第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、『企画提案力・技術開発力・施工力を総合的に強化し、顧客ニーズに合う高品質の商品を提供するとともに、専門業者としての見識を再構築し企業イメージの向上を図る』ことを経営の基本方針とし、新築市場及び、成長著しいリニューアル市場において、お客さまの信頼と期待に応え、社会の発展に貢献してまいります。また、経営効率の徹底及び内部統制の整備により経営基盤を強化するとともに、財務体質の強化を図ることで、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

(2)経営環境

 今後の日本経済は、国内では自公政権の衆議院過半数割れにより政策運営が不安定化し、国外では米国大統領選挙での共和党トランプ氏の当選による米国政策の大幅な変化により、各方面での地政学リスクが高まり、貿易、為替、金利等経済情勢が流動的になり、先行き不透明な状況となることが懸念されています。

 デフレから脱却しインフレに移行しつつある中、継続した賃上げ等による所得環境の改善により個人消費は回復基調が続くことが期待されています。また、労働人口の減少が続き労働需給のひっ迫感が強まるものの、高齢者の継続雇用や女性活躍推進のための政策により労働力が確保されれば、IT化、DX推進等による生産性向上と相まって景気は緩やかながらも回復を続けるものと予想されます。

 建築業界では、東京23区での大規模建築計画は当面留まることなく継続されていますが、労務費、資材価格の上昇や今後の金利上昇により、将来的な建設投資への影響が懸念されています。しかしながら、建設業に従事する労働者数の減少をくい止めるためには労働環境の改善を進めるとともに、これに伴い増加する人件費や原材料費の工事価格への転嫁が必須となります。また、海外人材の活用も継続的に実施する必要があり、海外人材の処遇改善も求められています。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、安定した経営を持続していくため、自己資本比率、売上高営業利益率、1株当たり当期純利益などを経営指標の目標とし、指標の向上を目指しております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

 2021年10月から2030年9月までの9ヵ年に及ぶ長期経営計画『~100年選ばれ続ける会社を目指す!~』のもと、急激に変容していく経営環境の中でも永続的な成長ができる総合専門工事会社となることを目指しております。テーマとして、1.「ゼネコン上位10社でのシェア№1」、2.「ROE15%」、3.「成長性分野開拓」を最終年度の達成目標として掲げ、SDGsへの取り組みも強化し長期的視野で着実な態勢整備と業務推進により業容の拡大、業績の向上を図っております。

 

(5)会社の対処すべき課題

 当社グループは以下を主な対処すべき課題と認識しており、これらの経営課題に対して、以下の経営施策を着実に実行し、業容拡大、収益確保を図ってまいります。

1.「ゼネコン上位10社でのシェア№1」

⑴ 営業力強化:リスク管理を前提とした合理的な受注、直接受注顧客の増強

⑵ 受注領域拡大:ワンストップ提案によるセット受注推進、新工法にも対応した施工・資材の提供

2.「ROE15%」

⑴ 生産性向上:採算性に留意した最適配置、技能職部門強化、社員エンゲージメントの取組み

⑵ 現場力の強化:着工前事前検討会の徹底、現場パトロール強化による社員教育と育成

3.「成長性分野開拓」

⑴ マサルグループ内連携強化:各社機能の統合や合理化への取組み

⑵ 新たな事業領域への進出:投資を伴うシナジー事業領域開発、海外事業の模索

 

 更に、長期経営計画方針に基づき、採算性に留意しつつ、新築市場、改修市場、子会社セグメント市場において積極的な受注活動に注力してまいります。一方、受注案件の工期長期化やコスト増加が業績に大きく影響する可能性があることからリスク管理の徹底にも留意してまいります。また、子会社経営管理にも注力する他、引き続き、成長領域と捉えている直接受注市場の開拓や成長分野への投資にも取り組んでまいります。

 

(6)長期経営計画について

 長期経営計画(2021年10月~2030年9月)を策定し、スタートしております。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、中長期の企業価値の向上とサステナビリティ課題の解決の両立が重要であると考え、『~100年選ばれ続ける会社を目指す!~』をキーワードに2022年9月期から2030年9月期までを対象とした長期経営計画を策定のうえ、連結売上高200億円を目指しております。このなかで当社は『SDGsへの取組み~Sustainable Development Goals~』を方針として定め、取り組んでおります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 また、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。

