第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生はありません。また、有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 業績の状況

① 経営環境に関する説明

当社グループが属するマーケティングリサーチ市場は、業界の垣根を越えた融合が進み、デジタルデータの収集・分析を行う企業や、コンサルティング・レポート提供を行う企業など、関連する周辺業界の売上を含む「インサイト産業」として再定義されており、日本における2023年度のインサイト市場は4,499億円(前年同期比4.2%増)と試算されています。(注1)

 

こうした経済・市場環境のもとで、当社グループは2023年8月に新たに2026年6月期までの中期経営計画(3ヵ年)を公表し、その達成に向けた戦略を立て、事業規模と利益の拡大を追求しています。

中期経営計画2年目である2025年6月期においては、引き続き主力事業であり収益性の高いオンライン及びデジタルリサーチの成長を追求するとともに、生産性の改善を推進することで着実な利益創出に注力します。

また、将来の売上及び利益を牽引する事業を育成するため、アジア地域での事業拡大及びグローバルリサーチの強化や、データコンサルティング事業の拡大、さらにサブスクリプションモデルでの新規ソリューション開発を推進し、事業モデルの変革を継続します。

 

② 経営成績に関する説明

当社グループの経営成績の概要は以下のとおりです。(注2)

当中間連結会計期間の売上収益は、日本事業が堅調に推移し、22,638百万円(前年同期比2.5%増)となりました。また、増収に加えて、日本事業において生産性の改善が進展した結果、EBITDAは4,368百万円(前年同期比10.4%増)、事業利益は3,368百万円(前年同期比13.9%増)となりました。

営業利益については、2024年11月14日に「TJ1株式会社による当社株式等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」で公表の公開買付け等に係る費用が発生した一方で、Toluna社への持分法投資損失が前年同期と比べ縮小したことにより当中間連結会計期間の営業利益は2,755百万円(前年同期比15.9%増)となり、税引前中間利益、親会社の所有者に帰属する中間利益についても増益となりました。

連結経営成績

(単位:百万円、別記ある場合を除く)

2024年6月期

中間連結
会計期間

2025年6月期

中間連結
会計期間

増減額

増減率

売上収益

22,095

22,638

+543

+2.5%

日本事業 売上収益

18,632

19,411

779

+4.2%

韓国事業 売上収益

3,472

3,226

△246

△7.1%

EBITDA(注3)

3,955

4,368

412

+10.4%

事業利益(注4)

2,956

3,368

412

+13.9%

日本事業 事業利益(注4)

2,584

3,258

673

+26.0%

韓国事業 事業利益

371

110

△261

△70.2%

一部の持分法による投資損益

(△損失)(注5)

△579

△304

+275

公開買付けに係る費用(△支出)(注6)

△309

△309

営業利益

2,377

2,755

378

+15.9%

税引前中間利益

2,387

2,943

556

+23.3%

親会社の所有者に帰属する中間利益

888

1,437

549

+61.8%

 

 

i. 日本事業セグメント

日本事業において注力領域と定めているオンライン及びデジタルリサーチは、前期からの積極的な営業活動及び提案営業が奏功し、新規顧客開拓が進むとともに既存顧客企業との関係性が強化できた結果、売上収益は7,645百万円(前年同期比6.2%増)となりました。

戦略投資領域と定めているグローバルリサーチ、コンサルティング、新規事業等に係るサービスは、グローバルリサーチが軟調に推移し、売上収益は3,234百万円(前年同期比0.2%減)となりました。

基盤強化領域と定めているオフライン及びデータ提供、その他広告代理店等の合弁事業を営む子会社群は、広告代理店等の合弁事業が堅調に推移し、売上収益は8,531百万円(前年同期比4.2%増)となりました。

費用面については、社内リソースの生産性改善や業務の内製化に努め、外注費は前期を下回る水準まで抑制することができています。

その結果、日本事業の売上収益は19,411百万円(前年同期比4.2%増)、Toluna社への持分法投資損失304百万円及び公開買付に係る費用309百万円を除いた事業利益は、利益率の高い注力領域の伸長並びに生産性改善の効果により3,258百万円(前年同期比26.0%増)と二桁増益を実現しました

 

ii. 韓国事業セグメント

韓国事業においては、景況感悪化の影響を受け、政府が実施する公共調査が減少したことや、大手顧客企業のリサーチ予算が縮小している状況が継続しており、売上収益は軟調に推移しています。

