第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当中間連結会計期間における世界経済は、欧米においては中央銀行による利下げが実施されるほどにインフレが落ち着きつつある環境となり、米国では堅調な拡大を維持、欧州もゼロ成長の停滞から持ち直しております。不動産市場の調整局面入りによって成長率が鈍化している中国においても政府の景気支援策によって一定の効果が期待される環境となっております。国内経済においては、日経平均株価が最高値を更新し、幅広い分野で物価が上昇しており、長く続いたデフレからの転換を迎える環境となりました。

このような事業環境のもと、当中間連結会計期間における経営成績は、売上高564,574千円(前年同期比5.0%増)、営業損失214,120千円(前年同期は209,069千円の損失)、経常損失228,379千円(前年同期は210,897千円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失168,494千円(前年同期は158,800千円の損失)となりました。

 

セグメントの経営成績(セグメント間の内部取引消去前)は、次の通りであります。

(オプティカル事業)

当中間連結会計期間は、中国、国内、台湾のアジア市場向けと欧州向けの案件が中心となり売上に寄与いたしました。

当社の主な販売先である国内外の放射光施設やⅩ線自由電子レーザー施設における需要については、国内の次世代放射光施設NanoTerasuをはじめ、中国及び欧米の放射光施設においてバージョンアップや新設計画が順調に展開しており、特に中国ユーザーの当セグメントの売上高は前年同期比で倍増しており、受注活動も良好に推移している状況にあります。既存取引先である上海や北京の施設だけでなく、これまで取引のない都市に新設された放射光施設からの受注環境も整ってまいりました。その他、国内、台湾、韓国などでの需要の高まりも併せて、アジア市場の中長期的な成長が見込まれております。また、欧州市場の放射光施設においてもアップグレードが進んでおり、こちらも当セグメントの売上高は前年同期比で増加いたしました。受注に関しても、これまで取引のなかったスペインの放射光施設向け高精度ミラーの受注に至っており、中規模放射光施設における需要の高まりによって、顧客のすそ野が広がっております。利益面におきましては、前年同期の売上案件と比較して当セグメントは利益率の高い高精度品の案件が多かったため、セグメント損失から利益へと改善いたしました。

また、これまでの主たる取引先である大学や公的研究機関との更なる取引拡大もさることながら、当社の先駆的な技術によって販売提供するAdvancedKBミラーと形状可変ミラーについては、国内外の企業からの引合いが増加し、BtoB事業展開への足掛かりとなっております。企業を対象とした営業展開の活性化によって、可視光・レーザー・Ⅹ線領域の高精度光学素子に対する引合いが増加しており、当社の独自技術を応用したX線ミラー以外の産業分野における市場開拓の推進によって、更なる業容拡大を図っております。

以上の結果、売上高は346,437千円(前年同期比37.9%増)、セグメント利益は55,820千円(前年同期は27,661千円の損失)となりました。

 

(ライフサイエンス・機器開発事業)

当中間連結会計期間のライフサイエンス・機器開発事業の売上は、ライフサイエンス関連では自動細胞培養装置「MakCell®」の販売実績に加え、装置メンテナンスや消耗品の販売実績によって前年と同水準の売上水準を維持いたしました。機器開発関連では各種装置向け部材品の案件が売上に寄与いたしましたが、前年に実績のあった装置類の販売に至っておりません。

昨年度に続きライフサイエンス・機器開発事業の重点新規事業分野として、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術であるプラズマ化学気相加工法(PCVM)、プラズマ援用研磨法(PAP)、触媒基準エッチング法(CARE)による表面加工装置の商品化、販売活動に加え、昨年度から電気化学機械研磨法(ECMP)の開発、製品化を推進しております。その結果、プラズマ援用研磨装置1台を受注いたしました。

また、販売活動の一環として、「SEMICON Taiwan 2024」への出展に引続き、当中間連結会計期間は「SEMICOMジャパン2024」へ出展をおこない、新たな顧客開拓を推進してまいりました。その結果、複数企業からテスト加工の依頼を受け、現在は試作と顧客評価を進めており、具体的な受注には至らなかったものの、顧客の要求特性を満足する成果が得られております。今後はさらに試作と顧客評価のサイクルを加速することで、販売体制の強化に努めてまいります。特にプラズマ援用研磨法による単結晶ダイヤの高速・高精度研磨、電気化学機械研磨法によるSiCウェハの高速研磨に関する引合いやテスト加工の依頼が増加傾向にあります。今後更なる技術のブラッシュアップを図り、市場ニーズに合致した製品の提供と、営業の展開力アップによる販路拡大、さらにウェハメーカ、デバイスメーカとのコラボレーションに繋げるなど、製品展開と売上拡大を推進してまいります。

