当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(会社の経営の基本方針)
当社グループは、「フラットヤーン技術を大事にしながら 常に変革し続け 世のため人のために役立つ会社であろう」を経営理念とし、フラットヤーン関連技術というコアコンピタンスを活かし、顧客のニーズに的確に応えるような製品やサービスを創造し提供していくことを通じて、社会的価値を創造するとともに自らも成長していくことを基本方針といたしております。
(目標とする経営指標)
2022年12月に、「飛躍に向けた原点回帰」をメインスローガンとする中期経営計画を策定いたしました。当計画は、前計画「UPGRADE For Next 60」の主要戦略であった「技術を、磨く」「製品を、広げる」「市場を、創る」「社員の成長と幸福を、伸ばす」を踏襲しつつ、目標未達に終わった前計画の未達要因への対処のための「v字回復戦略」を織り込んだものとなっております。
当計画においては、業績指標に加え、財務指標の目標数値を設定し、収益の拡大のみならず資本効率をより重視した経営を目指すとともに、安定した株主還元を目指してまいります。
(中長期的な会社の経営戦略)
2022年12月に策定した中期経営計画の内容は以下の通りです。
■対象期間
2023年10月期~2025年10月期の3ヶ年
■メインスローガン
飛躍に向けた原点回帰
v(victory)字回復、そしてJ(Jump)字成長へ、「v for J」
■事業環境に対応するためのv字回復戦略
(1)適正な価格の実現 + そのための製品競争力強化
(2) 最適な生産・物流体制の構築
■成長軌道に乗るためのJump戦略
(1) 技術を、磨く。
(2)製品を、広げる。
(3)市場を、創る。
(4)社員の成長と幸福を、伸ばす。
■数値目標(2025年10月期)
(金額単位:億円)
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業績目標 |
合成樹脂加工製品事業 |
機械製品事業 |
合計 |
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売上高 |
266 |
64 |
330 |
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|
経常利益 |
23 |
10 |
33 |
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財務目標 |
ROE |
8%以上 |
||
|
D/Eレシオ |
0.6 |
|||
(会社の対処すべき課題)
国内外の経済情勢が不透明感を増す一方で、収束が見えない世界を二分する政治的紛争、インフレによる世界的な物価高騰といった不安定な状況において、現在の事業環境は新たな局面を迎えており、このような環境下におけるさらなる事業拡大を実現するためには、新たな成長戦略の遂行が急務と考えております。
このような課題に対処すべく、2025年10月期を最終年度とした中期経営計画の達成を念頭に、「Jump戦略の遂行!」をスローガンに掲げ、リサイクル技術の開発、ブランドの再構築、新たな市場の開拓、働き方改革といった成長軌道に乗るための戦略に取り組み、変化の激しい事業環境に対応し、事業の拡大を図ってまいります。
[合成樹脂加工製品事業]
合成樹脂加工製品事業は、シート加工工程の笠岡工場への移設が完了し、印刷事業を含めた生産体制が整いました。国内及び海外子会社において、生産品目の再編と新規設備の導入を行い原糸の高付加価値化に舵を切ってまいります。また笠岡工場において新たに2mラミネーターが稼働、リサイクル設備稼働により使用済シートを原料とする製品づくりを本格化、さらにアメリカ・テキサス州において包装資材用途のメルタック製造工場が稼働します。営業面では海外売上拡大、水平リサイクルでのブルーシート販売拡大を目指した「Re VALUE+」戦略の実践、BtoCビジネスの拡大を行ってまいります。
[機械製品事業]
機械製品事業は、2023年3月に技術譲受けした金属箔用スリッター事業を軌道に乗せるべく、製作中の初号機に続く受注拡大を図ります。また、プラスチック製品のリサイクル需要拡大を受けてリサイクル試験設備を常設し、今まで困難であったプラスチックリサイクルの需要掘り起こしを行うことで、事業を拡大してまいります。
ものづくりの場面では、品質保証に重点を置いた組織の改編により、プロセス管理を強化いたします。また、働き方改革及び生産性向上を目的として、基幹システムの更新やRPAツールの活用を進めてまいります。さらに将来の増産に備え、提携先を通じた東日本の拠点確保を進めてまいります。
[環境問題への対応]
