1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   株式会社TAアソシエイツジャパン1号

所在地  東京都港区白金台三丁目10番10号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

(1)普通株式

(2)新株予約権

① 2017年12月14日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第1回新株予約権(以下「第1回新株予約権」といいます。)(行使期間は2019年12月16日から2027年12月13日まで)

② 2017年12月14日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第2回新株予約権(以下「第2回新株予約権」といいます。)(行使期間は2019年12月16日から2027年12月13日まで)

③ 2017年12月14日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第3回新株予約権(以下「第3回新株予約権」といい、第1回新株予約権、第2回新株予約権及び第3回新株予約権を総称して、以下「本新株予約権」といいます。)(行使期間は2019年12月16日から2027年12月13日まで)

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)意見の内容

 当社は、2024年1月24日開催の当社取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 なお、当該取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。

 

(2)意見の根拠及び理由

 本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、TA Associates Management, L.P.及びそのグループ(以下、個別に又は総称して「TA」といいます。)が投資助言を行う投資ファンドであるTA Prime Aggregator, L.P.(以下「TAファンド」といいます。)により議決権の全てを所有されている株式会社TAアソシエイツジャパン2号(以下「公開買付者親会社」といいます。)の完全子会社であり、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)及び本新株予約権を取得及び所有し、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる目的として、2024年1月10日付で設立された株式会社とのことです。本書提出日現在、グループとしてのTA、それらが投資助言を行う投資ファンド、公開買付者親会社及び公開買付者は、当社株式及び本新株予約権を所有していないとのことです。

 TAは、1968年にボストンで設立され、ボストン、メンローパーク、オースティン、ロンドン、ムンバイ及び香港にオフィスを構え、280名以上の社員が在籍しているグローバル・グロース・プライベートエクイティ投資会社とのことです。2023年12月末現在、累計約650億ドルを調達し、テクノロジー、ビジネスサービス、ヘルスケア、金融サービス及び消費財の5つの業界をターゲットセクターとして焦点を当てており、テクノロジー業界において売上高成長率が年率10%以上の企業等、世界中で高い成長率及び収益率を保持している企業を対象に投資活動を実施していますが、特にテクノロジー領域へは300件超の豊富な投資実績を有しているとのことです。

 今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)のグロース市場(以下「東京証券取引所グロース市場」といいます。)に上場している当社株式及び本新株予約権の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募株式等(以下に定義します。)を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを開始することを決定したとのことです。

 本公開買付けは、当社の代表取締役社長であり当社の第8位株主(2023年9月30日時点。以下株主の順位の記載について同じです。)である湯浅哲哉氏(以下「湯浅氏」といいます。所有株式数:726,000株(但し、譲渡制限付株式報酬として付与された当社の譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)5,000株を含みます。以下同じです。)、所有割合(注1):3.95%、所有新株予約権数:2,660個(目的となる株式数:266,000株、所有割合:1.45%))のパートナーとして、公開買付者が実施するものであり、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注2)に該当いたします。本取引の実行後も、湯浅氏は、引き続き当社の代表取締役社長として、継続して当社の経営にあたることを予定しているとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、(ⅰ)当社が2023年11月14日付で提出した「第7期第2四半期報告書」(以下「当社四半期報告書」といいます。)に記載された2023年9月30日現在の当社の発行済株式数(18,028,800株)に、(ⅱ)当社が2023年6月28日付で提出した第6期有価証券報告書に記載された2023年3月31日現在の全ての本新株予約権(5,184個)から、2023年4月1日以降2023年9月30日までに行使され又は消滅した本新株予約権(411個)を除いた数の本新株予約権(4,773個)の目的である当社株式数(477,300株)を加算した数(18,506,100株)から、(ⅲ)当社四半期報告書に記載された2023年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(104,499株)を控除した株式数(18,401,601株)(以下「当社潜在株式勘案後株式総数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。なお、2023年9月30日現在残存する本新株予約権の内訳は以下のとおりです。

本新株予約権の名称

2023年9月30日現在の個数

目的となる当社株式の数

第1回新株予約権

1,643個

164,300株

第2回新株予約権

730個

73,000株

第3回新株予約権

2,400個

240,000株

合計

4,773個

477,300株

(注2) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員である公開買付け(公開買付者が対象者の役員の依頼に基づき公開買付けを行う者であって対象者の役員と利益を共通にする者である公開買付けを含みます。)をいいます(東京証券取引所の有価証券上場規程第441条参照)。

 

 公開買付者は、本公開買付けの実施に当たり、当社の第1位株主であるPacific戦略投資1号投資事業有限責任組合(所有株式数:3,816,600株、所有割合:20.74%)、第2位株主であるPacificグロース投資事業有限責任組合(所有株式数:1,368,200株、所有割合:7.44%)、第3位株主であるPacificグロース3号投資事業有限責任組合(所有株式数:1,280,000株、所有割合:6.96%)、第4位株主であるPacificプリンシパル投資事業有限責任組合(所有株式数:1,250,000株、所有割合:6.79%)及び第7位株主であるPacific2号投資事業有限責任組合(所有株式数:868,900株、所有割合:4.72%)(以下、これらの株主を総称して「Pacific投資事業有限責任組合」といいます。合計所有株式数:8,583,700株、合計所有割合:46.65%)との間で、2024年1月24日付で、公開買付応募契約(以下「本応募契約」といいます。)を締結し、それぞれが所有する当社株式の全てについて、本公開買付けに応募する旨の合意をしているとのことです。

 また、公開買付者及び公開買付者親会社、並びにTAが投資助言を行う投資ファンドであり、本公開買付けの成立を条件として公開買付者親会社に出資を予定しているTAファンドは、当社の第8位株主である湯浅氏との間で、2024年1月24日付で、湯浅氏が所有する当社株式(所有株式数:726,000株、所有割合:3.95%)及び本新株予約権(所有新株予約権数:2,660個(目的となる株式数:266,000株、所有割合:1.45%))の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含みます。)(以下「本不応募株式等」といいます。)を本公開買付けに応募しない旨並びに本スクイーズアウト手続(以下に定義します。)及び本取引後の当社の組織再編の実施等について定める不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結しているとのことです。本応募契約及び本不応募契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「①本応募契約」及び「②本不応募契約」をご参照ください。

 

 本公開買付けにおいては、公開買付者は、11,275,800株(所有割合:61.28%)を買付予定数の下限と設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、本公開買付けは、公開買付者が当社株式及び本新株予約権の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募株式等を除きます。)を取得することを企図しているとのことですので、買付予定数の上限は設けておらず、買付予定数の下限以上の応募があった場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(11,275,800株)は、当社潜在株式勘案後株式総数(18,401,601株)に係る議決権数(184,016個)に3分の2を乗じた数(122,678個、小数点以下を切り上げ)から湯浅氏が所有する当社株式(726,000株)及び本新株予約権の目的となる当社株式(266,000株)の合計(992,000株)に係る議決権数(9,920個)を控除した数(112,758個)に100を乗じた数としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者が、本公開買付けにおいて、当社株式及び本新株予約権の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募株式等を除きます。)を取得できなかった場合には、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者及び湯浅氏のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているところ、本スクイーズアウト手続の一環として株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者及び湯浅氏が当社の総株主の議決権の3分の2以上に係る当社株式を所有することとなるようにするためとのことです。

 なお、公開買付者は、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を吸収合併存続会社、当社を吸収合併消滅会社とし、湯浅氏に対する合併対価を公開買付者の普通株式とする吸収合併(以下「本合併」といいます。)を実施し、本合併の完了後、公開買付者親会社を株式交換完全親会社、公開買付者を株式交換完全子会社とし、公開買付者親会社の普通株式を株式交換の対価として、これを株式交換の実施時点において公開買付者の株主となる湯浅氏に対して交付する株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。但し、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式併合(以下に定義します。以下同じです。)の結果、公開買付者のみが当社の株主となった場合、本取引後に湯浅氏が本株式併合により1株未満の端数となった部分に相当する株式の対価として受領した金銭の一部を公開買付者親会社に再出資(以下「本再出資」といいます。)し、かつ、公開買付者を吸収合併存続会社、当社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施することにより、本取引並びに本合併及び本株式交換により企図していた公開買付者親会社、公開買付者及び当社の株主構成と実質的に同等の株主構成を実現するために必要な手続を実施することを予定しているとのことです。本書提出日現在、当該手続に関する具体的な日程等の詳細については未定とのことです。

 公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、公開買付者親会社から本公開買付けの決済の開始日である2024年3月18日(以下「本決済開始日」といいます。)の2営業日前までに12,000百万円を上限として出資を受けるとともに、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)から本決済開始日の1営業日前までに17,000百万円を上限として借入(以下「本買収ローン」といいます。)を受けることを予定しており、これらの資金をもって、本公開買付けの決済資金、当社の第三者に対する既存借入債務の返済及び本取引に係る取引費用等に充当する予定とのことです。本買収ローンに係る融資条件の詳細は、三井住友銀行と別途協議の上、本買収ローンに係る融資契約において定めることとされているとのことです。なお、本買収ローンにおいては、当社株式若しくは当社の資産の一部について担保が設定され、又は当社が連帯保証を提供する可能性があるとのことです。

 

 また、本取引を図で表示すると大要以下のとおりとのことです。

 

<本取引のストラクチャー図>

Ⅰ. 本公開買付けの実行前(現状)

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(注) ストラクチャー図内の数値は直接的又は間接的な所有割合を記載しているとのことです。

 なお、「湯浅氏」及び「その他の当社の株主及び本新株予約権者」の所有割合については、本新株予約権の目的である当社株式数を加算して算出しているとのことです。以下のストラクチャー図においても同様です。

 

 

Ⅱ. 本公開買付けの実行後

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Ⅲ. 本スクイーズアウト手続の実行後

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 公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式及び本新株予約権の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募株式等を除きます。)を取得できなかった場合には、当社に対して、本株式併合の手続を実行することにより当社の株主を公開買付者及び湯浅氏のみとするための手続を要請する予定とのことです。

 なお、本株式併合は、本公開買付け成立後に開催される本臨時株主総会(以下に定義します。)による承認を経た後の効力発生を想定しているとのことです。

 

 

Ⅳ. 本合併後

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 本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を吸収合併存続会社、当社を吸収合併消滅会社とし、湯浅氏に対する合併対価を公開買付者の普通株式とする本合併を実施する予定とのことです。

 

Ⅴ. 本株式交換後

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 本合併の完了後、公開買付者親会社を株式交換完全親会社、公開買付者を株式交換完全子会社とし、公開買付者親会社の普通株式を株式交換の対価として、これを株式交換の実施時点において公開買付者の株主となる湯浅氏に対して交付する本株式交換を実施することを予定しているとのことです。

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 当社は、1989年4月に設立された給与計算業務のアウトソーシングサービスを行う旧株式会社ペイロール①を吸収合併した旧株式会社ペイロール②の株式取得を目的として、2017年4月にPRホールディングス株式会社として設立された後、同年12月を合併期日として、旧株式会社ペイロール②を吸収合併、同時にPRホールディングス株式会社から株式会社ペイロールに商号変更し、現在に至っております。当社は、2021年6月に東京証券取引所のマザーズ市場(以下「東京証券取引所マザーズ市場」といいます。)に上場し、その後の2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在、東京証券取引所グロース市場に上場しております。

 本書提出日現在、当社のグループは、当社の他、連結子会社1社(株式会社HRテクノロジーソリューションズ)(以下、総称して「当社グループ」といいます。)から構成されており、Webサービス(クラウド(注1))、給与エンジン(クラウド)及びオペレーションを用いた給与計算業務のBPO(Business Process Outsourcing)(注2)を主たる事業としております。当社グループは、給与計算業務のプロフェッショナルとして、「お客様に気持ちよくサービスを受けていただく」を第一に考え、専門性・安全性・確実性、更に効率性を徹底的に追求し、開発した「サービス」を提供することで企業の存在基盤を支える「ソフトインフラ」としての役割を担うことを理念としております。

(注1) 「クラウド」とは、ネットワークを介してITインフラやソフトウェアを利用する形態のことをいいます。

(注2) 「BPO(Business Process Outsourcing)」とは、企業活動における業務プロセスの一部を一括して外部委託することをいいます。

 

 当社グループの給与計算業務のアウトソーシングサービスは、給与・定期賞与計算はもちろん、年末調整補助や地方税特別徴収補助等の季節性業務、身上異動等の人事関連業務、従業員及び各拠点との直接対応等、給与計算に関わる様々な周辺業務をサポートする「フルスコープ型アウトソーシング」であり、顧客企業の人事・労務関連業務の工数削減を行い、コア業務に特化するためのサービスを提供しております。

