文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「貢献」「信用」「誠実」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としています。
(2)経営環境
当連結会計年度の経営環境は、新型コロナウイルス感染症による規制が徐々に緩和され、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られましたが、急激な円安による為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源・エネルギーコスト等の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
(ファインケミカル事業)
医薬品原料市場におきましては、為替の大幅な円安基調並びにエネルギーコスト等の増加による要因から、継続的な価格対応を余儀なくされる環境が継続しております。一方ジェネリック医薬品分野におきましては、期中に発生した一部企業での製造管理等における諸問題を受け、原薬の荷動きにも影響を与える環境となっております。
医薬品CDMO市場におきましては、製薬企業各社は新規モダリティの研究開発へ注力しており、低分子医薬品はオープンイノベーションなどベンチャーとの提携が増加しております。実際に米国では低分子医薬品の起源の多くがベンチャーに移っており、低分子医薬品のCMC分野における外部委託は、今後増加していく見通しです。
(HBC・食品事業)
化粧品原料市場におきましては、国内化粧品市場が新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり好調に推移している状況となり、通販化粧品市場におきましては、引き続き好調に推移している状況となっております。
ドラッグストア・薬局・薬店を主とした市場におきましては、特に食品や日用品での販売が好調に推移している状況となっております。また秋口からの新型コロナウイルス感染症の水際対策の解除はインバウンドを呼び込む形となり、好影響を与えました。食品原料市場におきましては、原材料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰、円安の影響が随所に見られ、値上げも相次いだことから消費マインドにマイナスの影響がありました。
(医薬事業)
医療用医薬品市場におきましては、2021年12月のジェネリック医薬品の製造管理等における諸問題後に10社を超える企業が業務停止・改善命令を受け、販売中止や出荷停止も多発、信頼回復に向け、各社では製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底を図る取り組みに注力しています。他方、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、社会活動が徐々に回復し、医療関係者とのコミュニケーションはECやITを併用した営業活動が主流となってきております。
(化学品事業)
表面処理薬品市場におきましては、主力セグメントである半導体及び受動部品を始めとした電子部品市場が下半期にかけて急速に低迷いたしました。更に、世界的にあらゆる部品、原料の調達不安が断続的に発生し、多くの原材料価格、物流費用が高騰傾向となるなど、製造、流通面においてサプライチェーン上の逆風がより強くなり、厳しい状況となりました。
表面処理設備市場におきましては、世界経済が「ポスト・コロナ」を志向し始めたことで、2021年度までリモート需要としてIT市場を支えてきたPCやタブレットの需要が減速いたしました。一方で自動車市場における電動化の加速は産業機器市場の半導体や電池等、関連する部品の比率が高い企業の業績を牽引いたしました。
(その他事業)
現在の日本は、世界でリーダーシップをとれる産業は限りなく少なく、急速な人口減、高齢化に歯止めがかかっておりません。このため地域によっては、医療、交通、教育等の社会課題により更なる人口流出が進み、自治体そのもの、エリアそのものの存続が危ぶまれる状況にあります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としましては、当社は「貢献・信用・誠実」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としており、中期的な経営戦略の実行及び実現に向け、これまで長きにわたって培われてきた良き企業文化はそのままに、成熟企業的な行動慣習を改め、経営品質を改革・向上させることが、非常に重要な課題であると認識しております。
この課題に対処するため、当社グループは2021年6月に持株会社体制へ移行し、5事業をビジネスの主軸にするとともに、経営体制刷新による事業戦略の再構築を行いました。事業戦略再構築の基本方針として、「産業」「技術」「社会」のサステナビリティを高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略のもと、6つのビジネスモデルを定義し、グループ中長期ビジョン(Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”)を推進してまいります。
なお、当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響下にあるものの、経済活動は正常化に向かい、景気の持ち直しが期待されております。しかしながら、地政学的なリスクの長期化や海外経済の減速、資源価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社グループでは、グループ中長期ビジョン達成に向け、目標値に対する進捗状況等を鑑みて、ローリング方式にて中期経営計画ローリング(2023-2025)の見直しも行っております。
(4)経営戦略
