文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
製薬業界は、高度化する医療技術の進展や多様化する医療ニーズへの対応等により、今後も更なる成長が見込まれております。一方で、ジェネリック医薬品の普及等の薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化の影響等により、国内における医薬品販売高の成長については不確実な要素も大きくなっております。
また、近年の臨床試験の厳格化の傾向に加え、臨床試験の規模が拡大すると共に開発期間が長期化し、製薬業界では激しいグローバル競争が展開されていることから、新薬開発の効率化が製薬企業各社の課題となっております。
このような状況の中、当社はPepMetics技術によって「創薬不可能」だった標的を「創薬可能」にし、治療法のなかった病気を治療することを使命にあげ、独自の創薬基盤技術を拠り所としております。この技術の有用性を証明すると共に、この技術において業界をリードし、競争力を維持し続けることが重要な経営課題であります。
当社は現在、研究開発段階のものが多い状況であります。マイルストンの達成に応じて売上高が計上されてはおりますが、不確実性が高いため目標となる経営指標等は定めておりません。
一方で、将来的な成長の要素として、自社開発プログラム及び共同開発プログラムの進捗状況は重要であるため、経営指標として、研究開発における各段階のプログラム数の見通しを提示します。
現段階においては、早期の製品の上市を目指し、研究開発及び臨床試験の進捗状況、並びに研究開発資金と費用のバランス等を注視しながら、事業を推進しております。当社では、事業の進捗を測る指標として研究開発の各段階でのプログラムの数を管理しています。
研究開発では下記の4段階で進捗します。
これらのプログラムは全てが上位に進階する訳ではなく、一定の確率で目的の化合物が得られず中止となります。プログラムを進めるためには研究者及び資金等の多くの資源を必要とするため、一時期に並行して進められるプログラムの数には限界があります。当社では成功及び導出の可能性が高いプログラムに資源を優先的に配分することを重視しており、プログラムを始める際に明確な目標と期限を定め、進める中で想定外の状況が発生した場合にはプログラムを中止することがあります。その資源を新たなプログラムに配分することで、常時適切な数の有望なプログラムを揃える最適なパイプラインの状態を維持しています。
当社の事業は独自の創薬基盤技術を拠り所としており、この技術の有用性を証明すると共に、この技術において業界をリードし、競争力を維持し続けることが重要な経営課題であります。
① プログラムの推進
現在、エーザイ及び大原薬品とライセンスアウト契約を締結し、それぞれの製薬会社が主導して臨床試験を実施しております。ライセンスアウト先からのマイルストンは多額であるため、その臨床試験の進捗は当社の資金繰り計画に影響を与えます。ライセンスアウト契約先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等をステアリングコミッティ等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力して参ります。
新規の創薬プログラムは様々な事由で中止される可能性があります。そこで、現在当社で開発を進めております3つの自社プログラムに加えて、新規プログラムを毎年開始することにより、確度の高いプログラムに優先的に資源を集中し、新たなプログラムを継続して創出することを目指しております。
当社のPepMetics技術を活用し、最近数年間に複数の契約を締結することができました。これらの契約では、ヒット化合物の創出や研究開発が進む段階に応じてマイルストン収入が得られる仕組みになっており、契約先との密なコミュニケーションとサポートを行って進捗を推進して参ります。
今後も同様の契約を積み重ねていくことで、継続的な収益の基盤を構築することを目指しております。
また、より創薬基盤の価値を向上させるために有用性を示す技術開発も引き続き行う必要があります。
研究開発を進めるため、多様な人材の採用及び育成を強化する仕組みの構築に取り組んでいます。共同開発事業の拡大に向けたプロモーション活動の効率化を図るため、自社ウェブサイトの充実化、営業体制の効率化及び強化に努めて参ります。
継続的な収益化を目指す中、当事業年度末の現金及び預金は4,392,022千円であり、一層の事業の促進と並行してコスト削減及び財務基盤の強化も求められております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、社会、従業員、環境のサステナビリティを重視し、整合性を持った経営をしております。
当社の事業は、独自の研究開発によって患者様に新たな治療法とQOLの向上を提供し、また製造コストの低い低分子医薬品によってグローバルに低所得の国々にも治療へのアクセサビリティを提供いたします。
当社は、優秀な研究者が薬を創り出すという同じ目的に向かって連携し、公平に議論し、革新を生み出し続けることが創薬事業の継続的な発展にとって最も重要であることを経営の基本理念と位置付け、従業員の採用、教育、登用においては、人種、性別、年齢に関わらず創薬研究にかかる能力、意欲と実績を基準に判断しております。また、従業員の安全衛生並びに健康に配慮し、一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりに努めております。
環境面においては実験における廃棄物等のコンプライアンスを重視し、最新の設備を有する施設で環境に最大限に配慮した管理を行っております。
当社では取締役会がサステナビリティに関する全社的な活動を統括し、様々な課題に取り組む体制としております。取締役会では、研究開発の進捗及び組織の状況・課題の報告や、リスクコンプライアンス委員会からの報告がなされ、基本方針やサステナビリティに関するリスク及び機会について審議、監督しております。
② 戦略