 また、当社グループは、2016年1月のマイナンバー制度の開始に伴い、フルスコープ型アウトソーシングサービスのノウハウを活かした「マイナンバー管理サービス」を提供しております。このように、給与計算のみを受託するのではなく、サポート範囲を給与計算に関わる業務とし、法改正等の市場の動向に合わせて業務範囲を拡大することで、給与計算業務を受託するマーケットにおいて競争力を有しております。これらの複合的なサービスを提供することが顧客企業の満足度の向上にも繋がり、2021年3月期以降の各年度のチャーンレート(月平均解約率)の実績は、0.14%、0.28%及び0.23%と一般的なSaaSベンダー(注3)の2%前後と比較しても低位で推移しており、継続率の高いストック型の事業モデルを確立しております。

(注3) 「SaaS(注4)ベンダー」とは、インターネット等のネットワーク経由でアプリケーションを利用者に配信するクラウドベースのサービスの提供者のことをいいます。

(注4) 「SaaS」とは、「Software as a Service」の略で、インターネット等のネットワーク経由でアプリケーションを利用者に配信するクラウドベースのサービスのことをいいます。

 

 当社グループは、2022年5月12日付で3ヵ年中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)(以下「中期経営計画」といいます。)を策定し、成長戦略の根幹となる給与計算受託企業・受託従業員の拡大施策を講じております。現在の主軸であるBPOを最大限に活かせる従業員1,000人以上の大規模企業(以下「エンタープライズ企業」といいます。)の市場におけるオーガニックな成長の他に、日本における給与計算アウトソーシングの在り方を「給与BPaaS(注5)」として再定義し、従業員100人以上から1,000人未満の企業(以下「SMB企業」といいます。)にも当社グループのサービスをご利用いただけるようサービスの構造を変え、マーケットに深化することを掲げております。さらに、「給与デジタルマネー払い領域の参入」の先を見据えた、オンデマンドペイ(注6)による事業拡大の取組を進めております。

(注5) 「BPaaS」とは、「Business Process as a Service」の略であり、SaaS(クラウド)とBPOを組み合わせたサービスのことをいいます。お客様の要件に合わせたソフトウェアサービスを提供するとともに、事務処理を行う人的リソースにおいても、必要に応じてお客様と当社側でいつでも切り替えができるBPOのオンデマンド化に対応したサービス内容です。

(注6) 「オンデマンドペイ」とは、従業員の要求に応じて、給料日前の賃金相当額の支払いを可能とするサービスのことをいいます。

 

 当社は、当社グループが事業を展開する給与計算業務のアウトソーシング市場は、政府の提唱する「働き方改革」により各企業が行う長時間労働是正の手段として、アウトソーシングを活用し、コア業務に注力することに対する機運が高まっていることから需要が拡大しており、今後も発展していくことが見込まれると考えております。一方で、当社は、他社とのサービス力、価格を含めた競争激化が起こっている中で、中長期的な成長のために以下の経営課題に早急に対処すべきと考えております。

 

(a)新基幹システム(P3)の開発・移行

 当社グループが提供する給与計算業務のアウトソーシングサービスは、人材不足の環境下において、クラウドサービスの進展に伴うサービスの改善により今後も大きく発展すると見込んでおり、継続的な業務の効率化及び品質向上を進めることは、収益の増加はもとより顧客満足度の向上に繋がり、ひいては当社グループの成長に繋がるものと認識しております。このため、当社グループは、持続的かつ安定的な成長基盤を構築し、強固な経営基盤を確保するために、顧客企業へ提供しているクラウドシステムである新基幹システム(P3)(以下「P3システム」といいます。)の機能強化及び旧基幹システム(SEP2000)(以下「SEPシステム」といいます。)からP3システムへの移行(以下「クラウドシフト(PX)」といいます。)を継続しております。

 

(b)優秀な人材の採用・育成の強化、定着化

 当社グループは、効率的かつ安定的な品質の給与計算業務アウトソーシングサービスを提供するため、全国にある各センター及び東京本社において業務の効率化を図っております。今後もより効率的に業務を行う体制を整備するため、社内の組織体制の見直しやジョブローテーションを通じ、業務を最適化することが必要であります。加えて、今後の新規顧客の獲得や毎日を給与支払い日にしようという従業員に手数料負担のない給与前払いサービスの「オンデマンドペイ」等の新サービス開発による事業規模拡大に伴い、給与計算処理実績人数が増加する中でも、安定的かつ高品質のサービスを提供できる体制を構築するため、人材の採用・育成に努めてまいります。

 

(c)新たな顧客群の獲得

 当社グループは、中長期的に当社グループの対象顧客を増加させることを目的として、SMB企業への当社のサービスの展開にも注力しており、そのためにもP3システムの定着やSMB企業向けのサービスの確立等が必要となります。当社グループは今後、中期経営計画を着実に実行し、BPaaSの浸透によるシェアの拡大を目指してまいります。

 

 当社グループは、2021年6月の新規上場の際においては、短期的にはSEPシステムを継続させることでクラウドシフト(PX)ができない場合の顧客喪失リスクを低くすることができることを踏まえ、顧客企業から要望があった場合のみクラウドシフト(PX)を実施し、まずはP3システムの安定的な新規導入にリソースを集中させる方針としていたものの、上場以降P3システムの新規導入は次第に安定化が進んでおり、かつ新規上場の際に想定されていた以上の急速な競合他社の台頭による経営環境の変化に対応する必要がある中において、今後の当社の中長期的な成長のためには、クラウドシフト(PX)をより積極的に推進していく必要があると考えております。一方で、クラウドシフト(PX)期においては、両システムの維持費の増加、クラウドシフト(PX)推進に係る工数増加に社内リソースが割かれること等により、一時的に当社グループの成長スピードが鈍化することを懸念しており、当社グループは中長期的な目線での経営の舵取りを求められております。

 

 湯浅氏は、2018年4月頃、労働人口の減少や働き方の多様化といった社会的な構造の変化に伴い、給与計算スタッフの人員逼迫及び高齢化が進展し、また、給与計算業務における属人性を排除するニーズが高まることにより、日本の給与計算サービス・ソリューション市場(注7)は、今後、急速に拡大することが見込まれると認識したとのことです。また、湯浅氏は、顧客側のデジタルトランスフォーメーション(DX)(注8)やベンダー側のクラウドシフト等が急速に進むことで、同市場の競争環境は今まで以上に激化すると考えていたとのことです。

(注7) 「給与計算サービス・ソリューション市場」とは、社員の給与計算や年末調整等の事務作業を代行してくれるサービスを行っている企業群のことをいいます。

(注8) 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、IT(情報技術)を有効かつ継続的に活用することで、企業の業務のあり方から組織・文化・風土までを変革し、それによって企業が新たな価値を創出し、社会や人々の生活を向上させるという考え方、又はそうした取組のことをいいます。

 

 さらに、湯浅氏は、当社が2018年7月頃より、給与計算サービス・ソリューション市場における顧客と当社をシームレスにつなぎ、BPOとデジタルトランスフォーメーション(DX)を一体化させて提供可能にしていく次世代型のフルスコープアウトソーシングを実現する新しいクラウドベースのP3システムをリリースし、オンプレミス(注9)ベースのSEPシステムから移行したことによって、オンプレミスベースのシステムでは限界があった、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、高度なセキュリティの提供及び顧客のニーズに応じたサービスの拡張を容易に行うことが可能となり、当社がそのサービス及び製品のクオリティを大きく向上させたことで、顧客基盤を拡大するとともに、既存の顧客に対しても、最小のスイッチングコストで最新のテクノロジーにアクセスできる、より高付加価値なサービスの提供を開始する機会を得たと認識していたとのことです。また、湯浅氏は、2021年6月22日の当社の東京証券取引所マザーズ市場への上場後も、P3システム自体の安定化及びP3システムを顧客が新規導入する際にトラブルを生じさせることなく導入可能な体制の整備が当社にとっての喫緊の課題であると認識していたとのことです。その後、湯浅氏は、2022年4月頃には、P3システムリリース後数年間の当社の試行錯誤を経て、P3システム及びその新規導入が近い将来安定化することが見込まれるとの認識に至ったとのことです。その結果、湯浅氏は、顧客からP3システムを導入したい旨の要望があった場合に限って当該要望に応じてP3システムの提供及びクラウドシフト(PX)を実施するにとどまらず、当社がP3システムのメリットを主体的に顧客に対して説明し、より積極的にP3システムの提供及びクラウドシフト(PX)を進めることで、高度なセキュリティの提供及び顧客のニーズに応じたサービスの拡張によって、より高付加価値なサービスを顧客に提供することが可能となり、競合企業に対する競争力の強化及び収益力の向上を実現できるため、当社の事業の拡大・発展にとっても重要であるとの認識に至ったとのことです。

(注9) 「オンプレミス」とは、自社が管理する設備内に情報システムを設置し、運用する形態のことをいいます。

 

 他方で、湯浅氏は、2022年4月上旬には、当社が複数の経営課題を有していると考えるに至っていたとのことです。具体的には、①クラウドシフト(PX)推進による顧客への提供価値拡大(高付加価値サービス化に伴う顧客単価の引上げ)、顧客コミュニケーションの過大な負担及びSEPシステムとのダブルオペレーションの解消、②クラウドシフト(PX)の推進によるコストコントロール、③システムの導入リードタイムや提供サービスに関する顧客満足度を向上させるシステム構築やWebサービスのUI/UX(注10)の改善及びそれに伴う業務負荷低減効果の追求、④営業・マーケティング機能の強化(給与計算アウトソーシングのメリットの顧客・市場への啓蒙を含みます。)、⑤HRクラウドサービス(注11)を提供する競合企業の出現による競争環境の激化への対応、⑥次世代経営チームの強化、⑦営業・マーケティング機能の強化のための人財の維持・育成、⑧持続的な成長に向けた従業員に対するインセンティブ付与の仕組み作り及び企業文化の醸成、並びに、⑨過去に当社の実施した合併によって生じたのれんの負担等の経営課題が存在すると考えていたとのことです。

(注10) 「UI」とは、「User Interface」の略であり、サービスやプロダクトとユーザーとの接点のことをいい、「UX」とは、「User Experience」の略であり、製品やシステム、サービス等の利用を通じてユーザーが得る体験のことをいいます。

(注11) 「HRクラウドサービス」とは、人材採用、配置・異動、評価・人事、育成・研修、組織開発、労務・福利厚生及び人事戦略等の人的資源(Human Resource)に関する業務につき、インターネット経由でソフトウェアやインフラ等の各種機能を利用者に提供するサービスをいいます。

 

 湯浅氏は、2022年4月上旬より、上記のとおり、日本の給与計算サービス・ソリューション市場が、今後、急速に拡大するとともに、当該市場における競争環境が今まで以上に激化するといった当社を取り巻く事業環境の大きな変化が見込まれることを踏まえて、上記の当社の経営課題の解決のために、当社の上場を維持した上での他の事業会社との協業といった様々な検討を行う中で、湯浅氏の人脈及び当社の大株主であるPacific投資事業有限責任組合の無限責任組合員であるクレアシオン・キャピタル株式会社(以下「クレアシオン・キャピタル」といいます。)による仲介によって、複数の事業会社との接点をもち、中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社の経営戦略及び施策、更にはあくまで当社株式の上場維持を前提とした最適な資本構成等について種々の意見交換や協議を重ねてきたとのことです。

 

 一方、TAは、2023年12月末現在、累計約650億ドルを調達し、テクノロジー、ビジネスサービス、ヘルスケア、金融サービス及び消費財の5つの業界をターゲットセクターとして焦点を当てており、売上高成長率が年率10%以上の企業等、世界中で高い成長率及び収益率を保持している企業を対象に投資活動を実施しているとのことです。TAは、特にテクノロジー対応のビジネスサービス及びB2B(注12)テクノロジーにおける投資を積極的に行っており、1968年の設立以来55年間で当該領域において300件を超える投資を完了しており、アジア太平洋地域においては、ベトナムのMISA JSC、シンガポールのInCorp Global Pte Ltd.、オーストラリアのNintex Global Ltd.等12社に対しての投資実績を有しているとのことです。TAは、B2Bビジネスサービス分野への投資につき、1989年以来35年間にわたる豊富な実績を有しており、主要な投資実績は以下のとおりとのことです。HRドメイン分野においては、2015年に英国の中堅企業を対象とした統合ERPソフトウェアの大手プロバイダーであるThe Access Groupに対して投資を行っている他、2021年にはオランダのUnit4 NV、2022年には米国のiCIMS,Incに投資を行っており、グローバルに多数の企業に対する投資実績を有しているとのことです。テクノロジー対応サービス分野においては、2014年にサブスクリプションベースのB2B情報サービス及びマーケティングソリューションを提供する企業であるカナダのZoomInfo Technologies Incに、2016年にはグループ購買及びサプライチェーン管理組織である米国のOMNIA Partners,Incに、2022年には北米を中心にエンターテインメント制作向けの給与計算・人事・財務・データ分析サービスを提供するCast & Crew LLCに、2021年にはシンガポール、インドネシア、インド、香港、マレーシア及びフィリピンに展開しているサービスプロバイダーであるInCorp Global Pte Ltd.に、2019年にはベトナムのソフトウェアプロバイダーであるMISA JSCに、それぞれ投資を行う等、本分野においても豊富な投資実績を有しているとのことです。プロセスマネジメント/ワークフローオートメーションソフトウェア分野に関しては、2013年にオーストラリアのNintex Global Ltd.に投資しているとのことです。

