当社グループの経営方針、経営環境、経営戦略並びに対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」をミッションとして掲げ、エネルギー分野特化型の「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギーに関するデータの活用促進を通じ、相互シナジーを活かした事業展開を行い、脱炭素化社会の実現に向け、GXを推進する企業というユニークなポジショニングで、エネルギーテック領域でカテゴリーリーダーとなることを目指しております。脱炭素社会を実現するためには、①電力網の脱炭素化、②交通の電化、③食の改善、④自然保護、⑤製造業の浄化、⑥二酸化炭素の除去といった手法が有効とされており(注1)、当社グループでは①電力網の脱炭素化及び②交通の電化に貢献する事業を展開しております。
①電力網の脱炭素化においては、電力の送配電や小売側の技術革新が必要と考えております。当社グループは、エネルギーテック事業者として、変化する環境下において最適と判断するサービスを各種ステークホルダーに提供していく方針です。また、エネルギー業界の構造転換に柔軟に対応しつつ、規制及び環境の変化によって生み出される潜在的なニーズに対してエネルギーデータ解析技術を軸として高い精度のオペレーションを継続することによってそのニーズを満たしていくことが必要であり、それを実現するための施策に継続的に取り組んでいく方針です。
②交通の電化においては、EVの普及と同時にEV充電インフラを整備することが急務であると考えております。EVドライバーにとっては、どこでも簡単に充電できる環境の整備が必要とされており、駐車場を持つ施設にとっては、駐車場を利用するEVドライバーのニーズに対応するため、EV充電設備の導入・運用を安定的に行うサービスが求められています。当社グループとしては、これらのニーズを満たすため、EV充電サービス事業者として、EV充電設備の導入・運用にかかる手間を最小限に抑えたオールインワンのサービスを提供し、日本全国に積極的にEV充電設備を設置することで、快適なEV充電の利用環境の整備に継続的に取り組む方針です。
注)1.ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照。
(2)経営環境
当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。
長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。また、乗用車の新車販売におけるEVをはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。さらに、経済産業省が掲げる2030年の充電器の設置目標が15万口から30万口に倍増(普通充電器の設置目標は12万口から27万口に増加)(注3)、さらに、2024年には合計360億円を充電インフラ整備の予算に配分することが発表される(注4)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要がますます高まることが見込まれています。
(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」より、2022年12月時点の電力販売量から算出。
2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグイ ンハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。
3.経済産業省 「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月18日)より記載
4.クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等国の導入促進補助金、2023年度補正予算及び2024年度予算
(3)経営戦略等
単一制度におけるエネルギー自由化市場としては世界最大規模の電力市場(注1)を有し、近年の電力・ガス自由化、スマートメーターの普及等により競争環境が整備されつつある日本市場において、当社グループの強みは、「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギー分野に特化した技術開発力を基盤としたデータ分析力と、幅広い顧客基盤を有していることにあると認識しております。
当社グループのTAMについては、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、「EV充電事業」は2.2兆円(国内のガソリンスタンド売上高約9兆円に、目的地充電の利用率25%を乗じて試算)、「エネルギープラットフォーム事業」は約3,600億円(2022年の電力市場規模18兆円に、電力切替後の継続報酬料率相場である2%を乗じて試算)、「エネルギーデータ事業」は1,800億円(2022年の電力市場規模18兆円に、売上高IT予算比率約1.00%を乗じて試算)と推定しております。
*1 帝国データバンク「ガソリンスタンド経営企業の総売上高」(2017年)より
*2 電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2022年の電力販売額合計
*3 電気料金に対する継続報酬売上料率、当社調べ
*4 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率
*5 マッキンゼー・アンド・カンパニー「Building the electric-vehicle charging infrastructure America needs」(2022年4月18日) / 「What Norway's experience reveals about the EV charging market 」(2023年5月8日)を基に当社想定
なお、電力・ガス自由化以降の競争環境の整備、スマートメーター設置の普及等「エネルギーの4D」の浸透、さらには「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において産業・運輸・家庭部門の電化によって現状より最大40%電力需要が増加すると想定されているとおり、電力市場の規模は今後も継続的に拡大するものと想定しております。
当社グループでは、以下の戦略を持って、シェア拡大に取り組んでおります。
「EV充電事業」においては、今後EVの普及とともにEV充電インフラの需要が高まるものと認識しております。当社グループでは、営業体制及びパートナー連携の強化に取り組むと同時に、駐車場を持つ施設並びにEVドライバー双方にとって利便性の高いサービス開発に取り組んでまいります。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、中立的な立場でサービス提供をすることが、提携する電力・ガス会社数や取得可能なデータ量の拡大に繋がっていると認識しております。今後も当社グループでは、中立的な立場でのサービス提供を前提に、オンラインのみならず、不動産仲介業者や金融機関等とのパートナーシップを拡大することで、オフラインでの集客力を強化し、ユーザー数の拡大に努めてまいります。また、電力切替に加えて、ガスセットでの切替、クリーンエネルギーの付加価値販売等のクロスセルを通じたARPU(注2)の向上により収益基盤の強化を目指してまいります。
「エネルギーデータ事業」においては、今後、電力・ガス会社間での競争がより激化すると見込んでおり、顧客開拓から電力調達に至るまでの電力・ガス会社にとってのバリューチェーン全体におけるデータ活用に対するニーズがより一層高まると考えております。当社グループはそのようなニーズに対して、「エネルギーデータ事業」で展開しているデジタルマーケティング支援や、電力データ解析サービスによる業務効率化支援を行うことで、電力・ガス会社のデジタル化推進のサポートを通じた競争力強化により事業成長を目指してまいります。
(注)1.Central Intelligence Agency 「The World Factbook」(2022年3月時点)。日本の電力需要は中国、アメリカ、インドに次ぐ4位。アメリカは一部の州で自由化実施、その他の国は自由化未実施の状況です。
2.ARPUは、Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味しております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期においてはフリーキャッシュ・フローの最大化による企業価値の向上、そして中期においては売上高の成長を重視しております。そのために、売上高を「顧客数」×「ARPU」と定義し、高い売上高成長率とともに安定した経営基盤を構築するために、積極的な成長投資を通じた「顧客数の最大化」と「継続的なサービスラインナップの拡充による顧客提供価値の増大によるARPUの向上」に取り組んでまいります。
「EV充電事業」においては、EVユーザーから充電設備利用に応じて受け取る充電収入と、施設から受け取るソフトウエアライセンス料がストック型収益の基盤となり、その収益の源泉となる充電設備の設置口数および各充電設備の稼働時間が重要な指標となります(当社グループが注力する目的地充電(6kW以上)の設置口数は2024年9月末時点で累計2,552口。今後、当社グループの充電設備の設置が進むことで、ストック型収益基盤は拡大する見込みであり、加えて、国内にEVが普及していくことで充電設備の利用回数および稼働時間が増加し、充電設備1口あたりのストック型収益のさらなる増加が見込まれるため、各種稼働率向上施策を実施することで知名度を向上させ、当社が注力する目的地充電の分野における更なるシェアの拡大を目指します。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人ユーザーの電力契約切替以降、提携電力・ガス会社より継続的に収受するストック型の切替報酬並びにプラットフォームの基本利用料が、ストック型収益の基盤であり、そのため、ユーザーの電気・ガス代の従量制で継続的に発生するストック型の切替報酬の対象となる継続報酬対象ユーザー数が重要な指標となります(2024年9月末時点 650,496件)(注1)。電気・ガスの利用自体は、長期にわたり予見性が高いインフラであることを考慮すると、今後もストック型収益基盤は拡大していく見込みです。また、効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大を継続していき、「エネチェンジ」ブランドの知名度を向上させる方針です。
「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)がストック型収益の基盤であるため、当社の提供サービスを導入している顧客数が重要な指標となります(2024年9月末時点 60社)。また、エネルギー業界特化型のSaaS事業者としては、直接的な対象顧客は電力・ガス事業者であることから社数が限定的になるため、利用者数に応じた従量課金体系を採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを、サービスの間接的な顧客として収益基盤の継続的な拡大を目指しています。そのためにも「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」の継続的なプロダクト開発と営業活動を推進してまいります。また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開することで、EV充電関連のサービス展開の強化も図っております。
(注)1.継続報酬対象ユーザー数は、一般家庭ユーザーの電力容量は平均的に4キロワットとみられているため、法人ユーザーの総獲得容量から割り戻した一般家庭ユーザー相当への換算値と一般家庭ユーザー数の合計値を用いております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.事業上及び財務上の課題
世界的な脱炭素社会への転換に向けた潮流のもと、エネルギー業界を取り巻く環境は、日本政府による「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定(注1)されるなど、長期的な観点でグリーントランスフォーメーション(GX)の推進が重要視されております。
脱炭素社会を実現するためには、1電力網の脱炭素化、2交通の電化、3食の改善、4自然保護、5製造業の浄化、6二酸化炭素の除去といった手法が有効とされております(注2)。そのような環境において、当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、1電力網の脱炭素化及び2交通の電化に貢献する事業を展開しております。
これらの分野において、エネルギー分野特化型の「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギーに関するデータの活用促進を通じ、相互シナジーを活かした事業展開を行い、GXを推進する企業というユニークなポジショニングで、エネルギーテック領域でカテゴリーリーダーとなることを目指しております。
また、当社グループは、長期においてはフリーキャッシュ・フローの最大化による企業価値の向上、そして中期においては売上高の成長を重視しております。そのために、売上高を「顧客数」×「ARPU」と定義し、高い売上高成長率とともに安定した経営基盤を構築するために、積極的な成長投資を通じた「顧客数の最大化」と「継続的なサービスラインナップの拡充による顧客提供価値の増大によるARPUの向上」に取り組んでまいります。
<外部調査委員会による調査報告書で指摘を受けた課題>
当社は、2024年6月27日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社のEV充電事業におけるSPC(EV充電インフラ1号合同会社)を非連結とした従来の会計処理(以下、「本件会計処理」といいます。)について、2024年3月より独立した外部の有識者による外部調査委員会を設置して調査を進め、2024年6月21日付で外部調査委員会より調査報告書を受領しました。当社は、外部調査委員会による事実認定(本件会計処理に関して会計監査人に事実誤認等を生じさせるに至った、①内部統制上の問題点、②上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者としての不適切な言動、③会計監査人とのコミュニケーション上の問題点等)及び再発防止策の提言等を真摯に受け止めており、また、外部調査委員会による調査結果を尊重しておりますが、有限責任あずさ監査法人(以下、「あずさ監査法人」といいます。)より、連結の範囲の判定に影響を与えうる重要な事実(①城口氏の個人貸付が連結の範囲に与える影響、及び、②プットオプションの行使条件に関する出資者への説明内容が連結の範囲に与える影響)に関し、調査報告書の内容を踏まえてもなお、重要な虚偽表示の原因となる不正があるとの見解が示されている事実も重く受け止めており、下記のとおり、再発防止策を策定いたしました。
①責任の明確化
a.2024年7月29日付「代表取締役CEOの異動(退任)のお知らせ」に記載のとおり、当社は、上記の外部調査委員会による事実認定及びあずさ監査法人の見解を踏まえ、本件会計処理に起因する一連の問題について、当社代表取締役CEO城口洋平氏(以下、「城口氏」といいます。)の当社代表取締役CEOとしての責任を明確化する必要があると判断いたしました。城口氏は、2024年3月28日に開催された当社第9期定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。)の決議によって取締役に選任され、同選任議案記載のとおり本定時株主総会継続会(2024年7月30日開催)終結時をもって取締役に就任(再任)する予定でしたが、上記を踏まえ、城口氏より、当社取締役就任を辞退する旨の申し出があり、当社はこれを受理いたしました。
b.後任の代表取締役については、2024年7月30日(定時株主総会継続会開催日)から2024年9月3日(臨時株主総会開催日)までは平田政善氏が代表取締役会長に就任いたしました。また、平田氏においては、2024年9月3日以降も取締役会長として、当社の再発防止策の確実な実行に関与いたします。
②権限分散による経営トップに対する牽制機能の強化
経営トップに対して、適切な牽制や抑制を図ることができる組織体制の見直しを図り、経営トップの権限行使を適切に牽制あるいは抑制できる体制を構築いたします。
a.代表取締役を複数名選出し、代表取締役相互の牽制体制の実効性を担保いたします。なお、2024年9月3日開催の臨時株主総会において取締役に選任された丸岡智也氏が代表取締役CEOに、曽我野達也氏が代表取締役COOに就任しております。
b.最高財務責任者(CFO)は上級執行役員とし、任命及び人事評価は、指名報酬委員会が行うこととします。
③取締役会及び監査役会の経営トップに対する監督機能の強化
