可能性がある

中~大

中~長

エネルギー需要の変換が起こる可能性がある

中~長

評判

企業は地球温暖化問題と向き合う社会的責任をより強く求められ、対応の可不可により、企業価値及び経営成績に影響を及ぼす恐れがある

短~長

「物理シナリオ」

地球温暖化に伴う物理的影響

急性

大規模な台風・大雨・河川の氾濫洪水等により、各社の事業所、供給設備及び従業員、並びにお客さま設備などに被害が発生した場合、事業継続に支障を来す可能性がある

短~長

風水害により被災されたお客さまからの復旧支援要請が増加する

短~長

慢性

猛暑や暖冬、渇水等の異常気象による消費需要の変化により会社業績が大きく影響を受ける

中~長

 

 

・主な対応

外部環境

主な対応

「移行シナリオ」

脱炭素社会への移行による影響

政策・法規制

①事業活動を通じたCO排出量を削減する

・再生可能エネルギーや高効率・省エネ設備の導入

②商品やサービスを通じたお客さま先のCO排出量を削減する

・お客さまのCO排出量を診断し、具体的な削減方法の提案

・建物の省エネ性向上、ZEB・ZEHの普及推進

・太陽光発電設備、蓄電池、V2H、エネファームを含むコージェネレーションシステムによる再生可能エネルギーの普及と活用

・グリーンリフォームの販売

・中古住宅の再販

・バイオディーゼル燃料の普及

③サーラグループ内の連携と持続可能なパートナーとの連携を強化する

・サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指すため、グループ各社間の一層の連携及び産学官民との連携を強化

④ステークホルダーからの要請に応える

・TCFDの提言に則った気候変動に関する情報開示

・地域とのコミュニケーション

⑤資金を調達する

・グリーン資金調達、補助金の活用

技術

市場

評判

「物理シナリオ」

地球温暖化に伴う物理的影響

急性

・風水害による災害からの復旧に迅速に対応

・省エネルギー、利便性、レジリエンス性の高い建物を普及

・気温上昇に伴うニーズに対する省エネ提案やエネルギー管理システムを提供

慢性

 

③ リスク管理

 リスクマネジメント委員会では、気候変動に関連する脱炭素社会に向けた対応強化を重要なリスクとして評価しています。気候変動対策について下表の環境活動推進体制のもと、リスクの発生と変化の組織的な把握、評価及び対応を推進しています。

組織

機能・役割

経営会議

・気候変動リスクと機会について定期的に報告を受け、取組みの進捗管理や目標・実績の審議・承認を行う

環境委員会

・グループ全体の環境活動を推進する

・環境に関する重要な課題、環境活動に関する組織・体制や年間計画について審議・承認を行う

・グループの全体的なリスク管理の観点から対応を決定し、経営会議に報告する

環境ワーキンググループ

・環境委員会の指揮命令に従い、計画を実行する

・グループ各社における環境活動を推進する

・気候変動に関するリスクや機会、戦略、リスク管理、指標と目標などの重要事項やカーボンニュートラルの実現に向けた方針・目標・取組みなどについて進捗を管理し、環境委員会へ報告・提言する

 

④ 指標と目標

 2025年度の目標値として、CO排出削減量(Scope1,2)は2021年度比△24%となる△8,000トン(当初設定した目標値△5,000トンより改定)、及びお客さま先のCO排出削減貢献量については2022~2025年度累計△55,000トンを設定しています。また、2030年の目標値として、自社の事業活動を通じたCO排出削減量△17,000トン(2021年度比△50%)を設定しています。

 ※グループのTCFD提言に則した取り組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)の詳細は、下記URLを参照。

  https://www.sala.jp/ja/sustainability/environment/climatechange.html

 

(3)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

・人材の育成に関する方針

 当社グループが2030年ビジョンを実現するために欠かせない組織風土と組織・社員の姿を「サーラはひとつ」「自ら考え行動する人づくり」と定義し、将来の環境変化も見据えた新しい人事制度を2022年にスタートしました。当制度は『「主役は全社員」皆が誇りを持てる制度へ』をコンセプトに、グループ共通の期待人材像「6つのAction」を定義し、多様な社員の活躍、チャレンジを支える制度です。自ら考え行動する人材の採用と育成を通じて、暮らしの新たな価値を生み出す社員、組織への変革を進めています。

 ※サーラグループ人事制度に関する詳細は、下記URLを参照。

  https://www.sala.jp/ja/ir/library/integrated_report.html

 

・人材の活躍に関する方針

 すべての社員が誇りを持って働き、能力を発揮できる組織をつくるため、グループ人事制度の制度思想に「多様化の促進」「やりがいを持って働ける環境づくり」を掲げ、性別や年齢にとらわれず働ける環境づくりを推進しています。

 多様な人材の採用と活躍においては女性活躍推進を重要テーマと位置づけ、グループ全社で採用人数に占める女性比率の向上に取り組んでいます。特に、男性の育児休業の取得促進に積極的に取り組むなど、仕事と育児・介護との両立支援のための制度の充実及び安心して制度を利用できる環境を整えることにより、男女ともに多様な働き方ができる環境づくりを進めています。また、年齢にとらわれず活躍し続けることのできる職場環境の実現を目的として、2023年に定年年齢を60歳から65歳に変更しました。65歳までのキャリアの中ですべての社員が個々の能力を高め、それを最大限に発揮できるよう、自ら手を挙げて参加する研修、地域の企業・大学等との異業種交流やコラボレーションによる人材育成プログラム、外部ビジネススクールへの派遣、グループ内での社内公募や若手社員を主な対象としたグループ外出向を含む公募など、社員が自ら挑戦できる機会等を拡充し、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を促していきます。