(注12) 「B2B(Business to Business)」とは、企業間取引のことをいいます。

 

 TAは、2021年8月頃より、日本における給与計算サービス業界は、日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、複雑かつ労力を要する業務を外部委託するニーズに駆動され、今後も成長が続く業界であると認識していたとのことです。特に、当社は、①日本のエンタープライズ企業向け給与計算サービス・ソリューション市場におけるリーダーシップポジションを維持しており、②顧客毎に過度にカスタマイズされたサービス提供を回避し各顧客に同一内容のサービスを提供すること(標準化)で、顧客における給与計算業務の属人化を回避するとともに、収益性を高めることへの徹底的な拘りに基づく効率的・高品質かつ大規模運用が可能なフルスコープ型アウトソーシングの提供における豊富な実績を有しており、③それらに基づく着実な成長性と収益性といった事業上の強みを有していると考えていたとのことです。TAは、当社がこれらの事業上の強みを生かし、給与計算業務や人事業務全体のバリューチェーン(注13)において、給与計算業務のノウハウ(専門性)及び顧客(人事部)との接点を顧客ニーズの把握及び当該顧客ニーズに応じた追加サービスの提案を可能とする戦略的資産として活用することで、顧客ニーズに応じて提供機能を拡充することや従業員の給与等のデータを利用した可視化・分析サービスを展開することが可能であり、今後の飛躍的な成長を遂げる可能性を秘めた企業であると認識していたとのことです。上記のような認識の中、TAは、2021年9月頃より、日本における給与計算サービス業界の状況の把握及び潜在的なTAの投資候補先企業の発見を目的として、当社を含む給与計算サービス・ソリューション市場の主要企業へのコンタクトを継続し、当社の事業の特長や給与計算サービス・ソリューション市場内でのポジショニングを確認し、給与計算サービス・ソリューション市場に関する見立てを形成・確認してきたとのことです。

(注13) 「バリューチェーン」とは、企業の競争優位性を高めるための考え方で、主活動の原材料の調達、製造、販売、保守等と、支援活動にあたる人事や技術開発等の間接部門の各機能単位が生み出す価値を分析して、それを最大化するための戦略を検討する枠組みのことをいいます。

 

 そのような中で、TAは、2021年11月下旬には当社との初回面談を実施し、その後も2023年3月までの間、当社との面談を複数回重ねてきたとのことです。TAは、当社との面談等を通じて当社のビジネスへの理解を深めていく中で、当社が「お客様が安心して共同で活用できるサービスを提供するソフトインフラ企業」をビジョンとして志向していることを理解したとのことです。このようなビジョンに基づく当社の経営姿勢は、「TAが投資助言を行う投資ファンドのLimited Partner並びに投資先及びそのコミュニティのいずれに対しても深い責任感をもつ優れた管理者(Stewards)として投資を行う」というTAの価値観(Responsibility)にも合致するものであり、また、経営陣及びステークホルダーと密に協働し、優れた事業を更に強固な事業とし、また永続的な価値形成を促進するというTAの投資アプローチにも適合すると考えたとのことです。その後、TAは、2023年4月20日には、それまでの当社との面談等には不参加であった、当社の代表取締役である湯浅氏との初回面談を実施し、その後も複数回の面談を実施する中で、上記のような給与計算サービス・ソリューション市場の状況、当社の事業上の強み及び当社の経営課題について湯浅氏と共通の認識を有するに至ったとのことです。その結果、2023年6月上旬には、湯浅氏に対する正式なマネジメント・バイアウト(MBO)の提案準備を開始し、同月下旬には、マネジメント・バイアウト(MBO)を行った後のTAによる当社の経営課題解決及び企業価値向上支援策について湯浅氏に説明を行うために国内外のM&Aの目的やターゲット、海外企業の成長及び戦略事例調査並びにTAのポートフォリオ企業群におけるクラウド転換の事例等をリストアップしたとのことです。その後、2023年10月下旬には、当社の意思決定の迅速化及び事業成長の加速化を実現するための選択肢として、湯浅氏にマネジメント・バイアウト(MBO)の提案をしたとのことです。

 

 他方、湯浅氏は、2023年6月上旬には、上記のTAとの複数回の面談を通じて、①上記のように積極的にP3システムの提供及びクラウドシフト(PX)を進めることで、競合企業に対する競争力の強化及び収益力の向上を実現することの当社の事業の拡大・発展にとっての重要性、②上記のような当社の経営課題、並びに、③日本の給与計算サービス・ソリューション市場の拡大及び競争激化の見込みについて改めて認識するとともに、④このような局面においては、速やかに、機動的かつ抜本的な意思決定と戦略実行を可能にするために当社の経営陣の経営の自由度を確保した上で、テクノロジー関連のノウハウを外部から導入することが極めて重要になるとの認識に至ったとのことです。湯浅氏は、それまでは、あくまで当社株式の上場維持を前提とした最適な資本構成等について検討してきたものの、当社株式の上場を維持したまま、市場との対話や株価に対する影響等への配慮をしつつこのような経営の自由度の確保及びノウハウの外部導入を進めることでは、十分な迅速さが確保できず、ひいては、当社の企業価値の向上を十分に図ることができず、当社の株主の皆様の利益にも資さないと考えたとのことです。そこで、湯浅氏は、その時点で初めて、速やかに当社を非公開化することで、経営の自由度の確保及びノウハウの外部導入を進めることを検討するに至ったとのことです。湯浅氏は、2022年4月上旬以降の他の事業会社4社及びTAを含むプライベート・エクイティ・ファンド3社との間の意見交換や協議の中で、事業会社やプライベート・エクイティ・ファンドの下での当社株式の非公開化に関する初期的な提案を受領したとのことですが、当該他の事業会社やプライベート・エクイティ・ファンドと比べ、TAが、特にテクノロジー対応のビジネスサービスにおける投資をグローバルに積極的に行っており、長期間にわたる豊富な投資実績及び経験を有していることから、テクノロジー関連のノウハウの提供を含むより効果的な支援を期待できること、また、TAが日本国内におけるテクノロジーやサービス関連業界における深いビジネス理解や広範なネットワークを有していることから、成長戦略立案支援や事業開発機能を充分に果たし得ることに加え、TAが、投資アプローチとして、投資先の経営陣と密に協働し、経営陣の判断を尊重するというアプローチを採用しているため、事業会社の下で当社株式の非公開化を行うことに比べ、当社の経営陣の経営の自由度もより確保できることから、TAが上記の当社を取り巻く課題の解決及び当社の更なる企業価値の向上のための最適なパートナーであるとの認識に至ったとのことです。その結果、上記のとおり、2023年10月下旬には、湯浅氏は、TAから、当社の意思決定の迅速化及び事業成長の加速化を実現するための選択肢として、マネジメント・バイアウト(MBO)の提案を受け、TAとともにマネジメント・バイアウト(MBO)の実行を進めることを決断したとのことです。

 

 湯浅氏及びTAは、上記のとおり、給与計算サービス・ソリューション市場のより急速な拡大とともに、競合企業が出現することにより競争環境が今まで以上に激化することが見込まれるという状況は、過去に国内の大企業からの案件受注や日本におけるマイナンバー制度の開始が当社にとって大きな事業成長の契機となってきたのと同様に、当社がもう一段の事業成長を達成するまたとない機会であると考えたとのことです。湯浅氏及びTAは、このような事業成長機会を逃さずに、当社の中長期的な企業価値の向上を図るためには、当社の経営課題に迅速かつ適切に対処していくことが重要であると考えたとのことです。

 しかしながら、湯浅氏及びTAは、当社の上場を維持したままでは、株価に対する影響への配慮や法令又は金融商品取引所規則に基づく情報開示の負担等から、当社の経営陣が中長期的な企業価値の向上に向けた施策や大胆なビジネス変革にフォーカスすることが難しいと考えたとのことです。特に、クラウドシフト(PX)については、計画が想定どおりに進捗しない又は想定外の収益悪化が起こる可能性もあり、また、一時的にはSEPシステムに比べてP3システムの利益率が伸び悩むことも想定されると考えたとのことです。そのため、湯浅氏及びTAは、当社の事業の拡大・発展にとって、より積極的にクラウドシフト(PX)を進めることは重要であるものの、上場を維持したままクラウドシフト(PX)をより積極的に実施した場合、当社の株主の皆様に対して当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性を否定できず、当社が上場を維持したままでの積極的なクラウドシフト(PX)の実施は困難であると考えたとのことです。

 そのため、湯浅氏及びTAは、当社の上場を維持したまま、上記の施策の実現を目指すのではなく、マネジメント・バイアウト(MBO)を通じて当社株式を非公開化した上で、機動的かつ抜本的な意思決定と戦略実行を可能にする経営体制を構築することで、当社の経営陣に中長期的な企業価値の向上に向けた施策や大胆なビジネス変革にフォーカスさせ、また、当社の株主の皆様に対して当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性を排除することが最も適切であると考えたとのことです。

 また、湯浅氏及びTAは、当社に対するマネジメント・バイアウト(MBO)を行うことで、当社の事業上の強みを活かしつつ、IT関連技術を活用してビジネスを展開する企業を中心として投資を行うテクノロジー投資家であり、かつ、今後の売上及び利益の拡大が見込まれる段階にある企業を中心として投資を行う成長ステージの投資家であるTAの有する、M&Aのノウハウやケイパビリティ、国内外のTAのネットワークや過去の投資実績に基づく知見等の経営資源等を当社が活用することが可能であると考えたとのことです。また、湯浅氏及びTAは、上場企業の株式が非公開化されることによって、①エクイティファイナンス等による資金調達が困難となる、②上場会社としてのブランドを喪失することで従業員の採用及びリテンションに悪影響が生じる、並びに、③取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下するといった悪影響が一般的には予想されるものと認識しているところ、本取引においては、①については、追加の資金調達が必要な場合は、公開買付者による外部金融機関からの追加の借入等を活用することが可能であると考えられること、②については、本取引を通じて、これまで以上に当社の成長・発展が実現できることを説明することで、当社の従業員はこれまで以上に高い意識を持って働くことが可能となり、採用活動やリテンションへの好影響も期待できると考えられること、また、③については、本取引成立後も当社の知名度及び事業上の強みは不変であり、取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下することはないと考えられることから、一般的に予想されるような悪影響は見込まれないと考えたとのことです。

 

 湯浅氏及びTAは、本取引成立後、中長期的な当社の企業価値の向上を目指し、以下の施策を実施することを考えているとのことです。

① 給与エンジン及びワークフローテクノロジープラットフォームの洗練:

 TAによる投資先の会社の経営支援等を目的として組織されているTAのストラテジックリソースグループ(SRG)と連携し、当社のワークフロー及び給与エンジンの機能強化並びにUI/UXの改善を支援し、今まで以上にテクノロジーを用いたビジネス展開を強化することを想定しているとのことです。

 

② 既存のサービスを拡大するための投資:

 当社によるP3システムへのクラウドシフト(PX)に伴うメニューの拡大(プロダクト/サービス面)に加えて、当社が検討しているフィールドセールス(注14)及びインサイドセールス(注15)双方の営業の強化に伴うサービス拡大や、マーケティング強化も検討するとのことです。

(注14) 「フィールドセールス」とは、顧客に対して直接、製品やサービスの提案及び契約交渉を行う営業手法のことをいいます。

(注15) 「インサイドセールス」とは、顧客に直接アクセスすることなく、電話やメール等により見込み客にアプローチする営業手法のことをいいます。

 

③ 人工知能や機械学習の要素の給与サービスワークフローへの統合:

