2025年1月15日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を併合すること、以下「本株式併合」といいます。)を目的とする2025年2月14日開催予定の当社臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」)といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。
1.株式併合の目的及び理由
当社が2024年12月20日に公表した「UDON株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、UDON株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、当社株式を非公開化することを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2024年11月8日から2024年12月19日までを買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)として、当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を行い、その結果、2024年12月26日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式9,580,247株(所有割合(注1):51.64%)を保有するに至りました。
(注1)「所有割合」とは、当社が2024年11月7日に公表した「2024年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(18,722,800株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(172,194株)を控除した株式数(18,550,606株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
本公開買付け及び本株式併合を含む本取引の目的及び背景の詳細は、2024年11月7日に公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「当社意見表明プレスリリース」といいます。)においてお知らせしたとおりですが、以下に改めてその概要を申し上げます。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
当社意見表明プレスリリースに記載のとおり、公開買付者は、DMC株式会社(以下「DMC」といいます。)が、その発行済株式の全てを所有する株式会社であり、当社株式の取得及び保有を主たる目的として、2024年10月17日に設立され、DMCの代表取締役かつ当社の執行役員である小西達也氏が代表取締役を務める会社とのことです。
当社意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社は、2024年7月31日に、DMCより、当社の取締役会に対して、本取引に関する意向表明書の提出を受けたことから、2024年8月6日に、DMCに対し、本取引の協議に向けた検討体制を整備する旨の意向を示し、同日より、本取引に関する具体的な検討を開始いたしました。
当社は、本取引における当社及び当社取締役会の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保するために、2024年8月6日、DMC、小西大樹氏、小西達也氏及び小西玲仁氏(以下「本不応募合意株主」又は「小西氏ら」といいます。)及び公開買付者(以下「公開買付関連当事者」といいます。)並びに当社から独立していることを確認・承認し、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、公開買付関連当事者及び当社から独立していることを確認・承認し、リーガル・アドバイザーとして北浜法律事務所・外国法共同事業(以下「北浜法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任いたしました。
さらに、当社は、本取引がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題が存在するため、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2024年8月6日付の取締役会決議に基づき、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の取得」をご参照ください。)を設置いたしました。
そして、当社は、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、北浜法律事務所及び大和証券の助言を受けながら、本取引の実行の是非に関してDMCとの間で複数回にわたる協議・交渉を行いました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、かつ本取引に関する諸条件が妥当なものであると判断いたしました。
すなわち、当社は、当社が事業展開しているビジネス領域においては、技術進化や需要動向は年々大きく変化しており、求められる技術水準は高まり続けており、また、国内外企業とのさらなる競争激化が予見されていることから、顧客や市場の需要に対応した付加価値の高い製品をタイムリーに供給していくため、継続的な先行投資を行い、常に最先端の技術を追求することで高い技術力を保持し競争優位を維持する必要があるとともに、技術・製品、市場といった事業環境の変化の流れに迅速に対応することができる強固な事業構造を確立する必要があると認識しております。
このような状況の下、当社は、「財務体質の強化」と「事業構造の改革」を経営課題として取り組んでまいりました。具体的には、「財務体質の強化」として、設備の投資回収に時間が掛かることが財務上の課題となっているため、設備投資案件の回収可能性と回収時間を十分に検討し、効率的な設備投資を実施するとともに、最大の効果が得られる生産技術の開発を目指すこと、「事業構造の改革」として、投資コストを意識した企業経営に努め、事業の構造改革を推進することで事業ポートフォリオの最適化を実現し安定した収益を確保できる体制づくりを進めることを経営課題としております。これらを達成するため、当社は、事業領域の拡張と収益性の向上に邁進しており、特にMEMS(注2)関連ビジネスにおいては、材料開発から量産までの一連のプロセスを当社及び当社子会社20社(以下「当社グループ」といいます。)内で完結できる体制を構築する等してきましたが、現在の事業環境の下、上記の経営課題に対処し、当社グループをさらに発展させるためには、成果を得る時期を説明し難い研究開発への多額の投資を含むより踏み込んだ施策を、よりスピード感をもって実施していくことが必要であるとの考えに至りました。このような状況の下、小西氏らが企図している下記(ア)乃至(エ)の施策は、当社の現状の各施策をより深く、よりスピード感をもって実現するための有効な手段であって、当社の中長期的な更なる企業価値向上のために積極的に推進していくべきものであり、これらの施策の実現により当社の中長期的な競争力の確保及び企業価値の向上を見込むことができるとの考えに、2024年9月下旬に至りました。
(注2)「MEMS」とは、「Micro Electro Mechanical Systems」の略称であり、微小な電気機械システ ムを意味します。半導体の微細加工技術を活用し、シリコン基板上に電子回路や極小サイズの センサやアクチュエーター等を一体化したものをいいます。
(ア)将来的な成長が見込める事業領域へのさらなる注力
当社グループは、創業以来「精密かつ完璧なものづくり」を強みとして、精密金型製造から現在の主力となるコネクタを中心に事業領域を拡大し、数々の独自の製品・ソリューションを産み出してきました。
足元では、収益構造の多様化に向けて、コネクタの「高周波・高速伝送技術」を活かし、生成AIの活用等で急速に需要が増大しているデータセンター向けのサーバー分野、EVやADAS(注3)の進展に伴い新技術が求められる車載分野に注力しております。また、次世代のものづくり産業を担う基幹技術の一つとして、競合が少ない事業環境かつ今後市場規模の拡大が見込まれるMEMS領域にも新規参入し、新規事業の創出に向け開発投資を実施してきました。
(注3)「ADAS」とは、自動車のドライバーの運転操作を支援する機能の総称であり、先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems)を意味します。
しかしながら、基盤事業であるコネクタは、依然としてパソコン市場に大きく依存しているため、市況変動や顧客の短期的な業績の影響を受けやすい状況にあります。そのため、小西氏らは、安定した収益構造の構築に向け、パソコン向け以外の市場シェア獲得を目指し、現在注力している成長分野・市場に対して、従来以上に迅速かつ大胆な集中投資の実行を続ける必要があると考えているとのことです。加えて、当社グループは、将来的な収益基盤の多角化に向けて、新規領域・事業の拡大を行っておりますが、開発から業績への寄与に至るまでには、相応の投資と期間を要するため、短期的に投資対効果を求めることが難しく、より中長期的な視点で経営資源を投入する必要があると、小西氏らは考えているとのことです。
具体的には、当社グループが競争優位性をもつ「高周波・高速伝送技術」に関し、新製品投入に向けた開発のみならず、国内外の顧客獲得と関係深化に向けても積極的に経営資源を投入し、特に主要市場となる海外においては、顧客の需要やニーズを的確かつタイムリーに汲み取るサテライト開発拠点の新設等を通じたエンジニアリングソリューション提供体制の構築を迅速に推進することで、サーバー分野や車載分野における新製品の市場シェアの確立が可能となると考えているとのことです。さらにMEMS事業においては、既に独自の高性能な単結晶圧電成膜技術(注4)と圧電MEMS(注5)の加工技術を保有しているものの、材料開発から量産までの一貫対応を可能とする圧電MEMSファウンドリ(注6)の本格的な量産体制の確立に向けた生産能力のさらなる増強のほか、成膜材料のラインナップ拡充、顧客提案力向上のための開発強化並びに将来に向けた事業確立が必要と考えているとのことです。
また、小西氏らは、当社グループが、顧客ニーズのさらに一歩先を行く新製品を供給するためには、市場拡大が見込まれる事業領域を見極め、積極的かつ大胆に経営資源の投入をし続けることが、今後も持続的に企業価値を向上させ「ものづくりソリューションエキスパート」として業界をリードするために必要不可欠であると考えているとのことです。
(注4)「単結晶圧電成膜技術」とは、機械的な圧力を印加することで電圧が発生する圧電効果を持つ材料を単結晶化させた単結晶圧電膜を用い、膜構成を作製する技術をいいます。
(注5)「圧電MEMS」とは、圧電効果を持つ材料を用いた極小な電気機械システム(MEMS)をいいます。
(注6)「ファウンドリ」とは、他社からの委託による生産を専門に手掛けるメーカーをいいます。
(イ)事業構造改革の実行による効率的な運営体制の推進
当社グループは、変化の激しい事業環境下で持続的な成長を実現する経営体制を構築するために、売上高や利益の向上のみならず、各事業における経営資源の集中を進め、事業毎の資本効率性の向上及び経営資源の最適な配分を図ることを目的として、全社ROIC目標をベースとしたトップダウンでの事業計画策定の導入や事業別ROIC目標設定手法の整備等を通じた全社規模でのROIC導入による資本コスト経営を推進しております。
