第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次
|
第23期
|
第24期
|
第25期
|
第26期
|
第27期
|
決算年月
|
2020年9月
|
2021年9月
|
2022年9月
|
2023年9月
|
2024年9月
|
売上高
|
(千円)
|
6,122,590
|
6,985,957
|
7,220,655
|
7,577,563
|
9,301,846
|
経常利益
|
(千円)
|
419,788
|
801,416
|
856,637
|
685,200
|
806,973
|
親会社株主に帰属する 当期純利益
|
(千円)
|
226,313
|
571,908
|
408,041
|
874,606
|
622,951
|
包括利益
|
(千円)
|
233,531
|
587,976
|
411,764
|
914,993
|
627,537
|
純資産額
|
(千円)
|
1,529,517
|
2,115,494
|
3,795,059
|
4,538,382
|
5,476,102
|
総資産額
|
(千円)
|
6,081,066
|
6,020,954
|
6,487,369
|
8,382,983
|
9,252,416
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
745.04
|
1,031.90
|
1,386.92
|
1,652.17
|
1,864.04
|
1株当たり当期純利益金額
|
(円)
|
113.16
|
285.95
|
153.17
|
324.40
|
222.29
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額
|
(円)
|
-
|
-
|
150.42
|
319.56
|
217.50
|
自己資本比率
|
(%)
|
24.5
|
34.3
|
57.6
|
53.2
|
58.3
|
自己資本利益率
|
(%)
|
16.4
|
32.2
|
14.1
|
21.3
|
12.6
|
株価収益率
|
(倍)
|
-
|
-
|
11.0
|
5.5
|
19.0
|
営業活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
549,742
|
1,475,148
|
884,125
|
766,021
|
509,834
|
投資活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
△800,544
|
△170,814
|
△743,190
|
418,341
|
△1,663,127
|
財務活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
94,255
|
△1,165,807
|
263,014
|
△425,334
|
101,082
|
現金及び現金同等物 の期末残高
|
(千円)
|
552,995
|
691,539
|
1,095,525
|
1,854,553
|
802,343
|
従業員数 〔ほか、平均臨時雇用人員〕
|
(名)
|
179
|
190
|
213
|
274
|
276
|
〔198〕
|
〔269〕
|
〔208〕
|
〔235〕
|
〔231〕
|
(注) 1.第23期及び第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
2.当社は2021年10月8日に東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に上場したため、第25期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は、新規上場日から第25期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
3.第23期及び第24期の株価収益率は、当社株式が非上場であったため記載しておりません。
4.従業員数は就業人員数であり、従業員数欄の〔外書〕は、8時間換算によるパートタイマーの年間平均雇用人員であります。
5.当社は2020年8月19日付で株式1株につき100株の株式分割を行っておりますが第23期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、第25期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
回次
|
第23期
|
第24期
|
第25期
|
第26期
|
第27期
|
決算年月
|
2020年9月
|
2021年9月
|
2022年9月
|
2023年9月
|
2024年9月
|
売上高
|
(千円)
|
3,908,670
|
4,438,634
|
4,515,194
|
4,214,862
|
4,856,245
|
経常利益
|
(千円)
|
325,453
|
504,556
|
490,774
|
290,348
|
302,755
|
当期純利益
|
(千円)
|
191,542
|
357,473
|
259,787
|
459,546
|
219,100
|
資本金
|
(千円)
|
88,888
|
88,888
|
761,166
|
762,266
|
1,000,497
|
発行済株式総数
|
(株)
|
2,000,000
|
2,000,000
|
2,695,400
|
2,697,600
|
2,895,200
|
純資産額
|
(千円)
|
1,464,177
|
1,823,457
|
3,349,883
|
3,654,586
|
4,189,121
|
総資産額
|
(千円)
|
3,483,956
|
3,709,251
|
4,581,933
|
5,150,380
|
7,572,819
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
732.09
|
911.73
|
1,242.81
|
1,354.25
|
1,446.96
|
1株当たり配当額 (1株当たり中間配当額)
|
(円)
|
-
|
25.00
|
50.00
|
51.00
|
52.00
|
(-)
|
(-)
|
(10.00)
|
(25.00)
|
(26.00)
|
1株当たり当期純利益金額
|
(円)
|
95.77
|
178.74
|
97.52
|
170.45
|
78.18
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額
|
(円)
|
-
|
-
|
95.77
|
167.91
|
76.50
|
自己資本比率
|
(%)
|
42.0
|
49.2
|
73.1
|
70.9
|
55.3
|
自己資本利益率
|
(%)
|
14.0
|
21.7
|
10.0
|
13.1
|
5.6
|
株価収益率
|
(倍)
|
-
|
-
|
17.3
|
10.4
|
54.0
|
配当性向
|
(%)
|
-
|
14.0
|
51.3
|
29.9
|
66.5
|
従業員数 〔ほか、平均臨時雇用人員〕
|
(名)
|
128
|
138
|
143
|
151
|
149
|
〔75〕
|
〔106〕
|
〔46〕
|
〔53〕
|
〔56〕
|
株主総利回り
|
(%)
|
-
|
-
|
-
|
108.8
|
255.8
|
(比較指標:配当込TOPIX)
|
(%)
|
(-)
|
(-)
|
(-)
|
(129.8)
|
(151.3)
|
最高株価
|
(円)