 TAのストラテジックリソースグループ(SRG)と連携し、TAのAIに関する知見を当社に提供することを考えているとのことです。具体的には、まずは当社の自社バックオフィスへのAI導入によるコスト改善を図り、その後、当社の提供するサービスにもAIを導入することによって更なる機能強化及びトップラインの成長を検討することを想定しているとのことです。

 

④ 給与計算業務の同領域・近接領域の企業の買収:

 TAは、給与計算サービス・ソリューションの同業他社、HRソフトウェア企業(注16)及びシェアードサービス企業(注17)について20社以上の既存コネクションを有しており、適切なタイミングで迅速なM&Aを実行することを支援できると考えているとのことです。同業他社やシェアードサービス企業に対するM&Aにおいては、顧客を取り込み、より効率的な当社のオペレーションに切り替えることで収益性向上/成長性向上が見込まれ、近接HRソフトウェア企業に対するM&Aにおいてはクロスセル効果(注18)が見込まれると考えているとのことです。

(注16) 「HRソフトウェア企業」とは、広義の人事管理に関するシステムソフトウェアを提供する企業のことをいい、人事関連情報及び勤怠・給与計算に関するシステムソフトウェアを提供する企業に加え、タレントマネジメント(注19)、人事評価、従業員の会社に対する愛着心(エンゲージメント)及び労務関連手続に関するシステムソフトウェアを提供する企業を含みます。

(注17) 「シェアードサービス企業」とは、経理や人事、情報システムといった基本的なバックオフィス機能を複数企業間で共有する仕組みを提供する企業のことをいいます。

(注18) 「クロスセル効果」とは、ある製品・サービスを利用する既存顧客に対して、当該製品・サービスと関連する別の製品・サービスも併せて購入してもらえることが期待できる効果のことをいいます。

(注19) 「タレントマネジメント」とは、企業が、従業員が持つ能力、資質、スキル及び経験値等の情報を一元管理することによって、組織横断的に戦略的な人事配置及び人材開発を行うことをいいます。

 

⑤ 当社の既存顧客基盤への新規ソリューションのクロスセル:

 M&Aを通じて獲得する近接HRソフトウェア領域、又は、TAの既存投資先や海外ネットワークを活かした海外ソフトウェア(タレントマネジメントソフトウェア等)の国内展開等を検討しているとのことです。中長期的には、同業他社、ソフトウェアベンダー及びシェアードサービス企業に対するM&Aを実行し、買収先においてもP3システムの導入を推進していくことで、事業の拡大・成長を更に加速させていくことも可能であると考えているとのことです。

 

 その後、TAは、2023年10月下旬、クレアシオン・キャピタルに対して、湯浅氏及びTAによる当社に対するマネジメント・バイアウト(MBO)の実施及びPacific投資事業有限責任組合の所有する全ての当社株式の買取りを初期的に提案し、クレアシオン・キャピタルから、当該提案に対する前向きな回答を受領したとのことです。そこで、TAは、2023年10月下旬以降、当社と本取引の実施の可能性について協議を重ねた上で、同年10月下旬、TA、公開買付者、公開買付者親会社、湯浅氏、クレアシオン・キャピタル及び当社(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同年11月2日、当社に対して、本取引の意義・目的、本取引の想定ストラクチャー及び本取引後の当社の経営体制等を記載した本取引に関するTAの正式な意向を表明する提案書を提出し、当社より当該提案書について前向きに検討する旨の回答を得たとのことです。その後、TAは、2023年11月上旬、公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザーとして野村證券株式会社を選任し、同年11月中旬から同年12月中旬までの間、本取引の実現可能性の精査のため、当社に対するビジネス、財務会計、税務及び法務の各分野に関するデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。

 

 そして、TAは、2023年12月11日、上記デュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、当社に対し、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1,100円(1,100円は、当該提案がなされた2023年12月11日の前営業日である2023年12月8日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値940円に対して17.02%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、株価に対するプレミアムの数値において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値983円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して11.90%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,051円に対して4.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,016円に対して8.27%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)、本公開買付けにおける本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。)を59,000円とする、1回目の提案(以下「第1回提案」といいます。)を書面で行ったとのことです。TAによる第1回提案に対して、TAは、当社から、2023年12月13日付で、第1回提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を再考する旨の要請を受けたとのことです。

 

 当社からのかかる要請を受けて、TAは、2023年12月18日付で、本公開買付価格を1,200円(1,200円は、当該提案がなされた2023年12月18日の前営業日である2023年12月15日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値923円に対して30.01%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値949円に対して26.45%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,034円に対して16.05%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,021円に対して17.53%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)、本新株予約権買付価格を69,000円とする、2回目の提案(以下「第2回提案」といいます。)を書面で行ったとのことです。TAによる第2回提案に対して、TAは、当社から、2023年12月21日付で、第2回提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、依然として当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を再考する旨の要請を受けたとのことです。

 

 当社からのかかる要請を受けて、TAは、2024年1月18日付で、本公開買付価格を1,380円(1,380円は、当該提案がなされた2024年1月18日の前営業日である2024年1月17日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値879円に対して57.00%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値915円に対して50.82%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値979円に対して40.96%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,025円に対して34.63%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)、本新株予約権買付価格を87,000円とする、法的拘束力のある最終提案(以下「本最終提案」といいます。)を書面で行ったとのことです。TAによる本最終提案に対して、TAは、当社から、2024年1月18日付で、本最終提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と評価し得るものの、当社の一般株主の利益を最大限追求するという観点から、更なる引上げの余地がないか、再度検討を求めたいとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を再考する旨の要請を受けたとのことです。

 

 当社からのかかる要請を受けて、TAは、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を再考したものの、本最終提案において提案した本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を引き上げることは困難である旨の回答を書面で行ったとのことです。TAによる当該回答に対して、TAは、当社から、2024年1月22日付で、当社株式に係る市場環境や本取引に係る状況に重大な変更が生じないこと及び最終的な意思決定は本特別委員会(以下に定義します。)の答申を踏まえた上で、当社取締役会によって決定されるものであることを前提に、TAの提案を応諾する旨の回答を受領したとのことです。

 

 TAは、当社との間で、上記のとおり本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を含む本取引の諸条件等について協議を重ねた上で、2024年1月24日、本公開買付価格を1,380円とし、本新株予約権買付価格を87,000円として、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。

 

 また、TAは、2023年10月下旬、クレアシオン・キャピタルから湯浅氏及びTAによる当社に対するマネジメント・バイアウト(MBO)の実施及びPacific投資事業有限責任組合の所有する全ての当社株式の買取りに対する前向きな回答を受領してから、本公開買付けへの応募に係る検討を要請し、応募契約締結に向けた協議を開始したとのことです。当該協議の結果、TAは、2023年11月1日、クレアシオン・キャピタルから、Pacific投資事業有限責任組合の所有する当社株式の譲渡その他の処分について、TAと独占的に交渉する旨の意向表明書を受領したとのことです。TAは、2023年12月21日付で、当社に対するビジネス、財務会計、税務及び法務の各分野に関するデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、クレアシオン・キャピタルに対し、本公開買付価格を1,380円とすること及びPacific投資事業有限責任組合の所有する全ての当社株式の本公開買付けへの応募等を内容とする提案を書面で行ったとのことです。

 

 その後、TAは、クレアシオン・キャピタルとの間で複数回の協議・交渉を重ねた結果、2024年1月12日、クレアシオン・キャピタルが、本公開買付価格を1,380円として本公開買付けへの応募合意に応じる旨の意向であることを確認したとのことです。そこで、公開買付者及びPacific投資事業有限責任組合は、2024年1月24日付で本応募契約を締結したとのことです。本応募契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「①本応募契約」をご参照ください。

 

(ⅱ)本公開買付け後の経営方針

 上記「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は、本取引成立後、中長期的な当社の企業価値の向上を目指し、具体的な施策を実行することを考えているとのことです。

 本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、湯浅氏は、本取引の完了後も引き続き当社の代表取締役として継続して経営にあたることを予定しているとのことです。また、湯浅氏は、本取引の完了後、本合併により公開買付者の普通株式の一部を取得し、本合併の完了後、本株式交換により、取得した当該公開買付者の普通株式の対価として公開買付者親会社の普通株式の一部を取得する予定とのことです。但し、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式併合の結果、公開買付者のみが当社の株主となった場合、公開買付者及び湯浅氏は、本取引後に湯浅氏が本株式併合により1株未満の端数となった部分に相当する株式の対価として受領した金銭の一部を公開買付者親会社に再出資し、かつ、公開買付者を吸収合併存続会社、当社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施することにより、本取引並びに本合併及び本株式交換により企図していた公開買付者親会社、公開買付者及び当社の株主構成と実質的に同等の株主構成を実現するために必要な手続を実施することを予定しているとのことです。

 なお、公開買付者としては、TAが指名する者を1名から複数名、当社の役員に就任させることを考えているとのことですが、湯浅氏以外の当社の取締役とも協議し、当社のガバナンス体制を踏まえて決定することを想定しており、その具体的な人数、時期及び候補者については本書提出日現在未定とのことです。公開買付者は、本書提出日現在、当社の役員(但し、クレアシオン・キャピタルのマネージングディレクターを兼任している当社の社外取締役である浅野靖成氏(以下「浅野氏」といいます。)を除きます。)を含む現状の経営体制を維持する方針であり、本公開買付け成立後も引き続き職務を執行させることを予定しているとのことですが、公開買付者と湯浅氏以外の当社の取締役との間には、本公開買付け後の役員就任やその処遇について何らの合意も行っていないとのことです。当社の経営体制の詳細については、本公開買付け成立後に当社と協議しながら決定していく予定とのことです。

 

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社は、上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2023年11月2日に、TAから本取引に関する正式な意向を表明する提案書を受領し本取引の実行の是非に関してTAとの間で協議・交渉を開始しました。

 その後、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2023年11月6日に開催した当社取締役会において、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)を設置しました。また、当社は、2023年11月6日付で公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)を、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCアドバイザリー合同会社(以下「PwCアドバイザリー」といいます。)を選任しました。また、公開買付関連当事者から独立した社内検討体制を構築するため、本取引の特別利害関係取締役に該当する湯浅氏及びクレアシオン・キャピタルのマネージングディレクターを兼任している当社の社外取締役である浅野氏については、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加させず、当社の立場においてTA、湯浅氏及び公開買付者との協議及び交渉にも一切参加させませんでした。このように、当社は、本取引に関する提案を検討するための体制を整備し、検討を進めてまいりました。

 

 上記の体制の下、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の諸条件について、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づいて、西村あさひ及びPwCアドバイザリーの助言を受けながら、TA、湯浅氏及び公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねてまいりました。

 

 本公開買付価格及び本新株予約権買付価格については、当社は、2023年12月11日付で、TAから本公開買付価格を1,100円、本新株予約権買付価格を59,000円とする旨の第1回提案を書面にて受けた後、PwCアドバイザリーから受けた当社株式の株式価値に係る初期的試算結果の報告内容及び本特別委員会の意見を踏まえた上で、2023年12月13日、TAに対して、第1回提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の再考の要請を書面にて行いました。その後、当社は、2023年12月18日付で、TAから本公開買付価格を1,200円、本新株予約権買付価格を69,000円とする旨の第2回提案を書面にて受けた後、本特別委員会の意見を踏まえた上で、2023年12月21日、TAに対して、第2回提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、依然として当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の再考の要請を書面にて行いました。その後、当社は、2024年1月18日付で、TAから本公開買付価格を1,380円、本新株予約権買付価格を87,000円とする旨の本最終提案を書面にて受けた後、本特別委員会の意見を踏まえた上で、2024年1月18日、TAに対して、本最終提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と評価し得るものの、当社の一般株主の利益を最大限追求するという観点から、更なる引上げの余地がないか、再度検討を求めたいとして、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の再考の要請を書面にて行いました。その後、当社は、2024年1月19日付で、TAから、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を再考したものの、本最終提案において提案した本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を引き上げることは困難である旨の回答を書面にて受けた後、本特別委員会の意見を踏まえた上で、2024年1月22日付で、当社株式に係る市場環境や本取引に係る状況に重大な変更が生じないことを前提に、本最終提案における本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社の少数株主及び本新株予約権者が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な株式及び新株予約権の売却の機会を提供するものであることを理由として、本最終提案に応諾する旨の回答を書面にて行いました。なお、当社は、2024年1月24日開催の当社取締役会において、2024年1月22日から同月24日までの間に、当社株式に係る市場環境や本取引に係る状況に重大な変更は生じていないと判断しております。

 