足元では、資本の効率的な投資を目的として、キャッシュコンバージョンサイクルの継続的な改善に取り組んでおり、効率的なキャッシュの創出を通じた、より高い付加価値を生み出す重点事業への投資という好循環の実現を目指しているものの、さらなる資本効率性向上のためには、現状取り組んでいる施策から一歩踏み込んだ大胆な事業構造の改革が必要不可欠であると、小西氏らは考えているとのことです。
具体的には、事業毎に分散している機能の統合によりエンドマーケット軸から製品軸へと事業ポートフォリオを再構築し、国内外拠点や生産工場の統廃合、低稼働資産の積極的な売却による生産効率・稼働率の向上、製品特性を加味した従業員の適材適所への最適配置による人財リソースの適正化等が必要と考えているとのことです。
小西氏らは、かかる事業構造改革により、当社グループ全体の経営資源を最適化し、事業環境の変化にタイムリーに対応できる“最適なものづくり体制”を再構築することが、中長期的には競争力を高め、新たなビジネスの獲得、ひいては企業価値の向上に繋がると考えているとのことです。
(ウ)人財育成への積極的な投資と人事制度の抜本的な見直し
当社グループは、日本においては少子高齢化の進展による労働人口の減少が社会問題となっており、企業における優秀な人財の確保は、今後ますます困難になると想定しております。また、現在の厳しい事業環境の下で中長期的な成長を実現するためには、経営理念であるコーポレートアイデンティティの実践に加えて、上記施策の実行を含む企業改革を実現できる優秀な人財の確保が必要であり、様々な知識・経験・価値観を持った人財を従来以上に確保し、当該人財の成長及び活躍を促すことができる仕組みづくりが必要と考えております。
かかる状況の下、当社グループは、多様な人財がそれぞれの強みを発揮するための環境の整備の一環として、高度専門職人財の活用推進を目的とするキャリアコースの新設や、次世代の経営人財を育成するサクセッションプランの導入等を推進することで、従業員一人一人の成長と当社グループの持続的な成長につながる仕組みを構築してきました。
しかしながら、小西氏らは、当社グループが今後も競争力を維持するためには、最先端の専門知識・技術の蓄積による人財の強化・育成とダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進による多様な人財の確保が重要であり、上記(イ)の施策に即した人財育成・獲得への積極的な投資と本格的な運用の実行が必要不可欠と考えているとのことです。
具体的には、国内外を含む全従業員の専門性向上をサポートする再教育制度の創設や、海外拠点も含む組織横断的なジョブローテーションの導入を推進する想定であり、従業員の専門性向上は、当社グループのさらなる製品開発力及び技術力の強化、並びに生産性の向上にも寄与するものと見込んでいるとのことです。
また、小西氏らは、グローバルで活躍できる専門性の高い優秀な外部人財を獲得するためには、積極的な外部からの人財登用を視野に、評価制度や報酬体系を見直し、弾力的な採用を含めた柔軟かつ適切な人事制度を構築することが必要であり、企業成長の基盤となるものが「人財」であり、人財投資こそが、当社グループの継続的なイノベーションの創出及び中長期的な企業価値向上に必要不可欠と考えているとのことです。
(エ)自前主義の深化とパートナーとの共創やM&A等
当社グループは、上記の環境下において、今後も競争優位性を発揮し持続的な成長を遂げるためには、既に高い競争優位性を確立している分野における自前主義のさらなる深化を通じた自立的な成長に加え、外部の経営資源の活用による新規事業領域への迅速な展開が必要不可欠と考えております。
かかる状況の下、国内外の同業他社を含むパートナーとのオープンイノベーションの活用を実施しており、足元では2024年1月に株式会社L-B. Engineering Japanとの資本提携や、沖縄県内外の大学や研究機関・企業との連携を行い、研究開発を行っております。
小西氏らは、エレクトロニクス市場における急速な技術革新に的確かつ更にスピーディーに対応するためには、各事業セグメントの自立経営の強化が必要不可欠と考えているため、各事業セグメントやグループ各社が主体となって意思決定を行う運営体制への再構築を行うことを予定しているとのことです。
また、小西氏らは、当社グループの技術力及び競争優位性を継続的に強化させていくことも必要であるため、従来以上に、国内外の事業パートナーとの連携・提携強化や、資本の再構築等を幅広く推進していくことを検討しているとのことです。それぞれの事業の戦略に沿った機動的なM&Aを含むアライアンス等の実施による、パートナーが保有する最先端の技術力やノウハウ・アイデア等と当社グループの技術との融合、及び、資本の再構築による経営資源の最適化等を通じて、非連続的な成長を図ることが可能になると考えているとのことです。これらにより、各事業セグメントやグループ各社がそれぞれに適したフィールドで存在意義を発揮することで、次代の「最・尖端」を切り拓き、価値創造に貢献し続けることを目指していく予定とのことです。
しかしながら、上記の施策は、中長期的に見れば大きな成長をもたらすものであったとしても、多額の投資が必要になり得るものも含まれており、必ずしも早期に当社グループの利益に貢献するものではなく、かつ、計画どおりに事業が展開しない事業遂行上の不確定リスクに加え、短期的には当社グループの売上高や収益性が悪化することも想定され、上場を維持したままでこれらの施策を実施すれば、短期的に当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼすリスクがあり、当社の株主の皆様に対して多大な悪影響を与えてしまう可能性があるものと考えております。
そのため、当社としても、当社の株主の皆様に対して短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することで、短期的な株式市場からの評価にとらわれない施策を実施でき、かつ、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする株主と経営陣が一体となった新たな経営体制を構築することが、当社の更なる企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。
加えて、当社の現取締役常務執行役員である小西玲仁氏及び当社の現執行役員である小西達也氏は当社グループの事業内容を熟知していることを踏まえれば、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により引き続き当社の経営陣の立場であり続けること、すなわち上記2氏が所有と経営の双方を担うことは十分な合理性があると判断いたしました。
なお、当社が当社株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保並びに取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、事業活動に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが可能であること、公開買付者によれば、本取引後、当社グループの継続的なイノベーションの創出及び中長期的な企業価値向上のための「人財」投資を行っていくとのことであり、当社の従業員にとって、これまで以上に高い意識・意欲をもって働くことが可能な環境となることも期待できると考えられること、当社は東京証券取引所に15年近くもの間上場しており、既に取引先を含む社会から高い知名度と信用を有していると思われることから、今後も継続して当社株式の上場を維持することの必要性を見出しにくい状況にあります。したがって、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
以上を踏まえ、当社取締役会は、2024年9月下旬、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、当社取締役会は、本公開買付けにおける当社株式1株あたりの公開買付価格(以下「本公開買付価格」といいます。)(2,950円)が、(a)大和証券から取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)による当社株式の算定結果のうち、市場株価法による算定結果の上限値を上回るとともに、類似会社比較法による算定結果の中央値を上回っており、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内であること、(b)2024年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,565円に対して88.50%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,564円に対して88.62%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,623円に対して81.76%及び同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,828円に対して61.38%のプレミアムが加算されており、これらのプレミアムは類似案件(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2024年11月6日までに公表された国内企業の完全子会社化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)のうち、成立した事例66件(ただし、二段階TOB等複数回実施された案件5件を除きます。)(公表の前営業日を基準日として、基準日終値、同日までの過去1ヶ月間、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の中央値が42.3%、45.3%、46.0%、48.6%))と比較して、公表日の前営業日の終値、同日までの直近1ヶ月間及び直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を大幅に上回る水準であり、かつ、同日までの6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準も上回る水準であると考えられること、(c)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、大和証券による当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や本特別委員会との協議、北浜法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、当社とDMCの間で、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会の要請により、本公開買付けに関する価格提案の有意な引き上げが実現されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、本公開買付価格は、当社の2024年9月30日現在の1株あたりの純資産額である3,220.96円を下回っているものの(約8.4%のディスカウント)、仮に当社が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、当社の資産には、棚卸資産や工場、本社及び営業所の土地・建物、のれんを含む無形固定資産などの流動性の低い事業用資産が多く含まれていることを踏まえると、相当程度の毀損が見込まれます(具体的には、当社の中間連結貸借対照表(2024年9月30日現在)上、「製品」(4,987百万円)、「仕掛品」(6,244百万円)、「原材料及び貯蔵品」(2,956百万円)、「建物及び構築物」(28,269百万円)、「土地」(5,075百万円)、「無形固定資産」2,571百万円)に対し、売却コストや清算に伴う人員整理コスト、工場の閉鎖に伴う除去コスト、土壌汚染対策費用等の様々な追加コストの発生が見込まれます。)。そのため、当社は、1株当たり簿価純資産額が当社株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いと考え(なお、当社としては清算を予定しているわけではないため、当社においては、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、また、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される、想定の清算価値を上回っていることの確認までは行っていません。)、また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えています。