 

② 指標と目標

上記方針に関する指標並びに目標及び実績

 

 

実績

(2024年)

目標値

2030年

多様化の促進

新卒女性採用比率

32.9

50

女性管理職比率(リーダー級含む)

2.2

30

男性育児休業取得率 (注)1

73.5

(注)2

100

女性育児休業取得率 (注)1

100

(注)3

100

年次有給休暇取得率 (注)1

60.9

100

キャリア形成支援

グループ共通 教育研修・自己啓発 受講者数 (注)4

2,224

受講者拡大

教育研修実施プログラム数 (注)5

365

充実・向上

人材公募実施件数(外部出向含む)

(注)6

35

機会の拡充

 (注)1.対象会社:連結子会社

2.男性労働者の育児休業取得率は、「当事業年度において雇用する男性労働者のうち育児休業(出生時育児休業を含む)を取得した者の数÷当事業年度において雇用する男性労働者のうち配偶者が出産した者の数×100」により算出しています。

3.女性労働者の育児休業取得率は、「当事業年度において雇用する女性労働者のうち育児休業を取得した者の数(取得予定の申出をしている者を含む)÷当事業年度において雇用する女性労働者のうち出産した者の数×100」により算出しています。

4.サーラグループ共通の教育研修及び通信教育等の自己啓発講座の延べ受講者数であります。

5.サーラグループ共通研修及び連結子会社にて実施した研修であります。

6.社員のキャリア感と組織のニーズのマッチング、組織全体の活性化を目的に2001年より実施しております。2024年までに20回実施し、募集案件は延べ117件であります。

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、事業の継続と安定的な発展を目指す上で、グループの経営に重要な影響を及ぼすリスクに対し、最小かつ経常化されたコストで適切に対処するため、リスクマネジメントの推進に関わる課題・対応策を協議・承認する組織として、リスクマネジメント委員会を設置し、各社リスクマネジメント所管部門と協力して、リスクの管理・統制に努めています。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしもグループの経営に重要な影響を及ぼすリスクに該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年11月30日)現在において当社グループが判断したものであり、記載されたリスクが当社グループのリスクの全てではありません。

 

(1)マクロ環境の変化に関するリスク

当社グループは、暮らしとビジネスをサポートする6つの領域(第1 企業の概況 3 事業の内容)において事業を展開しています。景気動向や個人消費動向等の変化により、当社グループが提供する商品・サービスに対する需要が減少した場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー&ソリューションズ事業では、国内の人口及び世帯数の減少や省エネ機器の普及などによりガス販売量が減少する可能性があります。エンジニアリング&メンテナンス事業では、公共投資及び民間の設備投資が縮小した場合は、建設工事の受注が減少する可能性があります。ハウジング事業では、国の住宅関連施策や税制の変更等により住宅需要が減退した場合は、住宅販売棟数が減少する可能性があります。カーライフサポート事業では、生活スタイルの変化等により自動車販売市場が縮小した場合は、輸入自動車の販売台数が減少する可能性があります。アニマルヘルスケア事業では、ペットの飼育頭数や畜産物の生産・輸入動向等の変化により市場が縮小した場合は、動物用医薬品の売上高が減少する可能性があります。プロパティ事業では、景気動向や金利上昇等の変化により不動産市況が悪化した場合は、不動産部門の売上高が減少する可能性があります。

(対応策)

当社グループは、経営環境が大きく変化するなか、今後も持続的な成長を続け、地域から信頼されるブランドであり続けるために、将来のあるべき姿として2030年ビジョン「私のまちにSALA、暮らしとともにSALA」を策定しました。同ビジョンの実現に向けて、現在取組みを進める第5次中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)では、「枠を越える」を基本方針に定め、グループ内外との積極的な連携・共創を通じて、地域のお客さまの課題を解決するとともに、お客さまの期待を上回る体験を提供することにより、お客さまとの関係強化や取引高の増加に取り組んでいます。マクロ環境の変化に対する足元の対応としましては、エネルギー&ソリューションズ事業では、M&Aによる事業承継やガスルートに留まることなくエリア全体のお客さまを当社グループの顧客基盤とする営業活動に注力するとともに、カーボンフリー電気、カーボンオフセットガスの導入や再エネ併設型蓄電所の建設などを推進しています。エンジニアリング&メンテナンス事業では、新規需要の開発のほか建築部門の保守やメンテナンス、リニューアル並びに土木部門の維持修繕工事の受注拡大に努めています。ハウジング事業では、住宅関連の補助金や減税、各種優遇制度が幅広く利用できる長期優良住宅に加え、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など高品質かつ高い環境性能を備える住宅の販売を推進しています。カーライフサポート事業では、新車販売部門、中古車販売部門及びサービス部門の連携を高め、新車販売に依存しないビジネスモデルへ転換することにより収益拡大を図っています。また、市場の動向を注視するとともに、車両のEV(電気自動車)化の進展など事業環境の変化に的確に対応します。アニマルヘルスケア事業では、畜産市場が拡大する余地があるエリアへ積極的に経営資源を投入し、事業規模のさらなる拡大に取り組んでいます。プロパティ事業では、不動産市況の変動に対する情報収集、分析を行い早期に対応することにより地価等が下落した場合のリスク低減に努めています。

 