 さらに、当社は、西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年1月24日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、PwCアドバイザリーから受けた財務的見地からの助言及び同社から2024年1月23日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。本株式価値算定書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)、並びに西村あさひから得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議を行いました。

 

 その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の公開買付者が企図する施策の内容は合理的であり、本取引が当社グループの企業価値向上に資するものであると考えるに至りました。

 

(a)上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社グループが事業を展開する給与計算業務のアウトソーシング市場は、政府の提唱する「働き方改革」により各企業が行う長時間労働是正の手段として、アウトソーシングを活用し、コア業務に注力することに対する機運が高まっていることから需要が拡大しており、今後も発展していくことが見込まれると認識しております。一方で、2021年6月の新規上場の際に想定されていた以上に競合他社とのサービス力、価格を含めた競争が激化している状況にあります。このような経営環境の変化に対応しつつ、当社が中期的な成長を実現するためには、(a)新基幹システム(P3)の開発・移行、(b)優秀な人材の採用・育成の強化、定着化、(c)新たな顧客群の獲得といった経営課題に早急に対処すべきであると考えております。但し、クラウドシフト(PX)期においては、両システムの維持費、クラウドシフト(PX)推進に係る工数増加に社内リソースが割かれること等により、一時的に当社グループの成長スピードが鈍化することを懸念しており、当社グループは中長期的な目線での経営の舵取りを求められております。

(b)他方で、公開買付者は、①給与エンジン及びワークフローテクノロジープラットフォームの洗練、②既存のサービスを拡大するための投資、③人工知能や機械学習の要素の給与サービスワークフローへの統合、④給与計算業務の同領域・近接領域の企業の買収、⑤当社の既存顧客基盤への新規ソリューションのクロスセルといった具体的な施策(以下「企業価値向上施策」といいます。)を企図しているとのことです。当社及び公開買付者双方に対するインタビューを踏まえて検討した結果、当社としても、①については、当社のワークフロー及び給与エンジンの機能強化並びにUI/UXの改善を通じて、テクノロジーを用いたビジネス展開の強化が更に加速できると考えられること、②については、クラウドシフト(PX)に伴うプロダクト/サービス面のメニューの拡大やフィールドセールス及びインサイドセールス双方の営業の強化に伴うサービス拡大、マーケティング強化が見込まれること、③については、当社バックオフィスへのAI導入に伴うコスト改善や、将来的には当社の提供サービスへのAI導入に伴う更なる機能強化及びトップラインの成長が見込まれること、④については、M&Aによる顧客の取り込み、より効率的な当社のオペレーションへの切り替えを通じた収益性向上/成長性向上、クロスセル効果が期待されること、⑤については、海外ソフトウェア(タレントマネジメントソフトウェア等)の国内展開等や、買収先においてもP3システムの導入を推進していくことで、事業の拡大・成長が更に加速できると考えられることから、いずれの施策も、当社グループの中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいと認識しております。

(c)しかしながら、当社の上場を維持したままでは、株価に対する影響への配慮や法令又は金融商品取引所規則に基づく情報開示の負担等から、当社の経営陣が中長期的な企業価値の向上に向けた上記(b)の各施策や大胆なビジネス変革にフォーカスすることは難しいと考えております。特に、クラウドシフト(PX)については、計画が想定どおりに進捗しない又は想定外の収益悪化が起こる可能性もあり、また、一時的にはSEPシステムに比べてP3システムの利益率が伸び悩むことも想定されると考えております。そのため、当社の事業の拡大・発展にとって、より積極的にクラウドシフト(PX)を進めることは重要であるものの、上場を維持したままクラウドシフト(PX)をより積極的に実施した場合、当社の株主の皆様に対して当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性を否定できず、当社が上場を維持したままでの積極的なクラウドシフト(PX)の実施は困難であると考えております。

(d)なお、上場企業の株式が非公開化されることによって、①エクイティファイナンス等による資金調達が困難となる、②上場会社としてのブランドを喪失することで従業員の採用及びリテンションに悪影響が生じる、並びに、③取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下するといった悪影響が一般的には予想されるものと認識しております。本取引においては、①については、追加の資金調達が必要な場合は、公開買付者による外部金融機関からの追加の借入等を活用することが可能であると考えられること、②については、本取引を通じて、これまで以上に当社の成長・発展が実現できることを説明することで、当社の従業員はこれまで以上に高い意識を持って働くことが可能となり、採用活動やリテンションへの好影響も期待できると考えられること、また、③については、本取引成立後も当社の知名度及び事業上の強みは不変であり、取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下することはないと考えられることから、一般的に予想されるような悪影響は見込まれないと考えております。

 

 以上より、当社は、2024年1月24日開催の当社取締役会において、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することは、当社の企業価値の向上に資するものであり、結果として、これまで当社を支えていただいた一般株主の皆様へ最大の利益還元の機会となるものと判断しました。

 

 また、当社は、以下の点を考慮した結果、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式及び本新株予約権の売却の機会を提供するものであるとの考えに至りました。

 

(a)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」の「②算定の概要」に記載の本株式価値算定書におけるPwCアドバイザリーによる当社株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っていること、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式(以下「DCF方式」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内であること。

(b)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年1月23日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値969円に対して42.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値913円に対して51.15%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値970円に対して42.27%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,023円に対して34.90%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、過去に行われたマネジメント・バイアウト(MBO)事例におけるプレミアム率(公表日の前営業日の終値に対するプレミアム率並びに同日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアム率)の平均値の範囲(具体的には、2024年1月23日時点の当社のPBR(株価純資産倍率)が1倍以上であることを踏まえ、経済産業省が公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」といいます。)の公表日である2019年6月28日付以降に実施されたマネジメント・バイアウト(MBO)事例のうち不成立であったもの及び対象会社のPBR(株価純資産倍率)が1倍未満である事例を除く20件における、公表日の前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの平均値(32.43%、34.03%、36.63%及び36.77%))と比較して、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準はわずかに下回るものの、公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間及び直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は過去事例をそれぞれ上回っていることを踏まえると、合理的なプレミアムが付されていると考えられること。

(c)当社株式の上場から約2年半程度経過した時点において本取引が検討されていることに照らし、当社の上場直後の時期から所有している少数株主の利益についても検討すると、当社株式の上場当時の公募価格は1,380円であり、上場直後の株価が最も高く、その後から2022年前半にかけて1,000円を下回る水準に低下し、2022年後半から2023年前半にかけて600円台後半から800円台前半の金額の間で推移し、2023年後半以降は800円台前半から1,100円台後半の金額の間で推移している状況であり、かかる株価の推移に照らすと、当社株式1株につき1,380円という本公開買付価格は、公募価格と同額である点において、当社の上場直後の時期から当社株式を所有している少数株主の利益にも一定程度配慮がなされていると評価できること。

(d)本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の決定に際しては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。

(e)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、本特別委員会の関与の下、PwCアドバイザリーによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や財務的見地からの助言及び西村あさひから受けた法的助言等を踏まえて、当社とTAとの間で真摯な交渉が複数回行われた上で決定された価格であり、交渉の結果、本公開買付価格の有意な引上げが実現されていること。

(f)本新株予約権買付価格に関しては、本公開買付価格と本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額との差額に当該本新株予約権の目的となる当社株式数(各新株予約権1個につき100株)を乗じた金額を基に算定されていること。

(g)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、当社が本特別委員会から2024年1月24日付で取得した本答申書においても、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を含む本取引の条件の公正性が確保されている旨判断されていること。

 

 以上の理由により、当社は、本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとともに、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式及び本新株予約権の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年1月24日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 当社取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。

 なお、当社は、他社からも当社株式の非公開化取引に関する初期的な提案を受けておりましたが、(a)当社グループの成長スピードについて一時的な鈍化が懸念されるクラウドシフト(PX)期において、TAのストラテジックリソースグループ(SRG)との連携や、M&A・事業開発を含む事業ポートフォリオの強化等における公開買付者のサポートを通じて、公開買付者の企図している企業価値向上施策を実施することが当社グループの企業価値向上に資するものであると判断したことに加え、(b)2024年1月24日、TAより、Pacific投資事業有限責任組合との間で本応募契約を締結した旨の連絡を受けたことをもって、他社からの初期的な提案については実現可能性が合理的に疑われると判断したことから、上記のとおり、2024年1月24日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 

(3)算定に関する事項

① 算定機関の名称及び公開買付関連当事者との関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCアドバイザリーを選任し、当社株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2024年1月23日付で本株式価値算定書を取得いたしました。なお、公開買付者は本新株予約権買付価格を決定するに当たり本公開買付価格を基に算定していることから、当社は本新株予約権買付価格に関して第三者算定機関からの算定書は取得しておりません。また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、PwCアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 PwCアドバイザリーは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るPwCアドバイザリーにおける当社へのフィナンシャル・アドバイザー業務及び株式価値算定業務に対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬が含まれております。PwCアドバイザリーとしては、本取引の成否が不透明な中において、報酬体系を固定報酬のみとするよりもむしろ、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点からも望ましく、双方にとって合理性があると考えているとのことであり、当社としてはマイルストーン報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりPwCアドバイザリーを当社のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 また、本特別委員会は、当社が選任したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないこと、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

② 算定の概要

 PwCアドバイザリーは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値算定に当たり採用すべき算定手法を検討した上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所グロース市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準方式を、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF方式を用いてそれぞれ株式価値の算定を行いました。なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、PwCアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

市場株価基準方式:913円から1,023円

DCF方式     :1,280円から1,655円

 

 市場株価基準方式では、本公開買付けに関する当社取締役会決議日の前営業日にあたる2024年1月23日を基準日として、東京証券取引所グロース市場における当社株式の基準日終値969円、直近1ヶ月間の終値平均値913円、直近3ヶ月間の終値平均値970円及び直近6ヶ月間の終値平均値1,023円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を913円から1,023円と算定しております。

 DCF方式では、当社の2024年3月期から2027年3月期までの4期分の事業計画における収益及び投資計画(以下「本事業計画」といいます。)(なお、湯浅氏は本事業計画の作成に関与しておりません。)、当社の2024年3月期第2四半期における財務情報、及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2024年3月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定しております。

 その際、6.9%~7.9%の割引率(加重平均資本コスト)を採用しております。また、継続価値の算定については永久成長率法を採用し、永久成長率は1.0%~1.5%としております。その結果、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,280円から1,655円と算定しております。

 PwCアドバイザリーがDCF方式による算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、本事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりません。

 また、本事業計画は本取引の実施を前提としたものではなく、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果については、含んでおりません。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

(6ヶ月)

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

売上収益

5,457

10,219

10,873

11,893

営業利益

1,178

1,914

2,086

2,469

EBITDA

1,860

3,296

3,470

3,856

フリー・キャッシュ・フロー

1,579

1,801

1,811

1,955

(注) EBITDAは、営業利益に減価償却費を加算することで計算し、フリー・キャッシュ・フローは当該EBITDAを基に算出しています。

 

 なお、本事業計画における2025年3月期の売上収益の計画値は、当社が2022年5月12日付「中期経営計画の策定に関するお知らせ」において公表した中期経営計画上の2025年3月期の売上収益の計画値と異なりますが、この理由は以下のとおりです。

 すなわち、当社の2024年3月期の新規受注ARR(注)実績が予想値を下回っていること、また、2023年9月時点での受注残ARR実績が低い水準となっていること等を踏まえ、本事業計画では、上記の中期経営計画にて想定していた以上にクラウドシフト(PX)推進に注力することを企図しております。この結果、当初の目標値であった中期経営計画よりも、より現状に即した予測に基づき、当社の客観的かつ合理的な企業価値を算定し、本公開買付価格の妥当性を検討することがより適切であると判断しました。

(注) 「ARR」とは、「Annual Recurring Revenue(年次経常収益)」の略であり、企業が毎年決まって得ることができる1年分の利益や売上をいいます。

 

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

 当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所グロース市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、当該手続の実行後は、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式及び本新株予約権の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募株式等を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の本スクイーズアウト手続により、当社の株主を公開買付者及び湯浅氏のみとすることを予定しているとのことです。

 具体的には、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2024年4月下旬を目途に開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日(本書提出日現在において、2024年3月中旬を予定しているとのことです。)が本臨時株主総会の基準日となるように、基準日設定公告を行うことを当社に要請する予定とのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。なお、公開買付者及び湯浅氏は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生じる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合を行うことにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当該端数の株式を所有する当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式(以下「本端数合計株式」といいます。)を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。本端数合計株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、湯浅氏及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在未定ですが、公開買付者及び湯浅氏のみが当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、湯浅氏及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう要請する予定とのことです(注)。

