当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業の理想「この仕事を通じて社会に貢献する。」、「この仕事を通じて立派な人を創る。」を経営の基本理念・企業文化とし、守り育ててまいりました。創業の理想を実現するための両輪として、経営信条「良品・安価・即納」を定めて社会貢献への道を示し、社訓「信義誠実」「和衷協力」「不撓不屈」「業務奉仕」を定めて人間形成の道を示しております。
この創業の理想の実践・実現に向けて努力し続けることが、企業価値の向上につながるものと考えております。
(2)経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中国・欧州地域を先頭に急加速するEV化によるコントロールケーブル用途の減少、各自動車メーカーにおける生産数の変動、エネルギー費・資材価格の高止まり、競合企業との競争激化、為替変動の影響等、大きな変化に直面しており、経営環境が厳しいものになっております。そのような経営環境の中で、当社グループの強みであります世界16ヶ国に展開した拠点が相互に協力・連携し、お客様に安心を届けて信頼を得ることにより存在価値を高めていくことや、モビリティ社会に向けた新製品開発による、現状のケーブル・ウインドレギュレータに続く将来のコア製品群の創出が重要な経営課題となっております。
当社グループは、これからも創業の理想を追求し、さらにより幅広い社会課題の解決に貢献すべく、新しい技術開発に積極的に挑み、お客様に困り事があればまず最初に声を掛けていただける会社、“To Be the First-Call Company”(for Customer's better choice)をミッションに掲げ、次の3つの経営課題に取り組んでまいります。
[Ⅰ] 競争力の強化
・顧客価値の創造
自動車分野についてはエネルギー費・資材価格の上昇、EV化や電子制御の増加による半導体需給と自動車生産台数の不安定化に対応することが求められております。当社グループでは世界16ヶ国に展開した拠点が相互に協力・連携し、お客様が当社製品から得られるベネフィットをお客様の立場に立って追求していくことで、新たな顧客価値を創造し競争力を強化してまいります。
・安心品質
当社の品質方針である「4つの安心」(図面を鍛えて安心・4Sで安心・設備で安心・作業で安心)を全社で徹底し、仕事の質を高めることで、世界中の各拠点でお客様に安心を届ける強固な基盤を築いてまいります。
[Ⅱ] 成長基盤の強化
・事業基盤の強化
自動車分野については、当社グループが永年鍛えてきたモノづくりの基本方針である「ハイレックスプロダクションポリシー」を軸にした改善と生産最適化により、ケーブル・ウインドレギュレータといった現状のコア製品の信頼性と収益性をより一層高めてまいります。
海外事業においては欧州、中国、インドを始めとして、グローバルで拡販を進めてきた各拠点での事業収益性を強化し稼ぐ力を高めてまいります。また、非自動車分野においては、医療機器、産業機器の各事業部による素早い意思決定を強みとして、新用途開発と新製品開発を積極的に推進し新たな価値を持つビジネスを広げてまいります。
・開発強化
電子制御技術の強化と製品のインテリジェント化を推進し、当社グループが永年蓄積して来たノウハウと融合させることで、モビリティ社会に向けた新たな価値を持った製品を提案し、世界中のお客様に安心と喜びを届けてまいります。
また、パワーリフトゲート、電動アクチュエータ等のシステム製品の開発および医療機器、福祉関連機器、住宅関連機器等の非自動車分野の新製品開発に注力してまいります。
[Ⅲ] 人財育成
・組織を強くするグローバル人材の開発
「元気な会社にする」を中長期的なビジョンに掲げ、当社グループの将来を担うスキルとグローバル適応力を持ち、課題に対して果敢に挑戦し続ける人財の育成を進めるため、新たに「人財開発室」を設置することで、組織と個人の成長を促すことを目的とした人事制度・仕組みを策定し、グローバル人財を育成してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは以下の指標の安定的な確保と拡大を重視しております。
①社業の健全性を示す自己資本と営業利益
②株主の皆様にとっての収益性を示すROE(自己資本利益率)と配当の原資となる親会社株主に帰属する当期純利益
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「この仕事を通じて社会に貢献する」という経営理念を通じて、社会の皆様が快適に、安心して暮らせる環境づくりの一翼を担っていくことを目指しております。
(1)ガバナンス
当社グループは気候変動への対応について、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、当社の環境管理責任者、環境委員会及びE/QMS推進チームを中心に全社に展開した運用を行っております。それらシステムを通じて、順守すべき法的要求を満たし、リスク及び機会に取り組んでおり、トップマネジメント(担当役員)に対してその実績を定期的に報告しております。トップマネジメントは、報告された情報に基づいて環境マネジメントシステムが適切妥当かつ有効である事、継続的改善の機会、戦略的な方向性等の結論・指示を出しております。
また、その他の取り組みとして脱炭素(カーボンニュートラル)に向けて、自社所有地にメガソーラー発電所を建設し、2013年より運用を継続しております。この活動の取り組みと成果については、当社人事総務部門が管理し定期的な報告を行っております。