(2)商品・資材の調達及び金利、為替の変動に関するリスク

当社グループが提供する商品・サービスには、為替相場や需給バランスの変動等により、仕入価格が変動する商品・サービスがあります。エネルギー&ソリューションズ事業における都市ガス、LPガス及び木質バイオマス発電所で使用するバイオマス燃料(パーム椰子殻)の仕入は輸入に依存しており、指標となる原油価格や為替相場の変動等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。エンジニアリング&メンテナンス事業及びハウジング事業では、工事請負契約締結後に人件費及び資材価格が大幅に上昇した場合は、建設コストの増加につながる可能性があります。カーライフサポート事業では、海外の生産工場の稼働状況の変化により輸入台数が減少した場合は、輸入自動車の販売台数が減少する可能性があります。

(対応策)

エネルギー&ソリューションズ事業では、都市ガスの原料価格の変動は原料費調整制度に基づき販売価格に反映されているため、収支への影響は抑えられています。また、都市ガス、LPガスともに調達先の多様化、適正な数量及び契約期間など柔軟かつ安定的な仕入、競合入札等に取り組み、原料価格の変動に伴うリスク低減に努めています。バイオマス燃料(パーム椰子殻)の調達にあたっては、他の発電事業者との連携による輸送コストの低減や長期の為替予約取引の利用により輸入取引に係る為替変動リスクの低減を図っています。エンジニアリング&メンテナンス事業及びハウジング事業では、建設資材の調達に際し資材価格動向のモニタリングを行い、資材の早期調達及び多様な調達先の確保に取り組み、価格変動に伴う建設コスト増加の抑制に努めています。カーライフサポート事業では、輸入自動車の調達に関する情報を精査し、仕入及び在庫管理の強化に努めています。また、当社グループはグループファイナンスの実施により資金調達の効率化を図り、有利子負債の削減に努めています。金融機関からの調達方法は、将来の金利上昇リスク及び借り換え時の金利変動リスク分散の観点から決定を行っています。

 

(3)競合に関するリスク

当社グループが事業を展開する各市場において、同業他社や異業種から新規参入が行われた場合、または市場が縮小した場合は業者間競争がさらに激しくなる可能性があります。エネルギー&ソリューションズ事業では、当社事業エリアにおける新規参入によりガス販売価格の低下やお客さま件数が大幅に減少した場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ハウジング事業では、事業エリアにおける新規参入や大手ハウスメーカーの商品力強化などにより業者間競争が激化した場合は、住宅販売棟数が減少する可能性があります。アニマルヘルスケア事業では、他社間の合併、業務提携が進んだ場合は市場におけるシェア争いが激化し、動物用医薬品の売上高が減少する可能性があります。

(対応策)

当社グループは、暮らしとビジネスを支える様々な領域で事業を展開しており、お客さまに当社グループの複数の商品・サービスをご利用いただく複合取引を推進することにより、お客さまとのつながりの強化に努めています。2019年12月には、エネルギー&ソリューションズ事業内において都市ガスとLPガスの事業統合を行ったことに伴い、BtoC分野に携わるグループ各社の社名が概ねサーラに統一されました。当社グループ各社は、他の事業セグメントにおけるお客さまをサーラ全体のお客さまとして捉え、事業領域を超えた商品・サービスの提案により、お客さまとの関係強化並びに収益基盤の強化に努めています。エネルギー&ソリューションズ事業では、お客さま起点・地域軸を重視し、各エリアに展開する地域販社はサーラの窓口としてお客さまと向き合いながら、地域に根差した総合生活サービスを提供しています。また、電力関連ビジネスの収益拡大を目指すことで、同業他社との差別化を進めています。ハウジング事業では、セグメントマーケティングの導入や宿泊体験型モデルハウスの利用促進により快適な住まいを体感する機会を拡大するとともに、環境負荷低減につながる高断熱性能を有し、全館空調システムを搭載した新商品群の提案などにより、注文住宅販売の商品競争力強化を図っています。アニマルヘルスケア事業では、営業と配送の分離により倉庫業務を集約し、効率的な事業構造への変革を図るとともに、営業力のさらなる強化に取り組んでいます。

 

(4)DXへの対応の遅れに関するリスク

DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応の遅れにより、新たな価値創造やお客さまニーズへの迅速なサービス提供、業務効率化による生産性の向上が図られない場合は、市場競争力が低下し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

エネルギー&ソリューションズ事業では、基幹システムの再構築を進め、デジタル技術の活用によりお客さまサービスの効率化に取り組むとともに、グループ内の顧客データ連携による収益機会の拡大に取り組みます。エンジニアリング&メンテナンス事業では、情報通信技術を積極的に活用し、現場管理や施工の効率化及び省力化による生産性向上を図っています。また、2024年11月期には新しいグループウェアであるGoogle Workspaceを導入したほか、グループ各社にて帳票類の電子化やワークフロー化を推進するなど、ITインフラ整備による生産性の向上に取り組んでいます。

 

(5)投資、企業買収に関するリスク

子会社及び関連会社の設立や事業提携、投資、買収等を行った場合に、その後の経済情勢の変化等により投資回収が適切に行われない場合、または期待する収益が得られない場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、保有する投資有価証券の価値が著しく低下した場合は、評価損が発生する可能性があります。

(対応策)

