文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ミッション / ビジョン
ミッション(私たちの存在意義):
深刻化するプロ人材の枯渇を解決し、日本を「課題解決先進国」にする。
当社グループは、建設・IT領域を中心に技術者の派遣事業を展開しております。日本に限らず、先進国の多くは枯渇とも言えるレベルで「プロ人材の不足」に悩まされており、国・産業・企業の隆盛に影響を与える大きな課題と考えております。今日の日本では、少子化に伴う新規就業者数の減少等によってプロ人材は慢性的に不足しており、既存のプロ人材も高齢化が進んでいるため技術の継承も課題となっております。また、かかるプロ人材の不足を補うことが期待されるIT化・デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化についても、建設業をはじめとする多くの産業分野において遅れているのが現状です。当社グループは、このような「プロ人材不足による問題」を解決し、日本を「課題解決の先進国」に押し上げるという強い意志をミッションに込めております。
また、「プロ人材」という表現は、専門技術を持つ人材不足の問題解決に事業領域を絞る意図をもっており、この「プロ人材」に焦点を絞っていることが他の人材会社との違いと考えております。
ビジョン(私たちの目指す姿)
ITと人材育成の2つの技術をかけ合わせ、プロ人材の減少を補う「生産性を高める業務変革」と
「プロ人材の育成と安定供給」を提供・実現する。
「人材育成」の技術は、体系的な専門技術のインプットも大切ですが、それぞれの人の成長段階やタイミングに合わせた感情的なフォローも重要になります。当社グループは、血の通った「人材育成」の組織文化と育成技術を基盤に、各業界で求められる専門知識とビジネススタンスを備えた人材を数多く安定供給していく体制を構築しております。
また、当社グループは、顧客企業に対し、「プロ人材が減った少人数体制でも、生産性が高まるような業務変革の支援」もITを用いて提供してまいります。
このような業務効率化支援と、プロ人材の安定供給という2つのサービスの掛け算によって、「プロ人材不足による問題」を解決し、各業界や社会の未来に貢献してまいります。
(2)経営環境
建設業界においては、公共土木施設・民間建築の老朽化に伴う維持・修繕工事の増加に加え、民間設備投資の持ち直しが進んでいることなどから、今後も底堅い需要が見込まれております。他方、2024年9月現在の建設従事者(採掘含む)の有効求人倍率は5.20倍(注1)と採用環境の厳しさは増しており、加えて建設業界への時間外労働の上限規制が2024年4月に適用されたことから、建設業界における人手不足の問題はより深刻化しています。
このような環境下において、技術者派遣に対するニーズは更に高まっていくことが想定されます。また、就業人口不足を補うために、建設現場の生産性向上を目的としたDX導入支援のニーズも高まっております。
(注) 1. 厚生労働省発表「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(2024年10月29日発表)
(3)経営戦略
①成長性・収益性を支える当社グループの強み
「採用力」
他業種を含めた幅広い求職者層を母集団として採用活動を行うことができるため、当社グループは未経験者を中心とする採用戦略を推進しています。未経験者採用は応募から入社までのハードルが高いという課題はありますが、大手求人メディアの活用により大量採用が可能なうえ、経験者採用と比べ採用単価を低く抑えることができるというメリットがあります。採用プロセスでは、応募から書類選考、面談設定まで24時間対応可能な採用自動化ツールを導入して採用の効率化を図る一方で、面接への移行率向上を目的に応募者へのアプローチを見直すなど、採用プロセスの継続的な改善にも取り組んでおります。また、採用チャネルについても、従来からの求人媒体の活用に加えて、自社採用メディア(セコカンNEXT)、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、技術者人材の確保に努めております。
以上のように、当社グループでは未経験者に特化して採用活動を行っていることから、経験者のみを対象とする場合と比較して高い人材供給力を発揮できるため、顧客企業からの強い需要に応えることが可能になっています。他方、一定の退職者が生じるため、退職率の低減は当社グループの重要な経営課題と認識しております。
在籍人数(人)
(注) 2. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。当月1日から月末までに1日以上在籍していた技術者数であります。括弧内は正社員の技術者数であります。
3. ㈱ATJC単体の数値であります。当月1日から月末期間中に1日以上在籍していた技術者数であります。
採用者数(人)
退職者数(人)
退職率(%)
(注) 4. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。
5. ㈱ATJC単体の数値であります。
「単価向上余地」
当社グループは、未経験者を中心に採用を進めていることから、2024年10月末時点の技術者の年齢構成は、29歳以下約64%、30歳~39歳以下約26%、40歳以上約10%と、39歳以下が全体の約90%(注6)となっており、高齢化が進む建設業界に対して若年層の派遣が可能となっております。
また当社グループでは、若手人材の育成メソッドを確立し、技術者の経験年次に応じた研修を実施しております。具体的には、未経験者である1年目は基礎技術研修(建設業界の基礎知識や専門用語、社会人スキルの基礎などの研修)、2~3年目には専門技術基本研修(最初のプロジェクト配属で得た経験をベースに、次のプロジェクトに備えた基本技術などの研修)、4~6年目には専門技術実践研修(より専門性の高いプロジェクトを担当しながら一級建築士や施工管理技士等の資格取得を視野に入れた研修)、7年目以降は専門技術研修(建設現場に欠かせない存在としてプロジェクトをけん引するための研修)を行っております。これらにより、技術者はよりレベルの高いプロジェクトにチャレンジすることが可能となり、そこで得られたスキルによって、さらなる成長を実現することができます。