(2)戦略
当社は気候変動への対応について、地球環境の保護が人類共通の最重要課題と認識し、当社製品の生産活動において、地球環境の保護と地域の環境改善に貢献することを環境方針として策定しております。以下の方針を重点的に取り組むことでISO14001に基づく活動の目標を達成するよう取り組んでおります。またグループ各社においても同様にISO14001に基づく目標達成の為の方針を通して地球環境の保護に配慮した企業活動を行うように取り組んでおります。
①環境に関する法律、条例、協定及び顧客の要求事項の順守。
②環境管理の目的及び目標の設定。定期的見直しと継続的改善。
③省資源・省エネルギー活動と、産業廃棄物のリサイクル化、及び持続可能な資源利用の促進、環境汚染の予防と気候変動の緩和に努める。
④生産活動から廃棄まで、環境に配慮した製品開発に努める。
⑤自然環境と調和した企業を創り、地域社会との共存を図る。
また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「元気な会社にする」という中長期的なビジョンを掲げ「人財開発室」を設置し、今後の当社グループの将来を担う人材(人財)の育成と社内環境の整備を進めております。
主に組織活動の強化を目的とした人事制度・仕組みの策定、個人の成長を目的とした能力開発施策の立案・実施、個人のモチベーション向上を目的とした適性配置とキャリア自律支援施策の立案、組織のモラール向上を目的とした、組織活性化施策の立案・実施に注力して取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク管理については、気候変動への対応を含む環境面では、ISO14001による環境マネジメントシステムに基づき環境管理マニュアル等を制定し、関連するリスク及び機会への取り組みを決定しております。
その主な概要は以下の通りであります。
①主に下記(ア)~(エ)を考慮したうえでリスク及び機会を決定し、それらに取り組むプロセスを文書化し情報を維持します。
(ア)環境に影響する可能性のある組織活動または製品又はサービス等(以下「環境側面」)
(イ)組織が順守すべき法的要求事項
(ウ)当社の経営信条及び年度会社方針に関連した外部及び内部の課題
(エ)当社の利害関係者(顧客、従業員、行政、地域住民、購買先等)が要求する事項及び法令等を満たした製品及びサービス
②環境側面及びその環境への影響、環境側面のうち特に重大な影響を与えるもの、それらを決めるために用いた基準を、環境側面管理規定に文書化して維持します。
③組織が順守しなければならない法的要求事項等を「環境法規管理規定」に定め、文書化しております。
(4)指標及び目標
当社グループのサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いられる情報の内重要なものとして、当社は環境方針と整合する全般的な環境の到達点を毎期達成する為に「エネルギー使用量の削減値」「有害物質の使用・取扱い」を定量化された数値目標として設定しております。
その内、主要なものは、電力使用量、石油系燃料使用量、ガス使用量、エネルギー使用量、CO2排出量等であります。
その設定については、社内で策定した「省エネ管理規定」を参考にして、中長期的にみて年平均1%以上改善させる事を目標に5カ年の中長期目標を設定して取り組んでおります。
また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
管理職に占める女性労働者の割合 |
2026年3月 2% |
- |
|
主任級にある者に占める女性労働者の割合 |
2026年3月 5% |
1% |
|
男女の平均勤続年数の差 |
2026年3月 2年以下 |
3年以下 |
以上の指標及び目標につきましては、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われておらず連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社の数値を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場環境の変化
当社グループは、主として自動車部品業界で活動し、取引先であります国内及び海外の主要自動車関連メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造並びに販売を行っております。自動車関連メーカーは製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより、主要な市場である北米、中国並びにアジアにおける景気及びそれに伴う中長期的な需要の変動、あるいは、当社グループ製品の装着率によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらのリスクを最小化するため、顧客の要望を先取りし、安全性や軽量化等の付加価値を高めた製品開発や、非自動車分野での拡販に取り組んでおります。
(2)為替変動の影響
