第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針及び経営戦略

当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介だけに留まらない「ギグ・エコノミーのプラットフォーマー」として更なる飛躍を目指しております。

また、当社グループはオンデマンドエコノミー事業においては、セールスプロモーション、コールセンター、フィールドエンジニア、コンストラクションといったITを軸にしたサービスとWeb3.0の中核とされるブロックチェーン技術を活用したWeb3サービスを手がけております。デジタルマーケティング事業においては、日本直販と悠遊生活ブランドを軸にした通販・ECサービスを、システムソリューション事業においては、ITエンジニアによるシステム開発を中心としたシステムデベロップメントを、シェアリングエコノミー事業においては、個人事業主から大手法人まで規模を問わず利用可能なシェアオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスなどの提供を行っております。このように、当社グループは多種多様なサービスを展開することで、一部の市場の縮小が生じた場合にも業績に大きな影響をあたえない安定的な経営基盤を築いております。さらには、事業領域の拡大及び既存事業とのシナジー効果をもたらすことを目的としてM&Aを積極的に活用していくことを経営戦略としております。

 

(2) 目標とする経営指標等

当社グループでは、高い成長性と収益性の向上を経営の重要課題と認識しております。成長性については売上高対前年比率、収益性については売上高営業利益率を重要な経営指標としており、持続的な成長を意識した経営に注力し企業価値の向上に努めてまいります。

 

(3) 会社の対処すべき課題

①  事業体制の強化

当社グループはITを軸にしたオンデマンドエコノミー事業、デジタルマーケティング事業、システムソリューション事業、シェアリングエコノミー事業の4セグメントを展開しております。当社グループは既存事業の伸長とM&Aの活用により成長、事業拡大を継続しております。2022年7月には、新たな事業拡大を目的に、通販事業・カタログ販売等を手がける日本直販株式会社、株式会社悠遊生活を買収、同年10月に、両社を合併させた上で、新生「日本直販株式会社」として融合を進めております。カタログや広告宣伝、仕入れの共通化等によるコスト削減施策を進めると共に、創業来1,485万人を超えるアクティブなお客様に向け、当社グループが得意とするギグワーカーを活用した「駆けつけサービス」や「デリバリーサービス」を通じ、購入商品の設置設定、組み立て・利用方法説明等のサービスを提供しております。現状はセグメント損失の状態ではありますが、収益改善は着実に進んでおり、早期の黒字化を目指してまいります。また、多くの個人情報を扱う日本直販株式会社のグループ化に伴い、より一層の内部統制及びコンプライアンスの強化も必要不可欠であると考えております。

 

② 取引先の満足度の向上

  市場環境並びに労働環境の変化に伴い、取引先のニーズは、多様化・高度化が進んでおります。当社ではそのニーズに対応すべく、当社に対する満足度調査を取引先に定期的に実施するなど、課題、連携を密にしております。引き続き、より高度なニーズに対応すべく、専門性を高めるための組織体制、運営体制を強化することで、取引先から選ばれる企業を目指してまいります。

 

③ 当社登録スタッフ(ギグワーカー)の満足度の向上

  オンデマンドエコノミー事業を行う上において、優秀なスタッフを確保していくことは事業拡大に必要不可欠と考えております。多様な働き方を提供している当社グループには、「雇用関係だけによらない働き方」・「多様かつ柔軟な働き方(副業・在宅等)」を希望する個人事業主、フリーランスが数多く登録しており、仕事を通じた当社との距離感が強みであります。一方で、人材不足が顕著な中では、登録スタッフの当社グループに対する満足度をより高める努力も求められております。当社としては、登録スタッフに対する福利厚生面も含めた待遇改善の検討や定期的な面談、スキルアップのための各種研修システム等を充実させることで、従来以上に信頼関係強化に努めてまいります。

 

④  法的規制等について

 2018年4月1日から改正労働契約法、改正労働者派遣法の適用が本格化しております。当社グループでは、組織(個人)単位の期間制限抵触日が2018年9月30日に到来したことを受け、派遣先での直接雇用推進若しくは派

 遣元での無期雇用化などの対策を進めております。

 2020年4月からは「労働者派遣法やパートタイム・有期雇用労働法の改正(所謂、同一労働同一賃金の適用)」、2022年4月には個人情報保護法改正に伴い法令違反時の罰則強化もされておりますが、社内規程の変更や研修を徹底するなど適切に対応しております。

 また、2024年11月1日からは「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称、フリーランス保護法)」が施行されております。同法は、個人として業務委託を受けるフリーランス(個人事業主)と発注事業者(当社グループ)の間の取引の適正化、フリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としております。当社グループは同法への対応は全て完了しておりますが、引き続き、従業員、登録スタッフが安心して働くことができる労働環境を構築してまいります。

 

⑤  機密情報・個人情報の管理について

当社グループは、多数の登録スタッフ、取引先及び協力会社等の機密情報・個人情報を保有しております。当社グループにおきましては、情報セキュリティ管理システムの認証制度、ISO/IEC27001(JIS Q 27001)の認証を取得し、機密情報・個人情報の保護体制を強化してまいりました。

