文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症を機に、大企業に加え中堅・中小企業においてもテレワークが定着し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への機運の高まりによる営業DX化が広がってまいりました。また、生産労働人口の減少に伴うIT人材の採用課題やIT人材不足への懸念が増加している状況において、当社グループの提供サービスへの需要は、より一層高まっているものと認識しております。
このような状況下において、当社は2023年4月3日付で持株会社体制へ移行したことにより、事業ポートフォリオの再構築を進め投資利益率と成長性を重視する経営方針を明確にし、成長性、収益性の低い不採算事業・サービスからの撤退、新規事業の立ち上げにより経営資源の適正配分を行い、経営における選択と集中を進めました。
当社グループが経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、営業利益率を重視しております。
当社グループでは次の課題を掲げて計画的かつ迅速に取り組んでまいります。
① サービスシェア・収益力の拡大
当社グループは、継続的かつ安定的に収益を確保できるサブスクリプションモデルのSaaSを軸とした中堅・中小企業のDX支援を主力事業としております。そのため、当社グループが提供するSaaSの顧客企業数を加速度的に増加させることが重要であると認識しております。「SDGs」等、社会的企業価値向上に向けた取り組みを啓蒙し、SaaS提供を通じて企業のDX化を加速し、顧客を成功へ導くカスタマーサクセスにより収益の安定と向上を図ってまいります。
また、持続的な事業成長の実現に向けて、既存SaaSの成長に加えて、製品・サービスシナジーを発揮する新規事業等の展開も積極的に検討してまいります。
② IT人材の確保と育成
当社グループは、顧客企業のニーズをタイムリーに製品・サービスに反映させることで、他製品・サービスとの差別化を図ってまいりました。将来にわたり顧客企業から支持されるには、販売・サポート体制に加え、質の高い技術開発体制の構築が重要であると認識しております。このため、即戦力としての中途採用と中長期的な事業拡大に不可欠な新卒採用を、積極的に進めてまいります。
また、優秀な人材の確保及び維持のために、働きやすい環境整備や人事制度の構築、教育・研修などを積極的に進めてまいります。
③ サービス開発力の強化
顧客企業に当社グループのサービス・プロダクトを継続的にご利用いただくために、顧客のニーズや潜在的な要望を的確に捉え、機能優位性を維持する先端技術を積極的に取り入れた開発技術体制が求められております。このため、優秀なエンジニアの確保に加え、グループシナジーを通じたエンジニア交流等、開発リソースの確保に努めてまいります。
また、サービス・プロダクトを安心してご利用いただけるよう、データは日本国内の強固なデータセンターで管理し、顧客の増加に合わせたサーバー増強等を継続的に行い、より一層の安定稼働に向けた体制の強化に取り組んでまいります。
④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部統制の強化
当社グループが継続的な成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、コーポレート・ガバナンスの更なる強化と内部管理体制の強化が重要な経営課題の一つであると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、その強化への取り組みを推進し、株主、従業員、取引先等全てのステークホルダーに対して経営の適切性、健全性を最大限に発揮してまいります。
内部管理体制については、業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に実施するとともに、定期的な内部監査の実施によるモニタリング機能の強化を図ってまいります。また、業務の効率化や合理化並びにリスク最小化を追求し、内部統制の強化を進めてまいります。
当社は、「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」をグループ企業理念に掲げ、Digital Inclusion(デジタルインクルージョン)~テクノロジーを通じて、世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで社会に希望を与える~のビジョンに基づき、持続可能な社会の実現に向けて、テクノロジーを通じた環境・社会課題の解決と社会の発展に貢献することで、持続的成長と企業価値向上の実現を目指しております。その実現に向けて、様々なステークホルダーとの連携を強化し、サステナビリティを意識した経営を実践しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、経営規模の拡大と組織文化の醸成を両立させながら、株主をはじめとした様々なステークホルダーの期待と信頼に応え、企業価値の向上を図るためには、サステナビリティを意識したコーポレート・ガバナンスの構築が不可欠であると考えております。その実現のため、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しながら、経営の健全性・透明性を確保すべく、経営管理体制の強化、充実に努めております。
取締役会において、経営の重要な意思決定及び業務執行の監督を行うとともに、監査等委員会及び内部監査室により、職務執行状況等の監査を実施しております。継続して公正で透明性の高い経営活動を推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の整備・強化に取り組んでおります。
当社グループは、持続的な成長や企業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。毎年積極的な採用を行い、多様性に富んだ優秀な人材を採用することで、事業の成長に取り組める人材の確保と継続的な雇用の創出に努めております。
また、従業員の働き方については、ライフステージの変化や多様化する価値観に合わせて、生産性高く働ける仕組みを整備し、様々なバックグラウンドをもつ従業員が、それぞれの能力と個性を発揮し、活躍できる環境を整え、柔軟な働き方の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>