外部調査委員会によって認定された当社の問題点については、城口氏を中心とした当時の執行体制において、金銭消費貸借契約やオプション行使条件等の重要なリスク要素が取締役会へ報告されていなかったことが一因となっています。これを是正するため、今後のリスクへの対応等においては、「②権限分散による経営トップに対する牽制機能の強化」に記載のとおり、複数の代表取締役を選任するとともに、既存のガバナンス体制の適正な運営を前提に、複数のチャネルから取締役会へのリスク事項の報告と議論が徹底できる体制を構築します。
a.経営執行会議及びコンプライアンス・リスク委員会での議論項目と粒度を見直し、現段階のオペレーションリスクのほか、事業戦略に起因するリスク等について執行サイド(常勤取締役、執行役員)と監督サイド(社外取締役、監査役)間での徹底した議論を行うことで、執行サイドと監督サイドを含めた会社全体でリスク認識を共有し、経営課題と一体的に取り組める体制にすることで取締役会及び監査役会の監督機能をより一層強化いたします。
b.権限分散を前提とし、旧来の限定的になっていた取締役会へのレポートラインを複数にすることで、法務及び会計・経理上のリスクを含む重要なリスク要因への対応について、その具体的内容や検討過程、対応状況を積極的に共有いたします。
④コンプライアンス意識の向上
経営トップを筆頭に、当社の全役職員のコンプライアンスに係る認識を改め、上場企業として求められるコンプライアンス意識を徹底するため、以下の施策を実行してまいります。
a.正しい行動を促す企業風土を醸成するため、経営理念や行動規範等を見直し、すべての役職員が守るべきコンプライアンスの基本的な考え方や指針を明文化するとともに、浸透の徹底するための取り組みを継続的に行います。
b.コンプライアンス・リスク委員会が主導して実効性あるコンプライアンスプログラムの立案・計画、推進を図るとともに、モニタリングを通して継続的に評価・改善に取り組んでまいります。
c.全経営幹部の会計リテラシーの醸成を目的として、内部統制、財務報告・開示等に関する研修を実施いたします。
d.役職員の意識変革を着実に推進するため、体系的な研修プログラムを計画し、実施いたします。
e.役職員の人事評価に多面的評価を取り入れるなど、人事評価制度を改善してまいります。
f.内部通報制度の実効性を高めるための取組みを行ってまいります。
g.社内のコンプライアンス意識の定着度や醸成状況を把握するため、定期的な意識調査を実施いたします。
⑤会計機能・法務機能・内部監査機能の強化
会計・法務・内部監査機能を強化のため、経理リソースの増強、法務室の関与拡大、内部監査の独立性強化を実施いたします。
a.会計・経理機能の強化
会計処理の検討やモニタリングを行うために必要な経理リソースの増強を図るとともに、既存の経理リソースを含め継続的な教育研修を行ってまいります。加えて、金額的重要性が高まっている取引や契約内容が変更となっている取引の有無をCFO室、法務室及び事業部門双方が定期的に確認するとともに、グループ会社の設立やグループ会社との取引条件の決定に際しては、CFO室、法務室及び事業部門で会計処理や契約関係を整理し、その共通認識に基づいたポジションペーパーを作成した上で、重要性に応じて外部の専門家のチェックを経た上で、CFO及び法務責任者を含む執行サイド並びに監督サイドがポジションペーパーのレビューを行い、会計処理の妥当性を確認する態勢を整備します。
b.法務コンプライアンス機能の強化
法務室を社内の重要なプロジェクトに前広に関与させ、かつその業務執行の独立性が尊重される態勢を併せて整備いたします。具体的には、法務室に法務コンプライアンスを担う専門的知見と相応の経験を有する人材の採用等を検討します。
c.内部監査機能の強化
内部監査の独立性及び実効性を確保するため、専任の内部監査室長を配置します。また、内部監査の過程で不正の兆候等を検知した場合等には、監査役会へ報告することを義務化します。さらに、内部監査室長の人事評価は、監査役会の同意を経て確定することとします。
⑥会計監査人との信頼関係の構築
会計監査人との連携強化と三様監査の定期的な情報共有を実施し、適切な会計処理と三様監査の体制を確立します。
a.会計監査人との連携強化
当社の会計処理にかかる方針を策定する際は、必要に応じて専門家に相談を行い、会計上の論点を明確にし、当社としての判断とその論拠についてポジションペーパーを作成した上で、会計監査人と協議いたします。また、当社が会計監査人とその会計処理にかかる方針について協議する際には、案件の全体像を提示して説明することを徹底します。また、当社と会計監査人間で確認・合意した会計処理にかかる方針に関する事項については、事後的な会計上の解釈の齟齬を防ぐため、整理して書面化することを徹底します。
b.三様監査の連携強化
監査役、内部監査部門、会計監査人によるミーティングを少なくとも四半期毎に開催し、適時・適切な情報共有と意見交換を実施します。
<競争優位性の確保について>
①ストック型収益基盤の強化
当社グループは「EV充電事業」「エネルギープラットフォーム事業」と「エネルギーデータ事業」を展開しておりますが、今後持続的な成長を維持するためには、ストック型収益基盤のより一層の強化が必要であると考えております。
「EV充電事業」においては、EV充電設備所有者から受け取る充電収入や、施設から受け取るソフトウエアライセンス収益がストック型収益の基盤となります。今後、当社グループの充電設備の設置が進むことで、ストック型収益基盤は拡大する見込みです。加えて、国内にEVが普及していくことで充電設備の利用回数が増加し、充電設備1口あたりのストック型収益のさらなる増加が見込まれるため、積極的なプロモーションを実施して知名度を向上させ、当社が注力する目的地充電の分野における更なるシェアの拡大を目指します。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人ユーザーの電力契約切替以降、提携電力・ガス会社より継続的に収受するストック型の切替報酬並びにプラットフォームの基本利用料が、ストック型収益の基盤であり、そのため、ユーザーの電気・ガス代の従量制で継続的に発生するストック型の切替報酬の対象となる継続報酬対象ユーザー数が重要な指標となります。電気・ガスの利用自体は、長期にわたり予見性が高いインフラであることを考慮すると、今後もストック型収益基盤は拡大していく見込みです。また、効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大を継続していき、「エネチェンジ」ブランドの知名度を向上させる方針です。
「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)がストック型収益の基盤であるため、当社の提供サービスを導入している顧客数が重要な指標となります。また、エネルギー業界特化型のSaaS事業者としては、直接的な対象顧客は電力・ガス事業者であることから社数が限定的になるため、利用者数に応じた従量課金体系を採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを、サービスの間接的な顧客として収益基盤の継続的な拡大を目指しています。そのためにも「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」の継続的なプロダクト開発と営業活動を推進してまいります。また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開することで、EV充電関連のサービス展開の強化も図っております。
②EV充電事業の新規立ち上げおよび早期拡大
急速に変化し続けるエネルギー業界において、当社グループが企業価値を向上させ、高い成長を実現していくためには、既存事業の規模の拡大と収益源の多様化に加え、積極的な新規事業の発掘と育成が課題と認識しております。このような考えのもと、当社グループにおいては、2021年11月からEV充電サービスを「EV充電エネチェンジ」のブランド名で提供を開始いたしました。事業の立ち上げ以降、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、「EV充電エネチェンジ」の目的地充電(6kW以上)分野における設置口数は2024年9月末時点で累計2,552口(注3)となりました。
今後の事業環境は、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の比率が過去最高水準を維持する中、経済産業省が掲げる2030年の充電器の設置目標が15万口から30万口に倍増(普通充電器の設置目標は12万口から27万口に増加)(注4)、さらに、2024年には合計360億円を充電インフラ整備の予算に配分することが発表される(注5)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要がますます高まることが見込まれています。そのような中、当社グループは、「EV充電エネチェンジ」の更なる充電収入拡大のため、EV充電設備の稼働が見込まれる適地の開拓・選定、および土地利用許諾の取得サポートや、EVユーザーに対するマーケティングなどの積極的な営業活動を通じた新設の充電設備の設置を進めてまいります。併せて、既設のEV充電設備の稼働時間の向上のため、EVユーザーの更なる利便性の向上に資する取り組みも継続いたします。
③エンジニア主体によるプロダクト開発の強化
エネルギー業界においては、今後のデジタル化の更なる進展に伴い、ビッグデータ解析やAIといった技術を活用したプロダクト開発の重要性がますます増してくるものと見込まれます。そのような中、当社グループでは、高いエンジニア比率を有する組織構造を保つことでエンジニア主体によるプロダクト開発を強化しています。コア技術を自社開発することを基本方針として、技術部門の陣容を強化しつつ、必要に応じてライセンス調達等を組み合わせながらプロダクトの開発強化を推進してまいります。これらの実現には、高い採用力を維持・強化することが必要であり、今後も採用活動には人的・資金的投資を積極的に行い、当社グループのミッションへの共感を軸とした採用力強化に注力していきます。
(注)1. 2022年7月27日から岸田内閣総理大臣を議長とするGX実行会議が開催され、2022年12月に基本方針が取りまとめられ、その後、パブリックコメント等を経て、2023年2月10日に閣議決定
2. ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照
3. EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)
4. 経済産業省 「充電インフラ整備促進に向けた指針」より記載
5. クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等国の導入促進補助金、2023年度補正予算及び2024年度予算
④財務体質の強化
当社グループの連結貸借対照表の状況は、第9期連結会計年度末において1,479,226千円の債務超過、現金及び預金は2,179,715千円となっております。これは主に2022年度より本格的な先行投資を開始した「EV充電事業」の影響で、2022年12月期並びに2023年12月期の2期連続で営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローとなった結果によるものです。他方、このような先行投資負担が発生することに鑑みて当社は、2024年2月9日の取締役会において、第三者割当増資について決議し、2024年2月26日に3,999,899千円の資金調達が完了しております。しかしながら、今後も更なるストック型収益基盤の強化を図るにあたり、「EV充電事業」における積極的なプロモーション・営業活動やプロダクト開発等、及び「エネルギープラットフォーム事業」における効果的なプロモーション活用やパートナーシップの拡大並びにM&Aの推進、並びに「エネルギーデータ事業」における「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」に関して、成長をより加速させるための資金需要が生じる可能性があり、資金需要が顕在化した際には、適時に資金調達を検討してまいります。
なお、当社は「EV充電事業」において、EV充電インフラ1号合同会社のリース債務を保証していることに加え、EV充電インフラ1号合同会社の社債権者との間で、事前の定めにより、出資後3年経過時点で保有する社債が匿名組合出資持分(TK)に転換された以降、当社が出資簿価にて出資者のTK出資持分を買いとる権利(コール・オプション)を有し、また、当該出資者がそのTK持分を当社もしくは当社が指定する第三者に出資簿価で売り渡す権利(プット・オプション)を有しています。そのため、当社がコール・オプションを行使してEV充電インフラ1号合同会社のTK出資持分を取得する場合や、出資者がプット・オプションを行使して当社がEV充電インフラ1号合同会社のTK出資持分を取得する場合においては、EV充電インフラ1号合同会社のTK持分の買取に係る資金需要が発生する可能性があります。かかる状況に備え当社グループにおいては、金融機関との協議を進める他、財務体質を強化する取組を進めています。
なお、EV充電インフラ1号合同会社のTK持分取得の判断は当該時点における当社の経営方針、資金状況、その他状況等を総合的に勘案の上で決定するため、現時点ではTK持分の取得に関して決定した事実はありません。
<管理体制の強化について>
①情報管理体制の強化
当社グループが運営する事業においては、顧客情報や個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要であると考えております。
当社はプライバシーマークを取得しており、関連する個人情報保護法令等に基づき、個人情報の適切な取り扱いに十分配慮しながら事業を遂行しております。また、「個人情報保護方針」を含む社内規程の整備並びに運用の徹底、個人情報に関する内部監査や社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理しております。引き続き社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の整備等を図り、情報管理体制を強化していく方針です。
②システムの安定的な稼働
当社グループが提供する各種サービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。そのため、「システム管理規程」に基づき、不正アクセス対策、コンピュータウィルス対策、データの管理等の徹底を図っております。データベースについては、原則としてクラウドサービス上で構築・運用をすることでセキュリティを担保しており、クラウドサービスでカバーされない範囲については、データベースの暗号化やセキュリティパッチの自動適用等、必要と考えられる対策を行っております。今後はユーザー数の増加や取り扱いデータ容量の拡大に伴うシステム投資、適切な人員体制の拡充を計画的に行うとともに、データのバックアップ体制強化についても努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般への取り組み
当社グループは、「Changing Energy for a Better World ~エネルギーの未来をつくる~」というミッションに基づく事業活動そのものが、持続可能な社会の実現に資するものと考えています。取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、当社グループにおける「企業行動憲章」のもとにその職務を遂行し、企業活動を行って経営の効率性及び透明性を高め、持続的な成長と企業価値の最大化を図ることで、サステナビリティの実現に向けた活動を進めてまいります。
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティに関する重要事項については、コーポレート部門を構成するCFO室、CEO室、人事室等が中心となって検討を進め、経営執行会議にて審議の上、コンプライアンス・リスク管理委員会や取締役会に報告の上、必要な事項の決定をしております。
②戦略
当社グループでは、様々なステークホルダーの皆様の期待や要請に応えていくため、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。これらの重要課題の選定理由と具体的な取り組み内容の詳細については、当社サステナビリティサイト(https://enechange.co.jp/sustainability/)をご参照ください。
重要課題の策定プロセスは下記のとおりであります。
1.マテリアリティの抽出
SASB(サスティナビリティ会計基準)やGRIスタンダード、SDGs (国連の持続可能な開発目標) といった国際的な指標を参照しつつ、当社の外部環境分析やステークホルダーからのフィードバックを通じ、当社の企業価値向上に向けた経営課題と関連性の高いマテリアリティを抽出いたしました。
2.ステークホルダーとの対話を通した、マテリアリティの整理
株主・投資家との対話や主要なパートナーとのディスカッションを通じて、当社に対する期待について情報収集を行いました。また、定期的に実施している従業員サーベイの結果を通して従業員からの期待を把握しました。これらの対話を通じて、抽出したマテリアリティについての整理を実施しました。
3.マネジメントによるマテリアリティの特定と位置づけ
