当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」を理念に掲げ、各産業、業界の課題をDXで解決し、透明性が高く、なめらかな顧客体験を提供することを基本的な方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略
① 企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社17社で構成され、RENOSYマーケットプレイス事業、ITANDI事業、その他事業を行っております。
RENOSYマーケットプレイス事業のうち、オンライントランザクションは、ネット不動産投資サービスブランド「RENOSY(リノシー)」の開発・運営を中心として、投資用不動産の売買、中古不動産の売買及び売買の仲介、高級賃貸用不動産の賃貸仲介、タイの日本人駐在員向け不動産賃貸仲介業務を提供しております。また、サブスクリプションとして、マンション賃貸管理、サブリース、家賃債務保証事業リフォーム及びリノベーション業務を提供しております。
ITANDI事業においては、賃貸会社向けSaaSシリーズ「ITANDI BB+」、不動産業者間サイト「ITANDI BB」の開発・運営、BtoCのネット不動産賃貸サービス「OHEYAGO」の提供、賃貸管理業務の基幹ソフトウエア「賃貸名人」の開発・運営等を行っております。
その他事業としては、住宅ローン申込プラットフォームサービス「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY」の運営、中華圏の投資家と日本の不動産をマッチングするプラットフォーム「神居秒算」の運営、M&A仲介・コンサルティング事業等を行っております。
② 競争優位性
当社グループには以下の点で競争優位があると考えております。
競争優位性 |
内容 |
オンライン不動産取引のパイオニア |
・ネット不動産による強みで短期間での売上拡大、低い在庫回転期間及び売上高有利子負債比率を実現 ・不動産取引だけでなくSaaSビジネスも展開 |
リアルとテクノロジーを組み合わせた参入障壁の高い独自のビジネスモデル |
・マネージド・マーケットプレイスによる高品質な商品の提供 ・RENOSYマーケットプレイス上で取引が完結することにより中間業者による中間マージンカットで売手、買手のメリットに ・長期間が必要なリアルオペレーションの構築に不動産取引のオンライン化による顧客体験向上を掛け合わせることにより参入障壁が高い |
優良顧客基盤によるストックビジネス |
・既存会員やリファラルからの収入(ストック収入)が60%超 ・高属性のRENOSY会員が約40万人 ・購入DXのターゲット顧客である年収500万円以上は1,580万人、世帯純金融資産5,000万円以上は342万世帯と市場が大きい |
ネットワーク性が高く継続的に拡大するマーケットプレイス |
・質や量が担保されたマーケットプレイス内での購入DXに加えて、売却DXの強化によりネットワーク効果が高まる好循環モデル |
収益性の高いSaaS事業の展開 |
・賃貸会社向けSaaSシリーズ「ITANDI BB+」のうち「内見予約くん」、「申込受付くん」、「電子契約くん」は賃貸仲介会社の利用実績No.1 ・仲介会社向け業務効率化サービス「ノマドクラウド」が売上貢献に対する満足度、サポート体制満足度それぞれでNo.1 ・業者間流通サイト「ITANDI BB」が業者間流通サイトの中で管理会社に導入してほしいサイトNo.1、使いやすいサイトNo.1 ・所属会員数約35,000社を抱える全日本不動産協会の会員支援システム「ラビ―ネット」を2023年4月より提供開始。当該システム「ラビ―ネット」がイタンジプロダクトと連携することで、「ITANDI BB+」の導入社数増加が期待できる ・基幹システム「イタンジ管理クラウド」の提供開始。賃貸管理会社の業務フロー全体をカバーすることで更なる利便性及び顧客満足度の向上に貢献。また、基幹システムを起点にロングテールへの導入数拡大とARPU(1社当たり売上高)向上を両立 |
M&A戦略を通じた非連続の成長力 |
・①市場シェア及び商流拡大、②優良顧客(反響)獲得、③商品ラインナップ拡充、④メディア強化、⑤サービスカバレッジ拡大を軸に、国内、海外でM&Aを展開 ・過去に実施したM&A対象企業はスピーディに業績を改善 ・売上総利益に占めるノンオーガニック比率は6年で41.1%まで増加。また、ノンオーガニックの売上総利益CAGR(年平均成長率)は159%と高水準 |
③ 事業を行う市場の状況
不動産業界は投資・運用、管理、賃貸、開発・分譲、流通の5つの業態からなり、当社グループのビジネスとは、RENOSYマーケットプレイス事業が投資・運用、管理に、ITANDI事業が管理及び賃貸に関連しております。不動産投資市場は約65兆円の市場があり、当社グループが現在注力している首都圏の中古マンションのうち50㎡未満の市場は約1.5兆円となります。また、不動産管理業が関連する全国の借家戸数は1,925万戸、不動産賃貸業が関連する入居申込件数は325万戸、契約件数は228万戸となり、ITANDI事業が対象としている市場は約3,000億円程度と想定しております。
我々が関与する不動産投資・運用や管理・賃貸は以下のようにテクノロジーとの親和性が高いという特徴があります。投資用不動産は、家賃、価格、利回りで数値化可能であるため、金融商品に近く、株式投資と同様に遠方、海外からも投資ができ、購入者のうち約9割の方が内見を行わず売買されます。また、不動産の賃貸は売買と比較して費用負担が少なく手軽で簡単に引越しができ、住み替えがしやすいため、内見ニーズが低く、また法改正によりIT重説(WEB会議などのITを適用して行う、賃貸借契約における重要事項説明)なども可能となり、店舗に行かずとも非対面で手続きができます。
④ 経営戦略
当社グループの企業価値向上に向けた戦略は以下のとおりです。
(事業戦略)
戦略 |
主な施策 |
内容 |
ビジネスモデル事業戦略 |
マーケットプレイス拡大 |
・デジタルマーケティング活用により認知度を拡大させ、利用意向を上昇 ・リピート顧客の売買促進 |
ストックビジネス強化 |
・収益の安定性向上に向けたストック収益の向上 ・事業基盤の強化及び収益構造転換 |
|
積極的なM&A |
・M&Aした企業とのシナジー実現 ・継続的な事業成長につながるM&A強化 |
|
経営管理強化 |
中期経営計画の策定 |
・主要事業の中長期戦略を策定 ・計画的な予算策定 ・厳格な業績管理体制の構築 |
週次KPI管理体制構築 |
・週次KPI管理の徹底 ・グループ会社含めた業績進捗をタイムリーに把握する体制構築 |
|
財務戦略策定、指標設定 |
・財務戦略策定 ・財務健全性に関する管理指標の導入 ・財務規律を持った事業成長の実現 |
(人事戦略)
戦略 |
主な施策 |
内容 |
パフォーマンス最大化の仕組み構築 |
採用 |
・リファラル採用強化による、マッチ人財の獲得 ・GAリクルーターによる採用アトラクト力の強化 |
育成 |
・抜擢/育成プランの立案・実行 ・管理職向け研修・サポートツールの拡充 |
|
評価報酬 |
・全社横断を前提とした、シンプルで分かりやすい報酬制度の策定 |
|
配置 |
・人財ポートフォリオに基づく能動的配置 ・成長・キャリア支援を目的とした異動の推進 |
|
パフォーマンス最大化の環境構築 |
安心安全 |
・育児支援(休暇・手当・サポート) ・LGBTQ各種制度制定 |
健康 |
・フレックスタイム、リモートワーク導入 ・ストレスチェック年2回実施 |
|
文化コミュニティ |
・ヨココミュニティの強化 |
|
成長キャリア |