|
-
|
-
|
2,210
|
2,320
|
4,615
|
最低株価
|
(円)
|
-
|
-
|
1,501
|
1,590
|
1,626
|
(注) 1.当社は2020年8月19日付で株式1株につき100株の株式分割を行っておりますが、第23期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
2.第23期及び第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
3.当社は2021年10月8日に東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に上場したため、第25期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は、新規上場日から第25期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
4.第23期及び第24期の株価収益率は、当社株式が非上場であったため記載しておりません。
5.従業員数は就業人員数であり、従業員数欄の〔外書〕は、8時間換算によるパートタイマーの年間平均雇用人員であります。
6.第23期から第25期の株主総利回り及び比較指標については、当社は2021年10月8日に東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に上場したため記載しておりません。
7.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所市場第二部(現 スタンダード市場)におけるものであります。なお、当社は2021年10月8日に東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に上場したため、それ以前の株価については記載しておりません。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、第25期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
9.第25期の1株当たり配当額50円には、上場記念配当10円を含んでおります。
2 【沿革】
当社は、1998年11月に愛知県一宮市瀬部において、当社創業者である松島穣により、省エネ効果のある照明器具の安定器の交換等を事業目的とした「有限会社エコシステム」として設立されました。その後、2001年に株式会社への組織変更を行い、商号も「日本エコシステム株式会社」に変更いたしました。
当社設立以降の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。
年月
|
概要
|
1998年11月
|
省エネ効果のある照明器具の安定器の交換等を事業目的として、㈲エコシステム(当社)を資本金3,000千円で設立。
|
1999年8月
|
電気空調工事に関わる事業を開始。 道路保全に関わる事業を開始。
|
2001年7月
|
日本エコシステム㈱に組織・商号変更。
|
2004年6月
|
資本金を30,000千円に増資。
|
2004年10月
|
各種ISO認証取得コンサルティングに関わる事業の開始を目的として、㈲シムプランより、ISO認証取得コンサルティング及びシステム開発に関わる事業を譲受。 ISO認証取得コンサルティング及びシステム開発に関わる事業を開始。
|
2004年12月
|
保険代理店に関わる事業を開始。
|
2006年5月
|
住宅、店舗、商業施設等の電気空調工事に関わる事業の拡大を目的として、空調サービス部門を分社化する形でECODEN㈱を設立。(2017年3月当社に吸収合併)
|
2007年3月
|
法人向けのICTソリューション(注)1に関わる事業の開始を目的として、システム開発部門を分社化する形でエコソリューションズ㈱を設立。(2017年2月当社に吸収合併)
|
2008年8月
|
不動産の仲介・販売に関わる事業を開始。
|
2009年6月
|
道路保全に関わる事業の運営体制強化を目的として、㈱東海錦組より道路保全に関わる事業を譲受。
|
2009年7月
|
産業用太陽光の再生可能エネルギー発電設備の設計、施工、保守等業務に関わる事業を開始。
|
2011年10月
|
高速道路の施設保全・道路保全に関わる事業の拡大を目的として、エコシステム㈱を設立。(2018年5月当社に吸収合併)
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2011年11月
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公営競技に関わる事業の開始を目的として、オスカー電子㈱よりTZS(注)2の設計・開発・保守、要員派遣、業務用機器販売に関わる事業を譲受。
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2012年7月
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資本金を88,888千円に増資。
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2012年10月
|
建設資材販売に関わる事業を開始。
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2012年11月
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発電及び電気の供給並びに省エネルギーに関する技術開発・企画・コンサルティングに関わる事業の拡大を目的として、JESテイコク㈱を設立。
|
2014年4月
|
個人及び法人の不動産の販売受託・一般仲介・コンサルティングに関わる事業の拡大を目的として、不動産部門を分社化する形でJESホーム㈱を設立。(2017年2月当社に吸収合併)
|
2015年7月
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電気空調工事に関わる事業の営業力強化による拡大を目的として、エコデン販売㈱を設立。(2017年3月当社に吸収合併)
|
2016年1月
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公営競技に関わる事業の拡大を目的として、公営競技の場外車券発売場の運営等を行うサテライト一宮㈱の株式を取得し、グループ化。
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2017年3月
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公営競技に関わる事業の拡大を目的として、TZS製造・販売・保守、公営競技場及び場外発売場の運営に関わる包括事業を行う日本ベンダーネット㈱の株式を取得し、グループ化。 日本ベンダーネット㈱の株式取得を通じて警備業務の請負、建物の総合管理に関わる事業を行う中央警備保障㈱の株式を取得し、グループ化。
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2018年5月
|
ICTソリューションに関わる事業の開始を目的として、モデライズ㈱よりベイジアンネットワーク(注)3を活用したAIに関わる事業を譲受。
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2020年3月
|
道路保全に関わる事業の拡大を目的として、中央警備保障㈱が高速道路規制業務、交通誘導警備業務の請負を行う㈱ワンズライフの株式を取得し、グループ化。
