文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念
当社グループは、「元気な街、心豊かな暮らし」を経営理念としております。「私たちが住み、働く街を元気にする、活性化する。そして私たちが関わる全ての人に幸せになってもらう、心豊かな暮らしを送ってもらう。そんな社会を実現したい」これが当社グループの経営理念の根幹であります。この経営理念のもと、“ライフスタイルに合った良質な「すまい」を提供し、持続的に発展する「まち」を作る”をミッションとし、九州全域と山口県にて事業を展開し、お客様一人ひとりに寄り添った「すまい」の提供を行っております。
以下は大英グループの価値創造ストーリーであります。
世の中の課題をどのように捉え、自社の強みや戦略を活かし、どのような社会を成し遂げたいかを1枚にまとめました。
(2)経営方針
当社グループは「地域愛着経営」を経営方針としております。
①地域の課題を解決する
②地域の魅力を創造する
③地域のコミュニティと共存する
この3点を地域愛着経営のテーマとし、地域に根差した事業展開を行うことで、地域の皆様に愛され、必要とされる会社を目指してまいります。当社グループの「地域愛着経営」の形として、まずは当社従業員が働きがいを感じ、モチベーションに基づく接客や商品・サービスの改善・強化を行うこと、関係業者の方々との継続取引の中でその想いを伝達しながら商品づくりを行っていただく、そしてその商品をご購入いただくお客様の満足度が高まる、その喜びが従業員のモチベーションや働きがいに繋がる、この循環が回ることで、地域の皆様や株主・投資家の方々への期待感へつなげていく、これが、「地域愛着経営」が実現できた時の形だと考えております。
(3)当社の人材採用・育成方針
当社グループの経営方針の軸となる従業員の採用、育成の軸としているものが、以下の3点です。
(当社では以下を「大英バリュー」と呼んでおります)
①人を大切にしている
②溌剌としている
③向上心がある
お客様の想いを預かる大切な仕事だからこそ、いつも元気で溌剌とした対応にて、お客様や取引業者、そして一緒に働いている仲間を大切にしながら業務を遂行し、従業員個々人の日々の成長へと繋げたいと考えております。
(4)経営環境並びに中長期的な会社の経営戦略
当社グループは第55期からの3ヶ年(2023年9月期~2025年9月期)における成長戦略を開示いたしております。「地域愛着経営」の方針を基に、地域に愛され必要とされる会社を目指すべく、重点戦略として3点、そして中長期的に当社共通で取り組む共通戦略を3点設定しております。
重点戦略①住まいのワンストップ体制の構築
中長期的に、これまでの事業別組織からエリア別組織への移行を目指し、重点エリアとするエリアの中で、ワンストップで住まいやサービスの提供ができる体制を整えます。
②事業領域の拡大
人口・世帯数の減少を見据え、重点エリア内でのひとりのお客様との関係性を深め、住まいだけでない、生涯におけるサービスの提供や新たな事業の拡大を目指します。
③組織風土・人材戦略
ワンストップ戦略、事業領域を拡大するうえで、業務改善や組織風土の変革、人材の育成方針や評価制度の見直しを行う必要があります。チャレンジしながら成長する組織を目指してまいります。
共通戦略①DXの推進
不動産テックの推進として、土地情報、お客様情報の一元化、メタバースの活用幅を広げてまいります。
②SDGsへの取組み
現在既に着手している、地域産木材の活用、建築端材の活用、そして今後は主要事業である分譲マンションや分譲住宅の環境配慮型商品の開発などを強化してまいります。
③少子高齢化への取組み
お客様への商品・サービスの拡充、また当グループ従業員の働きがいの2軸にて取組みを行っております。
3ヶ年におきましては、上記の重点戦略、共通戦略のもと事業を推進してまいります。
(5)優先的に対処すべき課題
当社グループが属する住宅、不動産業におきましては、建築資材の高騰、金融情勢など、経済環境は刻々と変化しております。このような経済環境が変化する中、経営資源の効率化と多種多様な「すまい」の提供に邁進し、経営理念である「元気な街、心豊かな暮らし」の実現を目指してまいります。
① 利益率の低下
資材価格の高騰や2024年問題による運送費、人件費の高騰などの影響により、建築価格は高騰し続けており、物価上昇に対する実質賃金の低下や、住宅金利上昇リスクの高まりにより住宅検討者のマインドは低下傾向にあるなど、事業環境は刻々と厳しさが増しております。
当期は建築原価が高騰したものの、一部について販売価格への転嫁が行えなかったこと、過度に増加した販売用及び仕掛販売用不動産の在庫数を適正にするために、価格改定を行い、販売を促進したことで、分譲住宅、土地分譲、中古物件の買取再販にて利益率が大幅に減少いたしました。
利益率改善のための課題としては以下が挙げられます。
1. 事業回転日数の長期化
主力商品である分譲マンションや分譲住宅等不動産の事業におきましては、土地の仕入れから建築・お客様への引渡しまで長い期間を要します。当期は完成在庫が増加したことから、完成からお客様への引渡しまでの期間も長期化いたしました。2024年問題における工期の長期化が懸念される状況にあり、建築工期の短縮化が厳しい状況ではございますが、土地の仕入れから着工、完成からお客様へのお引渡しの期間を短縮することにより、事業回転日数を短縮できると考えております。そうすることにより、値引等の抑制、未完成の状態で販売を行うことによる付帯売上の増加、商品改善の早期実施、プロジェクト融資金額の圧縮を図り、利益率の改善を目指してまいります。
2. 商品力の向上
建築原価の高騰分を販売価格へ転嫁できない中、高騰した販売価格でも選んでいただける商品の企画力向上が求められております。顧客ニーズに合わせた付加価値の高い住宅商品の開発を行うこと、また顧客層の変化に伴う集客手段の変革なども併せて行ってまいります。
3. 土地の仕入れ精度の向上
住宅・不動産の販売においては、立地条件の良い物件は高価格帯でも販売が好調である等、立地条件の良さは、お客様の最も重要な判断材料となる要素であります。当社の最も強みである土地情報の収集において、土地仕入れ数を増加させるのではなく、よりニーズの高い土地に絞り、仕入れを行うことで、利益率の向上を目指してまいります。
② 売上の偏重
当社の主力事業である分譲マンション事業におきまして、当期は第4四半期にて8棟405戸の引き渡しを行ったことで、大きな売上の偏重が生じております。この偏重におきましては、震災によるリスクや引渡し業務やアフターメンテナンス時期の偏りなど、社内外において大きなリスクがあり、改善が必要です。次期におきましても、大型物件の竣工が第4四半期にあり偏重が想定されております。分譲マンションは土地の仕入れからお客様への引き渡しまで2~3年の期間を要する事業であるため、中長期的に偏重を緩和させるよう仕入れ計画を改善させてまいります。
また、分譲マンションの偏重を一定程度見込み、他事業の売上計上にてその偏重を緩和させることも必要です。事業回転日数の速い、分譲住宅や中古物件の買取再販などにおいて売上計上の平準化を図ってまいります。
