文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
パーク24グループ(以下、「当社グループ」)は、グループ理念に「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」を掲げております。日常に当たり前にある「快適さ」や、世の中になかった新しい「快適さ」を届けることで、そこに住み、そこに生きる人々や街、社会が、より豊かに、より魅力溢れるものになるよう挑戦を続けていくことで、お客様との相互理解を深め、人々に、時代に求められている「快適さ」を実現してまいります。同時に、環境課題や社会課題の解決に資する事業展開や取り組みを推進することで、社会の持続的発展に貢献してまいります。
当社グループが、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献するためには、駐車場事業及びモビリティ事業の規模の拡大とサービスの拡充・進化が重要であることから、高い成長性と収益性の確保が経営課題であると認識しております。そのため、最も重視する経営指標に経常利益成長率を掲げ、2桁成長の継続を目指しております。
また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことにより2020年10月期から2期連続で当期純損失を計上し、株主資本比率は大きく棄損しました。これを受けて、2022年4月12日に海外募集による新株式を発行、2022年10月期に3期ぶりに黒字化を達成し、2023年10月期も着実に利益を積み上げてきたことで、株主資本比率は一定の水準まで回復しております。引き続き、財務の健全性を図ることが経営の重要課題と認識し、財務指標として2025年10月期末に株主資本比率30%を目標としております。
短期的な経営環境については、新型コロナウイルス感染症の影響が緩やかとなり、経済活動の持ち直しの動きがみられる一方で、資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融政策による急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が継続すると見込んでおります。
中長期的な経営環境については、温暖化による気候変動、世界の人口増加や国ごとの人口構成変化による行動様式の変化、デジタル革命の進行、テクノロジーの急激な進化等が加速度的に進行していくものと考えております。このようなマクロ環境認識のもと、当社グループにおけるリスクと機会を整理し、優先的に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。当社グループは、サステナビリティへの取り組みが社会全体及び当社の持続的な企業価値向上に貢献するものと考えております。今後も、国際基準に基づき、本業を通じた持続可能な社会の実現のため、5つのマテリアリティに資する取り組みを推進してまいります。
<5つのマテリアリティ>
① 持続可能な地球環境への貢献
② 安全なモビリティ・交通インフラサービスの提供
③ 快適な社会を実現するイノベーション
④ 企業成長に必要な多様な人財の活躍推進
⑤ 強固な経営基盤の確立
中期的な事業戦略の軸としては、当社グループが有する人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の「4つのネットワークの拡大とシームレス化」を推進していきます。
<4つのネットワークの拡大とシームレス化>

「4つのネットワーク」のうち、1つ目の駐車場については、国内外ともに安定的に駐車場を開発することでネットワークの拡大を図ります。特に国内の駐車場は慢性的に不足しており、需給ギャップが大きいため、駐車場の開発は十分にできる環境にあると認識しております。また、お客様の利便性の向上に向けて、駐車場の入出庫や支払いがストレスなくスムーズにできる次世代駐車場サービスの開発にも取り組んでおります。海外においては、英国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾で駐車場事業を展開しており、各地域ともに国内同様、駐車場ネットワークの拡大と駐車場サービスの開発に努めております。海外事業の中核となる英国、豪州においては、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオを最適化し、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。
2つ目のモビリティについては、カーシェアリングサービスとレンタカーサービスを融合した新しいモビリティサービス「タイムズカー」の車両数・貸出拠点数の拡大を図ります。タイムズカーは、お客様が借りたい時間に、借りたい場所で、借りたいタイプのクルマを、借りたい期間だけ借りることができる便利なサービスであるため、会員数・稼働ともに順調に伸長しており、今後も引き続き大きく成長が可能なサービスであると認識しております。
3つ目のお客様の目的地となる街においては、キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やすことで加盟店とお客様、両者の快適さを実現すると同時に、街(目的地)のネットワーク拡大を図ってまいります。
4つ目の会員においては、クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービスが拡大することで利便性が向上し、使いやすいサービスの提供により、法人・個人ともに会員規模の拡大を図ってまいります。
「シームレス化」においては、デジタル投資によるグループサービス利便性の向上のため、各種サービスのスマートフォンアプリ機能の高度化や連携強化によるお客様の利便性向上、時間貸しや予約貸し、月極、タイムズカー配備等、スペースの最適化を図ることで駐車場の収益性の向上、また業務プロセスなど事業基盤の刷新によるコスト削減及び効率化を推進してまいります。
<シームレス化のためのデジタル投資>
「①利用者戦略」「②サービス提供刷新」「③管理基盤の再構築」を推進

これらの取り組みにより、中期的な目標として国内駐車場100万台、タイムズカー10万台、タイムズクラブ会員1,000万人を掲げております。なお、タイムズクラブ会員1,000万人については、2023年1月に達成いたしました。