以上のように、当社グループのビジネスモデルは若年層中心の技術者派遣と若手人材の育成メソッドをベースに構築されていることから、契約単価を引き上げやすい構造となっております。
なお、一人あたりの契約単価、稼働人数、稼働率は以下のとおり推移しております。
(注) 6. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象としております。
一人あたり契約単価(千円/月)
(注) 7. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。経験者・未経験者を含む全派遣従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。括弧内は1年目の平均値であります。
8. ㈱ATJC単体の数値であります。経験者・未経験者を含む派遣又は準委託契約中の従業員の各契約単価(残業代は除く)の平均値であります。
9. 未経験者採用人数の増加により、契約単価の低い未経験者の割合が増加したことで、一人あたり契約単価が低下しております。
稼働人数(人)
(注) 10. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。派遣契約中の従業員を対象とし、期中平均にて算出しております。
11. ㈱ATJC単体の数値であります。派遣又は準委任契約中の従業員数を対象とし、期中平均にて算出しております。
12. 2021年10月期の稼働人数が減少しているのは、コロナ禍により営業活動が低調であったためであります。
稼働率(%)
(注) 13. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。
14. ㈱ワールドコーポレーション単体の数値であります。在籍人数に対する技術者数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。
15. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を含む)の割合を、期中平均にて算出しております。
16. ㈱ATJC単体の数値であります。在籍人数に対する稼働人数(研修中の従業員を除く)の割合を、期中平均にて算出しております。
17. 2021年10月期の稼働率が低下しているのは、コロナ禍により営業活動が低調であったためであります。
②当社グループの中期的な成長戦略
「派遣領域の拡大」
当社グループは、未経験者を中心とする採用戦略を構築する一方で、経験者の採用も推進しております。自社採用メディア(セコカンNEXT)では、経験者向けに求人情報を掲載することができ、幅広い年齢層の施工管理経験者が登録されています(2021年10月期197人、2022年10月期319人、2023年10月期435人、2024年10月期352人)。今後は未経験者の採用と並行して経験者の採用も強化し、プラント領域、BIM領域(注18)、IT領域等、新たな領域への技術者派遣を強化することで、事業拡大を目指します。
具体的には、プラント領域では、プラントの設計・調達・建設を担うエンジニアリング会社からの技術者やCADオペレーター等の派遣ニーズに加えて、日常保全業務・定期修繕業務を担うメンテナンス会社からの技術者派遣ニーズにも対応してまいります。なお、当社グループでは、これまで培った採用戦略を踏襲し、プラントのメンテナンス会社と提携してプラント現場の実地研修を実施しております。
BIM領域については、国土交通省のBIM/CIM推進を背景に、BIM人材の需要はさらに高まるものと想定しております。当社グループでは施工図/BIMに関する専門の部門を設置し、BIM技術者の育成と派遣を本格的に開始しております。BIM技術者や施工図技術者の育成については、3か月研修や実務経験豊かな先輩社員によるOJT研修等、教育体制を構築しており、今後は営業活動を強化することで派遣者数の増加に繋げてまいります。
IT領域については、当社グループが確立してきた採用ノウハウや人材育成メソッドを株式会社ATJCへ移植し、低コスト採用と契約単価向上を目指してまいります。加えて、システム開発における上流工程案件の受注獲得やシステム開発の案件の直接受託に向けて営業活動と技術力の強化に努めてまいります。
(注) 18. BIM:コンピューター上で作成する3Dデジタルモデルにより、建設過程における設計から施工、維持管理までを可能にするツール。BIM(Building Information Modeling))は建築分野、CIM(Construction Information Modeling)は土木分野。
「人材紹介サービスへの展開」
当社グループの中核事業領域である技術者(施工管理等)の派遣に加えて、今後は技術者よりも圧倒的に多くの就業者が存在する職人(技能労働者)302万人・一人親方51万人(注19)の人材紹介ビジネスの展開に注力してまいります。なお、労働者派遣法により、土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されております。また、有料職業紹介事業においても、職業安定法で建設業務に就く職業の求職者を紹介することは禁止されておりますが、当社グループでは建設業務有料職業紹介事業許可(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条」)を有する一般社団法人全国建設人材協会を通じて職人(技能労働者)の職業紹介を行っております。建設業務の有料職業紹介事業は認定団体のみ職人の職業紹介が可能であり、一般社団法人全国建設人材協会を含む全国で3団体のみが認定を受けております(注20)。なお、当社グループの㈱コントラフトは職人(技能労働者)の転職求人情報サイト「ジョブケンワーク」を運営し、一般社団法人全国建設人材協会に求職者情報の提供を行っております。㈱コントラフト設立以降、プラットフォームの求職者数、求人情報を掲載する企業の登録会員数は順調に増加しております。
(注) 19. 技能労働者:業者・技術者・技能労働者。総務省「労働力調査」(令和4年平均)を基に国土交通省で算出(国土交通省「最近の建設業をめぐる状況について」2023年4月18日)
一人親方:総務省労働力調査(令和元年平均)を基に国土交通省においての推計人数(国土交通省「第一回建設業の一人親方問題に関する検討会」2020年6月25日)
