第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当連結会計年度末現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループ名のラバブルマーケティンググループは、愛されるマーケティング活動を推進しています。これは、短期的な成果のために生活者を欺いたり、邪魔をしたりする広告・マーケティング活動を決して行わないとする当社の強い思いを示すものです。これからの広告・マーケティングは、生活者や購買者の視点に立ち、邪魔をするのではなく、その人にとって価値のある情報を適切な形で届けることが重要です。私たちはそれを「愛されるマーケティング(Lovable Marketing)」と位置づけ、そのコンセプトを推進し日本のマーケティング業界を変えていきます。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、ますます重要性が高まるマーケティングのオペレーション部分に特化し、MOS(Marketing Operating Service)を提供しています。具体的には、「運用支援」、「運用支援ツールの提供」、「教育」の3本柱を事業の根幹に据え、マーケティングの実行(オペレーション)領域におけるNo.1を目指しています。また、この戦略を実現するために、マーケティングオペレーション人材が輝ける新しい業界カルチャーを形成し、やりがいを持って活躍できる環境づくりを進めています。

オペレーション領域における運用支援及びSaaS型クラウドツールの提供は、案件数の拡大とともに売上が積み上がる安定的なストック型ビジネスモデルです。顧客は幅広い業種・業界の大手企業が多く、安定した収益が見込めます。また、多数のプラットフォームやプレイヤーが増えては消えていく中、着実な成長を目指し、持続的に事業を展開していけるよう、SNSマーケティング事業で確立したMOS(Marketing Operating Service)をDX支援事業や新規テクノロジーへ横展開し、新しいテクノロジーやプラットフォームに対応して事業を拡大してまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、事業規模を測定する指標としての「売上高」と、収益性を測定する指標としての「営業利益率」を意識して経営に取り組んでおります。売上高を継続的に成長させることにより事業規模を拡大し、継続的に成長していくとともに、営業利益率を向上させるために、オペレーションに関しては、案件ごとの業務内容を明確に規定し、業務フローの構築と工数管理を徹底することで業務の効率化を図り、また、これらの取り組みで得た知見やノウハウを自社開発のツールにも活用することで、さらなる業務の効率化を推進してまいります。

 

(4) 経営環境

「2023年日本の広告費」(株式会社電通)によると、日本の総広告費は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢、物価高騰などの影響を受けつつも、社会のデジタル化を背景に伸長し、7兆3,167億円(前年比103.0%)となり、インターネット広告費は3兆3,330億円(前年比107.8%)に増加しております。総広告費におけるインターネット広告費の構成比は45.5%に拡大しております。またアメリカの調査会社IDCによると、国際的なデジタルデータの量は飛躍的に増大しており、2011年の約1.8ゼタバイト(約1.8兆ギガバイト)から2025年には約175ゼタバイト(約175兆ギガバイト)に達すると予測されています。一方、当社のSNSマーケティング事業を取り巻く環境については、ICT総研調べ「2022年度 SNS利用動向に関する調査」によると、国内のSNS利用者数は2024年末には8,388万人(普及率83.2%)に達する見込みで年々増加しており、また、帝国データバンクが2023年に行った調査では、企業における社外に向けたSNSの活用状況の割合は40.8%で、特にBtoC企業における割合が7割超と高く、企業と生活者の接点として重要な情報発信手段の一つとなっています。一方で、人手不足やSNSに関する教育を実施する余裕がないためにSNSを活用していないといった声もあり、社外に向けてSNSを活用していない企業の割合は半数近くを占めます(注1)。引き続き、SNS利用者の割合が増加していく状況下にあわせて当社のソリューションである「運用支援」、「運用支援ツールの提供」、「教育」を活用した企業のSNS支援が今後も必要であると考えます。

また、DX支援事業を取り巻く環境は、2020年の国内におけるマーケティングオートメーションの事業者売上ベースの市場規模は543億円で、2025年には812億円に達すると予測されています(注2)。国内の人口が減少傾向にあるなか、業務効率の課題解決としてMAツール等の導入は加速していくと思われます。一方で、「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(経済産業省)では2030年にはIT人材が78.9万人不足すると言われています。こういった経営環境からマーケティングのオペレーション(運用)分野に特化した人材の需要も順調に高まっていると認識しております。