※次期(2025年9月期)のマンション事業の売上計上予定棟数
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
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竣工予定棟数 |
0棟 |
2棟 |
3棟 |
3棟 |
③ 新規事業およびストック事業の強化
当社は10ヶ年経営戦略にて、事業展開エリアを九州・山口とし、その事業展開エリアにおいて「地域愛着経営」を行っていくことを方針としております。人口減少やライフスタイルの変化など、事業環境が変化する中、主力事業である分譲マンションや分譲住宅に加え、商品の幅を拡大させること、また、安定した財務体質を構築することは必須と考えております。
当期におきましては、当社の不動産における強みを活かした宿泊事業を開始いたしました。
分譲事業を主軸で行ってきた中、新たな事業を立ち上げ事業の柱にしていくことは簡単なことではなく、一定期間要すると考えております。自社内においては組織開発、人材育成を行うと同時に、自社のみならず、他社との協業、専門スキルを持った人材の採用なども踏まえ、長期的な企業の発展を目指してまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業を継続的に安定成長させるためには、利益の確保が重要であることから、当社グループは売上高経常利益率を重要な経営指標として認識しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティの基本方針
当社グループは、サステナビリティの基本方針として、以下の4点を基本方針としております。
「元気な街、心豊かな暮らし」の経営理念に基づき、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーとの対話と協働を通じて、自らの成長とともに持続可能な社会の実現を目指してまいります。
①価値あるライフスタイルの創造
新たな価値の創造により、人々の暮らしの豊かさの向上に貢献します。
②コミュニティの形成
ステークホルダーとのコミュニティを形成し、皆様と共に発展します。
③高品質で快適な空間の提供
お客様満足度の高い商品の提供を通じて、快適で安全な生活を支えます。
④環境・文化の醸成
持続可能な環境、そして文化活動の機会提供で、生活水準の向上に貢献します。
(2)ガバナンス
環境、社会課題に対する戦略の策定や迅速な意思決定に向け、健全で透明性のあるガバナンス体制が必要であると考えております。そのうえでサステナビリティの実行部門、及び「リスクマネジメント委員会」を社長直轄部門である社長室に設定しております。今後、サステナビリティに関する達成指標の策定、及びその推進と定期的な進捗報告を行う体制の構築を行ってまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、「リスクマネジメント委員会」を中心に各事業、部門責任者と供に、事業運営上の中長期的なリスクに関し、当社を取巻く外部環境、内部環境の変化を洗い出し、リスクと機会の特定を行っております。リスク評価を行ったのち、優先順位の高い取組みについて、取締役会にて四半期に一度進捗確認をしています。
(4)人的資本
人的資本経営に向けた、具体的取り組み目標設定が現段階において行えておりません。
当社の現状の把握、課題の抽出から、当社として目指す指標を設定してまいります。
今後人的資本経営における目標設定等を行っていくうえでの当社、当期の現状です。
・役員・執行役員の男女比率 男性 100% : 女性 0%
・管理職の男女比率(執行役員を除く) 男性 93% : 女性 7%
・全従業員の男女比率 男性 65% : 女性 35%
・全従業員の年代
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20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
60代~ |
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構成比率 |
35% |
32% |
19% |
8% |
6% |
・その他人材にまつわる当社の現状
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54期 |
55期 |
56期 |
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100% |
100% |
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0% |
30% |
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入退社の人数 |
入社 |
48名 |
54名 |
39名 |
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退社 |
27名 |
26名 |
33名 |
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7.7% |
7.2% |
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(注)1.管理職には課長以上の役職者が含まれています。
現状の取り組み
働きがい ・ 組織診断にて組織課題を抽出、課題に対してPDCAで施策を実施
・ 社内外研修の実施 2024年9月期研修費47千円/一人当たり
挑戦・成長 ・ チャレンジ機会創出のための、新規事業・グループ会社への社内公募実施
・ スペシャリスト、ゼネラリスト育成のためのジョブローテーション実施
・ 各組織目的に応じた人事評価制度
多様性 ・ 当期の新卒、キャリア採用の比率 新卒44.4%:キャリア採用55.6%
・ OB従業員と社員の交流イベントを通じた連携強化、復職サポート
現状の課題 :①役員・執行役員に女性が不在。管理職以上の女性比率が低水準であること
②新卒中心の採用方針により、理念等が浸透しやすい一方、専門スキルの高い
人材採用が少ないこと
③中長期的VISIONに向けた、専門人材、事業長クラスの育成スピードが遅いこと
今後これら現状を踏まえ、目標設定を行ってまいります。
(5)その他
サステナビリティ基本方針に基づいた当社の取組
大英グループは、「SDGsを通じて元気で心豊かな未来を創る」取組みを推進してまいります。
当社の取組みは以下の通りです。
①環境配慮型の住宅の建築・販売を開始
分譲マンション、分譲住宅の主力事業において、環境配慮型商品としてZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)商品の建築、販売に取り組んでいます。2024年2月に販売を開始した「ザ・サンパーク春日原駅レジデンス」はマンションタイプのZEH住宅である「ZEH‐M Oriented」に当社として初めて認定された、省エネ性能と断熱性能を向上させたマンションです。