 今後もセキュリティポリシーに基づいた管理体制を強化するとともに、適切に運用してまいります。

 

 

⑥  ダイバーシティ及び女性活躍推進の取組みについて

当社グループでは、多様な市場のニーズを的確に捉え、持続可能な成長を実現するためには、誰もが働きやすい環境を整えることが必要不可欠であると考えております。

その一環として、ダイバーシティ及び女性活躍推進活動にも積極的に取り組んでおり、部署によっては、完全在宅を実施するなど、特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備も進めております。同時に、多様なキャリアパス、働き方を促し、従業員の多様性を新たな事業創出に活かすための人材施策も実施しております。

 

⑦  災害対策について

当社グループのオンデマンドエコノミー事業では、当社登録エージェント(登録スタッフ)が派遣・業務受託等の契約により全国で日々働いております。また、シェアリングエコノミー事業は首都圏を中心に85拠点のシェアオフィスを運営しております。独自のエージェント管理システムにより、登録エージェント及びシェアオフィスの利用状況は即座に確認できる体制を整えておりますが、大地震や火災、洪水等の災害が発生した場合には、運営施設の被害、交通機関及びライフライン等の中断により、業務に支障、損害が生じる可能性があります。BCP対応を強化するとともに、引き続き、登録エージェント、シェアオフィス利用者への安全対策に努めてまいります。

 

⑧  当社サービス・社名の認知度向上について

当社は創業以来、「必要な時に必要なだけ働ける」、「お仕事情報のプラットフォーム」を提供し、個人及びフリーランス(個人事業主)が時間や場所に縛られることなく快適に働ける環境を構築し、急速に関心、認知度が高まっているギグワーカーへのプラットフォームの提供を他社に先駆けて行っております。「ギグワークス」への社名変更から5年が経過し、ギグワークの拡がりとともに、各種媒体に取り上げられる機会も増え、認知度は確実に向上しております。一方で、近年は「ギグワーカー」に対する各種制度の確立、権利保護の動きの高まりもあり、それに関連して当社の事業に対する視線も厳しさを増してきております。当社では、創業以来、ギグワーカー(当社登録スタッフ)とは共存共栄のパートナーとして、共に成長してきており、大きなトラブルの発生はありませんが、引き続き広報活動に取り組むことで、ギグワークスの認知度向上を進めてまいります。

 

⑨  日本直販事業(デジタルマーケティング事業)の収益改善について

当社は2022年7月1日付けで日本直販株式会社を新たにグループ化いたしました。デジタルマーケティング事業については、2022年10月の日本直販株式会社と株式会社悠遊生活との合併効果や抜本的な体制再構築等の効果もあり、業績は着実に改善しておりますが、依然として赤字傾向が継続しております。今後は、より一層のコスト削減並びにECサイトの充実等、EC販促施策を積極的に実施してまいります。また、2023年9月に作詞家、プロデューサーである秋元康氏が総合プロデューサーに就任したことで、新たな企画、事業展開を検討しており、早期の収益改善を目指してまいります。

 

⓾ 大手検索エンジン会社による広告ポリシーの変更について

当社グループのサービスの中には、大手検索エンジン会社の検索システムを活用した営業展開をしている部門もございます。これらの会社の広告ポリシーやルール変更は、当社グループの広告宣伝戦略や営業活動に大きな影響を与え、一時的に集客力等に影響するリスクがあります。大手検索エンジン会社の広告ポリシーの動向に注視すると同時に、自社媒体の強化も進めてまいります。

 

 

⑪ Web3領域における売上高の拡大と安定した収益基盤の確立

 当社グループ会社である株式会社GALLUSYSは、オンデマンドエコノミー事業のサービス領域において、Web3の 中核とされるブロックチェーン技術を背景としたユニークかつ独創的な事業を展開しております。その中でも、Snap to earnアプリ写真を撮って稼ぐブロックチェーンゲーム「SNPIT」の収益化に注力しております。当事業年度においては、広告及び各種プロモーション費用や国内より先行して上場を果たした海外取引所への上場費用の計上もあり、事業としては赤字となっております。

 しかしながら、ゲーム内で獲得できるトークン(SNPIT)が、2024年12月4日に国内暗号資産取引所「Zaif(ザイフ)」で決定(トークン上場)するなど、日本国内においても、その収益化に向けた取り組みを加速させております。今後は、事業投資を継続する一方で、売上の拡大と安定した収益基盤の構築を図ってまいります。

 

⑫ 暗号資産(仮想通貨)の適切な管理

  当社グループでは、ブロックチェーン技術の知見獲得や事業推進等を目的に、ある一定の暗号資産を保有しております。暗号資産には、変動リスクが発生いたしますが、取得については、当社グループで制定している暗号資産管理規程に基づき、取締役会で決議の上で実施しており、厳格な運営を心がけております。