当社グループは、人材の多様性や変化の激しい市場環境に対応し、常に迅速に事業成長できる組織への力に変えるため、女性、外国人、様々な経験を持つキャリア採用者など多様な人材の登用、起用を積極的かつ継続的に行ってまいりました。また、それぞれの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備などを行ってまいりました。
具体的には、働く時間や場所の柔軟化(フレックスタイム制、テレワーク等)、自律的なキャリア構築支援の取り組みとして採用募集しているポジションに対し、社員が自由に応募することができる社内公募制度、グループ会社間におけるグループ転籍制度などを実施しております。また、階層別研修や社内研修制度の充実を図り、全社的な人材育成や成長支援のためのさまざまな取り組みを実施してまいります。
今後も、従業員の誰もが当社グループで働くことに価値とやりがいを感じ、成長の機会や自分らしい人生を歩めるよう、様々な取り組みを行うとともに、従業員の成長を社会へ還元していく意識改革を推進してまいります。
当社グループは、経営戦略および事業戦略と連動して、重要なリスクへの対応力を高めるために必要な措置を講じております。当社グループでは事業運営に関し、顧客の重要な情報を保有しております。また、当社グループSaaS・サブスクサービスの継続利用の前提としてセキュリティの確保が必要不可欠であるため、リスクの中でも、特に情報セキュリティリスクを重視しております。当社グループは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しており、継続的なセキュリティマネジメント体制を構築し、定期的にリスクの分析・評価及びモニタリングを行うことでリスクの低減を図っております。また、役員及び従業員が情報セキュリティ方針を遵守・運用するため、ISMS管理責任者を指名し、情報セキュリティ委員会を設置し、戦略的なリスクマネジメントを推進することで、企業価値を高めることに寄与しているものと考えております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。なお、当社グループは、社内で意思決定に関わる従業員の多様性向上のために、管理職に占める女性労働者の割合を増やすことが重要であると考えております。また、男性従業員が育児休業を取得することで、男性従業員の育児参加だけでなく、その配偶者の育児負担を軽減し、配偶者のキャリア形成を支援することができるものと考えております。
当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下のようなものが挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、重要であると考えられる事項につきましては、これらのリスク発生の可能性を十分認識した上で発生の回避及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で投資判断を行う必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの中小・中堅企業向けSaaSあるいはサブスクリプションサービスにおいては、数多くの競合が存在しております。
当社グループは、これまで培ってきたノウハウを活用するとともに、顧客企業のニーズへの対応や新たなサービスの開発に注力いたしますが、画期的なサービスを提供する競合他社や参入企業等との競争が激化し、当社グループの優位性が損なわれた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
IT人材不足が深刻化していく中、クラウド、ビッグデータ、IoTのほか、RPA、人工知能やロボット、デジタルマーケティング、そして情報セキュリティなど、先端IT技術に携わる人材のニーズがより一層高まり、IT人材市場は活況を呈しておりますが、企業におけるシステム開発の内製化、開発コストを削減する新興国人材の活用、オフショア開発等が想定以上に急激に進んだ場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 人材確保、教育及び育成について
当社グループが継続してサービスの拡販を進めていくには、直販営業の販売体制の強化が重要であると考えております。しかしながら、事業拡大に応じた人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や、有能な人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドの先端技術を取り入れたプロダクト開発運用を安定かつ迅速に進めていくためには、有能なITエンジニアの確保が重要であると考えております。当社では働きやすい環境整備、処遇改善を図る制度見直し等、人材確保に向けた取り組みを継続的に進めておりますが、ITエンジニア人材不足が加速し、待遇条件のミスマッチ等の原因により他社への流出が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
SES(システムエンジニアリングサービス)においては、数十名規模のプロジェクトメンバーで派遣する場合があるため、1社あたりの売上額が大きい取引先が存在します。既存取引先との取引深耕を積極的に行い、取引先のニーズに合ったIT人材を安定的に供給できるよう努めておりますが、人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や有能な人材の流出等により既存取引先の喪失があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 技術革新への対応について
当社グループのプロダクトサービスは、技術革新のスピードが非常に速く、新たなサービスが日々生み出されております。その技術発展や新たなサービスの拡大は今後も予想されます。
当社グループにおいては、エンジニアの採用・育成等を通じて先進技術の習得に注力しておりますが、当社グループの技術対応への遅れや設備投資などのコストの増加により、全サービス利用企業のサービスは継続されますが、翌年以降の当社グループの販売及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、インターネットを介したSaaSの提供を行っております。安定したサービスの提供を行うため、日頃からサーバーの負荷分散や定期的なバックアップ、サーバーの稼動状況の監視を行い、トラブル等の未然防止を図っております。