当社グループは、世界各地で駐車場を含めたモビリティサービスを提供する企業として、収益性においてはもちろん、サービス面においても世界No.1の企業となるべく持続的成長を図るとともに、企業の社会的責任を果たすことで企業価値の向上に努め、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。
当社グループの理念である「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」に向けた成長を加速するため、以下を中長期的な会社の経営戦略に基づく対処すべき課題と認識しております。
① 環境課題への対応
気候変動への対応がグローバルに求められる経営環境の中、当社グループが運営する駐車場事業及びモビリティ事業は、電気自動車(以下、EV)及びEV充電器の主要な提供元のひとつとして注目を集めています。駐車場事業においては、EVの普及動向に注視しながら、駐車場へのEV充電器の設置を推進し、モビリティ事業におきましても、同様にEVの普及動向に注視しながら、モビリティサービスへの導入を推進してまいります。
また、当社は、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、気候変動問題に関する情報開示の質と量の充実を図っております。今後も、大きく変化する市場及び社会環境を見定めながら、具体的な取り組みを推進することで、環境負荷低減に貢献してまいります。
② 安定したサービスの提供
当社グループは、駐車場サービス及びモビリティサービスは社会インフラとしての側面も持ち合わせていると認識しております。そのため、各サービスが安定的に供給できるよう、グループで一元管理できる運用体制の構築に加え、品質を維持するための厳格なルールを制定して事業を推進しております。
さらに、当社グループは、システムを通じてお客様へのサービス提供を行っております。そのため、システムにおいては十分な設備投資並びに人財の育成・採用等を行うことで安定稼働に努めてまいります。
③ 4つのネットワークの拡大
当社グループは、4つのネットワークである「人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場」それぞれの規模を拡大することで、お客様により快適に当社グループのサービスをご利用いただく環境を構築してまいります。そのため、それぞれのネットワークにおける開発力やサービス提案力等、営業力の強化に加え、事業データ分析やデータマーケティング等においてICTの活用も推進してまいります。
④ グローバルな事業展開
当社グループは、2006年にアジア、2017年にM&Aによってオセアニアと欧州に駐車場事業を拡大いたしました。2017年にグループ化したSECURE PARKING PTY LTDとNATIONAL CAR PARKS LIMITEDにおいては、グループ理念の浸透を推進し、持続的成長に向けた意識の共有を図ってまいります。
さらに、事業基盤の整備と強化並びに事業拡大による収益性の改善と向上が喫緊の課題と認識しております。そのため、駐車場の管理及び運営体制の改善、新しいサービスの展開による新規マーケットへの参入等を強力に推進することで課題の解決に注力してまいります。また、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの最適化を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。
⑤ シームレス化
当社グループは、事業資産を有機的につなげることで、新しい価値を創造すると同時に、お客様に当社グループのサービスをより簡単に、便利にご利用いただく快適な環境を提供してまいります。そのため、シームレス化においては、デジタル投資を強化することで、各種サービスのスマートフォンアプリ機能の高度化や連携強化によるお客様の利便性向上、時間貸しや予約貸し、月極、タイムズカー配備等、スペースの最適化を図ることで駐車場の収益性の向上、また業務プロセスなど事業基盤の刷新によるコスト削減及び効率化を推進してまいります。
⑥ 多様な人財育成と働きがいのある環境の創出
当社グループは、従業員がお客様へ提供するサービス価値の多くを生み出しており、その持続的発展のためには、人財の育成と採用及び働きがいのある環境の創出が不可欠と考えております。商品やサービスが厳しく選別される時代において、従業員は企業の競争優位性を決定づける大切な経営資本であることから、人財ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割を十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人財」を掲げ、多様性を尊重した人財育成及び採用に努めております。
⑦ 健康経営の推進
当社グループは、幅広い年代の従業員が心身ともに健康に活躍できる労働環境を整備するために「健康経営宣言」を表明しております。従業員とその家族の健康保持増進が当社グループにおける経営戦略上の重要課題であると考え、健康経営の視点を取り入れることで、従業員が心身の健康づくりに主体的・積極的に取り組める環境を提供し、パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指しております。
⑧ 財務の健全性強化
当社グループは、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を大きく受けたことにより2020年10月期から2期連続で当期純損失を計上しました。これに対し、感染症の収束を見据えた成長投資のための長期性資金を確保すると同時に、財務の健全性を維持・向上させることを目的に、劣後特約付シンジケートローンによる資金調達を2020年12月30日に実行いたしました。また、2022年4月12日に海外募集による新株式を発行、2022年10月期に3期ぶりに黒字化を達成し、2023年10月期も着実に利益を積み上げてきたことで、株主資本比率は一定の水準まで回復しております。引き続き、財務の健全性を図ることが経営の重要課題と認識し、財務指標として2025年10月期末に株主資本比率30%を目標としております。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループの持続的成長による企業価値の向上を実現するためには、経営基盤強化としてコーポレート・ガバナンスの強化が重要と考えております。そのため、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全性、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、全てのステークホルダーからの信頼の向上につなげてまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、取締役会において、サステナビリティ基本方針を以下のとおり定めております。