・事業成長人財に対する、キャリア/成長/挑戦 支援施策の拡充 |
(事業別成長戦略)
事業 |
主な施策 |
内容 |
RENOSYマーケットプレイス |
テック活用 |
不動産にまつわるバリューチェーンを一気通貫ですべてオンライン化し、買い手、売り手両方のDXを強化 |
デジタル戦略 |
ラストワンマイルのデータ(売買と賃貸の成約データ)保有の強みとそれらデータのAI活用で価値を創出(生産性向上、業務効率化、AI査定、募集条件に応じた空室期間予測、データ活用の新サービス提供等) |
|
マージンの拡大 |
RENOSYマーケットプレイスの売買が拡大することで、以下を想定。 (売上総利益率の向上) ・商品ラインナップ拡充 ・市場シェア拡大を通じたネットワーク効果の発現(売上拡大、競争力のある仕入) ・認知度の拡大による成約率上昇 (販管費率の低下) ・リピート顧客増加による人件費率削減 ・認知度の拡大による広告宣伝費率削減 |
|
ITANDI |
不動産のインフラ |
・賃貸仲介・賃貸管理領域、売買仲介領域の双方のプロダクトの競争優位性・顧客基盤を活用した顧客価値最大化とシェア拡大 ・クロスセルと領域拡大を通じて不動産のインフラを目指す |
(財務戦略等)
・長期でのフリー・キャッシュ・フローを最大化させることを経営目的とし、中期的には、マーケットプレイス事業及びSaaS事業を軸とした価値向上による売上総利益の最大化を目指す ・短期的には既存事業の収益力強化によるリターンの極大化に向けて積極的な成長投資を行い、中長期的には新たな価値創出のための新規事業やM&Aによる非連続な成長に取り組む ・営業キャッシュ・フローや有利子負債等から得られたキャッシュを主に事業投資及びM&Aに積極的に投下し、成長の加速化を図る。 ・長期的な株価上昇が重要と考え、売上収益成長を最優先し、将来キャッシュ・フローの最大化を目指すため、短期的には配当による株主還元は行わない方針 ・中期目標として、売上高成長率20~30%、売上総利益率~20%、キャッシュ・コンバージョン・サイクル30日以内、自己資本比率30~40%程度を設定 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① ネット不動産による業界DX改革
不動産業界はオンライン化が最も遅れている業界の一つでありますが、法改正による規制緩和を契機にネット不動産の到来が叫ばれております。当社グループは従前から不動産取引の一連のプロセスをテクノロジー(デジタル)で一気通貫に行うビジネスモデルを推進してまいりましたが、今後も更なる強化を行い、ネット不動産で不動産業界のDX改革に貢献する方針であります。
② 「RENOSY(リノシー)マーケットプレイス」事業の強化
(a)マーケットシェアの拡大
当社グループは、従前より知名度の向上等によるマーケットシェアの拡大に努めてまいりましたが、ネットワーク効果による参入障壁を強固にする観点から、更なるマーケットシェアの拡大が必要と考えております。RENOSY会員の獲得を成長ドライバーとし、買い手、売り手を増やすことで取引件数を向上させ、取引件数増加による認知度向上によりRENOSY会員を獲得するという循環を加速したいと考えております。また、商品ラインナップを拡充することによる更なる取引量の拡大も図ってまいります。
(b)手数料率の維持・向上
企業価値向上に資する売上総利益の最大化のために、手数料率の維持・向上が課題となっております。当社グループから見た売り手に対するDXによるオーナーからの直接調達の強化、手数料率の高い商品ラインナップの拡充、市場シェア拡大によるネットワーク効果(売上拡大、競争力のある仕入)、認知度の拡大による成約率上昇や広告宣伝費率削減、リピート顧客増加による人件費率削減等により、手数料率の維持・向上を目指してまいります。
(c)サブスクリプション事業におけるDX
当社グループの株式会社RENOSY ASSET MANAGEMENTは不動産投資運用の資産管理を”賃貸管理”にとどまらない、独自の長期的・安定的、豊富なサービスラインナップを備え、月額のサブスクリプションでサービスを提供しております。事業の更なるDXを通じて、オーナー、入居者、原状回復・リノベーション業者等、当事業に関連するすべての人々の顧客体験及び生産性の向上による収益性の向上を目指してまいります。
(d)海外事業の展開
当社グループは、世界各国の買い手、売り手をマーケットプレイスでマッチングし、クロスボーダーでの不動産取引を実現できるようになる、そのような世界の実現に向けて、従前より海外事業に進出してまいりました。今後もマーケットプレイスの新たなユーザーを獲得すべく、展開地域を拡大するとともに、海外事業に対応できるグローバル人財の採用強化を図ってまいります
③ ITANDI事業の強化
(a)管理会社向けSaaSのシェア拡大
ITANDI事業において、物件検索から内見、入居申込、契約、更新、退去手続きまでを一気通貫でサポートし、顧客管理機能も有する不動産賃貸業務のDXサービス群である「ITANDI BB+」を提供してまいりました。さらに2023年5月より賃貸管理業務の基幹システムである「イタンジ管理クラウド」を提供開始しており、これにより賃貸管理業務を一気通貫でDXすることに成功しております。今後とも不動産業界のインフラとなるべく、シェア拡大を図ってまいります。
(b)賃貸仲介・売買仲介会社向けSaaSのシェア拡大
ITANDI事業において、賃貸仲介会社向けCRMサービスである「ITANDI BB+(イタンジビービープラス)ノマドクラウド」を展開しておりますが、今後は売買仲介会社向けCRMサービスを展開する予定であります。既存顧客へのクロスセルを含め、双方のプロダクトの競争優位性・顧客基盤を活用した顧客価値最大化とシェア拡大を目指してまいります。
④ 新規事業の創出
既存の主な事業であるRENOSYマーケットプレイス事業及びITANDI事業は、コア事業としてさらに強化を行っていく一方で、新たな収益の柱として、新規事業の創出も必要となってくると認識しております。当社グループでは、”リアル”×”テック”を活用した事業の創出を目指しており、M&A仲介事業に参入いたしました。今後とも新規事業へのチャレンジを進めていく方針であります。
⑤ ノンオーガニックな成長
当社グループは継続的な成長を行うために、従前より(a)市場シェア及び商流拡大、(b)優良顧客(反響)獲得、(c)商品ラインナップ拡充、(d)メディア強化、(e)サービスカバレッジ拡大の観点から、既存事業とのシナジーが期待できる事業についてM&Aを実施してまいりました。今後とも、事業成長につながるM&Aを継続するとともに、M&Aによりグループジョインした企業とのシナジー実現を目指してまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化
当社グループの更なる事業の拡大、継続的な成長のためには、当社グループ全体を俯瞰したコーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。当社は、監査等委員会設置会社を採用し、監査等委員である取締役に対し豊富な情報アクセスを担保するとともに、取締役の過半数を社外役員とし、日常的に議論する等、コーポレート・ガバナンスを強化してまいりました。また、中期経営計画の策定、週次のKPI管理体制の構築、財務戦略策定、指標の設定等、経営管理体制を強化してまいりました。今後も人員の増強、監査等委員と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施、各種モニタリング体制の構築等を通じて、コーポレート・ガバナンス及び経営管理体制の強化に取り組んでいく方針であります。
⑦ 従業員のパフォーマンスの最大化