当社グループは、投資、買収等を行う際はその目的、意義を明確にした上でリスクを把握し、投下資本に対する利回りが期待収益率を上回っているか定量的に評価するとともに、一定の金額以上の重要性の高い案件については取締役会において審議を行っています。投資、買収後は投資回収に努めるものの、経済情勢の変化に伴い中長期的に損失が見込まれる場合は的確に決算に反映させています。また、投資有価証券については定期的に個別銘柄ごとに定量的、定性的評価を行い保有意義が低いと判断した銘柄は適宜売却を行っています。

 

(6)資産の減損等に関するリスク

当社グループは、不動産及び設備等の有形固定資産、のれん及びその他の資産等様々な資産を保有しています。当社グループは経済情勢及び市況の変化等の影響から、事業の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、または保有資産の価値が著しく低下した場合は、当該有形固定資産、のれん及びその他の資産について減損または評価損処理を行うことにより、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、投資を行う際は投資価値を的確に把握し、回収可能性を十分に検討した上で実施しています。投資後は定期的に運用評価を実施し、計画と乖離が生じた場合は早期に改善に取り組むことにより、保有する資産価値の低下による影響の低減に努めています。また、グループ各社は中部ガス不動産株式会社との協働等により、遊休資産の活用及び売却を進めています。

 

(7)特定の取引先・製品・技術への依存に関するリスク

当社グループは特定の仕入先、大口の販売先、施工業者等と継続的な取引があり、当該取引を喪失した場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー&ソリューションズ事業では、大口取引先との取引の喪失や取引先の操業不能によりガス販売量が減少するリスクがあります。エンジニアリング&メンテナンス事業及びハウジング事業では、委託先の施工業者が事業停止等の事態に陥った場合や委託業者を確保できない場合は、施工の遅延に伴いコストが増加する可能性があります。カーライフサポート事業では、主要な仕入先であるフォルクスワーゲングループジャパン株式会社との間で契約を継続することができなくなった場合は、事業継続に支障をきたす可能性があります。

(対応策)

エネルギー&ソリューションズ事業では、取引先の多様化や定期的な与信管理等を着実に実行することにより、取引先の喪失リスクの低減に努めています。また、大口取引先との取引においては、大型コージェネレーションシステムの故障リスク低減に努め、ガス販売量減少のリスク低減に取り組んでいます。カーボンニュートラルへの取組みを契機として、グループ各社との連携やアライアンスパートナーとの共創により、ガスに頼らない新たな収益の創出を図っています。エンジニアリング&メンテナンス事業では、施工業者と新たに取引を開始する際は、財務状況等を確認した上で工事請負基本契約を締結しています。また、主要な委託施工業者を定期的に訪問し、財務状況を含めた経営状況の確認を行っています。ハウジング事業では、新規施工業者の開拓に取り組むなど特定の施工業者に依存しない柔軟な施工体制を構築しています。カーライフサポート事業では、フォルクスワーゲングループジャパン株式会社との間で定めた販売台数、CS(顧客満足)等の諸条件をクリアし、常に緊密な情報交換を行い良好な関係を築くことにより取引の継続に努めています。

 

(8)製品・サービスの品質低下、欠陥に関するリスク

当社グループが提供する製品・サービスに品質の低下や重大な欠陥が明らかになった場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー&ソリューションズ事業では、エネルギー関連施設、設備に起因する事故等が発生した場合は物的、人的被害のほか環境汚染につながる可能性があります。エンジニアリング&メンテナンス事業では設計、施工段階における技術、品質面で不具合が発生した場合は、その修復に多大な費用が発生する可能性があります。ハウジング事業では、長期間にわたり販売した住宅を保証する過程において予期せぬ重大な品質問題が生じた場合は、その対応に多額の費用を要する可能性があります。プロパティ事業では、ホスピタリティ部門において食中毒など食品衛生上の事故が発生した場合は、当社グループの信用が失墜しブランドイメージの低下や、損害賠償等の費用の発生により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

エネルギー&ソリューションズ事業では、施工や品質管理、品質保証の管理体制を確立するとともに、法令及び社内基準等に基づき定期的な点検、整備並びに老朽化した設備の計画的な交換を行うことにより事故防止に努めています。エンジニアリング&メンテナンス事業では、施工品質に関して事前に施工不良が発生する可能性が高い箇所を特定する社内検討を行い、施工期間中は中間、竣工検査において入念なチェックを行っています。また、各社においてISO9001の認証を受けており、適正で効果的なマネジメントシステムの運用に努めています。ハウジング事業では、法規制に適合する部材の使用や有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底し品質の維持向上に努めています。プロパティ事業では、ホスピタリティ部門の各施設及び従業員に対する定期的な衛生管理検査を実施するとともに、アレルギー対策のシミュレーションやメニュー表示に誤りがないかチェックを行っています。

 

(9)法的規制に関するリスク

当社グループは暮らしとビジネスを支える様々な領域で事業を展開しており、関係する主な法令はガス事業法、液化石油ガス法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、貨物自動車運送事業法、古物営業法、医薬品医療機器等法、独占禁止法、景品表示法、下請法、その他安全、環境、労働関連の各種法令であり、その他関係告示及び地方公共団体の条例等の広範な規制を受けています。これらの法令に関する違反等が生じ過料や課徴金による損失、許認可の取消し等行政処分に伴う事業の制約が発生した場合や有資格者不足により事業の継続に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼすとともに社会的信用が低下する可能性があります。

(対応策)

当社グループは、関係法令の制定、改廃に関する情報収集やモニタリングを確実に行い、事前の対策を図るとともに、法令等に定められた有資格者の確保に向けた中途採用の強化、社員への関係法令の周知徹底に努めることにより法的規制に関するリスクの低減に努めています。

