当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「100年続くいい会社」となるべく、9つの経営理念を掲げ、その実現とさらなる追求に邁進してまいります。
当社グループが展開する事業は、福祉、医療、教育、文化の4分野にまたがります。それら4分野はサービスを提供することで、ご利用者だけでなく、そのご家族、そして提供させて頂いた当社グループの従業員の成長と生活を助け、社会に貢献することに繋がっております。サービス提供にあたっては、「最大ではなく最高のサービスの提供」、「人間の尊厳を尊重し、ご利用者本位の真心と優しさのこもったサービスの提供」を目標に、ご利用者から最も支持され、信頼される企業となることを目指しております。
これらの実現に向け、「福祉理念と市場原理の融合」を図り、継続的に企業価値を高めることで、株主をはじめとしたステークホルダー(利害関係者)の信頼と期待に応えるべく努めてまいります。そして、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるためには、当社グループの経営資源の源泉たる従業員の声を聞き、より良い仕組みや体制を構築する必要があります。そのために「現場第一主義」に根ざし、「徹底討論・徹底和解」を行い、「人を大事にし、人を育てる」ために、「常に考え、変わり続ける」企業であり続ける必要があることから、すべての経営理念が当社のグループ経営における根幹を形成しております。
今後の経営環境につきましては、介護市場全体の伸びは継続的に推移するものの、既存事業者間の競争激化や労働力人口減少に伴う介護の担い手不足など、多くの課題を突き付けられており、厳しい経営環境が継続するものと考えられます。また、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化や各国中央銀行による金融政策引き締めの波及効果によりサービス提供に欠かせない物品の調達・維持コストの上昇は継続し、長期化が見込まれることから、特に、費用面での対応が必要となっております。
コンプライアンスを遵守した経営を重視しながら、介護分野におけるご利用者のニーズの変化に応えるため、在宅系訪問介護事業については、引き続きM&Aを含む積極的な新規事業所の展開を進めてまいります。
有料老人ホーム、グループホーム等の施設系介護事業については、入居率及び収益性の改善が喫緊の課題ですが、中長期的には積極的な開設を続け、軽度介護者の受け入れや介護周辺業務の充実等も加え、介護事業全体でのシェアの拡大への取り組みを進めてまいります。
また、認可保育所、障がい児通所支援事業所、及び福祉用具サービス事業所についても積極的に開設、新規事業開発にも果敢に挑戦することに加え、海外に設立した在外子会社において、当社グループの経営理念や介護サービスの特徴について浸透を図り、本格的に海外展開を進めることによって、総合福祉企業としての地位確立に向けた取り組みを加速し、中長期的な事業展開の実現可能性を高め、継続的な企業価値の拡大を図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、長期的・継続的な企業価値の向上及び株主資本の効率的活用が重要であると認識しており、売上高伸長率、売上高経常利益率並びにROE(自己資本利益率)を主要な経営指標として位置づけ、売上高伸長率については新規出店数に沿った着実な成長を、売上高経常利益率及びROEについては前年数値を継続的に上回ることをそれぞれ目標としております。これら目標の達成に邁進することにより、企業規模拡大と利益率向上を果たし、企業価値の最大化を実現してまいります。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループの主要事業であります介護事業市場における変化や競争激化に対応するため、以下のテーマを重要課題として取り組んでまいります。
① 人財の確保と育成
要介護認定者数の継続的な高い伸びや当社の営業拠点の拡大から、介護サービス提供者(介護福祉士・ホームヘルパー・ケアマネジャー・看護師等)が恒常的に不足しており、また、法改正によるサービス提供責任者の要件変更やサービスの質に対する要求度も高まってきているところから、社内求職者紹介制度の活用などにより、引き続き優秀な人財を確保するとともに、適切な人財配置と教育研修による人財の育成及び雇用条件の向上により、社員及びご利用者に安心・安全を提供できる環境を作ってまいります。これに併せて、2017年11月に技能実習法が施行され、外国人技能実習生の受け入れ人数拡大や制度の拡充が図られるなど、事業者にとってより有用な制度設計がなされたことから、当社グループにおいても技能実習生制度を活用するとともに、外国人留学生についても積極的に受け入れを進めるなど、人財確保手段を多様化することでより安定的に人財が確保できるよう努めてまいります。
② 社内管理体制の強化
社内管理体制におきましては、内部統制システムの更なる強化を推し進め、業務効率の向上を図るとともに、安心・安全な情報セキュリティー体制、迅速な経営判断と情報開示体制に基づく強固なコンプライアンス体制の構築に取り組んでまいります。
③ 新規事業
当社グループは、介護保険制度の変動リスクを軽減するとともに、ご利用者の安心・安全・利便・生きがいの向上に役立つ新規事業開発やM&A案件等の取り組みを積極的に進め、体質強化を図ってまいります。
④ 財務体質の改善
当社グループは介護事業の市場拡大基調が継続するとの予測の下、積極的に事業の拡大を図っております。当社グループでは、開設時の初期投資軽減のため、主に長期リース契約にて物件を確保しており、有利子負債比率が高い水準にありますが、その一方で、このような環境においても事業拡大のために必要な投資を着実に実行していくことが、当社グループの長期にわたる事業拡大と利益成長の礎となるものと判断しております。そのため、今後も積極的に新規投資を実施いたしますが、投資資金調達については案件に応じ最適化を図ることにより、有利子負債をコントロールすることで、当社グループの財務体質の改善を図ってまいります。