当社グループは今後の事業の拡大のために優秀な人財の採用、育成、評価・報酬及び配置等の仕組み構築が重要な課題であると認識しております。また、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境構築(安心安全、健康、文化・コミュニティ、成長・キャリア)も重要な課題であると認識しております。当社グループは従前よりこれらの仕組みや環境構築に取り組んでまいりましたが、今後もダイバーシティの推進、従業員の働きがいや満足度向上を通じて従業員のパフォーマンスを最大化することに取り組んでいく方針であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社の取締役会は、代表取締役社長執行役員CEO樋口龍が議長を務めており、取締役(監査等委員である取締役を除く。)櫻井文夫、同 樋口大、社外取締役 久夛良木健、同、グジバチ・ピョートル・フェリクス、監査等委員である社外取締役 松葉知久、同 桑原利郎、同 佐藤沙織里の取締役8名(うち社外取締役5名)で構成されております。事業内容に精通した社内取締役による迅速な意思決定が図られる一方、当社とは特別の利害関係が無い社外取締役が取締役会の意思決定に参加することで、経営の健全性・透明性が担保されております。当社の取締役会は、社外取締役が取締役総数の2分の1以上を占めており、より客観的で、公平かつ公正な意思決定をなし得る体制となっております。また、取締役会は、原則として毎月開催し、必要に応じて臨時取締役会も開催しております。さらに、迅速な意思決定を行うため、電子稟議システムを用いた書面決議も多用しております。取締役は、社内コミュニケーションツールを通じて、随時意見交換を行える環境が整えられています。
効率的かつ迅速な意思決定を行うため、取締役、及び執行役員で構成される経営戦略会議を週次又は必要に応じて開催し、月次予算の進捗状況の報告、短期・中期の業務執行指針の審議、各部門の重要事項についての審議等を行い、変化の激しい経営環境に対応する体制をとっております。
(2)戦略
当社グループでは、サステナビリティに関する取り組みにおいて、持続的な成長を担保するためには人的資本が経営に与える影響が大きいとの視座の下、従業員メンバーを人財と捉え、ビジネスモデル/事業戦略と並びカルチャーモデル/人事戦略もOUR AMBITION達成のために重要な事項であると認識し、以下の通り取り組みを強化してまいります。
①パフォーマンスを最大化する仕組みの構築
当社グループでは、メンバーのパフォーマンスを最大化するため、採用・育成・評価報酬・配置のセクションごとに施策を策定し、メンバーが活躍できる土台構築と企業文化の醸成を図ってまいります。
②パフォーマンスを最大化する環境の構築
当社グループでは、メンバーのパフォーマンスを最大化するため、安心安全・健康・文化/コミュニティ・成長/キャリアのセクションごとに施策を策定し、メンバーがより安心して活躍できる環境を構築するため、また各メンバーが等しくその環境を享受できるよう努めてまいります。
(3)リスク管理
リスク管理・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長執行役員CEO樋口龍が委員長を務め、常勤の取締役、監査等委員会の委員長、各執行役員、各本部長、その他委員長が必要と認めた者(ガバナンス、法務及び労務を管轄する部長等)で構成され「リスク管理・コンプライアンス規程」に基づき、当社が抱えるリスク及びコンプライアンスの遵守について審議しております。また、全グループ会社のリスク管理を横断的かつ網羅的に行う見地から、リスク管理・コンプライアンス委員会の傘下に、内部統制小委員会・コンプライアンス小委員会・情報セキュリティ小委員会を設置しております。これらの小委員会では、各事業部門長及び各グループ会社部門長が参加し、各事業部門・各グループ会社における課題を共有し、全グループの統一方針を形成し、必要に応じて社内に対するアナウンスを行っております。3小委員会の構成員は統一されており、管理職のリスク管理能力の更なる向上を図るべく、主に部長職以上の管理職が選任されています。小委員会には、各事業部門・各グループ会社の長に対して改善指示を出す強固な権限を与え、内部統制・コンプライアンス・情報セキュリティに係る実効性の高い機能を持たせています。さらに、コンプライアンス規範の展開・浸透・定着を実現すべく、法務部が入社時・月次に法務研修を行うとともに、事業部からのオンデマンドの研修にも対応するなど、会社全体のコンプライアンス意識の向上に努めております。
リスク管理・コンプライアンス委員会は、当社グループ全体のリスク及びコンプライアンスの遵守について審議するべく、期初において、当事業年度におけるコンプライアンス推進計画、リスク管理計画を立案、決定しております。当該計画には、当社グループが果たすべき社会的責任、環境への配慮、各種規制への準拠、情報管理、などの全21の項目に対応するための施策が盛り込まれております。
リスク管理・コンプライアンス委員会は四半期に1回の頻度で開催され、業務部及び法務部が事務局を担い、上記全21項目の進捗について報告するほか、実際に起きたリスクの顕在化事案を題材に当社グループ全体の方針を議論したり、法令改正について各部門で留意すべき事項についてのアナウンスを行っております。
各施策は内部統制小委員会、コンプライアンス小委員会、情報セキュリティ小委員会において具体的な対策に落とし込まれ、各小委員会委員長が実効性を担保しております。各小委員会は、概ね月次で開催されております。2023年10月期の議論事項の一例として、内部統制小委員会では、グループ会社の決裁権限の制定、改訂を指導するとともに、インボイス制度の導入に際して積極的な発信を行いました。コンプライアンス小委員会では、景品表示法及び同法に基づく告示の改正に関連しマーケティング手法の在り方について議論が行われました。また、情報セキュリティ小委員会においては、グループ全体のセキュリティ管理体制の在り方について継続的に議論が行われました。
リスク管理・コンプライアンス委員会が期初に定めた各施策が計画通り進捗しているかについては、四半期ごとにモニタリング結果が当委員会において共有され期末では総括を取締役会に対して報告することとしております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、サステナビリティに関するリスクの中でも人的資本が経営に与える影響が特に大きいと考え、「従業員メンバーのパフォーマンスを最大化する仕組みの構築」及び「パフォーマンスを最大化する環境の構築」について、以下の目標を長期的に評価及び管理する対象としております。なお、当該指標及び目標につきましては、当社グループにおける記載が困難であることから、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。
①パフォーマンスを最大化する仕組みの構築に関する目標
a.管理職向け研修の受講率向上
達成時期 2024年10月までに100%
b.評価制度の浸透(MG制度にかかる等級要件等の整理)
達成時期 2024年10月まで
c.戦略的な異動配置のフロー整備とグループ会社間での連携強化
達成時期 2024年10月まで
②パフォーマンスを最大化する環境の構築に関する目標
a.育児休業取得率(2023年10月期実績・男性:80%・女性:100%)の維持向上及び育休復職率(2023年10月期実績・100%)の維持
b.資産形成促進制度(従業員持株会及びDB・DC)の浸透
達成時期 2024年10月まで
c.安全衛生施策の促進
c-1. 健康診断受診率98%(2023年10月期実績:92%)
