当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来、一貫して街並みや住まいに緑の空間を提供する造園緑化事業を行ってまいりました。今後も引き続き、「街や暮らしに潤いを与える緑空間の創造」をコンセプトとして、分野や地域を限定することなく、幅広い視野を持って事業を展開してまいります。そして、具体的な目標として、翌連結会計年度である第60期には、連結売上高60億円、経常利益5億円の達成を目指します。この目標達成のための経営方針として、「専門知識・解決力・独創的思考で人間力を高める。」を掲げており、達成するための方策として、以下の項目を掲げており、目標達成のために邁進する所存にございます。
・営業、設計及び工事の各部門における担当者がそれぞれの役割において、受注から完成引き渡しまでのストーリーを考えて行動し、「最高の仕事」を追求すること。
・今後の成長が期待される若手社員は、積極的なチャレンジを促し、専門的な資格を取得する等、自らの価値を高めること。
・誰もが造園技術の基礎から高度の技術まで取得できるようにするため、社内教育機関岐阜造園アカデミーへの参加を優先できるように職場環境の整備を行うこと。
・会社全体、職場全体及び上司部下等の間での情報をスピーディーに共有化をするため、IT環境の整備を行うこと。
また、第62期においては、当社は創業者である小栗弥一が「植弥」として1927年に創業して以来100年目を迎える節目に当たります。当社グループはその節目を迎えるに当たり、連結売上高100億円の達成を目指しております。当社は建築工事に従属せざるを得ない造園業界を、持続的に発展させる一翼を担いたいという強い思いから、2016年に名古屋証券取引所、2022年には東京証券取引所に造園緑化事業としては初めてとなる上場をさせていただきました。当社は、造園緑化事業における唯一の上場企業ではありますが、これに飽きることなく、緑を扱うプロフェッショナルとして、社会の皆様に緑豊かな住生活をご提供し、地球環境の保全及び復元に貢献することで、造園緑化業界のリーディングカンパニーとしての使命を果たす所存でございます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、営業エリア展開等による事業規模の拡大と、予実管理の徹底による収益力の向上を目指しており、これらの目標を管理し実現するため、売上高、売上総利益率及び売上高経常利益率を経営指標として重視しております。
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第59期実績 |
第60期予算 |
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金額(千円) |
比率(%) |
金額(千円) |
比率(%) |
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売上高 |
5,198,677 |
- |
6,000,000 |
- |
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売上総利益 |
1,506,576 |
29.0 |
1,661,090 |
27.7 |
|
経常利益 |
455,947 |
8.8 |
502,000 |
8.4 |
(3)経営戦略等
①職人型現場力による付加価値の高い造園緑化施設の提供
当社グループは、創業97年で培ったDNAを財産とし、工事監督やデザイナーであっても、いざとなればスコップを持って作業する能力や、重機等を操縦する技能、植物の取り扱いに関する知識を合わせ持っている「職人型現場力」を最大の強みとしております。この強みは、創業以来培った匠の技術が織りなす、観る人に感動を与えるエクステリアデザインによる顧客への提案力であり、当社グループが提案するエクステリアデザインを現実の造園緑化施設として実現する技術力の高さであることや、定められた期日までに安全かつ効率的に施工を完了させる長年の経験に裏付けされた施工管理のことであります。この強みを最大限活用することで、付加価値の高い造園緑化施設を提供することを目指しております。
②営業エリア拡大に向けた取り組み
当社グループは、当社において、本社・パインズ岐阜(岐阜県岐阜市)、名古屋支店(名古屋市西区)、東京支店(東京都千代田区)、長久手営業所・パインズ長久手(愛知県長久手市)、大阪営業所(大阪市淀川区)の5拠点、そして、子会社である株式会社景匠館においては、本社(大阪市淀川区)、箕面店(大阪府箕面市)、四国営業所(香川県高松市)の3拠点の合計8拠点で営業活動を実施しております。特に中部及び関西エリアに拠点が多く、重点的な営業活動エリアではありますが、今後、事業を拡大するにあたっては、東京・大阪・名古屋に次ぐ主要商業都市である福岡への営業拠点開設を視野に入れております。これにより、四大都市を中心とした営業基盤の確立を目指します。
③アライアンスの積極的な推進による企業価値の増大
当社グループは、積水ハウス株式会社と2020年5月に業務提携契約を、2020年6月、2023年2月には資本提携を行い、同社との関係をより強化しております。当社グループの売上高全体に対する同社の比率は27.3%でありますが、同社とは取引関係だけでなく、相互の知見や技術を有効活用し、より一層、街や暮らしに潤いを与える緑空間創造企業としての使命を果たしてまいります。また、2024年3月には、株式会社埼玉植物園との間で資本提携を視野に入れた業務提携を行いました。当社グループは、成長戦略の一つとして関東エリアでの事業規模の拡大を目指しておりますが、株式会社埼玉植物園は関東エリアを中心に苗木の生産・卸売、緑化造園事業を展開しております。当社グループは、協業関係を通じて、新たな付加価値を創出し、両社の業容の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。