 

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティに関する方針や施策の提案、進捗のモニタリングを管理本部で行い、経営会議で決定し、取締役会に報告する管理体制を構築しております。

 

(2)戦略

 当社を取り巻く経営環境の変化は著しく、労働集約型ビジネスである建設業において、長期経営計画に基づくサステナビリティに関する重要課題は「労働力の確保」と「イノベーション」であると認識しております。労働力の確保においては、ダイバーシティマネジメント、健康経営、職場環境整備に取り組んでおります。具体的には、性別や国籍を問わない公正な採用、ウェルネス推進室設置による社員の健康維持、女性活躍推進に繋がる男性育休取得や勤務体系設定、DX推進による効率的な業務遂行等に注力してまいりました。これからも全社横断的に人材育成を進め、別途組織体を組成し、この中で、新たな方針・施策を審議・決定することを検討してまいります。

 当社は、『SDGsへの取組み~Sustainable Development Goals~』のなかで、環境問題、社会課題、企業統治の分野ごとに、重要課題を設定し取り組んでおります。

 特に建設業という業態から、「すべての人が健康で安全に働ける作業環境を実現すること」を最重要課題としており、人体に有害な有機溶剤であるトルエン使用を削減するため、自然環境や作業環境の改善に直結する、自然界や人体に有害な有機溶剤に替わる無溶剤「4Sクリン」を開発し、その普及に取り組んでおります。

 また、今後は、全社横断的に人材育成を進め、別途組織体を組成し、この中で、新たな方針・施策を審議・決定することを検討してまいります。

 人材育成の戦略としましては、以下のとおり方針を定めております。

① 若年層においては当社における専門知識を座学で習得、並行してOJT(職場内訓練)を実施し、早期育成を図る。

② 中長期においては社内共通知識(社会常識・経理財務・マーケティング・企業法務・IT・経営戦略等)をEラーニングで習得、自主的に学ばせ、一人一人の能力を早期理解し、マネジメント力の高い人材を見出す。

③ 上記の方法を用い、一人一人の適性に合わせた人材育成プログラムを実施する。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティ課題について、戦略で示した課題に関連するリスクについて、経営企画室・管理本部及び経営会議で議論・評価・モニタリングを実施することとしております。

 

(4)指標及び目標

 当社は、サステナビリティに関する重要課題について上記戦略において示した取組みを推進していくこととしております。なお、各課題に対する指標及び目標については、現時点において指標を定めていないため、記載しておりません。今後、指標を定めて取り組んでいく予定です。

 

 当社は、上記「(2)戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について男女ともに全社員が活躍できる雇用環境の整備を行うため、指標及び行動目標を策定しております。具体的な目標と実績については次のとおりであります。

指標

目標

2024年度実績

総合職新卒採用の女性割合

直近3年平均で20.0

45.8%

年次有給休暇の取得率

全社員6日以上を達成

74.0%

 

 なお、人的資本に関する指標等の実績につきましては、「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。

 当社は、現時点では多様性の確保について明確な目標数値や達成までのスケジュールは定めておりませんが、重要な経営課題のひとつとして認識しており、今後、目標の設定や開示の方法等について、検討を進めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のある事項としては以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)建設市場の動向

 当社グループの主たる事業分野の防水工事業は請負形態をとっており、受注先の動向により受注額の増減、競合する他社との受注競争の激化等による低採算化のため収益力の低下など、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)取引先の信用のリスク

 当社グループは、取引先に関し審査の実施や信用不安情報の収集など、信用リスク回避の方策を講じております。しかしながら、万一、発注者、協力会社等に信用不安が生じた場合、資金回収の懸念や工期の遅延など、予定外の事態により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)重大事故の発生

 安全管理には万全を期しておりますが、施工中に予期しない重大事故が発生した場合、関係諸官庁からの行政処分を受けることなどにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)業績の季節的変動

 当社グループの属する建設業界における業績については、受注高、売上高ともに、上半期の割合が大きい傾向にあります。したがって、連結会計年度の上半期と下半期の受注高、売上高には大きな相違があり、業績に季節的変動があります。

 

(5)施工物の不具合

 品質管理には万全を期しておりますが、万一、欠陥が発生した場合には顧客に対する信用を失うとともに、瑕疵担保責任による損害賠償が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)資材価格の変動