“パーク24グループは、グループ理念「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」のもと、社会価値(社会課題解決への貢献)と経済価値(企業価値の向上により生み出される利益)の同時創造を行うことで持続可能な社会の実現を目指します。その取り組みに際しては、多様なステークホルダー(お客様・従業員・株主・投資家・取引先・行政・地域社会など)と責任のある対話を通じて、社会からの要請を的確に把握し、適切な対応を行うことで社会への責任を果たしてまいります。”
当社グループは、本方針のもと将来にわたって、駐車場事業及びモビリティ事業を拡大・成長させることで経済価値を持続的に創出しながら、各事業活動そのものが環境・社会課題の解決により密接につながるように取り組みを進め、交通インフラサービス企業として、人々の移動をより快適にするサービスを提供し続けるとともに、環境・社会課題の解決を図ることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① ガバナンス及びリスク管理
当社グループは、気候変動を含む環境・社会に係る機会及びリスクへの対応方針・目標と進捗状況については取締役会で定期的に監督しております。また、気候変動を含む事業リスクについては、当社グループのリスク管理の一環として、主にリスク管理委員会で監督しております。気候変動に関する目標とその進捗状況については、当社の経営企画部門が主管となり、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会、グループ各社と連携することで推進しております。
<サステナビリティの推進に関するガバナンス及びリスク管理体制>

サステナビリティ委員会は、環境・社会課題の解決に向けたサステナビリティ方針や戦略の策定、目標とすべき指標等について審議及び設定を行い、グループ横断的な取り組みを遂行しております。サステナビリティ委員会は、「環境」「人権・労働」「サプライチェーン」「浸透」の4分科会を下部組織として設置し、毎月開催されるサステナビリティ委員会での検討事項の具体的な企画・推進を行うとともに、グループ各社・各部門との連携を図っています。サステナビリティ委員会における審議や進捗状況については、取締役会に適宜報告及び提言を行っております。なお、サステナビリティ委員会は、当社取締役を委員長とし、委員はその目的に照らし、取締役会が適切と認めて選任したメンバーで構成されております。
リスク管理委員会は、全社的なリスク管理体制として、代表取締役及び役職員をもって構成しており、リスク管理最高責任者は代表取締役が務めております。リスク管理委員会は、グループ経営に影響を及ぼす可能性のある気候変動関連問題を含むサステナビリティに関連するリスクを一覧化したリスクマップを作成し、重要リスクについては、モニタリングを実施し、定期的に特定リスクの追加・変更、評価、優先ランク付けの見直し等を実施の上、その結果を取締役会に報告することで、これらリスクの対処・予防にあたっております。リスクが顕在化した際は、その影響の最小化を図ることにより、事業の安定的な継続と企業価値の向上を実現するために重要な役割を担っております。
なお、サステナビリティに関するリスクについては、当社グループのリスク管理に統合されているため、詳細は
② 戦略及び指標と目標
当社は、2021年12月の取締役会において、当社グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、5つのマテリアリティ(重要課題)の特定と、サステナビリティに関する中長期目標を設定いたしました。中長期目標につきましては、当社グループを取り巻く市場環境や、事業の進捗状況に合わせて見直しを行い、5つのマテリアリティ(重要課題)の解決を目指してまいります。
<5つのマテリアリティ(重要課題)とサステナビリティに関する中長期目標>

(3) 気候変動に関する開示
当社グループは、2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同を表明し、TCFDが提言する情報開示フレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行っています。今後、シナリオ分析結果を踏まえた、気候変動に関するガバナンスや事業戦略のさらなる強化を目指すとともに、情報開示の拡充を進めてまいります。
① ガバナンス及びリスク管理
気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は「(2) サステナビリティ全般に関する開示 ①ガバナンス及びリスク管理」に記載のとおりです。
② 戦略
当社グループは、営業利益の大半を占める駐車場事業国内とモビリティ事業の2事業を対象として分析を行い、分析対象年度は2050年時点としています。また、シナリオはIPCCやIEAなど、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考にし、「脱炭素シナリオ(1.5℃〜2℃シナリオ)」と「温暖化シナリオ(2.7℃〜4℃シナリオ)」を採用いたしました。なお、駐車場事業海外については、今後の検討課題と認識しております。
前提条件とシナリオ設定に基づきシナリオ分析を実施し、気候変動が当社グループに与えるリスクと機会を特定して、収入及び費用へのインパクトを評価し、対応策を検討しています。詳細は以下の当社企業サイトをご参照ください。
<
③ 指標と目標
当社グループは、2021年12月に5つのマテリアリティを特定すると同時に、サステナビリティに関する中長期目標を設定いたしました。気候変動(環境)に関する目標の詳細につきましては、「(2) サステナビリティ全般に関する開示 ②戦略及び指標と目標」をご参照ください。
