文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、『新たなイメージング・テクノロジーを創造する集団として、革新的な技術を最適な「かたち」で実用化させ、技術の発展と豊かな文化の実現に貢献する』ことを理念としております。
当社グループでは『Rise above what we see, to realize what we feel ― 人間の目を拡張し、感動に満ちた世界を実現しよう ―』をビジョンとして掲げ、画像処理と画像認識技術の融合による新たな技術開発及び製品開発に積極的に取り組んでまいります。
当社が取り組むべき主要な課題等は、以下のとおりであります。
当社グループは、スマートデバイス、車載/モビリティ、DX(デジタルトランスフォーメーション)市場を主要な事業領域としております。中でも車載/モビリティ、DX領域においては、カメラデバイスやIoT技術の活用が広がっており、当社グループの新規事業領域として成長戦略の柱になるものと考えております。
具体的には、車載/モビリティ領域においては自動運転・先進運転支援システム(AD/ADAS)及びドライバーモニタリングシステム、DX領域においては光学文字認識(OCR)及びセキュリティカメラ、建設で応用される画像処理やディープラーニング等を活用した画像認識技術等の開発を積極的に推進し、事業規模の拡大を図っていく方針であります。
当社グループが更に事業規模を拡大させるためには、海外展開の加速が重要なテーマとなります。これまで、海外市場に精通した人材採用を進めることで社内の海外営業体制を強化するとともに、幅広いネットワークを有したビジネスパートナーとの事業連携を進め、海外顧客への営業活動を強化してまいりました。
今後においては、最先端の半導体やセンサー技術をもつ企業との協業を通した処理高速化・低消費電力化を推し進める一方、管理部門におけるグローバル人材採用を進め、海外展開の加速による事業規模拡大に努めてまいります。
当社グループ事業の継続的な発展を実現させるためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、そのために内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。
コーポレート・ガバナンスに関しては、内部統制委員会による定期的モニタリングの実施と改善を図ることにより適切に運用しております。ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保しつつ、ベンチャー企業としての俊敏さも兼ね備えたグループ全体的に効率化された組織体制の更なる強化に取り組んでまいります。
当社グループを取り巻く環境は急速に進化しており、顕在化しているニーズに対応するだけでなく、高度かつ革新的な技術・サービスが求められます。そのためには、専門的な知識・技術を有した人材の育成及び定着を図ることが重要であると考えます。加えて、新規事業領域への展開に向けた当該領域技術・業界動向に精通した専門知識及びスキルを有した優秀な人材の確保が必要になってくると考えております。 当該領域の人材における獲得競争はますます激しくなる中で、さらなる企業認知度向上、開発力の向上による採用力の強化および人材育成に努めてまいります。
当社グループは研究開発主導型の企業として、既存の技術とは一線を画す新たな技術を世に送り出すことを社業の礎としております。ただIT・ソフトウェア分野においては、国内外大手電機メーカーや欧米IT・ソフトウェア企業等各社が知的財産権の取得に積極的に取り組んでおり、当社グループの属する画像処理の分野も例外ではありません。
新規性のある独自技術の保護及び当社の活動領域の確保のために、独自の技術分野については、他社に先立って特許権の取得、活用、維持を進めていく方針であります。
当社グループでは、専門的知識を有した社員を知的財産部門に配置し、技術部門との情報共有を密に図るとともに、他社の知的財産権の調査や出願手続等の一部は外部パートナーを活用しながら適切に取り組んでまいります。具体的には、事業全体の価値向上に寄与する特許権の取得を推進し、潜在的資産価値の最大化に向けて積極的に取り組むとともに、知的財産権の調査においては他社の知的財産権の侵害を回避し、安定・継続した事業の推進に寄与してまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、継続的な事業の成長や長期的な企業価値向上を通じてステークホルダーをはじめ、広く社会に貢献することを目標とした経営を推進し、取締役会及び執行会議にてサステナビリティ関連を含めリスクに対する監督に対する責任権及び権限を有しており、リスク内容含め対策を講じております。
具体的な体制については、「
当社グループでは、全社的なリスク管理は、リスク管理委員会において行っており、サステナビリティに関する事項も含め会社の経営に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、取締役会や執行会議で活発な議論を行っております。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる良好な関係を構築するとともに監査役監査及び内部監査を通して、潜在的なリスクの早期発見及び未然防止によるリスク軽減に努めております。
当社グループはテクノロジーによるイノベーションを通じて社会問題の解決への貢献することをビジョンとして掲げております。このビジョンを達成するために優秀な人材の確保と定着が重要であると考えております。
当社グループでは、人材育成方針及び社内環境整備方針として企業成長の源泉である人材の力を最大限に引き出し、企業価値の向上につなげていくため、年齢・性別・国籍等の属性や、育児・介護等による時間的制約等にかかわらず、業務上必要な専門知識その他のスキル、経験、意欲、コミュニケーション能力等に優れた人材を確保するとともに、こうした人材が定着し、その能力を伸ばすことができる環境の整備に努めています。