エネルギー資源の効率的活用による温室効果ガス削減のため、今後の新規供給物件においても、環境配慮型の住宅供給を推進してまいります。
②建築端材の廃棄量を削減
分譲住宅の建築現場で発生する木材の廃棄量削減を目指し、ネームプレートやコースター・表彰トロフィーなどにアップサイクルする端材活用の取り組みを推進しております。中でも、当社グループが主体となっている「じゃぱんみらいキッズプロジェクト 出張こども大工」は、端材で木工キットを制作し、幼稚園・保育園や地域のイベントでこどもたちに大工体験の機会を提供しているものです。木工キットの制作は、シニア大工や障がいのある方に依頼することで雇用や働きがいの創出につながっており、現在では、地域の企業・団体・大学と共にパートナーシップで取り組んでいるため、継続性のある活動となっております。
持続可能な社会への実現のため、さらに端材の活用を推進してまいります。
③国産木材および地域産木材の活用
当社では国産木材および地域産木材の活用に積極的に取り組んでおります。分譲住宅の建築において、1棟ごとに輸入木材と国産木材を併用しており、当期の全ての分譲住宅において国産木材を使用しております。また、地域産木材として2024年10月から新たに、北九州市産木材の活用を開始し、当期は55棟の分譲住宅に使用いたしました。そして、住宅建築に限らず、より多くの地域産木材利用を促進するため、木材ブランド「KITAQ WOOD」の立ち上げを行いました。木材のトレーサビリティと炭素貯蔵量の見える化を協定5者で連携して取り組みながら、木材の切り出しと植樹を積極的に行うことで林業・木材産業の活性化と森林循環によるカーボンニュートラルの実現を目指しております。
④多世代が住まう街づくり
分譲マンション
当社の分譲マンションにおいては、世帯数やお客様の価値観の変化に合わせ、従来の3~4LDKのみならず、1LDKや2LDKのマンションの建設も行っております。従来、分譲マンションはバリアフリーの建物でありますが、サンパークマンションにて独自のコーディネートシステムを導入するなど、よりお客様の要望に沿った住戸の設計が可能となっております。
分譲住宅
分譲住宅においても従来の2階建てや平屋の分譲住宅等、シリーズ展開を増やしております。また、当社分譲住宅の土地の仕入れにおいては、新たに山を切り崩したような大型団地の開発ではなく、一戸建てが立ち並ぶ住宅街の中において売却に出された用地に建築しております。空地や空家の問題の対策と併せ、その従前の住宅街の中に小さな子供の声が広がり、近くの公園が賑わう、だんだんと人が少なくなっていく街に活気が戻るような街づくりを目指しております。
当社グループの事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
これらの事項に対しましては、当社グループのリスクマネジメント委員会主導のもと、優先順位に基づき、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき課題の取組みと共に、将来の業績への影響を軽減させる方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)通期を通した資金繰りについて
①融資について
当社グループの事業については、多額の資金が必要になります。多額の資金を自己資金で賄うことは現実的ではなく、金融機関等の借入金により、各事業のプロジェクトを遂行しております。経済環境の変化により、金融機関の融資条件等がより一層厳しくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②有利子負債について
当社グループは、原則として、プロジェクト案件ごとに用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じた金融機関からの借入金により調達しており、下表のとおり有利子負債依存度が高い水準で推移しております。なお、当社グループにおいて、「短期借入金」、「1年内返済予定の長期借入金」、「リース債務」、「長期借入金」が有利子負債に該当いたします。
また、運転資金については、原則として手許資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、一部金融機関からの借入を実施しております。近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、将来において金利が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の方針が変更された場合、プロジェクトの進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。
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決算期 |
総資産(百万円) |
有利子負債(百万円) |
有利子負債依存度(%) |
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第52期連結会計年度 |
32,302 |
17,967 |
55.6 |
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第53期連結会計年度 |
30,252 |
18,092 |
59.8 |
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第54期連結会計年度 |
38,375 |
23,410 |
61.0 |
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第55期連結会計年度 |
39,829 |
24,821 |
62.3 |
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第56期連結会計年度 |
41,675 |
24,759 |
59.4 |
③現金及び預金残高の増減について
マンション事業においては、その性質上、竣工引渡時に一斉に売上代金を回収するため、一時的に現金及び預金の残高が大幅に増加し、その後の数ヶ月間で工事代金の最終金決済やプロジェクト資金の返済が行われるため、大幅に減少いたします。竣工時期に偏りがないような用地仕入、並びにゼネコンとの工事請負契約締結のスケジュール組みに着手しておりますが、想定通り進まない場合、当社グループの財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
尚、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業及び財務上の課題 ②売上の偏重にも記載の通り、完成時期、引渡し時期が偏ることによる売上の偏重は、資金繰りを不安定にさせる大きな要因となっております。通年で安定した売上を確保することで有利子負債や現預金の波を緩やかにできるため、売上の偏重は当社の優先して取り組むべき課題として捉えております。