当社グループは、従業員は企業の資本(人的資本)であり、従業員の成長と企業の成長は相互関係にあることから、両方を実現することで持続的に企業価値を向上できると考えています。そのため、2021年12月に特定したマテリアリティのひとつに「企業成長に必要な人財の活躍推進」を設定しました。さらに、当社グループの中期事業戦略である「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大とシームレス化」を推進するためには従業員の力が必要不可欠であることから、中期事業戦略と連動する「パーク24グループ人財戦略」を策定しました。経営戦略に基づいて策定した人財戦略により人的資本の最大化を推進することで、持続的な事業成長や新たな価値創造の実現が可能となり、中期事業戦略の達成、ひいては持続的な企業価値の向上に寄与するものと考えています。
① ガバナンス及びリスク管理
当社グループの人財戦略やそれらを推進するための人事制度、組織等に関する重要な事項については当社取締役会で審議・監督しております。また、人財戦略の推進は当社人事主幹部門及びグループ各社の人事担当部門が担っております。人財マネジメントに係るリスク管理につきましては、人事主幹部門及びリスク管理委員会でモニタリングの上、取締役会に報告されます。
② 戦略
<人財戦略の全体像>
当社グループは、グループDNA「挑戦、情熱、革新、誠実」を最も大切な価値観とし、グループ理念を実現するための人財ビジョン・行動指針を受け継ぎながら行動することで、独自の強みを磨き上げてまいりました。当社グループは、これら人財の基本的な考え方を基盤として、多様な人財一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働くことで組織が強くなり、中期事業戦略「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大とシームレス化」の達成につながると考えております。当社グループでは、中期事業戦略の達成により、持続的な事業成長と新たな価値創造による企業価値の向上を実現するため、「人財」と「組織」を強化し人的資本の最大化を図るための人財戦略を策定しております。

<人財の強化(人財育成方針)>
当社グループは、従業員は価値創造の源泉となる重要な資本であり、企業の持続的成長には従業員一人ひとりの成長が必要不可欠という考えのもと、既存事業の拡大に加え、次世代サービスや新規事業の担い手となる多様な人財確保のために、「採用の強化」「研修の拡充」「自律的キャリア形成支援」を軸に人財育成の強化を図っております。これらの取り組みにより、新規性のある事業やサービスを発想・実現することができるイノベーション創出人財や、専門的知見をもとに事業価値を高めることができるスペシャリスト人財の確保に努めてまいります。
<組織の強化(社内環境整備方針)>
当社グループは、多様な人財が働きがいを持ち、個人が持てる個性を最大限発揮することで期待される役割を十二分に果たすためには、働きやすい環境が重要であると考えています。さらに、働きやすい環境に重要な要素は風土と制度であることから、「DEI推進」「働きやすい環境・制度の整備」「健康増進」を軸に重点的に取り組みを進め、組織の強化を図ってまいります。
③ 指標と目標
当社グループは、2021年12月に5つのマテリアリティを特定すると同時に、サステナビリティに関する中長期目標を設定いたしました。人的資本、多様性(社会)に関する目標の詳細につきましては、「(2) サステナビリティ全般に関する開示 ②戦略及び指標と目標」をご参照ください。
当社グループは、物理的、経済的もしくは信用上の損失又は不利益を生じさせる可能性のあるものとして「戦略リスク」、「外部環境リスク」、「財務リスク」、「ハザードリスク」、「オペレーショナルリスク」を定め、リスクに強靭な企業グループとして事業を継続できるよう、適切なリスクマネジメントを実施しております。
グループ全体のリスク総括のために代表取締役社長をリスク管理最高責任者とし、コンプライアンス統括責任者を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、グループ全体の主要なリスクを俯瞰的に把握し適正なリスク管理に努めております。
当社グループが、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクの概要は以下のとおりです。なお、以下の事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであり、その内容には将来に関する予測も含まれていることから、これらの事項は現実とは合致しない可能性もあります。また、以下に記載されていない他の事項が当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。
① 駐車場解約リスク
当社グループの主力事業である駐車場事業国内は、土地や施設を保有せずに土地や駐車場施設等のオーナー様から、賃貸借契約に基づいてそれらを借り受けるサブリース型駐車場が事業の大宗を占めております。多くの賃貸借契約の解約が発生した場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
サブリース型駐車場のうち、主に土地オーナー様から平地を借り受ける「スタンダード」においては小規模駐車場の開発を、施設付帯のお客様用駐車場を借り受ける「パートナーサービス」においては当社グループの各サービスと連携することで解約されにくい駐車場の開発を推進し、事業基盤の安定化を図っております。
② 地価上昇リスク
地価の上昇は、土地オーナー様の売却(解約)意向の上昇や、新規開発段階における賃料の上昇につながる可能性があり、解約率及び賃料の上昇が起こった場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地価上昇が賃料に影響を及ぼしにくいエリアでの開発を推進していることから、過去に地価上昇が賃料の上昇につながったことはなく、今後も地価上昇の影響を受けにくいエリアにおける開発を推進してまいります。