抽出・整理したマテリアリティについて、取締役会及び経営執行会議における議論を通じて、当社経営戦略との関連性を評価し、優先的に取り組むべき課題を特定いたしました。
当社はエネルギー業界のイノベーションを推進する「エネルギーテック」企業です。脱炭素社会の実現に向けて、急速な変化が求められるエネルギー企業に対して、最先端のテクノロジーサービスの提供を通じて、エネルギー業界全体の変革を実現することが当社の役割であり、まさにE(Environment)の領域における事業活動が当社の中心であることから、当該項目をステークホルダー並びに当社にとって共に重要な項目であるものと位置づけています。
③リスク管理
当社グループを取り巻くリスク及び機会を認識し、適切に対応するため、取締役、監査役、内部監査室長から構成されるコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、原則として四半期ごとに1回開催することとしております。コンプライアンス・リスク管理委員会では、当社及び子会社のリスク管理に必要な情報の共有化を図り、コンプライアンスに係る取組みを推進する他、コンプライアンス違反の事例が生じた場合に迅速な対応、事実関係の調査、再発防止の立案などを行います。
サステナビリティに関するリスクを含め、主な重要リスクは「
④指標及び目標
当社グループでは、上記マテリアリティの中でも、エネルギー業界における長期の時間軸に対応した形で持続可能性の高い企業体となり、外部環境の変化や技術革新等に対しても柔軟に適応して成長することが重要であるという観点により、ビジネスモデルのレジリエンスを特に重視しております。そのため、レジリエンスの基盤となるストック型収益(毎期、経常的・反復的に生じる継続報酬やソフトウェアライセンス料等)を重要指標と定めています。なお、本書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。
(2)人的資本・多様性に対する取り組み
当社グループでは、人的資本・多様性に対する取り組みにおいて、持続的な成長を担保するためには人的資本が経営に与える影響が大きいとの視座の下、優秀な人材の獲得と従業員の働きやすい環境つくりのために、ダイバーシティの推進/ワークライフバランス、人材育成/人材開発、従業員エンゲージメントという3つの観点から、②戦略における記載の通り取り組みを強化しています。
①ガバナンス
当社グループは、人的資本に関する具体的な取り組みについては、人事室長の下、各事業部や各室と連携して検討しており、取り組みの進捗状況や人事施策の効果・課題等は、定期的に経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会に報告しております。また人的資本に関する各種方針等の重要事項については、取締役会で審議、決定しております。また、従業員に向けて、適宜従業員サーベイを実施しており、その結果は経営執行会議に報告されモニタリングする体制を整え、重要課題の整理に反映させるとともに、人的資本に関するリスクの早期発見・対処に努めております。
②戦略
人的資本に関して、主に下記に記載の取り組みを行っています。
1.ダイバーシティの推進/ワークライフバランス
・当社では、「人権方針」に基づき、人材の多様性を競争力につなげていく環境づくりを進めています。現在、英国子会社のSMAP ENERGY社を中心に、海外拠点(イギリス・レバノン)では、現地採用人材が活躍しています。
・テレワークを恒久的に
当社では、2020年4月からテレワーク制度を導入し、現在ではテレワークと出社を組み合わせたハイブリッド勤務を行っています。労働法令を遵守した労働管理を行うなど、社員の時間外労働の削減にも積極的に取り組んでおります。
・ワーク・フロムUK
ENECHANGEの英国子会社であるSMAP ENERGY社に転籍し、イギリスで働ける制度です。海外で暮らすこと、働くことにより、世界的視野でエネルギー問題に向き合えるグローバルな人材育成を目的としております。
2.人材育成/人材開発
・オンボーディング
当社のオンボーディングでは、経営陣によるMissionやValueの共有会、会社のルールや各種フローの紹介、事業部の説明会を行っております。テレワークが浸透し、お互いの顔が見えづらいなか、スムーズに溶け込んでもらえることを目的としております。
・OKR
会社やチームと個人の目標を合致させ、目標の設計や管理を効果的に行う仕組みとしてOKRを当社でも取り入れています。当社のOKRは評価制度に紐づいており、四半期ごとに事業部で設定したOKRを個人単位まで落とし込み、設定した個人OKRにそって進捗をベースにした評価を行っております。
・1on1
週1のペースで上司とメンバーによる面談を行っております。ここではOKRの進捗確認や取り組みのプロセス確認を行うだけでなく、メンバーが仕事を通じて感じる課題や悩みを上司と共有する場にすることで、メンバーのキャリア形成や目標達成に向かうための障壁を取り除くことを目指しております。
・社内勉強会の定期開催
大手電力会社出身の顧問や社外取締役による勉強会を定期的に開催しております。エネルギー知識の底上げやガバナンス強化のバックアップとして行っております。
・学習補助金(セミナー受講、書籍購入)
有料セミナーの受講費やビジネス書など業務に必要な書籍の購入費用を全額会社が負担しております。
3.従業員エンゲージメント
・業績連動型報酬(SOインセンティブ)及びキャリアコミットメント型インセンティブ
当社はインセンティブ制度として、ストックオプションを支給しております。将来の会社の価値を渡すことで、メンバーが会社のMissionに向かって長期間一緒に取り組み、その成果を分け合えるようにした制度です。また、次期経営層候補に対して、自己資金・キャリアコミットメントとインセンティブが一体化されたパッケージを設定し、早期のメガベンチャー(時価総額1,000億円以上)の実現に向け、優秀な人材の更なるエンゲージメント向上を行っております。
・持株会制度
メンバー全員が業績や企業価値向上のために取り組み、その成果を分け合えるようにするために設けた制度です。
・ミッション・バリュー表彰制度
当社のミッションである「エネルギーの未来をつくる」と、3つのバリュー「Impact Driven(エネルギーの未来にインパクトを与える)」「Be A Professional(常に最高のパフォーマンスを出す)」、「Energise The Team(一人で成しえない大きな成果を最高のチームで創る)」にもとづき、それぞれを業務への取り組みで体現したメンバーを表彰する制度です。ミッションは年に1度、バリューは四半期ごとに表彰しております。
③指標及び目標
当社グループでは、優秀な人材の獲得と従業員の働きやすい環境つくりに関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績は次のとおりであります。なお、本書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。
指標 |
実績(%) |
正社員に占める女性労働者の割合 |
30 |
管理職に占める女性労働者の割合 |
24 |
フルリモート比率 |
33 |
女性労働者の育児休業取得率 |
100 |
男性労働者の育児休業取得率 |
50 |
(注)提出会社及び国内連結子会社における比率であります。
(3)気候変動に対する取り組み
当社グループでは、中長期的な企業価値の向上、並びに持続可能な社会を実現していく上で、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識しております。当社グループが事業運営を行うエネルギー業界は、その特性上様々な規制が設けられているがゆえに、政策面での変化や方向性を踏まえたうえで、適切な政策提言を行うと同時に、政策的な変化に伴う事業機会を見出すことで事業企業価値の向上の両立を実現していきたいと考えております。
①ガバナンス
当社グループは、気候変動に対する具体的な取り組みについては、CEO室室長の下、各事業部や各室と連携して検討しており、当社単独、または後述するような経済団体等を通じて政策立案者への働きかけを行うと同時に、経済産業省等の提言内容や政策の方向性を経営執行会議で審議し、事業開発へと繋げております。またその内容は年に2回の経営合宿において中期経営計画の策定・見直しとあわせて取締役会へも報告されております。
②戦略
気候変動に対しては主に以下の取り組みを実施しております。
・政策側の働きかけ
当社が事業運営を行うエネルギー業界における自由化の進展や脱炭素社会に資する提言を複数の政府委員会内で提言するだけでなく、新経済連盟や経済同友会、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)での脱炭素社会実現等に資する活動により、業界団体からの働きかけを行う事で、日本国内における電力業界の革新を促すだけでなく、電力データを活用したサービスとイノベーションを通じた気候変動への対応を推進していきたいと考えております。
・事業開発
当社はエネルギーテック企業として、電力データを活用した気候変動への対策に向けた事業を展開しております。特に茲許世界的に注目される再エネ価値同時同量、すなわち24/7カーボンフリーの推進に向けたhourly matchingを実現する電力会社向けサービスの展開(eValue Platform)や、ピークシフトや行動変容を促す取組を環境省の実証実験に協力する形で検討し、サービスとしてもEV充電の昼充電メニュー「エネチェンジパスポート」の開始を行う他、再エネ価値を最大限利活用する取組を行なうことで、今後の気候変動への対応をより強力に推進してきたいと考えております。
③指標及び目標
上記の取り組みを実施しつつ、当社の現時点での気候変動への直接的な対応としては、温室効果ガスの排出量を測定し、オフィス活動における温室効果ガスの排出量の削減に努めております。今後は取り組み内容も踏まえたうえで中長期でのCO₂削減目標に向けた指標づくりへの準備を行ってまいります。
カテゴリー |
指標 |
SCOPE1(kg-CO₂) |
0 |
SCOPE2(kg-CO₂) |
0 |
SCOPE1+SCOPE2合計(kg-CO₂) |
0 |
電気使用量(kWh) |
18,333 |
(注)
1.対象はENECHANGE株式会社のみ。
2.Scope1は自社におけるガスの直接使用にかかる二酸化炭素排出量。ENECHANGE株式会社は自社におけるガスの直接使用はありません。
3.Scope2は自社における電気使用にかかる二酸化炭素排出量。
4.電気使用量は、入居する東京スクエアガーデンWeWorkの電力使用量から、ENECHANGE株式会社占有床面積の割合で算出しています。(期間:2023年1月1日から2023年12月31日)
5.入居する東京スクエアガーデンWeWorkの電気プランは、実質再生可能エネルギーメニューであり、CO2排出係数が0であるためScope2の排出量は0となります。
6.算出方法は、温対法算定・報告・公表制度における算定方法および排出係数を使用しております。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載します。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示します。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスクについて
①EVの普及について
当社グループの「EV充電事業」は、EV車の普及率という外部環境に大きく左右される見込みであり、EV車の普及見通しに鑑みると収益性は徐々に拡大するものと予測されます。現在、日本におけるEV及びPHVのストック台数は49万台(注1)と推定されますが、日本政府目標に基づく当社試算では2030年度には385万台(注2)まで成長することが見込まれており、日本政府によるEV購入に関する車両補助金もあります。また、国内外の主要自動車メーカーもEVの本格的な展開を予定しており、消費者にとっても、より魅力的なEVの選択肢が今後増加してくると見込まれます。しかしながら、国や自動車会社に大きな方針変更があった場合、EV車の普及が減少し、経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。
②EV充電インフラに関する政策動向について
長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、日本政府によるグリーントランスフォーメーション(GX)推進の方針のもと、EV及びEV充電インフラの普及に向けて政府による補助事業等が展開されております。当社グループの「EV充電事業」は、EV及びEV充電インフラに対する政府の補助事業を前提として経営戦略立案及び営業活動を行っており、国や都道府県の補助金は単年度予算に基づいて設定されるものであるため、予算額が上限に達した場合等においては、当社グループが受注したEV充電設備の設置が翌年度にずれ込む可能性があります。その他、国や都道府県の政策や規制に大きな方針変更があった場合、設置場所や補助金交付要件の変更等を通じて「EV充電事業」におけるEV充電設備の受注台数や設置可能台数が減少する可能性があります。このような場合には当社グループが受領する充電収入が減少し、経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。
③電力小売市場について
当社グループが事業展開をしている電力業界においては、2016年4月の小売全面自由化以降、家庭向け(低圧電灯)、法人向け(特高・高圧)ともに切替数が順調に増加しております。また、社会全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)への要望が高まっており、「エネルギープラットフォーム事業」ではオンラインでの切替需要増加、「エネルギーデータ事業」では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加等当社グループの業績にとっては好影響になる要素も多いと考えております。しかしながら、今後エンドユーザーの切替意欲の減退による切替数の鈍化や、新電力の競争力低下に伴うシェアの伸び悩み等の要因により、切替が進行しなかった場合、或いは電力ガス事業者に対するDXサービスの導入が順調に進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④電力制度改革について
当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、東日本大震災を契機に、再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設、電力・ガス小売の全面自由化や送配電事業の法的分離の実施、ベースロード市場や容量市場の整備等大規模な改革が政府主導で行われてきました。そうした電力制度改革を更に推進すべく、2020年に電気事業法及び再エネ特措法の改正案が第201回通常国会で可決され、電力データの活用促進や分散型電源の推進に向けたアグリゲーター事業者の法的位置付けの整理、計量法規制の合理化、再生可能エネルギーの買取価格の市場連動型(FIP制度)の導入等が制定されており、今後も様々な制度変更が行われる見込みです。これらの制度変更は、市場の競争環境における公平性の担保を強化し、市場活性化を促す施策であり、当社グループにとっては追い風であると考えております。しかしながら、これら事業環境に影響を及ぼす規制緩和や制度改革が計画のとおりに進行しなかった場合や、想定外の形での法規制の変更等があった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤その他関連市場について
当社グループの展開するサービスは主にインターネットを通じて提供されているため、使用環境の改善や利用可能な端末の増加等を通じたインターネット関連市場の更なる発展が、当社グループの成長のためには重要であると考えています。また、当社グループがサービス展開を行う上での基盤となるクラウド関連市場やビッグデータ関連市場については、今後拡大が見込まれており、当社グループとして積極的に関連サービスを多角的に展開する方針です。
しかしながら、これら当社グループが事業展開する上での基盤となる関連市場が、新たな規制やその他予期せぬ要因により急激な変化に見舞われ、使用環境への制限等を通して発展が阻害された場合は、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.一般社団法人 次世代自動車振興センター「EV等保有台数統計」、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より当社試算
2.経済産業省「GX実現に向けた基本方針」(2023年2月)記載の2035年の新車販売電動化比率100%目標をもとに、EV及びPHEVの比率を50%(残りの50%がハイブリッド車と想定)として当社試算
(2)事業内容及び提供サービスに関するリスクについて
①EV充電設備の設置オペレーション及びその後の設備運営について