(2)不動産市況等について
当連結会計年度における不動産業界におきましては、諸外国の地政学的問題、円安基調の継続、働き方改革関連法に伴う「2024年問題」、また、当社グループの事業展開エリアである九州・山口の人口や世帯数の推移、顧客の価値観の多様化等、外部環境の変化による影響を非常に受けやすく、これら環境の変化における対応が求められております。
①人口動向について
当社グループの事業エリアである九州・山口エリアは、総人口の減少と少子高齢化が進んでおり、今後、その傾向はますます強まることが想定され、これまで増加傾向にあった世帯数においても将来的に減少傾向に転じることが予測されております。このことにより、特に住宅事業の主な購入者層である20~40代の子育て世代は、減少していくことが確実視されます。今後は、従来の北九州近郊から事業エリアを広げて顧客を確保すること、多様な家族構成・価値観に合わせた商品開発を展開し、住まいシェアを確保するなどの対策を検討しなければなりませんが、対策がうまくいかなかった場合、売上が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②金融機関による利上げ
米国での利上げにより米国の住宅需要は減少している状況にあります。日本においては、大手金融機関で一部利上げはあったものの、当社グループにおけるお客様の多くが利用される地方銀行等の住宅ローン金利は、現段階での利上げはみられておりません。しかしながら、住宅ローン金利が上昇した場合、顧客の住宅ローン返済額の増加や借入限度額の減少による購入可能な顧客の減少、住宅購入マインドの低下などが起こる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③原材料・資材価格等の高騰について
当連結会計年度においては、円安による国外資材、エネルギー価格の高騰など、国内外市場の動向により大きな影響を受けました。建築コストは売上原価の主要項目であり、原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、原則として上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材の不足並びに育成について
住宅・不動産及び建築人材においては人材不足が大きな問題になります。当社グループとしては、従業員の働きがいを高め、積極的な事業展開により在職者、求職者にとって魅力的な企業となるべく努力をしてまいりますが、予想を大幅に上回るような退職者が発生した場合や、必要な人材確保及び育成が計画通りに進まない場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業展開に合わせた適材適所の人員配置、業務改善による効率化、継続的な成長を達成するための優秀な人材採用と育成が重要であると考えております。
(4)機密情報及び個人情報の漏洩について
当社グループでは、事業の性質上、常時多数のお客様の個人情報をお預かりしている状況にあります。個人情報については、プライバシーマークを取得し、個人情報保護基本規程等に基づいて厳重に管理しております。また、社内では個人情報だけではなく、インサイダー取引に抵触する情報も取り扱います。漏洩を防ぐため、個人情報保護委員会やリスクマネジメント委員会を設け、当社グループの従業員等に対する定期的な教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を行っております。しかし、これらの対策にもかかわらず機密情報及び個人情報が外部に漏洩した場合には、社会的信用が著しく低下する上に、多額の損害賠償金等が発生、業務停止など、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)突発的災害等によるインフラ機能の低下
当社グループでは、膨大な情報をサーバーにて管理しております。各事業の業務を迅速かつ適正に進めていくために欠かせないシステムですが、災害によるシステムダウンやハッキング、メール等からのウイルス感染によりシステムの機能不全に陥った場合や、本社社屋及び各事業所などの固定資産の老朽化が進み、災害による機能不全や適切なメンテナンスが計画通りに進まない場合は、事業の遂行が遅延、停止するため、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害
自然災害のリスクとしては、1点目にお客様に提供した住まいに関するリスク、2点目は当社従業員や関連企業の方々、地域の方など、関わる全てのステークホルダーの安全リスクです。
リスクの備えとして、BCPの策定、災害対策本部の勉強会及びシミュレーション、安否確認システムの構築・運用訓練、災害備蓄品の設置などを行っております。
しかしながら、当社グループ事業エリアにおける震災、また、広域で被害予測される南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)各種ハラスメント
ハラスメントのリスクとしては、主にセクシャルハラスメント、パワーハラスメント等の従業員の安全、安心な職場環境の確保に関するリスクです。当社の役員および管理職はもちろん、すべての従業員に関わるリスクであり、ハラスメントにより従業員が十分な能力が発揮できなくなり、生産性の低下や人材流失、企業イメージの低下による採用の不足等に繋がるため、事業の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
リスクの備えとして、社外に第3者による相談窓口を設け、全従業を対象としたハラスメント研修を実施しております。
(8)法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「国土利用計画法」「都市計画法」等、不動産取引や建築に関わる多数の法令、及び各自治体で定められる建築に関する条例等の法的規制を受けております。また、連結子会社の大英リビングサポート株式会社におきましては、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」等による法的規制を受けております。このため、将来におけるこれらの法的規制の改廃、新法の制定等により、事業計画を見直す必要が生じる場合や、これらの法的規制等に定める事項に抵触した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動における必要不可欠な免許として、当社、株式会社大英エステート、株式会社大英不動産販売においては宅地建物取引業免許が、大英リビングサポート株式会社においては管理業務主任者免許があります。現時点では、免許または登録の取消事由・更新欠格事由(※下表枠外に記載)に該当する事実は存在しておりませんが、今後、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合、また、新規に開始した事業活動において、必要な免許または登録など法令等への対応ができていなかった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有する免許、許可及び登録については、以下のとおりであります。
