文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、企業理念である「創造・誠実・躍進」のもと、IT営業アウトソーシング事業、ヘルスケアビジネス事業の拡大及びヘルスケアDXによる新たな製品・サービスを創出し、個人の健康状態に合わせた予防や治療を行うことで健康寿命が延伸することができる社会の実現に取組んでいく方針です。
当社のIT営業アウトソーシング事業の位置するIT業界(ソフトウエア業、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業)における市場規模は、2011年の19兆円から2022年は26.9兆円へと増加の一途を辿っております(出典:総務省『「令和6年版情報通信白書」日本の情報通信産業の部門別実質国内生産額の推移』より)。又、ヘルスケアビジネス事業の位置するヘルスケア業界の市場規模は、2030年に40.4兆円になると見込まれております(参考:株式会社日本総合研究所 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業(健康経営普及推進 ・環境整備等事業)調査報告書より)。
当社は、このような環境下でIT営業アウトソーシング事業を通じて、大手IT企業とのネットワークを構築し、DX推進・データ分析ができる人材を育成しております。又、ヘルスケアビジネス事業を通じて、シニアプラットフォームを構築し、ヘルスケア・リビングラボの取組みを拡大することで、介護施設での実証支援等を通じ、介護分野を対象とした製品の開発支援等を行っております。
そして、当社の顧客であるヘルスケア分野での事業拡大及び参入を検討する企業への営業活動の促進、レクリエーション介護士の育成に向けた企業連携による、シニアプラットフォームの拡充、介護だけでなく医療業界にも、DXを推進することで、ヘルスケアDXによる新たな製品・サービスの創出を行い、成長戦略の実現を図ってまいります。
当社では、主な経営指標として売上高成長率及び経常利益を重要な経営指標と考えております。
売上高成長率は、企業の成長性を示す最も基本的な指標であり、経常利益は、経常的な企業活動の結果で得られた利益を示していることから重視しており、両指標ともに毎年目標を設定しております。
又、事業別にはIT営業アウトソーシング事業については営業派遣配属(注)人数を、ヘルスケアビジネス事業については「レクリエーション介護士」2級認定者数を重要な経営指標としております。
営業派遣配属人数と「レクリエーション介護士」2級認定者数を事業別の重要な経営指標としている理由は、営業派遣配属人数は、IT営業アウトソーシング事業の成長性を客観的に判断することができるためであり、「レクリエーション介護士」2級認定者数は当社が目指しているヘルスケアDXの構築の基盤となるシニアプラットフォームの中心となると考えているためです。
(注)配属とは、顧客との人材派遣契約及び業務委託契約に基づき業務に従事することをいいます。
企業を取り巻く経営環境は、急速な高齢化、経済格差、人口の減少、IT活用による情報格差等、かつてない社会構造の急速な変化の中にあり、顧客による選別や評価はなお一層厳しく、競争は激化するとともに企業の存在価値を常に問われる事業環境にあります。
当社が、このような加速度的に多様化する時代に、持続的に成長し社会貢献していくためには、強い組織の構築と事業規模の拡大により強固な経営基盤の確立を目指す必要があります。
これらを達成するために、現状下記の事項を対処すべき課題として取組んでまいります。
① IT営業アウトソーシングの認知度向上と基盤強化
当社のIT営業アウトソーシング事業は、未だ成長過程にあり、大手IT企業の顧客を更に増やし、事業を拡大するためには、引き続き認知度の向上と事業基盤を強化することが必要となります。そのために、以下の課題に取組んでまいります。
a. 人材育成強化・組織力の向上
これまでIT営業アウトソーシングは、営業人員を派遣することで、大手IT企業の営業支援を実施し、当事業年度末には、過去最高となる151名となりました。
より多くの企業を支援するためには、企業の多様な要望に応えられる人材の確保と育成が重要となります。そのためには、より人材の確保及び育成の強化、教育部門の組織力向上が課題となります。今後も未経験者や若年層など、広く人材の募集を行い、教育部門を強化し、人材の育成を行うことで、IT営業人材を増加し、組織の拡大、組織力の向上を図ってまいります。
b. リテンション施策の実行
当社では、営業支援など事業継続のために人材の確保に取組み、当事業年度末には、非正規社員を含めた全社で従業員数が247名となりました。
現在の労働市場では、慢性的な人材不足や人材の流動化の高まりから、当社もより多くの企業支援をするためには、従業員のエンゲージメントを高め、生産性の向上や職場を活性化するためのリテンション施策が課題となります。今後は、採用活動や教育、キャリア形成等を総合的に包括した人事戦略に基づいた企画を実行し、従業員のエンゲージメント向上をすることで離職率低下を図ってまいります。
また、経営陣と幹部層とのコミュニケーション機会を増やすことによるマネジメント力と組織力の強化からも離職率低下を図ってまいります。
c. デジタルマーケティングによる啓蒙活動
当社では、これまで取引のあったIT企業とのネットワークを生かして、取引先を増やしてまいりました。当事業年度からは、更に顧客の獲得を目指して、インターネットを利用したデジタルマーケティングを開始いたしました。
新規顧客を増やしていくためには、今後、マーケットニーズを把握し、顧客の要望に応えるサービスの提供をしていくことが重要であると考えております。そのため、Webサイトの定期更新やプレスリリースなどで知名度を上げ、定期的な情報発信により顧客との関係を強化するための社内体制の改善を行ってまいりました。今後も、デジタルマーケティングを推進することで顧客との関係を強化し、顧客のニーズに合わせたサービスの提供を実施することで新規顧客の拡大を図ってまいります。
