第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「情報をもっと簡単、便利、快適に」をコンセプトに、情報活用の利便性を追求し、すべての人により快適なユーザーエクスペリエンス(UX)を提供すると同時に、住生活関連ビジネスのパフォーマンス向上を支えるため事業を展開しております。

 上記を実現するために、新規サービスの開発、優秀な人材の確保及び育成、内部管理体制の強化に継続的に注力し、強固な事業基盤を確立することが重要であるとの考えに立脚し、ビジネスを展開しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループが今後更なる成長と発展を遂げるためには、「(4)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載の課題に対応していくことが経営上重要であると認識しております。

 『リビンマッチ』を中心とするマッチングプラットフォームにおいては、エンドユーザー及びクライアント企業の利便性を向上させ、DXクラウドにおいては、クライアント企業向けのDXサービスの拡充に継続的に取り組むことで、エンドユーザー・クライアント企業双方にとって必要不可欠なプラットフォームとなることを目指す方針であります。

 また、優秀な人材の採用・教育等を通じた営業力強化により、さらなるクライアント企業の獲得を推進し、クライアント企業のネットワークを活用して不動産取引に関連する周辺の新事業領域へ積極的に展開していく方針であります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な利益成長を目指して、継続的な事業拡大の観点から、各サービスにおける成長性や効率性の向上に取り組んでおり、「営業収益」及び「営業利益」を重要な経営指標として位置づけております。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

① 既存サービスにおける継続的な成長

 当社グループは、「DXプラットフォーム事業」として、住宅領域バーティカルメディア『リビンマッチ』を軸に不動産・住宅業界に特化したプラットフォームを提供しております。

 当社グループが今後も継続的に成長していくためには、エンドユーザー及びクライアント企業のニーズを把握し、『リビンマッチ』の魅力、認知度を向上させることで、オーガニック(注)経由の集客を強化し、広告の費用対効果と利益率を向上させることが重要であると認識しております。

 この課題に対応するため、当社グループではこれまでWEBマーケティングの内製化によりノウハウを蓄積してまいりました。また、今後の持続的な成長のためには、営業人員の生産性の向上、ソリューション営業力の強化等により新規クライアント数を増加させることが重要と認識しております。今後も『リビンマッチ』のコンテンツ及びサービスメニューの拡充による利便性向上等、エンドユーザー及びクライアント企業から選ばれるサービスを提供してまいります。

 また、2021年にサービスを開始した『外壁塗装DX事業(ぬりマッチ)』、2022年にサービスを開始した『建築DX事業(メタ住宅展示場)』に関しましても、事業規模の拡大が急務であります。なお、『外壁塗装DX事業(ぬりマッチ)』に関しましては、子会社を設立して事業を移譲し、『リビンマッチ』に並ぶ第2の主力サービスを創出するべく、事業推進の迅速化を図っており、引き続き『リビンマッチ』で蓄積したノウハウを最大限活用し、一刻も早い認知度向上、収益拡大に努めてまいります。

 

(注)オーガニックとは、検索結果ページに表示されるもののうち、検索連動型広告などの広告表示を除いた、いわゆる通常の検索結果や自社コンテンツからのサイト流入をいいます。

 

② 新規サービスの開発

 現在、当社グループは不動産・住宅業界に特化してDXプラットフォームサービスを提供しておりますが、当社グループのサービス提供領域以外においても、不動産テック(注)によるサービスは続々と実用化され、不動産業界全体に大きな変革をもたらしていくものと考えられます。

 また、昨今の目まぐるしい技術革新により、様々な先端技術が開発され、ビジネスに活用されております。当社グループにおいても、AIなどの先端技術を研究、商品化を実現してまいります。

 当社グループでは、「インターネットサービスを利用して、人々の生活に密着した手放せないサービスを提供し、世の中に必要不可欠な企業になる」という企業理念を実現し、企業価値及び株主価値の向上を目指すために、今後もエンドユーザー及びクライアント企業から支持される新規サービスを開発してまいります。

 

(注)不動産テックとは、テクノロジーの力によって、不動産の売買、賃貸、投資の新しい仕組みを生み出し、従来の商慣習を変えようという取り組みをいいます。

 