「(1)サステナビリティに関する考え方」に記載のとおり、当社は、創薬基盤を構築する為のPepMetics技術を継続的に改良、発展させることが経営の基盤であると考えており、その技術(PepMetics技術)の改良、発展を支える人材の確保と育成、研究環境を中心とする社内環境の整備が成長戦略を実現するための源泉と考えております。そのため、成長戦略に沿って人員計画を立て、採用並びに育成のための活動を行い、経営と社員の密接なコミュニケーションを図ることで、優秀な人材がモチベーションを持って研究に取り組める環境整備に努めております。
当社では、リスクコンプライアンス委員会を設置し、各部門より適時リスク及び機会の報告を行い、緊急度と影響度の観点よりリスク及び機会の評価を行い、優先度順にレベル分けし、度合いに応じて取締役会でも審議され、リスク及び機会を低減・受容・回避・移転するのか対応方法を判断します。また、認識されているリスク及び機会はリスクコンプライアンス委員会で定期的に再評価を実施してリスク及び機会のコントロールに努めております。
人事面では、就業規則、給与規程、並びに人事考課規程を設け、公正並びに客観的な評価を行うように規定しております。
研究開発に関する規程では倫理評価について定め、環境並びに実験動物への倫理について適切な対応を図っております。
当社では、「(2) サステナビリティに関する取組 ②戦略」で述べたとおり、人材育成及び社内環境整備を重要な経営課題として取り組んでおりますが、組織が拡大中にあることで定点観測が困難である為、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりません。今後、成長を続ける中で適切な指標や目標の設定について検討を進めて行く予定です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社は、医薬品等の開発を行っておりますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各プログラムの研究開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のプログラムを有するバイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
一般的に医薬品開発は研究開始から承認まで長期間を要し、多額の研究開発投資が必要になりますが、他産業と比較して製品化の成功確率が著しく低い状況にあります。
医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から開発の延長や中止をする可能性があります。また、臨床試験で良い結果が得られた場合であっても、各国における薬事関連法規等の厳格な法規制等の適用のもとで審査を受けることが必要であり、製品開発中に施行される承認審査基準の変更により、承認が得られない可能性があります。
開発の不確実性による新薬開発の遅延により研究開発の期間が延長された場合には、追加の研究開発投資が必要になるほか、上市後の特許権の満了までの期間が短くなることにより将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、研究開発を中止した場合は、それまでに投資した資金を回収できなくなることになります。
医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在及び将来の開発品についても同様の不確実性のリスクが内在しております。
当該リスクに対しては医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保し研究開発を推進する体制の構築に努めております。その一環として、新薬の研究及び臨床開発の分野で豊富な経験を有するメンバーで構成したScientific Advisory Boardを組織し、助言を受けております。また、臨床試験の計画・実施に当たっては規制当局との事前相談等を通じて適切な助言を得て開発を推進して参ります。
医療用医薬品の販売価格は日本及びその他各国政府の薬価に関する規制を受けます。近年、日本では医療費抑制策の一環として、通常2年毎の医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品使用促進等の施策がとられております。欧米、アジアの国々等においても、医薬品の薬剤費低減への圧力は年々高まっており、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。
このような動向を受け、当社の製品の薬価が当社の想定を下回り、又は当社製品への需要が減退した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
現在、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後各国の薬事法(わが国においては「薬機法」)等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。
当社に適用される法規制を遵守できない場合、規制当局から行政処分やその他の措置を受ける可能性や、製品の回収更には製品の許認可の取り消し、あるいは賠償請求を受ける等当社や当社の製品に対する信頼や評価を棄損するほか、事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、パイプラインの拡充を図ると共に、医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保してプログラムを推進する体制の構築に努めております。
現在関与している訴訟は有りませんが、臨床試験に組み込まれた被験者の内賠償に該当する場合や、将来的に第三者の権利もしくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手方が侵害していると考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起される等、法的な紛争が生じる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。