当社グループは、2017年にSECURE PARKING PTY LTDとNATIONAL CAR PARKS LIMITEDをグループ化し、現在は、英国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾で駐車場事業を展開しております。
各地域において、予期できない租税制度や法律、規制等の改正、政治的要因及び経済的要因の変動、伝染病の流行による社会的・経済的混乱、予測の範囲を超えた市場や為替レートの変動、テロ・戦争の勃発による社会的・経済的混乱等、予測の範囲を超える変化があった場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各地域において自律的な法令遵守やリスク管理が可能な内部統制を確立するとともに最適なガバナンス体制を構築することで、海外におけるリスクを早期に察知し、顕在化する前に具体的かつ適切に対処できるよう取り組んでおります。
また、英国の事業におきましては、当連結会計年度末時点において、NATIONAL CAR PARKS LIMITEDにおける当社の持分割合は51%であり、残りの持分については株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)が保有しています。DBJは、当社との個別契約に基づき、所有持分を当社に売却することができる権利(以下、プットオプション)を有しており、2025年11月以降行使が可能となります。DBJがプットオプションを行使した場合、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① サービスの安全性リスク
モビリティ車両において、車両整備に関する事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期にわたって需要が低下し、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法定点検のみならず当社グループの基準において十分な整備を行っております。
② 競合状況リスク
モビリティ事業においては、同業他社のみならずオートリース会社、タクシー会社等との間で、パーソナルモビリティ市場における品質、価格、サービス等を巡って競合状態にあり、他社の状況によっては当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、車両数及び会員数は国内のカーシェアリングサービスにおいて圧倒的なシェアを有しており、極めて利便性の高いサービス提供を行っております。今後も規模の拡大及びサービスの拡充を図ることで競争優位性を高めてまいります。
③ 中古車市場リスク
モビリティ車両の中古車市場への売却を営業サイクルの一環として行っておりますが、中古車市場の状況が急激に変化した場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、車両売却を専門に取り扱う部門を設置し、中古車市場における動向を精緻に把握し、車両売却にかかる収益の最大化を図っております。
グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保・育成できない場合は、競争優位性のあるサービスの創出が実現しない可能性があります。
当社グループは、多様な人財一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働き組織が強くなることでパーク24グループの中期事業戦略の実現につながり、企業価値が向上する好循環を生むための人財戦略を策定しました。さらに、人財ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割を十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人財」を掲げ、多様性を尊重した人財育成に努め、その結集としての組織力強化を図っております。また、グループ経営を推進する人財の育成に向けて、持続的な企業成長を推進するトップ及びミドルマネジメント層のリーダーシップ強化に取り組んでおります。
世界的あるいは特定の地域における景気減速は個人消費の減少や交通量の低下をもたらします。その結果、駐車場やモビリティサービスの需要が低下し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストが上昇し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、世の中になくてはならないサービスとして、使いやすさや便利さを強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。
当社グループは、国内で事業を遂行していく上で、駐車場法、道路交通法、道路運送法等様々な法的規制の適用を受けております。また、海外事業を展開していく上でも関係する法律、規制等の適用を受けております。これらの法律、規制等が変更された場合、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合、当社グループの事業や経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ内のみならず、お取引先様を含めた当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権を侵害する行為が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜やブランド価値の毀損等が生じ、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、国際労働機関(ILO)の宣言、国連グローバル・コンパクトの原則などに沿って当社グループの「人権方針」を定めました。また、当社グループは「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った事業運営を行っており、社内においては、人権に関する従業員教育や啓蒙活動、経営レベルの会議体における定期的なモニター等を実施するとともに、必要に応じて、社外関係先に対しても、直接的に確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。