当社グループは2021年1月発表の「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」の実現へ向けて、ニッチトップ事業の磨き上げ・プラットフォーム事業への転換・新規事業への投資と育成の3つの基本戦略に基づいた経営を推進し、各種施策に取り組んでおります。
① ニッチトップ事業の磨き上げ
当社グループにおける医薬事業及び化学品事業は、グローバル展開やカテゴリ選択により引き続き高い成長が見込めるため、これまでの戦略を継続し確実な成果をあげる。
(医薬事業)
・皮膚科領域をベースに、外皮用剤品目数及び生産キャパシティにおいてトップを目指す。
・グローバル要求水準に対応し、高活性注射剤CDMOのトップを目指す。
・外皮用剤、注射剤の導入、新薬共同開発、国内外の事業提携、M&A等により事業基盤の強化・拡大を目指す。
(化学品事業)
・エレクトロニクス実装市場のトレンドを捉え、ニッチトップ商品を継続的に開発する。
・ハイエンドパッケージ基板での地位確立、チップ部品用途の実績で台湾・中国大手での採用、半導体パワー・センサー系薬品の更なる差別化を図る。
・環境負荷低減を追求し、グローバル企業との共同開発による更なる成長を進める。
② プラットフォーム事業への転換
当社グループにおけるファインケミカル事業及びHBC・食品事業は、商流や技術の中核に位置しており、今後、競争力の高い周辺領域に積極投資し、その繋ぎ合わせにより価値連鎖を実現させ、新たな価値提案を行う。
(ファインケミカル事業)
・CMC/CDMO事業と調達プラットフォーム事業を2本柱とし、原材料調達からCMC研究、原薬商用生産までの医薬品開発・製造の幅広いサービスを提供する。
(HBC・食品事業)
・原料ビジネスのDX化により、顧客の開発・調達プロセスにおける課題解決のプラットフォームを提供。同時に独自性を高めた商品・サービスの提供で市場価値を増大させる。
・ダイレクトマーケティング領域への投資を行い、領域特化型のネットワークを構築する。
③ 新規事業への投資と育成
上記2つの基本戦略に加えて、将来の持続的ニーズを捉え、社会と共に成長していける製品(モノ)・サービス(コト)を創出し、現状の主力4事業に次ぐ、第5の主力事業を立ちあげる。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
2030年11月期を最終年度とした新たな中長期ビジョン「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」においては、売上高と自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。
重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2030年11月期)
売上高=1,300億円以上
自己資本当期純利益率(ROE) =13.0%以上
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制リスク
① 当社グループの取り扱っている医薬品については、薬事関連規則等に服し、また、医薬用外毒物劇物は、毒物及び劇物取締法に服しており、厳重な管理のもと、その保管・販売を行っております。当社グループはそれらに適切に対応できる仕組み、体制を構築して事業を行っておりますが、万一、対応を誤る事態が生じた場合には、事業活動に制限を受ける可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
法規制へ十分に対応できるような体制やシステム上の仕組みを構築しております。また薬剤師等の専門家による従業員への教育も適宜行っております。
(2) 取引先の債務不履行リスク
① 当社グループの取引先では、企業間競争がますます激化しており、また昨今の厳しい経済情勢のなかで淘汰される企業が今後増えてくるものと思われます。当社グループは債権管理を強化して債権の貸倒リスク等を低減しておりますが、万一、取引先の破産、民事再生等による債務不履行が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
貸倒リスク顕在化の影響を一定限度にとどめるべく、外部機関による信用情報を複数取得するなど定期的に評価を行っております。
(3) 主要取引先の再編
① 当社グループの主要取引先において、今後、合併・統合といった再編が加速した場合、その動向如何によっては、当社の販売額に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
特定の取引先への取引が集中しないように取引先、及び取引内容の管理を行っております。
(4) 製造物責任
① 当社グループは、各種製品を輸入及び生産しております。現在、社内で確立した基準のもとに、厳しい検査体制を整えるなど、品質と信頼性の維持確保に努めております。しかしながら、万一、製品が予期せぬ不具合を起こした場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
万一、責任が生じた際に当社グループへの業績及び財政状況への影響を最小限にとどめるようグループ全体で製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しております。
(5) システムトラブル
① 当社グループの事業活動は、コンピュータシステムに大きく依存しております。システムトラブルの発生や大規模な災害や事故の発生、コンピュータウイルスの侵入等によっては物流及び販売等の事業活動に支障を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
外部からの不正手段による侵入等に対するセキュリティ機能の充実やバックアップ機能の確保に努めております。
(6) 敵対的買収のリスク