当社グループの「EV充電事業」においては、「第1 企業の概況 3 事業の内容」(I)「EV充電事業」における記載のとおり、当社グループでは子会社のENECHANGE EVラボ株式会社がEV充電設備所有者である子会社のEV充電インフラ1号合同会社等への「EV充電設備の販売・設置業務」を行った後に、当社がCPOとしてその後の「EV充電設備の運営に関する包括的業務」を行っております。
ENECHANGE EVラボ株式会社ではEV充電設備の販売・設置過程において、主に海外からのEV充電機器サプライヤーより充電機器の供給を受けた後に、国内の工場で組み立てやソフトウエアのインストール等を行ったうえで保管し、設置工事実施時に他の工事部材と併せて搬送したうえで最終的にEV充電設備としてEV充電設備所有者に納品します。この過程において、ENECHANGE EVラボ株式会社では、EV充電インフラ補助金の要項の公表時点から補助金交付を受けるための工事完了期限が短期間であること、EV充電機器の発注から納品までは数ヶ月以上の期間を有すること、他の関連部材も流通在庫が不足しがちであること等を勘案し、予め充分な手元在庫を抱える運用を行っております。しかしながら、政府のEV充電インフラ補助金の要件変更や、入札制度下におけるEV充電インフラ補助金を巡る競争の激化による落札率の低下、EV充電設備の稼働が見込まれる適地の開拓・選定等が計画通りに進まない場合、EV充電設備の設置が低調となり、EV充電設備及びその部材の在庫リスクを抱える可能性があります。
また当社ではEV充電設備の設置後において、EV充電設備所有者からの業務委託を受け充電設備の運営に関するサービスを提供します。具体的にはEV充電設備を効率的に使用するためのアプリケーションの提供や設備のメンテナンス、カスタマーサポート等が挙げられます。加えて、今後はポスター掲示やEV優先車室用のコーン設置などの利用促進ツールの提供も予定しており、かかる取組により設置後のEV充電設備の稼働率向上を目指しています。しかしながら、これらの取組にも拘らずEV充電設備の稼働時間が低水準に留まった場合は、当社グループが受領する充電収入が減少するリスクがあります。かかる影響により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②電力・ガス会社への依存について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」においては、取引先の電力・ガス会社からの収益が主な収益源となっています。そのため、資源価格や日本卸電力取引所(以下「JEPX」)における電力取引価格の想定外の高騰、自然災害や突発的な事象等予期せぬ事態、などの影響により取引先電力・ガス会社の経営状態が悪化した場合、また電力・ガス会社における集客チャネルに関する戦略の変更等により、当社グループ以外のチャネルの重要度が高まった場合には、既存契約の条件見直しや解消、新規発注の停止等につながる可能性があります。当社グループとしては、取引先電力・ガス会社の分散を通じてリスクの低減に努めていますが、特定の時期にかかる事象が集中発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③大型案件について
当社グループの「エネルギーデータ事業」においては、顧客の個別ニーズや予算規模により受注案件が大型化した場合、売上計上が可能となるサービスのリリースに至るまでに長期間を要する可能性があります。一部大型案件の受注可否については、特定顧客の動向や判断に左右される部分が多いため、当該案件の受注が計画のとおりに進まなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④サービスのライフサイクルについて
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、当社サービスを経由して電力・ガス会社の契約切替を行ったユーザーの小売供給契約期間は基本的に1年間となっていますが、その後ユーザーの意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としてはユーザーにとっての最適な小売供給契約の締結をサポートするために、契約締結後もカスタマーサポートの提供や営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握等に努めており、追加的な電力・ガス会社の切替ニーズが発生した場合は、そのサポートも実施することで継続的な切替報酬を収受しております。しかしながら、当社提携外の電力・ガス会社からの営業活動等により、ユーザーが小売供給契約を当該電力・ガス会社に切替えた場合は手数料収入が減少するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合他社の状況について
当社グループの「EV充電事業」においては、普通充電や急速充電インフラの確立に向け、各地へEV充電設備の設置を進める事業者が複数存在しており、取引先や顧客の獲得及び補助金の申請において、徐々に競争が激化しているものと認識しております。当社におきましては、第9期連結会計年度末時点で、ハードウエア面においては、「EV充電エネチェンジ」の目的地充電(6kW以上)分野における設置口数は2024年9月末時点で累計2,552口となり、またソフトウエア面においては、EVドライバーにとって利便性の高いプロダクトとして、EV充電情報を掲載したアプリに加え、出力の高い普通充電器、更には株式会社e-Mobility Powerと連携した決済システムを提供する等、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、競合に対する優位性は保てているものと認識しております。今後EVが普及する局面において、これらの強みを強化しながら設置口数と稼働率の向上を実現し、更なる競争力の向上に努めてまいります。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向けユーザーに電力・ガス切替プラットフォームを展開する事業者は複数存在しており、また電力・ガス会社が自ら直接・間接的に顧客に対して営業行為を行っているため、一定程度の競争環境は存在するものと認識しております。前者の競合に対しては、提携電力・ガス事業者数の拡大、サービス価値の向上及びSEO対策や積極的なマーケティング施策をベースにしたオンラインでの集客力強化、パートナーシップの拡大によるオフラインでの集客力強化を図ってまいりました。後者の競合に対しては、複数の電力・ガス会社から最適な事業者を選択できるというサービスモデルを差別化要因として競争力の向上に努めてまいりました。その結果として、本書提出日現在での競争環境は限定的なものと認識しております。
「エネルギーデータ事業」においては、一部顧客管理システムや需給管理システムを対象にした商材展開を行っている事業者が存在しております。しかしながら、「エネチェンジクラウドMarketing」においては「エネルギープラットフォーム事業」で蓄積された独自データベースを活用しオンライン上での顧客獲得を推進させるという、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、本書提出日現在では競争環境は比較的軽微なものと認識しております。今後新たな競合が参入した場合も、電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」で培ったマーケティングの知見や蓄積されたデータベース、データ解析技術等を差別化要因として、競合に対する優位性は保てるものと認識しております。「エネチェンジクラウドDR」においては、今後スマートメーターの普及とともに国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、国内外の顧客企業へのサービス提供を通じて蓄積された独自データベースを活用したプロダクトの開発やデータ活用に関する知見、導入実績の積み上げにより競争力の向上に努めてまいります。「エネチェンジクラウドEV」においては、今後のEVの普及に伴い国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などは模倣が困難であり、競合優位性を保てるものと認識しております。「エネチェンジクラウドRE」においては、非化石証書を始めとした多様化する再エネメニューや、自己託送の業務負荷を軽減する必要性の増加などを背景として今後ニーズの拡大が見込まれており、競合環境が激化してくる可能性がありますが、様々なエネルギー関連企業との取引を通じて蓄積されたノウハウを活用し、競争力の向上に努めてまいります。しかしながら、今後他に優れた技術やビジネスモデルを持ち合わせた競合の参入により、当社グループの事業領域における競争激化の結果として当社グループユーザーの解約や電力・ガス会社との契約単価の下落が生じる他、設置口数や稼働率が伸び悩んだりした場合、若しくは当社グループサービスの導入が進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥検索エンジンのロジック変化について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、検索エンジン(Google及びYahoo!Japan等)から多くのユーザーを集めており、今後についても、検索エンジンからの集客を強化すべくSEO対策等の必要な対策を実施する方針です。しかしながら、検索エンジンを提供する企業が、検索アルゴリズムのロジックを変更することで検索結果の表示順位が変更された場合、または新たな検索エンジンが主流になった場合、当社の提供サービスへの集客に影響が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦技術革新等について
当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、電力ビッグデータのAI技術による解析の他、電気自動車、蓄電池といった分野における技術革新や、技術の普及に伴う価格競争力の強化によって、従来にはなかった様々なサービスの誕生が見込まれており、それに伴った顧客ニーズの変化も発生するものと予想されます。当社グループは、これらの変化に対応するため、ENECHANGE Insight Venturesというアクセラレーションプログラムの運営を通じた海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの連携を率先して行う等情報収集・連携に努めております。また、それらの技術を実用化するために必要な技術者の確保や体制の整備に努めていますが、今後当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧海外展開について
当社子会社のENECHANGE Innovation Limitedは英国に本拠を置き、主に海外におけるベンチャー投資のソーシング活動を実施しております。また、関連会社であるJapan Energy Capital 1 L.P.は主に中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資を行っており、関連会社であるJapan Energy Capital 2 L.P.は海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行っております。これらの取組みに関して、海外における当社グループの事業に係る法規制等の成立・改正等が実施された場合、政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、予期せぬ自然災害、人為災害、テロ、戦争や感染症等が発生した場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨システム障害等について
当社グループの事業は、電力やガス等のインフラ関連企業の継続的なサービス提供が前提となっています。また当社グループのサービスは、主にインターネットを介して提供されており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信インフラに依存しております。従って、自然災害、人為災害、テロ、戦争等に伴いシステム障害が発生することでサービスの提供が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業別コンティンジェンシープランを作成し、役職員に対して周知することでこれら不測の事態に対しての対応を定めていますが、かかる事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩当社が出資するファンドの投資コミット金額について
当社グループの「JEF」サービスにおいては、Japan Energy Capital合同会社より、主に海外の再生可能エネルギー発電所への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 1 L.P.及び海外の脱炭素化ベンチャー企業への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 2 L.P.のファンド運営業務等を独占的に受託しており、Japan Energy Capital 2 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 2 L.P.の投資コミット金額に連動します。なお、Japan Energy Capital 1 L.P.への出資は完了し、今後のJapan Energy Capital 1 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 1 L.P.の投資残高に連動します。
(3)業績変動に関するリスクについて
①四半期毎の業績変動等について
「EV充電事業」における売上高は、既設のEV充電設備の稼働時間に加え、新規に設置したEV充電設備の稼働時間の稼働時間によって変動します。新規に設置するEV充電設備の設置タイミングは、EV充電インフラに対する政府の補助金の影響を強く受けており、また国や都道府県の補助金は単年度予算に基づいて設定されるものであるため、例年6月以降から順次その年の新規設置が開始されます。また新規に設置するEV充電設備は、設置後にEVユーザーから認知を得て、本格的に稼働するまでに概ね3か月前後の時間を要するため、これらの要因を勘案すると、その年の補助金によって新規に設置された充電設備の稼働による売上高は、概ね設置年の第4四半期以降本格的に計上されます。
「エネルギープラットフォーム事業」における売上高は、特定の電力・ガス会社の撤退等に伴う切替先の電力・ガス会社を探すユーザーの増加により切替報酬が一時的に増加するといった外部環境の要因や、引越の繁忙期における切替報酬増加、または暖冬・冷夏等の特定の気象状況下における切替報酬減少等、季節要因の影響により変動します。
「エネルギーデータ事業」における売上高は、新規受注や新規機能のサービスリリースに伴う一時的な売上が発生する等の要因で変動する傾向にあります。また人材の確保を円滑に進めるための採用活動に伴う費用や、新規ユーザーを獲得するための各種プロモーション施策に係る費用が一部四半期に集中することもあります。
これらの要因により、収益が年間を通じて平準化されず、四半期決算の業績が変動する可能性があります。
②事業領域の拡大について
当社グループが取り組む事業領域では、市場の規制撤廃や新たな技術革新やサービスモデルの誕生が見込まれております。本書提出日時点において、当社グループの収益は、「EV充電事業」「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」による影響を大きく受けている状況であるため、当社グループは、「エネルギーの4D」に則した新たな収益源を常に模索し、事業の拡大と安定化に取り組んでおり、現在は「EV充電事業」を注力分野としています。しかしながら、事業領域を拡大し、新たな分野に進出することで、人材採用、システム開発、営業体制構築等の投資を実施したにも関わらず、当該分野における収益化が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③為替変動について
当社グループでは、海外子会社の現地通貨建ての財務諸表を日本円に換算した上で、連結財務諸表を作成しております。また、一部外貨建ての出資や債権債務、外貨建てで収入若しくは支出が発生する取引が存在します。従って、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)コンプライアンス・法的規制等に関するリスクについて
①法的規制について
当社グループが事業展開する電力業界においては、電気事業及びその関連事業を行う者に対し電気事業法が課せられています。当社は小売電気事業者と一般ユーザーとの間の小売供給契約締結の「媒介」(注)を行う事業者として取引に関与しており、電気事業法及び同法施行規則で定められた義務や、経済産業省が公表する「電力の小売営業に関する指針」上のガイドラインに基づいて事業を行っています。また当社は、小売電気事業者として経済産業省へ登録(法人番号6010601047805)を行っております。