c-2. 労災発生件数3件以内(2023年10月期実績:3件)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)不動産取引市場の動向について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利水準、地価水準等の変化による不動産取引市場の動向に影響されます。したがって、不動産取引市場の動向が顧客の不動産投資意欲に影響を与えることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
不動産取引市場の冷え込み等により当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、不動産市場の動向を注視するとともに、当該動向に柔軟に対応できる体制構築に努めております。
(2)競合について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが属する不動産業界は、競合他社が多く存在しており、また、M&A仲介業は許認可や資格が不要であるため参入障壁が比較的低い事業であると認識しています。今後、他社の参入等により十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には、価格競争や顧客の離反及び販売件数の減少並びに仕入価格の上昇等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
競争激化により当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、ITを活用した投資用不動産プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」を利用する等、他社と差別化を図っております。また、M&A仲介DX事業においては、当社グループが不動産DXで培ったAI活用などのノウハウをM&A領域に活用することで他社との差別化を図っております。当社グループは、今後も「RENOSY」の機能向上やM&A仲介のDX等により他社との差別化を強化する方針であります。
(3)賃貸物件の空室時のリスクについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、販売した投資用不動産の賃貸管理業務まで一気通貫でサービス提供を行っておりますが、購入した顧客と当該賃貸物件の一部について空室時の家賃を当社グループが負担する契約を行っております。当社グループでは、空室率を低下させるための施策を講じているものの、空室が多くなった場合には、当社グループの費用負担が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループが販売している投資用不動産は東京を主とする、国内主要都市圏の駅から近い、単身者用マンションであることから、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。しかしながら、中長期的に日本の人口動態が変化していくことに伴い、リスクが今後変化していく可能性はありえると考えております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、AI技術を用いた、空室リスクの低い投資用不動産の特定及び販売、並びに短期間での原状回復など様々な施策を講じております。
(4)有利子負債の増加に伴う金利変動リスク及び在庫保有リスクについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、投資用不動産の販売を行っておりますが、仕入から販売までの期間が短いため、基本的に当該不動産を長期間に亘り保有することはなく、投資用不動産の仕入のために有利子負債残高が高水準になる可能性は高くありません。しかしながら、例外的に長期間保有する場合には、借入れによる資金調達が増え、有利子負債残高が高まる可能性があります。その場合には、金利負担の増加や棚卸資産の評価損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、仕入から販売までの期間が想定以上に長期化した場合には、販売価格の値引きにより販売を促進する施策をとる可能性があります。その場合には、利益率の悪化等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは投資用不動産の仕入から販売までのプロセスについて、テクノロジーを導入した結果、在庫保有期間を短くするオペレーションを確立しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合に一定のインパクトがあると認識していることから、投資用不動産については物件の仕入基準を設けた上で、AI技術を用い、在庫品質及び在庫量管理を徹底することで、当該リスクの低減に努めております。
(5)資金調達リスクについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。
また、当該金融機関からの借入等の一部にコベナンツ(財務制限条項)が付されています。コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該債務について期限の利益を喪失し、その結果、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
資金調達環境の変化や当社グループの業績の悪化により、今後の安定的な資金調達に支障が出るリスクは一定程度あるものと認識しております。当社グループは、金融機関との緊密な関係の構築、資金調達方法の拡大等により、現状、安定的な資金調達が実施できておりますが、より一層の調達環境の良化・安定化に努めてまいります。
(6)技術革新等について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、ネット不動産投資サービスブランド「RENOSY」を活用することで、業務の効率化や情報収集力の強化、データ分析による顧客への効果的な広告配信に努め、他社と差別化を図っております。今後は既存システムの改善に加え、それらのBtoB販売を含めた様々な可能性を想定しておりますが、「RENOSY」がサービスを提供しているIT技術分野は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは常に最先端のIT技術を当社グループのサービスに導入するべく事業運営を心掛けておりますが、IT技術の技術進歩の方向性やスピードは予測することが困難であることから、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。しかしながら、当社グループは、このようなリスクを低減するために継続的に最新の技術をもったエンジニアの採用及び継続的な社内研修を行うなどの対応を取っております。
(7)システムトラブルについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。そのため、当社グループのデータをクラウド上で保有するなどの対応を取っております。
(8)法的リスクについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「国土利用計画法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「建物の区分所有等に関する法律」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「借地借家法」、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」等の法的規制を受けております。当社グループではこれらの法的規制を遵守するように努めておりますが、法令違反が発生した場合や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