当社グループが運営する事業領域にかかる次世代技術の進展・普及とお客様の環境意識の高まりにより、大量にEVやEV充電器の導入が必要になった場合、設備投資コストやEV関連固有の管理コストが増加する可能性があります。さらに、今後エネルギー需要の変化等により燃料価格が高騰した場合、モビリティ事業の運営コストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。政策・規制面においては、温室効果ガス排出への課税等、費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が進んだ場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、環境負荷軽減への取り組みが不十分な場合には、当社グループの社会的な評価が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
喫緊の課題である気候変動に関しては、環境負荷低減に向けて気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同と情報開示を行うことで、お客様やお取引先様をはじめ、全てのステークホルダーの皆様と連携して取り組んでまいります。なお、TCFD提言に沿った情報は、当社企業サイトにて開示しています。
当社グループの事業資金は、銀行借入・社債発行等により調達を行っております。今後、当社グループの事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制・金融政策及び政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難又は不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。そのため、為替相場の急激な変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、債務償還額の平準化及び債務の長期化や支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動などの資金調達にかかるリスクを抑制する方針をとっております。
地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火等により、駐車場及びモビリティ車両が毀損した場合や管理センター等の設備が壊滅的な損害を被った場合、お客様へのサービス提供が困難になると同時に修復・買替等に多額の費用が発生する等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、駐車場やモビリティサービスの展開地域の分散を図ると同時に、これらの被害を軽減又は防止するために様々なBCP(事業継続計画)を講じております。
重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客様の外出自粛、従業員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、感染症拡大予防に向けてガイドラインに基づき取り組んでおります。特に、モビリティ事業の運営にあたっては、定期的な車内除菌清掃を行っているほか、お客様ご自身でも車内除菌ができるよう除菌グッズを車内に設置しております。従業員に対しては、各拠点で健康と安全を確保するため、感染拡大状況に応じて事業所在席率の目安を適宜設定し、時差出勤や在宅勤務等が柔軟にできる体制を整えるとともに、オンライン会議や電話会議を活用することで不要な移動や接触を控える等、感染拡大防止を徹底し適切な事業運営ができるよう必要な措置を講じております。
当社グループは、お客様へのサービス提供及びそれらに付随する業務等、ICTシステム依存度が高い事業を展開しており、今後の事業展開において、その重要度はさらに高まります。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークへの重大な障害が発生した場合、事業運営の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
情報の取扱い等に関する行動規範を定めるとともに、サイバーセキュリティを強く意識し、その脅威に対応するため、「情報システム構築運用統制規定」を定めて運用体制を構築し、定期的に点検、改善を行うことでセキュリティ対策とリスク管理に努めています。また、自然災害のリスク回避においては、データセンターの設置エリアを分散させることでそのバックアップ機能及びサービスの安定稼働等を担保しております。
当社グループは、会員制ポイントプログラム「タイムズクラブ」やモビリティサービス「タイムズカー」等の会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められております。
不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、情報管理者への教育・研修による情報管理の重要性の周知を徹底するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じております。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施しております。
当社グループのお取引先様において、法令違反や人権侵害等に関連する問題等が生じた場合、当社グループへの供給停止、納入遅延、又は発注元である当社グループの企業イメージ低下を招き、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取引に際して、都度評価・選定を行うとともに、新規取引開始時には、基本契約書において当社グループの調達ガイドラインに沿った事業活動にご協力いただくことを定め、取引開始後はアンケート調査を通じてお取引先様とコミュニケーションを強化することで、安定調達に努めております。