ブルーシートからブルーシートへの水平リサイクルシステム「Re VALUE+」に注力しており、洗浄技術といった新たなリサイクル技術の開発に努め、環境負荷の軽減を目指し、リサイクル需要を取り込んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、「フラットヤーン技術を大事にしながら 常に変革し続け 世のため人のために役立つ会社であろう」という経営理念のもと、自らの事業領域を明確に定め、製品開発、原材料調達、製造、製品供給の各段階で関係する皆様及び地域社会や地球環境を含むすべてのステークホルダーの皆様に「役立つ」ことを目指して、持続可能な事業活動を続けてまいります。
(2)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するために、取締役及び執行役員並びに課長クラス以上の従業員で構成される経営会議における管理と取締役会による監督を中心とするガバナンス体制を構築しております。
サステナビリティに関するリスク及び機会については、事業の最前線での情報に直接触れる立場である課長を含む、経営会議(取締役及び執行役員並びに課長クラス以上の従業員で構成し、四半期ごとに開催)にて審議しております。代表取締役社長は経営会議の議長として、サステナビリティを巡る課題が事業に与える影響を評価し、対応策の策定・実行を管理し、統括いたします。
取締役会は、サステナビリティに関するリスクと機会について、経営会議事務局より報告を受け、課題への取組や設定した目標をモニタリングし、監督いたします。
(3)リスク管理
サステナビリティに関連するリスクや機会については、各事業にて社内外の様々な事象の詳細な把握を行うとともに、それが当社グループの経営にどのような影響を及ぼすか分析し、経営会議にて情報共有・議論を行ったうえで対応策を立案しております。また実施中の対応策については、継続して進捗状況の管理を行ってまいります。さらに、必要に応じて取締役会に報告し、全社的な方針決定に反映しております。
このような当社グループのサステナビリティに関するリスク管理プロセスを通じて識別された重要なサステナビリティ項目は、以下の通りであります。
「環境問題・気候変動への対応」
当社グループは、化石燃料由来の原料を使用しており、最終ユーザーが不適切な廃棄を行うと環境に大きな負荷をかける恐れがあります。半面、気候変動の影響等で自然災害の被害が増加しつつある中で、当社が供給する防災関連製品はその被害を軽減し、気候変動への適応を進めることができます。
以上の点から、当社グループの行動が環境問題・気候変動に与える影響及び気候変動対策に係る政策・規制が当社グループの事業に及ぼす影響は、多様な経路をたどり、当社事業の将来を左右する最大の要因であると認識しております。
「人材育成及び多様性確保への対応」
2022年12月に策定した中期経営計画「v for J 飛躍に向けた原点回帰」の中で、4つの基本戦略の1つに「社員の成長と幸福を、伸ばす」を掲げ、生産年齢人口がより減少し働き手の確保が難しくなる環境下で当社グループの安定的な中長期的な成長のためには、人材育成及び多様性確保が重要と考えております。
(4)環境問題・気候変動への対応
①戦略
当社グループの主要製品の素材であるプラスチックは、性状安定性、耐久性、経済性などの長所があり、当面はこれに代わる素材の開発は困難であると考えております。また当社製品は、災害の防止・軽減や、被災地の復旧の際に使用されるものも多く、気候変動への適応に資するものであります。当社グループは、海洋ゴミ問題や化石燃料の消費といった負の側面を軽減しながら、プラスチック製品の使用を継続することが、経済・社会的に最善の選択肢であると判断しております。
そのための具体的な取組として、自社製品におけるプラスチックリサイクルの推進及びリサイクル機器の開発・普及を事業の重点課題に据えて、その実現に注力しております。
②指標及び目標
当社グループは、自社製品におけるプラスチックリサイクルの推進(循環経済への移行)及びリサイクル機器の開発・普及(環境関連製品開発)に、気候変動への対応(温暖化ガス排出量の削減)及び防災減災対策を加えた4つの施策を通じて環境問題・気候変動への対応を進めてまいります。
1)気候変動への対応:製品のライフサイクルにわたる温暖化ガス排出量の削減を目指します。
2)循環経済への移行:リサイクル原料を用いた製品の開発・販売及びその普及を図るためのリサイクルの仕組みの構築を進めます。
3)環境関連製品開発:リサイクル原料を使用したプラスチック製品及び高品位なプラスチックリサイクルを可能にする機器を開発・販売し、社会全体でのプラスチックリサイクルの普及を進めます。リサイクルを通じて、プラスチック製品製造及び廃棄に伴う温暖化ガス排出量及び天然資源の使用量削減に貢献します。
4)防災減災対策 :自然災害による被害を防止・軽減する製品の普及及び災害発生時の迅速かつ安定的な供給を行い、気候変動による被害の軽減に貢献します。
(目標値)