|
2020年5月
|
排水浄化処理に関わる事業の開始を目的として、㈱セイネンより、水処理の自動制御装置及び自動制御プログラムの製作・販売並びに排水浄化処理剤の製造・販売に関わる事業を譲受。
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2020年10月
|
道路保全に関わる事業の拡大を目的として、自動車の売買及びリース業を行う㈲ぼくんちオジカオート(現JESモビリティサービス㈱)の株式を取得し、グループ化。
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2021年10月
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東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に株式を上場。
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2022年2月
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道路エンジニアリングに関わる事業の拡大を目的として、橋梁点検、調査補修補強設計等を行う㈱日新ブリッジエンジニアリングの株式を取得し、グループ化。
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2022年4月
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東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行。 名古屋証券取引所の市場区分見直しに伴い、名古屋証券取引所メイン市場へ移行。
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2022年11月
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公営競技に関わる事業の拡大を目的として、公営競技場の運営、TZSのソフトウェア開発、各種機器・システムメンテナンス等を行うオー・ティー・エス技術サービス㈱(現 OTS㈱)の株式を取得し、グループ化。
|
年月
|
概要
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2023年1月
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グループ全体の研究開発・事業開発を一元化した「JESG事業開発研究室」を当社内に設置。 ファシリティに関わる事業の拡大を目的として、空調設備、給排水衛生設備の設計施工管理等を行う葵電気工業㈱の株式を取得し、グループ化。
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2023年4月
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ファシリティに関わる事業の拡大を目的として、空調設備、給排水衛生設備工事を行う村川設備工業㈱の株式を取得し、グループ化。 公営競技に関わる事業の拡大を目的として、当社グループ会社の日本ベンダーネット㈱が、㈱zoomより競輪情報サイトの運営事業を譲受。
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2023年7月
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道路エンジニアリングに関わる事業の拡大を目的として、交通信号機工事、街路灯工事等の電気工事を行う㈱興電社の株式を取得し、グループ化。
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2023年9月
|
交通インフラ分野におけるメンテナンス事業、ファシリティに関わる事業の拡大を目的として、鉄道関係の保守点検、空調設備、給排水衛生設備工事を行う㈱テッククリエイトの株式を取得し、グループ化。
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2023年10月
|
公営競技に関わる事業の業務効率向上を目的として、オー・ティー・エス技術サービス㈱とサテライト一宮㈱を合併(存続会社のオー・ティー・エス技術サービス㈱はOTS㈱に商号変更)。
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2024年1月
|
海外展開の強化を目的として、米国にJES FL Co.を設立。 ファシリティに関わる事業の拡大を目的として、全熱交換器の施工販売・保守点検を行う㈱エコベンの株式を取得し、グループ化。
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2024年2月
|
グループ経営の基盤強化、人材戦略の強化を目的として、コンサルティング、人材開発を行うJES総合研究所㈱をグループ化。
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2024年5月
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グループ全体でエンジニアを育成することを目的として、JESアカデミーを開校。
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2024年10月
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グループ全体の採用、人材育成、人事制度の運用強化を目的として、グループ人材戦略室を設置。 ファシリティに関わる事業の拡大を目的として、防炎合板等の製造販売を行うベニクス㈱をグループ化。 愛知県一宮市に本社機能を備えた賃貸ビル「JES一宮ビル」を取得。同ビルの賃貸事業を開始。
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(注) 1.当社におけるICTソリューションとは、情報通信技術を活用してITコンサル、グランドデザイン企画、構築、運用、保守を提供するものであります。具体的には、業務系基幹システムやアプリの開発(iOS、Android)、ベイジアンネットワークを活用した行動予測モデルの構築と運用サービスの提供を指しております。
(注) 2.TZSとはトータリゼータシステムの略称であり、公営競技における、オッズ(購入した馬券等が的中した際の戻り倍率)の表示、集計、投票券の発券、配当金の計算、払い戻しまでの一連の業務をコンピューターで一括処理するシステムのことを指します。発券や払い戻しを行う機器を含め、業務に関わるコンピューターネットワークの総称です。
(注) 3.ベイジアンネットワークとは、18世紀の数学者トーマス・ベイズが発見したベイズ理論に基づき、事象間の複雑な因果関係を条件付確率とネットワーク図で表現することができる予測モデルの一つであります。観測された情報をモデルに入力し確立を計算することで、未知の状況の予測や分析、シミュレーションを行うことができます。例として、人の購買行動予測、薬の効果シミュレーション、故障原因診断などが挙げられます。
3 【事業の内容】