 

(10)訴訟の提起に関するリスク

現時点において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、今後、社会的影響の大きな訴訟等が提起され、当社グループに対して多額の損害賠償の支払いを命ずる判断がなされた場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、企業行動憲章及び行動規範を定め、役職員に対し法令、定款及び社会的規範を遵守した行動を徹底させるとともに、コンプライアンスに関する社員教育や当社監査部門・グループ各社の内部監査による監査を定期的に実施しています。また、グループ会社各社において重大な訴訟に発展する可能性があるクレーム、トラブルが発生した場合は、当社へ報告を行う仕組みがあります。当社は報告内容に応じて具体的な対応等の検討、指示を行うことにより訴訟リスクの低減を図っています。

 

(11)自然災害に関するリスク

当社グループは、愛知県、静岡県を中心に22都道府県に拠点を設け、地域に密着した暮らしとビジネスを支える事業を展開しています。当社グループの事業エリアにおいて大規模な地震や風水害が発生し、グループ各社の事業所や製造・供給設備、お客さま設備及び役職員などに広範な被害が発生した場合は、事業継続に大きな支障をきたす可能性があります。また、大規模な停電や火災などの二次災害が発生した場合は、基幹システムの稼働停止などによりお客さま対応が遅延する可能性があります。特に当社グループの経営資源が集中する愛知県東部、静岡県西部は、将来、南海トラフ地震の発生が予想されており、同エリアにおいて大規模地震が発生した場合は、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、グループ各社においてBCP(事業継続計画)を策定するとともに、大規模地震を想定した緊急時対応訓練を継続的に実施し、グループを挙げて緊急時対応レベルの向上を図っています。エネルギー&ソリューションズ事業では、事業拠点、ガス施設・設備は耐震、制振及び免振構造とするとともに主要な事業拠点及び供給設備の中核施設に対する非常用電源の配備を進め被災に備えています。ガスホルダー等の重要な設備は東日本大震災クラスの地震にも耐えられるよう設計されています。また、お客さまの敷地につながるガス導管は耐震性に優れたポリエチレン管を採用しており、計画的に非耐震管の入れ替えを推進し、2030年までに耐震化100%を目指しています。その他、各種定期点検、安全な設備使用に関するお客さまへの周知や災害時におけるフェーズ別訓練、一般社団法人日本ガス協会の応援受入演習に加え、災害情報共有システムを導入し、水害対応も強化するなど被災の影響を最小限に留める各種対策を講じています。エンジニアリング&メンテナンス事業では、緊急時における人員や各種資機材の調達、施工中の現場の被害状況の確認体制の整備や、二次災害防止のために必要な対策を講じています。

 

(12)感染症の流行に関するリスク

当社グループは、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症の流行等公衆衛生上の危機が発生した場合には、市況の悪化及び営業活動の縮小に伴い収益力が低下し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。アニマルヘルスケア事業では、家畜の疾病が流行した場合は畜産動物の減少や風評被害による市場の縮小により、動物用医薬品等の売上高が減少する可能性があります。

(対応策)

感染症が流行した場合に備え、当社グループは地域のお客さまや役職員の安全を第一に考え、政府の方針等を踏まえて在宅勤務や交代勤務体制の整備に取り組むとともに、ITを活用した非接触型の営業活動の確立に取り組んでいます。そのほか、エネルギー&ソリューションズ事業では、感染確認時から蔓延時までの感染状況に応じた対応方針を取りまとめ、エネルギー供給事業者として感染症の流行時における安定的なガスの供給を継続するための体制を整備しています。アニマルヘルスケア事業では、家畜伝染病の対応として地域の獣医師との関係を強化し早期の情報収集に努めるとともに、コンサルティング営業を通じて安心、安全な畜産物の生産の支援に取り組んでいます。

 

(13)気候変動、環境規制に関するリスク

当社グループは、事業活動において大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、省エネルギー、地球温暖化対策等に関連する様々な環境関連法令の規制を受けています。国内外では、2015年12月に気候変動枠組条約第21回締約国会議におけるパリ協定の採択を契機として、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的としたカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けた潮流が強まり、将来、新たな環境関連法規制の導入や環境改善に係る追加的義務が発生した場合は、当該対応に伴うコストの増加により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー&ソリューションズ事業では、猛暑や暖冬、渇水等の異常気象に伴う気温、水温の変動が消費需要に大きく影響するため、特異な気候変動による都市ガス、LPガスの販売量の大幅な減少が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、事業活動のあらゆる場面で環境経営を実践し、地球環境に配慮した持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを環境方針として掲げています。事業活動における環境負荷の把握、温室効果ガス排出量の削減、廃棄物の発生抑制と適切な処理及び再資源化の推進等を行動指針として環境負荷低減に向けた各種施策に取り組んでいます。エネルギー&ソリューションズ事業では、家庭用燃料電池(エネファーム)の普及やガス空調、省エネ機器の販売を強化するほか、リフォームなどエネルギー以外の商品・サービスの拡充により事業バランスを見直し、気候変動及び環境規制が強化された際のリスク低減に取り組んでいます。また、2050年カーボンニュートラル実現に向けたトランジション期間において、カーボンオフセットガスの調達や再生可能エネルギーによる電力の供給拡大に取り組むほか、2025年には系統用蓄電池事業に参入し、地域における電力系統の効率化、安定化に貢献します。エンジニアリング&メンテナンス事業では、事業活動が環境に与える影響に対する社会的責任を果たすため、ISO14001に基づく環境に配慮した施工方法の実施や、廃棄物処理法に基づく収集運搬、処理業務の実施及び省エネルギー活動の推進などに取り組んでいます。ハウジング事業では、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に標準対応した商品の販売を開始するなど、環境負荷を低減する住宅の供給体制の構築を進めます。カーライフサポート事業では、カーボンオフセットガス・カーボンフリー電気の購入、太陽光発電設備の導入により、CO₂排出量実質ゼロのスキームを達成する店舗のカーボンニュートラル化を進めています。

