第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループでは、「世代を越えた人と人との架け橋」の経営理念の下、業績を遂行してまいります。

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の流行により、今後の景気、個人消費や業績動向は極めて不透明な状況であり、また小売業におきましては、業種業態を超えた競合との競争激化、人手不足による労働力不足、電気料金等のエネルギーコストや物流コストの高騰等、引き続き厳しい経営環境が予測されます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略等

ECマーケティング事業におきましては、商品取扱高の増加に注力するとともに、中長期の成長を見据えた投資を維持しつつ、利益成長を目指すために、他社を支援するECサポート事業及びメディア事業に注力していく所存です。当社子会社である株式会社カンナートは、2005年4月設立のWEB制作会社でWEB制作業務に加え、各種WEBサービスの企画・立ち上げから、WEB集客・キャンペーン等の運用まで幅広く提供している企業です。特に、EC分野におけるWEBマーケティングに強みを有しており、自社事業におけるECサイト運営のノウハウを取引先のECサイト構築・運用に活かし、ECシステムの開発から制作・運用まで一手に行っています。今後当社グループは、EC分野におけるマーケティング事業を強化するとともに、他社のECをサポートするWEB制作機能の充実を図る予定です。なお、業務提携において構築されるECサイトについて、当社と一体となって内製化を行うことにより、当社のECマーケティングのノウハウが外部に流出することなく、大規模なECサイトの構築・運用が行えるものと考えております。

商品企画関連事業におきましては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させ、売上高及び利益の拡大に努めてまいります。青島新綻紡貿易有限会社は、繊維製品の開発・生産・販売及び貿易事業を行う会社へと成長している企業です。越境EC事業を推進する当社のECマーケティング事業におけるノウハウを同社に付加し、中国における当社グループの事業拠点といたします。また、青島新綻紡貿易有限会社で供給する良質な原材料、機能糸、高付加価値な製品等の幅広い商材を世界各国に提供することが可能であり、さらに、日本国内においては、当社のECマーケティング事業向けに競争力のある価格でオリジナルの商材を投入することが見込まれるものと考えております。

 

(4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業拡大に伴う売上高の拡大及び安定的な利益確保を重点的に考えており、売上高や経常利益について、現在の水準からさらなる向上を図ってまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。
 

① 急激な円安、エネルギー・原材料高騰への対応

当社グループにおきましては、急激な円安による、エネルギー・原材料高騰への対応が重要な課題となっております。

ECマーケティング事業における仕入れ価格高騰への対応として、調達ルート見直しにより仕入価格を抑えるなどの企業努力を重ねること、並びに諸経費の削減を進め、販売価格を極力上げないよう取り組んでおります。その上で吸収しきれない部分に関してはお客様に一定の理解を得つつ販売価格への転嫁を進めてまいります。

 

② 配送サービス面の課題

実際の商品がメーカーや卸売事業者にあるため、配送に関してのきめ細かい工夫、効率的な梱包、独自のサービスの提供が困難であり、配送コストの削減が課題となります。この課題を解決する方法として、売れ筋商品を当社グループにて一括して管理できる提携倉庫の管理を強化することが必要不可欠と認識しております。複数の異なった企業が提供する商品を一括で配送すること、配送コストを削減すること及び一度に商品を受け取れること、という顧客利便性の向上を提携倉庫の管理強化により実現させていく方針であります。また、昨今の運送会社の物流コストの上昇の影響を最小限にするために、新規に物流会社との提携を加速させていく方針であります。

 

③ 優秀な人材の確保

当社グループにおきましては、優秀な人材の確保が重要な課題となっております。即戦力を求めた実務経験者の中途採用及び持続可能な会社にすべく人的基盤を整備するための新卒採用を継続的に行うとともに、職場環境の改善、福利厚生の充実、目標管理制度の導入及び採用活動の多様化に努め、人材確保に注力してまいります。

 