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当連結会計年度において、当社、連結グループ会社(日本ベンダーネット㈱、中央警備保障㈱、JESテイコク㈱、㈱ワンズライフ、JESモビリティサービス㈱、㈱日新ブリッジエンジニアリング、OTS㈱、葵電気工業㈱、村川設備工業㈱、㈱興電社、㈱テッククリエイト、㈱エコベン及びJES総合研究所㈱)の計14社(注)1(注)2(注)3(注)4で構成されており、公共サービス事業、環境事業、交通インフラ事業を主な事業として取り組んでおります。
また、当社グループは、翌連結会計年度より報告セグメントとセグメント内の事業構成を見直し、「ファシリティ事業」「環境事業」「交通インフラ事業」「アセットマネジメント事業」に変更することといたしました。
(注)1 オー・ティー・エス技術サービス㈱とサテライト一宮㈱は、2023年10月1日付で合併し、OTS㈱に社名変更しております。
(注)2 JESモビリティサービス㈱は、2023年10月31日付で有限会社ぼくんちオジカオートから会社形態・商号を変更しております。
(注)3 当社グループは、非連結子会社として、JES FL CO.を有しておりますが、重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(注)4 2024年10月17日付で、ベニクス㈱の全株式を取得しグループ化した結果、本書提出日現在、当社グループは計15社で構成されております。
(1)公共サービス事業〔主な関係会社:当社、日本ベンダーネット㈱、中央警備保障㈱、OTS㈱、葵電気工業㈱、村川設備工業㈱及び㈱エコベン〕
ファシリティ事業では、空調設備及び給排水衛生設備並びに建材資材の販売から工事、保守メンテナンスまで幅広く展開しております。公営競技に関する事業では、公営競技場におけるトータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置・メンテナンスに関わる事業やAI(人工知能)による競輪予想サービス等・警備・清掃等の運営業務に関わる事業を通じて社会貢献に直結するビジネスを推進しております。
ファシリティ事業は、私たちが生活を営んでいく上で、生活インフラの整備による地域社会の快適性・利便性向上に資する重要な産業であり、今後も事業を通じて社会公共の福祉の向上に貢献してまいります。
公営競技に関する事業は、法令に基づいて開催されており、その収益は公共の目的に使用され、社会に還元されています。地方公共団体の財政維持や社会福祉事業、地域雇用の創出、スポーツ振興など地域活性化に資する社会的意義の高い事業と位置付けております。今後も持続的な公営競技産業の構築に寄与していくとともに、公営競技場の環境負荷低減の取り組みを通じて、環境に配慮した事業運営に注力してまいります。
(2)環境事業〔主な関係会社:当社及びJESテイコク㈱〕
排水浄化効率を促進させる製剤をはじめとする環境修復に関わる技術・新製品等の研究開発、製造及び販売業務、排水浄化処理に加え水循環利用まで含めた“水をきれいにする”トータルエンジニアリングを可能にする水循環システムのコンサルティング、企画、設計、施工及び管理業務、アクアリウムに関わる事業、並びに産業用太陽光の再生可能エネルギー発電設備の設計、施工、保守等業務を通じて環境社会に貢献する事業を展開しております。
排水浄化処理・水循環システム・アクアリウムに関する事業では、“排水処理の「常識」に革命を”というコンセプトのもと、顧客に信頼される水槽・排水処理設備のコンサルティング、企画設計から施工・メンテナンスまで手がけていることに加え、地球の環境に配慮した製品・システムを開発すべく、日々研究を積み重ねております。排水処理は、処理設備やプラントの基本設計との関係を切り離すことができません。当社は、製剤を製造する自社工場を有するとともに、販売活動においては、処理対象排水の特定、排水の水量・水質の調査を行ったうえ、処理装置の選定、配管設備の施工、処理プロセスの構築を顧客にご提案しております。
なお、研究開発活動の方針として、「グリーンケミストリー(注)5の基本的概念に準じた製品やシステムを開発・提供し、環境浄化活動に貢献する」ことを掲げており、環境への負荷がより小さい科学技術で、環境汚染を予防し、生活の安全性を確保し、持続可能な社会の構築を目指しております。
再生可能エネルギー事業では、顧客のカーボンニュートラルの課題の解決、エネルギーコスト低減のニーズに寄り添ったソリューション等をご提案しております。
(注)5 グリーンケミストリーとは、化学物質の原料の選択から、製造及び使用・廃棄までの過程全てにおいて人体や環境への負荷低減を行おうとする技術の総称を指します。
(3)交通インフラ事業〔主な関係会社:当社、㈱ワンズライフ、JESモビリティサービス㈱、㈱日新ブリッジエンジニアリング、㈱興電社及び㈱テッククリエイト〕
競争優位性である「広域エリアの対応」と「他工種にわたる対応」をベースに、高速道路等社会インフラのエンジニアリングサービスとメンテナンスサービスを提供しております。
エンジニアリング分野では、LED道路照明灯工事をはじめとして、高速道路のトンネル内設備や道路標示板、ETC設備保守の電気通信系業務や橋梁点検・点検補助等、高い専門性と豊富な経験に裏付けられた技術力があります。メンテナンス分野では、道路の補修工事、雪氷対策、事故・災害復旧工事、道路施設清掃、植栽管理、交通規制等、幅広い業務に対応できる点に強みがあります。
高度成長期に整備が進んだ高速道路は、経年劣化が顕在化しております。また、橋梁やトンネルも同様で、耐用年数を経過したインフラ設備の割合は益々増加しております。
これらのインフラ設備を再度建設するには、莫大なコストがかかる一方で、大量の建設廃棄物が発生し、環境上も望ましくありません。そのため、インフラ老朽化対策として、保守メンテナンスを行うことでインフラ設備の使用可能期間を延長させる「インフラ長寿命化基本計画」(注)6に国や地方自治体が取り組んでおります。
高度なメンテナンス技術をノウハウとして蓄積している当社グループは、機動的かつ柔軟な人材の確保、教育の充実による社員の多能工化、大型橋梁点検車等を自社保有する対応力により、社会インフラの長寿命化に貢献し、循環型社会であるエコシステムを目指しております。
(注)6 平成25年11月「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」が策定した「インフラ長寿命化基本計画」を指します。
(4)その他〔主な関係会社:当社及びJES総合研究所㈱〕
公共サービス事業・環境事業・交通インフラ事業における情報と、AI(人工知能)やICT等の最新技術を組み合わせることで、新たな事業を創造するICTソリューションを提供しております。公共サービス事業ではAIで競輪を予想する「LotoPlace」を開発しております。ICTソリューションサービスを提供するにあたって、当社が保有しているAI技術を活用した研究開発活動を行っております。この他に、経営コンサルティングに関わる事業、不動産売買・賃貸等不動産等に関わる事業を行っております。
当連結会計年度における当社グループの事業における当社及び関係会社の位置づけ、セグメントとの関連は次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一であります。
区分
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主な事業の内容
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主な関係会社
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公共サービス事業
