第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、時流を捉え、革新的な事業を創造することを目指しています。数多くの金融システム構築で培った知見と最先端のテクノロジーに、金融事業のノウハウを融合させることで得られるデジタル金融としての新たなナレッジを活かしたサービスを取引先に提供するとともに、デジタル化が進む社会の中で金融と社会が大きく変貌するパラダイムシフトに合致した企業グループとして革新的なサービスを生み出してまいります。

 

(2)経営環境に対する認識

当社グループが創業以来手掛けてきたシステム開発事業(SIer事業)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展により、事業構造が大きく変容していくものと考えており、近い将来、業界再編が加速し、劇的な変革に迫られるシナリオも想定しております。これらをふまえ、当社グループでは、50年以上にわたる金融機関向けシステム開発の知見を基に2016年よりフィンテック戦略を掲げ、ブロックチェーンに注力し、2022年からWeb3事業に参入いたしました。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

                                                   (単位:百万円)

 

2024年10月期

(実績)

2025年10月期

2026年10月期

連結売上高

5,606

6,220

7,813

連結営業利益

△159

215

467

 

 

中期経営計画の達成に向けた具体的な施策は以下のとおりです。

1.既存Web3事業の拡大

・カイカコイン(CICC)の資産価値向上

当社は自社で暗号資産「カイカコイン(CICC)」を発行しており、運用実績は8年に及びます。今後は、GameFiとして注目されるゲーム内決済通貨としての活用をはじめとして、活用シーンを増やすことで資産価値の向上を図ります。

 

・Zaif INOにおけるサ-ビスの拡充

カイカフィナンシャルホールディングスが運営する審査制NFT販売所Zaif INOでは、クリエイターが制作した作品のNFT化からマーケティングまでを包括して行っております。当連結会計年度は、NFT販売サイトを全面リニューアルし、初心者にやさしいポップで直感的なデザインに一新いたしました。また、Zaif INOにおける決済手段を拡充し、クレジットカード決済とカイカコインでの決済を実装いたしました。さらにウォレットや暗号資産なしでNFTが購入できるNFTカードの販売を開始いたしました。今後もサービスの拡充を積み重ねてまいります。

 

2.DXコンサルティングによるSI事業の伸長

当社グループは暗号資産交換所Zaifの運営経験や、NFT販売所Zaif INOの運営実績を活かし、CtoCプラットフォームやIPを保有する企業に対して、Web3事業開発のノウハウを提供します。

また、CAICAテクノロジーズにおいては従来、開発案件の二次請け受注業務を行ってまいりましたが、これに加え、DXソリューションサービスに注力しております。

 

3. M&Aによる事業拡大

当社は積極的にM&Aを行い、中期的な事業拡大を図ってまいります。現在、当社が想定している対象企業、及び戦略は以下のとおりです。これまでに金融サービス事業で得た知見とパイプラインを活かし、複数の案件を検討しております。

・ブロックチェーン関連企業

ブロックチェーンを活用したサービスを展開する企業をM&Aにより獲得し、当社のノウハウを活かし更なる業績拡大を図ります。

 

・Web3と親和性の高い企業

ゲーム開発会社や、独自のIPを所有する会社をM&Aにより獲得し、当社とのシナジーにより、高い収益性を目指します。

 

・システム開発企業

引続きマーケットは需要が旺盛であり、CAICAテクノロジーズは需要過多な状況です。M&Aにより獲得した企業のリソースを活用するとともに新規顧客の開拓に努め、事業拡大を図ります。

 

今後、これらの具体的な施策を推進していく上での課題は、専門分野に特化した人材及びハイスペックな人材の確保であると認識しております。

これにあたり、コンサルティングの専門人材やハイスペックなエンジニア等の確保が必要であることから、ヘッドハンティング会社や、専門分野に特化した紹介会社の利用による採用活動に加え、現状の社員紹介制度を充実させることで人材の獲得を強化してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