M&A仲介業務については、現在のところ、特に関係省庁の許認可等の制限を受けることはありませんが、M&Aは金融商品取引法、会社法及び各種税法といった各種法令の影響を受けやすい構造となっております。今後、法令等の制定、改廃により、M&A取引の拡大、促進に影響を及ぼすものがあったときは、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当連結会計年度末において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、当社グループは事業活動を行うに際し以下の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、今後、何らかの理由によりこれらの許認可の取消等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは法務部が中心となって各種法的規制に対応し、またリスク管理・コンプライアンス委員会において、リスク管理及びコンプライアンス計画を推進しております。そのため、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えておりますが、万が一、法的規制に抵触した場合には極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループは、このようなリスクを低減するために法務部及びリスク管理・コンプライアンス委員会直下のコンプライアンス小委員会において各社法令等の改正等を適時にキャッチアップするとともに、新規事業の開始時点においても、法務部のコンプライアンスチェックや外部弁護士と連携する体制を整備しており、法令違反等の予防に努めております。また、定期的に各部署及び各グループ会社に関連するコンプライアンス研修を実施し、当社グループのコンプライアンス意識の向上を図っています。
(当社)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
国土交通省 |
国土交通大臣(2) 第9135号 |
2027年2月22日 |
宅地建物取引業法 第66条、第67条及び第67条の2 |
一般建設業許可 |
東京都 |
東京都知事許可 (般-3)第145636号 |
2026年8月18日 |
建設業法 第29条及び 第29条の2 |
特定建設業許可 |
東京都 |
東京都知事許可 (特-3)第145636号 |
2026年8月18日 |
建設業法 第29条及び 第29条の2 |
マンション管理業登録 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第034425号 |
2024年3月8日 |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第83条 |
一級建築士事務所 |
東京都 |
東京都知事 第65523号 |
2028年5月14日 |
建築士法 第9条 |
(イタンジ株式会社)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(1) 第103729号 |
2024年7月26日 |
宅地建物取引業法 第66条、 第67条及び第67条の2 |
(株式会社RENOSY ASSET MANAGEMENT)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第009817号 |
2025年11月5日 |
宅地建物取引業法 第66条、第67条及び第67条の2 |
マンション管理業登録 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第034543号 |
2025年12月1日 |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第83条 |
賃貸住宅管理業 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第4254号 |
2027年3月14日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条 |
(株式会社RENOSY PLUS)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(3) 第091130号 |
2024年11月20日 |
宅地建物取引業法 第66条、 第67条及び第67条の2 |
賃貸住宅管理業 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第7525号 |
2027年7月19日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条 |
(株式会社RENOSY FINANCE)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
貸金業登録 |
東京都 |
東京都知事(1) 第31767号 |
2026年11月28日 |
貸金業法 第24条の6の4及び 第24条の6の5 |
(株式会社パートナーズ)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第10432号 |
2028年6月15日 |
宅地建物取引業法 第66条、第67条及び第67条の2 |
不動産特定共同事業者 |
東京都 |
東京都知事 第126号 |
- |
不動産特定共同事業法 第11条及び第36条 |
賃貸住宅管理業 |
国土交通省 |
国土交通大臣(2) 第005441号 |
2027年5月24日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条 |
住宅宿泊管理業者登録 |
国土交通省 |
国土交通大臣(01) 第F01666号 |
2024年5月10日 |
住宅宿泊事業法 第42条及び第43条 |
(株式会社リコルディ)
許認可の名称 |
所管官庁 |
許認可の番号 |
有効期限 |
取消事由 |
宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(2) 第9396号 |
2028年7月27日 |
宅地建物取引業法 第66条、 第67条及び第67条の2 |
賃貸住宅管理業 |
国土交通省 |
国土交通大臣(1) 第2077号 |
2026年10月19日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条 |