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・空調給排水衛生設備の施工等、ファシリティ事業に関わる事業 ・公営競技場、ネット投票サイト、AIによる競輪予想サービス等の運営業務に関わる事業 ・公営競技場におけるTZSの設計・製造・販売・機器設置・メンテナンスに関わる事業
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当社 日本ベンダーネット㈱ 中央警備保障㈱ OTS㈱ 葵電気工業㈱ 村川設備工業㈱ ㈱エコベン
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環境事業
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・排水浄化効率を促進させる製剤の研究開発、製造及び販売業務に関わる事業 ・水循環システム、排水処理設備、アクアリウムのコンサルティング、企画、設計・施工・メンテナンスに関わる業務に関わる事業 ・産業用太陽光の再生可能エネルギー発電設備の設計、施工、保守等業務に関わる事業
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当社 JESテイコク㈱
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交通インフラ事業
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・高速道路を中心とした構造物点検、電気通信設備・ETC保守、交通管制業務、道路照明灯保守等の道路エンジニアリングに関わる事業 ・高速道路を中心とした維持修繕業務、事故・災害復旧業務、雪氷対策作業、土木業務、交通規制等の道路メンテナンスに関わる事業
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当社 ㈱ワンズライフ JESモビリティサービス㈱ ㈱日新ブリッジエンジニアリング ㈱興電社 ㈱テッククリエイト
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その他
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・システム保守業務、AI技術を活用したICTソリューションの提供に関わる事業 ・経営コンサルティングに関わる業務 ・不動産売買、賃貸等不動産等に関わる事業
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当社 JES総合研究所㈱
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以上に述べた当社グループの事業の系統図は、次のとおりであります。
事業系統図
4 【関係会社の状況】
名称
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住所
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資本金 (千円)
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主要な事業 の内容
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議決権の所有 割合(%)
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関係内容
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(連結子会社)
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日本ベンダーネット㈱ (注)2
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東京都千代田区
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93,600
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公共サービス事業
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100.0
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役員の兼任 3名
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中央警備保障㈱
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岐阜県岐阜市
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10,000
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公共サービス事業
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100.0
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資金の貸付 役員の兼任 3名
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JESテイコク㈱
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愛知県一宮市
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10,000
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環境事業
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60.0
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役員の兼任 2名
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㈱ワンズライフ
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岐阜県羽島市
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1,000
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交通インフラ事業
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100.0 (100.0)
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警備業務の委託 役員の兼任 1名
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JESモビリティサービス㈱
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愛知県北名古屋市
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3,000
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交通インフラ事業
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100.0
