文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念、経営ビジョン、行動指針からなる理念体系の下、当社グループ全員がそれらを理解し、目標と価値観を共有して行動してまいります。優れた生産活動を通じて地域社会の秩序を守り、社会と産業界の進歩と発展に貢献することにより、ステークホルダーの皆様の期待に応え続ける企業であることを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
2015年11月期より10ヶ年の長期経営計画「Next Stage 10(NS10)」(2015年11月期から2024年11月期)をスタートし、その目標を実現するために様々な施策を実行してまいりました。その結果、早期に目標を達成できる見込みとなったことから、2018年度に目標を見直しました。また、NS10第2次5ヶ年中期経営計画(2020年11月期から2024年11月期)を新たに策定し、更なる事業拡大と高収益化を目指すこととしております。
なお、NS10第2次5ヶ年中期経営計画において、当社グループは、連結売上高及び連結営業利益率に加え、ROE(自己資本利益率)を目標とすべき重要経営指標と位置づけており、その目標を下記のとおり設定しております。
(注)上記目標値はいずれも収益認識会計基準等適用前の数値であります。
(3) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、製品の徹底した品質管理と安全性の確保を第一に、販売の強化と生産コスト及び経費の削減を行い、高度な研究開発力を更に強化し新規製品開発に取り組み、全社での製品生産体制の合理化と業績の向上を目指し、一層の財務内容の健全化を進める所存であります。また、NS10第2次5ヶ年中期経営計画を実現すべく、各セグメントは以下の諸施策を実行してまいります。
<化成品事業>
製品の統廃合を進め、採算性の向上を図ってまいります。また、市場競争力のある製品、市場拡大が期待される用途の製品においては、販売体制のグローバル化を推進し、海外顧客向けの販売拡大に努めてまいります。UVインクジェット等、現時点で特に注視している分野においては、研究開発にも大きくリソースをかけて対応し、シェアの拡大を目指してまいります。
<電子材料事業>
表示材料においては、既存製品の収益を確保しつつ、マイクロLED等の次世代材料、配線材料等の周辺材料へ展開し、ミクロンオーダーのレジスト、コーティング市場をターゲットとして開拓を進めてまいります。
半導体関連材料においては、ArFレジスト用モノマー等の既存材料のシェア拡大に努めながら、次世代のEUVレジスト用モノマー、及び、周辺材料などの新規分野への参入を目指してまいります。
<機能化学品事業>
化粧品分野においては、機能性を付与したスキン用化粧品原料の開発と上市を進め、グローバルな視野で販売の拡大を目指してまいります。機能材料分野においては、既存品の安定供給体制を維持しつつ、新規塗料用材料、超親水性コーティング材、先端医療材料等の新規開発および早期上市を目指してまいります。
<新規事業>
特殊アクリルをベースに新しい価値を創造し、大阪有機の未来を担う新製品の開発に取り組んでおります。センサ・IoT関連分野、ロボティクス分野など、近い未来において急拡大が見込まれる市場に向けた材料開発に、特に注力してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現時点で各事業の業績に重要な影響を与えるものはないと判断しております。
しかしながら、当社及び子会社の企業活動、生産活動に支障をきたした場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があることから、各事業拠点での感染防止策を徹底し、事業活動を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症再拡大等の影響を受けながらも、経済活動の制限から抜け出しつつあり、景気は緩やかな回復基調となりました。先行きにつきましては、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動、長期化するウクライナ情勢等、依然として不透明な状況が続くと考えられます。
このような状況の下で当社グループは、2020年11月期より、長期経営計画「Next Stage 10」の後半となる、第2次5ヶ年中期経営計画をスタートさせ、その目標達成に向けて、各種施策に取り組んでおります。化成品事業におきましては、選択と集中による製品の新陳代謝を図り、採算性の向上に努めるとともに、グローバルに市場が拡大するUVインクジェットプリンター向け特殊インク用原料の拡販に注力いたしました。電子材料事業におきましては、次世代半導体材料開発の強化によるトップシェアの確保及び新規ディスプレイ材料の拡販に努めてまいりました。機能化学品事業におきましては、機能性ポリマーの開発を促進するとともに、化粧品原料や高純度特殊溶剤の拡販に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は322億3千6百万円(対前年同期比-%)、営業利益は59億3千4百万円(対前年同期比1.4%増)、経常利益は63億6千5百万円(対前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億2千5百万円(対前年同期比5.5%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これにより、従来の会計処理方法に比べて、売上高が52億3千万円減少し、売上原価が52億3千1百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益が1百万円増加しております。また、売上高の前期比につきましては記載を省略しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント間取引を含んでおりません。)