以上より、当社は、2024年11月7日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、かかる当社取締役会決議は、公開買付者が、本公開買付け及び当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することにより当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
当該取締役会における決議の詳細は下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
そして、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株主が保有する当社株式(以下「本不応募合意株式」といいます。)を除きます。)を取得できなかったことから、当社意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするため、当社株式1,831,275株を1株に併合する本株式併合を実施することとし、本株式併合を目的とする本臨時株主総会を招集することといたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者及び本不応募合意株主以外の株主の皆様が保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.株式併合の割合
当社株式について、1,831,275株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数を処理することが見込まれる場合における当該処理の方法に関する事項
① 会社法第235条1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.株式併合の目的及び理由」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者及び本不応募合意株主以外の株主の皆様が保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付します。
当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、当社株式が2025年3月10日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却額は、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2025年3月11日時点の当社の最終の株主名簿において株主の皆様が所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である2,950円を乗じた金額に相当する金銭が、各株主の皆様に交付されるような価格に設定する予定です。ただし、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
② 売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者の氏名又は名称
UDON株式会社
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
公開買付者は、端数相当株式の売却代金の支払に係る資金を株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)からの借入れにより賄うことを予定しているところ、当社は本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された、三菱UFJ銀行からの借入れに関する2024年11月7日付融資証明書を確認するとともに、その後、公開買付者と三菱UFJ銀行との間で、当該借入れに係る金銭消費貸借契約が締結されたことを確認することによって、公開買付者の資金確保の方法を確認しております。また、公開買付者によれば、端数相当株式の売却代金の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後、発生する可能性も認識していないとのことです。
したがって、当社は、端数相当株式の売却代金の支払のための資金を確保する方法については相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、2025年3月中旬から同月下旬を目途に、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を売却し、公開買付者において当該当社株式を買い取ることについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年4月上旬から同月中旬を目途に公開買付者において買い取りを行う方法により当該当社株式を売却し、その後、当該売却によって得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年5月中旬から2025年6月下旬に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主への交付が行われるものと判断しております。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項
当社は、上記「(1)1株に満たない端数を処理することが見込まれる場合における当該処理の方法に関する事項」の「④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み」に記載の裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2025年3月11日の最終の当社の株主名簿において株主の皆様が所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である2,950円を乗じた金銭に相当する金銭を株主の皆様に交付することを予定しております。また、上記「1.株式併合の目的及び理由」に記載のとおり、当社は、2024年11月7日開催の取締役会において、本公開買付価格については、(a)本株式価値算定書による当社株式の算定結果のうち、市場株価法による算定結果の上限値を上回るとともに、類似会社比較法による算定結果の中央値を上回っており、かつ、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であること、(b)2024年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,565円に対して88.50%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,564円に対して88.62%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,623円に対して81.76%及び同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,828円に対して61.38%のプレミアムが加算されており、これらのプレミアムは類似案件(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2024年11月6日までに公表された国内企業の完全子会社化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)のうち、成立した事例66件(ただし、二段階TOB等複数回実施された案件5件を除きます。)(公表の前営業日を基準日として、基準日終値、同日までの過去1ヶ月間、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の中央値が42.3%、45.3%、46.0%、48.6%))と比較して、公表日の前営業日の終値、同日までの直近1ヶ月間及び直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を大幅に上回る水準であり、かつ、同日までの6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準も上回る水準であると考えられること、(c)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、大和証券による当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や本特別委員会との協議、北浜法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、当社とDMCの間で、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会の要請により、本公開買付けに関する価格提案の有意な引き上げが実現されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
また、当社は、2024年11月7日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議した後、本臨時株主総会の招集を決定した2025年1月15日開催の取締役会における決議時点に至るまでに、本取引に関する判断を変更すべき要因が生じていないことを確認しております。以上より、当社は、端数処理の方法及び端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の①乃至⑥の措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置(以下の⑥)については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の取得
(ⅰ)設置等の経緯