  暗号資産も含めたブロックチェーン分野では新技術、新サービスが次々に登場していることから、当社グループにおいても、技術革新に対応しながら、プロダクト及び顧客サービスの向上を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは定期的に取締役会と経営会議にて持続可能性リスクを評価し統制することでガバナンスを強化しております。また、当社グループ内における持続可能性要素を組織、社員単位でも策定機会を設けることにより持続可能性に関する意識醸成を行い、自己発生的なマネジメントを創出しております。

詳細なコーポレートガバナンス体制図については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社グループは、「日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす」をビジョンに掲げ、その基本理念を基に下記要素を持続可能性に関する重点要素と位置付けております。

当社グループが考える持続可能性とは、“はたらく”を扱う企業として「企業で働く人材の持続的成長を実現する」しながら、「ギグワーカーが持続的に活躍できる社会づくり」を推進しております。

具体的な取り組みとして、当社グループにおいて、ギグワーカー向け少額保険サービスの立ち上げを予定しており、そのための子会社(ギグワーカー少額短期設立準備株式会社)を2023年9月に設立しております。

現在、ギグワーカーの課題としてギグワーカーの多くは、仕事の流入が不安定で、その結果収入も不安定です。また、日本をはじめとした多くの国では、ギグワーカーは比較的新しい働き方のため、法整備が追いついておらず、正社員と同様の社会保障を享受していません。そのため保障の充実がよりギグワーカーが持続的に活躍できる社会づくりには必要不可欠と考えております。

他方その中で、「地域社会とのコミュニティ関係保持及び地球環境の保全」への一助をしながら法規遵守、情報保護、ガバナンス遵守を担保し、持続的な事業成長を目指すものとしております。

当社グループでは、地域社会とのコミュニティ関係保持への取り組みとして、地方自治体や財団に対して当期純利益の1%を毎期継続的に寄付する方針を立てております。

また、当社グループにおける人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

ダイバーシティ&インクルージョンを意識した種々背景を持った人材、また外国人労働者の採用を進めております。女性管理職の比率、中途採用者の比率等を記録しており、採用の無偏向性を確認しております。また、従業員がより良い状況で働けるよう有給取得率等の指標を定めることで、有給休暇取得を促進させています。

従業員に対する教育も推進しており、リスキリングにも注力しております。月に一度、情報セキュリティ関連する研修や自主点検を行っており、その他にも様々な研修プログラムを設けることで、従業員の意識や能力向上の機会が得られる組織風土を醸成しております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、リスク管理の基本的事項について「リスク管理規程」を定め、取締役常務執行役員管理本部長を中心として各所管部署と連携を図り、日常的なリスク監視を行うことで、リスクの早期発見と未然防止に努めております。また、特に重要なリスクについては、必要に応じて顧問弁護士等の専門家と連携すると共に、取締役会やグループ内関係者に報告し、対応について協議・指示を行っております。サステナビリティに関するリスクについても、この枠組みにのっとり、リスク管理・評価・モニタリングを行っております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年3月まで30.0 以上

12.2

労働者の年次有給休暇取得率

2026年3月まで70.0 以上

62.9

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下においては、当社グループの事業展開及びその他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解するうえで、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

なお、下記事項には、将来に係るリスク要因が含まれておりますが、これらの事項は本有価証券報告書提出日現在における判断を基にしております。

また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

 

(1) 事業展開における市場の動向と競合の状況について

当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介だけに留まらない「ギグ・エコノミーのプラットフォーマー」として更なる飛躍を目指しております。当社グループでは正社員、契約社員、時短勤務はもちろんのこと、ショートタイムでの副業(複業)、フリーランスやテレワークなど多種多様な働き方を選択できる環境があり、働く方々の生活に合った多様なワークスタイルを提供しております。

当社グループの事業内容としては、オンデマンドエコノミー事業、デジタルマーケティング事業、システムソリューション事業、シェアリングエコノミー事業の4セグメントがあります。

オンデマンドエコノミー事業は、ライフスタイルや人生のステージに合わせて「必要な時に必要なだけ働ける」をテーマとしたプラットフォームを提供することで、労働市場に新しい価値を生み出しております。創業以来、多様な働き方を提供し続けている当社グループには、「雇用関係だけによらない働き方」・「多様かつ柔軟な働き方(副業・在宅等)」を希望する個人事業主、フリーランスが数多く登録しており、このようなギグワーカー(登録スタッフ)の活躍によりクライアントからの幅広いニーズに対して日本全国で応えられる体制を構築しております。

具体的には、企業と個人を繋げるオンデマンドサービス(セールスプロモーション、コールセンター、フィールドエンジニア、コンストラクション)があります。

セールスプロモーション部門においては、IT関連の知識が豊富なギグワーカー(登録スタッフ)を多数擁することを強みとし、IT業界を中心としたお客様に、企画から販売、マーケット報告に至る一連のプロセスについてのサポートを提供させていただいております。しかしながら、IT業界においてはスマートデバイスをはじめテクノロジー変化の速度は早く、ギグワーカーへの教育・研修費や新規の採用コストの増加、また、マーケットの単価競争等の競争激化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同部門の中には対面営業、サポートが避けられないケースもあり、2023年5月の新型コロナウィルス感染症の5類への以降後も、同部門はまだ完全には回復しておらず、マイナスの影響が当面継続する可能性もあります。

