文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念、経営ビジョン、行動指針から成る理念体系の下、当社グループ全員がそれらを理解し、目標と価値観を共有して行動してまいります。優れた生産活動を通じて地域社会の秩序を守り、社会と産業界の進歩と発展に貢献することにより、ステークホルダーの皆様の期待に応え続ける企業であることを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
2015年11月期より10ヶ年の長期経営計画「Next Stage 10(NS10)」(2015年11月期から2024年11月期)をスタートし、その目標を実現するために様々な施策を実行してまいりました。その結果、早期に目標を達成できる見込みとなったことから、2018年度に目標を見直しました。また、NS10第2次5ヶ年中期経営計画(2020年11月期から2024年11月期)を新たに策定し、さらなる事業拡大と高収益化を目指すこととしております。
なお、NS10第2次5ヶ年中期経営計画において、当社グループは、連結売上高及び連結営業利益率に加え、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を目標とすべき重要経営指標と位置づけており、その目標を下記のとおり設定しております。
(3) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、製品の徹底した品質管理と安全性の確保を第一に、販売の強化と生産コスト及び経費の削減を行い、高度な研究開発力を更に強化し新規製品開発に取り組み、全社での製品生産体制の合理化と業績の向上を目指し、一層の財務内容の健全化を進める所存であります。また、NS10第2次5ヶ年中期経営計画を実現すべく、各セグメントは以下の諸施策を実行してまいります。
<化成品セグメント>
製品の統廃合を進め、採算性の向上を図ってまいります。また、市場競争力のある製品、市場拡大が期待される用途の製品においては、販売体制のグローバル化を推進し、海外顧客向けの販売拡大に努めてまいります。UVインクジェット等、現時点で特に注視している分野においては、研究開発にも大きくリソースをかけて対応し、シェアの拡大を目指してまいります。
<電子材料セグメント>
表示材料においては、既存製品の収益を確保しつつ、マイクロLED等の次世代材料、配線材料等の周辺材料へ展開し、ミクロンオーダーのレジスト、コーティング市場をターゲットとして開拓を進めてまいります。
半導体関連材料においては、ArFレジスト用モノマー等の既存材料のシェア拡大に努めながら、次世代のEUVレジスト用モノマー、及び、周辺材料などの新規分野への参入を目指してまいります。
<機能化学品セグメント>
化粧品分野においては、機能性を付与したスキン用化粧品原料の開発と上市を進め、グローバルな視野で販売の拡大を目指してまいります。機能材料分野においては、既存品の安定供給体制を維持しつつ、新規塗料用材料、超親水性コーティング材、先端医療材料等の新規開発および早期上市を目指してまいります。
<新規事業>
特殊アクリルをベースに新しい価値を創造し、大阪有機の未来を担う新製品の開発に取り組んでおります。センサ・IoT関連分野、ロボティクス分野など、近い未来において急拡大が見込まれる市場に向けた材料開発に、特に注力してまいります。
当社は、2008年1月11日開催の当社取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号本文に規定されるものをいい、以下「基本方針」といいます。)を定め、同年2月22日開催の当社第61期定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、この基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(会社法施行規則第118条第3号ロ(2))として、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)を導入いたしました。その後、直近では2017年2月24日開催の当社第70期定時株主総会の決議により更新いたしました(以下、更新後のプランを「本プラン」といいます。)。
当社は、買収防衛策の導入以降も、長期経営計画「Next Stage 10」の策定やその着実な実行による企業価値の向上、株主還元の充実、コーポレート・ガバナンスの強化に積極的に取り組んでまいりました。また、経営環境及び買収防衛策に関する近時の動向、株主及び投資家の皆様のご意見、コーポレート・ガバナンスに関する議論の推移等を踏まえ、本プランについて慎重に検討を続けてまいりました。
その結果、当社は、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保にあたり、買収防衛策の必要性が相対的に低下したものと判断し、2020年1月24日開催の当社取締役会において、本プランの有効期限が満了となる2020年2月27日開催の当社第73期定時株主総会終結の時をもって、本プランを継続しないことを決議いたしました。
本プランの終了後も引き続き、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式等の大量買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための情報と時間の確保に努め、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社及び子会社の当連結会計年度の売上高の40.6%を占める化成品事業では、自動車塗料向け原料等の販売が拡大傾向にあります。また、当連結会計年度の売上高の37.2%を占める電子材料事業では、液晶パネルや半導体用レジストの原材料等を中心に販売しております。そのため、自動車・液晶・半導体市場の動向が当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社の事業、特に化成品事業における主原料は、アクリル酸及び各種アルコールであり、これらは石油化学製品を主原料としたものであるため、中東情勢の悪化等の要因により、原油価格及びナフサ価格が大幅に変動した場合には、原料購入価格が大幅に変動し、製品価格への連動対応は行っているものの当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
(3) 原材料の調達について
当社及び子会社は、原材料の調達先を複数確保するなどして安定的な原材料の調達に努めておりますが、原材料メーカーの事故、品質不良、倒産等による供給停止等により生産活動に支障をきたした場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