当社は、2024年8月6日付の取締役会決議に基づき、当社取締役会において本公開買付けを含む本取引の是非を審議及び決議するに先立って、本取引がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題が存在するため、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、公開買付関連当事者から独立した、当社社外取締役から成る委員(当社の社外取締役兼独立役員(監査等委員)である若杉洋一氏(弁護士、弁護士法人大江橋法律事務所社員)、当社の社外取締役兼独立役員(監査等委員)である橋口純一氏及び当社の社外取締役兼独立役員(監査等委員)である庭野修次氏の3名)によって構成される本特別委員会を設置いたしました。なお、本特別委員会の互選により、若杉洋一氏を本特別委員会の委員長として選定しております。また、本特別委員会の各委員の報酬について、本取引の成否等を条件とする成功報酬制は採用しておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の妥当性を含む。)に関する事項、(c)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下(a)乃至(d)の事項を「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社に提出することを委嘱いたしました。
また、本特別委員会への諮問にあたり、当社取締役会は、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこととしています。また、当社は、当社が本取引の取引条件等についてDMCとの間で行う交渉の過程に実質的に関与する権限を本特別委員会に付与しております。同時に、本特別委員会に対して、(ⅰ)本特別委員会は、当社の費用負担の下、適正な判断を確保するために、当社の財務アドバイザー、第三者評価機関、法務アドバイザー等の外部専門家(以下「アドバイザー等」といいます。)を指名・承認(事後承認を含む。)する権限及び必要に応じて独自のアドバイザー等を選任することができ、また、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができること、(ⅱ)本特別委員会は、当社の取締役、従業員その他本特別委員会が必要と認める者に、本特別委員会への出席、書面による回答その他適宜の方法により、本取引の検討及び判断に必要な情報について説明・提供を求めることができることを決議しております。そして、当社は、北浜法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補者の独立性及び適格性等についても確認を行い、本特別委員会の委員の候補者が、公開買付関連当事者からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して少数株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって本特別委員会を構成すべく、2016年3月に当社役員へ就任して以来、当社の事業・財務を熟知している橋口純一氏及び庭野修次氏、並びに本取引と類似の取引に関する専門性を補完する観点から弁護士である若杉洋一氏の3名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました。なお、当社は、当初から上記の3氏を本特別委員会の委員として選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2024年8月6日から2024年11月6日まで合計12回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、本取引の提案を受けた経緯、本取引の目的、事業環境、事業計画、経営課題等に関する説明を受け、書面による質疑応答を行い、また、DMCから、本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、本取引の諸条件等について、インタビュー形式及び書面で説明を受け、質疑応答を行いました。
加えて、DMCとの交渉過程への関与方針として、交渉の窓口は当社のファイナンシャル・アドバイザーである大和証券が行うこととしつつ、本特別委員会自身がDMCとの交渉を行うことにより、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与しております。さらに、大和証券から当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受けております(なお、大和証券は、株式価値の算定の基礎とされた当社の事業計画について、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに照らし不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しております。)。
その後、本特別委員会は、本公開買付価格につき、上記「1.株式併合の目的及び理由」に記載のとおり交渉を行い、DMCから2,950円という最終的な提案を受けるに至るまで、DMCとの交渉過程に関与いたしました。さらに、北浜法律事務所から本取引において利益相反を軽減又は防止するために取られている措置及び本取引に関する説明を受け、それぞれ、質疑応答を行うとともに、当社からは本取引の諸条件の交渉経緯及び決定過程等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。
なお、本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券並びにリーガル・アドバイザーである北浜法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーとして承認しております。また、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認の上、承認しております。
これらの内容を踏まえ、本特別委員会は、大和証券及び北浜法律事務所と議論を重ね、本諮問事項について協議・検討を行いました。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯の下で、本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2024年11月6日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出いたしました。
(ア)答申内容
a 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。
b 本取引の実施方法や対価の妥当性を含む本取引の条件は妥当である。
c 本取引に至る交渉過程等においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。
d 上記a乃至cその他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではない。
(イ)答申理由
a 本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)について
(a)本取引の目的
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社及び小西氏らに対して質疑を行った。それらの内容をまとめると、概要以下のとおりである。
・当社は、1963年7月に、創業者である小西昭氏によって、モジュールシステム(総分割構造・完全熱処理硬化・総焼入後の全精密機械加工化)による精密金型の専門製作を目的に、第一精工株式会社として設立された。当社の株式は、2024年11月6日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されている。
・当社グループは、電気・電子部品事業、自動車部品事業及び設備事業を展開している。当社グループは、これまで精密金型製造メーカーから精密プラスチック成形メーカーへと進展し、高精度の精密加工技術や成形・組立技術を軸に、次代を先取りするために難易度の高い新たな用途開発や技術展開を継続してきたことで、半導体製造装置、コネクタ、HDD用機構部品、自動車部品へ製品展開と事業拡大を実現し、2023年7月に創業60年の節目を迎えている。
・半導体やコネクタを含むエレクトロニクス業界は、大容量の高速通信を特徴とする5Gの普及により、AIやIoT、ビッグデータの活用が急速に進展し、自動車の電動化・電子化、工場の自動化等も拡大しているため、今後も情報通信機器、自動車、産業機械向けのものを中心に需要が増加していくものと見込まれる。
・一方で、以下の事情からすると、当社グループを取り巻く事業環境は、今後より一層厳しさを増していくことになると予想される。
●半導体やコネクタを含むエレクトロニクス業界においては、著しい技術革新により各製品の高機能化が一層進むとともに、顧客ニーズの急速な変化に合わせた迅速な製品・サービスの開発が求められる傾向にある。特に、当社グループが主要製品とするパソコンや自動車の市場においては、通信技術やサーバーの効率化・高速化、自動車のEVへのシフト等といった技術革新に伴い需要動向も年々大きく変化しており、求められる技術水準は高まり続けている状況にある。また、新たな技術革新により、短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して技術競争力が低下する可能性や、汎用化した製品について、市況変動の影響を大きく受ける可能性もある。
●国内外において大手から中小まで様々な規模の競合企業が存在しており、価格面や納期面においても、国内外企業とのさらなる競争激化が予想される。
●中国経済の減速懸念や地政学的な情勢変化、原油価格の上昇や為替変動によるプラスチック成形材料、金属材料(銅・鉄)、めっき材料(金)等の原材料価格や物流費の高騰等といった事象が発生しており、当社の事業を取り巻く環境に関しては、依然として先行きが不透明な状況が継続すると予想される。
・上記のような環境下で、顧客や市場の需要に対応した付加価値の高い製品をタイムリーに供給していくためには、継続的な先行投資を行い、常に最先端の技術を追求することで高い技術力を保持し競争優位を維持する必要があるとともに、技術・製品、市場といった事業環境の変化の流れに迅速に対応することができる強固な事業構造を確立する必要がある。
・また、小西氏らは、当社が引き続き次代を切り拓く存在として今後も持続的に成長するためには、特定の市場に依存しない強固な事業構造への再編、時代のニーズの一歩先を見据えた継続的かつ迅速な新市場の開拓、事業の多様化を可能とする事業基盤の確立といった、事業構造の改革が急務であると認識している。
・この点、小西氏らは、本取引後の当社グループの中長期的な更なる成長及び企業価値向上を実現すべく、下記「(b)本取引成立後の公開買付者の経営方針」に記載の各施策を実行することを考えているとのことであるが、これらの各施策は、直ちに当社グループの業績に貢献するものではなく、相応の時間と各種先行投資が必要になることから、利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化等、一時的に当社グループの財務状況や業績を悪化させるリスクがあり、当社グループが期待される利益を生み出すことが一時的に困難となる可能性も否定できない。また、当社が上場企業である以上、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、下記の各施策の実行により中長期的な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価を得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあるため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施することは困難であると小西氏らは認識している。