(注) 本公開買付けの結果、湯浅氏の所有株式数と同数以上の当社株式を所有する株主(公開買付者、湯浅氏及び当社を除きます。)が存在した場合、又は本株式併合の効力発生の直前の時点までにそのような株主が生じる可能性を排除できないと公開買付者が判断した場合は、本スクイーズアウト手続において、かかる株主が本取引後も当社の株主として残存することのないよう、湯浅氏の所有する当社株式の数も1株に満たない端数となるような併合の割合とする可能性があります。そのような場合には、本株式併合の結果、公開買付者のみが当社の株主となり、湯浅氏は当社の株主として残留することなく、その所有する端数の対価として金銭を受領することとなりますが、公開買付者及び湯浅氏は、本取引後に湯浅氏が当該金銭の一部を公開買付者親会社に再出資し、かつ、公開買付者を吸収合併存続会社、当社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施することにより、本取引並びに本合併及び本株式交換により企図していた公開買付者親会社、公開買付者及び当社の株主構成と実質的に同等の株主構成を実現するために必要な手続を実施することを予定しているとのことです。

 

 株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関連法令の定めに従い、当社の株主の皆様は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められております。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、湯浅氏及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 上記の手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、湯浅氏及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

 

 また、公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて本新株予約権(本不応募株式等を除きます。)の全てを取得できず、かつ、本新株予約権(本不応募株式等を除きます。)が行使されず残存した場合には、当社に、本新株予約権の取得及び消却、又は本新株予約権者に対する本新株予約権の放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実践することを要請する予定ですが、本公開買付けに応募されなかった本新株予約権者に対して金銭を交付する場合には、本公開買付けにおける本新株予約権買付価格に当該本新株予約権者が所有していた当社の本新株予約権の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

 なお、本譲渡制限付株式については、その割当契約書において、譲渡制限期間中に、株式併合(付与対象者の有する株式が1株未満となる場合に限ります。)に関する事項が当社の株主総会で承認された場合(但し、当該株式併合の効力発生日が本譲渡制限株式の譲渡制限期間の満了日より前に到来するときに限られます。)には、(a)当該承認の日において、当社の2024年3月期に係る有価証券報告書に記載された当該事業年度の連結営業利益が17億円以上に達すること(以下「本業績目標」といいます。)を条件として、本譲渡制限付株式の付与対象者(以下「本譲渡制限株式付与対象者」といいます。)の所有に係る本譲渡制限付株式の全部について、当該株式併合の効力発生日の前営業日の直前時をもって、本譲渡制限付株式の譲渡制限を解除するとされ、(b)当該承認の日において、本業績目標が達成されていない場合には、当該承認の直後の時点において、本譲渡制限株式付与対象者の所有に係る本譲渡制限株式の全部を、当社が当然に無償で取得するとされています。本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続に係る承認がなされる時点で当社の2024年3月期に係る有価証券報告書が未提出である場合、本業績目標は達成されない見込みであるため、上記(b)の規定に従い、当該承認の直後の時点をもって、譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社が無償取得する予定です。

 

 以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主及び本新株予約権者の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。

 また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、株主及び本新株予約権者の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

 なお、公開買付者は、当社に対して、本スクイーズアウト手続が完了していることを条件として、2024年3月期に係る当社の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することができる株主を、本スクイーズアウト手続完了後の株主(公開買付者及び湯浅氏を意味します。)とするため、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社において定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定とのことです。そのため、当社の2024年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使できない可能性があります。

 また、公開買付者は、本スクイーズアウト手続の完了後、本合併及び本株式交換を実施することを予定しておりますが、本書提出日現在においてその他の具体的な日程等の詳細については未定とのことです。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反状態が生じ得ること等を踏まえ、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。なお、公開買付者は、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことですが、公開買付者としては、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の一般株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。

 また、以下の記載のうち公開買付者において実施した措置等については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCアドバイザリーを選任し、当社株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2024年1月23日付で本株式価値算定書を取得しております。なお、公開買付者は本新株予約権買付価格を決定するに当たり本公開買付価格を基に算定していることから、当社は本新株予約権買付価格に関して第三者算定機関からの算定書は取得しておりません。また、当社は、本「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、PwCアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。本株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。

 PwCアドバイザリーは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るPwCアドバイザリーにおける当社へのフィナンシャル・アドバイザー業務及び株式価値算定業務に対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬が含まれております。PwCアドバイザリーとしては、本取引の成否が不透明な中において、報酬体系を固定報酬のみとするよりもむしろ、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点からも望ましく、双方にとって合理性があると考えているとのことであり、当社としてはマイルストーン報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりPwCアドバイザリーを当社のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 また、本特別委員会は、当社が選任したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないこと、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

② 当社における独立した法務アドバイザーからの助言の取得

 当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。

 なお、西村あさひは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。西村あさひは当社にとって顧問法律事務所ではありますが、当社が西村あさひに法的助言の対価として支払った金額は当社の社外役員の独立性の基準を下回る少額のものであり、西村あさひの本取引に関する法的助言の公正性に疑いを抱かせる金額ではなく、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず時間単位の報酬のみとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておらず、本取引の成否にも重要な利害を有しません。また、西村あさひは当社に限らず多数の依頼者に対してリーガル・サービスを提供する外部の法律事務所であり、当社も西村あさひの依頼者の一つとして西村あさひの取扱分野や専門性を踏まえて当社の事業や経営判断に関し法律相談を継続的に依頼し、外部の法律専門家として法的助言を受けるために法律顧問契約を締結しているものであって、かかる法律顧問契約を締結していることをもって当社からの独立性は害されません。西村あさひは当社から独立したリーガル・アドバイザーとして本取引に関する法的助言を行うものであることから、西村あさひの公開買付関連当事者及び本公開買付けの成否からの独立性に問題はないと判断しております。

 また、本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないこと、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得

 当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2023年11月6日付の当社取締役会決議に基づき、公開買付関連当事者から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置いたしました。本特別委員会の委員としては堀内雅生氏(当社独立社外取締役(監査等委員)、税理士)、馬島薫氏(当社独立社外取締役)及び田中亨子氏(当社独立社外取締役、弁護士)の3名を選定しております。なお、当社は、当初から当該3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引の取引条件の公正性・妥当性、(ⅲ)本取引の手続の公正性、(ⅳ)本取引が当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか、(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)までを踏まえて当社取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、かかる(ⅰ)ないし(ⅴ)の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問しております。

 また、当社は、上記各取締役会決議において、当社取締役会において本取引に関する決定(本公開買付けに係る当社の意見表明を含みます。)を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)当社が公開買付者と本取引の取引条件について協議・交渉するに当たり、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、候補者の選定プロセス及び取引条件に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて直接交渉を行う権限、(b)本特別委員会が本諮問事項の検討等に当たり必要と判断した場合には、本取引に関して適切な判断を確保するために、当社による合理的費用の負担の下、独自にアドバイザー等を選任する権限、及び当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がない等、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求める権限、並びに(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社又は当社のアドバイザーに対して求める権限をそれぞれ付与しております。

 本特別委員会は、2023年11月15日より2024年1月24日まで合計15回、合計約11時間にわたって開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。

 具体的には、本特別委員会は、まず、2023年11月15日、当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひ並びにフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCアドバイザリーについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認しております。また、本特別委員会は、必要に応じ当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとし、本特別委員会として独自にアドバイザー等を選任しないことを確認しております。

 その上で、本特別委員会は、西村あさひ及びPwCアドバイザリーから受けた説明を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。

 本特別委員会は、当社から、当社の事業の内容、外部環境、現在の経営課題、PwCアドバイザリーによる株式価値算定の前提とした本事業計画の内容、公開買付者が本取引を検討するに至った経緯、公開買付者の提案内容等に関する事項等に関する事項の説明を受け、質疑応答を実施しております。また、公開買付者から、本取引の背景・意義・目的、本取引により想定される影響、本取引のストラクチャー・条件、本取引後の当社の経営体制・経営方針について説明を受け、質疑応答を実施しております。さらに、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議・交渉について、当社からその経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、当社をして、本特別委員会が承認した本公開買付価格の公開買付者における再検討の要請等に関する交渉方針に従って交渉を行わせる等して、公開買付者との交渉過程に実質的に関与しております。加えて、PwCアドバイザリーから当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、当該算定方法の前提、内容及び結果等について財務的見地から質疑応答を行い、その合理性を検証した他、西村あさひから本取引において利益相反を軽減又は防止するために採られている措置及び本取引に関する説明を受け、公正性担保措置の一般的意義・概念及び本取引における当該措置の十分性等に関して質疑応答を行うとともに、当社から本取引の諸条件の交渉経緯及び決定過程等に関する説明を受け、公開買付者から提案された本公開買付価格及び本新株予約権買付価格が、当社が実現し得る本源的価値が適切に反映されているか等についての質疑応答を実施しております。これらの内容を踏まえ、本特別委員会は本諮問事項について慎重に協議・検討を行っております。

 また、本特別委員会は、当社が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリース及び意見表明報告書の各ドラフト、公開買付者が提出予定の本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフトの内容について、西村あさひ及びPwCアドバイザリーの説明を受け、公開買付者及び当社が、それぞれのフィナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーの助言を得て充実した情報開示を行う予定であることを確認しております。

 本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2024年1月24日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。

 

(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)

 本特別委員会が当社及び公開買付者から受けた説明並びに本特別委員会に提出された資料を踏まえると、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の本取引に至る背景となる当社グループの事業内容・事業環境については、当社の属する業界及び市場の環境として一般に説明されている内容や当社取締役会の理解とも整合すると考えられる。

 また、当社グループの事業内容・事業環境を踏まえ、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載の本取引後に講じられることが具体的に想定される各施策は、当社グループの現在の事業内容及び事業環境を前提とした合理的なものであり、当社における将来の中長期的な企業価値の向上のための施策として、評価し得るものであると考えられる。

 すなわち、当社グループが事業を展開する給与計算業務のアウトソーシング市場は、政府の提唱する「働き方改革」により各企業が行う長時間労働是正の手段として、アウトソーシングを活用し、コア業務に注力することに対する機運が高まっていることから需要が拡大しており、今後も発展していくことが見込まれる。一方で、2021年6月の新規上場の際に想定されていた以上に競合他社とのサービス力、価格を含めた競争が激化している状況にある。このような経営環境の変化に対応しつつ、当社が中期的な成長を実現するためには、(a)新基幹システム(P3)の開発・移行、(b)優秀な人材の採用・育成の強化、定着化、(c)新たな顧客群の獲得といった経営課題に早急に対処すべきであるが、クラウドシフト(PX)期においては、両システムの維持費、クラウドシフト(PX)推進に係る工数増加に社内リソースが割かれること等により、一時的に当社グループの成長スピードが鈍化することが懸念されるため、当社グループが中長期的な目線での経営の舵取りを求められていることは是認できる。

 他方で、公開買付者は、①給与エンジン及びワークフローテクノロジープラットフォームの洗練、②既存のサービスを拡大するための投資、③人工知能や機械学習の要素の給与サービスワークフローへの統合、④給与計算業務の同領域・近接領域の企業の買収、⑤当社の既存顧客基盤への新規ソリューションのクロスセルといった具体的な企業価値向上施策を企図している。当社及び公開買付者双方に対するインタビューを踏まえて検討した結果、①については、当社のワークフロー及び給与エンジンの機能強化並びにUI/UXの改善を通じて、テクノロジーを用いたビジネス展開の強化が更に加速できると考えられること、②については、クラウドシフト(PX)に伴うプロダクト/サービス面のメニューの拡大やフィールドセールス及びインサイドセールス双方の営業の強化に伴うサービス拡大、マーケティング強化が見込まれること、③については、当社バックオフィスへのAI導入に伴うコスト改善や、将来的には当社の提供サービスへのAI導入に伴う更なる機能強化及びトップラインの成長が見込まれること、④については、M&Aによる顧客の取り込み、より効率的な当社のオペレーションへの切り替えを通じた収益性向上/成長性向上、クロスセル効果が期待されること、⑤については、海外ソフトウェア(タレントマネジメントソフトウェア等)の国内展開等や、買収先においてもP3システムの導入を推進していくことで、事業の拡大・成長が更に加速できると考えられることから、いずれの施策も、上記事業環境・経営課題に対応するものであり、当社グループの中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくべき施策であると評価できる。そして、企業価値向上施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいという公開買付者の説明も合理的である。