コールセンター部門では、広範な商品・サービスに対応したコールセンターをカスタマイズして提供できる体制とノウハウを強みとしており、当社他部門と連携した一気通貫型のサービス提供を強みとしております。当社グループのサービス別売上では最大の構成比を占めている部門であり、毎期着実に伸長している部門ではありますが、当社グループよりも大規模なコールセンター設備でサービスを展開している企業は既に複数社存在しており、こうした企業による寡占化や、大手派遣企業や新たな事業者等の参入の可能性は常にあります。競合他社との競争がさらに激化した場合には、優秀な人材獲得のための募集費等が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

フィールドエンジニア部門では、IT機器の購入者に対するオンサイトサポート(訪問・駆けつけサービス)を全国規模で提供できることを強みにIT関連のお客様のパートナーとして営業基盤を拡大しております。またIT技術者ギグワーカーを全国に擁することを強みとし、企業や官公庁等を対象としたITインフラ整備、ネットワークの構築や保守・管理サービス等の提供にも事業領域を拡大しております。日本全国で短期間に大規模なサービス展開を行える事、他の支援サービスとの複合的なサービス提供によって競争優位性を確保しており、各学校に1人1台の学習者用パソコンと高速ネットワーク環境などを整備する「GIGA(ギガ)スクール構想」ではその強みを発揮いたしました。しかしながら、今後は「GIGA(ギガ)スクール構想」の反動による国内パソコン出荷台数の減少に伴う受託業務の減少、最終消費者市場におけるユーザーのITリテラシー向上に伴う市場の縮小、社会構造の変化による受注機会の減少、官公庁における予算配分の遅れや半導体不足を原因とするIT機器の納品遅延、競争激化に伴う受注単価の減少等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 デジタルマーケティング事業は、日本直販・悠遊生活ブランドでの総合通販を主体としたサービスの提供を行っており、45年以上続く総合通信販売の実績を基盤に創業来1,485万人を超えるお客様にご利用頂いております。
ギグワーカーのフィールドサービス力とコンタクトセンターのコミュニケーション力を活用した「駆けつけサービス」や「デリバリーサービス」などお客様一人ひとりに合った最適な「お手伝いサービス」を商品化し、販売してまいりました。収益面は、当社へのグループイン時点で大幅な赤字だったこともあり、カタログや広告宣伝、仕入れの共通化によるコスト削減努力などの収益構造の抜本的な改善策を行うなど、赤字削減を進めており、収支は改善傾向にはあります。また、2023年9月に作詞家、プロデューサーである秋元康氏が総合プロデューサーに就任したことで、新たな企画、事業展開も検討しておりますが、その施策が想定通りにいかない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

システムソリューション事業は、ITエンジニアによるシステム開発を主体としたプロフェッショナルサービスの提供を行っております。コロナ禍において苦戦していた自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売状況も改善しており、ITエンジニアに対するニーズは底堅く、稼働状況も底堅く推移しております。 

しかしながら、ITエンジニアの採用のハードルは年々上がっており、案件に必要な人員を確保できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

シェアリングエコノミー事業は、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としてシェアリングサービスの提供を展開しております。運営するシェアオフィスは首都圏を中心に84拠点を展開、提携先の施設を含めると国内最大級となる700拠点以上のオフィスネットワーク網があり、業界内での知名度も有しております。一方、業績については、多様な働き方に対するニーズを捉えた結果、増収傾向は継続してはいるものの、利益面においては、ここ数年の出店拡大に伴う償却負担の増加や多拠点型シェアオフィスの計画未達もあり、当連結会計年度において、不採算の直営拠点の減損を実施するなど、厳しい状況が継続いたしました。しかしながら、前倒しでの減損や拠点の大幅な見直しを実施したことで、当連結会計年度におけるセグメント損益は黒字に転換、現時点では継続的なセグメント利益の目途は立っておりますが、賃料相場の急激な変動、更なる競争の激化等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

新規出店に関しては収益性の高い「直営拠点」の出店を基本に業容拡大を目指しておりますが、候補物件の競合激化等による不動産市況の高騰や内装コストの上昇等により、計画通りの出店ができない場合には、当社グループの業績、成長に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(2) 法的規制等について
①労働に関する法律

2018年4月1日から改正労働契約法、改正労働者派遣法の適用が本格化しております。当社グループでは、組織(個人)単位の期間制限抵触日が2018年9月30日に到来したことを受け、派遣先での直接雇用推進若しくは派遣元での無期雇用化などの対策を進めております。

