当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年7月1日~2024年12月31日)における経営環境は、国内において景気は緩やかな回復基調を示しました。しかしながら、物価上昇やエネルギー価格の高止まりが消費者心理に影響を及ぼし、需要の回復は限定的に推移しました。また、原材料価格の高騰が製造業を中心にコスト負担を増加させ、多くの企業にとって収益構造の見直しが喫緊の課題となるなど、引き続き先行きが不透明な状況となりました。
当社が属する情報サービス産業においては、堅調なソフトウエア投資が続いており、2024年12月13日に公表された日銀短観(12月調査)による2024年度ソフトウエア投資計画(全産業・全規模合計)は、2023年度と比較し、12.1%増と引き続き拡大傾向を示しました。
当社グループにとりましても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、既存システムのクラウドシステムへの移行、システム開発のスピードアップを実現するローコード開発等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がりました。
また、企業のデータを暗号化し、復旧のために身代金を要求して業務に支障をきたすランサムウェア被害の拡大により「サイバーセキュリティの対策強化」の要望が高まったこと及び物価の高騰に伴う人件費の上昇による「業務効率化」のニーズの増加により、これらの課題に対して有効なソリューションを提供する当社グループにとって追い風となりました。
このような環境のもと、当社グループでは、「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております
・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の拡大・安定化)
・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)
・競合から協業へ(協業による事業拡大)
・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)
・人材調達・人材育成(採って育てる)
なお、当社は2024年8月9日に新中期経営計画(2024年度~2026年度)を発表しました。
新中期経営計画では、当社の企業理念と存在意義の結びつきをPurposeとして『「進化」を続けるデジタル社会(変化)をITの力(対応力)で支え、人々の生活を豊かに。』と表現し、全社一丸となって成長していくことを掲げました。
また、引き続き、2030年ビジョンとして「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築を掲げると共に「売上高500億円(フィフティbillion)、営業利益50億円(フィフティhundred million)、配当性向50%(フィフティパーセント)以上」を示す新たなスローガン「50(フィフティ)、50(フィフティ)、50(フィフティ)超えへの挑戦!」を掲げ、目標達成に向けて全力で挑戦してまいります。
この2030年ビジョンの実現ステップとして、当期2025年6月期から2027年6月期までの期間を、事業構造改革の推進時に新たに認識された課題に対応すると共に、Purpose経営を推進し、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる「成長軌道の実現」の期間とし、また、2028年6月期から2030年6月期の期間を、Purposeを定着させ、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランドの確立」の期間としています。
■2025年6月期上半期業績概要
当中間連結会計期間は、社員の処遇改善(平均9%の昇給)や、M&Aに伴うのれん償却額、パートナー単価の向上などによりコストが大幅に増加しました。しかしながら、それらを十二分に吸収可能な旺盛な需要に支えられ、売上高・利益ともに大幅に増加し、収益基盤を一層強化することができました。
特に利益面では、前々年度に発生した不採算案件の収束に伴う引き継ぎ作業を前年度第1四半期に行っていた影響で、前年度第2四半期では減益となっていましたが、以降は増益基調に転じ、当中間連結会計期間まで順調に利益を積み上げることができました。
以上の結果、当中間連結会計期間における業績は、売上高11,807,498千円(前年同期比23.3%増)、営業利益1,600,146千円(前年同期比33.5%増)、経常利益1,606,069千円(前年同期比35.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,072,039千円(前年同期比32.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。
①ソフトウエア開発事業
ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)は、前年度第1四半期での不採算案件の収束作業の反動もあり、売上・利益ともに大幅に前年を上回りました。
業務システム開発では、金融系案件への回帰戦略が成果を上げ、公共、通信、製造系案件も伸展し、更に本年2月にM&Aにより当社グループに加入したシステム・プロダクト株式会社の売上も加わったことから、大幅な増収増益を達成しました。特に、利益面では、第2四半期がピークの公共系高単価案件が大きく貢献しました
運用サポートでは、クラウド系インフラ構築領域が伸びるなど着実に業務領域を広げているものの、Salesforceなどの新サービス展開が遅れ気味であることから、売上は伸ばすことができたものの、利益面については微増にとどまりました。
エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、引き続き車載関連が好調で、売上・利益を大幅に伸ばすことができました。
組込みシステム開発では、車載系の研究開発、家電等のIoT関連が伸長し、売上・利益ともに前年を大幅に上回りました。
組込みシステム検証においては、車載のIVI案件を大手部品メーカーから実績を評価いただき受注したことから、売上・利益ともに前年を大幅に上回りました。
プロダクトソリューション事業分野は、サブスクリプションライセンスの積上げ、電子契約サービス関連の周辺開発の売上増、更に本年2月にM&Aにより当社グループに加入した株式会社ジャングルの連結により、売上・利益ともに順調に伸ばすことができました。
サイバーセキュリティビジネスについては、WebARGUS(*1)の既存顧客からのライセンス売上が着実に増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。また、脆弱性診断を当社独自で開始するとともに、情報セキュリティで最大の脅威となっているランサムウェア攻撃等から重要データを確実に保護するセキュリティ製品「WebARGUS(ウェブアルゴス) for Ransomware(ランサムウェア)」に関しては、機能面を強化した新たな製品の開発を進めました。
