第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)においては、物価水準の高騰を受けて国内企業がさらなるコスト増加に直面するとともに、実質賃金も低下傾向が続いております。また、日米の金融政策への警戒感や我が国における首相交代の影響で為替相場が大きく変動し、企業業績の不安定化が顕著となりました。さらに、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃やシステムトラブルなど、国内企業の事業活動におけるITの影響が注視される事態が相次ぎました。

 

このような経営環境のもと、当社グループは今年度より『中期経営計画2026』を開始いたしました。2026年度における「連結売上高700億円」「連結営業利益率11.5%」「連結ROE15%」の達成を財務KPIとして掲げ、7つの成長戦略(①共創型モデルの確立、②品質リーダーシップ発揮、③人的資本経営推進、④技術・デジタルソリューションの拡張、⑤事業連携推進、⑥デジタル変革推進、⑦グループ一体経営)の実践を通じて、これらの財務KPI及び当社グループとしてのミッションである『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させること』を実現してまいります。

 

当中間連結会計期間における当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

 

組織及び体制

当社においては、地方拠点におけるニアショア開発の推進、商材開発力や技術力の強化を目的として、ソリューション&サービスイノベーション本部を再編し、地域イノベーション本部へ改組いたしました。また、ビジネスイネーブルメントサービス本部を再編し、デジタルソリューション事業を推進するとともに、先端技術にも対応できる組織としてデジタルモダナイゼーション本部へ改組いたしました。さらに、品質・プロセス統括本部の配下に品質管理室及びプロジェクト管理室を設置し、品質管理の強化に取り組むとともに、ビジネスサポートセンターを設置することで社内事務の集約化と効率化を目指すことといたしました。また、グローバル市場への進出を目的として、経営戦略統括本部にグローバルビジネス&マネジメント室を設置いたしました。

当社では7つの成長戦略ごとに担当の執行役員を配置し、戦略の実現を目指してまいります。

 

当社グループ会社においては、2024年4月1日付で、当社がジェット・テクノロジーズ㈱の全発行済株式を取得して子会社とし、当中間連結会計期間より連結の範囲に含めております。同社はITインフラ分野における専門性と豊富な顧客基盤を有しており、高いシナジー効果が発揮できるものと考えております。

また、当中間連結会計期間において、当社の連結子会社である日本ソフトウェアデザイン㈱の再編を実施し、同社の名古屋支店の事業を当社が譲り受けております。同社は2024年7月1日付で当社の連結子会社である㈱メクゼスに吸収合併され消滅しております。

2024年6月には、当社が保有するクレスコワイヤレス㈱の全株式を同社の代表取締役に譲渡いたしました。この結果、当中間連結会計期間において同社を連結の範囲より除外しております。

 

財務

2024年5月10日の取締役会の決議に基づき、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家層の拡大と市場流動性の向上を目的として、2024年7月1日付で当社普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。

 

また、2024年7月18日の取締役会の決議に基づき、当社の取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)及び当社の執行役員である従業員並びに当社子会社の取締役の一部に対する譲渡制限付株式報酬として、自己株式18,047株を処分いたしました(処分価額の総額は25,680,881円)。

 

事業

当社

デジタルソリューション事業において、2024年6月より、クラウド総合支援Creageの新サービスとして「アプリケーションモダナイゼーションサービス」、クラウドシステム導入・更新時の生産性と品質を向上させる仕組みを構築する「Creage DevOps導入支援サービス」、AWS環境のセキュリティやガバナンスの課題を解決するサービスである「Control Towerオプション」の提供を開始いたしました。

また、ホテルの部屋割り業務最適化ツールである「RooMagic(ルーマジック)」の新バージョンをリリースし、相鉄ホテル㈱が展開する横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ様での導入が決定しております。

さらに、7月には当社グループにおける適切なAI技術の活用と、将来の展開を見据えた戦略的な取り組みを行う基盤を築くことを目的とした仮想組織として「生成AIビジネス変革研究室」を設立いたしました。最新のAI技術のトレンドを継続的に追跡し開発プロセスに適用することで、生産性と品質向上を目指してまいります。

 

連結子会社

2024年4月に㈱クレスコ・ジェイキューブが、IBM社のOS「IBMi」市場の活性化に向け、アイエステクノポート社と包括的協業パートナーシップ「Project Techno-Cube」を締結いたしました。また、同社は2024年9月10日開催の取締役会の決議に基づき、10月1日付けで㈱高木システムの自己株式を除く全発行済株式を取得し子会社としております。

㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズにおいては、2024年7月にクラウド型次世代ファイアウォール「Prisma®Access」導入支援サービスの開始を発表いたしました。

 

上記の他、資金運用においては、デリバティブ評価益(営業外収益)を30百万円、投資有価証券償還益(特別利益)を37百万円、投資有価証券売却益(特別利益)を21百万円、投資有価証券評価損(特別損失)を22百万円計上しております。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高285億6百万円(前年同期売上高256億31百万円、11.2%増)、営業利益26億8百万円(前年同期営業利益19億78百万円、31.9%増)、経常利益27億63百万円(前年同期経常利益24億40百万円、13.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益18億79百万円(前年同期親会社株主に帰属する中間純利益16億65百万円、12.8%増)と増収増益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

セグメント

売上高(千円)

セグメント損益(千円)

前期

当期

前年
同期比

前期

当期

前年
同期比

 