④ グローバル化への対応

当社グループにおきましては、今後の事業展開の上で必要不可欠となる海外での生産及び国内・海外市場での販売という課題があります。当社グループでは、インテリア・ファブリック商材の製造・販売の多様化・効率化と販路拡大を目的として、2018年4月に中国で「青島新綻紡貿易有限会社」を子会社化しました。また、原材料の輸入及び製品の輸出、木工製品の企画、製造、組立、検品等が行える海外拠点として、2019年10月にベトナムで「GenepaVietnam Co.,Ltd.」を設立いたしました。国内市場への販売に加え、今後も継続的に拡大することが想定される海外市場を取り込むことで、当社グループの業績拡大を加速させてまいります。

 

⑤ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

当社の事業拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの更なる強化が重要な課題であると認識しております。今後も監査役と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでまいります。

 

⑥ コーポレートブランド価値の向上

当社の創業理念である『世代を越えた人と人との懸け橋』となるべく、より多くの人に「リコメン堂」をはじめとするコーポレートブランド価値を向上させることで競争力を強化していくことを重要な課題と認識しております。従来より力を入れているパートナー企業の拡大と取扱商品の拡充、デジタル広告を活用したECマーケティング活動に加え、消費者の消費行動に資する有益な情報を提供する3つのインターネットメディアの充実や、SNSなど新しいチャネルの活用を進める取り組みを進めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティに関する取組みを拡充・充実させていく必要があり、経営の重要課題と認識しております。特に、人的資本への投資等が非常に重要であると考えております。今後、サステナビリティを巡る課題に適切に対応していくための体制整備を行い、基本方針の策定を検討してまいります。

 

(2) 戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、サステナビリティに関する取組みの内、待遇や業務内容等において男女の区別なく、機会の平等を確保するとともに、能力・職責等に基づき適切に評価しております。労働安全衛生面においても働きがいのある職場環境づくりに関する取組みを強化し、社内美化を徹底することで働く環境を良好に保ち、労働環境の改善・向上を図るとともに、ストレスチェックを実施する等、社員の心身の健康を維持できるよう努めております。また、社員の能力開発・研鑽のため、各種資格の取得奨励や、外部研修への参加を支援する取組みや適材適所の配属を行っております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、さらには重要課題の監視・管理等のため、サステナビリティ関連のリスクと機会について分析し、対応策について検討を行ってまいります。また、必要に応じて弁護士や社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築しており、リスクと機会については今後定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。

 

(4) 指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針の指標及び当該指標を用いた目標

当社グループでは現在、女性、外国人、中途採用者等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業、経営の状況などに関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。

当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生後の対応に努めるものでありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載事項も慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ビジネスモデルのリスク

当社グループのビジネスモデルは、インターネットを介して商品情報を提供し販売しております。インターネットの更なる普及及び利用拡大、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等が事業展開の基本条件であると考えています。しかしながら、仮にインターネットの普及に伴う新たな法的規制の導入、技術革新の停滞、通信コストの改定などの予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループは、グループ各社の事業環境及び経営状況を常に把握し、必要に応じて当社取締役会等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した業績及び健全な財政状態の維持に努めております。

 

(2) 事業内容に関するリスク

① EC市場における競争について

当社グループが属するEC分野においては、小規模な事業者まで含めるとECを行う事業者は多数存在しています。参入障壁が低いことから、EC市場のさらなる拡大に伴い、新規参入業者が増加し、利益率や品質を度外視した過当な価格競争が業界内に横行するような状況になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、カタログ等の紙媒体を主力としている大手の通信販売事業者がインターネットを本格的に活用した販売活動を強化する可能性もあります。豊富な商品群や顧客基盤、販売ノウハウを有するカタログ通販業者等がインターネットによる販売活動を強化した場合、想定していた市場シェアを確保できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 商品の安全性について

当社グループは、安全性を確認できる商品のみ提供する方針であるため、健康等への影響が大きい化粧品や健康食品については、大手メーカーにて検査体制や品質の維持及び管理において安全性が確保されていると考えられる商品以外は取り扱わない方針であります。また、他の商品においても、製造者や卸業者が提示する機能などに関しては、可能な場合は第三者機関証明書を徴求する等、出来る限り表示内容の確認を実施し、お客様により安心して購入していただくための環境整備に努めております。しかしながら、当社グループの取扱商品について、製造者や生産者による表示の偽装や品質に関する虚偽の情報提供などが行われる可能性は否定できません。かかる事象が発生した場合、行政処分や消費者からのクレームによる損害賠償等が生じる可能性があるとともに、当社グループの対外的信用力が低下することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インターネットモールにかかる影響について