③ 内部管理体制の強化

 当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスクマネジメントのための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、業務改善を推進して効率化を図るとともに、事業等のリスクを適切に把握・対処し、コンプライアンスを重視した経営管理体制に重点をおくことで、経営の公平性や透明性を確保し、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

④ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

 当社グループは、今後の更なる事業拡大のためには、優秀な人材の確保及び当社グループの成長に応じた組織体制の強化が重要な課題であると認識しております。

 人材の確保においては、中途採用及び新卒採用を実施しており、当社グループの求める資質を兼ね備えつつ、企業風土にあった人材を登用する方針であります。

 また、個々の従業員・チームが最大限のパフォーマンスを発揮できるように、教育体制の整備を進め、人材の定着と能力の底上げを行っていくことで、組織体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑤ システムの安定性の確保

 当社グループの運営するDXプラットフォーム事業は、インターネット上でサービスを提供しているため、システムの安定稼働の確保は必要不可欠であります。このため、人員の拡充や、サーバーの増設等の設備投資を継続的に行うことで、システムの安定性の確保に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、情報活用の利便性を追求し、すべての人により快適なユーザーエクスペリエンス(UX)を提供すると同時に、住生活関連ビジネスのパフォーマンス向上を支えるため事業に邁進しております。上記を達成するため、事業やサービスを展開し、その結果は取締役会や経営会議に報告を行っています。

 また、毎週1回行われている経営会議では、当社グループの中長期的な成長と持続可能性の向上を目的とした課題や方針の決定や、各部門における取り組みの横断的な検討・議論がなされております。ガバナンス体制の強化を実現するため、各種規定の整備や制度の充実に努めてまいります。詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社グループにおいては、人的資本に関するリスクが大きいと考えております。経験豊富な従業員の離職や、採用競争力の低下により中途採用及び新卒採用において優秀人材の確保が困難になることで、当社グループの成長に影響が生じる可能性があります。そのため、従業員に成長の機会を提供し、リスク低減に努めます。外部講座やオンライン学習サービスの活用はもちろんのこと、IT関連資格の取得援助を全社的に行い、当連結会計年度において、IT関連有資格者が前期末比で約1.5倍に伸長しております。

 また、当連結会計年度において、次世代の幹部候補の育成を目的とした幹部人材育成プロジェクトを開始しております。本プロジェクトでは、研修やワークショップを通じ、幹部候補人材の育成を行っております。

 社内環境整備に関しましては、完全退社時間を定めることによる長時間労働の防止、従業員サーベイサービスの導入、内部通報制度の整備を行うことにより、健康的な働き方を推進する様々な施策を実施しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループのリスクの管理体制は、「リスク管理規定」を制定し、その全社的な推進や遵守の徹底を行い、体制の強化を図っております。また、経営に対して大きな影響を及ぼすリスクを予見し、迅速かつ適切に対応するため、毎週1回開催される経営会議において、検討・審議を行っております。現在、当社グループが認識しているリスクの詳細は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、上記「(2)戦略」に記載のとおり、各種の取組を進めておりますが、現時点で具体的な指標は設定しておりません。今後、取締役会や経営会議において人的資本及び社内環境整備に関する方針に関する指標の策定に向けた議論を行い、指標及び目標の開示を検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)不動産・住宅業界市場の動向について

 当社グループは、「DXプラットフォーム事業」として不動産・住宅業界に特化したインターネットサービスを提供しております。このため、景気の後退、大幅な金利の上昇、住宅税制の変化、その他予期せぬ要因の影響により、各種不動産取引が低迷し、不動産・住宅業界における広告出稿が大幅に減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)技術革新について

 当社グループが運営するサービスは、インターネット関連技術を基盤としております。インターネット業界における技術革新のスピードは著しく、当社グループでは、これらの変化等に迅速に対応できるよう、最新技術への迅速な対応や情報の蓄積・分析に注力しておりますが、今後の技術革新や顧客ニーズの変化に伴い、最新技術への対応が困難となった場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競合について

 当社グループではITを活用した住宅領域バーティカルメディア『リビンマッチ』を運用しております。当該サービス分野は当社グループだけでなく他社も事業を展開しておりますが、新サービス開発、ブランディング等により、他社との差別化を図っております。

 また、当該事業分野は多額の広告宣伝費を投下する必要があることから、一定の参入障壁はあるものと考えております。

 しかしながら、競合他社との競争激化による収益力の低下や、広告宣伝費の増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)広告宣伝費について