 

(14)人材確保、労務環境に関するリスク

当社グループは、お客さまに質の高い商品・サービスを提供し成長を続けるためには、優秀な人材の確保及び育成が不可欠であると考えています。人口減少及び少子高齢化による生産年齢人口の減少により、将来、計画どおりに人材の確保ができない場合や、多様性に配慮した労働環境や人材を活性化させる環境を十分に整備できない場合は、労働力不足により事業競争力が低下し、当社グループの持続的な成長に支障を来すだけでなく、経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、優秀な人材確保のため新卒市場においてインターンシップの実施やWEB活用による接点強化に取り組むほか、キャリア採用を行っています。また、サーラまなび共創センターを中心に、階層別の様々な研修プログラムや自己啓発支援取組みなどにより社員の育成強化に努めています。労働環境の面では、育児・介護と仕事の両立、女性の活用や定年退職後の雇用継続など多様なキャリアや働き方の支援を通し、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。2022年11月期より運用を開始した新人事制度において、チャレンジする会社、人づくりを推進し、役割や活躍に応じた仕組みを構築するとともに、若手人材の早期抜擢や性別や年齢にとらわれない働き方を実現し、グループの持続的成長を支えていきます。

 

(15)コンプライアンスに関するリスク

当社グループの役職員による法令違反や社内規程等の不遵守や、不正行為、ハラスメント、反社会的勢力との取引等が発生した場合は、対応に要する直接的な費用の発生に留まらず、社会的信用の毀損など有形無形の損害が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、企業行動憲章及び行動規範を制定し、企業としての社会的責任や役職員の行動原則の周知、徹底を図っています。また、コンプライアンス委員会を設置しグループのコンプライアンス推進に関する課題と対応策の協議、承認を行うとともに、内部通報制度の実効的な整備、運用を推進しています。当社及びグループ各社のコンプライアンス所管部署は、コンプライアンス委員会の指示の下、毎年、コンプライアンス強化月間を設け、継続的に役職員の教育に取り組み、グループ全体のコンプライアンス態勢の強化を図っています。さらに、グループ各社においてコンプライアンス違反の疑義がある事例が発生した場合は、当社へ報告する仕組みがあり、当社は報告内容に応じて具体的な対応等の検討、指示を行っています。その他、社内規程の整備や、公益通報対応業務従事者の指定などによる内部通報窓口体制の構築、全組織長向けのハラスメント防止研修、窓口担当者向けの通報対応研修を実施しています。

 

(16)情報システム、情報漏洩に関するリスク

当社グループに対する不正アクセスやランサムウェア攻撃等のサイバー攻撃、並びに役職員等の故意または過失、停電、自然災害等の要因により、データの改ざん、破壊、個人情報及び機密情報の漏洩、情報システムの障害等が発生した場合は、社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償や対応に要する費用の発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、個人情報への不正アクセスやその漏洩、滅失、改ざん等の防止対策として、サイバー攻撃防止・検知ソリューションの導入によるセキュリティ強化、並びにセキュリティインシデントの早期検知及びインシデント発生時の迅速な対応に向けた態勢(C-SIRT)を整備するとともに、インシデント発生時の行動手順などを明示した緊急時対応計画の策定を進めています。また、個人情報保護に関する法令や社会的規範の遵守のため、役職員に対し情報管理に関する周知を徹底するとともに、教育・研修による情報の適切な管理の定着を図っています。さらに、サイバー保険の契約内容の見直しを継続して行うことにより、万一情報が漏洩した際のリスク低減に努めています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が進み、緩やかな回復基調で推移したものの、中東情勢の緊迫化をはじめとする不安定な国際情勢や米国新政権の政策動向による影響が懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

このような状況のなか、サーラグループは、2023年11月期を初年度とする第5次中期経営計画における重点戦略『ライフクリエイティブ事業ユニット※1でのサービス・事業開発と事業形態の変革』、『期待を上回る「顧客体験」を通じてブランド価値を高める』、『グループ内外との「共創」による事業創造』、『既存事業分野の収益力向上』、『「自ら考え、行動する」人が集う組織風土への変革』への取組みに注力しました。2年目となる当連結会計年度は、カーボンニュートラル推進につながる新たな成長分野への積極的な投資やDX(デジタルトランスフォーメーション)による事業構造の抜本的な改革に引き続き取り組み、同計画の達成に向けて各施策を積極的に推進しました。

当連結会計年度におきましては、エネルギー&ソリューションズ事業のサーラエナジー株式会社は、デジタル技術の活用により従来のガス種(都市ガス、LPガス)ごとに分かれた業務の変革を図り、お客さま一人ひとりに合わせた質の高いサービスを提供するため、2025年11月期の稼働開始に向けて次期基幹システムの再構築を進めました。また、同社は静岡県浜松市内に建設中の「サーラ浜松蓄電所」に続いて、愛知県豊橋市の東三河バイオマス発電所敷地内において、再生可能エネルギー併設型蓄電所「サーラ東三河蓄電所」の建設に着手しました。いずれの蓄電所も2025年11月期の稼働開始を予定しています。