① 企業価値・株主の共同利益を損なう恐れのある第三者による株の大量買付行為の可能性は常に存在します。この場合、当社グループでは客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動することとなりますが、事業遂行のうえで多大な悪影響が発生する可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。
③ リスクへの対応策
当社グループでは、当該リスク発生の内容・規模に対し、客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動します。
(7) 訴訟について
① 当社グループの事業活動において、賠償等の訴訟その他差し止めを提起される可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当該リスク発生の動向ないし結果によっては、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。
③ リスクへの対応策
訴訟が想定される取り組みについては事前に十分な調査を行い、必要に応じて顧問弁護士と連携をとるなどリスクの低減に努めています。
(8) 海外事業活動におけるリスク
① 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、海外では為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等の障害により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。
③ リスクへの対応策
輸出入取引における、為替の変動リスクを軽減するため先物為替予約等の通貨関連デリバティブ取引を行うこと、また海外市場への展開にあたっては経済動向や法規制、商慣習等の十分な調査を行うことによりリスクの低減に努めています。
(9) 自然災害、事故、感染症のリスク
① 当社グループは、国内外に複数の製造・販売拠点を有しており、地震や津波等の大規模な自然災害や事故、テロ、感染症などの影響を受ける可能性があります。発生を想定した施策を講じておりますが、被災し事業活動ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当該リスク発生の内容・規模により異なることから、具体的な影響度は測定できません。
③ リスクへの対応策
BCPに関する規程を策定しており、大地震マニュアルや安否確認システムの配備等、災害時に適応すべく備えております。
また新型コロナウイルス感染症に対しては、国内外への出張の自粛や販売・管理部門を中心としたテレワークへの切り替え、またテレワークで通常の事業運営が可能な各種システム環境構築への投資を行っております。
(10) 減損会計リスク
① 当社グループでは、企業買収の際に生じたのれん及び無形資産、製造設備をはじめとした事業の用に供する各種資産を保有しております。今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、それらの時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりそれらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② リスクが顕在化した場合の影響度
当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。
③ リスクへの対応策
当社グループでは、効率性を重視した経営を行っており保有する資産を最小限にとどめると共に、投資後も、事業の執行、管理する体制の整備に努め、収益性の低下が起こらないような管理を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明については、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)の一部を除いて記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が徐々に緩和され、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られましたが、急激な円安による為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源・エネルギーコスト等の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、更なる成長と企業価値の向上を目指して策定した2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び3ヵ年の中期経営計画を推進するため、各事業での主要施策の展開に注力してまいりました。
以上により、当連結会計年度の売上高は、496億3千6百万円(前年同期は723億2千2百万円)、原材料価格やエネルギーコスト等の影響から営業利益は8億1千9百万円(前年同期は22億3千3百万円)、経常利益は8億8千7百万円(前年同期は24億2千万円)、保有する有価証券の一部について評価損を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は5億7千9百万円(前年同期は17億3千6百万円)となりました。
なお、仮に収益認識会計基準等の適用による変更前の会計方針を適用した場合、当連結会計年度の売上高は723億8千9百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は8億4千8百万円(前年同期比62.0%減)、経常利益は9億1千6百万円(前年同期比62.1%減)、税金等調整前当期純利益は14億4千7百万円(前年同期比53.0%減)となります。
次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。