当社グループは、9つの経営理念を掲げ、福祉、医療、教育、文化の4分野を通じて、総合福祉企業として、株主・ご利用者及びそのご家族・取引先の皆様並びに従業員をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼と期待に応える「100年続くいい会社」を目指しております。また、当社グループは、法令遵守のもと、経営の透明性・公平性を向上させるための機能の拡充や、迅速、的確な経営判断、及び意思決定が可能な体制の構築など、コーポレート・ガバナンスの確立・充実に努めることが重要な経営課題であると位置付けております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、現状、サステナビリティに関する基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続等の体制を、その他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。
詳細は、「
(2)戦略
当社グループでは、総合福祉企業として社会的責任を果たし、持続的な成長、企業価値向上を実現していくうえで、人財は最も重要な経営課題であると認識しており、その確保に向けた取組み、社内研修体制、給与・評価制度の一層の充実に取り組んでまいります。
①人財確保の取組み
当社グループは、女性従業員や中途採用者の比率が高いことから、女性従業員等が安心して活躍できる環境整備が必要事項と認識しており、性別・国籍等に関わらず有能な人財の管理職への登用、子育てサポート(「くるみん認定」)、定年制度の撤廃といった取組みを行っております。加えて、技能実習生及び留学生の受入れも積極的に取組み、将来的にベトナム社会主義共和国における介護人財の育成を目指して同国にて日本語教育センターを開校いたしました。
また、前連結会計年度に開発した採用管理システムだけでなく、人財管理システムの更新により、本社人事部門と事業所がよりリアルタイムに人財情報を共有できる仕組みの構築を予定しております。
②社内研修体制の充実
大阪本社・東京本社において、接遇を含めた介護技能の指導・研修を行う研修センターを設置し、介護技能を待遇に反映させるための社内制度「技能段位制度」に加えて、第31期より「チャレンジキャリア制度」を創設し、介護従事者の知識・スキル、モチベーションの向上等により、サービスの質の向上、離職率の低減に繋げ、人財の更なる育成を図ってまいります。
③給与・評価体制
同一労働・同一賃金を基本とし、従業員の能力・資格・経験等に応じた処遇が適切になされる給与制度を整備しております。また、当社独自の「誰伸び評価制度」により従業員と上司がコミュニケーションを密にし、従業員それぞれが目指す目標を明確にすることにより成長、モチベーションの向上に繋げております。
(3)リスク管理
当社グループでは、トータル・リスクマネジメント体制の実践的運用を確保するため、リスク管理規程を定め、リスク管理委員会を設置してグループ全体のリスクを網羅的・総括的に管理し、リスク管理体制を明確化しております。リスク管理体制に係る各部門責任者はその職責に応じて調査・監査し適切な対応を行うとともに、その結果を定期的に取締役会及び監査役会に報告しております。
また、コンプライアンス体制を確保し実践的運用を徹底するため、企業行動憲章及びコンプライアンス基本規程を定め、コンプライアンス委員会を設置してコンプライアンス体制の統括及びコンプライアンスに関する業務を執行し、必要に応じて各担当部署にて規則・ガイドライン等の策定、研修を実施しております。詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループでは、現状、サステナビリティに関する基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連の指標及び目標の記載はいたしません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)介護保険制度等について
当社グループが行っている介護事業は、主に介護保険法に基づく介護サービスが中心であり、同法及び関連諸法令の規制を受けます。介護サービスを行うには、サービス毎に都道府県等自治体の指定を受ける必要があり、これら法令には介護報酬減額や指定取消事由も細かく定められる等、コンプライアンスを強く意識した運営が求められる事業であります。介護保険制度については、3年毎に介護報酬の改定が行われることとされており、2021年4月に改正介護保険法の施行及び介護報酬の改定が行われました。この改正で、介護報酬は、小幅ながらもプラス改定となりましたが、今後、介護報酬の引き下げ等の介護事業者にとって不利な改正がなされた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、介護周辺事業を中心とした新規事業へ積極的に参入し、介護報酬改定が財政状態及び経営成績に及ぼす影響を緩和するための取り組みを進めております。
(2)法的規制について
当社グループが行っている介護事業は、以下の法的規制を受けております。なお、現時点において、当社グループが行っている各事業に許認可等取消事由や営業停止事由は発生しておりません。
介護保険法においては、在宅系の「居宅介護支援事業」を行うには「指定居宅介護支援事業者」の指定を、訪問介護その他の「居宅サービス事業」を行うには「指定居宅サービス事業者」の指定を、それぞれ都道府県等各自治体から受けることが必要とされております。厚生労働省令第37号では、従業員の資格要件及び人員数要件、設備などの一定要件、さらにサービス区分と介護報酬等についても詳細に規定されており、これらの規定に従って事業を遂行する必要があります。
施設系の「有料老人ホーム事業」は、介護保険法による「特定施設入居者生活介護」及び老人福祉法による「介護付有料老人ホーム」との位置づけで、都道府県等各自治体の指定を受ける必要があり、「グループホーム事業」は、介護保険法による「認知症対応型共同生活介護」との位置づけで、市(区)町村長の指定を受ける必要があります。在宅系と同様に厚生労働省令第37号では、「入居者3名に対し、職員1名以上」を配置する人員数規定や、管理者及び計画作成担当者等の人員配置とそれぞれの資格要件等並びに設備などの一定の要件が定められており、これらの規定に従って事業を遂行する必要があります。
また、障害者総合支援法においては、「居宅介護、重度訪問介護、同行援護」を行うには都道府県等各自治体より「指定障害者福祉サービス事業者」の指定を受けることが必要とされております。厚生労働省令第171号では、事業等の人員、設備及び運営に関する基準が規定されており、これらの規定に従って事業を遂行する必要があります。