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自動車の売買・リース 資金の貸付 役員の兼任 2名
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㈱日新ブリッジエンジニアリング
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岐阜県岐阜市
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10,000
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交通インフラ事業
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100.0
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役員の兼任 なし
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OTS㈱
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愛知県一宮市
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15,000
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公共サービス事業
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100.0
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役員の兼任 3名
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葵電気工業㈱
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愛知県名古屋市名東区
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48,960
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公共サービス事業
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100.0
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役員の兼任 2名
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村川設備工業㈱
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愛知県一宮市
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20,000
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公共サービス事業
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100.0
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役員の兼任 なし
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㈱興電社
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神奈川県中郡二宮町
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50,000
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交通インフラ事業
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100.0
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役員の兼任 1名
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㈱テッククリエイト
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石川県金沢市
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12,000
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交通インフラ事業
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100.0
|
役員の兼任 1名
|
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㈱エコベン
|
東京都杉並区
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10,000
|
公共サービス事業
|
100.0
|
役員の兼任 なし
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JES総合研究所㈱
|
愛知県一宮市
|
30,000
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その他
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100.0
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コンサルティング業務の委託 役員の兼任 1名
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(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.特定子会社であります。
3.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
4.日本ベンダーネット㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
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① 売上高
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1,321,008千円
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② 経常利益
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171,053 〃
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③ 当期純利益
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203,996 〃
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④ 純資産額