20. 2023年2月時点、当社調べ(一般財団法人みやぎ建設総合センター、一般社団法人沖縄県建設業協会、一般社団法人全国建設人材協会の3団体)
「建設DXコンサルティングへの展開」
建設テック市場の拡大が期待される中で、建設DX支援を提供する新規人材サービスを確立し、建設業界のIT/DX化をサポートしてまいります。建設業界においては、人手不足や時間外労働削減を背景とした省人化・生産性向上を目的として、ICT技術(例:ドローンによる測量、3次元レーザースキャナによる点群計測、図面管理・情報共有ツールの活用、等)のニーズが高まっております。一方で、建設業界に建設ICT技術に精通した人材はまだ十分ではなく、建設DX推進支援に対する需要は今後高まっていくものと想定しております。当社グループは、建設ICT導入のコンサルティングを実施するコンサルタントや支援員を養成し、複数名により編成したチームより建設DX支援サービスを提供してまいります。
③2025年10月期の経営方針
技術者人材の獲得は当社グループの成長の推進力でありますが、人材獲得競争は激化しており、「顧客需要に応える人材の安定的な確保」、ならびに「技術者の退職率の改善」は喫緊の課題であると認識しております。また、事業成長を支える営業や採用、バックオフィスの体制整備についても、持続的な成長を実現するうえで欠かせない取り組みです。
2025年10月期につきましては、中期的な成長実現に向けて礎を築く期間とし、技術者の育成支援と退職率の低減に向けた取り組みを推進しつつ、持続的な成長を実現するために業務プロセスの効率化と高度化に取り組みます。また、当社グループのありたい姿と外部環境の動向や事業リスク等を踏まえ、中期経営計画の策定を進めてまいります。
これらの取り組みを踏まえ、2025年10月期の連結業績予想につきましては、売上収益25,650百万円(前期比18.7%増)、営業利益3,310百万円(前期比6.4%増)、税引前当期利益は3,220百万円(前期比5.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,330百万円(前期比6.5%増)を見込んでおります。
なお、2025年10月期の第2四半期(累計)の連結業績予想につきましては、売上収益11,980百万円(前年同期比17.4%増)、営業利益1,230百万円(前年同期比7.8%減)を見込んでおります。上期については前年同期比で増収を見込む一方で、今後の技術者採用強化に向けて営業や採用部門のスタッフの増強を図ることから営業利益以下の段階利益については減益を見込んでいます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期的な成長戦略として「安定的な高成長に向けた事業基盤の構築」を掲げ、売上収益及び営業利益の成長を重視しております。また、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用人数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 技術者の確保及び育成
技術者人材の確保は当社グループの成長における重要な経営課題であり、「採用者数の拡大」「退職率の低減」「技術者のスキルアップ」の取り組みを通じて、派遣する技術者の規模拡大を図ります。採用者数の拡大施策としては、SNSやWEBでの積極的な情報発信によるブランディング強化、自社採用メディア(セコカンNEXT)の活用、グループ採用による幅広い職種採用、採用フロー見直しによる遷移率の改善、潜在的見込応募者の発掘等を推進してまいります。
退職率の低減施策としては、研修中及び配属後のフォロー強化、派遣領域の拡大による技術者の成長機会創出、顧客と技術者の関係性構築支援、退職懸念の早期発見と早期解決体制強化等を推進してまいります。
人材育成施策としては、技術者数の増加や派遣領域の拡大に対応するため、各種研修プログラムや資格取得支援制度の拡充等により、広範囲、高品質、高効率な人材育成の仕組みを構築してまいります。
以上の施策により、採用者数の拡大と退職率の低減を図り、技術者の確保・育成に努めてまいります。
② テクノロジーの普及による省人化
テクノロジーの普及により、中期的な工事現場における省人化が進展することで、技術者の人材派遣需要が減少(人数減、業務時間減)する可能性があります。一方では、建設業界へのICT導入による効率化へのニーズが高まっているということでもあり、ICT導入に係る人材供給に取り組んでまいります。
③ 法改正への対応(長時間労働の抑制)
政府による「働き方改革」のもと、労働時間関連法令の改正や法令違反企業へ新たな罰則が設けられるなど、長時間労働に対する指導・監督が強化されております。また、2024年4月より建設業においても時間外労働時間の上限規制が適用されました。派遣元である当社グループは、派遣先に対して当社グループの派遣技術社員が時間外労働時間の上限規制を超えて時間外労働を行うことがないように、勤怠状況を把握する体制を整備しており、派遣先に対する改善要請など、適切な対応を行っております。
④ 財務体質の強化
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入を行っており、また、多額ののれんを計上しております。当該のれんは、主に2019年11月に株式会社ワールドコーポレーションの株式を取得したことにより生じたものであります。今後は、事業拡大に伴う運転資金及び投資資金の確保、配当政策、有利子負債とのバランス等を勘案しつつ自己資本の拡充を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、サステナビリティに対してコミットメントするため、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会にて検討を行うこととしております。
リスクマネジメント・コンプライアンス委員会は、代表取締役が委員長を務め、常勤役員、内部監査室の長、コーポレート本部エグゼクティブマネージャーで構成されており、四半期に1回、開催しております。
また、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会にてサステナビリティ課題に係る重要事項を協議した場合、取締役会に対し、当該事項について報告することとしております。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境に関する方針は、以下のとおりであります。