これら関連法規制やガイドラインへの対応については、外部弁護士の見解確認を踏まえて四半期毎のコンプライアンス・リスク管理委員会において慎重に判断を行っていますが、新たな法令等の制定や、当社グループが想定しない形での既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 「媒介」とは、「他人(小売電気事業者及び小売供給を受けようとする者)の間に立って、当該他人を当事者とする法律行為(小売り供給契約)の成立に尽力する事実行為」をいいます。また「媒介」の他にも「取次ぎ」「代理」のパターンがあり、「取次ぎ」とは「自己の名をもって、他人(小売供給契約)の計算において、法律行為(小売供給契約)をすることを引き受ける行為」をいい、「代理」とは、「他人(小売電気事業者)の名をもって、当該他人のためにすることを示して行う意思表示」をいいます(「電力の小売営業に関する指針」)。
②知的財産権について
当社グループが事業活動を行うにあたり、第三者が保有する商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、損害賠償請求や特許権侵害の訴訟等は現在ありません。しかしながら、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払要求等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③情報管理について
当社グループでは、企業情報及び個人情報を取り扱っております。当社においては、個人情報取扱事業者として適切な管理体制を構築するため、プライバシーマークを取得し、他の情報についても厳密なセキュリティルールを施して管理することに加え、情報管理に関する社員研修も毎年受講必須とする等、社員教育・運用面の徹底もしております。また、情報管理に関しての適切な運用遵守状況を内部監査室が組織横断的に確認しております。しかしながら、万が一不測の事態によりこれらの情報が流出・漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④メディアコンテンツの品質維持について
当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、電気やガスをはじめとしたライフサポート領域に関する記事の制作の一部を、「EV充電事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、EVや充電設備に関する記事の制作の一部を外部委託しております。かかるコンテンツの内容については公開前に自社ガイドラインと照らし合わせた厳正なチェックを行っており、また、その運用状況を内部監査にて確認することで、著作権侵害やコンテンツの盗用等の事態を未然に防止するような体制を構築しております。しかしながら、当社の意図せざる事態によってメディアの一部コンテンツが第三者の権利侵害等を発生させていると認定された場合、当該第三者より使用差し止め請求や損害賠償請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、かかる場合において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤広告掲載について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」や「EV充電事業」において掲載される広告については、当社独自の広告掲載基準による確認を実施し、景品表示法等の関連法令に違反する広告や公序良俗に反する広告の排除に努めております。しかしながら、人為的な過失等に起因して広告掲載内容に瑕疵が発生した場合や広告掲載が行われなくなった場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥訴訟等について
当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」並びに「EV充電事業」において、サービス利用規約を定めてサービス利用者からの同意を得ることで利用者との間での紛争防止に努めております。また当社の社内規程として、「コンプライアンス規程」及び「リスク管理規程」を定め、役職員に対して当該規程を遵守させるとともに、コンプライアンス違反の恐れのある事象については経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会等に報告する仕組みを構築・運用することで、法令違反や損害賠償等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループの提供するサービスに関連して顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じた結果、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、訴訟対応費用の発生や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業運営体制に関するリスクについて
①特定人物への依存について
当社の元代表取締役CEO、当社子会社のENECHANGE Innovation Limited 前CEO、その他関連会社1社にて主要役職を兼職していた城口洋平は、当社グループの事業に深く関与しており、また、エネルギー業界に関する深い造詣を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っていました。他方、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、1.事業上及び財務上の課題における記載のとおり、外部調査委員会による調査報告書において、上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者として不適切な言動の観点を始めとした指摘を受けていたこともあり、2024年7月30日の定時株主総会継続会終結時を以て当社代表取締役CEO及び当社取締役並びに当社グループの他の兼職を退任しております。
当社は2024年9月3日以降の代表取締役及び新たな経営体制に関して、代表取締役CEOとして丸岡智也氏、代表取締役COOとして曽我野達也氏を選定し、臨時株主総会での承認を受けております。両名のリーダーシップのもと、当社は適切なガバナンスと内部統制の構築を図るとともに、コア事業の確実な成長と将来成長エンジンへの投資を両立させるべく組織・事業運営に取り組んでおり、また執行役員等への権限移譲等を適切に実施し、各事業において自律的に運営できる体制を構築しております。しかしながら、何らかの理由により両名の当社グループにおける関与が困難となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の確保・育成について
当社グループでは、事業の持続的な成長を支える優秀な人材を確保することが事業運営上重要であると考えております。このため、テレワークの恒久化、オフィススペースの縮小、テレワーク手当の支給等、優秀な人材を惹きつけることができるような取組みを積極的に実施しております。今後も優秀な人材の採用を積極的に推進し、当社グループの企業理念及び経営方針を理解した社員の確保・育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画のとおりに人材が確保できない場合には、事業運営や開発計画に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③小規模組織であることについて
当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの組織規模に応じたものとなっています。これらの体制については組織規模に関わらず高い水準を構築・維持することが重要であるとの考えのもと、当社グループは、コーポレートガバナンス・コードを念頭に置いた内部管理体制の構築を図っています。具体的には、各専門分野における豊富な経験を有した人材を採用するとともに、各種のコンプライアンス研修等社内教育による人材育成を進めることで、事業規模の拡大や多様化に合わせ、内部管理体制を充実・強化していく方針であります。しかしながら、同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④海外子会社について
当社子会社のENECHANGE Innovation Limitedは英国を本拠として、主にJapan Energy Capital 2 L.P.を通じて行う海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行う際の、投資対象先企業の発掘や調査業務等を実施しております。今後、現地における競争環境の激化等の要因により、同社の経営成績が悪化した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現地において内部統制上の問題を抱えたり、法令に違反したりする可能性があります。かかる事態において問題の早期発見と是正措置の実施ができない場合、当社グループの信頼性や企業イメージの低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他のリスクについて
①減損会計の適用について
当社グループでは、継続的に行う開発投資に係る人件費等の一部をソフトウエア資産として計上しております。今後、これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当該資産について減損損失の計上が必要となる可能性があります。
また、過去に実施した株式取得や事業譲受によって生じたのれんは、当該株式取得や事業譲受による期待収益及び将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと想定しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等においては、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②EV充電事業における新規性について
当社グループの「EV充電事業」は、2022年第1四半期から独立したセグメントとしての開示を開始しております。事業開始からの期間が短い「EV充電事業」に関して、補助金受領を含む新しい取引や事象が他セグメントと比較して多く発生する可能性が高いことが想定されます。また、徐々に他のEV充電事業者が増加している状況を鑑み、取引先や顧客の獲得競争の激化、場合によっては顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じ、訴訟等に発展する可能性も想定されます。様々な前提条件を事前に検証したうえで事業を行っておりますが、当初の想定と異なる事象が発生した場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③Japan Energy Capital 1 L.P.への出資について
当社が出資するJapan Energy Capital 1 L.P.は、主として太陽光発電所に代表される再生可能エネルギー発電所への投資を海外にて行う、ケイマン籍のリミテッドパートナーシップ形態のファンドです。当該ファンドはキャピタルコール方式をとっており、当社の2024年9月末時点における出資額は9.0百万米ドル、回収額は4.2百万米ドルです。本ファンドにおいては、当社グループは電力データ解析技術を活用し、ファンドの投資先である発電所の運営効率化業務を積極的に果たしていくことが期待されており、当該業務を独占的に受託する業務委託先として、この種の枠組みでの事業を日本で運営する際に求められる必要な拠出額を出資コミットしております。かかる出資は、一定期間以上稼働実績のある太陽光発電所を中心とした既設再生可能エネルギー発電所を主な投資対象とし、米国ドルでの決済とする等、為替リスクを限定的とするストラクチャーを採用したうえで、想定されるリスク・リターンを精緻に分析した上で行われていますが、当該ファンドの投資先における日射量の低下に伴う売電収入の減少、自然災害・テロ等の発生による投資対象資産の損傷、地政学的リスクの高まり等による対象国における再生可能エネルギー発電事業への影響等により、当初想定されたリターンが得られず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④Japan Energy Capital 2 L.P.への出資について
当社が出資するJapan Energy Capital 2 L.P.は、主として脱炭素社会の実現を目的とした海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行う、ケイマン籍のリミテッドパートナーシップ形態のファンドです。当該ファンドはキャピタルコール方式をとっており、当社の出資コミットは2024年9月末時点において最大5百万米ドル(既出資額は3.4百万米ドル)です。本ファンドにおいては、当社グループは投資先に対して当社の知見や実績を活用し、制度改革に合わせた日本市場参入支援や、ローカライズのサポートも同時に行うことが期待されており、当該業務を独占的に受託する業務委託先として、この種の枠組みでの事業を日本で運営する際に求められる必要な拠出額を出資コミットしております。そのため、その役割に応じて追加の出資コミットメントが要請される可能性があります。当社としましては、当該要請に対しては、取締役会において慎重な議論を経て適切に判断してまいります。また、かかる出資は、綿密なデューデリジェンスやシナジー検証を経た上で、想定されるリスク・リターンを精緻に分析した上で行われていますが、当該ファンドにおける投資実行の遅れや、投資先企業の将来的な不確定要素による業績悪化の影響等により、当初想定されたリターンが得られず、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑤配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現状では財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針です。
内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針です。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
⑥ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
当社では、取締役、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。2025年1月31日現在における新株予約権による潜在株式数は4,386,008株であり、発行済株式総数35,148,908株と潜在株式数4,386,008株の合計の11.09%に相当しておりますが、その多くは経営陣及び主要従業員の長期にわたるコミットメントを目的としたものであり、権利行使期間に一定の制限が設けられています。また、植野泰幸に対して付与された新株予約権は、いわゆる時価発行新株予約権信託®であり、2018年から5年間にわたり、当社取締役、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に段階的に付与し権利行使可能となる条件です。時価発行新株予約権信託®の活用により、長期にわたるコミットメントの強化、並びに人材採用力の強化、現金での給与・賞与等の報酬水準を抑制する効果が見込まれるため、当社グループの業績においても重要な影響を持ちます。更に、2024年1月に当社取締役、当社子会社取締役、当社執行役員、当社従業員に対して付与された新株予約権は、株主利益とアラインする業績拡大と企業価値向上を目的としており、資金コミットメント(条件達成時までのロックアップ)とキャリアコミットメント(条件達成時までのフルタイム勤務が条件)を条件として付し、目標達成に向けて資金面・キャリア面でのフルコミットメントを求める設計としております。これらの新株予約権を除くと、2025年1月31日現在における新株予約権による潜在株式数は885,372株であり、発行済株式総数35,148,908株と潜在株式数4,386,008株の合計の2.24%に相当します。本書提出日現在においては、更なる新株予約権の新規発行は予定しておりませんが、競争環境等の変化により今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、国税庁は、2023年5月30日に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表し、「信託型ストックオプション」は、会社側が付与した権利を役職員等が行使して株式を取得した場合、その経済的利益が実質的な給与にみなされることから、役職員が当該ストックオプションを行使して発行会社の株式を取得した場合、その経済的利益については給与所得として源泉所得税を徴収して、納付する必要があるとの見解を示しました。第9期連結会計年度においては、源泉所得税の要納付額相当分としての金額306,983千円を、連結貸借対照表の「流動負債」の「未払金」に19,186千円、「固定負債」の「長期未払金」に287,796千円計上するとともに、これに対応する債権を「流動資産」の「未収入金」に145,881千円、「固定資産」の「長期未収入金」に105,250千円計上しております。なお本債権については権利行使者ごとに一定の仮定のもとに返済可能額を算定し、権利行使者と当社間で返済することについて個別合意された金額の長期未収入金を除いたうえで回収不能見込額に対応する貸倒引当金を計上しておりますが、仮定とした取り扱いが異なる場合、実際に発生する金額と見積金額が相違する可能性があります。この他、今後の国税庁並びに社内及び外部専門家との協議の結果による対応の影響により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦大規模な自然災害等について