当社グループは、EPOというマーケティング手法により、インターネット上のECモールにおけるマーケティングの最適化を行うことを大きな武器として成長しております。そのため、日本の代表的なECモールである楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECのインフラとも言うべき企業の運営方針の影響を受けます。複数のECモールへの出店や独自サイトの運営の開始などにより、1つのECモールに依存しない運営体制の構築に努めております。しかしながら、ECモールが同一企業による複数の店舗の出店を禁止することによる既存店舗の閉鎖や、販売ロイヤリティ率の引き上げに伴いECモールへの出店に関する費用が増大する場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 季節変動について

当社グループは、夏季休暇が含まれる8月~9月は売上高・利益が減少する傾向にあり、11月~12月の贈答シーズンに売上高・利益が増加する傾向にあるため、通期の業績に占める第1四半期の比重が高くなっております。それらのリスクに対して当社グループでは、在庫状況を常に把握し、必要に応じて当社経営会議等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した売上高・利益確保に努めております。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であり、第1四半期の業績如何によっては年度の経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 物流業務の外部委託について

当社グループでは、主に静岡県磐田市並びに愛知県春日井市などに売れ筋商品を中心とした在庫を保有しており、当該商品の検品・保管・仕分・梱包といった物流関連業務を物流サービス業者に委託しております。これらのリスクに対して当社グループでは、常に当該物流サービス企業の状況を把握し、配送費用に関する他社比較を行いながら、新たな物流拠点の開拓に努めております。当該物流サービス企業の業績の悪化や在庫を保有している倉庫が自然災害又は火事などにより操業できなくなった場合、在庫の滅失、毀損や配送遅延、サービス一時停止などといった事態の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 運送会社との取引関係について

当社グループからお客様への商品配送は、そのほとんどを佐川急便株式会社やヤマト運輸株式会社などの運送会社を介してお客様に商品をお届けしております。これらのリスクに対して当社グループでは、リスク分散の観点からも各社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、代替的な配送業者との関係構築を常に模索するように努めております。しかしながら、今後、各社からの大幅な配送料の値上げ要請や取引関係の縮小などがあった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ カントリーリスクと為替変動について

当社グループがメーカーや卸業者から仕入れる商品の多くは、主に中国やベトナム等において生産されております。したがって、当該地域に関連する地政学的リスク、社会リスク、信用リスク、市場リスクは、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外で製造された商品であるが故に、為替変動におけるリスクはメーカーや卸売事業者からの仕入価額の変動を通じて当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品企画関連事業について、主にベトナムの業者との取引を通じて、輸入仕入に関わる外貨建取引の決済及び売上に関わる外貨建取引の決済、外貨建資産・負債の換算に際しては為替相場の影響を受けております。したがって、為替の動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループは、現地に派遣している当社従業員を中心に各社の事業環境及び経営状況を常に把握し、必要に応じて当社取締役会等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した業績及び健全な財政状態の維持に努めております。

 

⑧ システム障害について

当社グループの事業は、WEBサイトの管理を始め、受注、発注、仕入、在庫、発送、売上までのほとんどの業務が業務管理システムに依存しております。想定を超えたアクセスの急激な増加や、コンピュータウィルスの侵入、人為的な破壊行為又は構築したアプリケーション内の不具合等、様々な要因によって当社グループのシステムに障害又は問題が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、それぞれ予備系統や予備データの保有機能等の二重化措置やファイヤウォール、ウィルスチェック等、外部からの攻撃を回避するための対策を講じるなど、緊急時においても事業を継続できるよう定期的なメンテナンスを実施しております。

 