当連結会計年度(2022年11月1日~2023年10月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響が緩やかとなった一方で、資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融政策による急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が継続しております。日本経済においては、感染症の影響が緩やかとなり、資源・エネルギー価格の高騰や円安進行による物価上昇はあるものの、個人消費や企業の設備投資を中心に持ち直しがみられ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような環境下において、当社グループは、中期事業戦略として掲げる「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大とシームレス化」のもと、「ネットワーク拡大への回帰」、「デジタル化の推進」に重点的に取り組んでまいりました。「ネットワーク拡大への回帰」については、感染症禍で抑制していた事業拡大を再び拡大路線へ回帰させました。「シームレス化」については、「デジタル化の推進」を方針に掲げ、成長投資を強力に加速させました。なお、4つのネットワークの1つである「人(会員)」については、中期目標であるタイムズクラブ会員数1,000万人を2023年1月に達成いたしました。
営業概況といたしましては、国内外事業ともに外部環境の改善に加え、前連結会計年度から継続している各種施策の効果もあり、サービスの稼働は総じて堅調に推移いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の当社グループ業績は、売上高は3,301億23百万円(前期比13.7%増)、営業利益は319億86百万円(同54.7%増)、経常利益は276億73百万円(同63.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は175億42百万円(同608.2%増)となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
① 駐車場事業国内
当連結会計年度は、一時的な新規感染者数の拡大はあったものの、年度を通じて行動制限等はなく、駐車場の稼働は順調に推移いたしました。これまで感染症禍で行ってきた確実に収益化する駐車場のみに絞った厳選開発等のノウハウを活かし、エリアの状況に合った開発を行うことで収益性を維持した駐車場の拡大を図り、当連結会計年度は974件を開発いたしました。また、利便性向上に向けた取り組みとして、パートナーサービス(施設付帯の駐車場運営サービス)向けにカメラで入出庫の管理を行う駐車場の開発や、精算・決済手段を多様化することでキャッシュレス化を推進するなど、より簡単に入出庫や支払いが可能な次世代駐車場サービスの構築を進めました。
この結果、国内におけるタイムズパーキングの運営件数は17,639件(前連結会計年度末比1.4%増)、運営台数は576,262台(同4.4%増)、月極駐車場及び管理受託駐車場等を含めた総運営件数は25,379件(同0.5%増)、総運営台数は761,654台(同3.9%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,679億15百万円(前期比5.7%増)、営業利益は369億9百万円(同7.9%増)となりました。
② 駐車場事業海外
主要な展開地域のうち、英国については、駐車場の稼働は感染症禍からの回復が継続しており、総じて計画を上回る水準にて推移いたしました。豪州については、駐車場の稼働は緩やかに回復しているものの、主に都心部で想定よりも感染症禍からの回復が弱く、軟調な推移となりました。その他の地域における駐車場の稼働は順調に推移いたしました。
国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに、各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場の開発を促進・量産することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオを最適化し、事業リスクを低減させるとともに早期の黒字化に努めました。また、感染症禍で急速に進んだキャッシュレス決済への対応の推進によりお客様の利便性と満足度向上を図りました。
この結果、海外の駐車場の総運営件数は2,586件(前連結会計年度末比9.4%増)、総運営台数は538,161台(同3.9%減)となり、日本を含む全世界における駐車場の総運営件数は27,965件(同1.3%増)、総運営台数は1,299,815台(同0.5%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は694億78百万円(前期比19.8%増)、営業損失は16億9百万円(前期営業損失50億49百万円)となりました。
※当連結会計年度における海外グループ会社の連結対象期間は2022年10月1日〜2023年9月30日となります。
③ モビリティ事業
タイムズカーは、需要に合わせた増車及び適正配備のための貸出拠点の積極開設に加え、旺盛な個人の観光需要や法人の出張需要等を取り込んだほか、個人・法人ともに利用促進に向けたキャンペーン等を実施したことなどにより、会員数及び利用が順調に増加し、車両1台当たり利用料は好調に推移いたしました。また、2023年5月からはタイムズカーの法人への認知度向上及び法人会員とその利用の拡大を目的に、マスメディア等を用いた大規模プロモーションを実施しております。なお、当連結会計年度において増車した車両台数は6,985台、増加した貸出拠点数は1,885箇所と、ネットワーク拡大は順調に進捗しました。
この結果、モビリティ車両台数は60,047台(前連結会計年度末比13.2%増)、貸出拠点数は16,017箇所(同13.3%増)、会員数は2,423,817人(同18.8%増)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は982億87百万円(前期比25.5%増)、営業利益は126億55百万円(同165.2%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ117億65百万円減少し、732億99百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、481億88百万円の収入(前連結会計年度末比188億19百万円の収入の増加)となりました。主な内訳といたしましては、減価償却費を加えた税金等調整前当期純利益559億91百万円があった一方、法人税等の支払額123億74百万円があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、256億61百万円の支出(同83億4百万円の支出の増加)となりました。これは主にタイムズパーキングへの設備投資やモビリティ車両の取得などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、356億33百万円の支出(同155億17百万円の支出の増加)となりました。これは主に新株予約権付社債の発行による収入があった一方、新株予約権付社債の償還による支出や長期借入金及びリース債務の返済による支出、短期借入金の純減額があったことなどによるものです。