d. IT業界における顧客基盤の確立
当社では、IT営業アウトソーシング事業において、大手IT企業への派遣及び業務委託、中小企業へのIT支援を行ってまいりました。今後、IT営業アウトソーシングの認知度向上を行い、顧客基盤の確立を行う必要があると考えております。そのため、新規顧客を増やし、派遣及び業務委託の人員を増やすとともに、これまでのネットワーク販売実績の集大成となる新しいサービスである「BM X(注)」の販売を拡大し、ストック型ビジネスの収益をあげることで、IT業界におけるリーディングカンパニーとして、顧客基盤の確立を行っていきます。
(注) BM X(ビーエムクロス)とは、当社が創業から培ってきたネットワークソリューション導入実績を基に、企業にとって運用負荷を軽減し、必要な機能を選択、組み合わせることで、最適なネットワークソリューションを提供し、DX推進をサポートするサービスです。
② 自治体連携を通じたヘルスケア分野参入支援の拡大
当社のヘルスケアビジネス事業は、これまで自治体との連携による業務請負が収益の中心となっておりましたが、更に事業を拡大するためには、新規でヘルスケア分野に参入する企業の支援による顧客の増加が必要となります。これまでも企業のマーケティング支援を行ってまいりましたが、地域ヘルスケアDXを推進することや自治体との連携を深めることで、より一層のヘルスケア分野参入支援を実施してまいります。
③ 新たなビジネスモデルの構築と推進
新たなビジネスモデルの構築と推進を目的に、企業の経営戦略策定を支援するクラウドサービス「bizcre(注)」を2023年4月12日から提供開始いたしました。今後は企業の経営戦略を学び、創り、支えるサービスとして進めてまいります。又、新規事業のために、技術力やサービスを有するベンチャー企業との資本業務提携やM&Aを進めてまいります。
(注) bizcre(ビズクリ)とは、当社が開発した、経営戦略の策定・管理をデジタル化し、経営者のガイドランナーとして経営戦略の策定を支援するWebアプリ(ビズクリクラウド)、経営戦略に関する情報配信等のメディアサイト(ビズクリナレッジ)、専門家によるアドバイス(ビズクリサポート)、中小企業診断士がスキルアップするためのeラーニング(ビズクリメソッド実践講座)を提供する複合サービスです。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、サステナビリティに関する重要な事項について審議等を行う体制を早期に確立すべく検討を行っております。現状、サステナビリティに関する課題などにつきましては、IR・コンプライアンス推進本部が関係部門から取りまとめ、経営会議や経営陣に報告を行っており、その中の重要な事項については、取締役会への報告・審議を実施しております。
当社における人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針は、次のとおりであります。
当社は、「創造・誠実・躍進」という企業理念のもと、「ヒトが活きるBusiness Creative」をコーポレートメッセージとして掲げ、既存事業の成長と新たなビジネスを創造し続けることを目指しております。これを成し遂げるために、特に人材を重要な経営資源の一つとして位置付けており、従業員の「働きがい」「働きやすさ」「成長の喜び」の向上を目指し、人事制度や人材育成の仕組みの構築を行っております。
具体的には、①スキルアップ・キャリア形成支援、マネジメント人材の育成、教育部門の強化等といった従業員がキャリアを積み重ね、働きがいを得ることができる施策、②福利厚生の整備・拡充、対面コミュニケーションの活性・強化等の働きやすさを得ることができる施策、③成長度合いを測り、成長の喜びを感じることができる人事評価制度・給与体系の改定等の施策を推進しております。
又、当社は、女性従業員の比率が7割を超え中途採用のみで人材を確保していることから、女性の活躍が当社の持続的な成長を支える上で重要であると認識しております。管理職への登用やライフステージに合わせた勤務体制の整備を進めるとともに、新たな採用手法の確立を進め、多様性確保に努めてまいります。
当社における事業運営上のリスク及びコンプライアンスに関する重要事項については、リスク・コンプラ委員会にて討議検討し、その結果を踏まえて関係部門に対する指導や重要度に応じて取締役会への報告及び分析を行うことでリスクマネジメントに努めております。
当社が認識する事業上のリスクの内容につきましては、「
当社は、年齢、性別、国籍等区別することなく、意欲と能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会が得られるような人事制度を整備し、適切な人材を管理職として登用していく方針であります。現在、女性、障がい者、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示につきましては、今後の課題として検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の主要な事業であるIT営業アウトソーシング事業は、主として大手IT企業向けにサービスを提供しております。当社は顧客企業の増加やIT営業に特化した教育プログラムによる従業員育成に努めておりますが、IT業界全体若しくは顧客企業の経営環境の変化に伴う投資ニーズが急速かつ大きく変化することにより、顧客企業の需要が減少し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社のヘルスケアビジネス事業は、主として介護施設等を営む企業向けにサービスを提供しております。当社は介護業界・高齢者を支える複数のサービスを提供することに努めておりますが、社会保障費に関する法改正等による介護業界全体若しくは顧客企業の経営環境の変化に伴う投資ニーズが急速かつ大きく変化することにより、顧客企業の需要が減少し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社のその他事業は、主として中小事業者及び起業家の育成、中小・中堅企業の経営戦略策定を支援するサービスを提供しております。