介護保険法には、第77条、第78条及び第84条において、指定基準等未充足や介護報酬の不正請求等指定の取消事由に該当する場合に指定を取り消すことができる旨が規定されております。また、第70条、第78条及び第79条において、6年毎に指定の更新を受けなければ、その期間の経過によって、効力を失う旨が規定されております。
万が一これらの基準が充足できない事態が生じ、監督官庁から行政処分を受けることとなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社内研修の充実、人員配置状況のモニタリング徹底等の施策を推進することにより、法令遵守体制の整備に努めております。
(3)人財確保について
当社グループは、今後もコンプライアンスを遵守し、積極的に事業を拡大していく方針であり、これに伴い介護サービスを提供するための人財が必要不可欠と認識しております。上記の「(1)介護保険制度等について」及び「(2)法的規制について」に記載のとおり、介護サービス事業においては、資格要件を充足した従業員によるサービスの提供を義務付けられているものが多く、今後も、有資格者を中心とした人財の獲得や、教育研修制度を通じて人財の育成及びサービスの質の向上に積極的に取り組む方針であります。
しかしながら、介護業界におきましては、要介護認定者数の継続的な高い伸びや競合の激化から、有資格者や優秀な人財に対する需要が高まっており、その確保が難しくなっております。当社グループは、雇用条件の見直しや、教育研修制度の充実などにより人財確保が行いやすく、かつ人財定着率の向上に資する環境整備に意を用いておりますが、計画どおりに人員を確保できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)競合について
介護保険制度の開始以降、介護サービス利用者は年々増加しており、今後も高齢化の進行に伴い利用者は増加基調が継続するものと予想され、新規参入や同業他社の事業拡大が一層加速するものと考えられます。当社はサービスメニューを拡充するとともに、サービスの品質向上に努める等、新規利用者の獲得促進と利用者の長期にわたるサービス利用の実現に努めておりますが、当社が事業展開している地域において、新規参入等により想定を超える競争激化や品質向上のためのコスト増が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(5)事業展開について
当社グループは、拡大する訪問介護サービスのニーズに対応できるサービス提供能力を確保するため、営業拠点数の増強、介護サービスの提供者(介護福祉士・ホームヘルパー・ケアマネジャー・看護師等)の積極的な採用、当該サービスの質の更なる向上を実現するため、教育研修体制の強化を進める方針であります。また同時に、ご利用者ニーズの高い福祉用具販売・レンタルサービス・住宅改修サービス等を充実し、事業間の相乗効果を高めていく方針であります。
また、これらの事業に加え、デイサービス及び小規模多機能型居宅介護の通所系事業、有料老人ホーム及びグループホームの介護施設、並びに保育事業等の福祉施設を積極的に出店することに加え、介護福祉周辺の新規事業開発を積極的に進め、望ましい事業ポートフォリオを構築することにより、当社グループの体質強化を図っていく方針であります。
しかしながら、こうした課題への対処が適切かつ迅速に行われなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)新規出店について
当社グループでは、出店にあたり緻密なマーケティングと十分な人財育成をベースに介護施設や保育施設の新規開設を推し進めております。また、充分な新規開設案件数確保のため専門部署の設置と機能強化に努めておりますが、好立地に物件を確保できない場合や、地域的及び経済的要因、並びに人員確保が円滑に進まない等、開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)高齢者介護に付随する安全管理・健康管理について
当社グループが提供する介護サービスのうち、在宅系介護事業及び施設系介護事業のサービス受給者は、主に要介護認定を受けた高齢者等であり、サービスの提供時においては、当該サービス受給者の転倒事故・食物誤嚥事故等高齢者特有の事故の発生や体調悪化等が生じる可能性が高いといえます。また、特に施設系介護事業においては、集団感染や食中毒が発生する恐れもあります。
当社グループは、介護サービス提供中における安全管理・健康管理に細心の注意を払うとともに、研修センターにおける徹底したスキルアップ研修やマニュアルの整備等により、事故の発生防止や緊急時対応について積極的に取り組んでおりますが、万が一、介護サービス提供時に事故やサービス受給者の体調悪化等が発生し、過失責任が問われるような事態が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(8)情報管理について
当社グループの介護サービス提供対象者は、主に要介護認定を受けた高齢者等であり、その個人情報については、高度な機密性が必要なものと認識しております。当該情報に関しては、介護保険法及び個人情報保護法等の関連諸法令を遵守し、その取り扱いには管理体制の充実と細心の注意を払っておりますが、万が一、外部からの不正アクセスや社内管理の不手際等から、情報の漏洩が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える場合があります。
また、当社グループは、ご利用者情報管理や業務の効率化を目的として、基幹業務システムを使用しておりますが、かかるサーバの故障等に備えデータの定期的なバックアップ体制を整備しております。しかしながら、地震などの天変地異によるオンライン不能やサーバの停止等により、業務遂行に大きな支障をきたした場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(9)施設の賃貸借契約について
