第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、Purpose=「不動産を安心と信頼のできる財産としてグローバルに提供し、社会に貢献する」、Vision=「21世紀を代表する不動産会社を創る」を掲げております。当社グループは、東京23区、最寄駅徒歩10分圏内を中心に1都3県にて、投資用新築マンションを企画・開発し、法人や個人投資家への販売を行い、販売後の管理業務まで行っております。今後も、立地や仕様、アフターサポート等にこだわり、投資用不動産としての価値を高め、それらをグローバルに提供することで、社会貢献していきたいと考えております。また、21世紀を代表する不動産会社になり、顧客や取引先、株主、従業員等、全てのステークホルダーへの責任を果たすため、企業の継続的な発展と企業価値の向上を図ることを基本方針としております。

(2)経営戦略等

当社グループは、主力事業である投資用新築マンションの販売セグメントと販売後の管理セグメントで構成されております。販売セグメントについては、複数の販売チャネルの中で、経営環境に応じて、注力する販売事業を変化させ、管理セグメントについては、安定的に収益を得ることができるストックビジネスとして、販売増に伴った収益拡大が見込めます。このように、様々なチャネルによりシナジー効果を発揮し、また、リスク分散することで、どのような経営環境でも安定的に業容の拡大を図るポートフォリオ経営を実施しております。

更なる発展のためには、全セグメントの底上げに加え、新規事業の推進が必要であると考えております。新規事業として不動産ファンド事業を開始し、2024年7月に第1号ファンド、2024年10月に第2号ファンドが組成されております。同事業では、当社が自社ブランドマンション「GENOVIA」シリーズの販売を通して培った物件の仕入ネットワークを活かし、賃貸需要の高い立地の物件を供給いたします。また、アセットマネジメント業務の一部や建物管理業務及び賃貸管理業務を当社グループ会社が行うことで、販売後も安定したストック収入を得ることが可能となります。今後は、毎期100億円規模で2、3案件の不動産ファンドによって、ストック収入の拡大と共に運用資産規模が拡大することで、数年後の私募REIT開始を目指してまいります。また、更なる業績拡大に向け、M&Aによる事業の多角化等を積極的に推進いたします。

さらに、サステナビリティが経営の重要課題の一つであると認識しており、幅広い事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献することで、当社グループの持続的成長を図ってまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、毎期業績予想として開示する営業利益の達成度合いであります。当社は、年平均成長率30%~40%の増収増益により、2030年10月期には、売上高約6,000億円、営業利益約600億円の達成を目指しております。不動産の仕入状況や、積極的なM&A等により、各期における成長率の増減が考えられますが、平均30%~40%の成長を見込んでおります。また、当社の仕入は、手付金のみで仕入契約を締結する専有物件を推進しておりますが、業容の拡大により販売用不動産の取得資金の借入が増加すると見込んでおります。

そのため、当該借入に係る支払利息や支払手数料等の影響を受けない本業での業績を最も重視しており、その指標は営業利益となります。

 

(4)経営環境

当社グループが物件供給している東京23区を中心とした1都3県、最寄駅徒歩10分圏内の投資用新築マンションは、人口の転入超過が続いていることを背景に、安定的な賃料収入が得られる投資商品として、特に法人の需要が拡大しております。日本国内の個人投資家においても同様に、老後の生活資金の不安等から、投資先の選別が行われる中、安定的な賃料収入が見込め、実物資産として価値のある不動産に注目が集まっております。

このように、当社グループは複数の販売チャネルがあり、経営環境に応じて主力の販売先を選択することで、安定的な業績拡大が可能となります。

仕入につきましては、価格の高止まりによる影響や競合等により厳しい状態が続いておりますが、当社の財務能力や信用力の高さを背景に物件紹介の機会等が増加し、仕入は好調に推移しております。

しかしながら、資源価格の高騰や世界的な金利上昇が主要因となり、当社グループにも悪影響を及ぼす可能性があるため、引き続き注視する必要があります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループでは、経営環境等を見極めながら、更なる事業拡大に向けて、特に以下の5点を重要課題として取り組んでおります。

 

① 仕入物件の継続的な確保

当社グループにおいては、収益性を精査しつつ、積極的な仕入を行っております。当社グループがターゲットとする1都3県、特に東京23区では、地価上昇や建築資材の高騰等により仕入物件の確保が困難になりつつあります。