 しかしながら、当社の上場を維持したままでは、株価に対する影響への配慮や法令又は金融商品取引所規則に基づく情報開示の負担等から、当社の経営陣が中長期的な企業価値の向上に向けた上記の各施策や大胆なビジネス変革にフォーカスすることは難しいと考えられ、特に、クラウドシフト(PX)については、計画が想定どおりに進捗しない又は想定外の収益悪化が起こる可能性もあり、また、一時的にはSEPシステムに比べてP3システムの利益率が伸び悩むことも想定されるという公開買付者の説明に不合理な点はない。そのため、当社の事業の拡大・発展にとって、より積極的にクラウドシフト(PX)を進めることは重要であるものの、上場を維持したままクラウドシフト(PX)をより積極的に実施した場合、当社の株主に対して当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性を否定できず、当社が上場を維持したままでの積極的なクラウドシフト(PX)の実施は困難であると考えられる。このため、そのようなマイナスの影響を回避しつつ中長期的な視点から当社の企業価値を向上させる方法として、当社株式を非公開化するという手法には合理性があると考えられる。

 なお、上場企業の株式が非公開化されることによって、①エクイティファイナンス等による資金調達が困難となる、②上場会社としてのブランドを喪失することで従業員の採用及びリテンションに悪影響が生じる、並びに、③取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下するといった悪影響が一般的には予想されるところ、公開買付者の説明を踏まえると、①については、追加の資金調達が必要な場合は、公開買付者による外部金融機関からの追加の借入等を活用することが可能であると考えられること、②については、本取引を通じて、これまで以上に当社の成長・発展が実現できることを説明することで、当社の従業員はこれまで以上に高い意識を持って働くことが可能となり、採用活動やリテンションへの好影響も期待できると考えられること、また、③については、本取引成立後も当社の知名度及び事業上の強みは不変であり、取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力が低下することはないと考えられるとのことであり、当該説明には不合理な点はないことから、一般的に予想されるような悪影響は見込まれないと考えられる。

 

 これらの検討内容を踏まえると、本取引は、当社の企業価値の向上に資するものと認められ、その目的は正当性・合理性を有するものであると考えられる。

 

(ⅱ)本取引の取引条件の公正性・妥当性

 以下のとおり、本公開買付価格は公正かつ妥当なものであり、その決定過程に不合理な点は見当たらない。その他の取引条件についても当社の少数株主に不利益となる事情は認められないことから、本取引の取引条件は妥当なものであると考えられる。

a 上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格は、当社のアドバイザー及び本特別委員会の助言を踏まえて、当社と公開買付者との間の真摯な価格交渉の結果決定されており、また、3回にわたる価額の引上げの要請が行われ、実際に本公開買付価格が1,100円から1,380円までに、本新株予約権買付価格が59,000円から87,000円までに引き上げられており、これらの当社と公開買付者との本公開買付価格の交渉に係る経緯には、不合理な点は認められないことから、公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力が行われる状況が確保されていたものと認められること。

b 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCアドバイザリーに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年1月23日付で本株式価値算定書を取得し、本特別委員会は、本株式価値算定書の内容を検討するとともに、PwCアドバイザリーから、本株式価値算定書の内容について説明を受けたところ、PwCアドバイザリーが当社株式の株式価値の算定に用いた上記の各手法は、いずれも現在の実務に照らして一般的、合理的な手法であると考えられ、その算定の内容についても現在の実務に照らして一般的、妥当なものであると考えられ、当該算定の基礎となった本事業計画について、当社及びPwCアドバイザリーからの説明を踏まえ、本特別委員会においても、本事業計画の作成経緯(湯浅氏が本事業計画の作成に関与していないことを含みます。)及び当社の現状を把握した上で、検討したが、その内容に不合理な点は認められなかったこと。

c 本公開買付価格は、本答申書作成日の前営業日である2024年1月23日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値969円に対して42.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値913円に対して51.15%、過去3ヶ月間の終値単純平均値970円に対して42.27%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,023円に対して34.90%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、過去に行われたマネジメント・バイアウト(MBO)事例におけるプレミアム率(公表日の前営業日の終値に対するプレミアム率並びに同日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアム率)の平均値の範囲(具体的には、2024年1月23日時点の当社のPBR(株価純資産倍率)が1倍以上であることを踏まえ、M&A指針の公表日である2019年6月28日以降に実施されたマネジメント・バイアウト(MBO)事例のうち不成立であったもの及び対象会社のPBR(株価純資産倍率)が1倍未満である事例を除く20件における、公表日の前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの平均値(32.43%、34.03%、36.63%及び36.77%))と比較して、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準はわずかに下回るものの、公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間及び直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は過去事例をそれぞれ上回っていることを踏まえると、合理的なプレミアムが付されていること。

d 当社株式の上場から約2年半程度経過した時点において本取引が検討されていることに照らし、当社の上場直後の時期から所有している少数株主の利益についても検討すると、当社株式の上場当時の公募価格は1,380円であり、上場直後の株価が最も高く、その後から2022年前半にかけて1,000円を下回る水準に低下し、2022年後半から2023年前半にかけて600円台後半から800円台前半の金額の間で推移し、2023年後半以降は800円台前半から1,100円台後半の金額の間で推移している状況であり、かかる株価の推移に照らすと、当社株式1株につき1,380円という本公開買付価格は、公募価格と同額である点において、当社の上場直後の時期から当社株式を所有している少数株主の利益にも一定程度配慮がなされていると評価できること。

e スクイーズアウト手続の方法は、本取引のような完全子会社化の取引において一般的に採用されている会社法第180条に基づく株式併合により行われる予定であり、本取引の方法として妥当であると考えられること。また、本スクイーズアウト手続の条件についても、本公開買付価格と同一の価格を基準として算定・決定される予定であるところ、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けに続く手続として予定されているものであり、時間的に近接した両手続において交付される対価が同一のものとなるようにすることは合理的であると考えられること。

f 公開買付者は、本スクイーズアウト手続の完了後、本合併を実施し、本合併の完了後、本株式交換を実施することを予定しているとのことであるが、他の類似事例と比較して、当社の少数株主にとって不利益となり得る特段の事情は認められないこと。

g 本買収ローンにおいては、当社株式若しくは当社の資産の一部について担保が設定され、又は当社が連帯保証を提供する可能性があるとのことであるが、当社の本事業計画等に鑑みれば今後も継続して安定した収益が見込まれること等を踏まえると、本買収ローンにより当社グループの企業価値に重大な悪影響を与えるような財務状況の悪化が生じるものとは認められないこと。

 

(ⅲ)本取引の手続の公正性

 以下のとおり、本取引においてはM&A指針に定められる各公正性担保措置に則った適切な対応が行われており、その内容に不合理な点は見当たらないため、本取引の手続の公正性は確保されていると考えられる。

a ①本取引においては、取引条件の形成過程の初期段階から全般にわたって、本特別委員会が関与していたことが認められること、②本特別委員会の委員は、それぞれ独立性を有することが確認されており、専門性・属性にも十分配慮して選定されたものであることが認められること、③本特別委員会の設置、権限、職責、委員の選定及び報酬の決定の各過程において、当社の独立社外取締役が主体性を持って実質的に関与する体制が確保されていたことが認められること、④本特別委員会は、公開買付者との間の取引条件に関する交渉過程に、当社取締役会を通じて直接かつ実質的に関与してきたことが認められること、⑤本特別委員会においては、当社の企業価値の向上の観点及び少数株主の利益を図る観点から、本取引に関する検討過程において適時に各アドバイザーの専門的な助言・意見等を取得し、本取引の是非、本公開買付価格をはじめとする本取引の取引条件の妥当性、本取引における手続の公正性等について慎重に検討及び協議を行う体制が確保されていたと認められること、⑥本特別委員会が非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うことのできる体制を整備していることが認められること、⑦本取引の検討について本特別委員会に求められる役割を適切に果たすための特別の報酬が、元々支払いが予定されていた役員報酬とは別に、本取引の成否と関係なく支払われることとなっていることを踏まえると、本特別委員会の委員が時間的・労力的なコミットメントを行いやすく、かつ本取引の成否から独立した立場から判断を行うための環境が整えられていることが認められること、⑧本取引については取締役会が本特別委員会の意見を最大限尊重して意思決定を行うことのできる体制が確保されていることが認められること、⑨本取引の検討・交渉に際しては、公開買付者から独立した社内検討体制、及び利害関係を有する取締役を本取引の検討・交渉に関与させない体制が整備されていたことが認められることから、本取引の検討に際しては、特別委員会の実効性を高める工夫に関するM&A指針の指摘事項に配慮した上で、独立性を有する本特別委員会が設置されており、これが有効に機能していることが認められること。

b 本取引においては、当社は、①本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受け、また、②公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、PwCアドバイザリーに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年1月23日付で本株式価値算定書を取得しており、かつ、西村あさひ及びPwCアドバイザリーの公開買付関連当事者からの独立性に問題はないとする当社の判断に不合理な点は見当たらないこと。

c 本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みると、本取引においては、間接的なマーケット・チェックが実施されており、積極的なマーケット・チェックを行う意義は乏しいということができるから、これを実施しなくとも、本取引の公正性が阻害されるおそれは低いと考えられること。

d 本公開買付けにおいては、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の利益に資さない可能性もあるため、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限は設定されていないが、公開買付者及び当社において上記a.ないしc.並びに下記e.及びf.に記載の公正性担保措置を講じていることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えられること。

e M&A指針が開示を求める特別委員会に関する情報、株式価値算定書に関する情報及びその他の情報は、十分に開示されるものと認められること。

f 本取引においては、一般株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされているといえ、手続の公正性の確保に資する対応が取られていると考えられること。

 

(ⅳ)本取引が当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか

 上記(ⅰ)ないし(ⅲ)の検討のとおり、本取引は、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。

 

(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)までを踏まえて当社取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非

 上記(ⅰ)ないし(ⅳ)の検討のとおり、本取引の目的は正当性・合理的を有すると考えられること、本取引の取引条件は公正・妥当であると考えられること、本取引の手続は公正なものであると考えられること、及び本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられることからすると、当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であると考えられる。

 

④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認

 当社取締役会は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、西村あさひから受けた法的助言、PwCアドバイザリーから受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年1月24日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(湯浅氏及び浅野氏を除く12名)の全員一致で、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。

 また、本新株予約権買付価格は、本公開買付価格である1,380円と本新株予約権の行使価額との差額に本新株予約権の目的となる当社株式の数を乗じた金額とし、本公開買付価格を基に算定されていることから、本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。なお、本新株予約権は、譲渡による取得について当社取締役会の承認を要するものとされておりますが、当社は、2024年1月24日開催の当社取締役会において、本新株予約権者がその所有する本新株予約権を本公開買付けに応募することにより公開買付者に対して譲渡することについて、本公開買付けが成立することを条件として包括的に承認することを決議いたしました。

 なお、当社の代表取締役社長である湯浅氏は、公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドと本不応募契約を締結するとともに本スクイーズアウト手続の完了後、本合併によって公開買付者の普通株式を取得し、本合併の完了後、本株式交換によって公開買付者親会社の普通株式の一部を取得することを予定していることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係取締役として、上記取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。

 また、当社の社外取締役である浅野氏は、クレアシオン・キャピタルのマネージングディレクターを兼任していることを踏まえ、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保するため、上記取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。

 

⑤ 本公開買付けの公正性を担保するための客観的状況の確保

 公開買付者は、当社との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といます。)を法令に定められた最短期間である20営業日より長い31営業日に設定しているとのことです。公開買付者は、公開買付期間を法令に定められた最短期間より長期に設定することにより、当社の株主及び本新株予約権者の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の適正性を担保することを企図しているとのことです。

 なお、上記「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続等を含みます。)については、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはない旨を判断しております。

 

(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項

① 本応募契約

 公開買付者は、2024年1月24日付で、Pacific投資事業有限責任組合との間で、本応募契約を締結しているとのことです。本応募契約において、Pacific投資事業有限責任組合は、公開買付者との間で、Pacific投資事業有限責任組合が所有する当社株式の全て(合計所有株式数:8,583,700株、合計所有割合:46.65%)について、本公開買付けに応募(以下「本応募」といいます。)する旨の合意をしているとのことです。なお、本応募契約を除いてPacific投資事業有限責任組合との間で本取引に関する合意は締結されておらず、本公開買付価格の支払いを除き、本公開買付けに際して付与される利益はないとのことです。

 本応募契約の概要は、以下のとおりとのことです。

 