当社グループが運営する「有料老人ホーム」「グループホーム」は、主に初期投資を抑えるために家主との間で一棟毎の賃貸借契約を締結しております。賃貸借契約時に敷金、建設協力金を差し入れており、当連結会計年度末時点での差入保証金の残高が3,328,336千円となっており、総資産に占める比率は10.5%となっております。また、契約期間は主として20~25年間であり、家主にとっては長期安定収入が得られ、当社にとっても安定継続的に施設を賃借・運営できます。しかしながら、短期間での施設閉鎖や入居費用の見直しが困難であることから、近隣家賃や同業者の入居費用相場等が大幅に下落し、既存施設の競争優位性が損なわれた場合や、家主の信用状況の悪化等により、差し入れている敷金、建設協力金の一部又は全額について回収できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(10)減損について
当社グループが保有する固定資産について、今後当社グループ各社の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループではこの影響を軽減するため、個々の投資案件の収益性を厳しく見定めるとともに、事業所別の損益管理を厳格化することを通じ、減損の兆候が生じる事業所を減らせるよう努めております。
(11)有利子負債依存度について
当社グループは、「(5)事業展開について」及び「(6)新規出店について」において記載の通り、介護福祉分野を中心とした新規事業所開設を積極的に推し進める方針を取っておりますが、こうした事業計画を達成するためには多額の資金が必要となります。上記を鑑みて、当社グループでは従来、施設建物を主に家主からの長期リース契約とすることで、新規事業所の初期投資を抑えるよう努めるとともに、不足する資金を銀行からの借入れにより賄ってきたことから、当連結会計年度末時点での有利子負債の残高が18,335,005千円、総資産に占める有利子負債残高の比率は57.6%(うち、リース債務の残高は10,766,954千円、総資産に占めるリース債務残高の比率は33.8%)となっており、有利子負債依存度が高い水準にあります。
以上のことから、金融情勢の変化などにより計画通りに資金が調達出来ない場合や金利水準が上昇した場合、事業計画の修正や支払利息の増大により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12)リース会計基準変更の可能性について
当社グループでは、「(9)施設の賃貸借契約について」及び「(11)有利子負債依存度について」において記載の通り、「有料老人ホーム」「グループホーム」開設に際して、施設建物・土地を主に家主からの長期リース契約としておりますが、賃貸借契約の内容を踏まえて一部をオペレーティング・リース取引として処理していることから、これらについては貸借対照表に計上されておりません。しかしながら、リース会計基準の改正と適用により、オペレーティング・リース取引についても資産・負債を計上することになった場合には、建物・土地の使用権相当額が資産・負債として貸借対照表に計上されることとなります。この変更に伴い、当社グループの自己資本比率が現状より低下するとともに、減損対象資産の増加により減損損失計上が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13)教育事業について
当社グループが行う介護人財の教育事業は、新たな介護保険法の改正がおこなわれ、介護報酬が引き下げられた場合、介護サービス従事者の待遇改善の課題がより深刻化し、介護業界離れが進行することにより受講者数が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)人財サービス事業について
当社グループが行う人財サービス事業は、「労働者派遣法」に基づく一般労働者派遣事業許可を受けて行っている事業及び「職業安定法」に基づく有料職業紹介事業許可を受けて行っている事業です。
今後、何らかの理由により当該許可の取消事由及び欠格事由に該当した場合、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)保育事業について
当社グループの保育事業においては、介護事業同様、人員基準及び設置基準が厚生労働省令及び各自治体条例で規定されています。このため、保育事業においても有資格者や優秀な人財に対する需要が高まっており、計画通り人員が確保できない場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。また、感染症の蔓延、不測の事故等による監督官庁からの行政処分やその風評による2次的影響を受けた場合や、我が国における少子化が、想定を超えて進行した場合、計画通りの稼働が出来ないことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(16)風評等の影響について
当社グループが事業を展開する介護業界は、利用者及びその介護に関わる関係者の信頼や評判が当社グループの事業運営に大きな影響を与えるものと認識しております。当社グループでは、経営理念を浸透させるとともに、充実した研修等を実施することにより、利用者の信頼を得られる高品質なサービスを提供できるよう努めておりますが、何らかの理由により当社グループの評判を棄損する情報や風評が流れた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(17)食中毒について
当社グループが運営する介護施設においては、ご利用者に対し食事を提供しております。厨房の整理・整頓及び食材の安心・安全な調達・調理に取り組んでおりますが、喫食されたご利用者の中から食中毒による集団感染が広がった場合、営業停止等の行政処分やご利用者離れにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(18)自然災害について
当社グループが運営する介護施設においては、地震や水害等の大規模な自然災害が発生した場合に備え、各施設においてBCP(事業継続計画)を策定するとともに、定期的に防災訓練を実施しておりますが、想定を上回る規模の自然災害が発生した場合、事業運営に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(19)海外における事業展開について