化成品事業におきましては、アクリル酸エステルグループは、自動車減産の影響により自動車用塗料向けの販売が低調に推移し、ディスプレイ用粘着剤向けの販売も減少に転じる中、UVインクジェット用インク向けの販売は堅調に推移いたしました。メタクリル酸エステルグループは、販売が堅調に推移いたしました。この結果、売上高は110億3千9百万円(対前年同期比-%)、セグメント利益は8億1千3百万円(対前年同期比13.3%減)となりました。
電子材料事業
電子材料事業におきましては、半導体材料グループは、主力であるArFレジスト用原料の販売が引き続き好調に推移いたしました。表示材料グループは、テレワークやリモート授業などによるディスプレイの需要の反動減により販売は低調に推移いたしました。この結果、売上高は152億2千万円(対前年同期比-%)、セグメント利益は38億円(対前年同期比10.8%増)となりました。
機能化学品事業
機能化学品事業におきましては、化粧品原料グループは、販売が海外で好調に推移いたしました。機能材料グループは、受託品の販売が低調に推移いたしました。子会社の高純度特殊溶剤の販売は好調に推移いたしました。この結果、売上高は59億7千6百万円(対前年同期比-%)、セグメント利益は12億9千9百万円(対前年同期比12.8%減)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べて29億6千8百万円増加し、528億3千6百万円となりました。主として現金及び預金の減少18億2千9百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)の増加7億6千9百万円、原材料及び貯蔵品の増加7億3千万円及び有形固定資産の増加28億6千1百万円などによるものです。
当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べて6億9千9百万円増加し、114億4千2百万円となりました。主として支払手形及び買掛金の増加3億2千9百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加10億3千5百万円、未払金の減少3億3千2百万円、未払法人税等の減少5億7千9百万円及び長期借入金の増加2億4千1百万円などによるものです。
当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ22億6千9百万円増加し、413億9千4百万円となりました。主として利益剰余金の増加38億5千7百万円及び自己株式の増加16億9千万円などによるものです。
有利子負債(社債・短期借入金・長期借入金)は、長期借入金の借入等により前連結会計年度に比べ13億2千7百万円増加し、株主資本は、利益剰余金の増加等により21億6千8百万円増加した結果、デット・エクイティ・レシオ(有利子負債/株主資本)は、9.2%(前年同期は6.1%)となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の77.5%から77.3%へと0.2ポイントの減少となりました。なお、1株当たり純資産額は、1,893.39円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により獲得した47億2千7百万円から、投資活動に48億5千2百万円投資し、財務活動において15億6千4百万円減少となったことなどにより、15億2千9百万円減少し、80億6千4百万円(対前年同期比15.9%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益68億9百万円、減価償却費22億8千4百万円、棚卸資産の増加額15億7百万円及び法人税等の支払額26億4千7百万円などにより、47億2千7百万円の増加(前年同期は58億3千7百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、48億5千2百万円の減少(前年同期は10億4千3百万円の減少)となりました。これは、主に設備新設等に伴う有形固定資産の取得による支出55億円及び有形固定資産の売却による収入4億3千4百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、設備新設資金等の長期借入れによる収入23億円、長期借入金の返済による支出10億2千2百万円、自己株式の取得による支出17億1千3百万円及び配当金の支払額11億4千2百万円などにより、15億6千4百万円の減少(前年同期は18億3千万円の減少)となりました。
当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っているすべての負債を対象としております。
当社及び子会社は原則として見込生産を行っております。また、生産実績につきましても当社及び子会社の製品は多種多様にわたり、同種の製品でも仕様が一様でなく、通常の取引の単位が大幅に異なるものが混在するため、金額及び数量表示は妥当性を欠くので記載を省略いたします。
b. 販売実績
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用しており、販売高の前年同期比につきましては記載を省略しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