(4) 環境リスクについて
当社及び子会社は、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかし、化学物質の社外流出事故が万一発生した場合には、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出、生産活動の停止等により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社におきましては、事業活動を展開している国内外の地域において、法規制及び社会的ルールを遵守し事業活動をおこなっております。しかしながら、今後それぞれの国や地域における環境規制の強化や法令の変更など、新たな社会的責任の発生により、当社及び子会社の事業が制限を受ける可能性又はこれらの変更に適合するための費用の発生などにより、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社の設備は、消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法その他関連する法で定める基準に従って、受け入れから出荷まで、原料、中間体並びに製品等の取り扱いをしております。設備につきましては、消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法その他関連する法で定める基準に従った定期的な点検を行っており、また、安全装置、消火設備等の充実に努め、事故・火災等に対する十分な対策を講じておりますが、大規模な自然災害や火災事故等が発生した場合、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社が保有する技術については、特許権を取得することにより技術の保全を図っておりますが、特許権を取得したことにより他社から当社及び子会社の技術が解読される可能性があります。また、業界における技術の進歩は早いため、当社及び子会社の開発した技術が陳腐化する可能性があります。さらに、当社及び子会社の製品に使用されている技術の一部が、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。これらの知的財産権について問題が発生した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社は、各種産業への中間原材料メーカーとして、顧客製品の品質の向上及び改善に寄与するため、当社及び子会社の基幹技術を更に発展させるべく研究開発に取り組んでまいりました。特に電子材料分野の環境変化は著しく、変化する顧客ニーズ、業界技術の進歩に対応すべく継続的な研究開発を行う必要があります。当社及び子会社は、技術的な優位性確保のため、業績の変動に関係なく一定水準の研究開発投資を行うことを経営方針としており、業績変動の状況によっては研究開発投資の実施により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社の製品品質は、原材料及び製品につきまして原材料メーカーや製品納入顧客との売買契約に基づき原材料及び製品納入規格を決めております。また、当社製品の品質管理は、法的規制値及び製品規格を守るべくISO9001の品質管理システムを基に万全を期して行っております。しかしながら、原材料・製造工程・品質管理等の原因により出荷不能な製品や顧客からのクレームが発生した場合には、棚卸資産の滅失及び賠償責任により当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社の取引には外貨によるものが含まれており、為替変動の影響を受ける可能性があります。為替変動のリスクを回避するために為替予約等の対策を実行し、リスクを最小限に抑えるよう努力をしておりますが、今後も為替相場の変動によって当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社は、海外での事業活動を行っております。特に2014年1月に中国に子会社を設立し、アジア地域での販売を強化する体制を整えました。しかしながら、海外での事業活動には、政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期しない法律・規則の変更、戦争・テロ等のリスクが潜在しております。当社及び子会社が進出している地域でこれらの事象が顕在化した場合には、当該地域での事業活動に支障が生じ、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社は、国内及び海外事業に関連して、取引先や第三者との間で紛争が発生し訴訟、その他法的手続きの対象となるリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
当社及び子会社は、事業の拡大や競争力の強化等を目的として、国内外において企業買収、事業買収、資本提携等を実施することがあります。これらを行う際には調査を十分に行い、リスクを検討することとしておりますが、当初期待していたシナジーやその他のメリットを獲得できなかった場合や、想定していない新たな問題が生じ又は発見された場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復傾向が持続いたしましたが、輸出を中心に弱さもみられ、米中の貿易摩擦問題の長期化による影響など、先行きは不透明な状況で推移しております。
また、化学工業界におきましては、企業収益は高い水準にあるものの、海外経済の回復の鈍さなどから、生産に弱さが見られております。
このような状況の下で当社グループは、2015年11月期よりスタートしました10ヶ年の長期経営計画「Next Stage 10」の目標達成に向けて、各種施策に取り組んでおります。化成品事業におきましては、選択と集中による製品の新陳代謝を図り、優位性のある製品の拡販に努めるとともに、グローバルに市場が拡大するUVインクジェットプリンター向けに特殊インク用原料の拡販に注力いたしました。電子材料事業におきましては、次世代半導体材料開発の強化によるトップシェアの確保及び新規ディスプレイ材料の拡販に努めてまいりました。機能化学品事業におきましては、機能性ポリマーの開発を促進するとともに、化粧品原料や特殊溶剤の拡販に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は286億3千8百万円(対前年同期比2.1%減)、営業利益は36億6千3百万円(対前年同期比0.1%増)、経常利益は38億3千3百万円(対前年同期比2.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は30億3千5百万円(対前年同期比13.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(セグメント間取引を含んでおりません。)