当社グループは、これまでよりも大規模なマンションを仕入れることで、規模にかかわらず1つの現場に最低1人は必要となる現場監理等の人員を効率化し、また、建築資材等の一括仕入れにより建築代金の抑制を図り、コストを抑えた仕入を実現しております。

なお、原則、入札には参加せず、事業主、仲介業者、建設会社等から相対取引で開発用地及び物件を仕入れることで仕入代金を抑制しております。さらに、これまでの実績を踏まえ、過去の取引先から、仕入物件のリピート紹介を受けており、継続的に仕入が可能な体制を構築しております。

今後も前述の方針に基づき、マンション用地等の情報収集を強化し、既存取引先、新規取引先から多くの情報を集め、立地や価格等の諸条件を勘案しながら、採算性の高い仕入物件の継続的な確保に努めてまいります。

② 販路拡大・多様化による安定的な業績拡大の実現

自社ブランド「GENOVIA」シリーズの間取りは、単身者向けの1KやDINKS向けの1LDK・2LDK等が中心となっております。また、供給エリアは、1都3県であり、特に東京23区で賃貸需要の高い立地であります。日本国内の人口が減少している中、当該地域は転入超過であり、「GENOVIA」シリーズの賃貸需要は高く、今後も安定的な投資商品として需要の拡大が見込まれます。

当社グループは、「GENOVIA」シリーズの販売戸数の増加による業績の拡大を達成するために、新たな販路を確保・拡大する必要があると考えております。具体的には、ホールセールについては、1棟販売を強化するとともに、子会社の株式会社グッドコムアセット投資顧問にて行う不動産ファンド事業の推進など、さらなる販路の拡大を図ってまいります。リテールセールスについては、国内外の個人投資家へ積極的にアプローチを行うため、大阪支店の設立を足掛かりに、北海道や九州地方及び沖縄県まで販路の拡大に努めております。

また、世界及び日本経済全体の景況悪化、税制改正や為替変動等によって、国内及び海外投資家の不動産購入意欲が一時的に減退することも考えられます。しかしながら、当社グループは、販売チャネルであるホールセール及びリテールセールスに加え、当社マンションの賃貸管理・建物管理、入居者の家賃債務保証事業を行うストックビジネスであるリアルエステートマネジメント及び上場・IRコンサルティングやGood Com Fund事業を含めたその他という4つの事業ポートフォリオを確立しており、これらにより、業績の拡大・安定化を図る考えであります。

さらに、当社グループは、中長期目標として、年平均成長率30%~40%、2030年10月期の決算発表までに不動産会社の時価総額ランキングの上位に入るため、既存事業の拡大やM&A等による事業の多角化にも積極的に取り組んでおります。

③ 人材の確保と育成強化

当社グループは、定期的な研修・教育制度の充実等により、人材を成長させることで、業容を拡大してまいりました。今後さらに事業の発展及び業容拡大を加速するためには、既存事業及び新規事業の全ての事業組織において、当社グループが求める優秀な人材の確保・定着及び育成が重要であると認識しております。

そのため、当社Purpose及びVisionに共感し、実現を目指す人材の確保及び社員が生き生きと自信を持って長期的に働くことができる環境を整えることで、各事業部門を底上げし、業績拡大を図る方針であります。

④ 財務体質の改善と資金調達手段の多様化

一般的な新築マンションは、用地を仕入れ、マンションを建設しますが、当社グループは、仕入の初期段階における手付金のみで仕入契約を締結する方法が主となります。当社グループとしては、多額の先行資金をかけずに物件の仕入ができることになり、資金効率が向上し、健全な財務体質を維持することが可能となります。

なお、販売物件の採算を考慮し、当初想定された販売期間を延長する場合は、資金調達が必要となります。

当社グループは、運転資金の確保を含め、資金調達手段の多様化、財務体質の改善及び財務基盤の充実を図っておりますが、さらなる強化に努める方針であります。具体的な施策につきましては、随時機動的に検討しております。

 

⑤ サステナビリティへの積極的な取り組み

当社グループは、サステナビリティが経営の重要課題の一つであると認識しており、事業活動を通じて、様々な社会課題の解決に貢献することで、持続的な成長が実現できるものと考えております。引き続き代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を中心に、社会課題や経営課題への取り組みを検討、実施することで、サステナビリティ経営の実効性を高め、長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、Vision=「21世紀を代表する不動産会社を創る」を掲げ、不動産の価値創造を通じて、環境及び社会問題の解決に向け積極的に取り組み、持続的成長と社会貢献で企業価値の向上に努めることを基本的な方針として、事業活動を通じてサステナビリティを巡るさまざまな課題の解決に取り組んでおります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ委員会規程に基づき、気候変動を含むサステナビリティについて議論・推進しております。子会社を含む各部門の長で構成されるサステナ実務委員会においては、執行役員経営管理部長を委員長とし、サステナビリティ推進のため具体的な取り組み等に関する協議を行い、当該内容については、当社代表取締役社長を委員長とし、常勤取締役及び常勤監査役で構成されるサステナビリティ委員会にて、審議・報告を行っております。