ファインケミカル事業
医薬品原料市場におきましては、為替の大幅な円安基調並びにエネルギーコスト等の増加による要因から、継続的な価格対応を余儀なくされる環境が継続しております。一方ジェネリック医薬品分野におきましては、期中に発生した一部企業での製造管理等における諸問題を受け、原薬の荷動きにも影響を与える環境となっております。
このような状況のもと、販売面は、新規ジェネリック医薬品原薬や新薬向け中間体の新規販売に注力し、製造面は、新規受託案件の獲得や獲得した案件の遂行に注力いたしました。また、継続的にファインケミカル事業ならびに医薬事業のグループ各社と連携した取り組みと提案にも注力いたしました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、前年と比較して国内外への自社製品である解熱消炎鎮痛剤やアレルギー剤の原薬を中心に回復基調となっております。一方でジェネリック医薬品分野における新規開発品目への輸入原薬の採用や、自社受託製品の新規採用および既存品目の好調な荷動き、新薬分野における新たな開発案件による貢献もあり、総じて好調に推移いたしました。
医薬品CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)市場におきましては、製薬企業各社は新規モダリティの研究開発へ注力しており、低分子医薬品はオープンイノベーションなどベンチャーとの提携が増加しております。実際に米国では低分子医薬品の起源の多くがベンチャーに移っており、低分子医薬品のCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)分野における外部委託は、今後増加していく見通しです。
このような状況のもと、CMC分野では外部委託のマーケットと現状のマーケットシェアとのギャップに基づいてターゲットセグメントを設定し、セグメント毎のアクションアイテムを明確化し、営業活動を継続いたしました。また新規モダリティ対応のため、サービスポートフォリオの見直しに取り組んでまいりました。その結果、一部新型コロナウイルス感染症の影響による製薬企業の医薬品開発の遅れや変更等の影響があったものの、経営環境の変化に伴う受注への影響もあり、売上高はやや弱含みな推移となりました。
以上により、当事業全体の売上高は146億3千万円(前年同期は229億3千3百万円)、営業利益は2億4千8百万円(前年同期は13億8千6百万円の営業利益)となりました。
HBC・食品事業
化粧品原料市場におきましては、国内化粧品市場が新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり好調に推移している状況となり、通販化粧品市場におきましては、引き続き好調に推移している状況となっております。
このような状況のもと、化粧品原料分野におきましては、新規自社企画品及び自社原料の拡大及び顧客獲得のための新しい取り組みに注力し、通販化粧品分野におきましては、全国紙に新規広告を投下するなど積極的に展開しました。その結果、化粧品原料分野は、一部の得意先への販売が減少するなどがありましたが、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり堅調に推移いたしました。一方、通販化粧品分野は、主要顧客層の外出が増加するなど新型コロナウイルス感染症の影響は薄らいでおり、売上、利益とも前同を超過するなど好調に推移いたしました。
ドラッグストア・薬局・薬店を主とした市場におきましては、特に食品や日用品での販売が好調に推移している状況となっております。また秋口からの新型コロナウイルス感染症の水際対策の解除はインバウンドを呼び込む形となり、好影響を与えました。
このような状況のもと、一般用医薬品を主体とした卸売分野では、不採算取引の是正を継続するとともに、マルマンH&B株式会社と営業機能統合によるシナジーの創出に取り組み、自社商品の企画・販売促進に力を入れてまいりました。その結果、一般用医薬品を主体とした卸売分野は、不採算取引の解消が進み売上は大きく落ち込んだものの、営業利益は改善いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の水際対策が解除された影響で10月及び11月の医薬品販売が好調に推移いたしました。一方、商品企画分野では、自社企画商品「Pureal(ピュレア)」が好調に推移したほか、EC販売においても「韓国コスメ」のキャンペーンにより好調に推移いたしました。
食品原料市場におきましては、原材料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰、円安の影響が随所に見られ、値上げも相次いだことから消費マインドにマイナスの影響がありました。
このような状況のもと、食品原料分野では、組織の営業力強化を重点に置き、自社原料の提案、既存顧客の取引拡大、新規顧客の獲得及びその成功事例の組織活用に積極的に取り組んでまいりました。その結果、食品原料分野は、営業の対応力が顧客に評価され大口顧客の獲得に成功し、成功事例の横展開を行うことで売上は好調に推移いたしました。機能性食品原料分野では、顧客のニーズを的確にとらえた提案が奏功し、好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は139億7千万円(前年同期は282億3千8百万円)、営業利益は1億4千1百万円(前年同期は3億4千3百万円の営業損失)となりました。
医薬事業
医療用医薬品市場におきましては、2021年12月のジェネリック医薬品の製造管理等における諸問題後に10社を超える企業が業務停止・改善命令を受け、販売中止や出荷停止も多発、信頼回復に向け、各社では製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底を図る取り組みに注力しています。他方、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、社会活動が徐々に回復し、医療関係者とのコミュニケーションはECやITを併用した営業活動が主流となってきております。