継続企業の前提に関する重要事象等については、次のとおり当連結会計年度において解消したと判断しております。

当社グループは、前連結会計年度より継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上していたことから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が生じておりました。しかしながら、当該重要事象等を解消するために、ITサービス事業において、顧客への価格交渉や高単価案件を選別して受注する等の施策を実行した結果、利益率が大きく改善し、当連結会計年度において、営業キャッシュ・フローは黒字化いたしました。当連結会計年度の業績においても、営業損失159百万円、経常損失263百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失359百万円を計上しておりますが、一時的な暗号資産評価損の計上額を除けば、営業損益は実質的に黒字となりました。

以上をふまえ、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事業又は状況は、現時点において存在していないものと判断し、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を解消いたしました。

今後も以下の施策を通し業績の回復を図ってまいります。

 

当社グループは、安定したキャッシュ・フローを産みだすシステム開発のITサービス事業に集中するとともに、Web3ビジネスを伸長することで業績の回復を図ってまいります。

具体的には、Web3コンサル事業のCAICA Web3 for Biz及びCAICAテクノロジーズにおけるDXコンサルティング事業から上流工程の高単価SI案件を獲得することで、収益改善を図ってまいります。また、2026年10月期までに営業利益率6%を目指します。さらに、2026年10月期までにITサービス事業の人員(パートナー人員を含む)を2023年10月期比で8.5%増の725人とする予定であり、一人当たりの売上も8.5%増とする予定です。

なお、これまで業績面で大幅なマイナスの影響をもたらしていた暗号資産関連事業の子会社を売却し、第一種金融商品取引業及び投資運用業に関する事業を廃止したことで、2024年10月期の販売費及び一般管理費は、2023年10月期比で約21億円が削減されました。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しております。

当社では取締役会がサステナビリティに関する基本方針や重要課題を決定するための監督の責任を持ちます。関係各部門から報告されたリスクは、コンプライアンス委員会においてサステナビリティ関連の課題についての審議・検討を行い、その内容が取締役会に報告されることで、取締役会がこれらの課題について監督を行う形となっております。

 

(2)戦略

当社は、労働力不足が予想される中、優秀な人材の確保と生産性の向上を目的として、働きがいを感じることができるような社内環境の整備と、多様性を尊重した人材の採用・育成に取り組んでいます。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、多様な人材の活躍を支援するための施策として、柔軟な働き方を実現する取り組みの推進をはじめ、労働者不足への対応や生産性向上の観点から、性別や年齢など関係なく、様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する組織の構築を推進しており、以下の環境を整備しております。

・テレワーク勤務の推進

・リファラル採用による雇用の促進

 

(3)リスク管理

当社グループにおいて全社的なリスク管理は、コンプライアンス委員会において行っております。サステナビリティに関するリスクを含む、より重要なリスクについては財務的影響、当社の活動が環境・社会に与える影響、発生可能性をふまえた上で経営会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会に報告されます。

 

(4)指標及び目標

当社においては、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標を用いております。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 

当社は男女の区別なく、事業に貢献して頂ける人材を採用・育成できるよう、男性の育児休暇取得、テレワーク勤務、育児・介護短時間勤務制度をはじめとした、働き方の柔軟性を充実させる取り組み及び、有給休暇取得率80%以上といったワークライフバランスの整った職場環境の整備を進めてまいりました。

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針において、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年10月まで20

4.0

男性労働者の育児休業取得率

2026年10月まで80

50.0

労働者の男女の賃金の差異

2026年10月まで90

83.2

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスク及び変動要因は下記のとおりです。当社グループでは、これらのリスク及び変動要因の存在を認識した上で、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)システム開発プロジェクトの採算性について

当社子会社の株式会社CAICAテクノロジーズ(以下、「CAICAテクノロジーズ」といいます。)が請け負うシステム開発では、顧客の要求する機能を実現するために必要な延べ作業時間(作業工数)を受注活動の準備段階で予め見積もり、制作に要するコストを確定させております。しかし、開発作業において何らかのトラブルがあり、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した場合には、その費用をCAICAテクノロジーズが負担しなければならない場合があります。