<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>
当社グループは、人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値向上につながると考えております。そのため、人材の多様性やワークライフバランスの重視、スキルの開発とキャリアパスの構築等を推進しております。
当社グループでは、経営に重大な影響を及ぼすリスクを未然に防止し、リスクが発生した場合には、損害・損失を回避・最小化するため、リスクマネジメント・コンプライアンス規程を定め、リスクを統括管理するリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置しております。
また、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会にて重要な事項を協議した場合、取締役会に対し、当該事項について報告することとしております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績は、次のとおりであります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
(注) 男性のうち最高評価取得した者の割合から女性のうち最高評価を取得した者の割合を控除した数値。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
また、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要とその体制を採用する理由」に記載のとおり、当社は、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置し、当社のリスク管理に関する課題の調査・対応の審議等を行っております。
(1)建設業界の景気動向(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループは、建設業界向けを中心とした人材派遣事業を行っており、建設業界における派遣人材の需要は人材不足等を背景に今後も拡大基調であると考えておりますが、当社グループの業績は国内の建設投資動向に一定程度の影響を受けます。経済情勢の悪化に伴う公共工事や民間工事の落ち込み等により、建設投資動向が著しく変動した場合、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、派遣契約期間中の中途解約等が生じる可能性があります。当社グループは多くの正社員を派遣しているため、景気後退局面では無期雇用の待機技術者の人件費負担が重くなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、建設業界向けの人材派遣を中心とした事業展開を行いつつ、プラント領域、BIM領域、IT領域等への人材派遣など、建設業界において蓄積されたノウハウ・経験を活用し、特定の業界や顧客の業況に大きく影響を受けないようにリスクを分散した事業運営を行っております。
(2)技術者人材の確保(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:中長期)
技術者人材の確保は当社グループの成長における重要な経営課題であり、「採用者数の拡大」「退職率の低減」「技術者のスキルアップ」の取り組みを通じて、派遣する技術者の規模拡大を図ります。採用力は当社グループの強みであり、技術者の採用人数、在籍技術者数は順調に増加しております。また、採用チャネルについても、従来からの求人媒体の活用に加えて、自社採用メディア(セコカンNEXT)、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、技術者人材の確保に努めております。
退職率の低減施策としては、研修中及び配属後のフォロー強化、派遣領域の拡大による技術者の成長機会創出、顧客と技術者の関係性構築支援、退職懸念の早期発見と早期解決体制強化等を推進してまいります。人材育成施策としては、技術者数の増加や派遣領域の拡大に対応するため、各種研修プログラムや資格取得支援制度の拡充等により、広範囲、高品質、高効率な人材育成の仕組みを構築してまいります。
一方で、国内の総人口は継続的に減少することが見込まれています。国内における技術者の需給は逼迫しており、今後の技術者採用市場の動向によっては、需要に見合う供給を十分に確保できないおそれや採用コストが増加する可能性もあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)労務管理(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループでは、約3,000人の派遣技術社員が在籍しており、現在も継続的に派遣技術社員の採用を進めております。時間外労働時間の上限規制が建設業においても2024年4月より適用されるなど、労務管理に関する規制が強化される中、当社グループでは、採用時における人材品質の確保、教育研修体制の強化、コンプライアンスを重視した労務管理を含む派遣技術社員の管理の充実等の取り組みを実践しております。しかしながら、万一、不適切な労務管理による法令違反が発生した場合や、労働安全衛生や雇用関係等に関して派遣技術社員との間で紛争が発生した場合等、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが派遣する技術社員は顧客企業の様々な現場で就業を行っております。当社グループは、派遣先の就業環境における労災事故のリスク把握に努めておりますが、当社グループの従業員が不測の事態に遭遇した場合、損害賠償金の負担や社会的信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)許認可及び法規制(発生可能性:小、影響度:中、発生時期:中長期)
当社グループは、労働者派遣事業者及び有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可等を受け事業を行っております。本書提出日現在における当社グループの主要な事業活動の前提となる許可・届出状況については以下のとおりであります。