最近のゲノム情報を用いた解析により、細胞内に存在するタンパク質同士が結合することでシグナル伝達が起こる経路に疾患の原因となる異常が存在することが次々と明らかになっておりますが、PPIに作用して効果を示す薬剤は、ほとんど知られておりません。これは、分子量の大きなタンパク質(数万~数十万)同士の結合を、分子量の小さい合成低分子化合物(数百)で制御することが非常に難しいことによります。(大きな分子は、細胞膜を通過しないため使用できない。)中でもヘリックス(タンパク質の二次構造の共通モチーフのひとつで、バネに似た右巻き螺旋の形をしています。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成しています。)構造は、模倣が難しく過去に有効な成功例は数例しか報告されておりません。当社はヘリックス構造を模倣する多くの骨格を合成し、広範囲な特許対策も実施しております。
しかしながら、資金力のある大手製薬会社が将来的に新規構造を持つ化合物を合成したり、特許抜けによる類似化合物を合成する可能性は否定できません。
このようなリスクに直面した場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、海外の製薬会社やCRO(開発業務受託機関)と多くの取引を行っており、受取及び支払は外貨建決済となります。従って、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼすこととなります。
当社は、新薬候補化合物を大手製薬会社等に導出し、導出先が販売促進活動し、マイルストン収入及びロイヤリティ収入を得るのが基本的ビジネスモデルです。共同開発事業についてはエーザイ、大原薬品との間でそれぞれ導出に関する契約を締結しております(後述の「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。既に導出を行った新薬候補化合物の臨床試験を実施中ですが、これらの試験結果が望ましくない場合や提携企業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、当初予定していた売上高が減少し将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、製品買収や製品・開発品の導入等に伴う不確実性により、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。
上記導出契約に加え、国内外の製薬会社との間で共同研究や研究協力に関する契約を締結もしくは今後の締結を見込んでおり、契約締結後、当社にとって不利な契約改定が行われた場合、当社の理念及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財政状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、新規提携先の拡充に向け複数の候補先と定期的なコミュニケーションの実施に努めております。
技術上の問題、使用原材料の供給停止、新型コロナウイルス・インフルエンザ等のパンデミック、火災、地震、その他の災害等により業務委託先の施設が閉鎖又は操業停止となる可能性があります。この場合、原体の供給や活性データの報告が妨げられ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、複数の委託先との業務提携体制の構築に努めております。
使用する原材料の安全性及び品質に懸念が発生した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと、それらを使用した研究開発結果への疑義等、業績や研究開発に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、複数の仕入先との業務提携体制の構築に努めております。
当社が事業を展開するペプチド模倣低分子技術は、今後市場規模が拡大した場合、国内企業のみならず、海外の大手製薬企業やバイオベンチャー等の参入も拡大し、競争環境が激化する可能性があります。
競合他社は、当社や当社の導出先よりも多くの経営資源又は研究開発や販売に関する豊富な経験を有している場合があり、これらの企業が当社や当社の導出先に先んじて研究開発を進めた場合のほか、当社が研究開発の過程で必要とする第三者の知的財産権について独占的な導出を受け、又は大手製薬企業と提携すること等を通じて、当該分野において当社よりも先行した場合、当社事業の競争上の優位性が低下する可能性や、当社の事業展開において当社が想定する以上の資金が必要となる可能性があります。
以上により、今後の競争激化が当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当事業年度末において従業員36名の小規模体制となっております。今後、業務拡大に応じて採用、経理人材の採用を通じて内部管理体制の拡充を図る方針です。
また、当社の代表取締役竹原大、取締役研究開発部長朴煕万をはじめとする現在の経営陣、研究開発活動を推進する各部門責任者及び少数の開発担当者はそれぞれが高度かつ専門的な業務に従事しており、当社の事業活動はかかる少数の主要な人材に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が今後パイプラインの拡充や、製品候補の製造又は販売を行う場合、従業員数及び事業範囲を拡大し、商業化等の担当者を採用、維持する必要がありますが、当社が事業の拡大を適切に管理し、適切な人材を採用できない場合は当社の成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は海外における事業開発活動については海外在住のコンサルタントを活用しており、契約が解除されることで一時的に業務に支障が生じる可能性はありますが、当社の役員及び従業員で補いつつ海外の他のコンサルタントに委託する等の対応を取る方針です。