業務効率化ビジネスについては、xoBlos(*2)の前期から積み上げていたリード顧客の取り込みが進展し、売上・利益ともに前年を上回りました。
アフターコロナの時代において、リモートワークの普及に伴いニーズが高まった電子契約のアウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」(ディ・ディ・コネクト)は、住宅建設業界を中心にSI開発を含めて売上が伸長しました。
また、前期に当社グループに加入し、前第4四半期から業績の反映をはじめた株式会社ジャングルの売上・利益もプロダクトソリューション事業の業績に大きく寄与しました。ジャングルは、市場ニーズの高い以下の製品を開拓して販売しており、特に「筆ぐるめ」については、当中間連結会計期間において、年賀状離れが進む中でも、季節的な特需により大きく貢献しました。
・「Data Migration Box」は、法人向けの商材として、オンプレミスからクラウド、クラウドから他のクラウドへの高速データ移行ツールで、ジャングルが独占販売権を所持しております。
・「DiskDeleter」は、USBメモリ型のデータ消去ソフトで、ジャングルが著作権を所持しており、導入実績は10,000社超になります。
・「PDF –Xchange Editor」は、PDFファイルを自由に編集できる多機能型PDF統合ソフトで、ジャングルが「プラチナリセラー」として販売しています。
・「筆ぐるめ」は、富士ソフト株式会社が開発・販売する年賀状やハガキ作成ソフトで、購入は全国の量販店やジャングルの運営する「筆ぐるめ公式ストア」からとなっています。
以上の結果、ソフトウエア開発事業の売上高は11,419,852千円(前年同期比24.2%増)、セグメント利益(営業利益)は1,572,734千円(前年同期比36.0%増)となりました。
(*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぎます。
(*2)Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」は、Excelベースの非効率な業務を自動化します。これにより短期間で劇的に業務を効率化することができます。(Excel®は、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。)
②システム販売事業
カシオ計算機株式会社製の中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とするシステム販売ビジネスに関しては、前年度にあった「インボイス制度」や「電子帳簿保存法改正に伴う電子データ取引データ保管の義務化」に伴う需要の反動減を見越し、新たに北陸地方に拠点を持つ楽一販売代理店から事業を承継するなど売上増に努めました。その結果、のれん償却額が発生したため利益は減少しましたが、売上高は前年度を上回りました。
以上の結果、システム販売事業の売上高は404,066千円(前年同期比4.9%増)、セグメント利益(営業利益)は27,412千円(前年同期比35.4%減)となりました。
■当中間連結会計期間末における財政状態の分析は以下のとおりであります。
①流動資産
当中間連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ357,104千円増加し、8,893,547千円となりました。
これは、主に現金及び預金が62,059千円、売掛金及び契約資産が233,202千円それぞれ増加したことによるものです。
②固定資産
当中間連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ56,006千円減少し、1,624,837千円となりました。
これは、主にのれんが81,804千円減少したことによるものです。
③流動負債
当中間連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ195,005千円増加し、2,868,956千円となりました。
これは、主に買掛金が132,653千円、未払法人税等が99,573千円及び賞与引当金が64,587千円それぞれ増加し、その他が94,308千円減少したことによるものです。
④固定負債
当中間連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ136,047千円減少し、348,978千円となりました。
これは、主に長期借入金が127,380千円減少したことによるものです。
⑤純資産
当中間連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ242,140千円増加し、7,300,450千円となりました。
これは、主に利益剰余金が725,635千円、自己株式が484,019千円それぞれ増加したことによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ140,707千円増加し、4,647,651千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益の計上(1,606,149千円)、売上債権及び契約資産の増額による支出(233,202千円)、賞与引当金の増額による収入(64,587千円)、のれん償却額の計上(91,990千円)、仕入債務の増額による収入(132,653千円)、法人税等の支払額による支出(448,503千円)などにより1,112,724千円の収入(前年同期は666,826千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出(13,918千円)、事業譲受による支出(17,373千円)、敷金及び保証金の差入による支出(14,779千円)、定期預金の払戻しによる収入(81,242千円)などにより30,804千円の収入(前年同期は53,797千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出(134,880千円)、自己株式の取得による支出(488,422千円)、配当金の支払額による支出(346,318千円)により999,660千円の支出(前年同期は421,944千円の支出)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間期間においては、新しい分野においての研究開発費はありません。
なお、当社はソフトウエア開発事業セグメントにおいて、重点的に開発投資を継続しており、自社商品に改良を加えた研究開発や、業務提携先等との商品・技術の研究開発に取り組んでおります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。