(注1)出処:(株)帝国データバンク「企業におけるSNSのビジネス活用動向アンケート」2023年9月15日発表

(注2)出処:(株)矢野経済研究所「DMP/MA市場に関する調査(2021年)」2021年11月10日発表

注:事業者売上高ベース

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 当社グループ及びサービスの認知度向上

当社グループの提供するサービスは、社会活動のデジタル化を背景に重要性が高まっていくと思われ、当社グループの「運用支援」及び「運用支援ツールの提供」、「教育」を3本柱としたサービスを新規顧客へ提供することで当社グループの競争力を高めることができると考えており、積極的な広報活動に加え、マーケティング活動の強化を行ってまいりました。今後もマーケティングの実施体制を充実させ、分析・効果検証による改善の実施、アライアンスによる顧客接点の創出、事例発信の強化、ナーチャリングの強化等についても取り組んでまいります。

 

② 優秀な人材の確保と教育体制の強化

 当社グループは、今後の事業拡大に伴い、経営理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用していく必要があると考えております。労働市場における知名度の向上を図り採用力の向上に努めるとともに、社員の職位、職務に応じた適切な研修を行い、人材の教育・育成を進めながら、業務環境や福利厚生の改善により採用した人材の離職率の低減を図ってまいります。

 

③ グループ経営の強化

当社グループは、2024年10月31日時点において、6社の連結子会社を保有しております。グループ内各事業のシナジー効果を最大限発揮し、グループ全体の事業成長を最大化させるために、効率的に経営資源の活用を行ってまいります。

 
④ 事業提携、企業買収への積極的な取り組み

当社グループが持続的且つ非連続的な成長を実現するためには、既存事業の安定的成長の他、次の成長を担う事業の創出及び拡大が必要不可欠であると考えております。そのためには、自社による事業開発のみならず、事業提携やM&A等により新たな事業・サービスへの投資を実行することで、成長への挑戦を進めてまいりますが、既存事業の収益や借入金のバランス等を勘案しながら許容できるリスクを考慮し、投資判断をしてまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

当社グループは、企業価値を向上させるため、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。業務の適正及び財務諸表の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能するよう、一層の内部管理体制の整備・運用の強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実勢の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、時代の変化や社会からのニーズに対応すべく、代表取締役社長を委員長とした全社横断的な組織であるSDGs推進チームを設置し、基本方針として「SDGsマネジメント ガイドライン」を策定しております。事業活動を通じて社会への新しい価値を創造し、社会や地域、当社相互の持続可能性を追求するサステナビリティ経営に取り組んでおります。

 

(2) リスク管理

当社グループは、リスク低減のため、リスクの重要性を定期的にモニタリングしております。その中でも経営への影響が特に大きく、対応の強化が必要なリスクは、取締役会において進捗管理をしております。また、各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。

 

(3)戦略

SDGsの目標を達成するため、「人に地球に共感を」をパーパスとし、「理解し合える社会、持続可能な社会」を当社グループの事業活動を通じて広めることが重要と考えております。そのために、SDGsに基づく経営を行い、働きがいのある組織づくりを全活動の礎として、私たちが作り上げるコミュニケーションのチカラで「共感」の輪を広げ、持続可能な社会の実現に貢献いたします。

 

(4)人材の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、当社の全事業活動のコンセプトである「愛されるマーケティング(Lovable Marketing)」を支えているのは“人”です。そのため、マテリアリティとして「SDGsに基づく組織づくり」を設定いたしました。

成長機会と評価の公平性を重視し、働きがいのある組織作りを推進し、その上で、事業活動によって解決される指標として「生産的かつエコなマーケティング活動」「持続可能な開発 ライフスタイルの促進」「健全なICT社会の実現」を3つのマテリアリティとし、社会的な課題解決へ繋げます。

 