また、サステナビリティ委員会は、年4回以上開催され、当事業年度では、主な議題の一つとして、温室効果ガス排出量の削減目標等について本委員会で議論いたしました。本委員会にて決定された事項は、取締役会にて報告・議論しており、当社の取締役会は、気候関連リスク及び機会の監督を行い、事業の持続可能性に与える気候変動の影響を評価し、必要に応じて戦略を見直すこととしております。

 

(2)戦略

当社グループは、気候変動が当社事業にもたらす影響について、国際的な機関等が定める気候変動シナリオを複数参照し、リスク及び機会を識別するとともに、その財務的な影響の定量化に取り組んでおります。シナリオ分析の詳細は、以下のとおりであります。

 

<シナリオ分析の概要>

当社グループにおけるシナリオ分析では、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを採用いたしました。

なお、各シナリオでは、2050年における世界像を設定しております。

シナリオ

シナリオの概要

主な参考文献

移行リスク

物理リスク

1.5℃

シナリオ

脱炭素社会に向け、政策や法規制が強化され、産業革命以前から平均気温上昇が1.5℃に抑えられるシナリオ。

当該シナリオでは、脱炭素社会への移行リスクは高まる一方で、災害等の物理リスクは低くなると想定される。

・IEA World Energy  Outlook(2023年):NZE2050

・IPCC第6次評価報告書

SSP1-1.9

4℃

シナリオ

気候変動に係る政策や法規制が強化されず、産業革命以前から平均気温上昇が4℃程度まで上昇するシナリオ。

当該シナリオでは、移行リスクは小さいものの、地球温暖化が進行し、災害等の物理リスクは高まると想定される。

・IEA World Energy Outlook(2023年):STEPS

・IPCC第6次評価報告書

SSP5-8.5

 

 

<気候変動のシナリオ分析>

期間設定(基準年度:2024年10月期)

短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年

分類

種類

主なリスク・機会

財務への影響

主に関連する

シナリオ

期間

1.5℃

4℃

移行

リスク

政策・

法規制

炭素税の導入

炭素集約度の高い建材の使用に対する課税により工事費が増加。

中期

ZEH/環境建築物規制の導入

ZEH(※)マンション対応のための建築コストの増加。

中期

市場

顧客動向の変化

ZEH未対応のマンションの成約率や入居率が低下し、販売価格や賃料が低下。

中~長期

評判

顧客の評判

低炭素化に消極的なことによるブランド毀損。

中~長期

物理

リスク

急性

風水害の激甚化による損害

成約率や入居率が低下し、販売価格や賃料が低下。

中期

慢性

平均気温の上昇

災害時の復旧コストが増加。

中期

気候

関連

機会

資源の

効率性

省エネ技術の普及

建築工事の中断により、工期が遅延。

中~長期

製品/

サービス

環境配慮マンションの需要増

建築物の早期劣化により、資産価値が低下。

中~長期

災害に強いマンションの需要増

猛暑による労働生産性の低下。

中~長期

市場

顧客からの評判

ZEHマンション対応にかかるコストが低減。

中~長期

※ZEHとは、Net Zero Energy Houseの略称で、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅であります。

 

<シナリオ分析を踏まえた戦略・取り組み>

1.5℃シナリオにおいては、脱炭素化に向けた施策やZEHマンション対応を実施しない場合、市場からの評判が低下し、事業継続のリスクが高まることが想定されます。

同対応を実施した場合は、市場評価が上昇し、事業のさらなる発展に寄与すると想定されることから、引き続き省エネ機器の導入や再生エネルギーの利用を検討いたします。

4℃シナリオにおいては、自然災害の激甚化により、BCP対策の有効性や災害に強い建物の需要が高まると想定されることから、引き続き、災害に強く資産価値の低下しにくい立地に建物を供給するとともに、より強固なBCP対策を講じてまいります。

 