 当社グループは、新築防水工事、改修工事、直接受注工事、設備工事等を主な業務としており、受注先との契約から工事完了までの間に防水材、資材などの値上げが実施され、請負代金に反映させることが困難な場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)自然災害の発生

 地震、津波、風水害等の自然災害が発生した場合、当社グループが保有する資産や当社グループの従業員に直接被害が及び、損害が発生する可能性があります。災害規模が大きな場合には、事業環境が変化し業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の日本経済は、ロシアのウクライナ侵攻長期化に加え、イスラエルとハマス・ヒズボラ間の紛争が勃発、堅調な米国経済がもたらす日米金利差も相まって円安が進行し、原材料価格の上昇や労働環境改善に伴う国内運送費の上昇等により前年度から継続しているインフレが進行しました。これに対し企業は賃金の引き上げを実施し現金給与総額は上昇していますが実質賃金は概ね前年比マイナス圏で推移しており、我が国の景気持ち直しのためにも継続した賃金引上げによる個人消費の下支えが期待されています。

 建築業界では、当連結会計年度のゼネコン大手50社の建築受注は、大規模再開発工事が続いており前年比6.9%増の12兆2,633億円と増加しました。また、建築業界でも2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、大規模案件中心に工期の延長が増えていることも影響し、2024年8月末時点での建設工事手持ち工事高は約17ヶ月分となる23兆2,972億円と昨年同月比9.4%増加しました。

 首都圏の非居住用建物の着工床面積は約1,018万㎡と前年同期間比で▲1.2%と僅かに減少し、工事費予定額は約4兆956億円と前年同期間比で+29.7%と大幅に増加しました。労務費、材料費等の価格上昇も影響し、着工時点での工事費予定額平米当たり単価は前年比+31.3%と前年に引き続き大幅に増加しています。

 このような経営環境のなか、2021年10月から2030年9月までの9ヵ年に及ぶ長期経営計画『~100年選ばれ続ける会社を目指す!~』のもと、急激に変容していく経営環境の中でも永続的な成長ができる総合専門工事会社となることを目指しております。テーマとして、1.「ゼネコン上位10社でのシェアNo.1」、2.「ROE15%」、3.「成長性分野開拓」、を最終年度の達成目標として掲げ、SDGsへの取り組みも強化し長期的視野で着実な態勢整備と業務推進により業容の拡大、業績の向上を図っております。3年目となる当年度は以下のとおり、テーマ毎に取組んでまいりました。

1.「ゼネコン上位10社でのシェアNo.1」

 (1)営業力強化:新たな得意先での受注増強、ビジネスマッチングによる直接受注顧客の開拓

 (2)受注領域拡大:ゼネコン受注シェアの分散化、特殊材料メーカーとの営業連携による受注拡大

2.「ROE15%」

 (1)生産性向上:最適配置、予実管理の徹底、健康経営に取組み「健康経営優良法人」認定取得

 (2)現場力の強化:着工前事前検討会の徹底、現場パトロール強化による社員教育と育成

技能職部門の体制強化による品質向上

 (3)財務基盤の整備:M&A資金の効率的調達、IR活動、株式戦略構築への取組み

3.「成長性分野開拓」

 (1)株式会社イノベイト設立:

既存業務の材料販売及び運搬、機器のレンタルとメンテナンスを基盤に、あらゆる工種における材料、資材、機材の提供へビジネス領域を拡げることを展望し、2024年1月に株式会社イノベイトを設立致しました。

 (2)空気設備工業株式会社の全株式取得:

長年に渡り、大手メーカーの関西地区工場で製造ラインの一部を担う機器の設置やメンテナンスを担ってきた、空気設備工業株式会社の全株式を2024年4月に取得し、当社子会社株式会社マサルファシリティーズの100%子会社と致しました。これは、同社と株式会社マサルファシリティーズの隣接する業務での連携を模索するとともに、マサル及び、マサルファシリティーズの大阪地区でのマーケティング開発も展望したものです。

 