2020年4月からは「労働者派遣法やパートタイム・有期雇用労働法の改正(所謂、同一労働同一賃金の適用)」、2022年4月には個人情報保護法改正に伴い法令違反時の罰則強化もされておりますが、社内規程の変更や研修を徹底するなど適切に対応しております。

また、2024年11月1日からは「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称、フリーランス保護法)」が施行されております。同法は、個人として業務委託を受けるフリーランス(個人事業主)と発注事業者(当社グループ)の間の取引の適正化、フリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としております。当社グループは同法への対応は全て完了しておりますが、労働環境に係わる法改正は定期的に行われており、今後の法改正等により求められる具体的内容によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②個人情報保護に関する法律

当社グループは、多数のギグワーカー、クライアント及びエンドユーザーの機密情報・個人情報を保有しております。当社グループにおきましては、情報セキュリティ管理システムの認証制度、ISO/IEC27001JISQ27001)の認証を取得し、機密情報・個人情報の保護体制を強化、今後もセキュリティポリシーに基づいた管理体制を強化するとともに、適切に運用してまいります。

しかしながら、こうした当社グループの取組みにもかかわらず、従業員等の故意又は過失、不測の事態等により個人情報及び機密情報が外部に漏洩した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③下請代金支払遅延等防止法

当社グループと業務委託契約を締結しているギグワーカー及び資本金1,000万円もしくは5,000万円以下の外注法人におきましては、下請代金支払遅延等防止法が適用されます。当社グループは、法令に遵守した事業運営に努め、買いたたき・支払遅延等に対し細心の注意を払い、適切に契約を締結しております。

しかしながら、これらの施策にも関わらず、今後、所轄官庁の判断、法令とその解釈の変更及び新たな判例に基づく判断等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) ギグワーカーに係る業務上の災害及び取引上のトラブルについて

当社グループと雇用関係にあるギグワーカーが、業務遂行に際してまたは業務に起因して、死亡、負傷等した場合、または、疾病にかかった場合には、労働基準法及び労働者災害補償保険法その他の関係法令上、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられる場合があります。当社グループは、安全衛生研修を実施し、定期的に安全衛生委員会を開催するなど、ギグワーカーに対する安全衛生管理体制の向上を推進しております。

しかしながら、万一労働災害が発生した場合、労働契約上の安全配慮違反や不法行為責任等を理由に、当社グループが損害賠償責務を負う可能性があります。また、ギグワーカーによる業務遂行に際して、ギグワーカーの過誤による事故や顧客企業との契約違反またはギグワーカーの不法行為により訴訟の提訴またはその他の請求を受ける可能性があります。当社グループは、法務担当者を配して法的危機管理に対処する体制を整えておりますが、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ギグワーカーシステムについて

当社グループは人材供給型のサービスの提供に関して、独自に構築しているギグワーカーシステムを強みとしており、優秀なギグワーカーを集めるための採用活動、登録者に対しては定期的な教育・自己研鑽支援等を実施するなど、ギグワーカーに対する満足度を高めるよう努力しております。

また、当社グループの独自求人サイトを開設することで、ギグワーカー1人ひとりのニーズに合致する就業情報の提供も可能となっております。

しかしながら、当社グループの受注業務に対し、ギグワーカーのニーズが合致せずに応募が不足する場合やスキルを有するギグワーカーが不足する場合には、需給バランスが崩れ、売上機会の喪失や原価率の上昇等ギグワーカーシステムの強みが十分に機能しない場合が想定されます。これらの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 業務システムについて

当社グループの業務は、業務システムを使用して、ギグワーカーの配置・作業の進捗管理・代金の請求及び売上管理等の業務管理を行っております。随時業務システムのバージョンアップを進めておりますが、プログラムの作成過程で潜在的なバグが発生していた場合や、陳腐化した場合、マルウェアやランサムウェア等の不正なプログラムの侵入、自然災害や事故等により、システムや通信回線が不通となり復旧が遅れた場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 企業買収(M&A)について

当社グループは、事業拡大を図る有効な手段として、積極的にM&Aを検討、活用しており、当社グループの成長の柱の1つになっております。M&A自体は2017年10月を最後に実施しておりませんでしたが、当事業年度の2022年7月に、通販事業を展開する株式会社悠遊生活(現日本直販株式会社)と日本直販株式会社の2社を買収、グループ化致しました。当社グループでは株式取得後、カタログや広告宣伝、仕入れの共通化等によるコスト削減施策を進めると共に、創業来1,485万人を超える両社の顧客向けのサービスを強化しております。

M&A検討時のデューデリジェンスについては、社外取締役からのアドバイス及び外部評価会社からの意見等も取り入れた上で常に決定スピードとのバランスを取りながら、慎重に検討しておりますが、M&Aの実行に伴い、多額の資金需要及びのれんの償却等が発生する可能性もあります。また、M&Aにあたっては市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績及び財政状況などを考慮し進めておりますが、これらの買収が必ずしも当社グループの見込みどおりの収益貢献やシナジー効果を生むとは限らず、経営環境や事業の状況の著しい変化等によりそれぞれの経営成績が想定どおり進捗しない場合もあります。その場合、のれんの減損損失や株式の評価損が生じる等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 保有資産の減損リスクについて