<人的資本に関する戦略>

当社グループは、定期的な研修・教育制度の充実により、人材を成長させることで、業容を拡大してまいりました。今後さらに事業の発展及び業容拡大を加速するためには、既存事業及び新規事業の全ての事業組織において、当社グループが求める優秀な人材の確保・定着及び育成が重要であると認識しております。

そこで、当社グループは、人材の多様性の確保及び育成のため、「人材育成方針」及び多様な人材の活躍を推進する「社内環境整備方針」を以下のとおり策定しております。

 

(人材育成方針)

当社グループは、「不動産を安心と信頼のできる財産としてグローバルに提供し、社会に貢献する」をPurposeに掲げ、「21世紀を代表する不動産会社を創る」をVisionとして、この理念を深く理解し、自ら調べ、考え、動き、実現する経営幹部及びスペシャリスト人材を育成いたします。

 

(社内環境整備方針)

当社グループは、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮するためには、個々を尊重し合える組織風土の下、多様な人材がいきいきと働ける職場環境の整備が重要であると考えております。そのためにも、従業員エンゲージメントの向上に向けた取り組みを推進することで、働き甲斐のある職場づくりを目指してまいります。

 

当社グループは、中長期的成長及び企業価値の向上のため、従業員一人ひとりに応じたキャリア形成及び育成に努めております。また、福利厚生の一環として、社宅制度や資格取得支援等の福利厚生の充実を図り、ベースアップ等を実施するとともに、ダイバーシティ推進に関する取り組みとして、カムバック制度、リフレッシュ休暇、有給休暇における半休制度及び取得奨励期間等を導入することで、多様な働き方ができる体制づくりを進めております。

今後も、ワークライフバランスに寄り添った制度や取り組みを推進することで、多様なバックグラウンドやスキルを持った従業員が活躍できる職場環境を整備し、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、サステナ実務委員会において、気候関連リスクを含む戦略等を協議し、年4回以上開催するサステナビリティ委員会及び取締役会において、サステナビリティ推進のモニタリングを行っており、シナリオ分析によって、リスク評価についても適宜見直しを行っております。

また、当社グループの気候関連リスクの管理プロセスは、全社的なリスク管理プロセスの一部として運用されております。リスクが顕在化する等、当社グループへの影響が認められた際には、社外取締役を委員長とし、全取締役及び監査役で構成されるリスク・コンプライアンス委員会において、リスクの程度や対応策等を協議し、定期的に監督することとしており、気候変動リスクを含む様々なリスクの統合的な管理を行っております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、気候変動関連リスク・機会の評価指標として、Scope1及びScope2に該当する温室効果ガス排出量の算出を行っております。算出対象は、当社グループ全体とし、Scope1はガソリン利用による排出量、Scope2は電力使用による排出量としております。

また、Scope1及びScope2の削減目標については、2023年10月期の排出量と比較して、2030年10月期までに30%削減を目標に設定しております。

今後も、対象範囲の拡大、排出量の削減目標等に関する検討を進めてまいります。

(単位:t-CO2)

 

2023年10月期

2024年10月期

Scope1

52.9

70.4

Scope2

136.5

136.0

合計

189.4

206.4

 

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境に関する方針に係る指標については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

なお、その具体的な数値目標設定については、今後検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)仕入に関するリスク

① 仕入物件の立地及び価格について

当社グループでは、創業以来東京23区、最寄駅から徒歩10分圏内を中心に新築マンションの用地又は建物の仕入に努めており、新規事業推進や事業規模拡大のため、1都3県に仕入エリアを拡大しております。

しかしながら、地価又は建築費の上昇により仕入を行ったとしても販売価格に転嫁できず、販売時期を見直す場合ならびに仕入契約から引渡しまでの間に、経営環境が変化し、仕入契約に基づく契約債務が当社グループにとって不利な契約内容となり、会計上の手当が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② マンション建築事業主からの仕入リスク

一般的な新築マンションの仕入は、用地を取得し、マンションを建築しますが、当社グループではマンション建築事業主(以下「事業主」といいます。)からマンションを1棟単位で仕入れるスキームを主としております。当該スキームの場合、初期段階で手付金等の自己負担のみで、先行的な用地取得資金やその後の建築資金を負担せずに、仕入物件が確保できることになります。

しかしながら、事業主の都合等で当該物件の建築中の事故等予期せぬ事態が発生し、建築工期が遅延した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)不動産引渡時期等による業績の変動及び偏重リスク