⑨ 個人情報の取り扱いについて

当社グループは、EC等による商品の販売に際してお客様の氏名、住所等の申し出を受け、多くの個人情報を保有するため、2005年4月に施行された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)に規定する個人情報取扱事業者に該当します。当社グループのお客様などの個人情報が社外に漏洩した場合には、損害賠償や社会的な信用失墜等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、個人情報にかかる取り組みとして、アクセスコントロール、情報管理規程・マニュアルを制定し、プログラム作成者の教育訓練及び全社員を対象とした社内教育を徹底しております。また、現在、プライバシーマークについての認定を更新し、情報管理体制の整備強化に努めております。

 

⑩ 技術革新への対応について

当社グループが事業を展開しているインターネット関連の業界は、新たな技術革新やサービスが次々と登場することが特徴となっております。技術革新等への対応が遅れた場合や、システム等に関連する投資額や費用が予想外に増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループでは、技術革新等により開発されたサービスや機能等を当社グループ事業に活用するため、優秀な人材育成及び確保を中心に積極的な対応に努めております。

 

⑪ 法的規制等について

当社グループは、「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」、「特定商取引に関する法律(特商法)」及び「薬事法」等の法令による規制を受けております。これらの法令等に抵触した場合、当社グループのブランドイメージが損なわれることによるお客様からの信頼度の低下や法令等の改正又は新たな法令等の制定により法的規制が強化された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、事業担当部署を中心に該当法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、必要に応じて研修や指導を行うなどコンプライアンス体制の整備に努めております。

 

⑫ 繰延税金資産の回収可能性について

繰延税金資産については、営業取引を源泉とした課税所得による回収を見込んでおります。しかし、経営成績が想定している計画を下回り、回収可能性に疑義が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 固定資産の減損損失について

当社グループは、保有資産について減損の兆候が発生した場合には、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業体制に関するリスク

①代表者への依存について

代表取締役岡本洋明は当社の設立の中心人物であり、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。

当社グループにおいては、同氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲等を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保や育成について

当社グループでは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。

また、特にお客様からの問い合わせ等に対応するカスタマーサービス業務については、労働集約的な側面があり、恒常的に多数の従業員を効率的に配置する必要があることから、当社グループとしてはその採用と教育に努めております。

しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化すれば、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障をきたすことも想定されます。また、今後急激な受注高の増加などに伴い業務量が急増した場合、出荷関連業務やカスタマーサービス業務の人員不足により業務効率が低下するなどの事態が発生することも想定されます。このような事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営業績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 (1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行したことに伴い、経済活動が正常化に向かい、個人消費は緩やかな回復傾向となりました。しかしながら、長期化するウクライナ情勢や円安等による原油・原材料価格等の高騰、物価上昇による消費者心理の悪化に対する懸念が高まっており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが関連する小売業界全体では、個人消費が回復基調で推移しており、訪日外国人観光客数の増加によりさらに回復が進むことが見込まれております。一方、当社グループが属するEC市場におきましては、新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せている中でもEC利用が消費者の間で定着しつつあり、EC化が続伸する傾向にあることから、引き続き市場拡大をしております。

このような状況の中、当社グループの主力事業であります「ECマーケティング事業」につきましては、家具・生活雑貨等の売上が堅調に推移し、昨年対比では成長を続けているものの、主にYahoo!ショッピングにおきまして、モール全体として売上が減少した影響から全体の成長率が鈍化したこと、及び「商品企画関連事業」におきまして、取引先の販売低迷の影響から出荷数が減少したことにより、連結グループ全体の売上高は前年同期比で微減となりました。利益面につきましては、主に「ECマーケティング事業」において、PB商品の開発及び物流施策等、各種利益改善の諸施策を講じておりますが、円安やエネルギー価格上昇に伴う仕入価額の上昇や、物流コストの上昇によるコスト増を当連結会計年度で吸収するまでには至らなかったこと、また、「商品企画関連事業」におきまして、売上高の減少に対する新規受注の大部分が翌年度にずれ込んだことから、前年同期を下回る水準で推移しました。