当社は、当社の理念の浸透を図ると共に、専門分野毎の縦割り型ではなく、経営陣並びに従業員が自由闊達に議論を交わせるような組織づくりを通じ、やりがいを感じることができる風土を醸成すると共に、新規採用も含め社内体制の強化を進めて参ります。
当社は、研究開発により得られた成果に関して戦略的な特許出願を行っております。その結果、当事業年度末時点で13件(登録済8件、出願中5件)の特許を出願・登録し、今後、一層、知的財産権の確保のため、新規出願及び出願済特許の登録の増加を図っていく方針であります。しかしながら、出願した特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性があり、こうした結果、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 特許訴訟に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小)
当社は、提出日現在、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりませんが、医薬品開発事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者の特許が関連する可能性があります。当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、仮に相手方の主張が認められる可能性が低い係争であっても、係争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、製品候補の開発の停止等を命ぜられる等の事業上の制約を受ける等、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新たな開発に着手する際は、他社の特許権等を侵害しないことを確認する調査等によりリスクの低減を図ると共に、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。
当社は、当社の役員、従業員等に対して新株予約権を付与しております。提出日前月末時点において、これらの新株予約権による潜在株式数は4,291,000株であり、発行済株式総数35,954,800株の11.9%に相当しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のため、新株予約権の発行と付与を実施する可能性があります。従いまして、今後発行される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
当社は、情報セキュリティ、研究開発等に関する機密情報等及び個人情報の管理について、情報システムを活用しつつ、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱規程に沿って運用を行っておりますが、当社の役職員、提携先、取引先の不注意や故意、セキュリティ障害、第三者による攻撃等により、当社の研究開発等に関する重要な機密情報や個人情報が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は当該リスクを低減するため、当社の提携先及び取引先との間で守秘義務を含む契約を締結すると共に、規程に沿った情報管理の運用に努めておりますが、現在、当社はサイバーセキュリティ保険への加入も検討しております。
当社の創薬基盤の拡張・維持や自社開発事業は、多額の研究開発費用を必要とし、今後一定期間にわたって先行投資の期間が続きます。この期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。これまでも特定の事業年度を除くと営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、現状では共同開発事業からの収益に対して自社開発事業への投資並びに管理部門等の間接経費が上回っている状況です。
このため、安定的な収益源が先行投資を上回るまでの期間においては、研究開発の進捗等に応じて適切な時期に資金調達等を実施して財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミング又は適切な条件で資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる、又は株主の保有する権利に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、自社開発事業への先行投資の調整や早期の資金調達の実施に注力すると共に、金融機関からの融資、コミットメントラインなどの調達方法の多様化を検討して参ります。
新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、また当社の判断により調達資金を上記以外の目的で使用する可能性、当初予定していた研究開発対象とは別のプログラムがあり、その結果、資金の投資が期待される利益に結びつかない可能性があります。
当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品について製薬企業等と導出契約等を締結し、その対価として契約一時金、マイルストン収入及び製品の上市以降の販売に応じたロイヤリティ収入を得ることを基本モデルとしております。
一般的に医薬品等の開発期間については基礎研究開始から上市まで長期間に及ぶこと、製薬企業等からの収入は研究や開発の進捗に大きく左右されることが予見されます。
また、研究開発の進捗遅れが生じた場合や導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、導出契約先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等を定期的な会議等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力して参ります。また、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出す自社開発事業と、製薬会社の持つ創薬標的に対してヒット化合物を見出して導出する共同開発事業を組み合わせたハイブリッド事業モデルにより、一時的な収益計上の平準化、安定的な将来の利益拡大を目指して参ります。