当社グループは、ベトナム社会主義共和国に設立した在外子会社において、本格的な海外展開の基盤構築のための取り組みを進め、中長期的には海外事業を成長の柱に育てることを計画しておりますが、海外事業の展開には、これら子会社が所在する地域での政治・経済情勢の変化、予期しえない法規・租税制度等の変更、商慣行の相違、自然災害や感染症の発生、為替レートの変動等、数多のリスクが内在し、これらリスクの顕在化により当初計画通りに事業が展開できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを極小化するため、当社グループでは、拙速な海外展開を厳に慎み、現地におけるマーケティングと当社グループの経営理念や介護サービスの特徴についての浸透を優先するとともに、現地への従業員派遣に加えて、海外展開に精通したコンサルティング会社との情報交換を密に行うことにより、現地情勢の適時、適確な把握に努めております。
(経営成績等の状況の概要)
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大が収束に向かうことで、抑制されていた需要が顕在化し、ゆるやかな回復が続いています。しかし、円安基調の継続、世界的な金融引き締めの影響やウクライナおよび中東地域をめぐる情勢、中国景気の先行き懸念などによる不安定な金融情勢も相まって、資源・エネルギー価格、食料品価格の引き上げが続いたことにより、景気の下押し圧力も存在しております。また、海外においても、新型コロナウイルスによる経済活動の制限は緩和されるとともに、インフレ圧力とそれに対応するための金融政策引き締め等が奏功し、各国のインフレ率は徐々に低下し、ばらつきはあるものの緩やかな成長を続けるとみられます。
一方、景気の先行きについては、ウクライナや中東地域の地政学的な要因により資源・穀物価格が大幅に変動するリスクが懸念されております。また、各国中央銀行による金融政策引き締めの波及効果、中国における不動産市場の停滞に伴う影響、物価上昇による世界経済全体の下振れリスクがあるなど先行きの不確実性が高いことが予想されます。
介護業界においては、高齢化率が年々上昇し、介護サービスの需要は益々高まりつつありますが、介護従事者の有効求人倍率は高い数値で推移しており、人財の確保が経営上の最重要課題となっております。その対応策の一つとして、介護報酬は定期的に、または必要に応じて増額改定されておりますが、他業種・他職種との比較における平均年収は、相対的に下回る状況が続いており、人財確保における課題となっております。
このような状況の下、当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対応する中で、福祉サービスがご利用者の生活に必要不可欠なサービスであると改めて認識し、感染対策を一層強化するとともに人員体制の充実に注力し、サービス提供の継続に努めてまいりました。
また、ご利用者に品質の高いサービスを提供するため、従業員の待遇改善と研修体制の充実にも努めております。2022年11月には大阪本社、2023年1月には東京本社において、接遇を含めた介護技能の指導、研修を行う専用の研修センターを開設し、人財のさらなる育成を図っております。さらに、日本の介護業界で働きたい海外からの人財を、技能実習生としてだけでなく、留学生として新卒採用において受け入れる仕組みを確立しました。これらに加え、従来からのあらゆる世代の従業員が生きがいを持って働き続けられるための定年制度撤廃や、全パートタイマーの有期雇用契約から無期雇用契約への変更等によって、従業員が働きやすい環境を整備し、国境や世代、働き方を超えたインクルーシブカンパニーとしての歩みを進めるよう努めてまいりました。
一方、経営成績については、特に、当社グループのセグメントのうち最大の売上高を占める施設系介護事業を中心に、入居ペースの鈍化や利用控えは底を打ちましたが、サービス提供体制の維持に要する消耗品や人員確保のコストの増加、水道光熱費の高止まり等の状況は継続しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は410億98百万円(前年同期比7.0%増)、営業損失4億1百万円(前年同期は11億7百万円の営業利益)、経常利益1億97百万円(前年同期比82.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6百万円(同99.0%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、セグメント別の各金額は、セグメント間取引等相殺消去前の金額によっております。
① 在宅系介護事業
当事業については、当連結会計年度において、大阪府に6拠点、東京都に5拠点、兵庫県に3拠点、京都府に2拠点、福岡県に1拠点、宮城県に2拠点、奈良県に1拠点、滋賀県に1拠点、埼玉県に4拠点、三重県に1拠点、岡山県に1拠点、の計27拠点を出店いたしました。出店に際しては、緻密な市場分析を行った上で出店することで、早期黒字化を図るとともに、M&Aも選択肢とし、従来サービス提供エリアではなかった都道府県に対しても積極的に出店を推し進めております。また、人財育成の場としても新規出店は有用であり、共に働く仲間の新規開拓にも力を入れ、介護職全体の処遇改善に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は142億43百万円(前年同期比5.5%増)、セグメント利益は24億29百万円(同1.1%減)となりました。
② 施設系介護事業
当事業については、当連結会計年度において、大阪府に2拠点、東京都に4拠点、京都府に1拠点、兵庫県に2拠点、神奈川に1拠点、愛知県に1拠点の計11拠点を出店いたしました。入居ペースの鈍化は底を打ち、一部サービスの提供価格の見直し及び備品等の調達方法の変更等を含め、コスト削減に努めました。その結果、当連結会計年度の売上高は208億52百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は1億27百万円(同82.4%減)となりました。
③ その他
その他の事業については、ダイニング事業にて8拠点、保育事業にて3拠点の計11拠点を出店いたしました。教育事業及び人財サービス事業においては、コロナ禍におけるいわゆる「資格取得ブーム」の収束により売上高の成長は鈍化しましたが、機動的な教室・講座運営により、急激な悪化とはならず、安定的な収益獲得ができました。その結果、当連結会計年度の売上高は93億96百万円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益は9億40百万円(同6.9%増)となりました。
地域別在宅系介護事業所数の推移
|
区分 |
2022年10月期末 |
2023年10月期末 |
増減 |
|
|
大阪府 |
訪問介護 |