(株式会社ワールドコーポレーション)
(一般社団法人全国建設人材協会)
当社グループは、法令違反等の未然防止に取り組んでおり、本書提出日現在、当該許可等の取消又は事業の停止等となる事由は発生しておりません。しかしながら、派遣先の指示により労働者派遣法で禁止されている建設業務(なお、当社グループの派遣技術社員が実施している施工管理、CAD作図、施工図作図等はかかる業務に該当しません。)を行う等、何らかの要因で当該事業許可等の取消又は事業の停止等を命じられた場合、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
有料職業紹介事業においても、職業安定法で建設業務に就く職業の求職者を紹介することは禁止されておりますが、当社グループでは建設業務有料職業紹介事業許可(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条」)を有する一般社団法人全国建設人材協会を通じて職人(技能労働者)の職業紹介を行っております。なお、建設業務の有料職業紹介事業は認定団体のみ職人の職業紹介が可能であり、一般社団法人全国建設人材協会を含む全国で3団体のみが認定を受けております。
また、当社グループは、準委任契約に基づきSES(システムエンジニアリングサービス)業務などを受託する場合、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(労働省告示第37号)」等の関係法令に従っておりますが、偽装請負問題等が発生した場合には、社会的信用失墜等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)多額の借入金(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:中長期)
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入を行っており、2024年10月期末における総資産に占める借入金残高は23.6%となっております。なお、シンジケートローン契約に基づいて設定されたコミットメントラインの借入実行額20億円の返済期限は2025年10月31日となっております(注21)。今後は借入金を減少させるべく取り組みんでまいりますが、借入金にかかる金利のうち、変動金利部分については、金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが締結している借入契約には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.借入金及び担保に供している資産等」に記載のとおり、財務制限条項が付されております。
当社グループは、財務制限条項への抵触リスクに対応するため、財務コベナンツに係る各種数値の定期的なチェック等を行うとともに、安定的な利益及び資金の確保に努めておりますが、当該財務制限条項に抵触した場合には、借入金を一括返済する可能性があり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 当該シンジケートローン契約の規定により、コミットメント期間の1年間の延長を2回まで申し込むことができ、コミットメント期間が延長された場合、当該延長を承諾した貸付人について延長後のコミットメント期間満了日が返済期限となります。なお、2024年10月31日付でコミットメント期間満了及び返済期限を迎えましたが、コミットメント期間が1年間延長されたため、2024年10月31日付で借入実行金額2,000,000千円の借換えを行いました。
(6)のれんの減損(発生可能性:中、影響度:大、発生時期:中長期)
当社グループは、多額ののれん(2024年10月期末における総資産に対するのれん比率59.6%)を計上しております。当該のれんは、主に2019年11月に株式会社ワールドコーポレーションの株式を取得したことにより生じたものであります。
当社グループはIFRSを採用しているため毎期ののれんの償却負担は発生しませんが、のれんの対象となる事業の収益力が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。事業の収益力の向上に努めておりますが、減損損失を計上するに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)代表者への依存(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループの創業者であり代表取締役である小林良は、当社の株式を直接的又は間接的に所有しております。同氏は、建設業界向け人材派遣に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行において重要な役割を果たしております。
当社グループでは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティ・個人情報の管理(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:特定時期なし)
当社グループは、技術者を含む従業員や採用応募者等、多くの個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、役職員への継続的な教育研修等を通じて、個人情報の適正な取扱いを浸透させております。また、個人情報保護規程の整備・運用及び情報システムにおける個人情報に関するセキュリティ対策を講じております。
個人情報の外部流出が発生した場合には、損害賠償金の負担や社会的信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)世界的な感染症の蔓延拡大(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:特定時期なし)