このような状況のもと、医療用医薬品分野では、新型コロナウイルス感染対策に万全を期すとともに、営業DXのフル活用、2022年4月に承継した先発品をフックとした顧客開拓、後発品の研究開発や事業開発に注力いたしました。美容医療分野では、美容クリニック向け新製品の拡販に注力いたしました。岩城製薬佐倉工場株式会社では、受託品の安定供給並びに試験検査や固形剤新規案件の獲得に向け積極的に取り組みました。その結果、医療用医薬品では、売上が好調に推移いたしましたが、原材料やエネルギーコストなど各種コスト高騰の影響により売上原価が上昇し収益性が悪化いたしました。また、岩城製薬佐倉工場株式会社ではロシアのウクライナ侵攻の影響により欧州からの輸入機器の納期が遅延、注射設備の竣工が約2ヵ月延期となりました。一方、国内初となる抗真菌薬ジェネリック新製品の2022年12月発売に向けたマーケティング活動による顧客開拓、株式会社キノファーマとの共同開発・商業化契約や美容医療ブランドホルダー機能移管に伴う自社新製品開発の進捗もありました。
以上により、当事業全体の売上高は117億5千4百万円(前年同期は124億5千2百万円)、営業利益は3億9千2百万円(前年同期は9億8百万円の営業利益)となりました。
化学品事業
表面処理薬品市場におきましては、主力セグメントである半導体及び受動部品を始めとした電子部品市場が下半期にかけて急速に低迷いたしました。更に、世界的にあらゆる部品、原料の調達不安が断続的に発生し、多くの原材料価格、物流費用が高騰傾向となるなど、製造、流通面においてサプライチェーン上の逆風がより強くなり、厳しい状況となりました。
このような状況のもと、表面処理薬品分野では、国内においては、お客様とのコミュニケーションが少しずつ正常化に向かい、微細配線形成用薬品、半導体電極形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の拡販を継続してまいりました。また海外への渡航も緩和されつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の流行前の状況には戻らず、在外販売会社による主力製品の拡販を強化いたしました。その結果、新型コロナウイルス感染症に対し適切に対応しつつ活動を少しずつ再開してまいりました。電子部品、半導体向け薬品においては、車載部品を中心に在庫過剰による減産、また材料不足による生産制限も重なり大きく失速いたしました。結果として販売等においては低調に推移いたしました。
表面処理設備市場におきましては、世界経済が「ポスト・コロナ」を志向し始めたことで、2021年度までリモート需要としてIT市場を支えてきたPCやタブレットの需要が減速いたしました。一方で自動車市場における電動化の加速は産業機器市場の半導体や電池等、関連する部品の比率が高い企業の業績を牽引いたしました。
このような状況のもと、表面処理設備分野では、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻の状況も勘案し、在庫確保に注力するとともに、当連結会計年度も装置事業のテーマである”納期短縮”に向けて、これまで以上に業務の効率化に努め、顧客満足度向上の取り組みを進めてまいりました。また製造業として”安全操業”を目指し、社員が安全で健康に業務ができる職場環境整備にも注力してまいりました。その結果、当連結会計年度も引き続き業務改善活動を推し進め「顧客満足度」につながる施策、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和、更に創意工夫により営業活動や現場工事計画を進めたことにより、売上目標・営業利益目標・経常利益目標を大きく超える結果で着地しました。また前期に続き第2期工場増築による生産量増加は昨年同様受注量に反映され、売上拡大に大きく寄与しました。
以上により、当事業全体の売上高は92億7千8百万円(前年同期は86億9千7百万円)、営業損失は1億5千6百万円(前年同期は3億8千3百万円の営業利益)となりました。
その他事業
社会課題解決事業では、ソーシャルインパクト投資として「のとSDGsファンド」を通じて社会課題を解決するベンチャーを中心とした企業に投資を行うとともに、投資先銘柄と当社のシナジーを創出していくことを目的に、2021年12月より投資を開始し、当連結会計年度中に9銘柄に投資を実行いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は2百万円、営業損失は4千2百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは減少、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは減少、これに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた全体で40億3百万円の減少となり、当連結会計年度末における資金残高は68億3百万円(前年同期比37.0%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により減少した資金は7億4千2百万円(前年同期比20億9千1百万円減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益14億1千8百万円、減価償却費21億1千7百万円、棚卸資産の増加額9億6千万円、未払費用の減少額7億8千万円、売上債権及び契約資産(前連結会計年度末においては売上債権)の増加額13億4百万円、法人税等の支払額12億5千8百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により減少した資金は22億2千2百万円(前年同期比21億5千7百万円増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出27億7千万円、有形固定資産の売却による収入15億5千5百万円、事業譲受による支出6億2千7百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は10億9千3百万円(前年同期比74億4千6百万円減)となりました。