有形固定資産及び無形資産については、半期ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能額に基づく減損テストを実施しており、かかる減損テストの結果、資産の帳簿価額が回収可能額を超過する場合には、その帳簿価額を回収可能額まで減額し、減損損失を認識いたします。減損テストの結果、多額の減損損失を認識した場合には、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害及びそれに伴うシステム障害等について

当社グループは全国にグループ会社及び営業拠点を有しており、地震や水害など大規模な自然災害、パンデミック、事件事故、その他企業存続を脅かす事象が発生した場合に備えて、従業員及び登録スタッフの安否を確認し、安全を確保するための対策を危機管理マニュアルに定めております。また、事業継続のための施策として事業拠点や情報システムの機能分散なども講じており、危機発生時は迅速かつ適切な対応が取れる体制を整えております。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害等が発生した場合、当社グループの事業運営、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があり、何らかの原因によって大規模なシステム障害や通信ネットワーク障害が発生した場合には、当社グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態と経営成績の状況

a. 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、社会経済活動の正常化が進展し、円安やインバウンド需要の拡大の影響も受けて、緩やかな回復基調が見られました。一方、地政学的リスクやインフレに伴う景気減速のリスクが依然として高く、経済の見通しは不透明な状況が続いております。

当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介に留まらず、プラットフォームの「GiGWorks Basic」を通じて、ギグワーカーとクライアント企業が直接仕事を受発注できる環境を提供しています。これにより、短時間の副業、フリーランス、テレワークなど多様な働き方を選択可能とし、個々の生活に合ったワークスタイルを実現しております。また、ギグワーカーが活躍するコンタクトセンターやフィールドサービスを活用した総合通販事業、そしてWeb3領域でのブロックチェーン技術を応用し、社会変革を推進する『写真を撮って稼ぐSnap to earn アプリ「SNPIT」』が注目され、当社グループの社会的な重要性が高まっていると考えています。

このような環境下、当社グループは、ITに精通した登録ギグワーカーとともにWeb3領域のSnap to earnアプリ「SNPIT」を活用したオンデマンドエコノミー事業、日本直販・悠遊生活ブランドを軸にしたデジタルマーケティング事業、ITエンジニアによるシステム開発を中心としたシステムソリューション事業、個人事業主から大手法人まで企業規模を問わず機能的なシェアオフィス提供を主体としたシェアリングエコノミー事業、これらの業容拡大と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は253億69百万円(前年同期比4.0%減)、営業損失は4億4百万円(前連結会計年度は1億11百万円の利益)、経常損失は4億27百万円(前連結会計年度は1億11百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は7億25百万円(前連結会計年度は7億18百万円の損失)となりました。営業損失の主な要因として、1点目は、オンデマンドエコノミー事業でのSnap to earn「SNPIT」において、Web3領域での成長を目指して広告・プロモーション費用や海外取引所へのトークン上場費用の負担など下半期に戦略的投資を実施しましたが、2024年11月27日開示「2024年10月期(通期)連結業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」のとおり、国内暗号資産取引所「Zaif(ザイフ)」でのSNPITトークンである「SNPT」の取引開始(トークン上場)が2024年12月4日と決定したことで、2024年10月期での収益計上はできませんでした。2点目は、nexのシェアオフィスネットワークを利用して本社機能を分散HUB化することにより、集合とリモートワーク(分散)のハイブリッドな仕事環境を実現するため、虎ノ門本社からの移転関連費用が当期発生しました。3点目は、デジタルマーケティング事業においても事業改革のためのサービス廃止による減収や運営体制変更に伴う投資が先行し損失を計上しました。

 

(注)ギグ・エコノミーとは、インターネット等を通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言います。近年、グローバルに使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどが有名です。一般的にギグ・エコノミーは、個人の働き方が多様化した一つの形態であり、日本国内においても、働き方改革、副業・兼業の定着化に伴い、今後は仕事を仲介・サポートする当社のようなプラットフォーム提供企業の役割がより重要になると考えております。

 

セグメントごとの経営状況は、以下のとおりであります。

 

(オンデマンドエコノミー事業)

オンデマンドエコノミー事業は、「必要な時に必要なだけ働ける」をテーマに、ライフスタイルや人生のステージに応じたプラットフォームを提供し、労働市場に新たな価値を創出しております。創業以来、多様な働き方を支援しており、「雇用関係に依らない働き方」や「多様で柔軟な働き方」を希望する個人事業主やフリーランスが数多く登録し、当連結会計年度には全国で4,013人のユニークワーカーが稼働しました。フィールドサービスでは、IT機器のキッティングや設定設置業務の需要が前期と比較して増加しております。コンストラクションは、スマートソーラーや蓄電池設置工事、IT機器保守業務を中心に活動しています。また、コンタクトセンターは、東京・大阪・福岡を中心に7拠点体制で運営し、テレワークを併用した働き方の定着や企業のDXによる業務効率向上を背景に、旺盛だったテクニカルサポートや通販関連の需要も足元では一旦落ち着きを見せました。フィールドサービス、コンタクトセンターの基幹事業は、人員最適化によるコストダウンも徹底しており、利益は前年水準以上になりました。そして、Web3領域での事業成長を目指すSnap to earn「SNPIT」は、主に下半期において積極的な戦略的投資を実施した影響によりセグメント損益を前年対比大幅に押し下げています。