他方、当社グループでは、韓国の大手リサーチ会社の中で唯一保有する自社パネル基盤を活かし、日本で既に実施している購買データ提供に係るサービスを新たに開始するなど、今後も自社の構造的な強みを活かしたサービス展開を図ることで、市況の影響を低減できるように努めます。

その結果、売上収益は3,226百万円(前年同期比7.1%減)、事業利益については、減収の影響により110百万円(前年同期比70.2%減)となりました。

 

また、連結全体の親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE、直近12ヶ月で算定)は7.2%(前年同期比3.0ポイント増)となりました。インタレスト・カバレッジ・レシオ(直近12ヶ月で算定、注7)は18.3倍(前年同期間20.8倍)となりました。

韓国事業内のMacromill Embrain Co., Ltd.の収益及び業績についてはウォン建てで管理しており、換算レートは以下のとおりです。

 

算定期間

(6ヶ月)

2024年6月期
中間連結会計期間

2025年6月期
中間連結会計期間

増減率

JPY/KRW(円)

0.1113

0.1093

△1.8%

 

 

注:

(1) 2024年6月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第49回 経営業務実態調査」による

(2) 2024年6月期中間期におけるセグメント数値については、セグメント間収益を含む数値を記載し、2025年6月期中間期のセグメント数値についてはセグメント間収益を含まない数値を記載している。調整額については、要約中間連結財務諸表に関する注記事項(セグメント情報)を参照のこと

(3) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。
事業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模をより適切に把握することができるため、各事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている

(4)その他の海外事業セグメントをToluna社へ譲渡した譲渡対価として当社がToluna社の株式の17.4%等を取得していることから、2023年6月期第4四半期よりToluna社は当社の持分法適用会社となっている。当社グループの事業パフォーマンスを示すため、2024年6月期第1四半期より営業利益からToluna社にかかる持分法投資損益を除いた金額を事業利益として記載している。加えて、2024年11月14日に「TJ1株式会社による当社株式等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」を公表しており、2025年6月期第2四半期(中間期)からは本公開買付けに係る費用を除いて事業利益を算出している

(5) Toluna社への持分法投資損失

(6) 当社株式等に対する公開買付けに係るファイナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザー等の費用

(7) インタレスト・カバレッジ・レシオ =(営業利益+受取利息+受取配当金)/ 支払利息

 

(2) 財政状態に関する説明

① 資産、負債及び資本の状況

当中間連結会計期間の資産は、97,077百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,871百万円増加しました。これは主に、使用権資産の減少523百万円、持分法で会計処理されている投資の減少443百万円等がありましたが、現金及び現金同等物の増加6,626百万円、営業債権及びその他の債権の増加2,008百万円等の増加要因があったためです。

負債は、51,398百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,992百万円増加しています。これは主に、その他の流動負債の減少645百万円、リース負債の減少542百万円等がありましたが、社債及び借入金の増加9,226百万円等の増加要因があったためです。

資本は、45,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ120百万円減少しました。これは主に、中間利益1,835百万円の発生がありましたが、配当金の支払額1,424百万円、その他の包括利益の減少654百万円等の減少要因があったためです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,626百万円増加し、17,025百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、215百万円(前年同期比1,503百万円減少)となりました。

これは主に、税引前中間利益2,943百万円、減価償却費及び償却費992百万円等がありましたが、営業債権及びその他の債権の増加2,258百万円、法人所得税の支払額996百万円、その他に含まれる未払賞与の減少554百万円等があったためです。

営業債権の回転期間は80.7日(前年同期比4.8日短期化)、営業債務及びパネルポイント引当金の回転期間は47.1日(前年同期比2.7日短期化)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、808百万円(前年同期比426百万円増加)となりました。

これは主に、短期投資の純増減額259百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出168百万円、無形資産の取得による支出599百万円、子会社の取得による支出472百万円等があったためです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、7,297百万円(前年同期比14,411百万円増加)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出355百万円、リース負債の返済による支出503百万円、配当金の支払額573百万円、非支配持分への配当金の支払額850百万円等がありましたが、社債の発行による収入9,600百万円があったためです。

 

(3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

現時点において、2024年8月14日に公表しました2025年6月期の業績予想に変更はありません。

また、業績予想は、同資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成しており、実際の業績は今後様々な要因によって予想数値と異なる場合があります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、0百万円です。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。