一方、ライフサイエンス関連では、昨今の働き方改革、製薬開発における動物実験禁止の世界的な潮流によって、「MakCell®」をはじめとする自動細胞培養装置へ追い風の環境となっており、さらに潜在市場の掘り起こしを加速してまいります。その中でも超大型・全自動の細胞培養システムのニーズが高まっていることから、受注へ向けた営業活動を進めております。

以上の結果、売上高は31,255千円(前年同期比17.4%減)、セグメント損失は76,951千円(前年同期は60,672千円の損失)となりました。

 

(その他事業)

その他事業は子会社の電子科学株式会社であり、同社の売上構成は、装置販売(TDS:昇温脱離分析装置)、装置のメンテナンス業務、受託分析業務の3つに分かれます。当中間連結会計期間の同社売上高は、受注金額が大きくなる主力事業の装置販売において2件(販売先:国内及び中国)の案件が寄与いたしました。その他に高単価の案件として大型工事が1件あり、前年同期において低迷しておりました受託分析業務の売上が大きく回復いたしましたが、装置販売実績が3件であった前年同期比での売上減少を補うに至りませんでした。

現在、電子科学株式会社の分析技術と当社の自動化技術との連携を行い、新しい製品の企画、創出に注力しており、新たな市場に製品投入することで新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大に努めております。現在、当社とともに新たな機能の装置開発を進めており、市場への新製品投入に向けたマーケティング活動を推進しております。営業活動地域についても、対象マーケットの幅を広げ、積極的に営業活動を推進しており、その活動成果として韓国の公的機関から装置受注に至りました。その他、米国での販売見込み先も発掘されており、今後は更に新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大を図ってまいります。

研究開発と販売の両面でグループ企業としての強みを活かし、新たな市場に製品投入することで新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大に努めております。反面、企業価値拡大に向けた先行投資の影響で人件費や研究開発費が増加しており、目先の利益を圧迫する要因となっております。

以上の結果、売上高は187,212千円(前年同期比24.9%減)、セグメント利益は1,353千円(前年同期比96.9%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間における流動資産は1,569,637千円となり、前連結会計年度末に比べ246,091千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が273,672千円及び仕掛品が100,857千円増加した一方で、売掛金が631,160千円減少したことによるものであります。固定資産は1,780,346千円となり、前連結会計年度末に比べ28,552千円増加いたしました。これは主に、のれんが21,191千円及び機械装置及び運搬具が4,040千円減少した一方で、繰延税金資産が73,507千円増加したことによるものであります。

以上の結果、総資産は3,349,984千円となり、前連結会計年度末に比べ217,538千円減少いたしました。

 

(負債)

当中間連結会計期間における流動負債は384,262千円となり、前連結会計年度末に比べ28,923千円減少いたしました。これは主に契約負債が21,695千円増加した一方で、買掛金が15,065千円及び未払法人税等が22,826千円減少したことによるものであります。固定負債は419,038千円となり、前連結会計年度末に比べ38,522千円減少いたしました。これは主に長期借入金が37,728千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は803,300千円となり、前連結会計年度末に比べ67,445千円減少いたしました。

 

(純資産)

当中間連結会計期間における純資産合計は2,546,683千円となり、前連結会計年度末に比べ150,093千円減少いたしました。これは主に利益剰余金が168,494千円減少したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ273,672千円増加し、883,902千円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は343,264千円(前年同期は137,479千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失228,438千円の計上及び棚卸資産の増加115,274千円による支出があった一方で、売上債権の減少642,160千円、契約負債の増加21,695千円、減価償却費55,229千円及びのれん償却額21,191千円による収入があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は31,521千円(前年同期は51,318千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出31,151千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は37,728千円(前年同期は37,728千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出37,728千円があったことによるものであります。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、143,617千円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定、または、締結等はありません。