しかしながら、急激なアクセス過多や自然災害、事故などにより当社グループのサービス提供に障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 投融資について
当社グループは、事業拡大のためにM&Aを実施しており、また今後もアライアンス、M&A等の投融資を行う場合があります。投融資の際は、リスク及び回収可能性を十分に事前評価し決定しておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難であり、事業環境の変化により事業が計画通りに進展しないことによりのれん評価や投資先の株式評価が減損の対象となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 内部管理体制について
当社グループは、企業価値の継続的かつ安定的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、同時に適切な内部管理体制の構築が必要であると認識しております。
当社グループでは、内部監査や内部統制報告制度への対応、さらには法令や社内規程等の遵守の徹底を行っておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが提供するサービスにおいては、顧客企業に関する機密情報から個人情報まで膨大な情報を取り扱っております。これらの情報資産を漏洩リスクから回避し、安全に管理していることが当社グループの使命であるという考えのもと、当社グループは全社的な取り組みとしてプライバシーマークの認定(ブルーテック株式会社 登録番号 第10822852号、株式会社アーキテクトコア 登録番号 第10823421号及び情報マネジメントシステム(ISO/IEC 27001)の認証(BBDイニシアティブグループ 登録番号 JUSE-IR-154)を取得し、情報資産の保護に万全を尽くすとともに、情報システムの有効性、効率性、機密性の確保を図っております。
しかしながら、何らかの理由により個人情報を含む重要情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ管理体制について
当社グループのコンピュータ及びネットワークシステムは、適切なセキュリティ対策を講じて外部からの不正アクセス等を回避するよう努めております。
しかしながら、各サービスへのコンピュータ・ウイルスやハッカー等の外部侵入によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業上の特性及び必要性から、電気通信事業者の届出(届出番号 A-23-12220)をしており、「電気通信事業法」の適用を受けております。また、当社グループが提供するSaaSは、顧客企業より個人情報を含む情報資産を預かっており「個人情報の保護に関する法律」に準拠した適法かつ慎重な取扱いが要求されます。
そのため、当社グループは、法令等を遵守するために必要なコンプライアンス体制の構築及び維持に努めており、SaaSの利用規約の整備等を行っておりますが、法律改正等により当社グループの整備状況に不足が生じ、または当社グループが受ける規制や責任の範囲が拡大した場合、その後の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
SES(システムエンジニアリングサービス)においては、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という)により規制されているため、当社グループは同法に基づき厚生労働大臣の許可を受け、一般労働者派遣事業を行っております(派13-311654)。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行うもの(派遣元事業主)が、派遣元事業主としての欠格事項に該当したり、法令に違反した場合には、事業許可の取り消し、又は業務の停止を命じる旨を定めています。
当社グループでは、社員教育の徹底、内部監査等による関連法規の遵守状況モニター、取引先の啓蒙等により、法令違反等の未然防止に努めていますが、万一当社役職員による重大な法令違反等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 訴訟について
当社グループは、SaaSにおけるアプリケーション、ビジネスモデルに関する特許権、実用新案権、またはサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は残されます。本書提出日現在まで当社グループでは事業に関連した特許その他知的財産権に関わる訴訟を提起されたことはありません。
しかしながら、将来、当社グループの事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者にて成立した場合、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、SaaSにおけるアプリケーション、ビジネスモデルに関する特許権、実用新案権、またはサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は残されます。本書提出日現在まで当社グループでは事業に関連した特許その他知的財産権に関わる訴訟を提起されたことはありません。