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2025年10月期目標 |
2024年10月期実績 |
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水平リサイクルシステム「Re VALUE+」による再生ブルーシートのリサイクル率 1)気候変動対応、2)循環経済移行、3)環境関連製品 |
25%以上 |
25% |
|
エコマーク認定商品販売量 1)気候変動対応、2)循環経済移行、3)環境関連製品 |
300%増 ※ |
281%増 ※ |
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高品位樹脂再生プロセス「GXライン」再生ペレット製造装置の販売額 2)循環経済移行、3)環境関連製品 |
30%増 ※ |
45%増 ※ |
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地方公共団体・建設業協会との、防災製品安定供給に関する防災協定締結件数(累計) 4)防災・減災 |
26件 |
23件 |
※ 2022年10月期比
(5)人材育成及び多様性確保への対応
① 戦略
当社グループは、2019年12月に策定した中期経営計画「UPGRADE For Next 60」及びその内容を継承し、2022年12月に策定した中期経営計画「v for J 飛躍に向けた原点回帰」の中で、4つの基本戦略の1つに「社員の成長と幸福を、伸ばす」を掲げ、立場や属性にかかわらずすべての社員が働きやすい職場を作り、多様な社員が能力を発揮することで、社員と会社の成長を目指しております。
当社グループは、現状女性社員の活躍の場が限られ、女性社員比率も向上の余地があるレベルにとどまっておりますが、今後生産年齢人口がより減少し働き手の確保が難しくなる中で、勤務時間の柔軟化や企業主導型保育所の運営など性別や出身国にかかわらず能力を発揮できる職場づくりを進め、多様な社員に働く場を提供していくことが社員、ひいては社会に「役立つ」ことと認識し、種々の取組を進めております。
1)人材育成
・課長クラス以上の経営会議への出席
各事業部門の事業の状況や、サステナビリティを含む当社の課題等を情報共有・議論するため四半期ごとに開催している経営会議に、課長クラス以上が参加することとし、若手管理職の経営意識の醸成に努めております。
・子会社への出向
海外を含む子会社に経営幹部として若手社員を出向させ、経営能力の向上を図るとともに社外との交流の機会を提供しております。
・展示会等への出展・参加
若手社員を国内外の展示会に積極的に派遣し、技術面の見聞を広めるとともに、人脈作りも推進しております。
また当社グループが展示会等に出展する場合、若手社員を中心としたプロジェクトチームを編成し、予算管理、設営からお客様対応まで、幅広く経験を積む機会を提供しております。
2)社内環境整備
・勤務時間の柔軟化
時間単位の有給休暇制度及び勤務時間を1時間繰り上げる「アーリータイム制度」を導入しており、子弟の保育園等への送り迎えや行政関係の手続きなど、様々なニーズに対応しております。
・夜間及び土曜・日曜勤務の削減
製造現場の一部工程において、夜間の省人化及び土曜・日曜の稼働停止を試行し、家族団らんや学校行事への参加をしやすい勤務条件を目指しております。
・企業主導型保育所の運営
岡山県倉敷市において企業主導型保育所を運営し、県内の事業所に所属する子育て中の社員が仕事とプライベートを両立できる環境整備に努めております。
・健康経営の推進
会社敷地内の全面禁煙や社員食堂でのヘルシーメニューの提供などを通じて、社員が健康に働けるような環境づくりを推進しております。
・障がい者雇用の推進
職場環境の改善に加えて、個々の社員の障がいの状況をきめ細かく見極めて、障がいを持つ社員の働く場を拡大しております。
② 指標及び目標
前記の戦略を通じて個々の社員の能力を最大限発揮できる条件を整えるとともに、それが優秀な人材の採用にも結び付くものと考えております。さらに人材全体の総体としての能力を最大化するためには、個々人の属性に囚われない公平な採用を行う必要があります。
当社の事業環境を踏まえると、海外での事業展開が成長戦略の大きな柱であると認識しております。海外での事業拡大のためには、多様な人材の確保が必要と考えており、国籍や出身国にとらわれない実力本位の採用を行うことを通じて、当社の人材多様性を向上させております。
当社の採用方針としては、大卒採用数に占める外国人比率(※)が、複数年平均で県内大学の留学生比率を恒常的に下回らないことを目安にしながら、国籍等の偏りを排除した採用を心がけております。この採用方針を中長期的に継続していくことにより、海外での事業展開に必要な多様な人材が確保されるものと考えております。[提出会社]
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指標 |