当社は顧客企業の増加に努めておりますが、顧客企業の経営環境の変化に伴う投資ニーズが急速かつ大きく変化することにより、顧客企業の需要が減少し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、IT営業アウトソーシング事業において、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社では情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに2007年に一般財団法人日本情報経済推進協会が運営しているプライバシーマーク制度によるプライバシーマーク付与事業者の認定を受けております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、当社は賠償責任保険に加入しておりますが、事故の内容によっては顧客企業からの損害賠償責任請求や信用失墜の事態を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が属する人材派遣サービス産業においては、一般的に激しい企業間競争が発生しやすい環境にあります。当社はIT営業派遣という先行優位性を生かして事業を推進していく所存ではありますが、将来において他企業がIT営業派遣の市場に参入することにより、当社のサービスが顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が行うIT営業アウトソーシング事業のうち、ソリューション事業が属するITサービス産業においては、新しいサービスの開発等、常に企業間競争が発生しやすい環境にあります。当社は、仕入先、顧客企業との人的交流による関係強化を図ることで、価格競争を回避し、事業基盤の強化及び維持に努めておりますが、今後企業間の競争が激化し、価格競争に進展する場合には、当社の想定している収益を上げることができず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、与信管理規程に従い、取引開始時に信用状況の調査及び与信限度額を設定し、取引先ごとに期日及び与信残高を管理するとともに、年1回与信限度額を見直し、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握及び軽減を図っております。しかしながら、顧客の業績悪化により回収遅延や回収困難となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要な事業であるIT営業アウトソーシング事業における営業派遣は、IT業界未経験、若年層を採用し、当社で教育を実施した上で顧客企業に派遣しております。しかしながら、労働市場の急速かつ大きな変化による有効求人倍率の上昇により、新規採用が困難になる若しくは退職者が増加することで当社のサービスを顧客に提供することができなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社が保有する商標権等の知的財産権の保護に努めております。又、当社が運営している「介護レク広場」のコンテンツ制作においても一般社団法人日本音楽著作権協会に著作物の利用許諾を得る等、他者の知的財産権を侵害しないように努めており、過去若しくは現時点において、当社を相手方とする、第三者からの知的財産権の侵害等による訴訟が係属した事実はありません。しかしながら、今後当社の事業分野において第三者が得た知的財産権等の内容によっては、当社に対する損害賠償等の訴訟が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が行う人材派遣サービスは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という)による規制を受けております。当該規制に対して、当社は、IR・コンプライアンス推進本部を中心に、顧問弁護士等とも連携し、最新の情報を収集することで関係法令を遵守して事業を運営しておりますが、労働者派遣法に定める派遣事業主としての欠格事由に該当、若しくは法令に違反する事項が発生した場合には、事業の停止や派遣事業者の許可の取消しをされる可能性があり、その場合には事業を営むことが出来なくなる可能性がありますが、現時点において認識している限り、これらの法令に定める欠格事由に該当する事実はありません。しかしながら、将来、何らかの理由により許認可等の取消しが発生した場合には、事業運営に大きな支障をきたすとともに、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
又、当社事業に関連性がある規則・法令として、「不当景品類及び不当表示防止法」、「不正競争防止法」、「消費者契約法」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」等が挙げられます。当社は、労働者派遣法同様、当該規則・法令に関しても、顧問弁護士等とも連携し、最新の情報を収集するとともに、役職員に対して研修を行う等、適切な対応をとれる体制を整備しております。
なお、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は継続的に見直しが行われており、当社の事業に対して著しく不利となる改正が行われた場合は、同じく当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の状況)
当社のヘルスケアビジネス事業における介護レクリエーション事業は、高齢者が利用するサービスです。当社は、同事業の実施において、レクリエーションを実施する前に利用者の健康状態に問題がないかを介護施設に確認する等、安全に配慮しております。しかしながら、利用者の予測できない行動の結果、利用者の安全を確保しきれないおそれがあり、損害賠償責任を負う可能性を排除しきれません。