エンジニアリング&メンテナンス事業におきましては、脱炭素化に寄与する省エネ・創エネ設備やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の提案などを通じた取引拡大を進めたほか、プロセス管理の継続的な改善に取り組み、収益基盤のさらなる強化に努めました。

ハウジング事業のサーラ住宅株式会社は、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅及びZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に対応した注文住宅商品「SINKA(シンカ)」シリーズの新しいラインアップとして、断熱性能を強化するとともに全館空調システムを搭載した新商品「SINKA Ult-air(アルテア)」の販売を2024年6月に開始しました。

アニマルヘルスケア事業の株式会社アスコは、2024年3月に同業の同和化学株式会社の全株式を取得し子会社化しました。これにより、同社は中部エリアにおける営業基盤の強化を実現しました。

プロパティ事業の中部ガス不動産株式会社※2は、2021年11月に開業した「emCAMPUS(エムキャンパス)EAST」に続き、2024年4月に「emCAMPUS(エムキャンパス)WEST」を竣工し、同年7月より各施設、店舗を順次開業するとともに分譲マンション「ザ・ハウス豊橋WEST」の引渡しを開始しました。

さらに、セグメントの枠を越えた連携として、暮らしの事業領域において中古住宅流通事業の展開に取り組むとともに、BtoBのお客さまに向けてカーボンニュートラル診断を通じたソリューション提案を推進するため、営業体制の充実に取り組みました。

上記に加え、第5次中期経営計画に掲げた新たな成長投資の取組みの一つとして、当社は愛知県を中心に主に東海エリアで住宅リフォーム事業等を展開する株式会社安江工務店(本社:愛知県名古屋市)に対する株式公開買付け(TOB)を実施し、2024年12月に連結子会社化しました。

当連結会計年度の経営成績につきましては、エネルギー&ソリューションズ事業が減収となったことから、売上高は前連結会計年度比0.6%減の240,498百万円となりました。利益面はハウジング事業において収支が大きく改善したため、営業利益は前連結会計年度比3.7%増の6,308百万円となりました。経常利益は営業外収益の為替予約に係るデリバティブ評価益が増加したことから、前連結会計年度比4.1%増の8,193百万円となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の業績には特別利益として退職給付制度改定益が含まれていたことから、前連結会計年度比13.9%減の5,249百万円となりました。

※1「ライフクリエイティブ事業ユニット」エネルギー事業以外の暮らしの事業領域を指します。

※2 2024年12月1日付で中部ガス不動産株式会社は、商号をサーラ不動産株式会社に変更しております。

 

 セグメント別の概況は次のとおりです。

 

エネルギー&ソリューションズ事業

売上高  119,502百万円(前連結会計年度比6.0%減)

営業利益  2,966百万円(前連結会計年度比0.8%減)

原料費調整制度に基づき都市ガス販売価格を下方調整したことにより、売上高は減少しました。利益面は、経費の抑制に努めたものの高気温等の要因により家庭用の都市ガス、LPガスの販売量が減少したことに加え、バイオマス発電所の原料価格高騰などの影響により営業利益は微減となりました。

 

エンジニアリング&メンテナンス事業

売上高  32,727百万円(前連結会計年度比6.8%増)

営業利益  2,643百万円(前連結会計年度比0.6%減)

建築部門の完成工事が増加したことに加え、メンテナンス部門が堅調に推移したことにより、売上高は増加しました。利益面は、土木部門において完成工事粗利益が減少したことにより営業利益は微減となったものの、引き続き高い水準を維持しました。

 

ハウジング事業

売上高  35,626百万円(前連結会計年度比4.2%増)

営業利益    747百万円(前連結会計年度比423.4%増)

住宅販売部門は前期に販売を開始した新商品シリーズの受注が伸長し、注文住宅の販売棟数が増加しました。一方、住宅部資材加工・販売部門は愛知県東部・静岡県西部エリアの新設住宅着工戸数が減少した影響により、取引先からの受注が減少しました。以上により、セグメント全体では注文住宅の販売棟数の増加が寄与し、売上高は増加し、営業利益は大幅に増加しました。

 

カーライフサポート事業

売上高  17,111百万円(前連結会計年度比5.7%減)

営業利益     64百万円(前連結会計年度比221.3%増)

フォルクスワーゲン、アウディともに国内の入荷台数減少の影響により新車販売台数が減少しました。また、新車販売が低調に推移したことに伴い、下取り車が減少したため中古車販売台数は減少しました。以上により、売上高は減少しましたが、経費の抑制に努め販売費及び一般管理費が減少したことから、営業利益は増加しました。

 

アニマルヘルスケア事業

売上高  25,523百万円(前連結会計年度比1.6%増)

営業利益    138百万円(前連結会計年度比55.9%減)

畜産部門は飼料価格の高止まりの影響から動物用医薬品等の受注は低調に推移しましたが、ペット関連部門において新規顧客との取引拡大が寄与し、売上高は増加しました。利益面は、動物用医薬品等の仕入価格が上昇したことにより、営業利益は減少しました。

 

プロパティ事業

売上高  8,131百万円(前連結会計年度比62.5%増)

営業利益   405百万円(前連結会計年度比1.5%減)