これは、主に短期借入金の純増減額10億円、長期借入金の返済による支出10億5千3百万円、配当金の支払額7億2千9百万円、自己株式の取得による支出3億9百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは見込み生産を行っているため受注実績の記載は省略しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
ファインケミカル事業(千円) |
7,691,895 |
101.4 |
|
HBC・食品事業(千円) |
4,451 |
27.5 |
|
医薬事業(千円) |
8,191,443 |
106.4 |
|
化学品事業(千円) |
5,424,376 |
108.6 |
|
報告セグメント計(千円) |
21,312,167 |
105.0 |
|
その他(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
21,312,167 |
105.0 |
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
ファインケミカル事業(千円) |
4,555,287 |
- |
|
HBC・食品事業(千円) |
7,764,444 |
- |
|
医薬事業(千円) |
1,010,054 |
- |
|
化学品事業(千円) |
1,231,319 |
- |
|
報告セグメント計(千円) |
14,561,106 |
- |
|
その他(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
14,561,106 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値は、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、商品仕入実績は対前期増減率を記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
前年同期比(%) |
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ファインケミカル事業(千円) |
14,630,215 |
- |
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HBC・食品事業(千円) |
13,970,550 |
- |
|
医薬事業(千円) |
11,754,561 |
- |
|
化学品事業(千円) |
9,278,531 |
- |
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報告セグメント計(千円) |
49,633,858 |
- |
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その他(千円) |
2,154 |
- |
|
合計(千円) |
49,636,012 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値は、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、販売実績は対前期増減率を記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産635億5千1百万円(前期末比1百万円減)、負債364億8千3百万円(同6千4百万円減)、純資産270億6千8百万円(同6千2百万円増)となりました。
総資産の減少の主な理由は、現金及び預金の減少40億1百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末においては受取手形及び売掛金)の増加18億2千万円、建設仮勘定の増加13億5千1百万円等によるものです。
負債の減少の主な理由は、短期借入金の増加9億8千1百万円、長期借入金の減少10億3千5百万円等によるものです。
純資産の増加の主な理由は、自己株式の増加2億7千7百万円、為替換算調整勘定の増加8千7百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1億3百万円、非支配株主持分の増加7千5百万円等によるものです。
b.経営成績
(売上高)
ファインケミカル事業におきましては、医薬品原料分野では、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、前年と比較して国内外への自社製品である解熱消炎鎮痛剤やアレルギー剤の原薬を中心に回復基調となっております。一方でジェネリック医薬品分野における新規開発品目への輸入原薬の採用や、自社受託製品の新規採用および既存品目の好調な荷動き、新薬分野における新たな開発案件による貢献もあり、総じて好調に推移いたしました。医薬品CDMO分野では、一部新型コロナウイルス感染症の影響による製薬企業の医薬品開発の遅れや変更等の影響があったものの、経営環境の変化に伴う受注への影響もあり、売上高はやや弱含みな推移となりました。
以上により、当事業全体の売上高は146億3千万円(前年同期は229億3千3百万円)となりました。