・他方で、小西氏らとしては、当社は、2006年にジャスダック証券取引所に株式上場して以降、既に一定のブランド力や取引先に対する信用力は確保することができており、実際、金融機関から効率的に資金の調達を行うこともできていることから、事業活動に必要な資金についても自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが可能な状態となっており、当社が上場を維持する必要性やメリットは低下している状況にあると認識している。また、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂等に伴い、上場会社としてステークホルダーに対して情報開示のために対応すべき事項は年々増加しており、これらに要するコストが当社の経営を推進する上で大きな負担となる可能性も否定できないという点でも、小西氏らとしては、当社株式の上場を維持する意義は見出しにくいと考えている。
・以上を踏まえ、小西氏らは、当社グループがさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現させていくためには、足元の業績や株価変動に動じることなく、事業構造改革の推進に向けた新たな施策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築していくことが必要であり、そのためには、当社株式を非公開化して、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする安定した新しい経営体制を構築し、当社の事業構造改革の実行及び事業の積極展開に取り組むことが最善の手段であるとの考えに至った。
・その上で、小西氏らは、一般株主に代わるリスクの担い手として創業家一族が株主となることで、これまで以上に柔軟かつ機動的に経営判断を行うことが可能となることや、当社の創業家一族かつ現取締役常務執行役員であり、当社の事業内容を熟知している小西玲仁氏が代表取締役として経営にあたることで、当社の事業運営の連続性を確保しつつ、中長期的な観点から、事業構造改革の推進に向けた施策を一貫性を持って実践することができる点も考慮し、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法が最良の選択肢であるという結論に至った。
(b)本取引成立後の公開買付者の経営方針
・本取引成立後の当社の経営方針について、公開買付者は、当社グループの中長期的な更なる成長及び企業価値向上を実現すべく、次の㋐~㋓の各施策を実行することを考えている。
㋐ 将来的な成長が見込める事業領域への更なる注力
㋑ 事業構造改革の実行による効率的な運営体制の推進
㋒ 人財育成への積極的な投資と人事制度の抜本的な見直し
㋓ 自前主義の深化とパートナーとの共創やM&A等
・「㋐ 将来的な成長が見込める事業領域への更なる注力」に関して、公開買付者は、当社の依存しているパソコン市場以外の注力成長分野・市場に向け、迅速かつ大胆な集中投資を中長期的視点で実行することが当社の更なる成長に資すると考えている。当社においても、従前、収益構造の多様化に向けて、コネクタの「高周波・高速伝送技術」を活かし、生成AIの活用等で急速に需要が増大しているデータセンター向けのサーバー分野や、EVやADASの進展に伴い新技術が求められる車載分野に注力してきたほか、競合が少ない事業環境でありかつ今後市場規模の拡大が見込まれるMEMS領域にも新規参入し、新規事業の創出に向け開発投資を実施してきたところであるが、公開買付者によれば、以下の施策を進めることにより、当社の従前取り組んできた内容を活かしつつ、より安定した収益構造を構築することができるとのことである。
●当社グループが競争優位性を有する「高周波・高速伝送技術」に関しては、国内外の顧客獲得と関係深化に向けても積極的に経営資源を投入し、特に主要市場となる海外においては、顧客の需要やニーズを的確かつタイムリーに汲み取るサテライト開発拠点の新設等を通じたエンジニアリングソリューション提供体制の構築を迅速に推進することで、サーバー分野や車載分野における新製品の市場シェア確立を目指す。
●MEMS事業においては、既に独自の高性能な単結晶圧電成膜技術と圧電MEMSの加工技術を保有しているものの、材料開発から量産までの一貫対応を可能とする圧電MEMSファウンドリの本格的な量産体制の確立に向けた生産能力の更なる増強のほか、成膜材料のラインナップ拡充、顧客提案力向上のための開発強化並びに将来に向けた事業確立を目指す。
●その他、今後市場拡大が見込まれる事業領域を見極め、当該領域に対しては積極的かつ大胆に経営資源の投入を継続する。
・「㋑ 事業構造改革の実行による効率的な運営体制の推進」に関して、公開買付者は、当社グループ全体の経営資源を最適化し、事業環境の変化にタイムリーに対応できる体制を再構築することが、中長期的な競争力を高め、当社の企業価値向上に資すると考えている。当社においても、従前、事業ごとの資本効率性の向上や経営資源の最適配分を目的として、全社ROIC目標をベースとしたトップダウンでの事業計画策定の導入や事業別ROIC目標設定手法の整備等を通じた全社規模でのROIC導入による資本コスト経営、キャッシュコンバージョンサイクルの継続的な改善に取り組んできているものの、公開買付者によれば、更なる資本効率性向上のためには、事業毎に分散している機能の統合によりエンドマーケット軸から製品軸へと事業ポートフォリオを再構築し、国内外拠点や生産工場の統廃合、低稼働資産の積極的な売却による生産効率・稼働率の向上、製品特性を加味した従業員の適材適所への最適配置による人財リソースの適正化等の施策推進が必要と考えているとのことである。
・「㋒ 人財育成への積極的な投資と人事制度の抜本的な見直し」に関して、公開買付者は、当社グループが今後も競争力を維持するためには、最先端の専門知識・技術の蓄積による人財の強化・育成とダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進による多様な人財の確保が重要であると考えている。当社グループとしても、従前、多様な人財がそれぞれの強みを発揮するための環境の整備の一環として、高度専門職人財の活用推進を目的とするキャリアコースの新設や、次世代の経営人財を育成するサクセッションプランの導入等を推進することで、従業員一人一人の成長と当社グループの持続的な成長につながる仕組みを構築してきたところであるが、公開買付者としては、当社における従前の取組みに対して積極的に投資し、本格的に運用していくことが必要不可欠と考えており、国内外を含む全従業員の専門性向上をサポートする再教育制度の創設や、海外拠点も含む組織横断的なジョブローテーションの導入を推進するほか、積極的な外部からの人財登用を視野に、評価制度や報酬体系を見直し、弾力的な採用を含めた柔軟かつ適切な人事制度を構築する想定であるとのことである。
・「㋓ 自前主義の深化とパートナーとの共創やM&A等」に関して、当社グループは、近時、2024年1月に株式会社L-B. Engineering Japanとの資本提携を行ったほか、沖縄県内外の大学や研究機関・企業との連携を行い、研究開発を進めるという取組みも行ってきている。しかし、公開買付者としては、従来以上に国内外の事業パートナーとの連携・提携強化や、資本の再構築等を幅広く推進していくことを検討しているとのことである。また、公開買付者としては、エレクトロニクス市場における急速な技術革新に的確かつさらにスピーディーに対応するためには、各事業セグメントの自立経営の強化が必要不可欠と考えているため、各事業セグメントやグループ各社が主体となって意思決定を行う運営体制への再構築も行うことを予定しているとのことである。
(c)本取引に対する当社の判断
・当社自身も、当社グループを取り巻く事業環境については、小西氏らと同様の認識を有している。すなわち、当社グループが事業展開しているビジネス領域においては、技術進化が著しく、需要動向は年々大きく変化し、求められる技術水準は高まり続けている状況にあるほか、国内外企業とのさらなる競争激化も予見されていることから、顧客や市場の需要に対応した付加価値の高い製品をタイムリーに供給していくため、継続的な先行投資を行い、常に最先端の技術を追求することで高い技術力を保持し競争優位を維持する必要があるとともに、技術・製品、市場といった事業環境の変化の流れに迅速に対応することができる強固な事業構造を確立する必要があると、当社自身も認識している。
・かかる認識の下、当社は、「財務体質の強化」と「事業構造の改革」を経営課題として取り組んできた。具体的には、「財務体質の強化」として、設備の投資回収に時間が掛かることが財務上の課題となっているため、設備投資案件の回収可能性と回収時間を十分に検討し、効率的な設備投資を実施するとともに、最大の効果が得られる生産技術の開発を目指してきた。また、「事業構造の改革」として、投資コストを意識した企業経営に努め、事業の構造改革を推進することで事業ポートフォリオの最適化を実現し安定した収益を確保できる体制づくりを進めてきた。これらを達成するため、当社は、事業領域の拡張と収益性の向上に邁進しており、特にMEMS関連ビジネスにおいては、材料開発から量産までの一連のプロセスを当社グループ内で完結できる体制を構築する等の施策も行ってきた。
・しかし、当社は、現在の事業環境の下、上記の経営課題に対処し、当社グループをさらに発展させるためには、より踏み込んだ施策を、よりスピード感をもって実施していくことが必要であるとの認識に至った。この点、公開買付者の提示する㋐~㋓の施策は、当社が現状取り組んでいる各施策をより深く、よりスピード感をもって実現するために有効な手段であり、当社の中長期的な更なる企業価値向上のためには積極的に推進していくべきものであり、これらの施策の実現により当社の中長期的な競争力の確保及び企業価値の向上を見込むことができると当社としても考えるに至った。
・もっとも、公開買付者の提示する㋐~㋓の施策の中には、多額の投資が必要になり得るものも含まれており、必ずしも早期に当社グループの利益に貢献するものではないことに加え、上場を維持したままでこれらの施策を実施すれば、短期的に当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼすリスクもあると当社は考えている。
・そのため、当社は、株主に対して短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することで、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、かつ、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする株主と経営陣が一体となった新たな経営体制を構築することが、当社の更なる企業価値向上を実現する最良の選択であると判断するに至った。また、当社の現取締役常務執行役員である小西玲仁氏及び当社の現執行役員である小西達也氏は、当社グループの事業内容を熟知していることから、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により引き続き当社の経営陣の立場にあり続けることにも十分な合理性があると当社は判断している。