4 前連結会計年度における日本レジン株式会社への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の事項・項目が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、各顧客の厳格な品質要求に対応した製品供給が求められるとともに、品質要求充足後も顧客による長期の製品検証プロセスを経て販売が可能となる製品があります。また、多品種を少量販売する事業であるため、生産効率の観点から一定の見込み生産を行い、長期間をかけて製品を販売する特性もあります。そのため、製品の滞留が発生する他、最終製品に至る中間生産品として在庫する仕掛品や特定製品の製造のために保有する原材料及び貯蔵品についても滞留が発生します。長期滞留の棚卸資産の評価にあたって、一定の滞留期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切り下げるとともに顧客による製品検証プロセスの経過期間や進展状況を継続的に把握する他、滞留期間や需要動向等の外部環境の変化を勘案して貸借対照表価額を算定しております。棚卸資産の評価にあたっては信頼性をもって見積もっておりますが、顧客による製品検証プロセスの進展状況や外部環境に重要な変動が生じた場合には、損益に影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識及び測定を行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。将来の市況悪化や事業計画の変更等があった場合、減損損失を計上する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産については、事業計画等を考慮して将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討の上、回収可能額を計上しております。市況悪化や事業計画の変更等により将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産を取り崩し、当該会計期間において税金費用が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
当社グループの保有する株式について、時価のある有価証券は、連結会計年度末における時価が取得原価の50%以下に下落したときに、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。また、連結会計年度末における時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満であるときは、回復可能性があると認められる場合を除き、連結会計年度末以前1年間の時価の推移等を勘案して、減損処理を行っております。時価のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化等により実質価値が著しく低下した場合には、回復可能性があると認められる場合を除き、必要と認められた額について減損処理を行っております。
(退職給付に係る資産及び負債)
当社グループは、数理計算上で設定される前提条件に基づき退職給付に係る資産及び負債並びに退職給付費用を計上しております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
a. 財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上高と営業利益)
当連結会計年度における売上高は、電子材料事業の半導体材料グループで需要が好調に推移したこと等により、322億3千6百万円(前連結会計年度比-%)となりました。
当連結会計年度における営業利益は、原油価格高騰により原材料費が上昇したものの、上記の要因等により、59億3千4百万円(前連結会計年度比1.4%増)となり、営業利益率は18.4%(前連結会計年度16.7%)となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度にあった補助金収入がなくなった一方で、受取配当金や為替差益の増加、保険解約返戻金等により前連結会計年度より4千4百万円増加し、4億5千2百万円となりました。営業外費用は、自己株式取得費用等により前連結会計年度より1千4百万円増加し、2千1百万円となりました。
その結果、当連結会計年度における経常利益は63億6千5百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
(特別損益と税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益は増加した一方で、投資有価証券売却益の減少により前連結会計年度より4億7千万円減少し、4億6千2百万円となりました。特別損失は、固定資産除却損の増加等により前連結会計年度より8百万円増加し、1千8百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は68億9百万円(前連結会計年度比5.1%減)となりました。
(税金費用と非支配株主に帰属する当期純損益と親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における税金費用は、法人税、住民税及び事業税20億8千7百万円と法人税等調整額△1億3百万円を計上し、19億8千4百万円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。
当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は9千9百万円(前連結会計年度比14.6%減)となりました。
その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は47億2千5百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。
(資金需要)