(5)指標及び目標

 当社グループは、当社グループで働く従業員が輝くことができる「働きがいのある組織」をつくり、社会課題の解決に取り組むことが、事業・社会への貢献へと繋がると考えており、各種指標を設定し、継続的にモニタリングをしております。

取組

指標
 (グループ全体)

目標

2030年

実績

(当連結会計年度)

多様性推進

女性管理職比率

50%以上

39.1

%

健康経営

健康診断受診率

100%

97.8

%

健康経営

ストレスチェック受検率

100%

100

%

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合には適切な対応に努め、事業活動に支障をきたさないよう努力してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業環境及び固有の法的規制に関わるリスクについて

① インターネット事業に関する一般的なリスク

当社グループは、インターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等のインターネットのさらなる普及が成長のための基本的な条件と考えております。インターネットの普及は引き続き進んでいるものの、今後どのように進展していくかについては不透明な部分もあります。当社グループは、法改正などの早期情報収集、市場動向のモニタリングなどを行っておりますが、インターネットに関する何らかの弊害の発生や利用等に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、今後の普及に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

② 技術革新について

当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。当社グループは、これらの変化に対応するため、技術者の確保や必要な研修活動を行っておりますが、これらが想定どおりに進まない場合等、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 

③ システム障害について

当社グループでは事業の安定的な運営のためのシステム強化及びセキュリティ対策を行っておりますが、サイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、当社グループソフトウエアの不具合、コンピューターウイルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によって、当社グループの事業活動に支障が生ずる可能性があります。また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 

④ 個人情報管理によるリスク

当社グループはサービス提供にあたり、顧客、サービス利用会員等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要であると考えております。しかし、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

 

⑤ 知的財産権に係る方針等について

当社グループによる第三者の知的財産権等を侵害する可能性については調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権等が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により知的財産権等が成立する可能性があります。かかる場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは必要に応じて商標権等の知的財産権の申請を行っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間や費用を要する等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:少

 

⑥ ソーシャルメディアデータの法整備について

ソーシャルメディアが益々浸透し、クチコミが日々大量に生成されるようになりました。このような状況において、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、2010年1月に施行された改正著作権法でインターネット上の検索サービスを提供する事業者がその検索サービスに必要な情報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになりました。しかしながら、今後の新たな法律の制定や既存の法律の改正により、自主規制が求められるようになる可能性があります。当社グループでは、これらの動向に関する情報収集を行っておりますが、当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑦ マーケティング業務のアウトソーシングについて

当社グループは、顧客に対して、MOS(Marketing Operating Service)を事業コンセプトに、マーケティングの運用領域の支援サービスを提供しております。専門性を有する人材育成や確保の限界、外部のファシリティを使うことでの費用と効果の明確化、繁忙期、閑散期の雇用継続不要によるコストダウンなどの理由から、近年においてアウトソーシングが進んでいるものと考え、今後もマーケティング業務のアウトソーシング需要が拡大するものと認識しております。当社グループは、マーケティングオペレーションの重要性や専門知識の必要性を発信し認知されるように努力しておりますが、今後経済状況や顧客の経営方針の変化にて社内リソースでマーケティング業務を行う内製化へ進んだ場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑧ 主要SNSのユーザーの利用動向やプラットフォームの規制変更等について

当社グループのサービスは、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)等の主要SNSのプラットフォーム上でのマーケティング手法を中心としております。利用者が増加傾向にあるSNSは広告媒体としての訴求力が高まることから、各SNSのユーザーの利用動向は重要な指標となるため、当社グループではこれらの動向に関する情報収集を行っておりますが、既存のSNSにおけるユーザーの利用動向の変化や、新たなSNSの流行に対して、当社グループの対応が遅れた場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、プラットフォーム側の広告関連の規約・規制等やAPIの仕様変更や提供方法の変更により、情報の取得に制限や禁止となることで従来可能であったマーケティング手法を用いることができなくなる可能性があり、当社グループの対応が遅れた場合や、SNSのセキュリティ面の不備により信頼性に疑義が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑨ サービスの陳腐化について