しかしながら、将来、当社グループの事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者にて成立した場合、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は2023年4月3日付で設立され、前連結会計年度の連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となったナレッジスイート株式会社(現「ブルーテック株式会社」)の連結財務諸表を引き継いで作成しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」を経営理念に、「DigitalInclusion(デジタルインクルージョン)~テクノロジーを通じて、世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで社会に希望を与える~」をビジョンに掲げ、企業の人手不足をデジタルトランスフォーメーション(DX)で補うべく、営業活動の自動化を中心とした業務の自動化・自律化をSaaS・AIで支援しております。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、自然災害や急激な円安による個人消費の抑制傾向がみられるものの景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界情勢の緊迫化、各国の政権政策の転換による金融資本市場や経済活動への影響等、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、中堅・中小企業においてもテレワークが定着し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への機運の高まりによる営業DX化が広がってまいりました。さらに、高度な対話型AIである「Chat GPT」をはじめとする大規模言語モデルによる技術革新が進展し、AIを活用することによる労働集約的業務・単純作業の自動化への需要も拡大しております。社会的課題である生産労働人口の減少に伴うIT人材不足への懸念とIT人材の採用困難性が増加している状況において、当社グループの提供サービスへの需要は、より一層高まっているものと認識しております。
このような状況下において、当社はDXによる企業活動支援を積極的に推進するため、中堅・中小企業のDXを支援する4つのクロステック「セールステック」、「マーテック」、「ディープテック」、「タレントテック」へ経営資源を絞り、事業ポートフォリオの再構築のため積極的なM&A及び新規事業の立上げを進めてまいりました。また、グループ組織再編の一環として、成長性又は収益性が低い不採算事業・サービスからの撤退等、事業の選択と集中に取り組んでまいりました。
具体的には企業の売上・生産性向上への貢献を可能にする統合型SFA/CRMクラウドサービス「KnowledgeSuite(ナレッジスイート)」を中心とした中堅・中小企業向けSaaSシェア拡大、サブスクリプションビジネス拡大のため、営業体制強化を目的に、手紙を活用した独自アポイントメントノウハウと仕組みでエンタープライズ企業に対するBDR伴走型支援サービスを展開するBizion社、トップ営業パーソンを日本全国でネットワークし、独自の教育体制と仕組み・ノウハウで良質な商談獲得を支援するRocketStarter社、及ネットビジネスサポート社が提供する企業データベース「ぱぱっとAIスコア」と連携しSMB企業の商談獲得を得意とするブルーテック社のインサイドセールス事業を統合し、インサイドセールス領域における事業シナジーの促進に向けた組織再編及びPMIの実施を進めてまいりました。また、次世代「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」をはじめとする当社グループのSaaSプロダクト・サービス強化を目的に、人手不足を補うための営業・業務の自動化・自律化に対する取り組みとして、生成AIを活用した機能実装に向けた開発を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は4,127,625千円(15.6%増)、営業利益は285,497千円(前期比1,164.5%増)、税引前利益は266,583千円(前期比2,483.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は164,727千円(前期比449.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
当セグメントは、BtoB向け営業支援SaaSビジネスアプリケーション「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」を中心とした自社開発SaaSプロダクトの提供及び顧客企業をカスタマーサクセスへ導く導入支援コンサルティングサービスである「セールステック事業」、BtoB向けマーケティング支援サービスを提供する「マーテック事業」、及び俳優等のタレント肖像をサブスクリプションで提供する広告体験サービスの「タレントテック事業」で構成されています。
当連結会計年度においては、リード獲得チャネルの選択と集中により効率の高い展示会への積極的な参加等によるマーケティング・プロモーション活動を引き続き注力しつつ、販売パートナーの新規開拓活動による拡販支援、既存顧客への深耕活動によるクロスセル促進など販売チャネル強化を進めてまいりました。また、AI分析により受注確度の高い見込み顧客リストを提供する企業データベース「ぱぱっとAIスコア」やインサイドセールス支援サービス「Piece」等、高い相乗効果を有するグループ会社が提供するサービスの積極的な同時提案・クロスセルを推進したことで、契約企業件数(※1)は3,416件へ微減しましたが、ARPA(※2)は471,350円と大幅に増加し、グループサブスク ARR(※3)は1,610百万円となりました。
これらの結果、DX事業の売上収益は2,130,866千円(前期比21.1%増)、セグメント利益は526,420千円(前期比87.5%増)となりました。
グループサブスクARPA推移
※1 当連結会計年度末時点のグループサブスク(OEM除く)契約件数。
※2 ARPA:Average Revenue Per Accountの略。1契約企業あたりの
平均年次経常収益。
※3 グループサブスク ARR:OEMを除く当社グループが提供する全て
のSaaS・サブスクリプションサービスにおける各四半期末時点の
MRRの12倍で算出。
ARRはAnnual Recurring Revenueの略。年次経常収益。
MRRはMonthly Recurring Revenueの略。月間経常収益。
② BPOセグメント
当セグメントは、顧客企業へIT人材によるシステム開発サービス(SES/システムエンジニアリングサービス)を提供する「ディープテック事業」を中心に展開しております。