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会社名 |
法令名 |
免許・許可・登録等 |
有効期限 |
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大英産業㈱ |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 国土交通大臣免許(3) 第008700号 宅地建物取引士(179名) |
2029年11月11日 |
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大英産業㈱ |
建築士法 |
一級建築士事務所登録 福岡県知事登録第1-60140号 一級建築士(2名) 二級建築士(23名) |
2025年12月12日 |
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大英産業㈱ |
建設業法 |
特定建設業許可 福岡県知事許可 (特-2)第98911号 一級施工管理技士(4名) 二級施工管理技士(11名) |
2025年9月10日 |
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大英リビングサポート㈱ |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 |
国土交通大臣(3) 第093710号 管理業務主任者(3名) |
2025年12月16日 |
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㈱大英エステート |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 福岡県知事(1) 第19857号 宅地建物取引士(6名) |
2026年12月9日 |
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㈱大英不動産販売 |
宅地建物取引業法 |
宅地建物取引業免許 福岡県知事(1) 第19858号 宅地建物取引士(12名) |
2026年12月9日 |
※許認可等の取消事由について
a.宅地建物取引業者免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。
b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。
c.建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。
d.マンション管理業者登録の取消事由は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条に定められております。
(9)訴訟等について
①契約不適合責任について
当社グループの不動産事業については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅(分譲マンション含む)の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について住宅の引渡しから10年間、その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について契約不適合責任を負っております。当社グループは建築工事の工程管理、品質管理に万全を期しておりますが、何らかの事情により当社グループが責任を負うことにより、想定外の補償工事費用の計上や当社の信用力の低下が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②完成工事補償引当金について
お客様へ物件を引き渡した後に補修工事を行う場合や、完成工事の瑕疵担保責任に備える目的の引当金を計上しております。販売棟数の増加に伴い必然的に利益圧縮に繋がることに加え、不測の施工不良等により実際に多額の補修工事が発生した場合、引当金の計上額(販売費及び一般管理費)が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)住宅、不動産業界の動向について
①土地の仕入について
当社グループでは、主要事業が全て土地に関連する事業のため、事業用地の仕入れが各プロジェクトの成否において生命線となります。立地条件、地積、地盤、周辺環境、権利関係、収支計画等について事前に調査・検討し、その結果を踏まえた上で土地の仕入を行っております。近年、全国的な土地公示価格が上昇、土地の取引価格においても相対取引が減少し、入札による取引が増加していることから、土地の購入価格は年々高騰しております。このような土地価格の高騰により、プロジェクトの収益が計画どおりに確保できない、あるいは仕入中止によりプロジェクトを断念するなど、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、用地取得時に予想できない土壌汚染や地中埋設物が発見された場合や、工事進捗に影響する近隣住民との問題が解決できなかった場合においても、プロジェクトの遅れや追加費用の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②建築の外部委託及び工程監理について
当社グループの事業における建築工事は、一部または全部を外部に委託しております。このことは、自社の固定人件費の抑制に繋がっており、不況時においては、経営リスクを軽減する反面、好況時においては、外部委託先への委託業者の競合が増加し、委託先が十分に確保できなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、住宅建築工事においては、外部に分離発注する形態にて工事委託を行っておりますが、一部、連結子会社の大英工務店が携わっております。将来の住宅業界における工事職人不足は顕在化しており、当社委託先の職人が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。各現場工程監理につきましては、各事業担当者にて、より慎重を期して行っておりますが、不測の事態等により工事の遅延等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③住宅業界の技術革新について
2021年10月閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)基準の省エネルギー性能の確保を目指す」という政府の目標が宣言・公表されました。SDGsの観点から高付加価値を持つ住宅に対するニーズは大いに高まっております。また、省エネに加え、IOTを駆使したスマートハウスのニーズもあり、様々な新商品が市場に投入される傾向にあります。これら高付加価値の商品を導入する場合、建築コストの増加においては、販売価格への転嫁を行うことになりますが、原価の高騰から販売価格への転嫁が難しい場合、また、業界またはお客様の望む技術革新のスピードに当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④販売の外部委託について