2020年から世界規模で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症のように、世界的な感染症の拡大が発生した場合には、対面での営業活動や採用活動に制約を受ける可能性があります。また、人材派遣先である建設業界等顧客企業において、工事の稼働を中断した場合や工事案件が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)システム障害(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:特定時期なし)
当社グループでは、情報システムの安定的な運用に努めておりますが、自然災害、事故、コンピューターウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃等により、情報システムに重大な障害が発生した場合、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)買収・合併、業務提携、新規事業等(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、成長戦略の一環として、買収・合併、業務提携、新会社設立等を推進する可能性があります。これらの実施にあたっては、十分な事前調査及び検討を行ってまいりますが、当該事業が当初想定した計画と大きく乖離した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります
(12)自然災害(発生可能性:低、影響度:小、発生時期:特定時期なし)
当社グループは全国に営業拠点を有しており、当社グループの技術者は全国の顧客先にて勤務しております。地震、津波、台風等の自然災害が発生した場合には迅速かつ的確な対応を行ってまいりますが、想定外の大規模災害の発生により、営業拠点の事業運営が困難になった場合や、顧客先の工事の稼働が中断した場合など、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)大株主の状況(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:短期)
当社グループは、㈱アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンド(以下、「APファンド」という。)から、純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在、投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号、AP CAYMAN PARTNERS Ⅲ,L.P.、JAPAN FUND Ⅴ, L.P.、アドバンテッジパートナーズ投資組合80号が合計で当社株式1,560,600株(発行済株式総数対比17.9%)を保有しています。また、当社社外取締役かつ監査等委員である西村隆志は、アドバンテッジパートナーズより派遣されています。APファンドは当社株式の上場時において、所有する当社株式の大半を売却しましたが、上場後においても一定の当社株式を保有しています。なお、アドバンテッジパートナーズより派遣されている取締役につきましては、今後のAPファンドの当社株式の持分等を勘案しながら、将来的には退任を想定しております。
当社グループは、㈱アドバンテッジパートナーズより、当該株式の将来的な処分時期や方法については未定であるものの、市場価格への影響を極力抑えた形で対応する旨聴取しておりますが、今後の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営その他の事項に関する㈱アドバンテッジパートナーズの利益は、他の株主の利益とは異なる可能性があります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2023年11月1日~2024年10月31日)における日本経済は、円安による物価上昇の影響などから一部景気に足踏みがみられたものの、雇用や所得環境の改善などを背景に緩やかな回復が続きました。当社グループが技術者を派遣する建設業界についても、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きがみられたことから、需要は堅調に推移しました。他方、2024年9月現在の建設従事者(採掘含む)の有効求人倍率は5.20倍(2024年10月29日厚生労働省発表)と採用環境は厳しさを増しており、加えて建設業界への時間外労働の上限規制が2024年4月に適用されたことから、当業界における人手不足の問題はより深刻化しています。そのため、技術者派遣に対するニーズは今後更に高まっていくと想定されます。
このような環境の下、当社グループの中核事業会社であるワールドコーポレーションでは顧客企業からの強い需要に応えるため、「技術者の採用強化」「営業体制の強化」「技術者のキャリアデザイン支援」の取り組みを推進しました。
■技術者の採用強化
顧客からの技術者需要に対応するため、採用費を積極的に投下するとともに、採用プロセスの改善に取り組んだ結果、新卒・中途未経験者の採用数が伸長しました。採用プロセスの改善を引き続き行いつつ、ダイレクトリクルーティングや自社採用メディアを通じた採用活動を強化することで、技術者の確保と採用効率の改善に努めてまいります。
■営業体制の強化
技術者の契約単価の改善に努めつつ、既存顧客に加えて新規・休眠顧客への積極的な営業活動を推進し、案件の受注を進めました。他方、女性技術者などの派遣先を安定的に確保することができず、稼働率については目標数値を下回る結果となりました。引き続き、幅広い派遣案件の確保に向けて営業活動を強化することで、多様な技術者の活用を推進してまいります。
■技術者のキャリアデザイン支援
技術者が継続的に成長できる体制の構築を目指し、キャリアデザイン支援制度「ゼロプロ成長サイクル」を2024年5月に掲げ、プログラムの一環として資格手当の改定(2024年11月~)と試験対策講座の新設(2024年7月~)を開始しました。引き続き、「ゼロプロ成長サイクル」の取り組みを強化し、未経験技術者の業務上での課題やキャリア相談ができる環境整備を推進することで、技術者の活躍を支援してまいります。
これらの取り組みに加えて、ITエンジニアの派遣事業を展開する株式会社ATJCでは、引き続き、研修内容の充実を図るとともに、システム開発における上流工程案件の受注獲得に向けて営業活動を強化しました。