不動産部門において2024年4月に竣工した分譲マンションの引渡しを開始したことに加え、ホスピタリティ部門が堅調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。利益面は、分譲マンション販売による収益があったものの、不動産仲介及び賃貸物件からの手数料収入が低調に推移したことから、営業利益は微減となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加14,243百万円、投資活動による資金の減少10,334百万円、財務活動による資金の減少431百万円となり、あわせて3,476百万円増加いたしました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、14,243百万円(前連結会計年度比147.2%増加)となりました。これは主に、「税金等調整前当期純利益」7,724百万円、「減価償却費」6,516百万円、「棚卸資産の減少額」3,934百万円、「退職給付に係る負債の増加額」3,642百万円などの増加要因と、「退職給付に係る資産の増加額」3,358百万円、「売上債権の増加額」2,848百万円、「法人税等の支払額」1,134百万円などの減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、10,334百万円(前連結会計年度比83.8%支出の増加)となりました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」9,876百万円、「無形固定資産の取得による支出」1,576百万円の減少要因と、「貸付金の回収による収入」830百万円、「有形固定資産の売却による収入」425百万円などの増加要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、431百万円(前連結会計年度比68.4%支出の減少)となりました。これは主に、「長期借入金の返済による支出」7,887百万円、「短期借入金の純減額」2,588百万円、「配当金の支払額」1,711百万円などの減少要因と、「長期借入れによる収入」11,859百万円などの増加要因によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比

 (%)

エネルギー&ソリューションズ事業

エンジニアリング&メンテナンス事業

ハウジング事業

カーライフサポート事業

アニマルヘルスケア事業

プロパティ事業

報告セグメント計

その他

779

85.7

合計

779

85.7

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高

(百万円)

前年同期比

 (%)

エネルギー&ソリューションズ事業

82,029

91.7

エンジニアリング&メンテナンス事業

31,433

104.1

ハウジング事業

29,241

103.3

カーライフサポート事業

13,744

93.1

アニマルヘルスケア事業

20,922

102.7

プロパティ事業

3,908

263.5

報告セグメント計

181,279

98.2

その他

1,993

118.7

合計

183,273

98.4

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

エネルギー&ソリューションズ事業

1,980

102.1

146

55.8

エンジニアリング&メンテナンス事業

29,822

90.0

20,998

90.6

ハウジング事業

18,783

107.4

6,143

109.4

カーライフサポート事業

17,538

99.6

725

243.4

アニマルヘルスケア事業

プロパティ事業

1,484

81.0

320

17.5

報告セグメント計

69,609

96.7

28,334

90.8

その他

835

98.9

249

101.6

合計

70,444

96.7

28,583

90.9

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比

 (%)

エネルギー&ソリューションズ事業

119,502

94.0

エンジニアリング&メンテナンス事業

32,727

106.8

ハウジング事業

35,626

104.2

カーライフサポート事業

17,111

94.3

アニマルヘルスケア事業

25,523

101.6

プロパティ事業

8,131

162.5

報告セグメント計

238,622

99.3

その他

1,876

102.4

合計

240,498

99.4

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年11月30日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。また、当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 イ.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

 ロ.当連結会計年度の財政状態の分析

(資産)

 資産は202,281百万円と、前連結会計年度末と比較して13,013百万円増加しました。これは主に、「現金及び預金」が3,429百万円増加したこと、「退職給付に係る資産」が3,358百万円増加したこと、「受取手形、売掛金及び契約資産」が3,146百万円増加したこと、「有形固定資産」が2,303百万円増加したこと、「無形固定資産」が1,753百万円増加したこと、「投資有価証券」が1,476百万円増加したことに対し、「仕掛品」が2,981百万円減少したことによるものであります。

(負債)

 負債は116,662百万円と、前連結会計年度末と比較して6,041百万円増加しました。これは主に、「長期借入金(1年内返済予定を含む)」が4,359百万円増加したこと、流動負債の「その他」が3,292百万円増加したこと、「未払法人税等」が1,235百万円増加したことに対し、「短期借入金」が2,588百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 純資産は85,618百万円と、前連結会計年度末と比較して6,972百万円増加しました。これは主に、「利益剰余金」が3,532百万円増加(親会社株主に帰属する当期純利益の計上により5,249百万円増加、配当の実施により

1,716百万円減少)したこと、「退職給付に係る調整累計額」が2,520百万円増加したことによるものであります。

 

 ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 ニ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(資金需要)

 運転資金、設備投資、借入金の返済及び利息の支払い、並びに配当金の支払い等に資金を充当しております。このうち設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」をご参照ください。

(財務政策)

 当社グループでは資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案し、最適なタイミング、規模及び手段を判断して資金調達を実施しております。

 また、グループファイナンスの実施により、調達コストの低減とグループ内資金の有効活用を図っております。

 

ホ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当連結会計年度は、第5次中期経営計画の2年目として売上高255,000百万円、営業利益7,300百万円、経常利益8,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,600百万円を計画しました。上期はエネルギー&ソリューションズ事業において発電事業の原料価格が高騰いたしました。また、アニマルヘルスケア事業において動物用医薬品等の仕入価格が上昇いたしました。以上を踏まえ、2024年7月5日に通期連結業績予想の修正を公表いたしました。売上高に変更はなく、営業利益は6,300百万円(計画比△1,000百万円)、経常利益は8,000百万円(計画比△200百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,400百万円(計画比△200百万円)にそれぞれ修正を行いました。これに対し、当連結会計年度の経営成績は、売上高240,498百万円、営業利益6,308百万円、経常利益8,193百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,249百万円となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。