当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症については、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の流行以降、迅速にリモートワークを推奨しており、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めており、当社グループのビジネスへの影響は軽微であると認識しております。しかしながら、同様の感染症の流行等により、度重なる緊急事態宣言の発令や外出自粛等により法人ユーザーの電力使用量が極端に低下し、当社グループ顧客の業績への影響が想定を超えて拡大したりした場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧資金使途及び投資効果について
2021年12月に実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、「エネルギープラットフォーム事業」における、①プロモーション及びセールス・マーケティング体制強化の投資に係る資金、②当社グループの顧客基盤強化を企図した買収に係る資金、③自社サービス拡充に資する資金、「エネルギーデータ事業」における、④「脱炭素テックファンド」への出資や運営に係る資金、⑤「EV充電事業」及び「エネルギーデータ事業」の将来成長に資する資金、及び⑥「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」におけるエンジニア、セールス、サポート人員の採用費並びに人件費等に充当予定としておりましたが、2022年5月13日に①については充当時期を未定と変更いたしました。この背景であったエネルギー業界における卸電力価格の高騰等をきっかけにしたユーザー獲得活動の停滞が概ね正常化に向かっていると判断し、①については2023年8月10日に調達資金の使用を再開したことを公表しております。また、2024年2月に実施した第三者割当増資による調達資金のうち、①「EV充電事業」のプロモーション強化及び事業運営体制強化のための投資に係る資金及び②EV充電インフラのネットワーク構築のための充電機器購入に係る運転資金については調達資金を全額充当しております。残額については、③「EV充電事業」の将来成長に資する投資資金へ充当する予定でしたが、本EV充電事業の合弁会社化(以下に定義します。)の決定に伴い、当該資金使途については変更が生じる可能性があります。なお、これら投資については厳密な費用対効果分析を経た上で実施する方針でおりますが、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。
将来において、調達時点では予定していなかった更なる事業ポートフォリオの拡大により、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。なお、調達資金を上記以外の目的で使用する場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
⑨継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループでは、第9期連結会計年度まで継続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、前連結会計年度末において、連結貸借対照表上1,479,226千円の債務超過となりました。第10期第4四半期連結累計期間においても、継続して営業損失2,914,348千円、経常損失2,537,403千円及び親会社株主に帰属する四半期純損失3,356,739千円を計上しております。この結果、2024年12月31日現在において、連結貸借対照表上929,945千円の債務超過となりました。
また、一部の取引金融機関からの借入については、期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの、財務制限条項に抵触しております。
さらに、2024年6月27日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、本調査の結果認められた問題点として、「EV充電事業」の事業リスクに対応し得る態勢の不足、会計監査人との適切なコミュニケーションの不足、コンプライアンスを軽視した経営トップらの姿勢、実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったことの指摘を受けております。当該指摘への改善策については、2024年9月24日付「東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ」のとおり、改善措置を講じ改善を進めておりますが、かかる調査報告書の公表の結果として、利害関係者との関係性の悪化や会社のブランド力の毀損が生じる可能性があります。
これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当しております。
当該事象又は状況を解消すべく、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表(重要な後発事象)」に記載のとおり、2025年1月24日付の取締役会において、新たに子会社を設立し、EV充電事業を吸収分割の上、当該子会社株式の51%を中部電力ミライズ株式会社に譲渡することを決議し、同日付けで当該譲渡契約の締結を行いました。当該譲渡契約に基づき株式譲渡等が実行された場合、株式譲渡実行後速やかに中部電力ミライズ株式会社と当社は、当該子会社に対して、持分比率に応じて出資いたします。具体的には中部電力ミライズ株式会社より51%の持分比率に応じて約30.6億円の増資を当該子会社に実施した後、当該子会社は当社に対し負う債務約38.5億円の返済を行い、その資金をもって当社は当該子会社に約29.4億円の増資を実施する予定です。これにより当該子会社においてEV充電事業の拡大に伴う資金需要に対する手当はできることとなり、以後当該子会社は中部電力ミライズ株式会社の子会社として、独立して資金調達を行うことを原則として運営されていく見込みです。また、2025年2月3日付の取締役会において、伊藤忠エネクス株式会社と資本業務提携契約を締結し、同社に対する第三者割当による新株式の発行を行うことを決議いたしました。当該第三者割当増資が実行された場合、当社本体においても資金増強ができることとなります。EV充電事業の合弁会社化により、当社の連結純資産は約30億円(2024年12月末時点での当社EV充電事業の財政状態をもとに試算した純資産改善額)、また第三者割当増資により、約28億円改善する見込みとなっております。
当社は、改善が見込まれる財務の健全性を背景に、「エネルギープラットフォーム事業」や「エネルギーデータ事業」における安定的なセグメント営業利益を継続的に増加させていくための取り組みを進めるとともに、「EV充電事業」においては、過去2年間のノウハウ蓄積等によりコスト効率化による収益性の改善を進め、収益力の強化を目指してまいります。
また、一部の借入金は財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関と資金計画等の協議を行い、引き続き取引金融機関と緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう努めており、2024年9月27日付「EV充電事業に係るコミットメントライン契約締結に関するお知らせ」のとおり、株式会社三井住友銀行及び株式会社あおぞら銀行とのコミットメントライン契約をEV充電インフラ1号合同会社及びEV充電インフラ2号合同会社にて締結しており、「EV充電事業」における投資に当面必要な資金を確保しております。なお、2024年12月23日付にて、直近のEV充電インフラに係る補助金交付決定状況を鑑みて8億円の増枠のためのコミットメントライン契約を締結しており、契約金額の総額は57億円となっております。さらに、当社は、2024年7月29日付「再発防止策の策定等に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、外部調査委員会の調査報告書の再発防止策の提言に沿って策定した再発防止策を速やかに実行し、皆様からの信頼回復に努めてまいります。
以上の施策をもって、必要な資金の確保及び維持を図っておりますが、「EV充電事業」における収益力の強化や、EV充電器及びその設置に係る工事費など多額の資金を必要とするEV充電事業における不確実性の解消については、EV充電事業の合弁会社化が予定されているものの、合弁会社化の効力発生日は2025年3月10日を予定していることや、第三者割当増資の払込は2025年2月19日を予定していること、調査報告書の公表の結果を受けて各種利害関係者との関係性や当社グループのブランド力が毀損する可能性があることを踏まえ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映しておりません。
⑩内部統制について
当社グループは、当社グループが「EV充電事業」において採用するSPCスキームにおけるSPCを当社の連結範囲に含めるべきかの協議を進める中、あずさ監査法人から、SPCスキームの遂行及び会計処理を行うに当たって、SPCの連結要否の検討に必要な情報が当社取締役会等に適時かつ十分に報告又は共有がされていなかった等の内部統制上の問題点があるのではないかとの指摘を受けたことを踏まえ、公平性を確保した調査により前提となる事実関係を明らかにするとともに、SPCを非連結とした従来の会計処理の検討過程の検証、当該会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、2024年3月27日外部調査委員会を設置して調査を依頼し、2024年6月21日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。今後は、特別調査委員会からの提言も踏まえ、再発防止策の策定と着実な実行、及び内部管理体制等の強化に努めてまいります。
ただし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、大株主、取引先、監督省庁等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪EV充電事業事業の合弁会社化及び資本業務提携等について
当社は、「EV充電事業」におけるSPC(EV充電インフラ1号合同会社)を非連結とした従来の会計処理に起因する一連の事案も踏まえ、2024年9月2日に当社開示の「事業計画及び成長可能性に関する事項」に記載のとおり、「財務基盤の強化」や「EV充電事業における将来のストック売上の最大化を可能にするインフラ設置加速のための外部資本の活用も含めたアプローチ」の具体案について、当社の企業価値や株主価値向上の観点から、あらゆる選択肢を検討してまいりました。その中で、2025年1月24日付で、中部電力ミライズとの合弁会社となる新会社においてEV充電事業を運営していくこと(以下「本EV充電事業の合弁会社化」といいます。)に関する契約を締結いたしました。また、2025年2月3日付で、伊藤忠エネクスとの間で本資本業務提携契約を締結いたしました。しかしながら、本EV充電事業の合弁会社化の完了は「EV充電事業」の吸収分割手続の完了など一定の条件があり、当該条件が成就しない可能性や本EV充電事業の合弁会社化が当初の想定通りに進まない可能性があります。加えて、本EV充電事業の合弁会社化、本資本業務提携のいずれも、経済環境の変化や当初想定していなかった事象の発生などにより、当初想定していた事業シナジーその他のメリットの全部又は一部を実現できない可能性があります。そのような場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、顧客基盤の強化、サービス価値向上、事業領域の拡大等のため、M&Aや資本業務提携等をその有効な手段の一つとして位置付けています。その実行に際しては、財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデュー・ディリジェンスを行い、各種リスクの低減に努めるとともに、事業の収益性や投資回収の実現性等を十分に検討した上で意思決定し、実行してまいりますが、経済環境の変化や当初想定していなかった事象の発生などにより、当初想定していた事業シナジーその他のメリットの全部又は一部を実現できない可能性があります。そのような場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第9期連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,637,621千円となり、前連結会計年度末に比べ889,455千円減少いたしました。これは主に売掛金及び契約資産が146,324千円、未収入金が438,591千円増加した一方、現金及び預金が887,343千円、商品及び製品が117,000千円、前渡金が417,637千円減少したことによるものです。
また、当連結会計年度末における固定資産は1,927,186千円となり、前連結会計年度末から304,560千円減少いたしました。これは主にソフトウエアが129,538千円増加した一方、投資有価証券が107,884千円、のれんが344,139千円減少したことによるものです。
この結果、総資産は、5,564,807千円となり、前連結会計年度末に比べ1,194,015千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,565,911千円となり、前連結会計年度末に比べ1,482,705千円増加いたしました。これは主に、未払金が548,835千円、短期借入金が102,255千円、契約負債が120,763千円、決算訂正関連費用引当金が919,850千円増加した一方、販売促進引当金が337,440千円減少したことによるものです。
また当連結会計年度末における固定負債は3,478,123千円となり、前連結会計年度末に比べ2,304,968千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が397,004千円、社債が1,000,000千円、リース債務が219,380千円、長期前受収益が405,250千円、長期未払金が287,796千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は、7,044,034千円となり、前連結会計年度末に比べ3,787,673千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は△1,479,226千円となり、前連結会計年度末に比べ4,981,689千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失4,985,167千円が計上されたことによる減少であります。
第10期中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は5,564,705千円となり前連結会計年度末に比べ1,927,083千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2,190,266千円増加したことによるものです。
また、当中間連結会計期間末における固定資産は2,121,133千円となり、前連結会計年度末に比べ193,947千円増加いたしました。これは主にソフトウェア仮勘定が47,595千円、投資その他の資産のその他が129,980千円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、7,685,838千円となり、前連結会計年度末に比べ2,121,030千円増加いたしました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は4,305,453千円となり、前連結会計年度末に比べ739,541千円増加いたしました。これは主に短期借入金が377,155千円、決算訂正関連費用引当金が437,939千円減少した一方、1年内返済予定の長期借入金が825,000千円、未払金が511,986千円、その他が100,686千円増加したことによるものです。