77 |
81 |
4 |
|
居宅介護支援 |
32 |
34 |
2 |
|
|
デイサービス |
6 |
6 |
- |
|
|
その他 |
3 |
3 |
- |
|
|
兵庫県 |
訪問介護 |
26 |
28 |
2 |
|
居宅介護支援 |
4 |
5 |
1 |
|
|
その他 |
1 |
1 |
- |
|
|
京都府 |
訪問介護 |
9 |
10 |
1 |
|
居宅介護支援 |
1 |
1 |
- |
|
|
デイサービス |
1 |
1 |
- |
|
|
その他 |
7 |
8 |
1 |
|
|
奈良県 |
訪問介護 |
2 |
3 |
1 |
|
滋賀県 |
訪問介護 |
2 |
3 |
1 |
|
東京都 |
訪問介護 |
55 |
55 |
- |
|
居宅介護支援 |
34 |
32 |
△2 |
|
|
デイサービス |
5 |
5 |
- |
|
|
神奈川県 |
訪問介護 |
5 |
5 |
- |
|
千葉県 |
訪問介護 |
2 |
2 |
- |
|
居宅介護支援 |
1 |
1 |
- |
|
|
埼玉県 |
訪問介護 |
1 |
5 |
4 |
|
居宅介護支援 |
1 |
2 |
1 |
|
|
愛知県 |
訪問介護 |
8 |
8 |
- |
|
居宅介護支援 |
3 |
3 |
- |
|
|
デイサービス |
3 |
3 |
- |
|
|
その他 |
3 |
3 |
- |
|
|
三重県 |
訪問介護 |
- |
1 |
1 |
|
福岡県 |
訪問介護 |
8 |
8 |
- |
|
居宅介護支援 |
2 |
3 |
1 |
|
|
デイサービス |
4 |
4 |
- |
|
|
その他 |
1 |
1 |
- |
|
|
岡山県 |
訪問介護 |
- |
1 |
1 |
|
広島県 |
訪問介護 |
3 |
3 |
- |
|
宮城県 |
訪問介護 |
3 |
5 |
2 |
|
居宅介護支援 |
1 |
1 |
- |
|
|
合計 |
|
314 |
335 |
21 |
地域別施設系介護事業所数の推移
|
区分 |
2022年10月期末 |
2023年10月期末 |
増減 |
|
|
大阪府 |
有料老人ホーム |
12 |
13 |
1 |
|
グループホーム |
19 |
20 |
1 |
|
|
兵庫県 |
有料老人ホーム |
7 |
9 |
2 |
|
グループホーム |
13 |
13 |
- |
|
|
京都府 |
有料老人ホーム |
3 |
3 |
- |
|
グループホーム |
12 |
13 |
1 |
|
|
東京都 |
有料老人ホーム |
13 |
16 |
3 |
|
グループホーム |
14 |
15 |
1 |
|
|
千葉県 |
有料老人ホーム |
3 |
3 |
- |
|
グループホーム |
2 |
2 |
- |
|
|
神奈川県 |
有料老人ホーム |
3 |
3 |
- |
|
グループホーム |
3 |
4 |
1 |
|
|
埼玉県 |
有料老人ホーム |
3 |
3 |
- |
|
グループホーム |
3 |
3 |
- |
|
|
愛知県 |
有料老人ホーム |
3 |
4 |
1 |
|
グループホーム |
6 |
6 |
- |
|
|
福岡県 |
グループホーム |
4 |
4 |
- |
|
広島県 |
有料老人ホーム |
1 |
1 |
- |
|
グループホーム |
3 |
3 |
- |
|
|
宮城県 |
グループホーム |
1 |
1 |
- |
|
合計 |
128 |
139 |
11 |
|
その他の事業所数の推移
|
区分 |
2022年10月期末 |
2023年10月期末 |
増減 |
|
|
大阪府 |
訪問看護 |
6 |
7 |
1 |
|
障がい児通所支援 |
15 |
14 |
△1 |
|
|
認可保育所 |
6 |
8 |
2 |
|
|
介護人財の教育 |
9 |
9 |
- |
|
|
ダイニング |
18 |
13 |
△5 |
|
|
その他 |
10 |
10 |
- |
|
|
兵庫県 |
訪問看護 |
2 |
2 |
- |
|
障がい児通所支援 |
2 |
2 |
- |
|
|
介護人財の教育 |
3 |
3 |
- |
|
|
ダイニング |
7 |
9 |
2 |
|
|
その他 |
2 |
2 |
- |
|
|
京都府 |
訪問看護 |
2 |
2 |
- |
|
介護人財の教育 |
2 |
2 |
- |
|
|
ダイニング |
2 |
3 |
1 |
|
|
その他 |
1 |
1 |
- |
|
|
奈良県 |
介護人財の教育 |
1 |
1 |
- |
|
滋賀県 |
介護人財の教育 |
1 |
1 |
- |
|
東京都 |
訪問看護 |
- |
1 |
1 |
|
障がい児通所支援 |
3 |
3 |
- |
|
|
認可保育所 |
5 |
6 |
1 |
|
|
介護人財の教育 |
7 |
7 |
- |
|
|
ダイニング |
19 |
16 |
△3 |
|
|
その他 |
7 |
7 |
- |
|
|
神奈川県 |
介護人財の教育 |
2 |
1 |
△1 |
|
ダイニング |
3 |
3 |
- |
|
|
千葉県 |
介護人財の教育 |
1 |
2 |
1 |
|
ダイニング |
3 |
3 |
- |
|
|
埼玉県 |
介護人財の教育 |
1 |
1 |
- |
|
ダイニング |
3 |
3 |
- |
|
|
愛知県 |
介護人財の教育 |
4 |
4 |
- |
|
ダイニング |
3 |
4 |
1 |
|
|
岐阜県 |
介護人財の教育 |
1 |
1 |
- |
|
福岡県 |
訪問看護 |
1 |
1 |
- |
|
介護人財の教育 |
1 |
1 |
- |
|
|
広島県 |
介護人財の教育 |
- |
1 |
1 |
|
ダイニング |
1 |
1 |
- |
|
|
合計 |
|
154 |
155 |
1 |
(2)財政状態の状況
① 資産
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ45億58百万円減少し、318億19百万円となりました。