④M&Aを活用した事業規模の拡大
当社グループが、事業規模を拡大するためには、優秀な人材の確保が欠かせません。当社グループは、職人による「匠」の技術による付加価値が最大の強みではありますが、その反面、事業規模を拡大する局面にあっては技術力のある人材確保が課題となります。当社グループはその解決策の一つとして、当社グループと同業種または近接業種の会社を対象としたM&Aによる人材確保も重要な経営戦略として考えております。M&Aを展開することでよりスピーディーな事業規模の拡大を目指しております。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、インフレの継続による実質賃金の低下による消費の低迷、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化などの地政学上のリスクを背景とした資源・エネルギー価格の高騰による資材コストの上昇など、経営環境を下押しするリスクが多い状況にあると認識しております。また、建設業界においては、内需を中心に緩やかに回復傾向にあるものの、資材価格の高騰による収益環境の悪化、時間外労働の上限規制による人材不足や高コスト化が懸念されます。また、住宅に関しては、最終消費者の価値観の多様化、気候変動による自然災害の激甚化、長期優良住宅や省エネ住宅への需要から、商品自体は高付加価値のものが好まれる反面、建築コストの上昇や土地価格の高騰もあり、経営環境は不透明な状況にあります。
当社グループは、そのような状況の中、以下の項目を優先的に対処すべき事業上の課題として取り組んでまいります。
①人材の確保、育成及び技能の伝承
当社グループが行う造園緑化事業では、設計や施工に関する技術は専門性が高く、熟練を要するため、一朝一夕では習得することが困難です。しかしながら、顧客に求められる品質・納期・価格を達成するためには、より多くの技術者を擁し、技術力を一層向上させることが必須であります。このため、今後の事業展開においては、優秀な人材の確保、育成及び技能の伝承が重要な課題となります。
採用に関しては、優秀な人材という点においては、新卒・中途採用ともに業種を超えた競争状態にあります。このような状況において、当社では、主要な高校や大学に定期的訪問し、当社の認知度を上げることで、新卒採用に向けた高校や大学との連携を強化してまいります。中途採用に関しても、複数の転職エージェントとの連携を強化し、積極的に優秀な人材の採用に努めてまいります。これら採用活動とともに、人材の定着化を図るために、新入社員とは、定期的な面談を実施し、彼らの持つ課題や意見を抽出し、早期解決に取り組みます。また、成果に応じた適切な人材評価制度と給与体系を構築することで、評価制度の見える化を推進してまいります。これらに加えて、労働時間のモニタリングを強化することで、時間外労働を削減し、ワークライフバランスの実現を図ります。
人材の育成及び技能の伝承に関しては、現場技術者の教育訓練を強化するために社内教育機関として「岐阜造園アカデミー」を設置しております。「岐阜造園アカデミー」では、月に1回以上開催する講習会や講習会の模様を撮影した動画作成を行っております。これにより、人材育成を加速させ、多くの現場経験を積むことで技能を伝承してまいります。また、造園・土木施工管理技能士、造園技能士、樹木医等の資格取得についても重要な方針としております。
②営業エリアの拡大
事業規模の拡大に向けては、現在の商圏にとどまることなく、営業エリアの拡大を通じて新規顧客を開拓することが不可欠であると認識しております。現在、東京・大阪・名古屋の三大都市圏を拠点とし、その近郊地域にも受注活動を展開しておりますが、今後の具体的なエリア戦略として、東京・大阪・名古屋に次ぐ主要商業都市である福岡への営業拠点開設を視野に入れ、四大都市を中心とした営業基盤の強化を図ってまいります。これにより、持続的な事業規模の拡大を目指してまいります。また、営業エリア拡大に加え、同業他社や異業種を対象としたM&Aの実施、並びに相乗効果が期待できる企業との事業提携など、戦略的アライアンスの推進にも積極的に取り組んでまいります。
③内部管理体制の強化
経営環境の変化に適応しつつ、更なる事業拡大を推進し企業価値を向上させるためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要な課題であると認識しております。当社では、社内における情報共有を目的としたITインフラを構築し、一定規模の受注案件に関する情報共有や拠点間における情報交換、他部門との情報共有などに関しては、定期的な会議体を設置し、早期の問題解決、業務改善につなげてまいります。また、社外との情報共有としては、お客様評価アンケートを実施してまいります。お客様評価アンケートの回答を解析することにより、継続的な受注の獲得やクレームの事前察知に役立ててまいります。
④ITの導入
企業価値の向上のためには、業務をより効率的に行うことが必須となります。当社グループは、業務を効率化するためには、ITを活用した業務システムを構築することが必要となります。当社においては、全社基幹システムを導入することで、バックオフィス業務を効率化すると共に業績の見える化を目指します。また、同時に、IT全般のセキュリティー確保、保存文書のペーパーレス化、生成AIの活用による業務の効率化を実施してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業から蓄積した造園に対するノウハウや高度な造園技法の伝承を大切にし、広く社会に「夢」と「感動」を与える緑豊かな住環境を提供してまいりました。これらの活動は創業時から変わることなく続けられております。当社グループはこれからもお客様に健康で長生きできる緑豊かな住環境の提供や地球環境の保全及び復元を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