インターネット広告市場は、日々新たな技術革新やサービスの提供が行われる市場であり、競合他社より有益な価値を顧客に対し提供する必要があります。当社グループでは、顧客のニーズに対応するために常に新たな技術の開発やサービス機能の強化及び拡充、適切な人材の確保に努めておりますが、保有するサービス及び技術等が陳腐化し、変化に対する十分な対応が困難となった場合、あるいは変化する顧客のニーズに的確な対応ができなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑩ インターネット広告市場について

マーケティング支援事業及び広告事業が対象とするインターネット広告市場は拡大傾向にあり、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。当社グループでは、これらの動向に関する情報収集を行っておりますが、景況感の変化や新たなイノベーションの創出により、インターネット広告市場が拡大傾向の鈍化あるいは縮小傾向に転じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑪ 法的規制について

当連結会計年度末現在で、当社グループの主力事業において直接的な法的規制又は業界の自主規制はありませんが、広告主の広告内容により、「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」等の規制を受ける可能性があります。当社では、顧客の広告が各種法的規制に抵触することを避けるため、事例も含めた勉強会の実施、コンテンツ制作において判断に迷うものは法務担当へ問い合わせるなどして当社従業員の意識を高めるよう努めております。今後、法令等の改正や新たな法令等の制定が行われ既存の法令等の解釈に変更が生じ、法令等に準ずる位置づけで業界の自主規制が制定され、その遵守を要請される場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:少

 

(2) 経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスク要因について

① 景気動向及び顧客企業の広告マーケティング予算の影響について

当社グループの取引はクライアントの広告マーケティング予算に強く影響を受けます。景気低迷の折に、広報・広告宣伝予算は相対的に削減の対象となりやすいと考えられ、クライアントの景気やその他の影響が、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。当社グループでは、これらの動向に関する情報収集を行っておりますが、景気が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

② 特定販売先への依存について

当社グループは、企業のデジタルマーケティング支援を行っておりますが、企業はマーケティング施策全般の支援を大手広告代理店に発注することが比較的多く、そのため当社グループは一定部分を大手広告代理店から受注しております。当社グループでは、取引先上位会社の定期的な確認及び企業との直接取引も増やしておりますが、大手広告代理店より発注の手控えがあれば、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

③ 特定事業への依存について

当社グループでは、SNSマーケティング事業が売上の大部分を占めております。当社グループでは、今後も高付加価値なサービスを提供することで、さらなる売上高の拡大、既存のDX支援事業を育成し、新規事業の開始など事業の裾野を拡大することで対応を図りたいと考えておりますが、SNSマーケティング事業の成長に何らかの問題が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

④ 競合について

当社グループのSNSマーケティング事業の領域は、新規事業者の参入が活発であります。しかしながら、日本におけるSNS黎明期と言われる2008年から創業し蓄積してきたSNSアカウント運用の長い経験と実績、それらの知見をもとに自社で開発したSNS運用支援ツールの提供、運用業務の効率化、人材採用・人材教育を、リスクマネジメント、コンテンツ企画力などSNSマーケティングのプロフェッショナルとして、サポート企業数の増加、サポート内容の拡充を実現しておりますが、当社グループの強みであるマーケティングの運用領域の支援サービスの優位性が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

(3) 当社グループの事業運営体制に関わるリスクについて

① 人材の確保及び育成について

当社グループの事業展開においては、運用面においては高度な技術スキルを有する人材が要求されることから、必要な人材を適切に確保するとともに、育成を行っていく必要があります。また、今後の事業拡大により受注の獲得機会が増加した場合、受注規模に応じた人員の確保が必要となります。当社グループは今後の事業拡大に応じて必要な人材の確保と育成に努めていく方針でありますが、必要な人材の確保が計画どおり進まなかった場合や、現在在籍する人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは従来から、リモートワークやフレックスタイム制による時差出勤制度を導入しておりましたが、新型コロナウイルス感染症を機に、リモートワークの環境整備支援やリモート会議システムを導入する等、リモートワークと出社のハイブリッドでの勤務による生産性向上を推進しております。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

② ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

発生可能性:高、発生する可能性のある時期:権利行使期間内、影響度:大

 

③ 配当政策について

当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を意識しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。しかしながら当社は、繰越欠損金の未解消かつ成長過程にあり、今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、配当を行っておりません。