また、当中間連結会計期間末における固定負債は2,578,985千円となり、前連結会計年度末に比べ899,137千円減少いたしました。これは主に長期借入金が913,998千円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、6,884,438千円となり、前連結会計年度末に比べ159,595千円減少いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は801,399千円となり、前連結会計年度末に比べ2,280,626千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する中間純損失1,784,564千円が計上されたことにより利益剰余金が減少した一方、資本剰余金が4,042,229千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は10.1%(前連結会計年度末は△26.7%)となりました。
② 経営成績の状況
第9期連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、個人消費や企業収益に持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、円安による物価の上昇や、金融資本市場の変動等により、依然として不透明な状況となっております。
当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。
長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。また、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)をはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。
このような環境のもと、当社グループでは、「EV充電事業」においては、引き続きEV充電分野における当社のシェア向上に向けた積極的な営業活動や投資に加え、EVユーザーの更なる利便性の向上に資する取り組みを継続しました。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、電力会社との連携を強化しつつ、スマートメーター由来の電力データが一定のルール下で開放される中、当該データを活用したサービスとして「エネチェンジ・マイエネルギー」の提供を開始しました。本サービスを通じ、多様化・複雑化する電気料金プランに対し最適な電力プランを提案することで、継続的な新規顧客獲得及び既存顧客のサポートを強化する方針です。
「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開し、ENEOS株式会社が提供する「ENEOS ChargePlusEV充電アプリ」の開発を受託するなど、サービス展開を強化しております。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高4,379,001千円(前期比17.3%増)、営業損失2,125,017千円(前期は営業損失1,121,703千円)、経常損失2,404,967千円(前期は経常損失1,156,664千円)となりました。また、特別損失としてEV充電事業等に係る減損損失1,606,489千円、2023年12月期の決算訂正に関連する特別費用として919,850千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は4,985,167千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,315,060千円)となっております。
なお、営業外収益で補助金受贈益120,487千円、また、営業外費用で固定資産圧縮損114,067千円を計上しております。これらはEV充電事業における充電インフラ整備に係るものであります。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
(I)EV充電事業
「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のために、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電の設置口数は累計で2,076台(注3)となりました。また、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでまいりました。
以上の結果、セグメント売上高は139,807千円(前期比26.2%減)、セグメント損失は2,081,636千円(前期はセグメント損失784,491千円)となりました。
(II)エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は前連結会計年度比24.2%増の573,139件となりました。また、電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当連結会計年度のARPU(注4)(ストック収益)は616円で前連結会計年度比で23%増となり、当連結会計年度のARPU(フロー収益)は14,239円で前連結会計年度比で71%増となりました。
以上の結果、セグメント売上高は3,241,980千円(前期比25.9%増)、セグメント利益は359,435千円(前期比58.6%増)となりました。
(III)エネルギーデータ事業
「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は前連結会計年度比5.2%増の61社となりました。また、既存顧客へのクロスセルにより、当連結会計年度のARPU(ストック収益)は前連結会計年度比17.5%増の3,246千円、当連結会計年度のARPU(フロー収益)は前連結会計年度比1.2%増の1,033千円となりました。
以上の結果、セグメント売上高は997,212千円(前期比2.9%増)、セグメント利益は158,420千円(前期比3.3%減)となりました。
(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。
2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。
3.EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)
4.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。
第10期中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、足踏みも見られますが、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、おだやかに回復しております。景気の先行きについては、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、依然として不透明な状況となっております。
このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」においては、「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、電力会社との連携を強化しつつ、継続的な新規顧客獲得及び既存顧客のサポートに注力してまいりました。
「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。とりわけ、電力需給ひっ迫に伴う節電の社会的要請の高まりにより、電力需要家に節電量に応じたインセンティブを提供する、デマンドレスポンスサービスの営業促進に注力しました。
「EV充電事業」においては、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の充電インフラ整備事業に対応したチャージ2及びマンション向けのモデルであるチャージ3の積極的な営業展開や、タクシー・エレベーター広告等の積極的な広告宣伝を開始するなど、EV充電分野における当社のシェア向上に向けた積極的な投資を継続しました。また株式会社e-Mobility Powerとの提携を中心としてEVユーザーの更なる利便性の向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの経営成績は、売上高2,721,923千円(前年同期比33.0%増)、営業損失1,421,093千円(前年同期は営業損失1,151,138千円)、経常損失888,409千円(前年同期は経常損失1,213,232千円)、親会社株主に帰属する中間純損失1,784,564千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失1,214,093千円)となっております。
なお、営業外収益で補助金受贈益716,752千円を計上しております。これらはEV充電サービス事業における充電インフラ整備に係るものであります。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(I)エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は前年同期比23.7%増の627,094件となりました。また電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当中間期のARPU(注1)(ストック売上)は606円となり、ARPU(フロー売上)は25,276円となりました。以上の結果、セグメント売上高は2,098,989千円(前年同期比36.4%増)、セグメント利益は165,287千円(前年同期比53.7%増)となりました。
(II)エネルギーデータ事業
「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入及びプロダクト開発を進めた結果、顧客数は前年同期比6.6%減の57社となりました。また、既存顧客へのクロスセルにより、当中間期のARPU(ストック売上)は前年同期比22.1%増の3,862千円、ARPU(フロー売上)は前年同期比33.8%増の1,009千円となりました。以上の結果、セグメント売上高は567,052千円(前年同期比18.2%増)、セグメント利益は95,762千円(前年同期比13.2%減)となりました。
(III)EV充電事業
「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のためにエンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電(6kw以上)の設置口数は2024年6月末時点で累計2,429口(注2)となりました。また、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでまいりました。以上の結果、セグメント売上高は55,881千円(前年同期比101.4%増)、セグメント損失は1,172,073千円(前年同期はセグメント損失1,018,570千円)となりました。
(注)1.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。
2.EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)
③ キャッシュ・フローの状況
第9期連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,179,715千円(前連結会計年度末3,067,058千円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は1,914,924千円(前期は1,910,932千円の支出)となりました。主な増加要因は、減価償却費83,348千円、のれん償却額109,052千円、減損損失1,606,489千円、決算訂正関連費用引当金の増減額919,850千円、固定資産圧縮損114,067千円、未払金の増加395,037千円、補助金の受取額114,278千円等であり、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失4,959,249千円、補助金受贈益120,487千円、販売促進引当金の減少333,862千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は1,392,533千円(前期は1,546,692千円の支出)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,109,800千円、無形固定資産の取得による支出166,920千円、投資有価証券の取得による支出124,563千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は2,385,044千円(前期は958,454千円の収入)となりました。主な増加要因は、社債の発行による収入1,000,000千円、セール・アンド・リースバックによる収入886,681千円、短期借入れによる収入102,255千円、長期借入れによる収入570,000千円、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出137,996千円等であります。
第10期中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間連結会計期間における資金は4,369,982千円(前連結会計年度末2,179,715千円)となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動の結果使用した資金は526,566千円(前年同期は1,018,408千円の支出)となりました。主な増加要因は、減損損失634,417千円、支払利息97,280千円、未払金の増加額729,077千円、その他105,146千円、補助金の受取額681,460千円等であり、主な減少要因は、税金等調整前中間純損失1,782,721千円、決算訂正関連費用引当金の減少額437,939千円、補助金受贈益716,752千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は1,491,688千円(前年同期は714,175千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,098,608千円、無形固定資産の取得による支出86,522千円、短期貸付けによる支出117,724千円、長期貸付けによる支出129,990千円、条件付き取得対価の支払額86,870千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動の結果得られた資金は4,195,717千円(前年同期は71,878千円の支出)となりました。主な増加要因は、株式の発行による収入3,999,899千円、セール・アンド・リースバックによる収入690,650千円等であり、主な減少要因は、短期借入金の純増減額377,155千円、リース債務の返済による支出62,977千円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.商品仕入実績
第9期連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
第9期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
EV充電事業 |
412,706 |
198.5 |
エネルギープラットフォーム事業 |
- |
- |
エネルギーデータ事業 |
- |
- |
合計 |
412,706 |
198.5 |
c.受注実績
当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
d.販売実績
第9期連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
第9期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
EV充電事業 |
139,807 |
73.8 |
エネルギープラットフォーム事業 |
3,241,980 |
125.9 |
エネルギーデータ事業 |
997,212 |
102.9 |
合計 |
4,379,001 |
117.3 |
(注)最近2連結会計年度及び第10期中間連結会計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
第8期連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
第9期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
第10期連結中間会計期間 (自 2024年1月1日 至 2024年6月31日) |
|||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社NEXT ONE |
27,606 |
0.7 |
843,481 |
19.3 |
471,914 |