・なお、当社株式の非公開化により、一定のデメリットが生じるおそれもあるが、以下の理由からすれば、当社株式の非公開化によりデメリットが生じたとしても、それらの影響は限定的であり、非公開化によるメリットの方が上回ると当社は判断している。
●資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなるおそれがある。しかしながら、事業活動に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが十分可能であると考えられる。
●上場会社として当社が享受してきた社会的な信用力及び知名度の向上という利点が失われ、優れた人材の確保や取引先の拡大等に影響が及ぶ可能性も考えられる。しかしながら、公開買付者によれば、本取引後、当社グループの継続的なイノベーションの創出及び中長期的な企業価値向上のための「人財」投資を行っていくとのことであり、当社従業員にとっては、これまで以上に高い意識・意欲を持って働くことが可能な環境となることも期待し得る。また、当社は、東京証券取引所に15年近くもの間上場しており、既に取引先を含む社会から高い知名度と信用を獲得しているとも考えられる。
(d)小括
当社並びに小西氏ら及び公開買付者から説明された内容に不合理な点は認められない。そして、当社を取り巻く市場環境・経営環境、当社における事業構造改革や経営体制改革の必要性、また当社の事業における今後の見通し等に鑑みれば、本取引を実施し、上記(b)に記載の各施策を迅速かつ果敢に実施することは、当社の持続的な成長を促し、中長期的な企業価値向上に資すると認められる。
以上から、本特別委員会において、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
b 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の妥当性を含む。)について
(a)大和証券による本株式価値算定書
・当社は、公開買付関連当事者及び当社から独立した第三者算定機関である大和証券から取得した本株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると1,564円から1,828円、類似会社比較法によると1,381円から2,993円、DCF法によると2,711円から3,923円、とされている。
・本特別委員会は、大和証券及び当社に対して、評価手法の選択、市場株価法における市場株価・出来高についての分析、類似会社比較法における類似会社の選定及びマルチプルとして用いた指標の選定、DCF法における算定の基礎となる当社の事業計画、当該事業計画を基礎とした財務予測、継続価値の算定方法、割引率の算定根拠、非事業資産 の算定内容等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、これらについて一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
・なお、当社の事業計画は、本取引とは無関係に当社が策定中であった第8次中期経営計画(2025年度~2027年度)に関する議論(当社の事業戦略会議及び各事業部における議論)を基に作成され、対象者が2024年11月7日に公表予定の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」に記載されている業績予想の修正内容を反映したものであるが、その作成過程において、公開買付者側から不当な圧力が加えられている等、不合理な点は見受けられなかった。また、最終的に本特別委員会へ提出された当社の事業計画は、2024年9月2日に開催された第3回特別委員会の後、同月13日に第4回特別委員会が開催されるまでの間に、エネルギー(バッテリー)事業に係る数値についてもMFG事業に関する事業計画に組み込む形で修正されたものであるが、これは、エネルギー(バッテリー)事業に関して算定された数値についても将来的な実現可能性が低いとはいえないという、本特別委員会における議論の内容を踏まえ修正がなされたものであり、かかる修正過程にも不合理な点は存しない。
したがって、本株式価値算定書による当社の株式価値評価額は不合理なものではないと判断される。
(b)本公開買付価格について
本公開買付価格は、本株式価値算定書による市場株価法に基づく算定結果の上限値を上回るとともに、類似会社比較法による算定結果の中央値を上回っており、さらにDCF法による算定結果のレンジの範囲内であることが認められる。
加えて、本公開買付価格は、当社株式の2024年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,565円に対し88.50%、2024年11月6日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,564円に対して88.62%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,623円に対して81.76%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,828円に対して61.38%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、近時の他のMBO事例におけるプレミアム水準と比較して、公表日の前営業日の終値、同日までの直近1ヶ月間及び直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を大幅に上回る水準であり、かつ、同日までの6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準も上回る水準であることを確認した。
なお、本公開買付価格は、当社の2024年9月30日時点における1株当たりの純資産額である3,220.96円を下回っている(約8.4%のディスカウント)。しかしながら、仮に当社が清算を行うとしても、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではないこと、とりわけ、当社の資産には、棚卸資産や工場、本社及び営業所の土地・建物、のれんを含む無形固定資産などの流動性の低い事業用資産も多く含まれており、清算に伴い必要なコストを考慮すると相当程度の毀損が見込まれることを踏まえると、1株当たり簿価純資産額をもって当社株式の公正価値を反映した最低価格と捉えるべきではないと考えられる。また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的でないともいえる。
したがって、本公開買付価格が当社の2024年9月30日時点における1株当たりの純資産額を下回るものであるとしても、そのことにより本公開買付価格の妥当性が損なわれるわけではないと考えられる。
(c)交渉過程の手続の公正性
下記「c 本取引に至る交渉過程等の手続の公正性について」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に至る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(d)本取引に係るスキームの妥当性
本取引では、公開買付者が、不応募合意株主の所有する当社の株式及び当社の自己株式を除く当社の発行済普通株式を対象として公開買付けを行うことを予定している。
一方で、公開買付者は、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、不応募合意株主との間で、以下の㋐~㋒の合意内容を主とする不応募契約(以下「本不応募契約」という。)を締結しているとのことである。
㋐ 本公開買付けへ応募しないことに関する合意
不応募合意株主は、不応募合意株主が所有する当社の株式(以下「不応募合意株式」という。)について、本公開買付けに応募しない旨を合意している。
㋑ 当社株式に係る議決権行使に関する合意
公開買付者は、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除く。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、当社の株主を公開買付者及び不応募合意株主のみとすることを目的として、株式併合を行うこと及び当該株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む当社の臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しているところ、不応募合意株主は、不応募合意株式に係る議決権の行使として、上記各議案に賛成することを合意している。
㋒ 貸株に関する合意
株式併合の効力発生日において、公開買付者及び不応募合意株主以外に、これらの株主がそれぞれ所有する当社株式の数のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、公開買付者は、不応募合意株主との間で、公開買付者の要請があった場合には、株式併合の効力発生前に、DMCが他の不応募合意株主との間で一定の条件で貸株(消費貸借)を実行することを合意している。なお、貸株取引が行われた場合には、株式併合の効力発生後、当社において株式分割を実施し、貸株で借り受けた当社株式を貸主に返還することが想定されている。
以上のような本不応募契約を前提とした場合、本公開買付けにおいて、特定の株主が、当社株式の譲渡に関連して、本公開買付価格を上回る金額を受領することは想定されておらず、公開買付価格の均一性に反しないと考えられ、本公開買付けによって、不応募合意株主が不当に利益を得ることもないといえる。
本公開買付け後の本スクイーズアウト手続に関しては、株式併合の手続が予定されているが、これは、本スクイーズアウト手続後も不応募合意株主が当社の株主として残ることを想定しているため、(本公開買付け後の公開買付者の当社株式の保有割合にかかわらず、)株式等売渡請求ではなく株式併合が選択されているものと考えられる。株式併合は、本公開買付けに応募しなかった当社の一般株主に対し、株式買取請求権及び価格決定請求権といった本公開買付けの対価について異議を述べる機会を確保するものであって、手続として合理性が認められるものであり、本取引と類似の事例において採用される一般的な手法といえる。さらに、公開買付者によれば、公開買付者は、本公開買付け成立後、本スクイーズアウト手続実施のための臨時株主総会を早期に開催することを予定しており、また、本スクイーズアウト手続においては、本公開買付けに応募しなかった当社の一般株主に対して、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定された額が交付される予定であり、その旨がプレスリリース等で明示される予定である。
これらのことからすれば、本公開買付け後に予定されている本スクイーズアウト手続の方法を考慮しても、手続面で不合理な点があるとは認められない。
なお、公開買付者は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目的を達成する手段として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とし、公開買付者の株式を対価とする株式交換を実施することを予定しているが、現時点で詳細については未定とのことである。