なお、当社が提供するサービスのうち、重要なものについては賠償責任保険に加入しておりますが、事故の内容等によっては想定外の損害を当社が被る可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社代表取締役社長である伊藤一彦は、当社の創業者及び経営の最高責任者であり、当社の経営方針や事業戦略の決定を始め、各部門の事業推進、外部との折衝等において重要な役割を果たしております。当社は過度に同氏に依存しないよう、経営幹部役職員数の拡充、育成及び権限委譲による体制の構築等により、経営組織の強化に取組んでおります。しかしながら、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、現時点において小規模な組織であるため、当社の事業活動にあっては人材への依存度が大きく、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が必要であると考えております。しかしながら、必要な人材の獲得が適時にできない場合、人材が大量に社外流出してしまった場合、あるいは人材育成が計画どおりに進捗しない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要不可欠と考えております。しかしながら、事業拡大により、内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、労務管理を経営の重要課題として認識しており、そのため当社は労働基準法等関係法令を遵守し、社内規程の整備、運用を徹底し労務管理を行っております。しかしながら、労務管理不備により関連法令の違反に伴う行政処分等、従業員との紛争等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、財務体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を優先させております。又、株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、将来的には毎期の経営成績及び繰越利益剰余金を含む財政状態を勘案しつつ、将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら配当による株主への利益還元を安定的かつ継続的に実施する方針であります。しかしながら、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であり、業績次第では今後安定的な配当を行うことができないリスクが存在します。
当社は、役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためのストック・オプションを発行する可能性があり、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
なお、当事業年度末現在新株予約権による潜在株式数は46,320株であり、発行済株式数1,119,740株の約4.1%に相当しております。
当事業年度末現在において、当社が当事者として関与している訴訟手続きはありません。しかしながら、今後の当社の事業展開の中で、第三者が何らかの権利を侵害され、又は損失を被った場合、当社に対して訴訟その他の請求を提起される可能性があります。損害賠償の金額によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じております。しかしながら、台風、地震、津波等の自然災害が発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ソーシャルメディア等の急激な普及に伴い、当社に対するインターネット上の書き込み、悪意ある投稿等による風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性に関わらず、当社の社会的信用が毀損し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現状当社は事務所設備、業務システム等の固定資産を所有しておりますが、多くは所有しておりません。しかしながら、当社の資産の時価が著しく下落した場合や、将来新たに開始するものも含めて、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により資産について減損損失が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、複数の未公開株式等を保有しており、投資先の経営状況の悪化・破綻等により、保有する投資有価証券の評価額が減少し、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績の状況は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、経済活動が正常化に向かい、インバウンド需要の増加、個人消費の拡大などにより、景気は緩やかに回復が進みました。一方、世界的な金融引締めの動きにより不透明感が残り、急激な円安なども影響し、資源・エネルギー価格や物価のさらなる上昇、国際情勢不安など海外景気の下振れが、わが国の景気の下押しリスクが懸念される状況が継続しました。
当社事業を取り巻く環境につきましては、IT業界では、情報セキュリティ強化やペーパーレス化といったオンラインを前提とした業務改善におけるITの活用やDXの進展により、主力事業のIT営業アウトソーシング事業における大手IT企業の人材派遣に対する需要は引き続き旺盛であり、市場は概ね堅調に推移しております。又、介護業界においては慢性的な人手不足により現場の負担感が増す中で、介護現場でのDXへの潜在的な需要は依然として高い状況が続いております。