当社グループのホールセール及びリテールセールスの売上計上基準は、顧客へ物件を引渡した(所有権の移転)時点で売上高を計上する引渡基準としております。

したがって、外注先との調整不足や近隣住民の反対運動、天災等の不測の事態により物件の竣工・引渡しが遅延した場合又は法人等への複数棟の一括引渡の際に、特定の通期及び四半期に売上高及び利益が大きく偏重する場合は、当社グループの業績を判断する際には留意する必要があります。

 

(3)販売に関するリスク

① ホールセールに関するリスク

当社グループのホールセールにおいては、法人に1部屋から1棟まで幅広い単位で販売しております。

しかしながら、経済環境や金利動向、法人の投資方針等が著しく変化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② リテールセールスに関するリスク

当社グループのリテールセールスにおいては、将来の年金対策や生命保険の代替商品、相続税対策として、個人投資家の方々に物件を購入いただいております。

しかしながら、経済環境の変化等により、不動産投資に対する意欲が減退した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 不動産ファンド事業に関するリスク

私募リートや私募ファンドの組成にあたり、譲受人が不動産ファンドである不動産売却取引は、金融機関からの借入や投資家から出資を募ることとなり、取引価格が多額、かつ、取引条件が個別に異なり複雑なスキームとなる場合があります。

したがって、経営環境の変化等により、不動産投資に対する意欲が低下した場合又は取引参加者間における合意が得られないことにより組成が遅れた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)賃貸に関するリスク

① 賃貸管理物件の空室時のリスク

当社グループでは、当社マンションを購入した個人投資家等との契約において、当該マンションの空室時に家賃保証をしております。また、当社子会社の株式会社グッドコムにおいては、入居者募集施策を積極的に行うとともに、社宅契約を推進することで、入居者が途絶えないようにしております。

しかしながら、施策の効果が得られずに入居率が低下した場合は、空室保証費用が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 代位弁済時の信用リスク

当社子会社の株式会社ルームバンクインシュアにおいて、不動産賃貸契約時に借主の保証人となる家賃債務保証業務を行っており、保証委託契約を締結した賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際に、賃貸人に対して代位弁済をしております。代位弁済額を抑制するため、保証委託契約前に行う審査の実施においては、自社の審査システムに基づき審査の適正の確保に努めております。

しかしながら、経営環境や雇用環境が著しく悪化した場合は、代位弁済の増加や回収率の低下に伴う実際の貸し倒れや貸倒引当金の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)資金繰りに関するリスク

当社グループは、将来の業績拡大のため、東京23区のみならず1都3県の物件に対象範囲を広げ、仕入を強化しております。仕入に当たっては、前述のとおり主に手付金のみで仕入契約を締結しており、事業主に対する不動産仕入資金の支払期限を物件引渡し後数ヵ月に設定し、未販売住戸においては、当該期限後に取得費用が発生します。そのため、当初は多額の仕入資金を負担しないことから、多くの仕入契約を締結しており、将来の業績拡大に努めております。

しかしながら、将来的に物件引渡し時期が重なり、一時的に多額の物件取得費用が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)有利子負債の依存と金利変動のリスク

当社グループでは、不動産仕入資金を手付金等の自己負担のみとする等、金融機関からの借入を少なくし、有利子負債依存度の低減に努めておりますが、販売期間延長等による一定の借入も考慮し、資金調達手段の多様化を推進しております。

しかしながら、有利子負債は一定の水準で推移すると想定され、金利が上昇した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2023年10月31日)

当連結会計年度末

(2024年10月31日)

有利子負債残高(a)

40,380

19,828

総資産額(b)

53,496

39,460

有利子負債依存度(a/b)

75.5%

50.2%

(注)有利子負債残高は、短期及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)、社債(1年内償還予定の社債を含む。)の合計であります。

(7)在庫に関するリスク

当社グループは、マンション市況を考慮し、金融機関からの借入によりマンションの販売期間を延長する場合があります。

したがって、販売期間の延長中に自然災害等の事故により、時価が取得原価を下回る等の場合は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2006年7月5日)が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業の多角化に関するリスク

① 新規事業に関するリスク

当社グループは、事業拡大や収益の多様化を図るため、新規事業に積極的に取り組む方針であります。

しかしながら、新規事業に着手したものの、想定通りに当該事業が進捗しない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② M&Aに関するリスク