エンタープライズ

9,791,706

10,626,582

108.5%

926,966

1,093,480

118.0%

金融

7,027,519

8,436,164

120.0%

721,059

1,152,746

159.9%

製造

6,786,250

7,431,605

109.5%

1,100,224

1,279,231

116.3%

ITサービス事業計

23,605,476

26,494,352

112.2%

2,748,250

3,525,458

128.3%

デジタルソリューション事業

2,025,943

2,012,476

99.3%

90,855

82,451

90.8%

合計

25,631,420

28,506,829

111.2%

2,839,106

3,607,909

127.1%

 

 

①ITサービス事業

ITサービス事業の売上高は、264億94百万円(前年同期比12.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は35億25百万円(前年同期比28.3%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

(エンタープライズ)

「エンタープライズ」区分の売上高は、106億26百万円(前年同期比8.5%増)となりました。これは、「建設・不動産」「人材紹介・人材派遣」の両分野における受注が落ち込んだものの、「情報・通信・広告」「運輸」の両分野を中心とした受注の伸びが大きく上回ったことによるものであります。

また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、10億93百万円(前年同期比18.0%増)となりました。これは、上記の売上高の増加に加え、前年同期において当社で不採算プロジェクトが複数発生していたことによるものであります。

 

(金融)

「金融」区分の売上高は、84億36百万円(前年同期比20.0%増)となりました。これは、当社及び一部の連結子会社において「銀行」分野での受注が伸びたことと、ジェット・テクノロジーズ㈱を新規連結したことによるものであります。

また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、11億52百万円(前年同期比59.9%増)となりました。これは、上記の売上高の増加に加え、前年同期において当社で不採算プロジェクトが発生していたことによるものであります。

 

(製造)

「製造」区分の売上高は、74億31百万円(前年同期比9.5%増)となりました。これは、当社において「機械・エレクトロニクス」分野での受注が伸び悩んだものの、当社グループ全体として「自動車・輸送機器」「その他」の分野で受注が増加したことと、ジェット・テクノロジーズ㈱を新規連結したことによるものであります。

また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、12億79百万円(前年同期比16.3%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。

 

②デジタルソリューション事業

デジタルソリューション事業の売上高は、20億12百万円(前年同期比0.7%減)となりました。これは主として、前年同期に当社において大型のライセンス販売があったものの、当年度はそれを上回る規模のライセンス販売の受注には至らなかったことによるものであります。

また、セグメント利益(営業利益)は82百万円(前年同期比9.2%減)となりました。これは、上記の売上高の減少と、当社における組織体制の見直しによる売上原価の増加があったことによるものであります。

 

(2) 財政状態の状況

当中間連結会計期間末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、7億71百万円増加し、404億85百万円となりました。

流動資産は前連結会計年度末に比べ、8億95百万円減少し、270億6百万円となりました。これは主に、「その他」に含まれる前払費用が2億28百万円、未収入金が1億3百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が5億9百万円、売掛金及び契約資産が4億32百万円、電子記録債権が2億53百万円、金銭の信託が1億7百万円それぞれ減少したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ、16億66百万円増加し、134億78百万円となりました。これは主に、のれんが12億95百万円、投資有価証券が2億96百万円それぞれ増加したことによるものであります。

当中間連結会計期間末における負債合計は前連結会計年度末に比べ、4億71百万円減少し、115億61百万円となりました。

流動負債は前連結会計年度末に比べ、5億8百万円減少し、80億80百万円となりました。これは主に、買掛金が1億35百万円、賞与引当金が1億18百万円それぞれ増加したものの、「その他」に含まれる未払金が3億5百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億1百万円、未払法人税等が1億42百万円、「その他」に含まれる役員賞与引当金が65百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

固定負債は前連結会計年度末に比べ、37百万円増加し、34億81百万円となりました。これは主に、長期借入金が2億22百万円、繰延税金負債が1億30百万円、社債が30百万円それぞれ減少したものの、役員退職慰労引当金が4億円増加したことによるものであります。

当中間連結会計期間末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ、12億42百万円増加し、289億23百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が82百万円減少したものの、利益剰余金が13億22百万円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ5億10百万円減少し、143億53百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは20億39百万円の収入(前中間連結会計期間5億33百万円の収入)となりました。
 これは主に、法人税等の支払額が11億59百万円、未払金の減少額が3億91百万円、仕入債務の減少額が1億92百万円あったものの、税金等調整前中間純利益が27億53百万円、売上債権及び契約資産の減少額が11億17百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは14億58百万円の支出(前中間連結会計期間9億87百万円の収入)となりました。
 これは主に、投資有価証券の償還による収入が4億64百万円、投資有価証券の売却による収入が1億93百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が8億94百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が8億68百万円、有形固定資産の取得による支出が1億77百万円、有価証券の取得による支出が1億18百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは10億88百万円の支出(前中間連結会計期間18億28百万円の支出)となりました。
 これは主に、配当金の支払額が5億55百万円、長期借入金の返済による支出が4億81百万円、社債の償還による支出が50百万円あったことによるものであります。

 

(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は39,444千円であります。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因は以下のとおりであり、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

① 市況の動向

生産労働人口の減少や昨今の物価高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

② プロジェクトマネジメント

当社グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

③ 事業投資及び資金運用

当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに余剰資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

資本の財源及び資金の流動性については、当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

(8) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。