その他、本取引全体に係るスキーム(以下「本スキーム」という。)に関し、少数株主の利益を害するような特殊な点は見受けられない。
以上から、本スキームは少数株主に不利益を及ぼすものではないと認められる。
(e)本取引に係るスキームの妥当性
本取引の対価は金銭とされているところ、公開買付者が非上場会社であることを踏まえると、対価の種類は妥当と認められる。
(f)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の実施方法、本スキーム並びに本取引により当社の少数株主に交付される対価の種類及び金額を含む本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
なお、当社が2024年11月7日に公表予定の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」に記載されている業績予想の修正内容については、本答申書作成時点では未公表であるため、株価には反映されていないが、本株式価値算定書によるDCF法においては考慮済であること、上記の水準のプレミアムが付されていることから、上記の結論を左右するものではないと判断した。
c 本取引に至る交渉過程等の手続の公正性について
(a)本特別委員会の組成
上記のとおり、当社は、本提案を検討するに際し、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2024年8月6日付取締役会決議に基づき、本特別委員会の委員3名を選任した。公開買付者から本取引に係る初期的な提案がなされたのは2024年7月31日であるところ、同年8月6日には本特別委員会が設置されているものであって、本件では、当社取締役会において本取引の是非を審議するのに先立ち、速やかに公正性を担保するための取組みが開始されていたといえる。
なお、本特別委員会の委員は、いずれも当社の社外取締役(独立役員)であり、当社と特別な利害関係を有する立場にはなく、また、特別委員としての報酬も本取引の成否等を条件とする成功報酬制は採用されていないことから、本取引との関係でも独立性が認められる。
(b)当社における社内検討体制の整備
当社は、本特別委員会の設置と同時期に、当社において公開買付関連当事者から独立した立場で本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制(当社経営企画部及び財務統括部に所属する従業員の合計6名を主要なメンバーとする体制)を構築した。本特別委員会においても、当社の社内検討体制の独立性について、リーガル・アドバイザーである北浜法律事務所の助言も踏まえつつ、プロジェクトメンバーを構成するメンバーと公開買付関連当事者との関係性についてはヒアリング等で確認の上、検討を行ったが、独立性の点で問題はなく、社内検討体制として承認を行っている。
当社においては、このように、可能な限り公開買付関連当事者から独立した立場で本取引に係る検討、交渉及び判断を行うことができる体制が構築されていたと認められる。
また、当社の取締役会においては、本特別委員会の意見を最大限尊重しつつ、本取引に対する賛否及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するか否かに係る審議及び決議が行われる予定であるところ、かかる取締役会においては、当社の取締役である小西玲仁氏は、本公開買付け成立後も継続して当社の経営にあたる予定であり、本公開買付けの終了後において、公開買付者の株式を直接又は間接的に所有することを検討しているとのことから、本取引に関して当社との間で利益相反関係が存在するため、特別利害関係取締役として、上記取締役会における審議及び決議には一切参加しない予定となっている。
その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付関連当事者又は本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は特段認められない。したがって、本件では利益相反を回避するための措置が適切に講じられていると認められる。
(c)独立性を有する外部専門家の専門的助言等の取得
当社は、本取引がいわゆるMBOの一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在することを踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本取引について検討するにあたっては、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関兼ファイナンシャル・アドバイザーである大和証券から本株式価値算定書を取得したほか、大和証券及びリーガル・アドバイザーである北浜法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
なお、大和証券及び北浜法律事務所は、いずれも公開買付関連当事者に該当しないだけでなく、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しない。本特別委員会は、第1回特別委員会及び第2回特別委員会において、上記の点を含め、大和証券及び北浜法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社の第三者算定機関、ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認している。
(d)本特別委員会による協議・交渉
当社は、本特別委員会に対し、当社がDMCとの間で行う交渉の過程に実質的に関与する権限を付与している。これを前提に、本特別委員会は、公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉をDMCとの間で複数回に亘って行っている。
具体的には、本特別委員会は、大和証券を窓口として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社を介し、DMCとの間で価格交渉(本特別委員会において承認した回答書を提示するという方法を含む。)を実施しており、かかる交渉の結果として、1株当たり2,950円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり2,750円とする公開買付者の当初の提案より、総額200円の3回に亘る価格引上げを引き出している。
(e)対抗的な買付け等の機会確保(マーケット・チェック)
㋐本公開買付けに関しては、公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期である30営業日に設定される予定であるとともに、㋑公開買付者と当社とは、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮されている。
なお、本取引においては積極的なマーケット・チェックが実施されていないものの、「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「指針」といいます。)においても、積極的なマーケット・チェックについては、M&Aに対する阻害効果の懸念や情報管理の観点等の実務上の問題がある旨指摘されており、本取引のような買収者が支配株主でない場合に常に実施することが望ましい措置とまではされていない。
事前のマーケット・チェックに伴う情報漏洩などによる株価への悪影響のおそれ等が伴うことは、指針でも指摘されているところであり、また、当社のアドバイザーによれば同種MBO事案においても積極的なマーケット・チェックを実施したMBO事案は見当たらないとのことである。
積極的なマーケット・チェックには上記のような悪影響のおそれ等が伴うことに加え、本件では、公開買付者が支配株主でないことや、間接的なマーケット・チェックが採用されていることにも鑑みれば、積極的なマーケット・チェックを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはないと考えられる。
(f)フェアネス・オピニオンについて
独立した第三者評価機関から具体的な取引条件の公正性に関する意見(いわゆるフェアネス・オピニオン)を取得することは、指針においても、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応する上でより有効な機能を有し得るとされている一方、公正性担保措置としての有効性は事案により一様ではないと解されており、フェアネス・オピニオンの取得の要否については、個別のM&Aにおける具体的状況を踏まえて判断することが適当と考えられている。
本取引に関しては、上記のとおり、専門性・独立性を有する大和証券が作成した本株式価値算定書等に基づき、本取引の条件の妥当性を是認することができると判断されるものであり、また、他の種々の措置によって取引条件の形成過程において独立当事者間取引と同視し得る状況が十分に確保され、かつ一般株主に十分な情報に基づく適切な判断の機会が確保されていると考えられることから、フェアネス・オピニオンを取得する必要はないものと判断した。
(g)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件について
指針において、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件は、これを設定することによりM&Aを成立させるために得ることが必要となる一般株主の賛成の数が相当程度増加する場合には、取引条件の公正性を担保する上での有効性が高いため、公正性担保措置として評価されるものの、企業価値の向上に資するM&Aを阻害する側面も有するため、常にマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することが望ましいわけではないと指摘されているところである。
本取引において、公開買付者は、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定していないとのことであるが、2024年11月6日現在において、不応募合意株式のみで当社の発行済株式総数のうち39.49%の割合が占められていることを踏まえれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することが本取引の成立を不当に阻害するおそれがあるという指摘にも相応の合理性が認められる。
他方で、本取引に関しては、上記のとおり、種々の公正性担保措置がとられており、これらの措置によって全体として取引条件の公正さは補われていると評価できる。
(h)一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
本取引に際しては、以下に掲げる情報又はこれらと実質的に同様の情報が開示書類において開示される予定であり、一般株主に対して適切な情報提供が行われる予定であると認められる。
・本特別委員会に関する情報
・本株式価値算定書による当社の株式価値の算定結果に関する情報
・本取引の実施を決定するに至ったプロセス等に関する情報
・本取引を行うことを選択した背景・目的等に関する情報
・当社と公開買付者との間で行われた取引条件等に関する協議・交渉の経緯に関する情報