当社グループは、全世界で幅広く生産、販売活動を行っていることから、当社グループの業績及び財務状況は為替相場の変動によって大きな影響を受けてきております。このため、短期的には一部先物為替予約や通貨スワップ取引等による、為替リスクヘッジを実施するとともに、中長期的には、世界各地域での原材料、部品の調達体制の整備を進めておりますが、現在のところ、リスクを完全に回避することは困難であり、為替相場の急激な変動は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料の価格変動
当社グループの製品の主要原材料である鋼材及び樹脂の購入価格は、国内及び海外の市況並びに為替相場の変動の影響を受けます。それにより予期せぬ異常な変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では世界的な原材料価格の高騰や半導体の供給不足に伴う調達コストの増加等が新たな課題となっておりますが、これらに対する取り組みとして、代替材の採用や調達活動におけるグループ企業間での連携等により、リスクの最小化を図っております。
(4)技術革新
自動車業界ではEV等の進展によるバイワイヤ化が進む方向にあり、今後中長期的には、自動車機能の変革、進化が予想されます。当社グループでは、このようなバイワイヤ化の動きに対応した新製品の開発・商品化に取組んでおりますが、今後の技術革新が急速に進展した場合、当社グループが新製品の分野でもコントロールケーブルと同様の高い競争力を維持できるかについては、不確実であります。
(5)知的財産
当社グループは、自社が製造並びに販売する製品に関する特許及び意匠・商標を保有し、もしくは権利を取得しております。これらの知的財産は、当社の事業拡大において過去・現在・将来にわたり重要性は変わりません。この様な知的財産が広範囲にわたって保護できないこと、また違法に侵害されることにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)品質保証
当社グループは品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかしながら、全ての製品に欠陥が無く将来に損失が発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては多額の追加コストの発生や当社グループの評価に影響を与え、それにより当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらに対する取り組みとして、品質方針を世界各国の拠点に展開し、各グループ会社の品質管理のレベル向上に努めております。
(7)海外進出に存在するリスク
当社グループは海外(主に北米及びアジア)においても事業活動を行っており、その重要性は高まる傾向にあります。当社グループの海外展開は今後も継続していくことから、中長期的には以下のようなリスクが考えられます。
①予期しない法律または規制の変更
②不利な政治または経済要因
③人材の採用と確保の難しさ
④ストライキ等の労働争議
⑤テロ、戦争及びその他の要因による社会的混乱
これらに対する取り組みとして、カントリーリスクの検討を徹底し、事情に通じた現地人材の育成や適切な内部管理体制の構築を進めることで、リスクの顕在化に対応するようにしております。
(8)地震等の自然災害に係わる影響
当社グループでは、生産を維持するため、計画的に工場はじめ各施設の保守、点検に努めておりますが、地震、風水害などで予想を超える災害が発生した場合には、これら施設に甚大な損害が生じ、それにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)投資有価証券の時価変動
当社グループは、主として営業上の取引関係維持・強化のため、取引先の株式を中心に当連結会計年度末において投資有価証券を保有しておりますが、子会社株式及び関連会社株式以外の市場性を有するものについては全て時価にて評価されており、株式相場等の時価変動の影響を受けております。なお、その他有価証券について、時価又は実質価額が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復の可能性を考慮のうえ減損処理を行うこととしております。それにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和される中、経済活動の正常化が着実に進んでおり、国内においても感染対策と経済活動の両立が進められ、全体として緩やかな回復基調となっております。
一方、新たな変異ウイルスによる感染状況の動向や金利上昇による世界経済の減速、世界的な半導体不足の長期化や資源価格の上昇による景気下振れリスク、米中間の通商問題を巡る緊張、米国におけるインフレの急拡大、中国経済の成長鈍化、ロシアによるウクライナ侵攻等、依然として不透明な状況が続いており、世界経済の不確実性は増すばかりとなっております。
自動車業界におきましては、半導体の供給不足や部品供給の停滞が緩和される中で自動車メーカーの生産は回復基調となっており、日本国内の自動車生産台数は前年同期比13.0%増の862万台、米国の自動車生産台数は前年同期比8.1%増の1,070万台、中国の自動車生産台数は前年同期比3.6%増の2,842万台となりました。
当連結会計年度の経営成績は、主に半導体の供給不足の緩和等に伴う自動車メーカーの生産増加に伴い、米国・韓国・日本を中心に中国を除くセグメント全般において前年同期比で伸長し、また円安による邦貨換算額の増加影響もあり、売上高は2,986億2千3百万円(前年同期比430億6百万円増、16.8%増)となりました。