当社グループは、今後の業容拡大等の施策として、既存事業の拡大や新規事業への参入を目的としたM&Aを選択肢の一つとしております。

M&Aの実施に当たっては、対象企業の財務、法務、ビジネス面等について、外部専門家の助言を含めた詳細なデューデリジェンスに加え、当社グループとのシナジー効果等を考慮した将来価値の測定について十分な検討を実施することにより、各種リスクの低減に努めております。

しかしながら、当初想定したシナジー効果や業績拡大効果が得られない場合又はM&A対象会社の業績不振によりのれんにかかる減損損失が発生する等の場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材に関するリスク

当社グループの企業成長及び業容拡大のためには、人的資本の充実が必要であります。そのため、新卒採用や経験者の中途採用などによる人員拡大や研修による社員教育等を積極的に行い、人的資本の充実を図っております。

しかしながら、人員が十分に確保できない場合や退職者が著しく増加した場合は、サービス提供力の低下、また、人員拡大が収益に貢献しない場合は、コストの増加を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法的規制等に関するリスク

当社グループは、宅地建物取引業法をはじめとする様々な不動産関連法令や、金融商品取引法等の法的規制を受けており、事業活動の継続にあたっては、下表に掲げる免許の保有が前提となります。

なお、当社グループは、コンプライアンス体制の強化に努めており、本書提出日現在、これらの当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。

しかしながら、関連法令等の規制が遵守できず、今後これらの許認可が取り消された場合又はこれらの法的規制の大幅な変更があった場合は、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

取得・登録者名

取得年月・許認可等の名称

及び所管官庁等

許認可等の内容及び有効期限

主な許認可等の取消事由

株式会社グッドコムアセット

(当社)

 

2021年7月9日

宅地建物取引業者免許

国土交通省

宅地建物取引業に関する免許

国土交通大臣

(1)第9957号

2021年7月10日から

2026年7月9日まで

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

第5条、第66条及び第67条

2019年7月11日

不動産特定共同事業許可

東京都

不動産特定共同事業に関する許可

東京都知事

第124号

不動産特定共同事業法

第36条

 

株式会社グッドコム

(連結子会社)

2009年7月24日

宅地建物取引業者免許

東京都

宅地建物取引業に関する免許

東京都知事

(4)第90768号

2024年7月25日から

2029年7月24日まで

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

第5条、第66条及び第67条

 

2011年7月11日

マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録

国土交通省

マンション管理業者に関する登録

国土交通大臣

(3)第033780号

2021年7月12日から

2026年7月11日まで

以後5年ごとに更新

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

第83条

2021年9月2日

賃貸住宅管理業者登録

国土交通省

賃貸住宅管理業者に関する登録

国土交通大臣

(01)第000911号

2021年9月3日から

2026年9月2日まで

以後5年ごとに更新

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

第23条及び第24条

株式会社グッドコムアセット投資顧問

(連結子会社)

2022年7月1日

宅地建物取引業者免許

東京都

宅地建物取引業に関する免許

東京都知事

(1)第108025号

2022年7月2日から

2027年7月1日まで

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

第5条、第66条及び第67条

2023年3月27日

取引一任代理等認可

国土交通省

取引一任代理等認可

国土交通大臣認可

第150号

宅地建物取引業法

第50条の2、第67条の2

2023年5月8日

金融商品取引業登録

関東財務局

金融商品取引業に関する登録

関東財務局長(金商)

第3382号

金融商品取引法

第52条

 

(11)訴訟のリスク

当社グループは、投資を目的とした新築マンションを販売しており、入居率の悪化や家賃相場の低下による賃貸収入の下落、金融機関の貸出金利の上昇による借入金返済負担の増加等、収支の悪化につながる様々な投資リスクが存在します。当社グループは、顧客に対し、これらの投資リスクについて十分な説明を行い、理解していただいた上で売買契約を締結することにより、訴訟リスクの軽減を図っております。また、経営におけるコンプライアンスの重要性についても強く認識しており、役員及び従業員に対するコンプライアンス教育を徹底する等、コンプライアンス経営を推進することで、訴訟リスクの軽減に努めております。

しかしながら、顧客からのクレームや訴訟等が発生した場合、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)瑕疵担保責任に関するリスク

当社グループは、販売物件について瑕疵担保責任を負っており、瑕疵に備え住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。

しかしながら、建設会社等の破綻により保険で賄いきれない補修工事費用等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)個人情報の漏えいリスク