実績 |
目標値 |
|||
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2022年10月期 |
2023年10月期 |
2024年10月期 |
3ヶ年平均 |
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|
|
- |
8.3 |
|
6.3 |
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(※)2022年度岡山県内の大学学生数:43,296人(出所:学校基本調査)及び
2022年度岡山県内大学の留学生数:2,205人(出所:岡山県内 外国人留学生の受入に関する調査)より当社が独自に算出。
国内連結子会社では海外事業の比率が低いこと、海外連結子会社は採用環境が異なることから、指標及び目標値の設定は行っておりません。
なお当社では女性の活躍の場を拡大するため、前項記載の取組に加えてさらなる改善策を講じ、それと並行して性別による待遇やキャリアパスの差異を解消していく予定です。現在、製造現場で女性が働けるよう、重量物を扱う作業の見直しや勤務シフトの改善を試行的に進めております。それらを踏まえた指標や目標のあり方についても引き続き検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 気候変動に伴うリスク
気候変動の直接的影響として自然災害の増加や海面上昇による物的被害や事業継続が困難な状況の発生などのリスクがあります。それに加えて、気候変動緩和策の進捗により、原材料の調達難や炭素税などによるコスト増加が生じる可能性があります。
これらのリスクに対して、次項のように災害対策を講じるとともに、柔軟な原材料調達を可能にする態勢整備や温暖化ガスの排出を最小限にするような事業活動へのシフトを通じて、影響を最小化してまいります。
また当社グループの製品には、防災関連用途など気候変動への適応に貢献するものも多く、事業機会の一つであると認識して当該事業分野を強化してまいります。
(2) 自然災害等のリスク
地震、暴風、落雷、洪水、火災等の各種災害により、社員及び家族への身体的被害、事業資産への物的被害等により、事業活動レベルの低下または停止に至る可能性があります。
これらのリスクに対して、被害の発生及び発生時の損失を最小限におさえるべく、設備の防災対策、防災訓練の実施、連絡体制の整備、損害保険の付保等リスク管理に努めております。
(3) 法制度・規制に関するリスク
当社グループの事業活動が国内外の法令や規制に抵触した場合、多額の課徴金や事業停止を余儀なくされる可能性があります。
これらのリスクに対して、法務部門を始め関係部署や外部の専門家にて法令等に関する情報収集を行うとともに、行動規範などを通じて法令遵守を徹底しております。特に近年、人権問題や輸出管理など新たなリスク要因が発生しており、法規制等の動向を注視しつつ、ルールの逸脱のないよう努めてまいります。
(4) 製造物責任に関するリスク
当社グループは日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合が発生した場合、製造物賠償責任請求等により損失が発生するリスクがあります。
これらのリスクに対して、製品の品質確保を徹底することに加え、製造物賠償責任保険への加入により不具合等発生時の損失を抑制する対策を講じております。
(5) プラスチックを巡る環境変化に関するリスク
プラスチックは性状安定性や耐久性、経済性等に優れた素材ではありますが、海への廃棄プラスチックの流出問題や、化石燃料を主要原料とすることなど、地球環境に対してマイナス影響を及ぼしうるとの評価になりつつあります。その結果、プラスチック製品を製造・販売することの風評リスクや、将来的にはプラスチックの使用が制限される可能性もあります。
当社グループでは、当面はプラスチックに代わる素材の実用化は困難と考えており、プラスチックの使用を継続しながらそのマイナス影響を最小化することを基本方針としております。具体的には、生産ロスの再利用を徹底するとともに、使用後の製品を同等の製品に再生産する「水平リサイクル」の実用拡大化を目指し、技術開発や回収の仕組みの検討を行っております。
(6) 原材料等の市況変動及び調達リスク
当社グループの合成樹脂加工製品事業は主にポリエチレン・ポリプロピレン樹脂を原材料として使用し、製造の際に熱源や動力源として電力を使用しております。これら原材料の価格は、原油・ナフサといった国際商品市況や為替相場の影響を受け、また電力料金も化石燃料等の影響を受けるもので、原材料価格や電力料金の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、機械製品事業におきましては、半導体などの部品の調達網に混乱が生じた場合、代替品調達によるコスト増や売上遅延のため、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、特定の原材料等への依存を減らすよう技術開発を進めるとともに、原材料等価格変動を製品価格に転嫁できるよう製品の競争力を高めることなどを通じて、原材料に関するリスクを抑制しております。