営業損益については、原価低減、生産性向上並びに経費削減等の合理化による収益の確保や、各グループ会社での販売価格改定を始めとした利益改善の取り組みを進めたことにより、29億8千万円の営業利益(前年同期は48億5千6百万円の営業損失)となりました。
経常損益は、主に受取利息7億4千1百万円、受取配当金7億1千1百万円、持分法による投資利益6億円、為替差益2億2千8百万円、助成金収入1億8千9百万円並びに受取技術料1億1千8百万円等を収益に計上した一方で、支払利息4億6千3百万円、デリバティブ評価損1億7百万円等を費用に計上したことにより、53億2千7百万円の経常利益(前年同期は24億7千4百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、主に特別利益において固定資産売却益5千万円を計上し、特別損失で減損損失45億8千2百万円、関係会社株式評価損7億4千3百万円、製品保証引当金繰入額6億6千4百万円、退職特別加算金2億3千万円及び貸倒損失1億7千6百万円等を計上したことから、29億9千1百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は71億2千万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
設備投資は、当社の設備増強、韓国・メキシコ子会社の工場拡張及び生産設備増強を中心に、総額96億9千1百万円を実施いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ア.日本
日本におきましては、半導体供給不足の緩和が進み、主要顧客の生産台数が増加したことにより、売上高は564億7千9百万円(前年同期比59億7千7百万円増、11.8%増)となりました。営業利益は、原価低減と生産性向上、経費削減等の合理化による収益の確保に取り組んだ影響により、15億3千3百万円(前年同期比12億5百万円増、367.1%増)となりました。
イ.北米
北米におきましては、米国を中心に堅調に推移し、また円安による邦貨換算額の増加影響もあり、売上高は1,027億5千万円(前年同期比176億7千4百万円増、20.8%増)となりました。営業損益は、原価低減と生産性改善、価格戦略の見直し等に取り組んだ影響もあり、8億6千5百万円の営業利益(前年同期は28億7千1百万円の営業損失)となりました。
ウ.中国
中国におきましては、円安による為替影響はあったものの、日系自動車メーカーを中心とする主要顧客の生産が伸び悩んだこと等の影響により、売上高は469億8千1百万円(前年同期比20億9千3百万円減、4.3%減)となりました。営業損益は、原価低減と生産性改善に取り組んだものの、減収に伴う操業度の低下及び材料コストの高止まり等の影響により、7億9千5百万円の営業損失(前年同期は6億4千8百万円の営業利益)となりました。
エ.アジア
アジアにおきましては、韓国・インドネシア・インド子会社を中心に主要顧客の生産台数が堅調に推移したこと、また円安による為替影響等もあり、売上高は797億6千7百万円(前年同期比141億1千9百万円増、21.5%増)となりました。営業利益については、インド・ベトナム子会社を中心に材料コスト削減が十分に進まず高止まりとなったものの、韓国子会社を中心に増収に伴う操業度の改善効果もあり、35億1千4百万円(前年同期比25億3百万円増、247.8%増)となりました。
オ.欧州
欧州におきましては、イタリア・ハンガリー・チェコ子会社を中心に主要顧客の生産台数が伸びたこと、また円安による邦貨換算額の増加影響等もあり、売上高は283億5千2百万円(前年同期比87億6百万円増、44.3%増)となりました。営業損益は、材料及び輸送コスト等の増加影響はあったものの、主にハンガリー・イタリア子会社を中心に価格戦略の見直し等による収益力改善により、4億6千1百万円の営業損失(前年同期は19億2千2百万円の営業損失)となりました。
カ.南米
南米におきましては、新規車種の量産が立ち上げとなったことから売上高は、21億2千1百万円(前年同期比4億8千2百万円増、29.4%増)となりました。営業損益は、生産拡大に伴う操業度上昇による改善効果があったものの、外貨建て部材購入の為替影響及び海上輸送コスト増加の影響等もあり、1億7千1百万円の営業損失(前年同期は2億6千9百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が169億1千3百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が113億5千3百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が42億5千8百万円となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額11億9千6百万円を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度に比べ24億9千8百万円増加し、415億5千4百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ164億2千4百万円(同3,358.5%)増加し、169億1千3百万円となりました。