 当社グループが運営する住宅領域バーティカルメディア『リビンマッチ』に係わる広告宣伝費が連結営業収益に占める割合は非常に高く、当社グループの事業において、広告宣伝費は集客数・営業収益増加のための重要な投資であると認識しております。広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を測定し、最適な広告宣伝活動を実施するように努めておりますが、各種広告媒体における広告掲載基準の変更、検索エンジンの表示結果、広告手法などにより、広告宣伝費が大きく変動する可能性があります。

 当社グループでは、集客数・営業収益と広告宣伝費の費用対効果を分析することで、最適な広告宣伝活動を行っておりますが、何らかの理由により、広告宣伝費の費用対効果が悪化した場合には、集客数・営業収益の減少や、広告宣伝費の追加的な支出により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報保護について

 当社グループは、当社グループサイトのエンドユーザーに関する大量の個人情報を取り扱っております。当該情報の漏洩を回避するため、「プライバシーマーク」登録証の取得・更新、社内規程、業務マニュアル等のルールの整備、社員教育の徹底等により、個人情報を保護する体制の維持に努めておりますが、万一、個人情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜や当該事象に起因する多額の経費発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制について

 当社グループのインターネットサービスにおいては各種法的規制を受けており、具体的には、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「電気通信事業法」等といった法的規制の対象となっております。

 当社グループでは、当該規制に対して、遵守体制の整備・強化、社員教育、顧問弁護士との定期的な情報交換等の対応を行っておりますが、今後、新たな法令等の制定や、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、その内容によっては当社グループの事業が制約を受けたり、新たな対応が必要になったりする可能性があり、そのような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)公序良俗に違反する広告及びサイトに対する対応について

 当社グループが運営するサービスは、数多くの広告媒体及びアドネットワークを含む広告代理店(以下「広告媒体等」という。)へ広告の掲載を委託しており、広告の内容や広告のリンク先については広告媒体等の裁量に任せる部分が多く、公序良俗に反する広告が掲載されてしまう可能性があります。当社グループといたしましては、広告媒体等との取引開始時における審査の実施や社内にて広告掲載基準を設定するなど、広告及びリンク先のサイトの内容についての管理を実施しております。また、当社グループの社員が既に掲載されている広告及び広告のリンク先サイトを定期的に巡回し、広告掲載基準の遵守状況を監視しております。広告掲載基準に違反する行為が発見された場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。

 しかしながら、広告媒体等が公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供を当社グループの意図に反して継続することにより、当社グループの提供するサービスや当社グループのアカウントがGoogle LLCやLINEヤフー株式会社等の運営する大手広告媒体より削除された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権の管理について

 当社グループは、運営するインターネットサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制としては、当社グループの管理部門及び顧問弁護士等による事前調査を行っております。

 当連結会計年度末現在において、当社グループでは第三者の知的財産権を侵害していないものと認識しておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や差止請求等を受ける可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが保有する知的財産の権利化が困難な場合もあります。こうした場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)システム障害について

 当社グループの事業はインターネット環境において行われており、サービスの安定運用のために適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、アクセス数の突発的な増加、人的ミス、コンピュータウィルス、第三者によるサーバーやシステムへのサイバー攻撃、自然災害等の様々な要因により、当社グループの想定範囲を超えるシステム障害等が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新規事業への取り組みについて

 当社グループでは、事業展開の対象領域としている不動産・住宅業界において、事業規模の拡大と収益源の多様化を目的として、新規サービスの提供や新規事業開発を検討しております。

 これにより、人材採用、広告宣伝費、システム投資等の新たな費用が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規サービスの提供や、新規事業開発が計画通りに進まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)経営管理体制について

① 内部管理体制の整備について

 当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模組織における管理体制について

 当社グループは小規模な組織であり、当連結会計年度末現在の内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社グループでは今後の事業拡大に対応すべく人員増強等によりさらなる組織力の充実を図ってまいりますが、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材の採用、育成及び定着について

 当社グループでは、優秀な人材の確保、育成及び定着は、今後の継続的な成長を実現させるための重要課題であると認識しております。このため、積極的な採用活動を通じ、優秀な人材を確保するとともに、社内研修や人事制度の改善、福利厚生の拡充等により、人材の育成や定着率の向上を図っておりますが、当社グループが求める人材を計画通りに確保できなかった場合、採用・育成した人材が当社グループの事業に寄与しなかった場合、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である川合大無氏は当社の創業者であり、創業以来代表者を務めております。同氏は、DXプラットフォーム事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