(1)ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティに関するガバナンスの中心を担っているのは取締役会であります。取締役会では、サステナビリティに関するリスク・機会の監視及び管理並びに当該リスク・機会の識別・評価に基づく課題への対処に取り組んでおります。
(2)戦略
①環境への取り組み
当社グループは、造園緑化事業を通じて、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し、地球温暖化抑制の取り組みをしております。具体的には、東北地方の山奥に自生している落葉樹を年間500本近く調達し、当社の植木圃場にて大切に育成し、個人邸等の造園工事の現場において植木材料として利用しております。これらの樹木は、山林で林産材を育成・管理している林業にとっては利用価値が乏しく、通常は植林をする際に伐採し廃棄されるものですが、当社グループでは、冬の雪の重さや強風によって特徴のある樹形となったこれらの樹木を、「わび・さび」を表現する貴重な造園資材として価値を生み出しております。また、地方自治体と協力して、里山の保全活動を実施しております。里山に人の手が加わることで、木々の成長を育むとともに生態系の多様性を確保することも可能となります。また、土砂災害などの自然災害の抑制にも効果があり、サステナブルな社会の実現を目指します。
②人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、従業員各々が自らの価値を高めることを重要な人的資本への取り組みとして位置付けております。そのための具体的取り組みとして、当社では、人材育成機関として岐阜造園アカデミーを設立しております。岐阜造園アカデミーでは、毎月勉強会を実施しております。また、その勉強会では、教わるだけではなく、全員が先生を経験することにより、より深い学びとなるようにしております。また、造園・土木施工管理技能士、造園技能士、樹木医等の資格取得についても重要な方針としております。
当社グループが提供する造園緑化事業に高い意匠性や美しいデザイン等の付加価値を与えるためには、女性の感性や趣向も特に重要であると考えております。そのため、当社では女性の雇用に関して、一定の比率を維持することも重要な人的資本への取り組みと位置付けております。
(3)リスク管理
当社グループは、サステナビリティに関するリスクも含めて企業経営に関するリスク全般を管理する主幹部署は経営企画課であります。各部門の責任者は、自部門のリスクに関して定期的に同課に報告しております。また、同課はリスクへの対応に関する経過や結果について取締役会へ報告します。重要事項に関しては取締役会決議事項としております。
(4)指標及び目標
①環境への取り組み
弊社グループが取り組んでいる「樹木の調達」や「里山の保全活動」については、明確な指標及び目標を定めておりませんが、これらは地球環境の保護の観点から、今後さらに必要性が増すと考えております。サステナブルな社会の実現を目指し、今後も意欲的に取り組んでまいります。
②人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備
岐阜造園アカデミーに関しては、毎月1回以上の開催を目標としており、当事業年度においては毎月1回開催しております。また、女性の雇用に関しては、特に数値目標を定めておりませんが、当事業年度の女性従業員比率は28.7%であり、この水準を維持できるように従業員が働きやすい環境を整備していたいと考えております。なお、当指標及び目標につきましては、連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社の指標及び目標を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済情勢について
当社グループは、公共工事をはじめ、法人からの発注による緑地工事、個人の住宅等の造園工事等を行い、取引先は官公庁・法人・個人と幅広く展開しております。
しかしながら、官公庁並びに法人の投資動向、個人の消費動向等は経済情勢の影響を受けやすく、これらの動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定の取引先への依存について
当社グループの売上高のうち、積水ハウス株式会社及び大和ハウス工業株式会社に対する売上高の割合は、当連結会計年度において、それぞれ27.3%、8.6%を占めております。
当社グループでは、今後とも新たな取引先の獲得や収益基盤の拡大を図っていくとともに、これら2社との取引も引き続き拡大していく方針であります。
しかしながら、これら2社からの受注が減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)材料価格、外注コストの変動について
当社グループの造園緑化工事で使用する材料は、需給のバランス等により価格が変動しております。また、当該工事の施工では外注を活用しており、建設需要の繁閑等によりコストが変動しております。
材料価格並びに外注コストが当社グループの想定を超えて上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制等について
当社グループの事業は、「建設業法」等の法的規制を受けております。