(9)情報の管理について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、会員やオーナーの個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。また、株式会社RENOSY Xでは、金融機関を対象としたシステムの受注開発・サービス提供を行っており、「FISC(金融情報システムセンター)」安全対策基準に対応した体制の構築と運用が求められています。何らかの理由でこれらの情報が漏洩してしまった場合、信用失墜、取引停止、損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループにおいて個人情報保護管理体制を、また、システムの開発を行う子会社では、FISC安全対策基準やISO27001を充足した管理体制を構築、運用しております。当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万が一、情報漏洩が発生した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性があると認識しております。当社グループは各社プライバシーマーク、ISMSの認証を取得するとともに、各種情報の取り扱いの重要性については、社内研修等を通じて社員へ啓発活動を継続的に実施するなどの施策を講じております。
(10)知的財産権について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合等においては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、第三者が当社グループの技術などを使用し、市場において当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないような体制を構築しておりますが、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害してしまった場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループは、これらのリスク低減を図るために、新規事業の開始時点において、法務部のコンプライアンスチェック(第三者の知的財産権の侵害等の確認を含む)を受けるなどのプロセスを設け、知的財産権等を侵害することがないよう運営しております。
また、第三者が当社グループの技術などを使用する可能性は常にあるものと認識しております。当該リスク低減を図るために、商標登録や自社製品に関する特許を取得することで第三者による知的財産権の侵害を防いでおります。
(11)自然災害について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが事業展開している地域は、首都圏や関西圏が中心となっておりますが、これらの地域で不測の大規模地震や台風等の自然災害等が発生した場合、当社グループの不動産価値の低下や事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクは発生する可能性は低いと想定されますが、発生した場合のインパクトは相応にあると認識しております。
そのため当社グループは、常にリモート対応ができるようなシステム環境を整備する等、物理的に当社グループの本社や支店の設備に依存しないようなビジネス体制を構築しております。
(12)人材の確保・育成について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、オンラインのみならず実業でのオペレーションも有していることから、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成並びに事業成長に必要となる人員数の確保が重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用しておりますが、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが発生する可能性は常に一定程度あり、発生した場合、特に当社グループの成長に対して相応のインパクトがあるものと認識しております。当社グループは、これらのリスク低減を図るために、幅広い採用ルートから積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。
(13)特定の経営者への依存について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、代表取締役社長執行役員CEO 樋口龍に当社グループの経営の重要な部分を依存しております。何らかの理由により同氏による当社グループ業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが発生する可能性は低いものの発生した場合に相応のインパクトがあるものと認識しております。
当社グループは、同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行う等体制の整備に努めております。
(14)配当政策について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しており、健全な財務体質を維持するとともに将来の事業拡大に備えるための内部留保とのバランスを図りながら、各期の経営成績及び財政状態を勘案して、剰余金の配当による株主に対する利益還元を実施することを基本方針としております。
しかしながら、当社グループは現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、配当を実施しておりません。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは、将来的には財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点では、フリー・キャッシュ・フローを成長のための投資に投じ、企業価値向上を図ることが株主の利益最大化へ繋がると考えていることから、現時点において配当の実施時期等については未定であります。
(15)M&Aについて
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、企業価値を継続的に向上させる上で有効な手段となる場合や、市場において短期間で優位性を確立するといった大きな相乗効果が見込める場合には、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。
しかしながら、事前の調査・検討内容に不十分な点が存在する場合や、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合には、買収した事業が計画どおりに展開することができず、或いは投下資金の回収ができず、のれんの減損や追加費用が発生する可能性があります。その場合等には、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に当社が採用しているIFRSではのれんは非償却であり、日本基準を採用している場合に比べ減損の影響が大きい傾向にあります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループはM&Aを継続的に実施していることから、当該リスクが顕在化する可能性は少ないながらもあるものと認識しております。当社グループは市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財務状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ等を投資管理規程に基づき、十分に精査し、また、投資委員会を開催することで投資対象の選定から調査方針の決定、投資判断にあたっての調査及び審査を行うことで、当該リスクを低減できるものと認識しております。