・本公開買付けの公正性を担保するための措置に関する情報
(i)強圧性の排除
本公開買付け後の本スクイーズアウト手続においては、本公開買付けに応募しなかった当社の一般株主に対し、株式買取請求権及び価格決定請求権が認められている。そして、公開買付者によれば、公開買付者は、本公開買付け成立後、本スクイーズアウト手続実施のための臨時株主総会を早期に開催することを予定しており、また、本スクイーズアウト手続においては、本公開買付けに応募しなかった当社の一般株主に対して、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定された額が交付される予定であり、その旨がプレスリリース等で明示される予定である。
これらのことからすれば、本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会は一般株主に対して与えられており、強圧性は排除されていると解される。
(j)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に至る交渉過程等の手続は公正であると判断するに至った。
d 当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主にとって不利益か否かについて
上記a乃至cその他の事項を踏まえ、慎重に検討した結果、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、DMCから提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、DMC、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、大和証券に当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年11月6日付で本株式価値算定書を取得いたしました。なお、大和証券は、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本特別委員会において、大和証券の独立性に問題がないことが確認されております。
大和証券は、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、当社は、2024年11月6日付で大和証券より本株式価値算定書を取得いたしました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :1,564円~1,828円
類似会社比較法:1,381円~2,993円
DCF法 :2,711円~3,923円
市場株価法では、2024年11月6日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値1,565円、直近1ヶ月間の終値単純平均株価1,564円、直近3ヶ月間の終値単純平均株価1,623円及び直近6ヶ月間の終値単純平均株価1,828円を基に、当社株式1株当たりの価値の範囲を1,564円~1,828円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社として、日本航空電子工業株式会社、ヒロセ電機株式会社、イリソ電子工業株式会社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて、当社株式の株式価値を算定し、当社株式1株当たりの価値の範囲を1,381円~2,993円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した事業計画を基に、2024年12月期から2027年12月期までの4期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2024年12月期第4四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を2,711円~3,923円までと分析しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)を採用し、7.25%~8.56%を使用しており、継続価値の算定にあたっては定率成長モデルを採用し、永久成長率を0.50%~1.50%として算定しております。
大和証券がDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、計画期間中、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年12月期、2026年12月期ともに、MEMS事業、バイオデバイス事業及びエネルギー事業等の新規事業における需要拡大、量産体制の確立による売上高の増加を見込んでおり、その結果として前事業年度に比べて営業利益の大幅な増益が見込まれております。また、フリー・キャッシュ・フローにおいても、大幅な変動を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年12月期において量産体制拡大に係る設備投資が行われることが予定されており、2027年12月期においては、前期比で設備投資額が減少することで、フリー・キャッシュ・フローは大幅な増額を見込んでおります。
また、当該財務予測は、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、本取引の実施を前提としたものではなく、上記「1.株式併合の目的及び理由」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果を含んだものではありません。
(単位:百万円)
|
項目 |
2024年12月期 (3ヶ月) (注1) |
2025年12月期 |
2026年12月期 |
2027年12月期 |
|
売上高 |
15,609 |
66,420 |
73,051 |
80,585 |
|
営業利益 |
397 |
4,132 |
5,785 |
7,211 |
|
EBITDA |
1,872 |
11,640 |
13,512 |
14,871 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
2,134 |
△4 |
689 |
3,134 |
(注1)第3四半期会計期間以降の2024年10月1日から2024年12月31日までです。上記の財務予測は、当社が2024年11月7日に公表した「通期業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の2024年12月期通期連結業績予想を考慮したものであります。
大和証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等をそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。大和証券の算定は、2024年11月6日までの上記情報を反映したものです。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして北浜法律事務所を選任し、同事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、北浜法律事務所は、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。加えて、北浜法律事務所に対する報酬は、時間単位の報酬のみとしており、本取引の成立等を条件とする成功報酬は採用しておりません。また、本特別委員会において、北浜法律事務所の独立性に問題がないことが確認されております。
④ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除する観点から、公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制(当社経営企画部及び財務統括部に所属する従業員の合計6名を主要なメンバーとする体制)を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、本特別委員会の承認を受けた上記体制に基づき、公開買付関連当事者との間で利害関係を有する者について、当社株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成や、当社とDMCとの間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与させないこととしております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制は北浜法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
当社は、大和証券より取得した本株式価値算定書、北浜法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に検討いたしました。その結果、上記「1.株式併合の目的及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、本公開買付けについて、(a)本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、成果を得る時期を説明し難い研究開発への多額の投資を含むより踏み込んだ施策を、よりスピード感をもって実施することにつながり、当社の企業価値の向上に資するものである、(b)本公開買付価格は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年11月7日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計10名のうち、小西玲仁氏を除く取締役9名(監査等委員である取締役5名を含みます。))の全員一致で本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。
なお、小西玲仁氏は公開買付者の完全親会社であるDMCの取締役であり、かつ、本公開買付け成立後も継続して当社の経営にあたる予定とのことであって、本取引に関し、当社との間で利益相反関係が存在することから、上記取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場において、DMCとの協議及び交渉に参加しておりません。
なお、かかる当社取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続を実施することにより当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、買付け等の期間として法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を最短の法定期間より比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
なお、本特別委員会は、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続等を含みます。)については、情報管理の観点等から実務上の問題があることを踏まえ、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはない旨の判断をしております。
4.株式併合がその効力を生ずる日
2025年3月12日(予定)
以 上