(7) 地政学リスク
紛争の発生等地政学リスクの顕在化により、原材料価格の高騰や物流網の混乱が生じ、コスト増大や原材料・製品等の納入遅延などが発生する可能性があります。またこのような事態の結果、世界的な景気の低迷が生じ当社製品の需要が縮小する状況も想定され、その結果、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、適正な在庫の保持やコスト増加分の販売価格への転嫁等により原材料価格高騰や物流混乱の影響を最小化するよう努めておりますが、最終的に業績への影響が発生する可能性があります。
(8) 子会社の収益変動リスク
当社グループでは多様な製品を製造・販売することにより、製品ごとの需要や収益性の変動リスクを軽減する事業構造になっております。ただし個々の子会社においては、取り扱う製品の需要変動や販売地域の経済情勢などにより、収益が変動するリスクがあります。
このようなリスクに対して、グループ内の生産体制や販売体制では全体最適を追求しつつ、各子会社の事業活動に支障のないよう資金繰り等のリスクに対応する支援を行うとともに、子会社ごとの事業価値を正確に見積もることにより適切な経営管理を行っております。
(9) 情報セキュリティに関するリスク
サイバー攻撃等により当社グループのシステムで障害が発生した場合、事業継続に重大な影響が生じる可能性があります。また、情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任が生じ、さらに会社の信用を喪失する恐れがあります。
これらのリスクに対して、適切な情報システムの整備・運用を行うとともに、社員への情報セキュリティ教育の実施により、情報システムに関連する事故発生の防止と、万が一事故が発生した場合の損害の軽減を図っております。
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかな回復基調にありましたが、欧州や中東での紛争や中国経済の低迷などが様々な経路で波及し、また各国の政治情勢が及ぼす影響や物価・金利の動向に不透明感が増し、先行きの見通しづらい経済環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、原材料価格転嫁等に伴う需要の減少、機械製品の需要先のニーズの変化、国際紛争等に起因する海上輸送の混乱などの逆風に直面しましたが、生産体制の効率化や新たな需要の取り込みを進め、収益確保に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高331億18百万円(前期比6.0%増)、営業利益20億97百万円(同6.0%増)、経常利益21億90百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15億18百万円(同51.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が減少となった理由は、前期に収用補償金及び子会社清算益を特別利益として計上したためであります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
合成樹脂加工製品事業
合成樹脂加工製品事業におきましては、公共事業減の影響を受けた人工芝用原糸が減収になった他、農業資材向けや一般資材向けで値上げによる買い控えが継続した原糸、海外での価格競争の影響を受けたコンクリート補強繊維「バルチップ」などが伸び悩みました。一方、記録的な暑さの影響で遮熱シート等高付加価値製品が増加したシート関連、生産能力増強及び円安の影響で海外向け販売が増加した包装資材用途のメルタックなどが好調で、全体でも増収となりました。
インドネシア子会社「ハギハラ・ウエストジャワ・インダストリーズ社」におきましては、食品用梱包資材の販売が本格化したこともあり増収、国内子会社「東洋平成ポリマー株式会社」におきましても、在庫調整のための生産調整が終了し、値上げ効果もあり増収となりました。
その結果、売上高は267億44百万円と前期に比べ3億91百万円(同1.5%増)の増収となり、営業利益は16億65百万円と前期に比べ10百万円(同0.6%増)の増益となりました。
機械製品事業
機械製品事業におきましては、中国における2次電池需要の減退や、同国の消費低迷による半導体需要の減少などにより設備投資が低調な中、スリッター関連機器は、労働力不足から省人化ニーズが高まり、自動化機能を持つスリッターが好調でした。また電装品を中心に納期問題も解消し、海外向けスリッター関連が中国市況の影響で減収となったものの、スリッター全体では増収となりました。