10.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりま。この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えています。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っていますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。
② 財政状態及び経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
第9期連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度において、売上高は4,379,001千円(前連結会計年度は3,734,068千円)となりました。主な要因は、「EV充電事業」においては、「EV充電エネチェンジ」の販売促進に取り組んだ結果、累計2,076台の目的地充電における充電設備の設置が進んだことによります。「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人共に切替件数が堅調に推移し、ユーザー数が前連結会計年度比24%増の573,139件となったことに加え、ARPUが好調に推移したことによります。「エネルギーデータ事業」においては、既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進め、顧客数は前連結会計年度比5%増の61社となり、既存顧客へのクロスセル等によりARPUが安定した推移となったことによります。「EV充電事業」における設置台数の推移、「エネルギープラットフォーム事業」におけるユーザー数、「エネルギーデータ事業」における顧客数については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度において、売上原価は1,027,404千円(前連結会計年度は798,344千円)となりました。主にEV充電事業拡大に伴う仕入れの増加によるものです。
この結果、売上総利益は3,351,596千円(前連結会計年度は2,935,723千円)となりました。当連結会計年度においては、「EV充電事業」の進捗に伴い、「EV充電事業」の売上原価が大きく増加したため、前連結会計年度より売上総利益率が悪化しております。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は5,476,614千円(前連結会計年度は4,057,427千円)となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費、業務委託費等の増加、「EV充電事業」の普及のための広告宣伝費の増加等によるものです。
この結果、営業損失は2,125,017千円(前連結会計年度は営業損失1,121,703千円)となりました。
(経常損失)
当連結会計年度において、営業外収益が131,277千円(前連結会計年度は220,485千円)、営業外費用が411,227千円(前連結会計年度は255,445千円)となりました。営業外収益減少の主な要因は、補助金受贈益が74,105千円減少したことによるものです。営業外費用増加の主な要因は、支払利息が56,007千円、持分法による投資損失が90,573千円、租税公課が38,217千円増加したことによるものです。
この結果、経常損失は2,404,967千円(前連結会計年度は経常損失1,156,664千円)となりました。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度において、特別損失が2,554,281千円(前連結会計年度は76,219千円)となりました。特別損失増加の主な要因は、減損損失1,606,489千円、決算訂正関連費用引当金繰入額919,850千円によるものです。
この結果、税金等調整前当期純損失4,959,249千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失1,229,182千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税が25,360千円(前連結会計年度は76,891千円)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失が4,985,167千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,315,060千円)となりました。
第10期中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
(売上高)
第10期中間連結会計期間において、売上高は2,721,923千円(前中間連結会計期間は2,046,162千円)となりました。主な要因は、「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のためにエンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電(6kw以上)の設置口数は2024年6月末時点で累計2,429口(注1)と設置が進んだことによります。「エネルギープラットフォーム事業」においては、継続報酬対象ユーザー数が前年同期比23.7%増の627,094件となりました。また電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当中間期のARPU(注2)(ストック売上)は606円、ARPU(フロー売上)は25,276円となり、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移となったことによります。「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入及びプロダクト開発を進めた結果、顧客数は前年同期比6.6%減の57社となりました。また、既存顧客へのクロスセルにより、当中間期のARPU(ストック売上)は前年同期比22.1%増の3,862千円、ARPU(フロー売上)は前年同期比33.8%増の1,009千円となったことによります。
(注)1.EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)
2.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。
(売上原価、売上総利益)
第10期中間連結会計期間において、売上原価は546,260千円(前中間連結会計期間は418,654千円)となりました。主にEV充電事業拡大に伴う仕入れの増加によるものです。
この結果、売上総利益は2,175,663千円(前中間連結会計期間は1,627,507千円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
第10期中間連結会計期間において、販売費及び一般管理費は3,596,757千円(前中間連結会計期間は2,778,646千円)となりました。主な要因は、業務委託費及び販売手数料等の増加等によるものです。
この結果、営業損失は1,421,093千円(前中間連結会計期間は営業損失1,151,138千円)となりました。
(経常損失)
第10期中間連結会計期間において、営業外収益が717,486千円(前中間連結会計期間は122,053千円)、営業外費用が184,802千円(前中間連結会計期間は184,147千円)となりました。営業外収益増加の主な要因は、補助金受贈益が602,474千円増加したことによるものです。
この結果、経常損失は888,409千円(前中間連結会計期間は経常損失1,213,232千円)となりました。
(税金等調整前中間純損失)
第10期中間連結会計期間において、特別損失が894,311千円(前中間連結会計期間は-千円)となりました。特別損失増加の主な要因は、減損損失634,417千円、決算訂正関連費用引当金繰入額259,043千円によるものです。
この結果、税金等調整前当期純損失1,782,721千円(前中間連結会計期間は税金等調整前中間純損失1,213,232千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
第10期中間連結会計期間において、法人税、住民税及び事業税が1,943千円(前中間連結会計期間は961千円)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する中間純損失が1,784,564千円(前中間連結会計期間は親会社株主に帰属する中間純損失1,214,093千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであり、当該リスクが顕在化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。そのため、当社グループは、市場動向等を注視し、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等を行い、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減する対応を適切に行ってまいります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものには、「EV充電事業」における人件費及びEV充電器設備の取得から、当該EV充電設備に対応する補助金の受領までの間におけるEV充電機器・工事費用、「エネルギープラットフォーム事業」における人件費及び販売手数料、「エネルギーデータ事業」におけるソフトウエア制作に係る人件費及び外注費のほか、管理部門における人件費等があります。
当社グループでの資金需要は、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としており、当社は、2024年2月に第三者割当による普通株式の発行を実施し、3,999,899千円を調達しておりますが、今後も資金需要の金額や資金使途に応じて柔軟に検討を行う予定です。
第10期中間連結会計期間における現金及び現金同等物の残高は4,369,982千円となっています。
⑤ 経営者の問題認識及び今後の方針について
当社グループが認識する課題等について、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。これらの課題に対し、経営者は市場ニーズや事業環境の変化に関する情報の入手、分析を行い、現在及び将来の事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を適切に配分し、対応策を実施していく方針です。
⑥ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
(第三者割当による新株式の発行)
当社は、2024年2月9日開催の取締役会において、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当による新株式を発行することを決議し、株式引受契約書および総数引受契約書を締結しました。その概要は次のとおりであります。
(1)発行する株式の種類及び数 :3,784,200株
(2)発行価格 :1株につき1,057円
(3)発行価格の総額 :3,999,899千円
(4)資本組入額 :1株につき528.5円
(5)資本組入額の総額 :1,999,949千円
(6)募集又は割当方法 :第三者割当増資
(7)割当先 :JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合
(8)資金の使途 :今後の成長に向けた投資資金として
① 「EV充電事業」のプロモーション強化及び事業運営体制強化のための投資に係る資金
② EV充電インフラのネットワーク構築のための充電機器購入に係る運転資金
③ 「EV充電事業」の将来成長に資する投資資金
なお、当社は、2024年3月27日付開示の「外部調査委員会の設置及び2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」のとおり、EV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めるための対応を行うことといたしました。具体的には、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」で定められている支配力基準に基づく実質的な支配があるものと評価して、当社の連結範囲に含めることといたしました。
上記株式引受契約書においては、当社の連結財務諸表の正確性等に関する表明保証条項が規定されており、上記のとおりEV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めることに関してJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合から表明保証条項に抵触するとして損害賠償請求を受けるリスクが理論上ありますが、当社は、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合との間で、現時点では表明保証条項を理由とする損害賠償請求の予定はない旨を確認しております。
(EV充電事業におけるコミットメントライン契約の締結)
当社子会社のEV充電インフラ1号合同会社及びEV充電インフラ2号合同会社は、設備投資その他の必要資金調達のため、2024年9月30日付で株式会社三井住友銀行及び株式会社あおぞら銀行とコミットメントライン契約を締結しております。なお、2024年12月23日付で株式会社三井住友銀行及び株式会社あおぞら銀行と8億円の増枠のためのコミットメントライン契約を締結しており、契約金額の総額は57億円となっております。また、当該契約の締結に伴い、EV充電インフラ1号合同会社と株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする取引銀行等4社との間の2023年11月30日付のコミットメント型シンジケートローン契約(総額1,150,000千円)は2024年6月28日付で終了しております。
(1)借入先 :株式会社三井住友銀行
株式会社あおぞら銀行
(2)コミットメント金額 :57億円
(3)資金使途 :EV充電事業運営資金
(4)借入金利 :全銀協日本円TIBOR等+スプレッド
(5)コミットメント期間 :2024年10月9日から2025年3月31日
(6)担保・保証の有無 :有(預金担保、当社及び当社グループ会社による債務保証)
(EV充電インフラ1号合同会社における匿名組合持分に係る合意書の締結)
当社は、EV充電インフラ1号合同会社の社債権者(3者)との間で、事前合意の定めにより、出資後3年経過時点で保有する社債が匿名組合出資持分(TK持分)に転換された以降、当社が出資簿価にて出資者のTK持分を買いとる権利(コール・オプション)を有し、また、当該出資者がそのTK持分を当社もしくは当社が指定する第三者に出資簿価で売り渡す権利(プット・オプション)を有することを定めた匿名組合持分に係る合意書を締結しております。
A種匿名組合出資持分
(1)プット・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降
(2)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(100,000千円)
B種匿名組合出資持分
(1)コール・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降
(2)プット・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降
(3)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(200,000千円)
(1)コール・オプションの行使期間 :2026年10月31日以降
(2)プット・オプションの行使期間 :2026年10月31日以降
(3)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(700,000千円)
(EV充電事業の合弁会社化に関する契約の締結)
当社は、2025年1月24日付の取締役会決議により、新たに当社の完全子会社(以下「新会社」という。)を設立し、当社が運営するEV充電サービス「EV充電エネチェンジ」に関する事業を、新会社に対して吸収分割の方法により承継させた上で、新会社の発行済株式のうち51.0%を、中部電力ミライズに譲渡(以下「本株式譲渡」という。)し、更に本株式譲渡の実行後に当社及び中部電力ミライズが、その持株比率(当社:49.0%、中部電力ミライズ:51.0%)に応じて新会社の増資を引き受けることにより、中部電力ミライズとの合弁会社となる新会社においてEV充電事業を運営していくことを決定し、新会社との間で吸収分割契約、中部電力ミライズとの間で本株式譲渡に係る株式譲渡契約及び新会社の運営に係る株主間契約を締結いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。