② 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ36億1百万円減少し、263億1百万円となりました。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ9億57百万円減少し、55億18百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億36百万円増加し、26億5百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、21億42百万円(前年同期は11億13百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1億8百万円、減価償却費15億69百万円、前受金の増加額5億47百万円、減損損失5億38百万円、未払金の増加額2億9百万円、預託金の減少額1億65百万円による資金の増加及び、利息の支払額6億20百万円、リース解約益4億43百万円、売上債権の増加額3億96百万円、法人税等の支払額1億48百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、26億2百万円(前年同期は13億94百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出15億11百万円、差入保証金の差入による支出8億3百万円、無形固定資産の取得による支出1億50百万円による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、11億99百万円(前年同期は6億79百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入38億円、短期借入金の純増加額9億円による資金の増加及び、長期借入金の返済による支出22億12百万円、リース債務の返済による支出10億57百万円、配当金の支払額2億28百万円による資金の減少によるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
|
|
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
在宅系介護事業 |
75,572 |
99.3 |
|
施設系介護事業 |
190,237 |
175.2 |
|
その他 |
1,364,902 |
106.1 |
|
合計 |
1,630,711 |
110.9 |
(注)1 「その他」の仕入の主な内容は、福祉用具、食材及び介護用品、並びに教材の仕入等に係るものであります。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
在宅系介護事業 |
14,243,794 |
105.5 |
|
施設系介護事業 |
20,852,763 |
108.0 |
|
その他 |
6,002,428 |
107.2 |
|
合計 |
41,098,987 |
107.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
大阪府国民健康保険団体連合会 |
8,574,513 |
22.3 |
9,098,428 |
22.1 |
|
東京都国民健康保険団体連合会 |
5,115,384 |
13.3 |
5,418,246 |
13.2 |
③ 生産、受注の状況
該当事項はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、連結財務諸表作成にあたって、適切な会計方針を選択し、減損会計における将来キャッシュ・フローの見積りを始めとする、固有の見積りや判断が必要な事象については過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
なお、当社グループが採用した会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)6 会計方針に関する事項」をご参照ください。
また、新型コロナウイルス感染症の国内における感染状況については、5類に移行し、その他の感染症と同等の取り扱いへと移行しましたが、当社グループが主力とする介護事業において、特に施設系事業セグメントは集団生活を前提としていることから、引き続き集団感染のリスクが一定程度存在しております。しかし、ご利用者やそのご家族が健やかな生活を送る上で必要不可欠なサービスであることから、翌連結会計年度以降においても、事業環境が著しく悪化する可能性は極めて低いと仮定し、当該仮定を会計上の見積りに反映しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ45億58百万円減少し、318億19百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ14億9百万円増加し、110億81百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加7億26百万円、売掛金の増加3億96百万円、その他の流動資産の増加2億93百万円によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ59億68百万円減少し、207億37百万円となりました。これは主として、差入保証金の増加6億26百万円、建設仮勘定の増加3億74百万円、建物(純額)の増加3億49百万円及び、リース資産(純額)の減少63億39百万円、投資有価証券の減少12億24百万円によるものであります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ36億1百万円減少し、263億1百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ16億60百万円増加し、110億89百万円となりました。これは主として、短期借入金の増加9億円、前受金の増加5億47百万円、未払金の増加1億91百万円及び、リース債務の減少2億2百万円によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ52億62百万円減少し、152億12百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加14億97百万円及び、リース債務の減少64億65百万円、繰延税金負債の減少4億26百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ9億57百万円減少し、55億18百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を6百万円計上する一方、配当金を2億29百万円支払ったことによる利益剰余金の減少2億22百万円及び、その他有価証券評価差額金の減少7億55百万円によるものであります。