HBC・食品事業におきましては、化粧品原料分野では、一部の得意先への販売が減少するなどがありましたが、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり堅調に推移いたしました。一方、通販化粧品分野では、主要顧客層の外出が増加するなど新型コロナウイルス感染症の影響は薄らいでおり、売上、利益とも前同を超過するなど好調に推移いたしました。一般用医薬品を主体とした卸売分野では、不採算取引の解消が進み売上は大きく落ち込んだものの、営業利益は改善いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の水際対策が解除された影響で10月及び11月の医薬品販売が好調に推移いたしました。一方、商品企画分野では、自社企画商品「Pureal(ピュレア)」が好調に推移したほか、EC販売においても「韓国コスメ」のキャンペーンにより好調に推移いたしました。食品原料分野では、営業の対応力が顧客に評価され大口顧客の獲得に成功し、成功事例の横展開を行うことで売上は好調に推移いたしました。機能性食品原料分野では、顧客のニーズを的確にとらえた提案が奏功し、好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は139億7千万円(前年同期は282億3千8百万円)となりました。
医薬事業におきましては、医療用医薬品分野では、売上が好調に推移いたしましたが、原材料やエネルギーコストなど各種コスト高騰の影響により売上原価が上昇し収益性が悪化いたしました。また、岩城製薬佐倉工場株式会社ではロシアのウクライナ侵攻の影響により欧州からの輸入機器の納期が遅延、注射設備の竣工が約2ヵ月延期となりました。一方、国内初となる抗真菌薬ジェネリック新製品の2022年12月発売に向けたマーケティング活動による顧客開拓、株式会社キノファーマとの共同開発・商業化契約や美容医療ブランドホルダー機能移管に伴う自社新製品開発の進捗もありました。
以上により、当事業全体の売上高は117億5千4百万円(前年同期は124億5千2百万円)となりました。
化学品事業におきましては、表面処理薬品分野では、電子部品、半導体向け薬品においては、車載部品を中心に在庫過剰による減産、また材料不足による生産制限も重なり大きく失速し、販売等においては低調に推移いたしました。表面処理設備分野では、当連結会計年度も引き続き業務改善活動を推し進め「顧客満足度」につながる施策、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和、更に創意工夫により営業活動や現場工事計画を進めたことにより、売上目標・営業利益目標・経常利益目標を大きく超える結果で着地しました。また前期に続き第2期工場増築による生産量増加は昨年同様受注量に反映され、売上拡大に大きく寄与しました。
以上により、当事業全体の売上高は92億7千8百万円(前年同期は86億9千7百万円)となりました。
その他事業におきましては、売上高は2百万円となりました。
この結果、全体の売上高は496億3千6百万円(前年同期は723億2千2百万円)となりました。
(営業利益)
広告宣伝費の増加2億4千3百万円、報酬及び給料手当の増加9千万円、減価償却費の増加2億5百万円等により、販売費及び一般管理費は146億2千万円(前年同期は143億6千9百万円)となりました
この結果、営業利益は8億1千9百万円(前年同期は22億3千3百万円)となりました。
(経常利益)
営業利益が減少したことに加え、営業外収益の為替差益の増加7千4百万円、営業外費用の持分法による投資損失の増加5千3百万円、商品評価損の増加6千2百万円等により、経常利益は8億8千7百万円(前年同期は24億2千万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益が減少したことに加え、特別利益に固定資産売却益6億9千5百万円、投資有価証券売却益2億6千1百万円等を計上したものの、特別損失に投資有価証券評価損3億3百万円等を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は5億7千9百万円(前年同期は17億3千6百万円)となりました。
c.資本の財源及び資金の流動性
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
ⅱ.契約債務
2022年11月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
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|
年度別要支払額(千円) |
||||
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契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
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短期借入金 |
9,000,000 |
9,000,000 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
5,812,500 |
1,035,000 |
1,820,000 |
1,370,000 |
1,587,500 |
|
リース債務 |
238,557 |
101,738 |
105,513 |
23,513 |
7,792 |
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
ⅲ.財政政策
当社グループは、運転資金、設備資金及びM&A等の投資資金につきましては、自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、売掛債権の流動化など多角的な資金調達を検討、実施しております。このうち、運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入を基本としており、大型設備やM&A投資資金等は金融機関からの長期借入を基本としております。