 当社グループでは取締役会や定例の経営会議において、役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ コンプライアンス体制について

 当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。

 しかしながら、今後、万一役職員の不正や不法行為が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループは、当社グループの取締役及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。今後、これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日の前月末現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は1,896株であり、発行済株式総数1,343,588株の0.1%に相当しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績

 当社グループは、『情報をもっと簡単、便利、快適に』をコンセプトに、情報活用の利便性を追求し、すべての人により快適なユーザーエクスペリエンス(UX)を提供すると同時に、住生活関連ビジネスのパフォーマンス向上を支えるための事業を展開しております。

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く情報サービス産業においては、民間企業のみならず、政府・官公庁においてもIT投資需要は継続しており、社会全体としてITの利活用の流れが一層増加しています。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)化の投資意欲は旺盛になっており、今後もこの流れは堅調に推移することが期待されます。

 このような状況の下、当社グループは、2024年9月期において、中長期的な成長を見据え、積極的に投資を行いました。主な投資項目は、新規事業・M&A・人的資本であります。2023年11月には、『リビンマッチ』に次ぐ第2の主力事業創出のため、『外壁塗装DX事業(ぬりマッチ)』を分社化し、リビンDX株式会社を設立、組織の機動力及び事業の推進力の向上を図るとともに、人員拡充及び機械学習を活用し、最適な広告運用を可能とするための広告費投下等を通じて投資を重点的に実行してまいりました。

 また、2023年12月20日には、グループ内での連携を通じて、今後革新的なサービスを開発していくこと、並びに、当社グループのDXクラウドサービスラインナップの拡充の足掛かりとすることを目的として、不動産業向けシステム開発会社である株式会社仲介王の発行済み全株式(自己株式を除く。)を取得し、子会社化しております。

 人的資本への投資の結果につきましては、当期において正社員は19名純増し、グループ経営や人材育成プロジェクト等を通じて、幹部人材の育成、社員のデジタル人材化が順調に進捗しております。

 当社グループは、『リビンマッチ』に加え、『外壁塗装DX事業(ぬりマッチ)』や『建築DX事業(メタ住宅展示場)』といった新規事業をさらに成長させていくことで、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、営業収益3,570,151千円、営業利益207,037千円、経常利益209,075千円、親会社株主に帰属する当期純利益114,018千円となりました。

 なお、当社グループは、DXプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

②受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

DXプラットフォーム事業

3,570,151

合計

3,570,151

 (注)1.当社グループの事業区分は「DXプラットフォーム事業」の単一セグメントであります。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比は記載しておりません。

 

(2)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は3,400,633千円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,904,406千円、売掛金569,533千円、投資有価証券686,918千円であります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は1,850,706千円となりました。主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金331,438千円、未払金247,647千円、長期借入金1,002,669千円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,549,927千円となりました。主な内訳は、利益剰余金1,192,440千円であります。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,871,001千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は103,327千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益224,739千円、売上債権の減少額25,229千円、未払金の増加額13,901千円があった一方で、法人税等の支払額170,157千円があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は509,744千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出451,889千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出44,315千円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は1,169,298千円となりました。これは主に、長期借入金の借入による収入1,400,000千円があった一方、長期借入金の返済による支出230,702千円があったことによるものです。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループが今後も持続的な成長を続けていくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載された課題等に対応していくことが重要であると認識しております。これらの課題等に対応するため、外部環境・内部環境の変化に応じて適時に関連する情報の入手・分析を行い、現在及び将来の事業環境を確認し、継続的な改善策を実施していく方針であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、事業の持続的な成長のため、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金を中心に『リビンマッチ』及び『ぬりマッチ』に積極的投資を行っております。当連結会計年度においては、将来の持続的成長のために長期資金を確保し、財務基盤のより一層の安定を図る目的で、長期借入金14億円を調達いたしました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローの資金供給力と現金及び現金同等物の期末残高は、ともに当面の資金需要を賄うのに十分な水準であることから、資金の流動性は確保されているものと判断しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。