現在におきましても、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

発生可能性:事業計画の進捗状況による、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 

 

④ 他社との業務・資本提携等について

当社グループは、他社との業務提携、資本提携等を通じて事業の拡大、スピードアップに取り組んでいく方針であります。当社グループと提携先の持つ技術やノウハウ等を融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指します。当社グループでは、対象企業の属する業界の市場規模、業界環境や対象企業を調査し、事前に収益性などについて慎重に検討することとしておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またこれらの提携等が何らかの理由で解消された場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑤ 借入金、金利の変動について

当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し借入を行っており、2024年10月期の有利子負債依存度は55.99%となっております。今後の金利情勢の変動によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:、影響度:中

 

⑥ 代表取締役への依存について

当社代表取締役は2008年11月の株式会社コムニコを設立以来、事業を牽引し、2014年には当社を設立しグループを大きく成長をさせてまいりました。現在も当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会等における経営層への情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない体制の確立に努めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

⑦ 自然災害、事故、パンデミック等について

当社グループでは自然災害、事故等発生時には、速やかに対策本部を設置し、事業継続に向けて対応をするよう準備を行っております。また、当社では従来からリモートワークやフレックスタイム制による時差出勤制度を導入しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、リモートワークの環境整備支援やリモート会議システムを導入する等、従業員の安全を確保するとともに安定したサービス提供ができる環境作りを推進しております。しかしながら、本社所在地である関東圏において、大地震、台風等の自然災害や事故等により設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社従業員の勤務が困難になる可能性があり当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

発生可能性:少、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当社は、前連結会計年度より決算期を3月31日から10月31日に変更いたしました。これにより、決算期変更の経過期間である前連結会計年度は2023年4月1日から2023年10月31日までの7ヶ月間の変則的な決算となっております。このため、当連結会計年度においては、業績に関する前期比、増減率は記載しておりません。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要の回復によって、景気は緩やかな回復傾向が見られました。一方で、世界的なエネルギー資源や原材料の価格高騰、ウクライナ情勢の長期化、記録的な円安水準の影響等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが事業を展開するデジタルマーケティング領域におきましては、国内外の様々な影響を受けつつも、社会活動のデジタル化を背景に高い成長率を保っており、「2023年日本の広告費」(株式会社電通)によると、インターネット広告市場は前年比7.8%増の3兆3,330億円となりました。

このような状況の下、当社グループでは「運用支援」、「運用支援ツールの提供」、「教育」といった当社グループ独自のソリューションを強みに、企業のマーケティング活動を総合的に支援してまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は2,161,867千円営業利益137,215千円経常利益147,883千円親会社株主に帰属する当期純利益72,605千円となりました。

 

セグメントごとの業績は以下のとおりです。

(SNSマーケティング事業)

企業のSNSアカウントの戦略策定から開設、運用代行、キャンペーンの企画・運用、広告出稿、レポート作成、効果検証までサポートするSNSアカウント運用支援サービス、SNSマーケティングを効率化するSaaS型のSNS運用支援ツールの開発・提供をしております。また、これらのノウハウを活かしてコンテンツ開発をしたSNSエキスパート検定講座の提供をしております。

当連結会計年度におきまして、(株)コムニコでは、拡大を続ける縦型・短尺動画への対応のため、Tiktokに特化した専門チームの設置やSNS運用効率化ツール「comnico Marketing Suite(コムニコマーケティングスイート)」の機能改善によるサービス拡充や、業務提携による販路拡大、生成AIの活用による業務効率の向上に努めてまいりました。

(株)ジソウでは、SNS運用における自走支援の他、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)を支援する生成AI機能を搭載したGoogleビジネスプロフィール管理ツール「ジソウマップ」の販売開始や宿泊施設の集客を支援するOTA(Online Travel Agent)運用支援サービスを開始し、累計支援企業数は40社を超えました。

タイを拠点に東南アジアでマーケティング事業を展開するDTK AD Co.,Ltd.では、地方自治体からのインバウンドプロモーションの受注やインフルエンサーマーケティングツール「Astream」の販売を伸ばしております。