リサイクル関連機器は、当社のブルーシート水平リサイクル技術を横展開するとともに、ペットボトルの水平リサイクル需要も取り込んだ結果、大幅な増収となりました。
その結果、売上高は63億73百万円と前期に比べ14億81百万円(同30.3%増)の増収となり、営業利益は4億32百万円と前期に比べ1億8百万円(同33.4%増)の増益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億37百万円減少し、48億59百万円となりました。
当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益21億89百万円、減価償却費17億9百万円及び棚卸資産の減少額6億28百万円を主とする資金の増加と法人税等の支払額8億41百万円及び売上債権の増加額3億41百万円を主とする資金の減少により、44億15百万円(前連結会計年度比1億63百万円の収入減少)の資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備の新増設、更新及び合理化投資等の有形固定資産の取得による支出33億34百万円により、31億52百万円(同15億1百万円の支出減少)の資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出7億28百万円及び配当金の支払額6億92百万円等により、17億30百万円(前連結会計年度は10億42百万円の資金増加)の資金の減少となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
合成樹脂加工製品事業 |
16,424,674 |
89.9 |
|
機械製品事業 |
6,211,511 |
131.6 |
|
合計 |
22,636,186 |
98.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
合成樹脂加工製品事業 |
原糸 |
2,101,609 |
89.2 |
258,367 |
101.4 |
|
梱包袋 |
1,828,844 |
109.8 |
39,559 |
76.5 |
|
|
計 |
3,930,453 |
97.7 |
297,926 |
97.2 |
|
|
機械製品事業 |
4,318,177 |
68.0 |
4,888,926 |
70.4 |
|
|
合計 |
8,248,631 |
79.5 |
5,186,853 |
71.5 |
|
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.合成樹脂加工製品事業においてクロス、シート及び土のうは主として見込み生産のため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
合成樹脂加工製品事業 |
26,744,377 |
101.5 |
|
機械製品事業 |
6,373,866 |
130.3 |
|
合計 |
33,118,244 |
106.0 |
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債、収益・費用の計上及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
・流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、219億48百万円(前連結会計年度末234億75百万円)となり、15億26百万円減少しました。これは主に棚卸資産、現金及び預金、その他が減少したこと等によります。
・固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、206億34百万円(同191億76百万円)となり、14億58百万円増加しました。これは主に、繰延税金資産、土地が減少した一方、建設仮勘定、退職給付に係る資産が増加したこと等によります。
・流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、87億98百万円(同91億70百万円)となり、3億72百万円減少しました。これは主に未払金、支払手形及び買掛金が増加した一方、短期借入金、未払法人税等が減少したこと等によります。
・固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、46億86百万円(同53億58百万円)となり、6億72百万円減少しました。これは主に長期借入金が減少したこと等によります。