このような環境のもと、当社は引き続きIT営業アウトソーシング事業とヘルスケアビジネス事業及びその他事業に注力してまいりました。
IT営業アウトソーシング事業につきましては、営業アウトソーシングの派遣人員の拡大に向け、引き続き若年層を中心とした採用を積極的に行い、当社が保有する「BCC-LaPT(Lecture and practical training)プログラム(注1)」を活用し、未経験者をIT営業人材に育てるリスキリングに注力し、大口顧客、既存顧客への営業活動に加え、新規顧客の獲得にも注力することで、派遣及び業務委託の人員は過去最大の151名となりました。
中小企業向け新規開拓営業の代理店を中心としたソリューション事業では、これまでのネットワーク販売実績の集大成としてBM Xを本格的にサービス展開しました。
ヘルスケアビジネス事業につきましては、これまで培ってきた介護従事者・自治体及び大手IT企業とのネットワークを生かし、自治体からの業務請負を継続して契約し、ヘルスケア分野への新規参入・事業拡大を目指す企業への市場調査やプロモーション支援等を提供するヘルスケア支援に加え、介護施設への介護ロボット導入支援に注力しました。その一環として、当社が受託運営する「ATCエイジレスセンター」内に介護現場の生産性向上を目的としたワンストップ相談窓口として開設された「大阪府介護生産性向上支援センター(注2)」の運営に協力しております。
介護レクリエーション事業につきましては、オンラインでのレクリエーション代行サービスの提供など、介護施設に対するレクリエーションの支援を行いました。
さらに、令和4年度補正「地域新成長産業創出促進事業費補助金」(地域DX促進環境整備事業(事業等特化型DX促進事業)の事業が終了し、補助金が交付されました。本事業は、当社を代表機関としてコンソーシアムを設置し、ヘルスケアDX戦略策定を目的とし、地域企業の個別伴走支援、勉強会の開催等を行いました。この実績を活かし、関係企業・団体と連携して更なるヘルスケアDX推進に取り組んでおります。なお、当該補助金は営業外収益に計上しております。
その他事業につきましては、企業の経営戦略を学び、創り、支援するサービスとして2023年4月から提供を開始しましたクラウドサービス「bizcre」をはじめ、企業の経営支援を行いました。
以上の結果、当事業年度の売上高は、1,385,337千円(前期比8.2%増)を計上することができました。
利益面につきましては、営業損失17,832千円(前事業年度は67,319千円の営業利益)、経常利益5,723千円(前期比91.3%減)、当期純損失は、5,823千円(前事業年度は45,222千円の当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと次のとおりであります。
なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前事業年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
IT営業アウトソーシング事業の売上高は1,226,211千円(前期比9.5%増)、セグメント利益は210,296千円(前期比20.1%減)となりました。ヘルスケアビジネス事業の売上高は156,117千円(前期比0.4%増)、セグメント損失は18,075千円(前事業年度は457千円のセグメント利益)となりました。その他の売上高は3,008千円(前期比27.9%減)、セグメント損失は21,061千円(前事業年度は12,238千円のセグメント損失)となりました。
(注) 1.BCC-LaPT(Lecture and practical training)プログラムとは、基礎教育(Lecture)だけではなく、中小企業のIT化推進を目的に新規開拓営業を行っているソリューション事業にて実際の営業現場で経験(practical training)を積むことで、「営業マインド」「営業スキル」「IT知識」を習得する当社独自の教育プログラムです。
2.大阪府介護生産性向上支援センターとは、介護現場の生産性向上や人材確保の取組みの推進を目的として、大阪府介護生産性向上総合相談センター事業共同企業体(構成員は株式会社NTTデータ経営研究所とアジア太平洋トレードセンター株式会社)が受託した大阪府の介護生産性向上総合相談センター事業です。
財政状態につきましては次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は909,418千円となり、前事業年度末に比べ5,584千円減少しました。
流動資産は789,835千円となり、前事業年度末に比べ16,852千円減少しました。主な要因は現金及び預金の減少66,016千円、前払費用の増加21,916千円、売掛金の増加18,303千円及び未収還付法人税等の増加6,185千円です。
固定資産は119,582千円となり、前事業年度末に比べ11,268千円増加しました。主な要因は有形固定資産の建物の減少1,219千円、工具、器具及び備品の増加4,367千円、投資その他の資産の投資有価証券の増加4,809千円、差入保証金の増加4,222千円及び繰延税金資産の減少802千円であります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は267,575千円となり、前事業年度末に比べ110千円減少しました。
流動負債は247,561千円となり、前事業年度末に比べ9,885千円増加しました。主な要因は買掛金の増加18,982千円、短期借入金の増加10,000千円、契約負債の増加8,531千円、未払払法人税等の減少17,350千円、預り金の減少7,545千円及び1年以内返済予定の長期借入金の減少2,419千円であります。