当社グループは、一部物件の販売活動を外部業者に委託しております。これにより、当社グループのみで販売する場合に比べて、より多くの物件を同時に販売できる反面、販売手数料等の増加により利益率が悪くなります。また、新築住宅において、販売を外部へ委託する販売手法を採用する住宅会社が増加してきたことにより、競合が激化しております。当社は、マンション事業、住宅事業における販売を専門とする子会社の設立を行っておりますが、今後も引き続き外部業者への委託を継続していくため、委託割合が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合について
当社グループは、沖縄県を除く九州全域で事業展開しております。大手マンションデベロッパー・ハウスメーカーから個人事業者に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しており、大変厳しい競争環境に晒されております。今後においても新規大手の参入や異業種からの参入も増える可能性があり、更に競争が激化することが想定されます。これにより、物件の仕入価格の上昇(原価の高騰)や、販売価格の下落(売上の減少)が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)棚卸資産の評価損処理について
当社グループでは事業の性質上、棚卸資産が総資産に占める割合は2024年9月期において65.72%と非常に高い水準にあります。会社方針により竣工在庫を抑制するよう努めており、完成在庫である販売用不動産だけであれば、総資産の16.73%と比較的少ない水準ではありますが、何らかの理由により不動産の市場価値が下落した場合は、評価損処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(以下「当期」という。)におけるわが国経済は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大、雇用や所得環境の改善がなされる一方、物価の高騰や金利の上昇、不安定な為替相場など引き続き先行き不透明な状況が継続しております。
そのような環境下における、当社事業エリアである九州・山口の不動産市況におきましては、円安に伴う資材の高騰に加え、熊本の半導体工場や大阪万博の会場等の建設ラッシュにおける資材の不足や高騰、更には働き方改革関連法に伴う「2024年問題」による人件費の高騰や建設工期の長期化等、建築原価は依然高止まりの状況にあります。また、円安による物価高の影響は続いており、実質賃金は低下している状況です。
不動産販売におきましては、立地条件の良い不動産は高価格帯でも販売が好調である一方、住宅価格の高騰による買い控えが起こるなど、住宅購入層は2極化しております。また、新築相場の高騰に伴い中古住宅相場も高騰し、売り手市場にある中古住宅の販売におきましては、高騰している販売希望価格と購入希望価格との乖離が大きいものの、新築住宅価格との乖離から需要は大幅に高まっており、成約戸数が大きく伸びている状況にあります。
このような事業環境下、当社は分譲マンション、分譲住宅など、不動産商品の販売を中心に事業を展開してまいりました。
当期におきましては、上記記載のとおり半導体不足や資材高騰により、当社分譲商品の建築原価が高騰しており、販売単価におきましては、高騰を続けた前年対比において、分譲マンション、分譲住宅共に、更に販売単価が3~4%程度上昇しております。このような事業環境の変化に耐えうる事業体制を構築すべく、利益率の向上及び財務体質改善を図るため、戸建事業及び不動産流通事業を中心に完成在庫の販売に注力してまいりました。
戸建事業におきましては、売上高は前年対比で概ね横ばい、中古物件の買取再販におきましては、新築相場の価格高騰により、低価格帯での住宅購入の需要が伸びたことから、売上高が前年対比126%と大幅に上回りました。しかしながら、高騰した建築原価を一部販売価格へ転嫁できていなかったことに加え、仕掛及び販売用物件の回転日数短縮における保有戸数の適正化を図るため、完成在庫の販売強化を行うことにより、価格の改定を行いながらの販売となり、利益率は大幅に減少するかたちとなりました。また、当期上半期におきましては概ね順調に販売が推移しておりましたが、第3四半期後半より、円安の影響に加え、金利上昇リスクなどの懸念材料も加わり、住宅購入マインドの低下へと繋がり、受注ペースが鈍化してきたことも売上低迷の要因であります。
一方、分譲住宅、中古物件の買取再販事業におきまして、仕掛及び販売用不動産の戸数が圧縮され、一部次期への在庫の持越しはあるものの、有利子負債額は減少し、今後事業回転日数を圧縮させる体制が整いつつあります。また、中期経営計画で掲げておりました、事業部制からエリア制への移行に伴う「ワンストップ体制の構築」を行うため、「住まいと暮らしのONESTOP イオンタウン黒崎店」を新たにオープンし、新築住宅、中古住宅、リフォーム、住宅オプション、保険など、様々な商材を取扱うことによる集客や販売体制の効率化におきましても、その体制構築の準備が整ってきております。
2024年9月9日に「2024年9月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」として、下方修正した業績予想を公表いたしました。当期最終月である9月に、売上計上が集中した分譲マンションの売上総利益率が上昇したこと、販売費及び一般管理費の抑制により、修正した業績目標を上回る数値となっております。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高37,097百万円(前期比3.7%増)、営業利益901百万円(同11.8%減)、経常利益647百万円(同19.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は413百万円(同21.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(マンション事業)
マンション事業におきましては、ファミリータイプとコンパクトタイプの分譲マンションを展開してまいりました。当期期初時点での完成在庫は完売、また、当期には「サンパーク浅川ザ・タワー(福岡県北九州市、総戸数74戸)」、「サンパーク別府駅前レジデンス(大分県別府市、総戸数56戸)」、「サンパーク久留米城南レジデンス(福岡県久留米市、総戸数45棟)」など全10棟483戸が竣工し、当期期初段階で完成済みであった完成在庫を含め488戸の引渡しが完了いたしました。当期竣工物件においては、駅徒歩圏内の利便性の高い立地における土地仕入や、需要を捉えた販売価格の設定により、迅速に販売が進み、且つ高い利益率での販売ができております。