2022年11月30日現在、長期借入金の残高は47億7千7百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計130億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高0円、借入未実行残高130億円)。
d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標の当期達成状況
当社グループでは、2030年11月期を最終年度とする新たな中長期ビジョンにおいては、売上高1,300億円、自己資本当期純利益率(ROE)13.0%以上を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付けております。
当連結会計年度においては、仮に収益認識会計基準等の適用による変更前の会計方針を適用した場合の売上高は、723億円、前連結会計年度比0.1%増加となりました。増加の主な理由としましては、医薬事業において売上高がやや弱含みな推移となった一方、化学品事業において表面処理設備分野の販売が好調であったことに起因するものであります。
自己資本当期純利益率(ROE)は、2.1%と前連結会計年度に比べ5.0pt減少いたしました。減少の主な理由としましては、主に親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったことに起因するものであります。
(1) 技術導入契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
技術の種類 |
契約期間 |
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メルテックス株式会社 (連結子会社) |
アトテック社 (ATOTECH) |
ドイツ |
クロム薬品の製造技術 |
自 2017年12月1日 至 2022年11月30日 |
(注)1.ロイヤルティとして売上高等の一定率を支払っております。
2.本契約は、2022年11月30日の契約期間満了をもって、契約を終了しております。
(2) 固定資産の譲渡
当社は、2021年12月22日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を決議し、当該決議に基づき2022年2月28日に不動産売買契約を締結し、2022年3月31日に下記不動産の所有権を譲渡しました。
1.譲渡の理由
中長期ビジョン実行に向け、資本効率の向上、財務体質の強化、成長投資資金確保、またリモートワークが浸透したことによる拠点の見直しを図る観点から、以下の固定資産を譲渡することといたしました。
2.譲渡資産の内容
(1)対象資産の名称 IW日本橋ビル
(2)所在地 東京都中央区日本橋小網町19-8
(3)資産の概要 土地:292.06㎡
建物:1,749.61㎡(延床面積)
※譲渡価額、帳簿価額、決済方法等につきましては、譲渡先の意向により、開示は控えさせていただきます。なお、譲渡価額は、複数の不動産関係会社等、第三者の助言を得て不動産の価値を精査した市場価格を反映した適正な価額となっております。
3.譲渡先の概要
譲渡先は、国内の一般事業会社ですが、譲渡先の意向より開示は控えさせていただきます。
なお、当社と譲渡先の間に特記すべき資本関係、人的関係、取引関係はありません。
4.譲渡の日程
(1)売買契約締結日 2022年2月28日
(2)所有権移転日 2022年3月31日
5.当該事象の損益及び連結損益に与える影響
当該固定資産の譲渡に伴い発生した譲渡益は、当連結会計年度において、特別利益(固定資産売却益)として658,938千円を計上いたしました。
当社グループの当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1) ファインケミカル事業
医薬品原料市場向けに、収益強化を目的に、新薬(治験薬)およびジェネリック医薬の原料・中間体について、自社得意技術を活かした自社製造品および受託品の研究開発を推進しております。また、食品添加物、化粧品原料等のライフサイエンス分野にも同様に力を入れております。
医薬品CDMO市場向けには、受託領域の拡充と顧客サービスの質の向上を目的に、バイオ医薬品関連技術等の研究開発に取り組んでおります。また、JITSUBO株式会社の有する中分子原薬製造技術を顧客に提供すると共にその強化にも力を入れております。加えて、グループ内の製造販売品・共同開発品に関わる共同研究も行っております。
ファインケミカル事業に係る研究開発費は
(2) 医薬事業
医薬事業では、外皮用剤(半固形剤や液剤)を中心とした研究開発を行っております。長年の経験と蓄積された技術を活かし、自社製造販売品のみならず、新薬(治験薬)に関わる共同開発や受託研究開発なども行っております。また、海外製薬企業との共同開発や導入・導出も積極的に検討しております。
医薬事業に係る研究開発費は
(3) 化学品事業
表面処理薬品分野では、エレクトロニクス関連の表面処理技術を中心とした研究開発を行っております。プリント配線基板市場向けには、次世代高速通信デバイスに要求される表面処理システムをトータルソリューションとして開発・提案しております。半導体や微小電子部品市場向けには、最新の分析・解析機器およびパイロットラインを駆使し、車載用途など最先端のニーズに適応したプロセスの研究・開発を実践しております。また、海外を含めた公的研究機関や大学との共同研究プログラムに参画し、次世代の要素技術や新技術の探求を推進しております。
表面処理設備分野では、プリント配線基板市場向けの水平生産装置を中心に、微細回路形成や軽薄短小化に対応した高付加価値装置の開発に注力しております。
化学品事業に係る研究開発費は