以上の結果、建設・ITソリューション事業ともに技術者の在籍人数と稼働人数が伸長したことに加え、技術者の契約単価も上昇したことから、当期の連結売上収益は21,608,643千円(前連結会計年度比20.1%増)となりました。営業利益は、営業や採用スタッフの増員による人件費増加などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、増収効果が大きく、3,110,968千円(同26.0%増)となりました。税引前当期利益は3,059,596千円(同23.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,187,881千円(同25.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(建設ソリューション事業)
建設技術者派遣を展開する株式会社ワールドコーポレーションの当連結会計年度末の在籍技術者数は3,239人(前連結会計年度末比543人増加)、当連結会計年度の平均稼働率は94.2%(前連結会計年度比2.0pt減少)となりました。また、技術者のチャージアップの取り組みが奏功し、当連結会計年度の月次平均契約単価は510千円(同23千円増加)となりました。
以上の結果、同事業の売上収益は19,347,007千円(前連結会計年度比20.6%増)、セグメント利益は2,607,379千円(同15.8%増)となりました。
(ITソリューション事業)
ITエンジニアの派遣を展開する株式会社ATJCの当連結会計年度末の在籍技術者数は404人(前連結会計年度末比40人増加)、当連結会計年度の平均稼働率は93.9%(前連結会計年度比1.0pt改善)となりました。また、当連結会計年度の月次平均契約単価は514千円(同15千円増加)となりました。
以上の結果、同事業の売上収益は2,294,169千円(前連結会計年度比17.4%増)、セグメント利益は147,898千円(同30.5%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産合計は、7,926,570千円(前連結会計年度末比865,880千円増加)であります。これは主に、営業債権が437,850千円増加、現金及び現金同等物が433,615千円増加したことによるものであります。非流動資産合計は15,690,901千円(同246,524千円増加)であります。これは主に、使用権資産が239,762千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は、23,617,471千円(同1,112,404千円増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債合計は、6,516,941千円(前連結会計年度末比229,497千円増加)であります。これは主に、その他の流動負債が216,742千円増加したことによるものであります。非流動負債合計は、3,659,880千円(同380,527千円減少)であります。これは主に、リース負債が223,443千円増加した一方で、借入金が714,284千円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、10,176,821千円(同151,030千円減少)となりました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は、13,440,650千円(前連結会計年度末比1,263,435千円増加)であります。その主な内訳は、剰余金の配当があった一方で親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により、利益剰余金が1,112,174千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、4,516,838千円(前連結会計年度末比433,615千円増加)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は、2,310,147千円(前連結会計年度は2,314,011千円の収入)となりました。これは主に法人所得税の支払額915,292千円があった一方で、税引前当期利益3,059,596千円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、6,375千円(前連結会計年度は22,053千円の収入)となりました。これは主に、その他の金融資産の取得による支出15,188千円や有形固定資産の取得による支出14,075千円があった一方で、その他の金融資産の回収による収入23,170千円や貸付金の回収による収入10,202千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、1,870,155千円(前連結会計年度は536,633千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額1,228,863千円や長期借入金の返済による支出714,284千円によるものであります。
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a. 売上収益
売上収益は、21,608,643千円(前連結会計年度比20.1%増)となりました。売上収益の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 売上原価、売上総利益
売上原価は、主に売上規模拡大に伴う派遣技術者の人件費の増加等により15,668,025千円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は5,940,617千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費につきましては、主に、株式報酬費用が減少した一方で、事業拡大に伴う管理部門の人件費の増加により2,845,984千円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は3,110,968千円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。
d. 金融収益・金融費用、税引前利益