また、開発途中に仕様変更が生じ、作業工数の増加が生じたものの、その費用負担がCAICAテクノロジーズに求められる場合があります。

さらに、開発したシステムを顧客に納品し、顧客が異常なしと判断して検収が完了したにも関わらず、その後不具合が発生した場合にも、その解消をCAICAテクノロジーズの費用負担で行わなければならない場合があります。

このようなリスクをふまえ、CAICAテクノロジーズでは、契約時における見積もりの精度の向上を図るべく、開発工程(フェーズ)ごとに細かく見積もりを行う等、見積もり作業工数と実際作業工数との乖離が生じないよう採算性には十分留意しております。

 

(2)情報システムの不稼働について

当社グループは、システム開発や情報システムを活用した事業を展開しておりますので、自然災害や事故等によるシステム障害、またはウィルスや外部からのコンピュータ内部への不正侵入による重要データ消失等により長期間にわたり不稼動になった場合には事業を中断せざるを得ず、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループでは、情報セキュリティ管理規程を定め、個人情報及び業務上取り扱う情報資産を各種の脅威から適切に保護する情報セキュリティポリシーを定義することにより、システムの安定稼働の維持に努めるとともに、セキュリティ強化に努めております。

 

(3)顧客情報の秘密保持について

当社グループは、サービスを提供する過程で、顧客の機密情報などを取り扱うことがあります。万が一、機密情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求または社会的信用失墜等が生じ当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループはこれらの情報の重要性を認識して、従業員から「機密保持誓約書」を取得するとともに、業務委託先と機密情報保護に関する「機密保持契約」を締結しております。また、CAICAテクノロジーズは、「プライバシーマーク」認証取得企業として、従業員への教育及び監査を通じて社内啓蒙活動を行っています。

 

(4)暗号資産の運用について

当社及び当社子会社のカイカフィナンシャルホールディングスは、暗号資産の運用を行っております。暗号資産運用のリスクとしては、暗号資産の価格変動や、暗号資産市場の混乱等で暗号資産市場において取引ができなくなる、または通常より不利な取引を余儀なくされることによる損失リスクや、暗号資産のデリバティブ取引システムの障害、暗号資産交換所のシステムの障害及び破たん、サーバへの不正アクセスによる盗難等があります。万が一これらのリスクが顕在化した場合には、対応費用の増加、当社グループへの信用の低下等が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 継続企業の前提に関する重要事象等について

継続企業の前提に関する重要事象等については、次のとおり当連結会計年度において解消したと判断しております。

当社グループは、前連結会計年度より継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上していたことから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が生じておりました。しかしながら、当該重要事象等を解消するために、ITサービス事業において、顧客への価格交渉や高単価案件を選別して受注する等の施策を実行した結果、利益率が大きく改善し、当連結会計年度において、営業キャッシュ・フローは黒字化いたしました。当連結会計年度の業績においても、営業損失159百万円、経常損失263百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失359百万円を計上しておりますが、一時的な暗号資産評価損の計上額を除けば、営業損益は実質的に黒字となりました。

以上をふまえ、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事業又は状況は、現時点において存在していないものと判断し、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を解消いたしました。

 

今後も以下の施策を通し業績の回復を図ってまいります。

 

当社グループは、安定したキャッシュ・フローを産みだすシステム開発のITサービス事業に集中するとともに、Web3ビジネスを伸長することで業績の回復を図ってまいります。

具体的には、Web3コンサル事業のCAICA Web3 for Biz及びCAICAテクノロジーズにおけるDXコンサルティング事業から上流工程の高単価SI案件を獲得することで、収益改善を図ってまいります。また、2026年10月期までに営業利益率6%を目指します。さらに、2026年10月期までにITサービス事業の人員(パートナー人員を含む)を2023年10月期比で8.5%増の725人とする予定であり、一人当たりの売上も8.5%増とする予定です。