・純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、290億98百万円(同281億22百万円)となり、9億76百万円増加しました。これは主に利益剰余金が増加したこと等によります。
② 経営成績の分析
・売上高
当連結会計年度における売上高は、331億18百万円(前連結会計年度312億45百万円)となり、18億73百万円増加しました。これは主に機械製品の売上が増加したことに加え、メルタックの販売が好調だったこと等によります。
・売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、88億60百万円(同83億19百万円)となり、5億40百万円増加しました。これは主に売上高の増加等によります。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、67億62百万円(同63億40百万円)となり、4億21百万円増加しました。これは主に手数料の増加等によります。
・営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は、92百万円の利益(同2億71百万円の利益)となり、1億79百万円減少しました。これは主に為替差損の増加等によります。
・特別損益
当連結会計年度における特別損益は、0百万円の損失(同22億48百万円の利益)となり、22億48百万円減少しました。これは主に収用補償金が減少したこと等によります。
・税金等調整前当期純利益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、21億89百万円(同44億98百万円)となり、23億8百万円減少しました。
・法人税等
当連結会計年度における税金費用は、6億69百万円(同13億74百万円)となり、7億5百万円減少しました。
・親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、15億18百万円(同31億18百万円)となり、15億99百万円減少しました。この結果、1株当たり当期純利益は110円63銭(同223円09銭)となり、112円46銭減少しました。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローを主に、事業支出の2か月分を目安とする所要運転資金を確保するとともに、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」記載の方針による利益還元及び設備投資に充当した上で、借入金の返済による財務体質の強化を進め、将来の成長投資への備えとしております。
該当事項はありません。
当社グループにおきましては、研究開発活動は主として当社が行っております。
当社の研究開発活動は、新製品開発、既存製品の改良・改善及び新技術の開発であります。合成樹脂加工製品事業におきましては製品開発部が新製品の開発、既存製品の改良・改善を担当しております。機械製品事業におきましては営業開発課と設計部が担当しておりますが、技術高度化等の開発に関してはタスクチームを編成し効率的かつフレキシブルに対応しております。
研究開発スタッフは69名、当連結会計年度は研究開発費として
主な研究開発
(1)合成樹脂加工製品事業
主力製品であるコンクリート補強繊維「バルチップ」においては、2032年開催のブリズベンオリンピックに向けたインフラ工事が急ピッチで進められている中、同都市の地下鉄工事におけるトンネル吹付コンクリート及び軌道スラブに採用されました。省人・省力化及び二酸化炭素排出量削減などの効果と合わせて社会貢献してまいります。
また、2024年は猛暑日日数が過去最多になるなど住環境や労働環境に大きな影響を与えました。このような状況に対処する為に、「スノーテックス」をベースにした遮熱特性に優れた製品の開発に着手しました。2025年夏の販売を目指して生産準備をしています。さらに、染色性に優れたナイロン樹脂製の織布である「ソメテックス」を開発しました。また本製品は海外での販売に対応する為、リサイクル製品の国際的な認証プログラムであるGRS認証を取得しました。今後アパレル用途向けに拡販を目指します。
当事業に係る研究開発費は
(2)機械製品事業
スリッター関連機器においては、2023年3月に金属箔スリッターの技術譲渡をうけ、初号機を受注し設計製作を進めております。2025年の納入に向け、技術譲渡元の製造技術を学び取って、当社製品の完成度向上を推し進めております。
プラスチック関連機器においては、低炭素化の潮流や原材料の高騰などにより、プラスチックのリサイクル需要は拡大が見込まれています。当社においては、自社製品であるブルーシートの水平リサイクルから確立できたリサイクル技術を、多様な業界に横展開することを目的として常設試験設備を設置しております。大手石化メーカーとの共同開発や異業種機器とのコラボレーションによる新技術開発などを引き続き行ってまいります。
当事業に係る研究開発費は