当社グループでは法令等を遵守して、事業を運営しております。しかしながら、法令違反が発生した場合、予期しない法令等の改正や新たな法令等の制定により当社グループの事業が何らかの制約を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業運営に際しては、建設業に定める許可を得ております。現状、当該許可が取消しとなる事由はありません。しかしながら、何らかの事情により、許可の取消し等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の状況)
① 当社
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許認可等の名称 |
許認可等の番号 |
取得年月 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の 取消事由 |
|
建設業許可 (注) |
国土交通大臣許可 (特-4)第275号 |
1976年12月 |
2027年12月26日 (5年ごとの更新) |
建設業法 |
同法第29条 |
(注)特定建設業 造園工事業
② 株式会社景匠館
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許認可等の名称 |
許認可等の番号 |
取得年月 |
有効期限 |
関連法令 |
許認可等の 取消事由 |
|
建設業許可(注) |
国土交通大臣許可 (特-3)第28285号 |
2021年9月 |
2026年9月29日 (5年ごとの更新) |
建設業法 |
同法第29条 |
(注)特定建設業 造園工事業
(5)人材の確保及び育成について
当社グループの事業展開には、施工品質を維持・向上するための知識・技術、また、時間とともに成長する生きた樹木を扱うことから美的創造力等の感性を持った人材の確保及び育成が必要であると認識しております。
しかしながら、当社グループの求めるこうした人材の確保及び育成が計画どおりにできなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)労働災害について
当社グループの業務は屋外での作業に従事する場面が多く、作業現場での安全衛生管理の徹底を図り、工事部門長による現場巡回等を実施し、労働災害の予防に努めております。
当社グループでは、これまでに重大な労働災害が発生したことはありません。
しかしながら、万が一、重大な労働災害が発生した場合には、工事案件の完成遅延等が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)天候・自然災害について
当社グループの業務は屋外での作業が多く、天候や自然災害による影響を受けます。
長雨、大雪などの悪天候、自然災害により工事案件の完成遅延等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へ移行し、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等により景気は緩やかな回復基調で推移するものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化に伴う資源・エネルギー価格の高騰、欧米諸国での金融引き締めに伴う大幅な為替変動等、景気に対する先行きは不透明な状況が継続しております。
建設業界においては、公共建設投資については、防災・国土強靭化等を背景に底堅く推移しており、民間建設投資については、民間企業の設備投資意欲の上昇により持ち直しの傾向にあります。しかしながら、建設資材価格の高騰や建設業就業者数の減少及び高齢化はいっそう深刻化しており、予断を許さない状況が継続しております。
このような状況の下で、当社グループは、働き方改革を推進しつつ、積極的な人材の確保や社員の教育プログラムを推進し、事業規模の継続的拡大に努めてまいりました。受注状況に関しては、大手住宅メーカーとの業務提携による協力関係のさらなる強化を図り、受注案件の大型化や共同プロジェクトの増加に繋がっており、また関東地区を中心に大規模な都市開発案件や商業施設の緑化案件等の受注が増加するなど、順調に推移しております。売上・利益に関しては、中部地区の大型リゾート施設の完工、大手住宅メーカーとの共同プロジェクトによる集合住宅や住宅分譲地開発の進捗、そして関東地区の大型商業施設や関西地区の医療施設の造園緑化工事の進捗等により、順調に推移しております。
なお、当社グループは造園緑化事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、対象とする物件により、「ガーデンエクステリア」と「ランドスケープ」に区分しております。「ガーデンエクステリア」、「ランドスケープ」についての詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
<ガーデンエクステリア>
ガーデンエクステリアに関しては、売上高は2,900,272千円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。当連結会計年度においては、大手住宅メーカーとの協力関係のさらなる強化を図り、前連結会計年度よりも高価格帯の戸建及び集合住宅の外構造園工事の完成引き渡しが増加しております。また、消費者との直接取引に関しても、同様に高価格帯の外構造園工事の受注に努めており、その結果、前連結会計年度よりも戸建住宅向けの高価格帯の外構造園工事の完成引き渡しが増加しております。
<ランドスケープ>