なお、これまで業績面で大幅なマイナスの影響をもたらしていた暗号資産関連事業の子会社を売却し、第一種金融商品取引業及び投資運用業に関する事業を廃止したことで、2024年10月期の販売費及び一般管理費は、2023年10月期比で約21億円が削減されました。

 

(6)投融資について

当社グループでは、今後の事業拡大のために、国内外を問わず設備投資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンスを目的とした事業投資、M&A等を実施する場合があります。

当社グループといたしましては、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し、投融資を行っておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難な場合があり、今後投資先の業績が悪化し、その純資産が著しく毀損、減少した場合に評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、出資後は定期的なモニタリングを継続実施してまいります。

 

(7)知的財産権への対応について

当社グループにおいて、知的財産権の侵害等による損害賠償・差止請求等を受けた事実はありませんが、将来、顧客または第三者より損害賠償請求及び使用差し止め等の訴えを起こされた場合、あるいは特許権実施に関する対価の支払いが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、当社グループは、顧客または第三者に対する知的財産権を侵害することがないように、細心の注意を払って事業活動を行っております。

 

(8)大規模災害等について

大規模な災害や重大な伝染病が発生した場合には、当社グループが提供するシステムやサービス、事業所及び従業員が被害を受ける可能性があり、その結果として、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下する恐れがある他、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクをふまえ、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練を実施しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2023年11月1日~2024年10月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や、円安に伴うインバウンド需要の増加を背景に、日経平均株価が最高値を更新する等、大企業を中心に景況感が改善してきております。一方、金融資本市場の変動の影響や、ウクライナ、イスラエル情勢等の地政学リスクの高まりによる原油価格や原材料価格の高騰等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが事業を展開するITサービス業界及び金融サービス業界は、各企業の業務効率化への意欲と労働人口の減少による人員不足に伴い、DXの推進が求められております。DX推進の動きにより、先端技術の重要性とITサービス産業及び金融サービス産業の市場の拡大が増々加速していくものと見込まれます。

このような状況の下、当社グループは、前連結会計年度に実施した暗号資産関連事業の子会社売却も含め、赤字が継続していた金融サービス事業の一部から撤退し、安定的なキャッシュ・フローを産むグループ体制への移行を図りました。今後は、従前から黒字が継続しているITサービス事業を軸に、金融サービス事業におけるWeb3分野でのビジネスを拡大することで収益力の向上を図ってまいります。Web3分野でのビジネス拡大の一環として、2024年2月に、韓国のWeb3企業であるSevenlineLabs社と業務提携し、韓国におけるゲーム市場の開拓を推進しております。また2024年3月に、フィスコ社との資本業務提携を強化し、Zaif INOが取り扱うNFTの発掘及び販売促進、フィスコ社が有する投資情報について生成AIを使った対話型スクリーニングの共同研究等を行っております。さらに、2024年4月には、クシム社の子会社であるチューリンガム社とカイカコインのGameFi分野における利活用に向けたパートナーシップを締結し、カイカコインを通じたGameFiのユーザー獲得や継続的なコミュニティ運営を可能とするGameFi連携機能の充実を図っております。また、2024年6月に、EWARRANT INTERNATIONAL LTD.(以下、「EWI」)、株式会社CAICAデジタルパートナーズ(以下、「CAICAデジタルパートナーズ」)及びCK戦略投資事業有限責任組合の連結子会社3社の解散及び清算を決議いたしました。なお、CK戦略投資事業有限責任組合は、第3四半期連結会計期間より連結の範囲から除外し、EWI及びCAICAデジタルパートナーズは第4四半期連結会計期間より連結の範囲から除外しております。

 

これらの施策の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの黒字化を達成することができました。

当連結会計年度における売上高は5,606百万円(前連結会計年度比1.3%減)となりました。

金融サービス事業においては、保有する暗号資産(カイカコイン及びスケブコイン)の暗号資産評価損327百万円を売上原価に計上いたしました。一方、ITサービス事業である株式会社CAICAテクノロジーズ(以下、「CAICAテクノロジーズ」)における売上高は概ね堅調に推移いたしました。