当社グループは、多くの顧客(潜在顧客を含む。)や入居者の個人情報を保有しております。個人情報の管理については、関連する社内規程を制定し、社内入退室管理やPC等の持ち出し・持ち込みの管理等を徹底の上、社内情報管理システムのセキュリティー強化に取り組むとともに、役員及び従業員に対する個人情報保護に関する教育・研修を実施すること等により、個人情報の保護に関する法律に準拠したプライバシーマークを取得し、情報管理の徹底に努めております。

しかしながら、昨今、サイバー攻撃は高度化かつ巧妙化していること等から、これらの対策にもかかわらず、当該情報が外部に漏えいした場合は、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)経済状況等の変動リスク

当社グループの主要事業は、景気動向、経済情勢、金利動向、販売価格動向、住宅税制等の各種税制及び建設業者の不正等の様々な外的要因の影響を受けることとなります。

したがって、これら外的要因によって、販売価格の変動や個人消費の低迷、顧客購買意欲の低下が顕著化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)災害等発生のリスク

当社グループは、地震等の自然災害や未知なる感染症のパンデミックが発生した場合に備え、安否確認システムを導入する等、安全面を考慮し、事業を継続できるよう、リスク管理体制の構築を進めております。

しかしながら、大規模な自然災害やパンデミックが発生した場合は、不動産投資マインドの低下による販売機会の損失、契約手続きの遅延、空室の長期化による空室保証費用の増加、開発物件の被災に伴う補修等による工事費上昇や完成遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業業績、設備投資の拡大、雇用環境及び所得水準の改善によって、内需主導による緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、長期化する海外紛争による原材料価格の高騰、人件費の増加に伴う物価の上昇、日米の金融政策の見直しによる急激な為替の変動等が景気に与える影響も懸念され、引き続き注意が必要な状況となっております。

当社グループが属する不動産業界におきましては、原材料価格や人件費の上昇等による建築コストの高止まり等、今後も注意を要する状況にありますが、都市部を中心に住宅需要は引き続き堅調に推移していくことが予想されています。

当社グループが属する不動産業界におきましては、金融政策の変更による金利上昇の影響等が懸念されますが、当社グループが物件を供給している1都3県の人口は引き続き増加傾向にあり、安定的な不動産投資需要が継続しております。

当社グループにおきましては、このような経営環境のもと、東京23区を中心に自社ブランド新築マンション

「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズとして、「GENOVIA green veil(ジェノヴィア グリーンヴェール)」、「GENOVIA skygarden(ジェノヴィア スカイガーデン)」及び「GENOVIA skyrun(ジェノヴィア スカイラン)」の企画・開発及び販売の拡大、顧客サポート体制の充実、広告宣伝の強化等に取り組んでまいりました。

これらにより、当連結会計年度においては45棟、全2,035戸を販売し、仕入については、16棟、全1,072戸の仕入を行いました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は59,753百万円(前期比169.3%増)、営業利益は5,451百万円(同154.6%増)、経常利益は4,938百万円(同176.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,320百万円(同222.3%増)となりました。

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

 

A.ホールセール

当連結会計年度では、法人に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを41棟、全1,566戸販売いたしました。

以上の結果、売上高は44,320百万円(前期比411.0%増)、セグメント利益は3,719百万円(同197.8%増)となりました。

B.リテールセールス

当連結会計年度では、国内外の個人投資家に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを12棟、全469戸販売いたしました。

以上の結果、売上高は12,878百万円(前期比10.5%増)、セグメント利益は728百万円(同24.6%増)となりました。

 

C.リアルエステートマネジメント

当連結会計年度では、建物管理及び賃貸管理戸数が増加したことに加え、月末入居率9割超を毎月達成し、販売を持ち越した物件の賃料収入が増加いたしました。

以上の結果、売上高は2,638百万円(前期比37.0%増)、セグメント利益は1,042百万円(同138.6%増)となりました。

D.その他

その他の区分は、新規上場及び上場後IR・資本政策に関するコンサルティング、不動産小口化商品販売事業Good Com Fund及び不動産ファンド事業で構成されており、売上高は38百万円(前期比2.1%増)、セグメント損失は111百万円(前期は187百万円のセグメント損失)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前年度末に比べ3,601百万円増加し、11,641百万円(前年度末比44.8%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、25,861百万円の資金増加(前年度は33,170百万円の資金減少)となりました。主な要因は、棚卸資産の減少額が17,337百万円、税金等調整前当期純利益が4,924百万円それぞれあったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、701百万円の資金減少(前年度は53百万円の資金減少)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出が680百万円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、21,560百万円の資金減少(前年度は29,446百万円の資金増加)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入が21,392百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が31,243百万円、短期借入金の純減額が10,619百万円それぞれあったことによるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