また、当期は新たに「サンパーク博多那珂グラッセ(福岡県福岡市、総戸数55戸)」、「サンパーク二日市グラッセ(福岡県筑紫野市、総戸数52戸)」など、福岡県内での供給8棟を含む全10棟506戸の新規分譲を開始しております。建築原価の高騰により、販売単価が上昇する中、直近数年における人口減少はおこっているものの、世帯数は未だ増加傾向にあり、経済活動の中心でもある福岡県を中心に供給を行うことで、販売の促進と集客の効率化を図ってまいります。商品企画におきましては、年間の消費エネルギー量「ゼロ」を目指したZEH-M(ゼッチマンション)Orientedを導入するなど、マンションの付加価値向上にも取り組んでまいりました。
連結子会社である、マンション総合管理会社「大英リビングサポート株式会社」は、親会社の分譲マンション供給増加に伴い、分譲マンション等の管理戸数は4,463戸となっております。
これらの結果、マンション事業セグメントの売上高は16,080百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益は1,498百万円(同6.6%増)となりました。
(住宅事業)
住宅事業セグメントでは、分譲住宅や中古物件の買取再販事業、土地分譲、投資用の戸建賃貸住宅などを計上しております。
当期におきましては、「ONESTOPイオンタウン黒崎店」として、戸建住宅、中古住宅、土地情報など、当社が扱う商品をワンストップで供給できる店舗をオープンいたしました。住まい商品のバリエーションを増やし、選択の幅の拡大や、住み替えや世代の違うご家族への提案が可能になることに加え、リフォームや相続の相談など、暮らしにまつわるサービスの提供を行うことにより、一人のお客様と生涯に渡り関係を持ち続けられることが本店舗開設の目的であります。
主力商品である分譲住宅におきましては、コンセプト分けされた5つのシリーズを展開しており、お客様の動向、志向を見ながら商品ラインナップを決定し、建築しております。当期は利益率の向上に向けた施策として、完成在庫及び仕掛物件の事業回転日数の短縮に伴った適正在庫数の圧縮への取組みを行ってまいりました。期初時点における、完成物件及び仕掛用物件数が増幅していたため、当期上半期には土地仕入れ数を絞りながら、完成在庫においては価格の改定により販売を強化してまいりました。契約件数としましては前年を上回り、順調に販売が推移しておりましたが、依然続く物価上昇や金利上昇リスクなどにより、住宅購入マインドの低下にもつながり、当期後半頃より集客が減少してきたことで、販売が鈍化、価格を下げて販売した上半期の利益を補うことができず、通期の利益を大きく落とすこととなりました。
また、土地分譲におきましても、事業回転日数の短縮に伴った適正在庫にするため、在庫の圧縮を図ってまいりました。展開エリアにおける戸建需要が当社のみならず低下したことにより、戸建て用地の販売が鈍化し、分譲住宅同様価格を下げた販売を行ったことで利益が低下いたしました。しかしながら、熊本県下において事業用の大型の土地分譲を行うなど、新たな顧客に向けた商品と販路を見出すことができております。
中古住宅の買取再販を行う不動産流通事業におきましては、新築価格の相場上昇に伴い、中古市場の相場が大幅に上昇しております。現在の新築住宅の相場観から販売希望顧客は増加傾向にあり、売り手市場が続いている中、新築住宅よりも安価で購入できる中古物件の購入希望者も増加しており、販売件数は前年同期比126%と当社の中古物件の販売件数では過去最高の件数となりました。しかしながら、販売価格におきましては購入希望者の希望価格は上昇せず、価格を下げた販売をせざるを得ない状況となり利益率は大幅に低下いたしました。低価格帯での販売を行うため、原価を抑制した仕入れが大きな課題となっております。引渡数におきましては、分譲住宅事業が489戸、不動産流通事業が226戸、土地分譲事業が189区画となりました。
住宅事業セグメントにおいては、上記分譲住宅や中古物件等の販売に加え、街づくり事業における投資用戸建賃貸住宅やタウンハウス、リフォームなどを売上計上しております。
これらの結果、住宅事業セグメントにおきましては、売上高20,938百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益は398百万円(同44.1%減)となりました。
(その他事業)
鹿児島県鹿児島市における水道供給事業や自社保有不動産の不動産賃貸事業につきましては、売上高は78百万円(前期比7.3%増)、セグメント利益は8百万円(同71.8%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は41,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,846百万円増加いたしました。これら要因は、現金及び預金が前連結会計年度末に比べ、3,506百万円増加し11,332百万円に、仕掛物件の増加により、仕掛販売用不動産が1,622百万円増加し20,401百万円に、一方で竣工在庫の減少により販売用不動産が3,298百万円減少し6,971百万円になったことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は33,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,499百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が1,298百万円増加し5,609百万円に、短期借入金が1,983百万円減少し9,619百万円に、1年内返済予定の長期借入金が2,020百万円増加し7,679百万円になったことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は8,255百万円となり、前連結会計年度末に比べ346百万円増加いたしました。これは前連結会計年度末に比べ、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益413百万円の計上及び配当金の支払い75百万円により減少し、総額で337百万円増加したことが主な変動要因であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,548百万円増加し、10,858百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は、4,028百万円(前期は3,669百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益644百万円、棚卸資産の減少額1,547百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は、352百万円(前期は704百万円の減少)となりました。これは主に定期預金の預入による支出137百万円、有形固定資産の取得による支出334百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は、128百万円(前期は1,315百万円の増加)となりました。これは主に短期借入れによる収入21,714百万円及び短期借入金の返済による支出23,723百万円、長期借入れによる収入9,085百万円及び長期借入金の返済による支出7,137百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営むマンション事業、住宅事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