これは主に、減価償却費96億3千2百万円による増加、減損損失45億8千2百万円による増加、仕入債務の増加25億3千5百万円による増加及び棚卸資産の減少26億7千9百万円による増加の一方で、売上債権の増加21億3千8百万円による減少、税金等調整前当期純損失12億6百万円による減少及び法人税等の支払額17億8百万円による減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ28億8千7百万円(同34.1%)増加し、113億5千3百万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入143億3千9百万円、投資有価証券の償還による収入6億4千2百万円及び有形固定資産の売却による収入5億1千6百万円の一方で、定期預金の預入による支出170億9千5百万円、有形固定資産の取得による支出85億6千4百万円及び無形固定資産の取得による支出9億7千9百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、42億5千8百万円(前年同期は12億4千万円の収入)となりました。これは主に、子会社の自己株式の取得による支出17億5千8百万円、配当金の支払額12億7千6百万円、長期借入金の返済による支出12億1千4百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本 (百万円) |
50,146 |
110.5 |
|
北米 (百万円) |
94,654 |
120.7 |
|
中国 (百万円) |
43,746 |
95.1 |
|
アジア(百万円) |
76,401 |
121.9 |
|
欧州 (百万円) |
27,567 |
144.2 |
|
南米 (百万円) |
1,761 |
133.7 |
|
合計(百万円) |
294,278 |
116.3 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として自動車部品業界で活動し、取引先である自動車業界、大手の自動車メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造・販売を行っております。大手自動車メーカーより約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、その発注量の確定指示は、平均すると1ヶ月であります。また、グループでの生産効率を高めるため、長期受注予測に基づき一部見込み生産を行っております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
50,452 |
110.1 |
4,601 |
94.2 |
|
北米 |
103,418 |
120.1 |
6,726 |
113.4 |
|
中国 |
43,619 |
91.7 |
7,836 |
99.2 |
|
アジア |
71,560 |
121.5 |
4,124 |
107.5 |
|
欧州 |
28,174 |
145.9 |
1,679 |
99.0 |
|
南米 |
2,181 |
124.9 |
260 |
130.0 |
|
合計 |
299,407 |
115.4 |
25,229 |
103.2 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本 (百万円) |
50,735 |
111.8 |
|
北米 (百万円) |
102,621 |
120.8 |
|
中国 (百万円) |
43,681 |
95.1 |
|
アジア(百万円) |
71,271 |
122.0 |
|
欧州 (百万円) |
28,191 |
146.2 |
|
南米 (百万円) |
2,121 |
129.4 |
|
合計(百万円) |
298,623 |
116.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Stellantis N.V. |
33,637 |
13.2 |
39,696 |
13.3 |
|
現代自動車株式会社 |
26,590 |
10.4 |
33,977 |
11.4 |
|
起亜株式会社 |
26,671 |
10.4 |
33,125 |
11.1 |
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア.財政状態の分析
資産
当連結会計年度末における流動資産は1,516億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億1千2百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が57億7千6百万円、売掛金が27億9千9百万円、有価証券が10億5千1百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は1,293億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億6千9百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が37億4百万円増加した一方で、有形固定資産が27億1千4百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、2,809億9千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ106億7千9百万円増加いたしました。