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519,346 〃
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⑤ 総資産額
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702,870 〃
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5.当社グループは、非連結子会社として、JES FL CO.を有しておりますが、重要性が乏しいため、記載を省略しております。
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年9月30日現在
セグメントの名称
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従業員数(名)
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公共サービス事業
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96
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〔127〕
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環境事業
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17
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〔7〕
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交通インフラ事業
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106
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〔89〕
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その他事業
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26
|
〔1〕
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全社(共通)
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31
|
〔7〕
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合計
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276
|
〔231〕
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(注) 1.従業員数は、就業人員数(使用人兼務役員を含む)であります。
2.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3.臨時従業員には、準社員、契約社員、嘱託社員を含み、派遣社員を除いております。
4.全社(共通)は、総務及び経理等の管理本部の従業員であります。
(2) 提出会社の状況
2024年9月30日現在
従業員数(名)
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平均年齢(歳)
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平均勤続年数(年)
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平均年間給与(千円)
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149
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〔56〕
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39.6
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6.5
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5,350
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セグメントの名称
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従業員数(名)
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公共サービス事業
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16
|
〔1〕
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環境事業
|
17
|
〔7〕
|
交通インフラ事業
|
64
|
〔40〕
|
その他事業
|
21
|
〔1〕
|
全社(共通)
|
31
|
〔7〕
|
合計
|
149
|
〔56〕
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(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数(使用人兼務役員を含む)であります。
2.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3.臨時従業員には、準社員、契約社員、嘱託社員を含み、派遣社員を除いております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、正社員のみで算定しております。
6.全社(共通)は、総務及び経理等の管理本部の従業員であります。
(3) 労働組合の状況
当社グループ各社に労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1
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男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2
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労働者の男女の 賃金の差異(%) (注)3
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13.3
|
33.3
|
―
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(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異につきましては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
② 主要な連結子会社
当社のグループ会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休暇等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。