(16)海外での事業展開について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、タイや中国において事業を展開しており、今後シンガポールをはじめとする東南アジアや北米での事業展開も視野に入れております。海外での事業展開において、日本とは異なる法制度、商慣習及び労使関係や経済の動向並びに為替相場の変動、その他政治的及び社会的要因といった様々な要因の発生が見込まれ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが発生する可能性は常に一定程度あり、発生した場合、特に当社グループの成長に対して相応のインパクトがあるものと認識しております。当社グループは、これらのリスク低減を図るために、海外進出前の入念な調査、海外進出後のガバナンス体制の構築や、法制度、政治・経済・社会情勢の変化等の適時な把握体制の確立により、当該リスクを低減できるものと認識しております。
(17)新規事業について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、既存事業の更なる強化を行っていく一方で、新たな価値創出に向けて新規事業への取組みを行っております。新規事業開始から安定的な収益を獲得するまでには一定期間が必要であり、その期間は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業計画との著しい乖離等により事業縮小や撤退を決断した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当社グループは今後も新規事業の開拓を積極的に行っていくため、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループでは、「投資委員会」「経営戦略会議」のプロセスを経ること、新規事業の実行可能性評価を事前に実施することによりリスク低減を図っています。また、投資実行後は定期的なモニタリングを実施し、事業縮小や撤退の決断を行うことでリスク低減に取り組んでおります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が第5類に分類され、経済社会活動の正常化が進み、企業収益は総じて緩やかに改善の動きが見られました。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う世界的な資源・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締めに伴う円安の進行に起因する国内の物価上昇、イスラエルとハマスの武力衝突による地政学リスク等、先行き不透明な状況は継続しております。
当社グループの属する不動産市場におきましては、主力とする投資用不動産の市場は足元において拡大傾向にあると想定しております。また、国家戦略の「貯蓄から投資へ」、「資産所得倍増計画」の転換の受け皿として機能する点や、日本において賃貸比率の増加(厚生労働省 令和2年度版厚生労働白書)や中古住宅流通比率の増加傾向(一般社団法人不動産流通経営協会 「既存住宅流通量の地域別推計について」(令和5年2月))であることを踏まえると、投資用不動産のポテンシャルは高いと判断しております。
このような環境の中、当社グループは、RENOSYマーケットプレイス事業※及びITANDI事業にリソースを集中させ、マーケットシェア拡大による将来の利益最大化のため、成長投資を継続するとともに、不採算事業からの撤退、人材ポートフォリオ最適化による人材配置(異動)やDXによる効率化により人件費を圧縮、グループ会社移転などコーポレート機能を集約し、オペレーションコストを削減する等、収益構造改革も実施してまいりました。
※RENOSYマーケットプレイス事業は、主に投資用不動産の買取再販事業、不動産の売買・賃貸仲介・管理事業
(a)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ8,277百万円増加し、31,141百万円となりました。これは主に現金及び現金同等物が5,610百万円増加し17,452百万円となったこと及び、棚卸資産が2,127百万円増加し10,183百万円となったことによるものであります。また、非流動資産は前連結会計年度末に比べ2,137百万円減少し、30,210百万円となりました。これは主に投資不動産が3,303百万円減少し11,303百万円となったこと、のれんが488百万円増加し7,773百万円となったこと、無形資産が462百万円増加し4,464百万円となったこと、使用権資産が563百万円減少し1,862百万円となったこと及び、繰延税金資産が467百万円増加し1,463百万円となったことによるものであります。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ6,140百万円増加し、61,352百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ7,568百万円増加し、23,820百万円となりました。これは主に営業債務及びその他の債務が1,442百万円増加し3,516百万円となったこと、社債及び借入金が4,528百万円増加し10,447百万円となったこと及び、その他の金融負債が655百万円増加し2,550百万円になったことによるものであります。また、非流動負債は前連結会計年度末に比べ2,707百万円減少し、16,947百万円となりました。これは主に社債及び借入金が1,559百万円増加し4,496百万円となったこと及び、リース負債が4,261百万円減少し10,819百万円となったことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ4,861百万円増加し、40,767百万円となりました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,279百万円増加し、20,584百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,022百万円増加し989百万円となったことによるものであります。
(b)経営成績
当連結会計年度の業績は、売上収益146,647百万円(前年同期比29.1%増)、EBITDA※1 7,431百万円(前年同期比30.2%増)、事業利益※2 2,173百万円(前年同期比113.0%増)、営業利益2,211百万円(前年同期比117.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,010百万円(前年同期比162.7%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
①RENOSYマーケットプレイス事業
オーナーからの直接調達や新築コンパクトマンション等の商品ラインアップの拡充等による手数料率の改善施策の実施、サブスクリプションにおいて、スケールメリットを最大限活かすべくDX活用による業務効率化等を行ってまいりました。また、デジタルマーケティングを活用した効率的な集客によりRENOSY会員数も増加しております。その結果、主なKPIはRENOSY会員数※3 39.8万人(前年同期比約23%増)、ARPA※4 1,061百万円(前年同期比約20%増)、購入DX成約件数※5 5,621件(前年同期比約25%増)、売却DX成約件数※6 2,165件(前年同期比約61%増)、サブスクリプション契約件数※7 17,879戸(前年同期比約33%増)となり、売上収益、売上総利益、セグメント利益とも過去最高となっています。この結果、RENOSYマーケットプレイス事業の業績は、売上収益143,048百万円(前年同期比29.1%増)、セグメント利益6,564百万円(前年同期比32.7%増)となっております。
②ITANDI事業