以上の結果、当連結会計年度におけるオンデマンドエコノミー事業の売上高は108億19百万円(前年同期比5.4%減)、セグメント利益は2億71百万円(前年同期比62.0%減)となりました。

 

 

デジタルマーケティング事業

デジタルマーケティング事業は、日本直販・悠遊生活ブランドを基盤にサービスを提供し、45年以上の実績で創業以来1,485万人を超えるお客様にご利用いただいております。お客様から継続的に支持されるサービス作りを経営課題とし、ギグワーカーによるフィールドワークとコンタクトセンターを活用した「お手伝いサービス」、長くお付き合いいただける特典を提供する「プレミアム会員サービス」を商品化し、12カ月間で会員数は3,000人を突破しました。一方で、長くご利用いただくことにつながらないと考えられるサービスや事業を廃止することで足元の減益につながりながらも、お客様に長くお付き合いいただけるブランドへと事業改革を進めております。当期においては一時費用が発生する大型倉庫移転や数日間のWeb販売停止を伴う基幹システム刷新など、これら長期的な視点での固定費圧縮、アイドルや著名医師によるラジオ番組やプロサッカーチームのスポンサードなど新たなプロモーションへの注力、新商品「NFTカメラ」を中心に展開する「カメラの日直」や従来取扱い商品の厳選などマーチャンダイジングを見直し、新ロゴを基にしたリブランディングを実施してまいりました。事業改革をさらに進め投資フェイズからステップアップし収益化を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度におけるデジタルマーケティング事業の売上高は53億35百万円(前年同期比16.3%減)、セグメント損失は2億84百万円(前連結会計年度は1億12百万円の損失)となりました。

 

(システムソリューション事業)

システムソリューション事業は、ITエンジニアによるシステム開発を基盤に、プロフェッショナルサービスを提供しております。当社開発のCRMシステム「デコールCC.CRM3」は、AIを活用したツール開発や機能拡充により製品力を強化しております。また、受託開発業務やシステムエンジニアリングサービスでは、ギグワーカーを含むビジネスパートナーとの連携を強化し、開発力の向上を図っております。企業のDX推進に応じた業務効率向上の需要に応えるため、中小企業向けコンサルティングサービスの充実、自社コンサルタントの育成、提携セミナーの開催を通じて、受注拡大を目指してまいります。

以上の結果、当連結会計年度におけるシステムソリューション事業の売上高は47億24百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は6億57百万円(前年同期比6.2%減)となりました。

 

(シェアリングエコノミー事業)

シェアリングエコノミー事業は、個人事業主から大手法人まで企業規模を問わず「必要なときに必要なだけ使える」機能的なシェアオフィスを提供しております。今年度は新たに7拠点を受託し、運営規模は85拠点13,100坪(2024年10月末現在)に達し、利用提携先を含む国内最大級1,000拠点以上のマルチロケーションを利用できるワークスペースに成長しております。働き方の多様化やリモートワーク普及とともにオフィスの存在意義も変わり、社会経済活動が正常化する中、シェアオフィスの需要が高まっている背景から、働き方のニーズに合わせて選べる6つのプランに刷新、加えてWebマーケティングを強化したことにより既存オフィスの稼働率と利用率も向上し、会員数は前期比6,300会員増となる21,800会員となった結果、収益も大幅に改善しております。

さらに、ギグワーカーのスタイリストが活躍するシェアサロン「nex the salon」は、表参道の4店舗(2024年10月末現在)各店が異なる技術特化型のスペシャリティサロンとして、お客様からの好評により業績も順調に推移しております。

以上の結果、当連結会計年度におけるシェアリングエコノミー事業の売上高は54億64百万円(前年同期比24.2%増)、セグメント利益は5億16百万円(前連結会計年度は16百万円の利益)となりました。

 

 

b. 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて、5億9百万円減少8.2%減)し、57億15百万円となりました。これは、主として商品が2億56百万円、売掛金が2億19百万円増加した一方で、現金及び預金が10億9百万円減少したこと等によります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて、4億36百万円14.7%減)し、25億32百万円となりました。これは、主として繰延税金資産が1億74百万円建物(純額)が1億46百万円敷金が91百万円減少したこと等によります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、9億22百万円減少10.0%減)し、82億71百万円となりました。

 