主として設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払並びに配当金及び法人税の支払等に資金を充当しております。
(資金の源泉)
主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金により、必要とする資金を調達しております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は80億6千4百万円であり、十分な手元流動性は確保できているものと認識しております。
(キャッシュ・フロー)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(有利子負債)
当連結会計年度末の有利子負債(社債・長期借入金)は35億8千2百万円であります。このうち金融機関からの長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が35億3千2百万円であります。
事業の「選択と集中」を軸に収益力の強化、設備投資の選択的実施による資金効率化によるフリー・キャッシュ・フローの拡大を目指すとともに、次世代材料や新規分野開拓への戦略的研究開発投資を行い更なる高収益製品への拡大を図ってまいります。
資金調達活動につきましては、健全な財務体質の維持、資本効率の向上、株式価値の希薄化等への十分な配慮と調達コスト・スピード等を考慮し、資金調達を行ってまいります。
当連結会計年度末において財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物等の流動資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金は十分に賄えると考えておりますが、引き続きこれらの政策を進めることにより、株主への利益還元と財務体質の一層強化を図ってまいります。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、コロナ禍や長期化するウクライナ情勢等による世界経済の不確実性は大きく、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き予断を許さない厳しい状況にあります。しかし、そのような状況下においても、生産コスト及び経費の削減により競争力を高めるとともに、市場のニーズにマッチした新規製品を迅速に上市することにより、継続的な業績の向上を目指してまいります。
また、当社グループは、安全の確保を最優先と考え、災害対策の徹底、コンプライアンス及び情報セキュリティの強化など、重大リスクの低減に努めております。また、品質管理の強化とサプライチェーンの強靭化によって安定供給を実現することで、お客様からの信頼を一層高めていくことに尽力いたします。
一方、環境への取り組みも当社グループの重要な使命と認識し、カーボンニュートラルの実現に向けてエネルギー原単位、廃物量、CO2排出量をKPIに定め、これらの削減に取り組んでおります。さらに、当社グループは、働き方改革によるワークライフバランスの実現や、ダイバーシティを推進するとともに、教育制度を拡充することで、次代を担う優秀な人材を確保し、育成してまいります。
該当事項はありません。
研究開発活動に関しましては、自社のコア技術を活かし市場のニーズに合致した製品をスピーディーに提供するため、営業開発担当者と研究員が一体となり連携しながら市場の要望に対応しております。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1)化成品事業
化成品事業では、既存製品においては、コスト競争力を高めるために、継続的にプロセス改良を行っております。また、当社が長年培ってきた反応技術、蒸留技術を駆使して、UVインクジェットや粘接着剤等の成長分野向けに、新機能を付与したユニークなアクリル酸エステルを開発し、市場へ提案しております。さらに、カーボンニュートラル実現に向け、バイオマスを原料とした特殊モノマーの開発を加速しております。
(2)電子材料事業
電子材料事業では、表示材料については、フレキシブルディスプレイ関連材料の開発を推し進めるとともに、マイクロLED、EL用偏光材料等の次世代材料、配線材料等の周辺材料の開発にも注力しております。また、半導体材料については、次世代EUVレジスト用モノマーの新規開発に注力するとともに、レジスト以外の半導体周辺材料の開発にも取り組んでおります。ArFレジスト用材料においても高度な品質要求に応える為、サプライチェーン全体として製造技術の向上に日々取り組んでおります。
(3)機能化学品事業
機能化学品事業では、アクリルモノマーの重合技術を背景に化粧品原料の研究開発を進めるとともに防曇性・親水性に優れた材料の開発に注力しており、様々な用途で本格的採用を目指しております。超親水性コーティング材料を始め、当社独自技術を用いた特殊水溶性ポリマーの応用展開を継続して行っております。
(4)新規事業
新規事業領域の確立に向けて、特殊アクリルをベースにエラストマー、伸縮性導電材料、調光材料、有機圧電材料の開発を進めており、外部の研究機関や大学との共同開発にも取り組んでおります。同時に川下化戦略にも注力しており、ライフサイエンス、医療、エネルギー変換等の分野において、スマートウィンドウ、センサ/スイッチ、ハプティクスデバイス、パワーデバイス用途等、近い将来において拡大が見込まれる市場に向けた材料開発にも注力しております。
また、新規に開発した材料については、特許出願など知的財産権の確保に努めるとともに、学会発表や新聞発表、展示会等のメディアを通じていち早く市場に提案し、顧客からのフィードバックを重視した商品開発を行ってまいります。今後ともアクリルモノマー合成技術・アクリル重合技術・精密有機合成技術のシナジーにより、市場のニーズを先取りした製品を提供していきたいと考えております。