金融収益につきましては、主に保険積立金解約による収益の計上により910千円となりました。金融費用につきましては、主に支払利息の計上により52,282千円となりました。この結果、当連結会計年度の税引前当期利益は3,059,596千円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益
法人所得税費用871,714千円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,187,881千円(前連結会計年度比25.6%増)となりました。
当社グループの財政状態の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金の流動性については、経理財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。当社グループの主な運転資金需要は、派遣技術者の人件費等であり、設備投資資金としては、営業拠点投資や情報システム投資等であります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本としております。今後は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。
④ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略」に記載のとおり、当社は売上収益及び営業利益を重視するとともに、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用者数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。
当連結会計年度においては、売上収益21,608,643千円(前連結会計年度比20.1%増)、営業利益3,110,968千円(同26.0%増)となりました。また、当連結会計年度における株式会社ワールドコーポレーションの主要なKPIは、在籍人数3,239人(同20.1%増)、稼働人数2,817人(同19.8%増)、採用者数1,805人(同15.8%増)、退職者数1,284人(同14.1%増)、退職率29.1%(同1.1%減)、稼働率(研修中の従業員を除く)94.2%(同2.0%減)、一人あたり契約単価510千円(同4.8%増)となりました。
前連結会計年度から引き続き、建設業界は人手不足が継続し、技術者人材を派遣する当社グループの役割は大きく、技術者人材の採用・教育の強化に取り組み、在籍人数、稼働人数は順調に拡大し、各種KPIは堅調に推移しており、当連結会計年度における増収増益に寄与しております。
(参考情報)
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA、調整後EBITDA、調整後営業利益を重要な経営指標として認識しており、過去3期間の各指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 1. 当社は2019年5月27日の設立後、決算期を4月末から10月末に変更したため、当社の2020年10月期は2020年5月1日から2020年10月31日までの6ヶ月間となっております。2020年10月期(LTM)は、2019年11月1日から2020年10月31日までの12ヶ月を一連結会計年度と仮定して計算した数値(未監査)であり、2020年10月期(6ヶ月間)の実績とは異なります。
2. 2020年10月期(LTM)は、当社(旧AP64)によるワールドコーポレーション株式取得に係るFAフィー、DD費用、リーガルコスト、2021年10月期は、当社によるATJC株式取得、職人の職業紹介関連事業譲受、オフィス・アークス株式取得に係るFAフィー、DD費用、リーガルコスト等を、それぞれ一時費用として調整しております。なお、2022年10月期以降、一時費用が不存在のため調整はありません。
3. 2020年10月期(LTM)は日本基準、2021年10月期以降は国際会計基準に基づく数値であるため、これらの有意な比較を可能とする観点から、2020年10月期(LTM)の調整後営業利益については、営業利益に対して一時費用(注2)のほかのれん償却費を足し戻して算出しております。
(株式会社三井住友銀行等と締結しているシンジケートローン契約)
当社は2022年10月26日付で株式会社三井住友銀行をエージェントとするシンジケートローン契約(タームローン及びコミットメント)を締結しており、その概要は、以下のとおりであります。
(1)契約の相手先
株式会社三井住友銀行、株式会社商工組合中央金庫、株式会社福岡銀行、株式会社横浜銀行、株式会社名古屋銀行、株式会社千葉銀行、株式会社三十三銀行、株式会社東日本銀行、株式会社山梨中央銀行、株式会社常陽銀行
(2)借入金額及び借入枠(2024年10月31日現在)
トランシェA タームローン 5,000,000千円
トランシェB 総コミット金額 2,000,000千円(借入実行金額 2,000,000千円)
(3)最終返済期限
トランシェA 2029年10月31日
トランシェB 2025年10月31日(ただし、本契約の規定によりコミット期間が延長された場合は、延長承諾貸付人についてのみ、延長後のコミット期間満了日を新たなコミット期間満了日とする。
なお、コミット期間の1年間の延長を2回まで申し込むことができる。)
トランシェBは、2024年10月31日付でコミット期間満了及び返済期限を迎えましたが、コミット期間が1年間延長されたため、2024年10月31日付で借入実行金額2,000,000千円の借換えを行いました。
(4)適用利率
変動金利
(5)主な借入人の義務
・借入人の業績資料の提出義務
・エージェント及び全貸付人の承諾がない限り、契約上の義務の履行に重大な影響を及ぼす、もしくは及ぼす可能性のある、組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付、事業もしくは資産の譲渡、資本金の額の減少、第三者の事業もしくは資産の譲受のいずれも行わないこと。
・財務制限条項の遵守
財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.借入金及び担保に供している資産等」をご参照下さい。
該当事項はありません。