(社)SNSエキスパート協会では、検定講座の提供に加え、昨今の青少年がSNSの利用により、投稿の炎上や犯罪に巻き込まれるケースが頻発化する社会状況への対策として、青少年が正しく安全にSNSの利用ができるように啓発する教育プログラムの提供を開始いたしました。また、「SNSエキスパート検定 (初級・上級)」と「SNSリスクマネジメント検定」の受講者数が、累計6,000人を突破いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高(「セグメント間の内部売上高又は振替高」を含まない外部顧客への売上高(以下同じ))は2,058,336千円セグメント利益は606,281千円となりました。

 

(DX支援事業)

マーケティングオートメーション、営業支援システム、顧客管理システムに加え、販売管理などバックオフィス領域の支援を開始しました。これにより、フロントオフィスからバックオフィスまで一気通貫で支援できる体制とし、Salesforceの運用サポートサービスの拡充と顧客開拓に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は103,531千円セグメント損失は7,609千円となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ315,901千円増加し1,464,579千円となりました。これは主に、現金及び預金が318,266千円、売掛金が21,828千円増加したこと等によります。固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5,312千円増加し262,086千円となりました。これは主に、投資有価証券が4,629千円増加したこと等によります。その結果、資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ321,214千円増加し1,726,666千円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ301,896千円増加し885,678千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が130,036千円、未払金が93,854千円増加したこと等によります。固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ287,751千円増加し534,847千円となりました。これは主に長期借入金が284,762千円増加したこと等によります。その結果、負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ589,648千円増加し1,420,526千円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ268,434千円減少し306,139千円となりました。これは主に、欠損填補を目的とする減資による資本金237,826千円減少、資本剰余金143,231千円増加、利益剰余金94,595千円増加、また、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が72,605千円増加したこと、自己株式の取得に伴い357,847千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は15.1%(前連結会計年度末は39.3%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ318,266千円増加し、986,413千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、261,409千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が147,883千円となったこと、未払金の増加による93,781千円の増加等によるものであります。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、9,419千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出5,208千円等によるものであります。

(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、65,359千円となりました。これは長期借入れによる収入558,520千円、自己株式の取得による支出357,847千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループのサービス提供は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載は省略しております。

 

b 受注状況

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

SNSマーケティング事業

2,058,336

DX支援事業

103,531

合計

2,161,867

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

また、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
(売上高)

売上高は2,161,867千円となりました。これは主に、デジタルマーケティング市場全体の成長とその市場の中でもSNSマーケティングの需要の高まりにより、SNSマーケティング事業が大きく増収したことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は1,033,708千円となりました。これは主に、売上高に伴う外注費の発生、体制強化のための従業員数増加による労務費の発生によるものであります。この結果、売上総利益は1,128,158千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は990,943千円となりました。これは主に、営業及びサービス提供体制の強化を企図し、株式会社コムニコのセールスやカスタマーサクセス等の人員を増やしたことや、M&Aに伴うデューデリジェンス費用などの発生によるものであります。この結果、営業利益は137,215千円となりました。

 

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は18,377千円となり、これは主に、為替差益と受取手数料によるものであります。営業外費用は7,708千円となりその主な内訳は支払利息であります。この結果、経常利益は147,883千円となりました。

 

(特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等合計は70,731千円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は72,605千円となりました。

 

b 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「3.事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

c 財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

d キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業拡大のための人件費、採用教育費、広告宣伝費であります。投資を目的とした資金需要は、M&A投資によるものであります。これらの必要資金については、自己資本を基本としつつ、今後の資金需要や金利動向等を勘案し、必要に応じて金融機関からの借入やエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定であります。なお、これらの資金調達方法の優先順位は、資金需要や資金使途等に合わせて最適な方法を検討・選択する予定であります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、SNSマーケティング事業において、SNS運用支援ツールの提供を通じて、SNSマーケティングにおける投稿管理や効果測定、キャンペーン管理を効率化するSaaS型クラウドツールを開発・提供しております。当連結会計年度における研究開発費は1,900千円となっております。