ランドスケープに関しては、売上高は2,298,404千円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。当連結会計年度においては、民間施設の大型商業施設を中心に、受注活動を進めた結果、官公庁からの受注に関しては、前連結会計年度並みでありましたが、民間からの受注に関しては大型の造園緑化工事である南アルプス地域活性化施設、大型リゾート施設開発に伴う植栽工事の完成引き渡し及びカナダバンクーバーにおける大規模体験型農園に関する設計監理案件についても完成したことから、増加しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,198,677千円(前連結会計年度比3.9%増)、営業利益は447,218千円(同14.6%増)、経常利益は455,947千円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は340,464千円(同14.0%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ558,948千円増加し、当連結会計年度末には2,385,018千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は715,786千円(前連結会計年度は204,654千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益455,947千円、仕入債務の増減額115,575千円、未成工事受入金の増減額68,343千円、売上債権の増減額60,273千円、減価償却費43,088千円、販売用不動産の増減額23,592千円等の資金の増加に対して、法人税等の支払額80,047千円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は114,111千円(前連結会計年度は29,115千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出69,720千円、保険積立金の積立による支出23,015千円、投資有価証券の取得による支出10,901千円、無形固定資産の取得による支出10,466千円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は42,727千円(前連結会計年度は110,076千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入30,000千円、株式の発行による収入29,678千円等の資金の増加に対して、配当金の支払額80,415千円、長期借入金の返済による支出21,950千円等の資金の減少によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
該当事項はありません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
区分 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
ガーデンエクステリア |
3,193,152 |
126.0 |
776,128 |
160.6 |
|
ランドスケープ |
2,682,129 |
139.7 |
1,283,027 |
142.7 |
|
合計 |
5,875,281 |
131.9 |
2,059,155 |
148.9 |
(注)当社グループの事業は、造園緑化事業の単一セグメントであるため、対象とする物件による区分にて記載しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) (千円) |
前年同期比(%) |
|
ガーデンエクステリア |
2,900,272 |
103.3 |
|
ランドスケープ |
2,298,404 |
104.7 |
|
合計 |
5,198,677 |
103.9 |
(注)1.当社グループの事業は、造園緑化事業の単一セグメントであるため、対象とする物件による区分にて記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
積水ハウス株式会社 |
1,575,007 |
31.5 |
1,418,783 |
27.3 |
|
大和ハウス工業株式会社 |
406,818 |
8.1 |
445,808 |
8.6 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて598,267千円増加し、5,294,131千円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金が60,273千円、販売用不動産が23,592千円減少したものの、現金及び預金が558,948千円、繰延税金資産が30,670千円、土地が51,997千円、保険積立金が23,015千円、投資有価証券が15,289千円等増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて304,184千円増加し、1,473,505千円となりました。これは主に支払手形・工事未払金が115,575千円、未払法人税等が69,591千円、未成工事受入金が68,343千円等増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて294,083千円増加し、3,820,625千円となりました。これは、主に利益剰余金が260,014千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
経営成績を売上高及び段階損益ごとに、前連結会計年度と比較すると下表のようになります。
|
|
第58期 |
第59期 |
前連結会計年度比 |
|||||
|
金額 (千円) |
構成比率(%) |
金額 (千円) |
構成比率 (%) |
増減金額 (千円) |
増減比率 (%) |
|||
|
売上高 |
ガーデンエクステリア |