固定負債は20,014千円となり、前事業年度末に比べ9,996千円減少しました。主な要因は長期借入金の減少9,996千円であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は641,843千円となり、前事業年度末に比べ5,474千円減少しました。主な要因は利益剰余金の減少5,823千円及び自己株式の減少698千円であります。利益剰余金の減少の要因は当期純損失の計上であります。自己株式の減少の要因は譲渡制限付株式報酬制度に係る自己株式の付与であります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、577,408千円となり、前事業年度末に比べ66,016千円減少しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により減少した資金は36,417千円(前事業年度は88,174千円の増加)となりました。これは主に、仕入債務の増加額18,982千円、投資有価証券評価損の計上10,030千円、減価償却費の計上5,865千円の資金増加に対し、法人税等の支払額27,899千円、前払費用の増加額21,896千円、売上債権の増加額18,316千円の資金の減少があったことによるものであります。
投資活動により減少した資金は27,184千円(前事業年度は44,716千円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入16,000千円の資金の増加に対し、投資有価証券の取得による支出26,400千円、有形固定資産の取得による支出8,003千円、敷金及び保証金の差入による支出7,129千円の資金の減少があったことによるものであります。
財務活動により減少した資金は2,415千円(前事業年度は3,365千円の増加)となりました。これは主に、短期借入れによる収入20,000千円の資金の増加に対し、長期借入金の返済による支出12,415千円、短期借入金の返済による支出10,000千円の資金の減少があったことによるものであります。
a. 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
上記「a. 生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
a. 財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は1,385,337千円(前期比8.2%増)となりました。これは主にIT営業アウトソーシング事業の営業アウトソーシング事業の派遣及び業務委託の配属人数の年間の延べ人員1,805名(前期の延べ人員1,672名)及びソリューション事業の商品販売によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は852,517千円(前期比13.0%増)となりました。売上原価を構成するものとして主にIT営業アウトソーシング事業、ヘルスケアビジネス事業の人件費がありますが、IT営業アウトソーシング事業の社員給与、法定福利費及び賞与引当金繰入額が増加したものの、売上総利益は532,820千円(前期比1.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は550,652千円(前期比20.1%増)となりました。そのうち、人件費は、IT営業アウトソーシング事業の派遣人員の拡大に向け、引き続き若年層を中心とした採用活動と教育(リスキリング)に注力し357,535千円(前期比26.3%増)となりました。又、人件費を除く販売費及び一般管理費は中小企業向けの経営支援を目的としたソフトウエアの開発及びヘルスケアビジネス事業の地域DX促進環境整備事業等により193,116千円(前期比10.1%増)となりました。この結果、営業損失は17,832千円(前事業年度は67,319千円の営業利益)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は24,577千円(前期比5,196.9%増)、営業外費用は1,021千円(前期比51.8%減)となりました。営業外収益は主に助成金収入24,524千円、営業外費用は主に投資事業組合運用損560千円によるものであります。この結果、経常利益は5,723千円(前期比91.3%減)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度における特別利益は6,000千円、特別損失は11,816千円(前期比137.3%増)となりました。特別利益は投資有価証券売却益6,000千円、特別損失は主に投資有価証券評価損10,030千円によるものであります。又、法人税、住民税及び事業税を4,928千円、税効果会計による法人税等調整額を802千円計上した結果、当期純損失は5,823千円(前事業年度は45,222千円の当期純利益)となりました。
当社のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主たるものは、人件費、借入金の返済等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金、及び設備投資は、自己資金及び金融機関からの長期借入により調達しております。
なお、当事業年度における借入金残高は40,010千円となっております。又、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は577,408千円となっております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表を作成するに当たり、重要となる当社の会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
又、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、繰延税金資産の回収可能性等の項目については見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。