当社グループでは、人材育成方針及び社内環境整備方針に関し、現在のところ具体的な指標及び目標は設定しておりませんが、優れた人材を確保し、定着させ、その能力を伸ばすために、在宅勤務制度及びフレックスタイム制により柔軟な働き方を実現し、また法定より多くの年次有給休暇を付与するなどの一定の環境整備を行っております。今後も期待すべき人材の積極的な登用を進めるとともに適切に能力が評価されるような施策や環境整備の取組を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(注) 1.カントリーリスクとして、法律・規制・税制変更、政治・経済情勢の変化、異なる商習慣等により、事業環境が悪化するリスクを想定しています。
2.地政学リスクとして、紛争・テロ等による特定地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その特定地域の経済又は世界経済全体の先行きを不透明にするリスクを想定しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済はウクライナ情勢の長期化による原材料価格の高騰、中東の地政学リスク、中国経済の低迷等に加え、物価上昇や急激な為替変動など、先行きが不透明な状況が続いております。一方で、IT業界においては、人手不足対策や生産性向上、競争力強化等を背景に、AIやIoT、5G(第5世代移動通信システム)といったデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の企業ニーズの高まりを受け、関連市場は良好な状況が続いております。また、自動車市場においては、EVの普及や自動運転・先進運転支援システム(AD/ADAS)の実用化に向けた取り組みが加速しており、それに伴い先端技術へのニーズも拡大しております。
このような状況下において当社は、2022年10月期より中期経営計画「Vision2024」を策定し、「Rise above what we see, to realize what we feel -人間の目を拡張し、感動に満ちた世界を実現しよう-」をビジョンに掲げ、テクノロジーによるイノベーションを通じて顧客価値の最大化を目指しております。また、生活の利便性向上、安心安全な生活環境の提供、生産性向上の実現による社会問題の解決への貢献に取り組んでまいりました。当社グループでは、スマートデバイス、車載/モビリティ、DXの事業領域を戦略領域と定め、これら戦略領域においてイメージング・テクノロジーを軸にした付加価値の高いソリューションを開発することで、顧客企業の課題解決を図ってまいります。戦略領域において、パートナー企業や顧客企業との連携を推進し、当該領域におけるドメインナレッジを蓄積して、継続性と収益性の高いストック型のビジネスモデルにより事業拡大を目指しております。
スマートデバイス領域においては、中国のスマートフォンメーカーやODMメーカーの新規開拓を継続し、売上の伸長に寄与いたしました。加えて、主要顧客からのロイヤリティ収入につきましても順調に増加いたしました。また、スマートフォンメーカーやPCメーカーからのフィードバックを会社全体の開発活動へ迅速に反映させることができ、大型案件受注や継続採用に繋がりました。従来の大手半導体メーカーとの連携に加え、当社の強みを活かせる技術パートナーとの協業を通して、新たな収益機会が生まれつつあります。
車載/モビリティ領域においては、自動車メーカーおよび車載機器メーカー、加えて大手センサーメーカーとの協業を通して高精度にセンシングするソフトウェアの開発体制および収益基盤を強化しております。
DX領域においては、NDLOCRをコアエンジンとしたAI-OCRソフト「FROG AI-OCR」の営業に注力いたしました。加えて、AI-OCRを活用したLLM向けの日本語データセット生成サービスについても、国内研究機関への採用に繋がりました。また、監視カメラ向けAIカメラソリューション「みまもりAI:Duranta」については、監視カメラベンダーとともに、海外市場へ向けた共同提案を進めております。さらに、新たな取り組みとして建設業界向けDXを実現するソフトウェア開発にも注力しており、その結果、案件受注数も増加しております。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産合計は、3,689,842千円(前連結会計年度末比359,697千円増)となりました。これは主に、現金及び預金が223,403千円、売掛金が141,414千円増加したことによるものであります。
固定資産合計は、572,661千円(同195,347千円増)となりました。これは主に、無形固定資産が142,224千円、投資有価証券が49,393千円増加したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は4,262,503千円(同555,044千円増)となりました。
(負債)
流動負債合計は、608,742千円(前連結会計年度末比99,780千円増)となりました。これは主に、買掛金が84,144千円増加したことによるものであります。
固定負債合計は、13,028千円(同36,601千円減)となりました。これは主に、繰延税金負債が24,052千円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は621,770千円(同63,178千円増)となりました。
(純資産)