また、営業外収益において、主に当社ベトナム子会社であるGenepa Vietnam co.,Ltd社(以下、「ジェネパベトナム社」といいます。)が有する外貨建債務に係る為替差益として11百万円、及び当社国内連結子会社である株式会社カンナートにおいて、経済産業省が支援する補助金制度による事業再構築補助金に係る補助金収入として54百万円が計上されております。併せて、当期及び今後の業績動向等を踏まえ、当社の繰延税金資産の回収可能性を慎重かつ保守的に検討した結果37百万円の繰延税金資産の取崩しを計上しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は15,151百万円前年同期比5.2%減)、営業損失は4百万円前年同期は営業利益74百万円)、経常利益は71百万円前年同期比81.9%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は23百万円前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益343百万円)となりました。

 

セグメントの業績については、以下のとおりであります。なお、第2四半期連結累計期間より、「その他の事業」に含めていたソフトウエアの受託開発及びシステム開発事業を「受託開発事業」として独立のセグメントに変更いたしました。

 

① ECマーケティング事業

「ECマーケティング事業」につきましては、主にYahoo!ショッピングにおきましてモール全体として売上が減少した影響を受けたものの、依然として残る新型コロナウイルス感染症の影響により喚起されたEC需要や在宅勤務・巣ごもり需要等、変遷する消費者ニーズを的確に捉え、各種セールや夏物の新商品を継続的に導入したことにより家具・生活雑貨等の販売が堅調に推移した結果、売上高は前年同期比で増収となりました。また、利益面につきましては、PB商品の開発及び物流施策等、各種利益改善の諸施策を加速させておりますが、当連結会計年度においては円安やエネルギー価格上昇に伴う仕入価額の上昇や、物流コストの上昇によるコスト増を吸収するに至らなかったことにより、前年同期を下回る水準で推移しました。

以上の結果、売上高は12,830百万円(前年同期比2.8%増)となり、セグメント利益は252百万円(前年同期比5.8%減)となりました。

 

② 商品企画関連事業

「商品企画関連事業」につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために2020年から行われていた社会経済活動の制約がほぼ解消されたことで、海外出張による現地サポートが活発化し営業活動の強化が図れているものの、新規受注案件の納品が翌年度にずれ込んでいること及び既存の取引先の受注が軟調に推移したことから売上高は前年同期比で減収となりました。また、利益面につきましては、主として既存取引先の売上高の減少を補うための新規受注案件の納品の大部分が翌年度にずれ込んだことにより、前年を下回る水準で推移しました。

以上の結果、売上高は2,220百万円(前年同期比34.2%減)となり、セグメント利益は46百万円(前年同期比53.0%減)となりました。

 

③ 受託開発事業

「受託開発事業」につきましては、当社及び当社子会社の株式会社トリプルダブルにて行っている事業で、主に国、大学、企業の研究所との共同研究を通じて、システム、アプリケーションの受託開発やシステム開発の技術支援並びに運用保守を行う事業であります。当連結会計年度におきましては、自社グループソフトウエアの開発案件について、セグメント間をまたいだ発注が行われたことによる売上等が計上されたことにより、売上面・利益面で寄与しました。

以上の結果、売上高は256百万円(前年同期比116.3%増)となり、セグメント利益は100百万円(前年同期比223.9%増)となりました。

 

④ その他

「その他」につきましては、非物販事業としておしゃれなインテリア・雑貨の紹介、それらの実例の紹介及び家に関するアイデアを紹介するWEBメディア「イエコレクション」(https://iecolle.com)及び前期に立ち上げたシーン・相手別におすすめの贈り物をセレクトするWEBメディア「プレゼントコレクション」(https://iecolle.com/present/)について、掲載する記事数やPV数の拡大に向けた人員増加等への投資の他、第2四半期連結累計期間において新たに、様々なテーマに合わせて書籍・映画をセレクトするWEBメディア「ブックスコレクション」(https://iecolle.com/books/)を立ち上げ、収益拡大を図ってまいりましたが、一部大手サービスの終了等に伴う減収があったことから、想定している売上高水準及び利益水準に至りませんでした。

 

 (2) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ220百万円減少し、4,417百万円となりました。