b.契約実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
||
|
件数 |
金額(千円) |
件数 |
金額(千円) |
|
|
マンション事業 |
542 |
17,790,234 |
425 |
14,578,569 |
|
住宅事業 |
779 |
17,824,706 |
897 |
20,632,776 |
|
合計 |
1,321 |
35,614,940 |
1,322 |
35,211,344 |
c.販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
||
|
件数 |
金額(千円) |
件数 |
金額(千円) |
|
|
マンション事業 |
480 |
15,815,527 |
488 |
16,080,571 |
|
住宅事業 |
836 |
19,870,008 |
943 |
20,938,197 |
|
その他 |
- |
73,522 |
- |
78,911 |
|
合計 |
1,316 |
35,759,058 |
1,431 |
37,097,680 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
当社グループの経営成績の分析は次のとおりです。
|
|
前連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
差額 |
|
金額(千円) |
金額(千円) |
金額(千円) |
|
|
売上高 |
35,759,058 |
37,097,680 |
1,338,622( 3.7%増) |
|
売上総利益 |
6,651,600 |
6,368,930 |
△282,670( 4.2%減) |
|
営業利益 |
1,021,567 |
901,210 |
△120,356(11.8%減) |
|
経常利益 |
808,857 |
647,575 |
△161,282(19.9%減) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
528,186 |
413,127 |
△115,059(21.8%減) |
(売上高・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、37,097百万円(前期比3.7%増)、売上総利益は6,368百万円(前期比4.2%減)となりました。
主力商品である、分譲マンション及び分譲住宅の売上高は前年比概ね横ばいとなりましたが、新築住宅の価格高騰による中古物件の需要が拡大し、中古物件買取再販事業の販売件数が増加したことにより、全体の売上高は増加いたしました。
しかしながら、売上総利益につきましては、分譲住宅や土地分譲、中古物件の買取再販において、建築原価の高騰分を販売価格に一部転嫁できなかったことに加え、事業回転日数の短縮に向けた、保有戸数の適正化のため、価格の改定等を行い、完成在庫の販売強化を行ったことにより、売上総利益率が大幅に低下、前年を下回る結果となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきまして、分譲マンションの大型物件の新規分譲がなかったことや、WEB集客の強化などに伴い、広告宣伝費が抑制できたこと、当社グループ会社の販売割合が増加したことにより販売手数料が抑制できたことなど、全体での経費の圧縮ができ、5,467百万円(前期比2.9%減)となりましたが、売上総利益率の低下に伴い、営業利益は901百万円(同11.8%減)となり、前期を大きく下回る結果となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益につきましては、受取手数料等により、202百万円(前期比6.2%増)となりました。営業外費用につきましては、支払利息等により、456百万円(同13.1%増)となり、経常利益は647百万円(同19.9%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は0百万円(前期比54.4%減)、特別損失は3百万円(同247.7%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は413百万円(同21.8%減)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要事業は全て土地に関連する事業のため、土地価格の上昇や土地需要の高まりによる各プロジェクト用地の確保が困難になった場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、地場不動産会社や金融機関との連携した土地情報収集力を更に強化し、立地条件等良質な土地収集に努めております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、土地及び物件仕入に加え、各種プロジェクト建設費用等があります。いずれも、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は金融機関からの借入金により調達しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、「地域愛着経営」の経営方針の下、地元に愛され必要とされる企業となるため、安定した収益を確保することが重要であるという認識により、売上高経常利益率を重要視しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。売上高経常利益率は5%を目標とし、総資産利益率は5%以上※の達成を目標としております。
しかしながら、当期経常利益率は1.7%と目標数値を大きく下回っております。当社事業は約97%の売上を分譲業にて計上しており、外部環境の影響を非常に受けやすい業態です。外部環境の影響を受けにくい商材を確保するための新規事業、ストック事業の強化、全社的な販売費および一般管理費の抑制を図り経常利益を確保すること、更に滞留資金の長期化を避け資金の回転率を高めることにより、資金の有効的且つ効率化を鑑み、目標達成に努めてまいります。
※当社はROA算出の基準として、当期純利益ではなく経常利益にて算出を行っております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。