純資産合計は、3,640,732千円(前連結会計年度末比491,866千円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が301,484千円、新株の発行により資本金が74,985千円、新株の発行及び自己株式の処分により資本剰余金が75,639千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度における業績は、海外子会社の貢献などにより売上高は3,300,850千円(前連結会計年度比38.4%増)、営業利益は257,073千円(前連結会計年度は営業損失244,356千円)、経常利益は298,033千円(前連結会計年度は経常損失192,951千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は301,484千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失300,183千円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,935,878千円(前連結会計年度末比223,403千円増)となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、207,178千円(前連結会計年度は267,617千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益297,145千円、減価償却費28,377千円を計上し、仕入債務の増加額79,174千円等となった一方で、売上債権及び契約資産の増加額69,829千円、貸倒引当金の減少額40,383千円、法人税等の支払額52,740千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、140,719千円(前連結会計年度は92,497千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出128,909千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、131,834千円(前連結会計年度は16,211千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入146,426千円によるものであります。
当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 当社の事業は単一セグメントであります。
a.当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり
であります。
b.主な製品別の販売実績は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループの属するソフトウェア業界は、事業の特性から常に新しい技術が創出され技術の陳腐化が早い事業環境にあります。またスマートフォンの急速な普及等、ハードウェアの進化により大幅な事業環境の変化が起こり得ます。
このような環境の中で、当社グループは、常に環境の変化に適応した革新的な技術やサービスの提供が求められております。従いまして、研究開発投資について継続的に実施していくことが求められ、かつ投下した研究開発投資等は比較的短期間のうちに成果に結実しなければならないものと認識しており、必然的に資金の循環は早くなるものと考えております。
今後につきましては、引き続き積極的に先行投資的な事業資金を投じていく方針であることから、現状の事業資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されており、連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
該当事項はありません。
当社グループでは、創業以来、新たなイメージング・テクノロジー(画像処理技術)を創造する集団として、革新的な技術を最適な「かたち」で実用化させ、技術の発展と豊かな文化の実現のために研究開発活動に取り組んでおります。
また、当社グループの研究開発活動は、他社との技術的な差異化を強みとした技術開発を基本としていることから、中核技術にかかる研究開発は社内リソースで賄う一方、中核技術に関わらない間接的工程については、信頼のおける外部協力会社を積極的に活用することで、開発リソースの「選択と集中」に努めております。
中長期的な経営戦略に基づく研究開発活動では、画像処理技術と画像認識技術の融合による技術・製品開発を積極的に推進しております。
画像処理技術…カメラの物理的・光学的な限界から生じる課題を軽減・解決することを目的とした技術
画像認識技術…多層構造の最先端ニューラルネットワーク技術による機械学習
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、
主な研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
スマートフォンの高画素化や高速化に合わせた静止画及び動画の補正ソフトウェア製品やパノラマ等画像加工製品の開発、ノートPC(ビデオ会議)向けの背景ぼかし技術の開発、車載カメラモニタシステム向け技術開発、安全運転支援のための要素技術開発を実施いたしました。また、ディープラーニングを利用したセグメンテーションや物体検出等のソフトウェア製品やシステム開発、及びそれらを様々なプラットフォームで高速に動作させるための要素技術開発を実施いたしました。
その他、画像処理や画像認識及びそれらの組み合わせに係る基礎研究や既存技術の効率化のための技術開発等を実施いたしました。
当社グループは、研究活動により創出された発明について、国内において特許出願を行う他、特許協力条約に基づく国際出願制度やパリ条約に基づく優先権制度を活用し、海外においても積極的に特許出願を行っております。
当連結会計年度末現在における保有特許数は、国内では55件、海外では米国、欧州、中国、韓国などで85件の合計140件を有しております。