当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
⑦ 自然災害、感染症等の発生について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中)
当社の事業所は神奈川県藤沢市及び東京都中央区に設置しておりますが、事業活動や研究開発活動に関わる設備及び人員は神奈川県藤沢市の施設に集中しております。そのため、周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、火災、テロ等が発生し、当社が保有する化合物のライブラリーの滅失、研究設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、危機管理対策要領を作成し、緊急事態発生時に速やかに状況を把握し、迅速かつ適切な対処で被害を最小限に食い止められるような体制づくりに努めております。
当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。また、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の所有割合は当事業年度末時点で53.38%であります。当社の株式公開後において、当社の株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
当社が職務発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の対価」を支払うことになります。当社では、共同発明の持分比率や相当の対価の支払い請求等に問題が生じる場合を想定し、その取扱いについて職務発明等取扱規程を制定しております。これまでに発明者との間で対価の支払い等で問題が生じたことはありませんが、そのような問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び純損失を計上していることから、当社はこれまで配当の実績はなく、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。しかし、株主への利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来において安定的な収益の獲得が可能となる場合には、財政状態及び経営成績を考慮した上で、利益配当についても検討して参ります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。
当社は、独自のペプチド模倣技術を駆使してタンパク質/タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction, PPI)を阻害する低分子を用いて新薬を開発することを目指し、10年以上にわたる研究開発の結果、臨床開発化合物を見出し、数多くのシード化合物を生み出しています。この独自の創薬基盤をPepMetics®技術として発展させ、これまで創薬が困難とされてきた標的に対して有望な化合物を見出す技術を確立してきました。PepMetics技術によって、細胞内のシグナル伝達を制御することで、ガンなどの難病を根治するための治療薬の創出を目指しており、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出す自社開発事業と、製薬会社の持つ創薬標的に対してヒット化合物、リード化合物、又は臨床候補化合物を見出して導出する共同開発事業を行っています。
自社開発事業では、導出した2つの臨床開発プログラムがそれぞれ第Ⅱ相臨床試験を実施しており、進捗しているものの当事業年度におけるマイルストン収入はありませんでした。また、新規標的に対する3つのプログラムの開発を進めておりますが、将来の収益のための投資の段階にあります。
一方で、共同開発事業では既存の提携先とのプログラムによる収益に加え、当事業年度にLilly及び小野薬品との新たな契約を締結し、契約一時金及び共同研究費を得ています。これらは共同研究における次のマイルストンまで、一定の期間にわたり収益の認識がなされるため、継続的に収益を得られる見通しです。
費用面ではプログラムの増加及び研究機能の増強に対応して組織を拡大しており、増加傾向にあります。
従業員数は前事業年度末22名から当事業年度末36名に増加し、従来の有機合成中心の組織から生物、構造生物の機能も拡充しました。また、生物評価系設備及び化学系設備の購入も進め、それらの減損損失により216,784千円の特別損失を計上しています。これらの拡大投資によって、自社開発及び共同開発を含めて7つのプログラムを並行して進め、また共同開発では合成、評価を当社で行う総合的な創薬提案が可能になりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は305,620千円(前年同期比170.6%増)となりました。
費用につきましては、販売費及び一般管理費については942,931千円(前年同期比63.3%増)となりました。その内訳は、研究開発費が571,628千円(前年同期比68.7%増)、その他販売費及び一般管理費が371,303千円(前年同期比55.7%増)であります。
この結果、営業損失は782,392千円(前事業年度は496,868千円の営業損失)、経常損失は831,518千円(前事業年度は497,550千円の経常損失)、当期純損失は1,049,514千円(前事業年度は526,914千円の当期純損失)となりました。
なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績の記載を省略しております。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して3,317,140千円増加し、4,528,566千円となりました。流動資産は、前事業年度末と比較して3,285,490千円増加し、4,483,094千円となりました。これは主に、現金及び預金が3,258,079千円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前事業年度末と比較し31,650千円増加し、45,472千円となりました。これは人員増によるラボスペース増床に伴う敷金及び保証金31,650千円の増加によるものであります。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末と比較して962,254千円増加し、1,025,665千円となりました。流動負債は、前事業年度末と比較して956,628千円増加し、1,019,869千円となりました。これは主にLilly及び小野薬品との共同研究及び導出契約に基づく契約負債が886,911千円増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して2,354,885千円増加し、3,502,901千円となりました。これは主に、当期純損失1,049,514千円を計上した一方、資本金及び資本準備金を3,404,400千円計上したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ3,258,079千円増加し、4,392,022千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度において営業活動により獲得した資金は、150,144千円(前事業年度は513,811千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失1,048,203千円を計上した一方、契約負債が886,911千円増加し、非資金項目である減損損失を216,784千円計上したこと等によるものです。
当事業年度において投資活動により支出した資金は、244,187千円(前事業年度は40,377千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出205,787千円及び、敷金及び保証金の差入による支出49,936千円があったこと等によるものです。
当事業年度において財務活動により獲得した資金は、3,370,055千円となりました。これは主に、株式の発行による収入3,390,902千円があったこと等によるものであります。
当社は直接的な生産活動は行っておらず、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。
当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。
販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(注) 前事業年度及び当事業年度のいずれかが10%未満の場合、記載を省略し、「-」表示しています。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。
経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、過去における増資資金及び株式公開における調達資金で賄う予定であります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資等を予定しております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。
当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
共同開発及び導出契約
当社の研究開発活動における当事業年度の研究開発費は、
当社は、PPIを制御する低分子化合物の創薬基盤技術を用いた新薬の研究開発を行っております。当事業年度末時点において、研究開発部に従業員29名が在籍し、創薬のための新規化合物の設計、合成、分析、評価等の業務を社外のコンサルタント、研究機関や受託研究機関等も積極的に活用し、効率的、効果的に運営しております。
当社では基盤技術の根幹となる高度な合成化学を研究、実施するための施設を保有し、汎用的な合成については外部の受託研究機関を用いることで、機密情報を守りつつ固定費を削減しております。
当事業年度における研究開発活動の詳細は下記のとおりであります。
Wntシグナル伝達経路は、ガン、線維化などを制御するタンパク質のネットワークであり、創薬標的として広く研究されています。Wntシグナルは、細胞が「ガン化」「線維化」する際のみならず、細胞が「分化」して正常に機能する際にも重要な機能を果たすため、Wntシグナルを止めることは副作用にもつながります。従来の技術で開発されてきたWnt阻害剤は、Wntシグナルを上流から全て止めてしまうため、強い毒性を示して開発が中止されてきました。
E7386及びPRI-724は、そのような毒性を示すことなく、治療薬として必要な安全性を可能とするコンセプトのもとで創出された化合物です。Wntシグナルは、細胞核内でβ-カテニンがCBPという転写因子タンパク質に結合することでスイッチが入りますが、PepMetics化合物は、このCBPに結合し、CBPとβ-カテニンの結合を阻害します。一方で、PepMetics化合物はCBPと似た別なタンパク質であるP300とは結合しないため、β-カテニンとP300によるWntシグナル経路は機能します。その結果、PepMetics化合物はWntシグナル全体の機能を止めることなく、「ガン化」「線維化」を止めることが可能となります。
エーザイと共同開発したCBP/β-カテニン相互作用阻害剤である経口剤の化合物(E7386)は、2017年7月から固形ガン患者を対象として第Ⅰ相臨床試験を英国で進め、日本においても、2019年3月に固形ガンを対象として臨床試験を開始しました。2021年11月には複数の臨床試験結果に基づき、本剤の臨床におけるPOC(Proof of Concept)を達成しました。
