第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間における、本半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
  なお、重要事象等は存在していません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 業績の状況

当中間会計期間の国内経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しました。個人消費は、持ち直しの動きがみられ、設備投資においては、ソフトウェア投資は増加し、企業業績も緩やかに改善しました。当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、クレジットカード会社の取扱高は、前年の実績を引き続き上回り推移しています。経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げており、今後もキャッシュレス決済比率は堅調に上昇する見込みです。

 

クレジットカード業界においては、近年、国内のキャッシュレス決済の増大に伴い、カード会社を含む金融機関がシステムのモダナイズ、オープン化や、クラウド化を検討しています。またカード不正利用被害額の増加により不正検知のニーズが急速に高まっています。また業界を問わず、情報セキュリティに対するIT投資意欲も高まっています。

 

こうした事業環境の中、当社は2025年6月期から始まる新たな3カ年中期経営計画を策定しました。今中期経営計画では、"Transformation for the Future"を掲げ、2030年代を見据え、事業の多角化と持続的な成長の基盤づくりに取組んでいます。

中期経営計画策定にあたり、事業領域を提供する機能別に、「決済」「セキュリティ」「データ通信・分析基盤(新規領域)」の3つに再編しました。主力の決済領域では、業界における強固なポジションや独自のプロダクト、技術の強みを活かしながら、事業領域を拡大するとともに、決済事業者のDX支援や、業界横断の不正利用対策スキームの構築を主導します。セキュリティ領域では、収益性の高い自社プロダクトを中心に販売を強化するとともに、他社との共創により、構築から運用までの新たなセキュリティエコシステムの提供などを通じて、同領域を決済に続く第二の事業の柱へと育てていきます。データ通信・分析基盤領域では、コア技術の高速・大容量のデータ通信や分析・処理技術を活かし、成長市場への展開を模索することで新規事業を開拓します。

これらの実現に向けて、この3年間は、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力します。またDNPグループとの連携をこれまで以上に進めることで、それぞれの顧客基盤を活用しながら事業競争力を強化するとともに、新たな3カ年中期経営計画を起点に、この3年間を多角化に向けた収益基盤の強化期間と位置づけ、中長期的な安定成長を達成できるよう、様々な施策を推進していきます。

 

当中間会計期間の業績については、主力の決済領域において、FEP※・不正検知分野が堅調に推移し、セキュリティ領域では大手顧客への製品導入等により増収増益となりました。また受注については、金融機関向けインフラ運用サービスの大型案件や決済のクラウドサービス、セキュリティ製品の複数年契約案件の受注により、大幅に増加しました。

以上の結果、売上高7,540百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益857百万円(同0.6%増)、経常利益887百万円(同3.2%増)、中間純利益610百万円(同4.4%増)となりました。受注は、受注高12,751百万円(同30.5%増)、受注残高21,795百万円(同57.9%増)となりました。

 

売上高の内訳については、決済領域は、FEP・不正検知分野は、既存顧客のシステム更改やクラウドサービスの利用社数増加等により増加しました。アクワイアリング分野は、大手カード会社のアクワイアリングシステム開発が開発フェーズの移行に伴い減少し、横ばいで推移しました。セキュリティ領域は、大手顧客への製品導入等により増加し、データ通信・分析基盤領域は、証券会社向けシステム開発により増加しました。

利益については、売上総利益は、決済領域のシステム開発や保守の粗利率は堅調に推移しましたが、クラウドサービスの粗利率が低下し、粗利率は低下しました。システム開発や保守の生産性向上、提供価値に見合った価格の見直しなどにより粗利率の改善を進めていきます。販売管理費は、主に人件費が増加しましたが、販管費率は低下しました。

 

 

なお、決済領域のクラウドサービスは、売上高1,527百万円(前年同期比29.4%増)、売上総利益107百万円(同40.3%減)となりました。利益については、売上増加等により第2四半期からは黒字に転換しましたが、インフラ基盤の移行遅延によるインフラ費用の増加影響が続いています。インフラ費用の低減や運用効率化、提供価値に見合った価格の見直し等に取り組み、粗利率の改善を進めていきます。受注については、クラウドサービスは主に複数年契約の受注となっており、2024年12月末時点で受注残高は11,449百万円(前年同期比61.3%増)となりました。

 

(参考)事業領域別売上高 

                                     (単位:百万円)

 

前中間会計期間

 当中間会計期間

前年同期比

決済

5,784

6,166

106.6%

 うちクラウドサービス

1,180

1,527

129.4%

セキュリティ

757

923

122.0%

データ通信・分析基盤

403

449

111.4%

合計

6,946

7,540

108.6%

 

当社は、決済領域では主にクレジットカード会社のFEPシステムや不正検知システムの開発を行っています。システムの中核は「NET+1(ネットプラスワン)」「ACEPlus(エースプラス)」等の自社製品で構成しており、例えば、FEPシステムの開発では、自社製品販売と、顧客の機能要件に合わせてカスタマイズするシステム開発、開発したソフトウェアを搭載するハードウェア販売の売上がそれぞれ計上されます。

また、セキュリティ領域では、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品「CWAT(シーワット)」と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。

 

※ FEP(Front End Processing)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当中間会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ22百万円増加し、16,870百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ292百万円減少し、8,986百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が333百万円減少したためです。

固定資産は、前事業年度末に比べ315百万円増加し、7,883百万円となりました。これは主に、無形固定資産が296百万円増加したためです。

 

(負債)

当中間会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ129百万円増加し、7,754百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金162百万円、未払法人税等151百万円の減少があったものの、前受金268百万円、未払消費税等97百万円、未払金52百万円の増加があったためです。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ106百万円減少し、9,116百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金60百万円、利益剰余金46百万円の減少があったためです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、4,661百万円(前中間会計期間末は3,619百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,480百万円の収入(前中間会計期間は764百万円の収入)となりました。主な内訳としては、税引前中間純利益887百万円、減価償却費611百万円の計上、売上債権の減少額601百万円、棚卸資産の減少額103百万円、仕入債務の減少額539百万円、法人税等の支払額499百万円があったためです

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、974百万円の支出(前中間会計期間は1,213百万円の支出)となりました。これは主に、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出798百万円があったためです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、657百万円の支出(前中間会計期間は624百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額656百万円があったためです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間会計期間の研究開発費の総額は8百万円です。

主な内容としては、CWAT製品のMac対応、クラウド鍵管理サービスの開発等を行いました。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、経営上の重要な契約等は行われていません。