利益面につきましては、前連結会計年度に売却した暗号資産関連子会社や、第一種金融商品取引業及び投資運用業に関する事業を廃止した株式会社EWJ(以下、「EWJ」)の販売費及び一般管理費の削減効果により、営業損失は159百万円(前連結会計年度は営業損失2,378百万円)と大きく改善いたしました。経常損失は、投資事業組合運用損86百万円等の営業外費用136百万円を計上したこと等により263百万円(前連結会計年度は経常損失2,560百万円)となりました。また、投資有価証券評価損108百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は359百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,889百万円)となりました。

なお、当連結会計年度から、それまで「売上高」に含めていた活発な市場が存在しない暗号資産の評価損について、経済的実態をより適切に連結財務諸表に表示するため、「売上原価」に含めて表示する方法に変更しております。当該変更に伴い、前連結会計年度の業績については、表示方法の変更を反映した組替え後の数値を用いて比較しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(表示方法の変更)」をご参照ください。

 

セグメントごとの業績は以下のとおりであります。

1)ITサービス事業

システム開発を担うCAICAテクノロジーズは売上高、営業利益ともに前連結会計年度を上回って推移いたしました。とりわけ利益面では、顧客への価格交渉や高単価案件を選別して受注したことにより、利益率が大きく改善いたしました。

金融機関向けのシステム開発分野は、新規案件の獲得が想定を下回ったことを主要因として、売上高はやや低調となりましたが、銀行等の継続案件は、堅調に推移いたしました。なお、継続案件の価格交渉と新規案件の受注条件の見直しを実施し、営業利益は大きく改善いたしました。

非金融向けシステム開発分野は、依然として顧客の事業拡大意欲が高く、IT投資も継続されていることから、大手SIer等の既存顧客からの受注は堅調に推移いたしました。また現在、CAICAテクノロジーズでは、DXソリューションのサービスに注力しており、2024年1月にPegasystems社、2024年4月にはHCLSoftware社と提携いたしました。大手エンタープライズ向けのDXソリューションパッケージを有するこれら海外ベンダーとの提携により、ソリューションパッケージの販売代理、コンサルティング、導入、付随するシステムの構築、保守運用までを一貫して、フルSIとして提供することで収益向上を図ってまいります。また、当該サービスの拡大に向け、CAICAテクノロジーズは、DXソリューション営業のスペシャリストを新たに採用し、第4四半期連結会計期間より営業活動を本格始動させております。

フィンテック関連のシステム開発分野は、決済系の案件を中心に安定的に受注を獲得し、堅調に推移しております。

 

これらの結果、ITサービス事業の売上高は、5,575百万円(前連結会計年度比0.4%増)、営業利益は636百万円(前連結会計年度比54.5%増)となりました。

 

2)金融サービス事業

当連結会計年度における売上高は、当社において暗号資産を売却したことによる売上高のプラス計上があった一方で、当社グループが保有する暗号資産(カイカコイン及びスケブコイン)の暗号資産評価損327百万円を売上原価に計上いたしました。四半期ごとの内訳としては、第1四半期連結会計期間において、カイカコインの暗号資産評価損93百万円を計上いたしました。第2四半期連結会計期間においては、カイカコインの暗号資産評価損180百万円を計上いたしました。第3四半期連結会計期間においては、スケブコインの暗号資産評価損16百万円を計上いたしました。第4四半期連結会計期間においては経済・市場環境、会計基準等に照らし、処分見込価額を検討した結果、スケブコインの評価額を備忘価額まで切り下げることが妥当であると判断し、暗号資産評価損38百万円を計上いたしました。なお、今回の計上で、現在保有している、活発な市場が存在しない暗号資産については、当連結会計年度において重要性の乏しいものを除いて備忘価額まで切り下げ済みとなるため、来期以降は暗号資産評価損の計上は見込んでおりません。

 