A.生産実績

該当事項はありません。

B.受注実績

該当事項はありません。

C.販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

販売戸数(戸)

金額(千円)

 

前年同期比(%)

ホールセール

1,566

44,320,244

511.0

リテールセールス

469

12,878,099

110.5

リアルエステートマネジメント

2,638,004

137.0

その他

38,730

102.1

合計

2,035

59,875,079

268.7

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年11月1日

至 2023年10月31日)

当連結会計年度

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

大江戸合同会社

4,318,639

19.5

株式会社BRI

3,201,984

14.4

首都圏レジ2合同会社

9,624,437

16.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮した上で行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、結果としてこれらの見積りと実績が異なる場合があります。また、特に以下の重要な会計方針及び見積りの適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

(販売用不動産の評価)

当社グループが保有する棚卸資産のうち、主なものは販売用不動産であり、販売用不動産の評価は、個別法による原価法を採用しており、事業計画上の販売見込額から販売経費見込額を控除した正味売却価額が取得原価を下回るものについては、その差額を費用処理しております。なお、当連結会計年度において、簿価の切り下げは行っておりません。

当該販売見込額の見積りにおいて、過去の販売実績や、市場動向を反映した賃料収益を割引計算する収益還元法を基礎に算定した価格を参考にしているため、想定賃料、還元利回りを主要な仮定としております。

なお、将来の市況悪化や大規模な自然災害による販売用不動産の被災等により、市場価格の著しい下落が発生し、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

販売用不動産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、59,753百万円(前期比169.3%増)となりました。

ホールセールの売上高は、1,566戸を販売し、44,320百万円(同411.0%増)となりました。これは、1棟単位の販売に加えて、不動産ファンドへの販売を行ったためであります。

リテールセールスの売上高は、469戸を販売し、12,878百万円(同10.5%増)となりました。これは、賃料上昇による適正価格での販売が増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、50,860百万円(前期比206.0%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。

その結果、当連結会計年度の売上総利益は、8,893百万円(同59.7%増)となりました。

また、売上総利益率は、前連結会計年度より10.2ポイント減少し、14.9%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、3,441百万円(前期比0.4%増)となりました。

その結果、当連結会計年度の営業利益は、5,451百万円(同154.6%増)となりました。

なお、売上総利益率の低下に伴い、営業利益率は、前連結会計年度より0.5ポイント減少し、9.1%となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、206百万円(前期比90.1%増)、営業外費用は、719百万円(同56.0%増)となりました。これは主に、販売用不動産の取得に伴う借入金に係る支払利息が増加したことによるものであります。

その結果、当連結会計年度の経常利益は、4,938百万円(同176.1%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、計上なし(前期は17百万円の特別利益)、特別損失は、14百万円(前期比89.3%減)となりました。これは主に、㈱グッドコムアセット投資顧問で使用している工具器具及び備品、ソフトウェアについて、当連結会計年度において8百万円の減損損失を計上したことによるものであります。

その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、4,924百万円(同194.4%増)となりました。

 

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等は、1,603百万円(前期比149.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,320百万円(同222.3%増)となりました。

 

B.財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は38,285百万円となり、前年度末に比べ14,716百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が3,601百万円、仕掛販売用不動産が2,869百万円それぞれ増加した一方で、販売用不動産が20,345百万円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は1,174百万円となり、前年度末に比べ679百万円増加いたしました。主な要因は、投資有価証券が676百万円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は13,344百万円となり、前年度末に比べ17,219百万円減少いたしました。主な要因は、工事未払金が2,654百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が10,790百万円、短期借入金が10,619百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は12,178百万円となり、前年度末に比べ854百万円増加いたしました。主な要因は、開発用地の取得等により長期借入金が939百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は13,937百万円となり、前年度末に比べ2,328百万円増加いたしました。主な要因は、配当の支払により利益剰余金が1,007百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3,320百万円増加したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は13.6ポイント上昇し、35.3%となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、経済状況、法的規制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループは、これらのリスク要因について注視するとともに、リスクを低減できるよう適切な対応を行ってまいります。

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに借入条件を勘案し、金融機関から借入れております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財務能力の健全性の維持が重要であると認識しておりますので、金融機関からの借入れや社債の発行、新株式発行による増資等、手許資金とのバランスを考慮し、成長原資である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財務能力の健全性を確保いたします。

なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。