当連結会計年度においては、引き続き高いIT人材需要を背景に積極的な営業活動に加え、ビジネスパートナー(BP)との連携を強化し、IT人材の確保、教育を強化したことで顧客企業のSES(システムエンジニアリングサービス)派遣先プロジェクトへのアサインが増加し、IT人材稼働率も増加しました。また、引き続き利益率の向上を狙う目的で収益性の低い開発プロジェクト案件から限られたIT人材リソースの撤退を進め、IT人材単価が向上し、SES売上収益は前期比16.0%増となりました。
これらの結果、売上収益は1,996,759千円(前期比10.2%増)、セグメント利益は249,412千円(前期比3.7%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は1,404,248千円となり、前連結会計年度末に比べ205,830千円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物の増加74,777千円、営業債権及びその他の債権の増加98,313千円、未収法人所得税の増加16,724千円、その他の流動資産の増加15,501千円によるものであります。
当連結会計年度末の非流動資産は2,728,991千円となり、前連結会計年度末に比べ180,414千円増加しました。これは主に、使用権資産の減少118,041千円、のれんの増加215,832千円、無形資産の増加144,765千円、繰延税金資産の減少61,990千円によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末の資産合計は4,133,240千円となり、前連結会計年度末に比べ386,244千円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は1,917,205千円となり、前連結会計年度末に比べ313,131千円増加しました。これは主に、営業債務及びその他の債務の増加137,922千円、有利子負債の増加179,730千円によるものであります。
当連結会計年度末の非流動負債は935,674千円となり、前連結会計年度末に比べ115,938千円減少しました。これは主に、リース負債の減少121,090千円によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末の負債合計は2,852,880千円となり、前連結会計年度末に比べ197,193千円増加しました。
(資本)
当連結会計年度末の資本は1,280,360千円となり、前連結会計年度末に比べ189,051千円増加しました。これは主に、当期利益の計上164,727千円によるものであります。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ1.9ポイント増加し、31.0%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ74,777千円増加し、743,079千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は555,023千円(前連結会計年度は530,339千円の獲得)となりました。これは主に、継続事業からの税引前当期利益266,583千円、減価償却費及び償却費311,721千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は530,418千円(前連結会計年度は370,725千円の使用)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出308,726千円、子会社の取得による支出209,078千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は50,172千円(前連結会計年度は214,270千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額69,960千円、長期借入れによる収入490,000千円、長期借入金の返済及び社債の償還による支出374,972千円、リース負債の返済による支出136,989千円によるものであります。
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社は受託販売を行っておりますが、受注から販売までの期間が短いため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、人件費や外注費等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、M&A資金、ソフトウエア開発資金、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。
当社グループは、事業活動に必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄っており、今後も営業活動によるキャッシュ・フローから継続的に調達することが可能であると考えております。
当連結会計年度末現在、借入金及び社債の残高は1,870,422千円であります。
該当事項はありません。
当社グループは、テクノロジーによる自動化で、人間の「脳力をフル活用できる世界」を目指し、人工知能、ビッグデータ、情報セキュリティ、IoT等の高度な先端IT技術の研究開発に注力しており、今後の事業の中心となる製品サービスの研究開発を進めております。
現在の研究開発は当社の先進技術開発部においてプロダクトを中心に推進されており、中長期的な収益の源泉となる先進技術を活用した「次世代Knowledge Suite(ナレッジスイート)」基盤の開発を推進してまいりました。当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
DX事業の主力サービスである「ナレッジスイート」は、潜在顧客の発掘から受注まで、一連の業務プロセスを可視化、高度化、最適化、自動化するツールとなっており、日本独特の法人営業の商習慣(顧客開拓営業、顧客深耕営業、ルート営業)に最適化されたサービスであります。顧客企業のニーズをもとに適時、機能強化を図っておりますが、そのニーズに応えるため、AI(人工知能)、IoTテクノロジーをはじめとした最新の技術を調査研究しております。
DX事業に係る研究開発費は
BPO事業では、システム開発を主軸として顧客企業業務支援を行うシステムエンジニアリングサービスを提供しておりますが、当連結会計年度における研究開発は行っておりません。