※従来、活発な市場が存在しない暗号資産の評価損は、「売上高」にマイナス表示しておりましたが、当連結会計年度において「売上原価」に含めて表示する方法に変更しております。

 

カイカフィナンシャルホールディングスが運営するZaif INOの売上高は、NFTの販売高に応じた販売手数料を収益源としております。当連結会計年度は、Web3ウォレット無しでNFTが購入できる簡便さと、カードをスマホにかざすだけでNFTの保有確認ができるという機能性から、会員権やチケットとしての活用が期待できるNFTカードやZaif INOメンバーズウォレットカード、高収益である自社オリジナルNFT、読者と漫画家が共に出版を目指すNFT漫画の販売など、ゲーム領域以外の分野でのラインナップを拡充いたしました。加えて、TOPPAN社とのWeb3領域におけるNFTの活用の連携においては、TOPPAN社の顧客に対して、NFC技術を利用して簡単にNFTを体験できるサービスの提供を開始いたしました。

更に、初心者を含む幅広いユーザー層に対応するため、Zaif INOの販売サイトを全面リニューアルする等、ユーザビリティの向上を図りました。

又、CAICA Web3 for Bizのサービス拡充に向け、コミュニティ運営支援のSHINSEKAI Technologies社、ブロックチェーン事業開発のアーリーワークス社、ブロックチェーンネットワークサービスのTHXLAB社と新たに業務提携契約を締結いたしました。

カスタマーディベロップメントのサービスは、暗号資産や金融業界をはじめとした様々な業界に適応可能な顧客対応を行っております。高水準のカスタマーサポートチームを提供するほか、カスタマーとの友好な関係構築を支援しています。なお、Zaif INO及びカスタマーディベロップメントの業績は概ね計画の範囲内で推移しております。

カイカコインにつきましては、上述のカイカコインの評価額の切り下げに関わらず、当社グループで引き続きカイカコインの価値向上施策を推進し、2023年9月25日付で公表したカイカコインライトペーパーに記載のとおり、カイカコインが国内のGameFiエコシステムにおけるハブとなる暗号資産になることを目指してまいります。

カイカコインライトペーパー : https://www.caica.jp/cicc/litepaper/document/

 

これらの結果、金融サービス事業の売上高は38百万円(前連結会計年度比72.0%減)、営業損失は469百万円(前連結会計年度は営業損失2,407百万円)となりました。

なお、前連結会計年度の連結損益計算書において、「売上高」に含めておりました「暗号資産評価損」は、「売上原価」に組替えております。

 

3)その他

その他につきましては、暗号資産コンテンツの提供を行うメディア事業で構成されており、売上高は0百万円(前連結会計年度比87.0%減)、営業利益は0百万円(前連結会計年度比87.0%減)となりました。

 

財政状態は、以下のとおりとなりました。

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会年度末に比べ546百万円減少し、2,425百万円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ7百万円減少し、765百万円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ539百万円減少し、1,659百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて350百万円減少し、698百万円となりました。
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、282百万円(前連結会計年度は1,749百万円の資金の減少)となりました。これは主に、仕入債務の減少額25百万円、預り金の減少額38百万円などにより資金が減少し、自己保有暗号資産の減少額325百万円、投資有価証券評価損132百万円、預託金の減少額108百万円などにより資金が増加したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、386百万円(前連結会計年度は572百万円の資金の減少)となりました。主な減少要因としては、投資有価証券の取得による支出400百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、246百万円(前連結会計年度は701百万円の資金の増加)となりました。主な増加要因としては、短期借入金の返済による支出169百万円などによるものであります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年11月1日
  至 2024年10月31日

金額

前年同期比(%)

ITサービス事業

4,640,749

98.6

金融サービス事業

1,293

30.3

 合計

4,642,043

98.6

 

(注) 「その他」につきましては、生産活動を行っていないため記載を省略しております。

 

(2) 仕入実績

 当社グループの仕入実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

(3) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年11月1日
  至 2024年10月31日

受注金額

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

ITサービス事業

5,491,376

101.4

1,686,766

95.6

 合計

5,491,376

101.4

1,686,766

95.6

 