2,807,444 |
56.1 |
2,900,272 |
55.8 |
92,827 |
3.3 |
↑ |
|
ランドスケープ |
2,194,712 |
43.9 |
2,298,404 |
44.2 |
103,692 |
4.7 |
↑ |
|
|
小計 |
5,002,157 |
100.0 |
5,198,677 |
100.0 |
196,519 |
3.9 |
↑ |
|
|
売上総利益 |
1,372,731 |
27.4 |
1,506,576 |
29.0 |
133,845 |
9.8 |
↑ |
|
|
営業利益 |
390,091 |
7.8 |
447,218 |
8.6 |
57,126 |
14.6 |
↑ |
|
|
経常利益 |
398,664 |
8.0 |
455,947 |
8.8 |
57,282 |
14.4 |
↑ |
|
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
298,748 |
6.0 |
340,464 |
6.5 |
41,716 |
14.0 |
↑ |
|
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて196,519千円増加し、5,198,677千円となりました。これは前連結会計年度と比較して、ガーデンエクステリアが92,827千円、ランドスケープが103,692千円増加したことによります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて62,674千円増加し、3,692,100千円となりました。これは主に外注費41,976千円等が減少したものの、主要材料費42,016千円、賃金給料49,361千円等が増加したことによります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて133,845千円増加し、1,506,576千円となりました。
なお、売上総利益率は、29.0%(前連結会計年度は27.4%)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて76,718千円増加し、1,059,358千円となりました。これは主に支払手数料24,185千円、従業員給与及び手当43,810千円、福利厚生費16,440千円等が増加したものの、減価償却費11,552千円等が減少したことによります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて57,126千円増加し、447,218千円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて588千円増加し、18,397千円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べて431千円増加し、9,668千円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて57,282千円増加し、455,947千円となりました。
なお、売上高経常利益率は、8.8%(前連結会計年度は8.0%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は特別損益を、計上しておりません。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて41,716千円増加し、340,464千円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に必要となる外注加工費等及び人件費等の販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高、売上総利益率及び売上高経常利益率を経営指標として重視しております。
当連結会計年度においては、売上高5,150,000千円、売上総利益率28.9%、売上高経常利益率8.7%を目標としておりましたが、実績は売上高5,198,677千円、売上総利益率29.0%、売上高経常利益率8.8%となり、目標を上回る結果となりました。なお、翌連結会計年度は、売上高6,000,000千円、売上総利益率27.7%、売上高経常利益率8.4%を目標に掲げております。引き続きこれらの指標について、向上に努めてまいります。
積水ハウス株式会社との資本業務提携契約
当社は、2020年5月15日に、積水ハウス株式会社との間で資本提携も視野においた業務提携を行い、2020年6月12日開催の取締役会において、同社に対する第三者割当増資を決議するとともに、2020年6月30日に同社からの払込手続きが完了しております。また、同社は2023年2月20日において当社の株式を追加取得し、同社は当社のその他の関係会社となりました。
(1)資本業務提携の目的
当社の造園緑化に対する技術力及びノウハウと積水ハウス株式会社が進める大規模外構造園事業及びエクステリア事業への強化を目指した取組とを融合させることで、両社の企業価値を高めることを目的としております。
(2)業務提携の内容
当社と積水ハウス株式会社は、以下の事項に関して両社で共同して提携効果を実現してまいります。
① 個人情報の保護に関する法律等の法令に抵触しない範囲において、それぞれが持つ顧客や不動産またはプロジェクト等の営業情報を提供するよう努める。
② 魅力的な外構・造園・ランドスケープの提案力向上に協力し、緑化による生物多様性の保全や気候変動の緩和を通じて人と自然の共生実現に協力する。
③ 相互の工事原価低減を目的とした資材の共同購入を検討するとともに、外構・造園分野での新商品・新サービスの開発に協力する。
該当事項はありません。