2021年10月には、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下、「Merck」という。)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法での臨床第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験を開始し、第Ⅱ相パートに入りました。
当事業年度においては、2024年9月に開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)年次総会で、子宮体ガンに対するE7386とレンバチニブ(※)の併用試験の中間解析結果(データカットオフ:2024年5月16日)のポスター発表があり、E7386とレンバチニブ併用の管理可能な安全性と、予備的な抗腫瘍効果が確認されました。本試験は、抗PD-(L)1 免疫療法及びプラチナ製剤を含む化学療法後に増悪した進行子宮体ガン患者を対象とした、非盲検臨床第Ⅰb 相試験(NCT04008797)です。ポスター発表では、これまでに投与された16名の患者において、管理可能な安全性プロファイルが示されました。また、部分奏効 (confirmed PR、腫瘍の大きさが30%以上縮小)が44%(7名)、腫瘍安定(SD、腫瘍の大きさが-30%~+20%)が25%(4名)でした。引き続き、残りの患者への投与が進行しています。
※ レンバチニブ: 本剤は、エーザイが創製し、エーザイとMerckが提携契約のもと、共同開発及び共同商業化を行っています。
b PRI-724
当社が2008年に見出したCBP/β-カテニン相互作用阻害剤である注射剤の化合物(PRI-724)は、2018年5月に大原薬品に導出しました。
前事業年度には大原薬品が主導してC型及びB型肝炎ウィルス及び非アルコール性脂肪肝炎(Non-Alcoholic SteatoHepatitis; NASH)に起因する肝硬変患者を対象とする第Ⅱ相臨床試験を開始し、導出契約におけるマイルストンを達成して一時金を受領いたしました。当事業年度も引き続き第Ⅱ相臨床試験を継続しています。
従来進めてきたeIF4E/eIF4G阻害剤である4E-BP1模倣化合物のプログラムは、リード化合物の最適化を進めております。eIF4EとeIF4GはCAP依存性翻訳複合体の主要構成因子であり、mRNAの情報からタンパク質を生成(翻訳)する役割がありますが、このCAP依存的な翻訳機構が特定のガン種においては破綻して過剰に働くことにより、ガン細胞の増殖が進行しています。このような細胞内での翻訳が過剰にならないよう、本来は4E-BP1というタンパク質がeIF4Eに結合することで制御されていますが、ガン細胞では上流のPI3K/Akt/mTOR経路が活性化され、4E-BP1の機能が無効化されています。本プログラムにおいては、PepMetics技術を用いて4E-BP1の模倣化合物を作り、過度な翻訳を制御することを試みています。
治療標的となるガン種としては、たとえばTNBC(トリプルネガティブ乳ガン)では約42%、膀胱ガンでは約43%の患者において本経路が活性化されており、4E-BP1の模倣化合物はこれらガンに対する分子標的薬として期待されております。アメリカ・日本・ヨーロッパ主要国でのこれら活性化されている対象患者数は、TNBCで約13万人、膀胱ガンで約40万人と見積もることができ、更にはこれらガン腫に対する分子標的薬が無いことから、マーケット的に大きなインパクトがあると考えられています。
本プログラムは過去に見出された候補化合物で複数の評価系での整合性が取れなかったことから、当事業年度は評価系の再構築を進め、2024年7月に整合性が確認できたことから新たな評価系を使って最適化合成を再開しております。今後AIも活用しながら最適化を進め、1~2年後には臨床候補化合物を見出すことを目標にしています。(図16)

※1:開発、販売地域はアライアンス先の開発・販売戦略毎に異なります。上記の情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれています。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しとは大きく異なる可能性があります。導出された製品候補については、パートナーが今後の開発・商業化の第一義的な責任を負います。
※2:開発地域は当該臨床試験の実施国が属する地域を記載しております。 情報は、2024年11月9日時点でのjRCT又はClinicalTrials.govに基づくものであり、変更になる可能性があります。
※3:開発プロセスイメージにおける臨床試験期間は、2024年11月9日時点でのjRCT又はClinicalTrials.govに基づくものであり、変更になる可能性があります。また、臨床試験期間は、当該臨床試験の開始日(予定日)・終了日(予定日)を参照しております。開始日について、症例登録開始日(予定日)、被験者登録組入日の開示がある場合は当該時期を開始日として参照しております。 (図16)
前事業年度に開始したプログラムではヒット化合物が同定され、リード化合物に向けての開発を進めておりましたが、期間内に目標の成果に達しなかったため中止いたしました。当事業年度に新たに1つのプログラムを開始し、ヒット化合物探索を進めています。
また、新たなプログラムを立ち上げるための創薬標的の評価を継続的に進めており、今後は毎年2つのプログラムの立ち上げを見込んでおります。
自社開発プログラムでは標的探索を定常的に行っており、ヒット化合物探索からプログラム数を管理しています。
FEPを含め、進捗段階毎の実施中のプログラム数の経過は下記のとおりです。
当社は、PepMeticsの創薬基盤を活用して製薬会社が選定した創薬標的に対してヒット化合物を見出して創薬を進める事業を行っております。
当事業年度末時点で国内外7社と共同研究契約を締結しており、引き続き他の国内及び海外製薬企業との共同研究契約等の交渉を進めております。
共同研究を実施している進捗段階毎のプログラム数の経過は下記のとおりです。