負債
当連結会計年度末における流動負債は740億2千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億6千万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が38億2千5百万円、流動負債の「その他」が15億4千9百万円、短期借入金が12億4千4百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は157億8千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億1千7百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が6億7千3百万円、固定負債の「その他」が9億6千9百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、898億1千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億7千8百万円増加いたしました。
純資産
当連結会計年度末における純資産合計は1,911億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億1百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が41億8千2百万円、その他有価証券評価差額金が36億8千7百万円増加した一方で、利益剰余金が42億6千8百万円減少したことによるものであります。
イ.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が前連結会計年度に比べ16.8%増加の2,986億2千3百万円、経常損益は53億2千7百万円の経常利益(前年同期は24億7千4百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損益は29億9千1百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は71億2千万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。
売上高
当連結会計年度の売上高は2,986億2千3百万円でありますが、グループ全体の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。これを事業の部門別に見ますと、コントロールケーブルは北米・アジアを中心に増加し、前連結会計年度に比べ7.4%増加の778億1千1百万円となりました。ウインドレギュレータの販売は、北米・欧州・アジア・中国・日本など総じて増加し、15.7%増加の804億6千4百万円となり、ドアモジュールはアジア・北米及び欧州を中心に増加し、前連結会計年度に比べ25.0%増加の1,146億1百万円となりました。パワーリフトゲートの販売は、日本及び中国において増加し、13.5%増加の105億1千2百万円となり、その他部門は日本・欧州地域で増加し、19.9%増加の152億3千3百万円となりました。
営業損益
当連結会計年度の営業損益は、原価低減と生産性改善、経費削減等の合理化による収益の確保に努めたものの、材料コスト及び調達コストの上昇、輸送コストの高止まり、生産能力増強に伴う設備償却費の増加等の影響等により、29億8千万円の営業利益(前連結会計年度は48億5千6百万円の営業損失)となりました。
営業外損益
当連結会計年度の営業外損益は、主として受取利息7億4千1百万円(前連結会計年度は5億9百万円の受取利息)及び受取配当金7億1千1百万円(前連結会計年度は6億7千9百万円の受取配当金)が発生した一方で、前連結会計年度で5千1百万円の持分法による投資損失が発生したのに対して、当連結会計年度では6億円の持分法による投資利益となり、また、前連結会計年度で5億4千2百万円の為替差益が発生したのに対して、当連結会計年度では2億2千8百万円の為替差益となったことにより、前連結会計年度(23億8千2百万円の利益(純額))に比べ減少し23億4千6百万円の利益(純額)となりました。
特別損益
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度では6億9千万円の投資有価証券売却益が発生したのに対して当連結会計年度では発生せず、また、前連結会計年度では27億1千7百万円の減損損失が発生したのに対して、当連結会計年度では45億8千2百万円の減損損失となり、前連結会計年度の32億1千2百万円の損失(純額)に比べ増加し65億3千3百万円の損失(純額)となりました。
ウ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について
当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、社業の健全性を示す「自己資本」並びに「営業利益」、株主の皆様にとっての収益性を示す「ROE(自己資本利益率)」と配当の原資となる「親会社株主に帰属する当期純利益」を定めております。