流動資産は4,063百万円となり、前連結会計年度末に比べ301百万円の減少となりました。主な要因といたしましては、外貨預金による商品仕入の支払等により現金及び預金が246百万円減少し、一部モールの取引高の減少により受取手形及び売掛金が75百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は354百万円となり、前連結会計年度末に比べ80百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、リース資産が72百万円増加したこと等により有形固定資産が61百万円増加し、投資その他の資産のその他に含まれる長期前払費用が25百万円増加したこと等により投資その他の資産が22百万円増加したことによるものであります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ133百万円減少し、2,507百万円となりました。

流動負債は2,385百万円となり、前連結会計年度末に比べ150百万円の減少となりました。主な要因といたしましては、商品の仕入を抑えたこと等により支払手形及び買掛金が53百万円減少、運転資金の資金調達及びM&Aに関する資金の需要への備えを目的として締結したコミットメントライン契約による融資の返済により短期借入金が70百万円減少し、ロイヤリティや決済手数料等の変動費が減少したことにより未払金が32百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は121百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、返済により長期借入金が69百万円減少しましたが、リース債務が42百万円増加繰延税金負債が40百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ87百万円減少し、1,910百万円となりました。主な要因といたしましては、株主に対する配当金の支払等により利益剰余金が96百万円減少したこと等によるものであります。

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ456百万円減少し、893百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は119百万円(前連結会計年度は177百万円の獲得)となりました。これは主に、賞与引当金の減少額25百万円等の資金の減少要因があったものの、売上債権の減少額76百万円税金等調整前当期純利益68百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は319百万円(前連結会計年度は87百万円の使用)となりました。これは主に定期預金の預入による支出210百万円有形固定資産の取得による支出55百万円無形固定資産の取得による支出27百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は236百万円(前連結会計年度は401百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出90百万円配当金の支払額72百万円短期借入金の減少額70百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

 

      (4) 生産、受注及び販売の状況

①生産実績及び仕入実績

当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高及び仕入高

(千円)

前年同期比

(%)

ECマーケティング事業

9,263,428

100.4

マーケティング事業

9,263,428

100.4

ECサポート事業

商品企画関連事業

1,855,043

61.3

受託開発事業

144,769

202.4

その他事業

11,263,241

91.4

 

(注) 1.金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっております。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

② 受注実績

当社グループは受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。また、マーケティング事業においては、一部需要動向を見込んだ商品仕入を行っております。そのため、受注実績に重要性がないため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比

(%)

ECマーケティング事業

12,807,613

102.7

マーケティング事業

12,807,613

102.7

ECサポート事業

商品企画関連事業

2,194,546

65.5

受託開発事業

105,557

103.4

その他事業

44,145

76.1

合計

15,151,862

94.8

 

(注) 1.主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績

経営状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社グループでは売上高や経常利益について現在の水準からさらなる向上を図ってまいります。

 

③経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、依然として消費動向が不安定な難しい状況下ですが、「世代を越えた人と人との架け橋」の経営理念の下、引き続き消費者目線に立った価格設定、配送への適切な配慮及び品質とのバランスにこだわり、業績の改善に全力で取り組んでまいります。ECマーケティング事業におきましては、商品取扱高の増加に注力するとともに、利益成長を目指すためにECサポート事業及びメディア事業に注力していく方針であります。商品企画関連事業におきましては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させ、売上高及び利益の拡大に努めてまいります。

新規EC事業への戦略的投資に関する資金及びM&Aに関する資金の需要への備えとして、前連結会計年度に引き続き2023年5月に取引銀行と期間を1年間とするコミットメントライン契約(注)を締結しました。当該契約に基づく無担保・無保証の借入設定上限は総額1,000百万円です。

(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、マーケティングデータの基礎となるビッグデータの収集・分析に関わる幅広い技術の研究開発のほか、新商品の研究・開発を行ってまいりました。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は27百万円であります。

 

(1) ECマーケティング事業

該当事項はありません。

 

(2) 商品企画関連事業

商品企画関連事業においては、生地に改良を加えた新商品の研究・開発に取り組んでおります。なお、当事業に係る研究開発費は27百万円であります。

 

(3) 受託開発事業

該当事項はありません。

 

(4) その他事業

該当事項はありません。