(注) 「金融サービス事業」及び「その他」につきましては、受注生産形態をとっていないため記載を省略しております。

 

(4) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年11月1日
  至 2024年10月31日

金額

前年同期比(%)

ITサービス事業

5,569,174

100.5

金融サービス事業

36,816

28.1

その他

659

13.0

 合計

5,606,650

98.7

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

楽天グループ株式会社

831,415

15.4

857,089

15.3

日本アイ・ビー・エム

株式会社

564,556

10.4

681,385

12.2

東京海上日動火災保険

株式会社

644,188

11.9

626,149

11.2

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高、営業利益

当連結会計年度の売上高は5,606百万円となりました。売上原価は4,996百万円で、販売費及び一般管理費は769百万円となりました。この結果、営業損失は159百万円(前連結会計年度 営業損失2,378百万円)となりました。詳細につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

② 営業外収益(費用)

営業外収益は32百万円となりました。これは主に受取利息21百万円によるものであります。

営業外費用は136百万円となりました。これは主に投資事業組合運用損86百万円、投資有価証券評価損24百万円、貸倒引当金繰入額20百万円などによるものであります。

 

③ 特別利益(損失)

特別利益は3百万円を計上しております。これは新株予約権戻入額3百万円によるものであります。

特別損失は108百万円を計上しております。これは投資有価証券評価損108百万円によるものであります。

 

④ 税金等調整前当期純利益

以上の結果、税金等調整前当期純損失は368百万円(前連結会計年度 税金等調整前当期純損失4,108百万円)となりました。

 

⑤ 法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額)

法人税、住民税及び事業税18百万円、法人税等調整額△10百万円を計上しております。

 

⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は359百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失3,889百万円)となりました。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産

流動資産は、1,646百万円(前連結会計年度比34.9%減)となりました。これは主に、自己保有暗号資産が325百万円、預託金が108百万円減少したことなどによるものであります。

固定資産は、778百万円(前連結会計年度比76.2%増)となりました。これは主に、投資有価証券が365百万円増加したことなどによるものであります。

この結果、総資産は2,425百万円(前連結会計年度比18.4%減)となりました。

 

② 負債

流動負債は、736百万円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。これは主に、一年内償還予定の社債が70百万円減少したことなどによるものであります。

固定負債は、29百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。これは主に、長期預り金が10百万円増加したことなどによるものであります。

この結果、負債は765百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。

 

 

③ 純資産

純資産は、1,659百万円(前連結会計年度比24.5%減)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失359百万円などによるものであります。なお、2024年3月1日に、当社の繰越利益剰余金の欠損を補填し更なる財務体質の健全化を図り効率的な経営を目的とする無償減資及び剰余金の処分を行い、無償減資により資本金が604百万円減少、資本剰余金が604百万円増加し、剰余金の処分により資本剰余金が16,933百万円減少、利益剰余金が16,933百万円増加しております。

以上により、当連結会計年度末においては、自己資本比率が68.4%(前連結会計年度末73.2%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて350百万円減少し、698百万円となりました。

これは、営業活動の結果得られた資金が282百万円、投資活動の結果使用した資金が386百万円、財務活動の結果使用した資金が246百万円となったことによるものであります。詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、ITサービス事業ではシステム開発開始から顧客による検収後現金回収までのプロジェクト関連経費の支払いにかかるものであります。その主なものは、システム開発にかかる労務費、外注費であります。

 

③ 資金の財源及び資金の流動性

当社グループは現在、必要な運転資金、設備投資及び投融資資金については、営業活動により得られるキュッシュ・フローを基本としておりますが、必要に応じて借入、増資、社債の発行といった資金調達方法の中から諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日現在における財政状態並びに連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り及び判断を行う必要があります。当社グループでは、過去の実績や状況等を総合的に判断した上で、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(6) 戦略的現状と見通し及び今後の方針について

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。