改正宅建業法施行による市場ニーズの高まりの中、SaaS事業に対する費用対効果の高い投資を行ってまいりました。電子入居申込及び電子契約は業界シェアNo.1となるなど、仲介業者から高い評価を獲得しております。また、バーティカルSaaSの強みを生かして、導入社数増加に伴い、クロスセルでのプロダクト導入も伸長しております。その結果、主なKPIはARR※8 25.2億円(前年同期比約32%増)、累計顧客数2,681社(前年同期比約42%増)、導入プロダクト数8,487プロダクト(前年同期比約56%増)、チャーンレート※9 0.59%(前年同期0.47%)、ユニットエコノミクス※10 26.2倍(前年同期25.5倍)、ITANDI BB PV数956万PV(前年同期比約32%増)の達成など、黒字を確保しながら、高い成長率を実現しました。この結果、ITANDI事業の業績は、売上収益3,202百万円(前年同期比56.5%増)、セグメント利益702百万円(前年同期比149.5%増)となっております。
※1 EBITDA=事業利益+減価償却費(営業費用)
※2 事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費
※3 RENOSY会員数は2023年10月末時点での会員ストック数(会員登録した累計の人数)
※4 ARPAは、中古コンパクトマンションの通期売上収益を、当該年度の各月末時点のセールス人員数の平均値で除して算出
※5 購入DX成約件数はRENOSYマーケットプレイス内の投資、実需の購入成約件数の2023年10月期累計
※6 売却DX成約件数はRENOSYマーケットプレイス内の売却成約件数の2023年10月期累計
※7 2020年10月期第1四半期までは成約件数、それ以降は管理戸数で集計
※8 Annual Recurring Revenue。2023年10月末時点でのITANDI BB+の月額利用料金、従量課金、ライフラインサービスの収益の月末MRRに12を乗じて算出
※9 ITANDI BB+の2023年10月末時点での直近12ヶ月の平均月次チャーンレート
※10 1顧客当たり経済性。LTVをCACで除して算定した倍率、2023年10月末時点での直近12ヶ月の平均値
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,610百万円増加し17,452百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、6,798百万円(前年同期は2,238百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費5,257百万円、棚卸資産の増加額2,127百万円、税引前利益1,585百万円及び、営業債務及びその他の債務の増加額1,376百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、2,052百万円(前年同期は3,012百万円の使用)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出1,335百万円、企業結合による支出449百万円及び、有形固定資産の取得による支出322百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、808百万円(前年同期は2,686百万円の使用)となりました。これは主に、リース負債の返済による支出4,882百万円、長期借入れによる収入4,197百万円及び、短期借入金の純増額3,041百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b)契約実績
当社グループは、契約実績と販売実績が概ね同じであるため、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
RENOSYマーケットプレイス事業 |
143,009 |
129.0 |
ITANDI事業 |
3,188 |
156.9 |
その他事業 |
449 |
64.8 |
合計 |
146,647 |
129.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (a)財政状態」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
(売上収益及び売上総利益)
売上収益は、RENOSYの認知度向上やデジタルマーケティングを活用した効率的な集客により RENOSY会員数が順調に伸びたことで、RENOSYマーケットプレイスの販売件数が増加した結果、146,647百万円(前年同期比29.1%増)となりました。また、売上総利益率が高いイタンジの収益が伸長したことに加えて、従前より実施しているRENOSYマーケットプレイスの各種手数料改善施策の奏功及びサブスクリプションにおいてのスケールメリット効果、DX活用による業務効率化等により、売上総利益は22,622百万円(前年同期比36.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、EBITDA及び営業利益)
販売費及び一般管理費は認知度向上(利用意向向上)を目的とした広告宣伝費の積み増し及び主に人件費の増加により、20,448百万円(前年同期比31.9%増)となりました。
この結果、EBITDA※7,431百万円(前年同期比30.2%増)、営業利益2,211百万円(前年同期比117.9%増)となりました。
※EBITDA=事業利益+減価償却費(営業費用)
(金融収益、金融費用及び税引前利益)
金融収益が11百万円(前年同期比136.0%増)であったのに対して、金融費用が主に資金調達関係の支払利息や手数料により637百万円(前年同期比17.6%増)となりました。
この結果、税引前利益は1,585百万円(前年同期比232.0%増)となりました。
(法人所得税費用及び当期利益)
法人所得税費用は、主に税引前利益の増加により、566百万円(前年同期比512.4%増)となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,010百万円(前年同期比162.7%増)となりました。
(c)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は投資用不動産の取得、販売費及び一般管理費の広告宣伝費及び人件費、ソフトウエアの開発投資及びM&A等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入や社債による調達を基本としており、経済・金融環境の変化に備えた十分な手許流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めております。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を有しております。
当社は、2023年6月14日開催の取締役会において、M&A仲介事業及びコンサルティング事業を行う株式会社スピカコンサルティング(本社:東京都港区)の発行済株式を取得し経営統合することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.企業結合」に記載のとおりであります。
当社グループは「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」という経営理念のもと、AIを用いた価格推定や賃料推定、賃貸物件の空室期間予測、物件写真や間取り画像解析技術、地域や物件に関するスコアリング等の研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は