(3)経営成績
① 売上高
当連結会計年度は、在宅系介護事業セグメントにおいて、主に訪問介護事業所を積極的に開設したことに加え、介護報酬加算の取得を進めたことにより売上高が拡大いたしました。施設系介護事業セグメントにおいては、入居ペースの鈍化は底を打ち、一部サービスの提供価格の見直しを行ったことにより売上高が拡大いたしました。また、その他のセグメントにおいては、介護人財の教育事業の売上高成長は鈍化しましたが、機動的な教室・講座運営により急激な悪化とはならなかったことに加えて、保育事業、訪問看護事業等で新規出店を進めたことから売上高が拡大いたしました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて27億円増加し、410億98百万円となりました。
② 売上原価
当連結会計年度は、在宅系介護事業セグメントにおいて、訪問介護事業所の積極的開設に伴う従業員数の増加により人件費が増加いたしました。また、施設系介護事業セグメントにおいても、新規施設開設に伴う従業員数増加、人財確保に要するコスト増による人件費増加、食材費・水道光熱費等の高騰により、売上原価が増加いたしました。また、その他のセグメントにおいては、保育事業、訪問看護事業等で新規に出店したことから、これら事業所に係る人件費を始めとする固定費の増加により、売上原価が増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度の売上原価の増加額は、売上高の増加額を上回り、前連結会計年度に比べて29億59百万円増加し、320億87百万円となりました。その結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて2億58百万円減少し、90億11百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度は、各セグメント共通の販売費及び一般管理費増加要因として、消耗品費や水道光熱費、求人広告費の単価が更に上昇いたしました。また、在宅系介護事業セグメントにおいて、訪問介護事業所の積極的開設に伴う、初期投資及び固定費の増加により、販売費及び一般管理費が増加いたしました。施設系介護事業セグメントにおいては、セグメント共通の増加要因の影響がより顕著だったことに加え、入居ペースの鈍化対策として入居促進費用を重点的に投入したことにより、販売費及び一般管理費が増加いたしました。その他のセグメントにおいては、保育事業、訪問看護事業等で新規に出店したことから、これら事業所に係る家賃を始めとした固定費増加に加えて、新規事業及び海外事業において、先行投資に係るコストの発生により、販売費及び一般管理費が増加いたしました。また、管理部門において、人財獲得に向けて様々な施策に取り組んだことに加えて、課税仕入れの増大に伴い控除対象外消費税等が増加したことから、販売費及び一般管理費が増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて12億50百万円増加し、94億12百万円となりました。その結果、営業損益は前連結会計年度に比べて15億8百万円減少し、4億1百万円の営業損失となりました。
④ 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて5億64百万円増加し、12億47百万円となり、また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて15百万円増加し、6億48百万円となりました。営業外収益増加は主に、コロナ対策の助成金を3億3百万円受領したことや、その他のセグメントにおいて、保育施設の開設が2拠点から3拠点に増加したことに伴い整備補助金が増加したことによって、補助金収入が5億69百万円増加したことであります。その結果、経常利益は前連結会計年度に比べて9億59百万円減少し、1億97百万円となりました。
⑤ 特別損益
当連結会計年度は土地建物賃貸借契約の一部について、契約内容の変更を行った結果、ファイナンス・リース取引に該当しないこととなったため、リース解約益を4億43百万円特別利益として計上しております。また、減損損失を5億38百万円計上しております。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて6億24百万円減少し、6百万円となりました。
(4)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、長期的・継続的な企業価値の向上及び株主資本の効率的活用が重要であると認識しており、売上高伸長率、売上高経常利益率並びにROE(自己資本利益率)を主要な経営指標として位置づけております。
当社グループは、介護事業の市場拡大基調が継続するとの予測に基づき、売上高及び市場占有率拡大を優先することが経営指標の持続的向上に寄与するとの判断から、積極的に事業所の開設を進めてまいりました。このような方針の下、当連結会計年度の売上高伸長率は7.0%となりました。また、売上高経常利益率は、前連結会計年度比2.5ポイント悪化し0.5%、ROE(自己資本利益率)は、前連結会計年度比9.4ポイント悪化し0.1%となりました。売上高の伸長は続いておりますが、売上高経常利益率及びROEは大幅に悪化いたしました。在宅系介護事業セグメントでは稼働時間の増加、施設系介護事業セグメントでは空床率及び入院率の低減を図ることによって、これらの指標を向上させるべく努めてまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当連結会計年度に係るキャッシュ・フローにつきましては、「経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社グループの資金需要のうち、主なものは、新規開設に係る設備資金(主に、介護施設備品、保育所建設工事等の初期投資)と人件費であります。人件費については自己資金、新規開設に係る設備資金については金融機関からの借入金により賄い、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。