当社グループは、国内と海外における駐車場事業及びモビリティ事業を行っており、生産実績として表示すべき適当な指標はありません。これにかえて、セグメントの売上高及び事業規模と比較的関連性が強いと認められる国内及び海外における駐車場数・駐車能力(駐車台数)及び営業所数・車両数(台数)を次のとおり示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の売上高は前期に比べ398億69百万円増加し、3,301億23百万円(前期比13.7%増)、営業利益は319億86百万円(同54.7%増)となりました。これは、国内外事業ともに外部環境の改善に加え、前連結会計年度から継続している各種施策の効果もあり、サービスの稼働が総じて堅調に推移したこと等によるものです。売上高及び営業利益の内訳は「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
営業外収益は助成金収入が減少したこと等により前期に比べ56百万円減少し、8億27百万円となりました。営業外費用はその他の営業外費用が増加したこと等により前期に比べ5億55百万円増加し、51億41百万円となりました。この結果、経常利益は276億73百万円(同63.1%増)となりました。
特別利益において固定資産売却益を計上したことや、特別損失において減損損失を計上したこと等により、税金等調整前当期純利益は257億79百万円(同76.3%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は175億42百万円(同608.2%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5億30百万円増加し、3,081億57百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で繰延税金資産を含む投資その他の資産が36億28百万円、機械装置及び運搬具を含む有形固定資産が35億9百万円、減少で現金及び預金を含む流動資産が44億79百万円、契約関連無形資産を含む無形固定資産が20億3百万円となっております。
負債合計は、同178億43百万円減少し、2,497億41百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で1年内返済予定の長期借入金を含む流動負債が32億35百万円、減少で長期借入金を含む固定負債が210億78百万円となっております。
純資産は、同183億73百万円増加し、584億16百万円となりました。主な増加といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上が175億42百万円、為替換算調整勘定が10億18百万円となっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループは、事業活動に必要資金を営業活動によるキャッシュ・フローのほか、主に金融機関からの借入金や新株予約権付社債による調達に加え、2022年4月には、新株式発行を実行しております。
当連結会計年度においては、2023年2月に新株予約権付社債を発行し、350億円の資金調達を実行しております。この資金については、主に強固な財務基盤を構築し資金調達コストを低減しながら資金負担の平準化・分散化を目的として2019年10月に発行した2025年満期新株予約権付社債の買入償還に利用しております。
当社及び株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)は共同で、2017年7月に英国で駐車場事業を展開するNATIONAL CAR PARKS LIMITED(以下、NCP)の純粋持株会社であるMEIF II CP Holdings 2 Limitedの発行済株式の100%を取得しました。これにより、当社はNCP株式の51%を取得し、NCPは当社の連結子会社となり、DBJはその49%を取得しました。
また、相互に協力してNCPの発展に向けた事業体制を構築し、NCP、当社及びDBJが一体となって、NCPの企業価値を継続的かつ安定的に向上させることを目的として、DBJによる株式買取請求権(以下、プット・オプション)と当社による株式売却請求権(以下、コール・オプション)を定めた株主間契約を締結しております。
株主間契約の概要は以下のとおりです。
(1) プット・オプション期間
2025年11月1日から2026年2月28日まで
(2) コール・オプション期間
2020年8月3日から
(3) 想定買取価額
プット・オプション又はコール・オプションが行使された場合、当社グループはDBJが保有するNCP株式49%の全てを買い取ることになります。買取価額は、DBJの当初投資金額の円換算額を基礎として、NCPグループのEBITDA成長率を勘案した上で、一定の算式に基づき算出される上限買取価額及び下限買取価額の範囲内で決定されるメカニズムとなっております。
仮に、NCPの収益が現時点と同程度で推移し、2025年12月にプット・オプション又はコール・オプションが行使された場合、買取価額概算値は300億円程度となります。
なお、上記はプット・オプション及びコール・オプション行使のメカニズムを説明する目的で記載されたものです。これらの行使によりDBJが保有するNCP株式49%を当社が買い取ることについて、何ら決定した事実はありません。また、上記買取価額は、一定の仮定に基づく概算値です。算定の前提となる数値の変動に伴い、買取価額は今後変動する可能性があります。
特記事項はありません。