当連結会計年度において、「ROE(自己資本利益率)」は、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移(1)連結経営指標等」に記載しておりませんが(前連結会計年度においては、親会社株主に帰属する当期純損失及び当期純損失が計上されているため、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移(1)連結経営指標」及び「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移(2)提出会社の経営指標等」に記載しておりません。)、引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
その他の指標等についての分析・検討内容は、「自己資本」については前項「ア.財政状態の分析 純資産」に記載のとおりであり、「営業利益」並びに「親会社株主に帰属する当期純利益」については、前項「イ.経営成績の分析」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備投資資金は、主に自己資金を充当しております。資金については、当社においては金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、また一部の海外子会社については、資金需要への機動的な対応を目的とし、当社による債務保証を実施した上で、金融機関からの借入を行っております。これらの方策により、必要とされる資金水準を満たす十分な流動性を保持していると考えております。今後の重要な資本的支出の予定及びその資金の調達につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、エンジニアリング会社としてさらに研究開発体制の強化拡充を図り、環境、安全をキーワードに多様なユーザーニーズに対応し、自動車分野のみならず医療・住宅関連機器等の非自動車分野に永年にわたって培った技術を応用すべく活動しております。
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発は、主に日本、北米、中国、アジア、欧州の研究開発拠点において、新素材、新技術、新製品の開発を中心に行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費は、総額で
ア.日本
日本における製品開発活動は、システム製品開発統括グループ、電子制御センター、宇都宮技術センター、ドアシステム開発グループ、ケーブル・システム設計グループが担当し、グローバル車種を含めた自動車関連製品の先行開発および量産開発を行なっております。また、新素材・新工法の開発につきましては、研究開発室が継続的に研究を進めております。医療関連製品・機器におきましては、医療機器事業部が担当し、同様の開発を行なっております。さらに産業機器、住宅関連ならびに福祉関連などの製品につきましては、産業機器事業部が開発担当しております。
コア製品のケーブルにつきましては、要求品質の高度化や新たな商品への適用を目指して、ものづくりの深化及び新素材開発を進めてまいります。
また、クルマづくりの変化に追従すべく、製品のモジュール化・パッケージ化に対応した新製品・新技術の開発を進めております。具体例として、周辺部品を統合及び新たな機能を付加したドアモジュール・シートモジュールなどの開発を進めております。
さらに、クルマの電動化や自動運転化などのモビリティ変革に適合した製品群の拡充に注力しております。安全でかつ利便性の高い各種ドアの自動開閉する製品を「パワークロージャーシステム」として、新機構の開閉駆動ユニット、高度な機能安全性を有したECU最適制御及び各種センシング技術を確立し、市場に導入してまいります。
医療機器開発におきましては、新たなコーティング技術により到達性能を大幅に向上させたマイクロカテーテルに関して、薬事承認申請による国内拡大、海外新規承認・展開を進めています。また、ガイドワイヤは原材料と加工技術を見直しトルク伝達性と末梢到達性を飛躍的に向上させるとともに、環境への影響が懸念されているフッ素樹脂に変わる撥水・抗血栓性コーティング技術を確立し、国内で薬事承認を受けました。今後も、カテーテル・ワイヤ・人工血管領域とそれらの関連技術の開発を進めてまいります。
株式会社サンメディカル技術研究所の補助人工心臓におきましては、米国治験22施設、28症例の植え込みを行い本格的に治験が進んでおります。引き続き合併症の改善と小型化、安全性を高める開発を進めてまいります。
日本における研究開発費は
イ.北米
北米におきましては、HI-LEX CONTROLS INC.のオートモーティブセンターが担当し、主に北米の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。
北米における研究開発費は
ウ.中国
中国におきましては、重慶海徳世拉索系統集団有限公司が、主に中国の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。
中国における研究開発費は
エ.アジア
アジアにおきましては、大同ハイレックス株式会社及び大同ドア株式会社が、主に自動車関連のドアモジュール製品を中心としたシステム製品の新技術、新製品の開発を行っております。
アジアにおける研究開発費は
オ.欧州
欧州におきましては、HI-LEX EUROPE GMBHが、主に欧州の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。
欧州における研究開発費は