(注)前連結会計年度まではセグメント間取引を含む金額で記載しておりましたが、当連結会計年度よりセグメント間取引を含まない金額で記載しております。
化成品事業におきましては、アクリル酸エステルグループは、自動車塗料用や光学材料向け粘着剤用の販売が堅調に推移し、売上高は増加いたしました。メタクリル酸エステルグループは、販売が低調に推移し、売上高は減少いたしました。また、販管費の減少により、セグメント利益は増加いたしました。この結果、売上高は116億3千6百万円(対前年同期比3.7%減)、セグメント利益は7億9千3百万円(対前年同期比25.4%増)となりました。
電子材料事業におきましては、半導体材料グループは、需要が好調に推移し、売上高は増加いたしました。表示材料グループは、液晶ディスプレイ市場の低迷により、売上高は減少いたしました。また、表示材料グループの売上高の減少及び半導体材料グループの新規設備の稼働開始に伴うコスト増加により、セグメント利益は減少いたしました。この結果、売上高は106億6千万円(対前年同期比2.8%増)、セグメント利益は20億9千7百万円(対前年同期比4.4%減)となりました。
機能化学品事業におきましては、化粧品原料グループは、販売が低調に推移し、売上高は減少いたしました。機能材料グループは、売上高は減少いたしました。また、利益率の高い製品比率の減少によりセグメント利益は減少いたしました。この結果、売上高は63億4千万円(対前年同期比6.8%減)、セグメント利益は7億8千7百万円(対前年同期比5.3%減)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べて36億3千3百万円増加し、438億4千8百万円となりました。主として借入金の増加や有価証券の満期償還による現金及び預金の増加11億6千5百万円、製造設備新設に伴う有形固定資産の増加19億6千6百万円などによるものです。
当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べて17億4千8百万円増加し、113億1百万円となりました。主として製造設備新設に伴う未払金の増加3億8千万円、製造設備新設資金の借入実施による長期借入金の増加9億9千3百万円などによるものです。
当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ18億8千4百万円増加し、325億4千6百万円となりました。主として利益剰余金の増加22億1千3百万円、その他有価証券評価差額金の減少3億6千6百万円などによるものです。
有利子負債(短期借入金・長期借入金)は、製造設備新設に伴う長期借入の実施等により前連結会計年度に比べ12億6千9百万円増加し、株主資本は、利益剰余金の増加等により22億2千1百万円増加した結果、デット・エクイティ・レシオ(有利子負債/株主資本)は、8.6%(前年同期は4.8%)となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の75.6%から73.5%へと2.1ポイントの減少となりました。なお、1株当たり純資産額は、1,455円38銭となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により獲得した35億6百万円から、投資活動に27億3千9百万円投資し、財務活動において4億3千2百万円増加となったことなどにより、11億6千5百万円増加し、63億4千2百万円(対前年同期比22.5%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益41億8千1百万円、非資金損益項目である減価償却費17億7千1百万円、当連結会計年度末日が金融機関の休日であったことなどによる売上債権の増加7億2千4百万円、たな卸資産の増加額6億4千3百万円及び法人税等の支払額11億9千9百万円などにより、35億6百万円の増加(前年同期は34億7千9百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、27億3千9百万円の減少となりました。これは、主に製造設備新設等に伴う有形固定資産の取得による支出32億6千3百万円及び投資有価証券の売却による収入3億7千8百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、製造設備新設資金の長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出7億3千万円、配当金の支払額8億1千9百万円などにより、4億3千2百万円の増加(前年同期は17億3千8百万円の減少)となりました。
当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。
当社及び子会社は原則として見込生産を行っております。また、生産実績につきましても当社及び子会社の製品は多種多様にわたり、同種の製品でも仕様が一様でなく、通常の取引の単位が大幅に異なるものが混在するため、金額及び数量表示は妥当性を欠くので記載を省略いたします。
b. 販売実績
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 前連結会計年度のJSR株式会社への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を
省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えられます。
a. 財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上高と営業利益)
当連結会計年度における売上高は、電子材料事業の半導体材料グループで需要が好調に推移したものの、化成品事業及び機能化学品事業で減収となり、286億3千8百万円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。
当連結会計年度における営業利益は、売上高は減少したものの、製造費用や販管費の減少等により、36億6千3百万円(前連結会計年度比0.1%増)となり、営業利益率は12.8%(前連結会計年度12.5%)となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、保険解約返戻金の減少等により前連結会計年度より8千万円減少し、2億2千3百万円となりました。営業外費用は、為替差損の増加等により前連結会計年度より2千4百万円増加し、5千3百万円となりました。