  (負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて、4億90百万円減少10.5%減)し、41億89百万円となりました。これは、主として未払金が1億43百万円、未払法人税等が93百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が5億29百万円、買掛金が1億62百万円減少したこと等によります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて、1億9百万円7.7%増)し、15億26百万円となりました。これは、主として長期借入金が1億68百万円増加した一方で、社債が1億12百万円減少したこと等によります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、3億81百万円減少6.3%減)し、57億15百万円となりました。

 

  (純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、5億40百万円減少17.5%減)し、25億55百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純損失を7億25百万円計上し、配当金の支払いにより利益剰余金が78百万円減少したこと等によります。

自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて2.9ポイント減少し、29.6%となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は17億43百万円となり、前連結会計年度末残高27億53百万円と比べて10億9百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

②各活動別の説明及び前連結会計年度比

   (営業活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における営業活動の結果支出した資金は、4億52百万円(前連結会計年度は11億30百万円の収入)となりました。これは、主として減価償却費4億19百万円、未払金の増加額1億33百万円を計上した一方で、税金等調整前当期純損失4億34百万円、棚卸資産の増加額2億46百万円、売上債権の増加額2億12百万円、仕入債務の減少額1億76百万円を計上したこと等によります。

   (投資活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、2億56百万円(前連結会計年度は3億89百万円の支出)となりました。これは、主として無形固定資産の取得による支出2億45百万円を計上したこと等によります。

   (財務活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、3億円(前連結会計年度は5億76百万円の支出)となりました。これは、主として長期借入れによる収入6億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入2億39百万円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出9億61百万円、社債の償還による支出1億12百万円を計上したこと等によります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

 a. 生産実績

当社グループの業務は、人材サービス、小売り及びレンタルオフィスの提供であり、サービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 b. 受注状況

 「a.生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

第48期

(自  2023年11月1日

至  2024年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

オンデマンドエコノミー事業

10,491,475

△6.0

デジタルマーケティング事業

5,327,111

△16.3

 システムソリューション事業

4,612,049

△1.6

シェアリングエコノミー事業

4,938,378

17.3

合計

25,369,014

△4.0

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績の10%以上の割合を占める主要な取引先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループの判断により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較し、売上高が10億63百万円減少して253億69百万円、売上総利益が5億40百万円減少して59億53百万円、営業利益が5億15百万円減少したことにより営業損失を4億4百万円、経常利益が5億39百万円減少したことにより経常損失を4億27百万円計上しました。また、税金等調整前当期純損益が1億15百万円増加し、税金等調整前当期純損失を4億34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が7百万円減少したことにより親会社株主に帰属する当期純損失を7億25百万円計上しました。

オンデマンドエコノミー事業の売上高は、下期にIT機器のキッティング業務や設定設置業務の需要が回復したものの、上期まではIT関連フィールドサービスは低調に推移しました。コンタクトセンターサービスは、巣ごもり需要やインボイス制度対応など、テクニカルサポートの落ち着きにより取引高は前年を下回りました。これらの影響により、結果として5.4%の減収となりました。デジタルマーケティング事業の売上高は、LTV向上を目指した事業方針の変更で一部の短期的な収益サービスを廃止した結果、16.3%の減収となりました。システムソリューション事業の売上高は、自社製品力の機能強化を進め、クラウド製品販売が過去最高を達成しましたが、システム受託開発サービスが当初計画に届かず、結果として2.6%の減収となりました。シェアリングエコノミー事業の売上高は、社会経済活動の正常化でシェアオフィス需要が増加し、プラン刷新とWebマーケティング強化などの施策により、多様な働き方に対するニーズを捉えた結果、利用会員数も大幅に伸長し24.2%の増収となりました。売上総利益率は、前連結会計年度から1.1ポイント下降し23.5%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較し24百万円減少63億57百万円となりました。これは、主としてデジタルマーケティング事業でLTV向上を目指した方針転換に伴う固定費の圧縮です。一方で、オンデマンドエコノミー事業ではWeb3サービスで6億円規模の事業投資を実施したことや本社移転による移転費用が一時的に発生したことに因ります。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、登録ギグワーカーに対する報酬等の人件費や外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資及びM&A等によるものであります。運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、自己資金での対応を基本としておりますが、必要に応じて、資金調達(銀行からの借入等)を行うことを基本方針としております。

資金の流動性管理にあたっては、日次で預金残高管理を実施し資金繰り計画を作成・更新することにより流動性リスクを随時管理するとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 (日本直販株式会社の一部売却)

当社は、2023年9月11日開催の当社取締役会決議により、当社の連結子会社である日本直販株式会社の株式の一部を譲渡する契約を締結し、2023年11月30日付で当該株式譲渡を完了しております。

当該契約に関する事項の概要は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等」の「注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(株式会社GALLUSYSの一部売却)

当社は、2024年1月30日開催の当社取締役会決議により、当社の連結子会社である株式会社GALLUSYSの株式の一部を譲渡する契約を締結し、2024年2月29日付で当該株式譲渡を完了しております。当該契約に関する事項の概要は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等」の「注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。