(Ⅰ)Pacific投資事業有限責任組合の応募及び応募の不撤回

 本応募契約において、Pacific投資事業有限責任組合は、公開買付者が本公開買付けを開始した場合、公開買付期間の開始日の3営業日以内に、本応募をするものとされているとのことです。また、Pacific投資事業有限責任組合は、本応募後、本応募を撤回せず、本応募により成立するPacific投資事業有限責任組合が所有する当社株式の買付け等に係る契約を解除しない(以下「本応募不撤回等」といいます。)ものとされているとのことです。

 また、本応募契約においては、本応募及び本応募不撤回等の義務の履行は、本公開買付けの開始日に、以下の条件が全て満たされていることが前提条件とされているとのことです。但し、Pacific投資事業有限責任組合は、その任意の裁量により、以下のいずれの条件も放棄することができることとされているとのことです。

(ⅰ) 公開買付者による表明及び保証が、重要な点において真実かつ正確であること。

(ⅱ) 公開買付者が本応募契約に基づき履行又は遵守すべき義務が、重要な点において全て履行又は遵守されていること。

(ⅲ) 当社取締役会において、本公開買付けに賛同し、当社の全ての株主及び新株予約権者に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明決議が行われ、その旨が公表されており、かつ、かかる意見表明を変更若しくは撤回する又はこれと矛盾する内容のいかなる決議も行われていないこと。

(ⅳ) 司法・行政機関等に対して、本公開買付け又は本応募を制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟等又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付け又はPacific投資事業有限責任組合による本応募を制限又は禁止する旨のいかなる法令等又は司法・行政機関等の判断等も存在していないこと。

(ⅴ) 当社が未公表の重要事実(法第166条第2項に定めるものをいいます。)の不存在に係る誓約書を公開買付者及びPacific投資事業有限責任組合に提出していること。

(ⅵ) 本応募契約に基づくPacific投資事業有限責任組合の表明及び保証並びに関連する補償義務に関して、公開買付者を被保険者及び保険契約者とする表明保証保険(以下「本表明保証保険」といいます。)に係る契約が、公開買付者及び本表明保証保険の保険者の間で、適法かつ有効に締結され、かつ、何らの変更及び修正等がなされることなく有効に存続していること。

(ⅶ) 公開買付者が本表明保証保険の付保証明書(条件明細書等の添付書類を含みます。)の写しをPacific投資事業有限責任組合に提出していること。

 

(Ⅱ)Pacific投資事業有限責任組合の誓約事項

 本応募契約において、Pacific投資事業有限責任組合は、以下の事項を誓約しているとのことです。

(ⅰ) Pacific投資事業有限責任組合は、本応募契約締結日後、本決済開始日までの間、公開買付者以外の第三者との間で、Pacific投資事業有限責任組合が所有する当社株式の譲渡、担保設定その他の処分その他本公開買付けと実質的に抵触し又は本公開買付けの実行を困難にする取引及びそれらに関する合意を行わず、かかる取引に関する提案、勧誘、協議、交渉又は情報提供を行わないものとする。また、Pacific投資事業有限責任組合は、第三者からかかる取引に関する提案、勧誘、協議、交渉又は情報提供を受けた場合には、速やかに、公開買付者に対して、かかる事実及び内容を通知するものとする。

(ⅱ) Pacific投資事業有限責任組合は、公開買付者の事前の書面による承諾なしに、当社の株主総会の招集請求権(会社法第297条)、議題提案権(会社法第303条第1項及び第2項)及び議案提案権(会社法第304条及び第305条第1項)その他の株主権を行使しないものとする。

(ⅲ) 当社において本決済開始日より前の日を権利行使の基準日とする株主総会が開催される場合、Pacific投資事業有限責任組合は、公開買付者の選択に従い、(a)公開買付者若しくは公開買付者の指定する者に対して包括的な代理権を授与するか、又は(b)公開買付者の指示に従って議決権を行使するものとする。

(ⅳ) Pacific投資事業有限責任組合は、公開買付者の合理的な要請に従い、本応募の状況及び本応募に必要となる手続の履践状況について公開買付者に報告するものとする。

 

(Ⅲ)表明保証事項

 本応募契約において、Pacific投資事業有限責任組合は、(A)自らに関して、(a)設立及び存続の適法性及び有効性、(b)本応募契約の締結及び履行に係る権限等、(c)強制執行可能性、(d)許認可等の取得、(e)法令等との抵触の不存在、(f)倒産手続等の不存在、(g)反社会的勢力の不存在、並びに(h)当社株式の所有を表明保証するとともに、(B)当社に関して、(a)設立及び存続の適法性及び有効性、(b)法令等との抵触の不存在、(c)倒産手続等の不存在、(d)反社会的勢力の不存在、(e)腐敗防止、マネーロンダリング規制、(f)発行済株式総数等、(g)株式の上場、(h)子会社・関連会社、(i)財務諸表等、(j)債務及び後発事象の不存在、(k)重要契約、(l)資産、(m)租税、(n)労働関係、(o)法令等の遵守、(p)訴訟等、(q)適法開示、(r)未公表の重要事実の不存在、並びに(s)情報開示を表明保証しているとのことです。

 また、本応募契約において、公開買付者は、(a)設立及び存続の適法性及び有効性、(b)本応募契約の締結及び履行に係る権限等、(c)強制執行可能性、(d)許認可等の取得、(e)法令等との抵触の不存在、(f)倒産手続等の不存在、並びに(g)反社会的勢力の不存在を表明保証しているとのことです。

 

(Ⅳ)表明保証保険

 本応募契約において、公開買付者は、公開買付期間の開始日の前日までに、自己の費用と負担で、本表明保証保険に加入し、(ⅰ)本表明保証保険の内容を変更せず、本表明保証保険の効力を維持し、本表明保証保険に基づく公開買付者の権利を減縮又は消滅させる行為を行わず、(ⅱ)本表明保証保険の保険者との間で、当該保険者が、一定の場合を除き、Pacific投資事業有限責任組合に対する本表明保証保険に基づく求償権、本表明保証保険による代位に基づき取得する請求権その他の権利を行使しない旨の合意を行うとされているとのことです。

 

 

② 本不応募契約

 公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドは、2024年1月24日付で、湯浅氏との間で、本不応募契約を締結しているとのことです。本不応募契約において、湯浅氏は、公開買付者との間で、湯浅氏が所有する当社株式(所有株式数:726,000株、所有割合:3.95%)及び本新株予約権(所有新株予約権数:2,660個(目的となる株式数:266,000株、所有割合:1.45%))の全て(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含みます。)について、本公開買付けに応募しない旨並びに本スクイーズアウト手続及び本取引後の当社の組織再編の実施等についての合意をしているとのことです。本不応募契約の概要は、以下とのことです。なお、本不応募契約を除き、湯浅氏との間で本取引に関して具体的に合意されている事項はないとのことです。

 

(Ⅰ)本不応募株式等の不応募及び本スクイーズアウト手続に係る合意

 本不応募契約は、本不応募株式等の不応募及び本スクイーズアウト手続に関し、以下の事項を定めているとのことです。

(ⅰ) 湯浅氏は、公開買付者が開始する本公開買付けにおいて、本不応募株式等を応募しない。

(ⅱ) 公開買付者及び湯浅氏は、本決済開始日後、当社をして本スクイーズアウト手続を実施させ、かつ、自ら本スクイーズアウト手続に必要な一切の行為(本臨時株主総会における賛成の議決権の行使を含みます。)を行うことにより、本スクイーズアウト手続を完了させる。

(ⅲ) 本公開買付けが成立し、公開買付者及び湯浅氏が所有する議決権数の合計が当社の総株主の議決権数(当社潜在株式勘案後株式総数に係る議決権数をいいます。以下、本「②本不応募契約」において同じです。)の3分の2未満となったときは、本決済開始日後直ちに、湯浅氏は、公開買付者及び湯浅氏が所有する議決権数の合計が当社の総株主の議決権数の3分の2以上となるように湯浅氏の保有する本新株予約権を行使する。また、湯浅氏は、本公開買付けが成立した場合、本株式併合において本スクイーズアウト手続の効力発生の時点までに湯浅氏が保有する当社株式の数を上回る株主(公開買付者及び当社を除きます。)が生じる可能性を排除するため、公開買付者が指定した数の本新株予約権を本株式併合の効力発生日の前営業日までに行使する。本株式併合の効力発生日の前営業日までに行使されない湯浅氏の保有する本新株予約権が存在することとなる場合、湯浅氏は、本株式併合の効力発生日の前営業日までに、公開買付者の指示に従い、湯浅氏が所有する本新株予約権を当社に譲渡し又は当該本新株予約権を放棄する。

(ⅳ) 当社が、本譲渡制限付株式の割当契約の定めに従い、本株式併合の効力発生日の前営業日の直前に本譲渡制限付株式を無償取得した場合(詳細につきましては、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)、公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンド並びに湯浅氏は、当社をして、本スクイーズアウト手続の完了後遅滞なく、当社が無償取得した本譲渡制限付株式の所有者に対して、当該所有者から当社が無償取得した本譲渡制限付株式の数に本公開買付価格を乗じた金額を支払わせる。

 

(Ⅱ)本合併、本株式交換及び本再出資に係る合意

 本不応募契約において、公開買付者、公開買付者親会社、TAファンド及び湯浅氏は、本スクイーズアウト手続の完了後、実務上合理的に可能な限り速やかに、本合併及び本株式交換を実施するために相互に合理的な協力を行うこととされているとのことです。また、本不応募契約において、本スクイーズアウト手続の結果、公開買付者のみが当社の株主となった場合、湯浅氏は、本スクイーズアウト手続の完了後、実務上可能な限り速やかに、本株式併合により1株未満の端数となった部分に相当する不応募株式の対価として受領した金額の一部を公開買付者親会社に出資し、公開買付者親会社は湯浅氏に公開買付者親会社の普通株式を交付することとされているとのことです。

 

(Ⅲ)当社株式の取扱い

 本不応募契約は、当社株式の取扱いに関し、以下の事項を定めているとのことです。

(ⅰ) 湯浅氏は、本不応募株式等の全部又は一部について、公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドの書面による同意のない限り、譲渡、移転、承継、貸与、担保権の設定その他一切の処分を行ってはならない。

(ⅱ) 本公開買付けの成立後、公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドが、自己の所有する当社株式(本合併後においては公開買付者の株式をいい、本株式交換又は本再出資後は公開買付者親会社の株式をいいます。以下本「②本不応募契約」において同じです。)の全部を第三者に対して譲渡する場合、公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドは、湯浅氏に対して、湯浅氏が所有する当社株式及び本新株予約権の全部又は一部を公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドと同一の条件で当該第三者に譲渡することを請求できる。

(ⅲ) 湯浅氏は、公開買付者の事前の書面による承諾なしに、当社の株主総会の招集請求権(会社法第297条)、議題提案権(会社法第303条第1項及び第2項)及び議案提案権(会社法第304条及び第305条第1項)その他の株主権を行使しない。また、湯浅氏は、本不応募契約締結日以降に当社の株主総会が開催される場合、公開買付者の選択に従い、(a)公開買付者若しくは公開買付者の指定する者に対して包括的な代理権を授与するか、又は(b)公開買付者の指示に従って議決権を行使する。

 

(Ⅳ)当社の経営に関する事項

 本不応募契約において、湯浅氏は、当社の取締役会の決議事項及び当社の重要な業務執行に関する事項について決定又は実行する場合は、事前に公開買付者、公開買付者親会社及びTAファンドと十分協議することとされているとのことです。

 また、湯浅氏及びTAファンドは、本株式併合の効力発生日までに、本株式交換又は本再出資後の公開買付者親会社の株主間の取り決めに関する事項及び当社グループの経営に関する事項等について定めた株主間契約を締結できるよう、誠実に協議をすることとされているとのことです。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

湯浅 哲哉

代表取締役

社長

726,000

7,260

影山 貴裕

取締役

9,690

96

加藤 匡一

取締役

52,000

520

浅井 周嗣

取締役

20,161

201

渡邉 雅彦

取締役

2,000

20

関口 廣光

取締役

2,000

20

酒井 弘樹

取締役

2,000

20

菅野 有美

取締役

12,800

128

浅野 靖成

取締役

馬島 薫

取締役

田中 亨子

取締役

平井 成人

取締役

(監査等委員)

青井 博之

取締役

(監査等委員)

堀内 雅生

取締役

(監査等委員)

14名

826,651

8,265

 (注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。

 (注2) 取締役浅野靖成氏、馬島薫氏、田中亨子氏、青井博之氏及び堀内雅生氏は、社外取締役です。

 (注3) 所有株式数及び議決権の数には、譲渡制限付株式報酬として付与された当社の譲渡制限付株式を含んでおります。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

 

以 上