その結果、当連結会計年度における経常利益は38億3千3百万円(前連結会計年度比2.6%減)となりました。
(特別損益と税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度における特別利益は、取引関係維持の目的で保有している株式の売却に伴う投資有価証券売却益の減少及び受取保険金の増加等により前連結会計年度より3百万円増加し、3億7千1百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度にあった固定資産譲渡損や退職給付制度改定損がなくなったこと等により前連結会計年度より4億1千万円減少し、2千4百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は41億8千1百万円(前連結会計年度比8.1%増)となりました。
(税金費用と非支配株主に帰属する当期純損益と親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における税金費用は、法人税、住民税及び事業税11億5千9百万円と法人税等調整額△6千6百万円を計上し、10億9千2百万円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。
当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は5千3百万円(前連結会計年度比39.5%増)となりました。
その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は30億3千5百万円(前連結会計年度比13.3%増)となりました。
資金需要
主として設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払並びに配当金及び法人税の支払等に資金を充当しております。
資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金により、必要とする資金を調達しております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は63憶4千2百万円であり、十分な手元流動性は確保できているものと認識しております。
キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります
有利子負債
当連結会計年度末の有利子負債(長期借入金)は26億2千8百万円であります。このうち金融機関からの長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が26億2千8百万円であります。
事業の「選択と集中」を軸に収益力の強化、設備投資の選択的実施による資金効率化によるフリー・キャッシュ・フローの拡大を目指すとともに、次世代材料や新規分野開拓への戦略的研究開発投資を行い更なる高収益製品への拡大を図ってまいります。
資金調達活動につきましては、健全な財務体質の維持、資本効率の向上、株式価値の希薄化等への十分な配慮と調達コスト・スピード等を考慮し、資金調達を行ってまいります。
当連結会計年度末において財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物等の流動資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金は十分に賄えると考えておりますが、引き続きこれらの政策を進めることにより、株主への利益還元と財務体質の一層強化を図ってまいります。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループを取り巻く経営環境は、国内景気は回復基調にあるものの、世界経済の不確実性は引き続き大きく、予断を許さない厳しい事業環境の中、当社グループは、コーポレート・ガバナンスの強化とともに製品の徹底した品質管理と安全性の確保を第一に、販売の強化と生産コスト及び経費の削減を行い、高度な研究開発力を更に強化し新規製品開発に取り組み、全社での製品生産体制の合理化と業績の向上を目指し、一層の財務内容の健全化を進めてまいります。
この具体的な方策として、2015年11月期よりスタートいたしました10ヶ年の長期経営計画「Next Stage 10」におきましては、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、各種施策に取り組んでまいりました。2020年11月期から始まる第2次5ヶ年中期経営計画では、2024年11月期の売上高370億円以上、営業利益50億円以上、営業利益率13.5%以上、ROE10%以上を目標に当社グループ一丸となって取り組んでまいります。
該当事項はありません。
研究開発活動に関しましては、自社のコア技術を生かし市場のニーズに合致した製品をスピーディーに提供するため、営業開発部員と研究員が一体となり連携しながら市場の要望に対応しております。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1)化成品事業
化成品事業では、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソボロニルアクリレートなどの既存製品に関してはコスト競争力を高めるためのプロセス改良検討を行っております。また、今後、市場の成長が見込まれるUVインクジェット分野や粘接着剤分野へ、高感度・低粘度などの新規の紫外線硬化型モノマーを投入してまいります。
(2)電子材料事業
電子材料事業では、LCD用材料については、4K,8Kテレビ、フレキシブルディスプレイなどに対応した材料開発を積極的に行っております。また、半導体レジスト用原料は、アダマンタン誘導体の拡販とともに、顧客からの厳しい品質要求を満たすべく製造技術や品質管理のための技術確立に努めてまいります。
(3)機能化学品事業
機能化学品事業では、アクリルモノマーの重合技術を背景に化粧品原料の研究開発を進めるとともに防曇性・親水性に優れた材料の開発にも注力しており、さまざまな用途で本格的採用を目指しております。更に今後も積極的に公的研究機関との共同研究を推進し、特徴のある機能性材料の開発を行ってまいります。
また、新規に開発した材料については、特許出願など知的財産権の確保に努めるとともに、学会発表や新聞発表、展示会等のメディアを通じていち早く市場に提案し、顧客からのフィードバックを重視した商品開発を行ってまいります。今後ともアクリルモノマーの合成技術・アクリル重合技術・精密有機合成技術のシナジーを生かし、市場のニーズにマッチした製品を市場に提供していきたいと考えております。