 新築市場においては、工事量は増加傾向にありましたが依然として受注競争が激しく開発案件ごとに採算性が大きく異なる状況でありました。リニューアル市場では積極的な受注活動により収益確保に努め、建設工事業での業績は前年比増収減益となりました。一方、設備工事業セグメントでは前年比増収減益となった他、空気設備工業株式会社の全株式取得に伴い発生した費用等により、連結業績は前年比増収減益となりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ8億54百万円増加し、83億94百万円となりました。その内訳といたしましては、流動資産61億10百万円、有形・無形固定資産16億20百万円、投資その他の資産6億63百万円であります。

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ6億68百万円増加し、34億53百万円となりました。その内訳といたしましては、流動負債25億97百万円、固定負債8億56百万円であります。

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1億86百万円増加し、49億40百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は58.9%となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、受注高が88億22百万円(前年同期比6.0%減)となりました。売上高につきましては、89億47百万円(前年同期比3.6%増)となりました。利益につきましては営業利益は4億7百万円(前年同期比19.2%減)、経常利益4億21百万円(前年同期比19.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、2億77百万円(前年同期比19.5%減)となりました。

 

(建設工事業)

 売上高は80億55百万円(前年同期比4.1%増)、セグメント利益は3億73百万円(前年同期比10.7%減)となりました。受注高につきましては、81億7百万円(前年同期比0.6%減)となりました。

 

(設備工事業)

 売上高は9億3百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は33百万円(前年同期比61.4%減)となりました。受注高につきましては、7億14百万円(前年同期比42.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は22億79百万円となり、期首残高に比べ4億11百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動により得られた資金は4億21百万円となりました。これは主に、法人税等の支払額3億7百万円、仕入債務の減少1億4百万円等により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益が4億21百万円となり、売上債権の減少3億16百万円等により資金が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動により使用した資金は5億1百万円となりました。これは主に、子会社株式の取得による支出4億91百万円等により資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動により得られた資金は4億90百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2億75百万円、配当金の支払額1億23百万円等により資金が減少したものの、社債の発行による収入7億39百万円、長期借入れによる収入2億円等より資金が増加したことによるものであります。

 

③ 建設業における受注工事高及び施工高の実績

a.生産実績

 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建設工事業

8,107,999

△0.6

5,912,985

1.1

設備工事業

714,303

△42.2

663,498

△31.1

合計

8,822,303

△6.0

6,576,483

△3.4

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

c.売上実績

 当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前年同期比(%)

建設工事業

8,055,357

4.1

設備工事業

892,257

△0.8

合計

8,947,614

3.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

鹿島建設株式会社

2,504,120

29.0

1,399,124

15.6

株式会社竹中工務店

1,087,504

12.6

863,132

9.6

 

(参考)提出会社の事業の状況は次のとおりであります。

a.受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

期別

区分

前期

繰越工事高

(千円)

当期

受注工事高

(千円)

(千円)

当期

完成工事高

(千円)

当期

繰越工事高

(千円)

第68期

自 2022年

10月1日

至 2023年

9月30日

新築防水工事

2,980,430

3,374,338

6,354,768

3,489,335

2,865,433

改修工事

1,667,820

2,677,776

4,345,597

2,696,876

1,648,720

直接受注工事

780,444

2,101,817

2,882,262

1,550,224

1,332,038

5,428,695

8,153,933

13,582,628

7,736,436

5,846,192

第69期

自 2023年

10月1日

至 2024年

9月30日

新築防水工事

2,865,433

2,989,377

5,854,811

3,140,307

2,714,503

改修工事

1,648,720

4,211,444

5,860,164

3,283,506

2,576,658

直接受注工事

1,332,038

907,177

2,239,215

1,617,392

621,823

5,846,192

8,107,999

13,954,191

8,041,206

5,912,985

(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれております。

2.当期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注区分は官公庁と民間に大別されます。

期別

区分

官公庁(%)

民間(%)

計(%)

第68期

自 2022年10月1日

至 2023年9月30日

新築防水工事

100.00

100.00

改修工事

100.00

100.00

直接受注工事

100.00

100.00

第69期

自 2023年10月1日

至 2024年9月30日

新築防水工事

100.00

100.00

改修工事

100.00

100.00

直接受注工事

100.00

100.00

(注)百分比は請負金額比であります。

c.完成工事高

期別

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

合計(千円)

第68期

自 2022年10月1日

至 2023年9月30日

新築防水工事

3,489,335

3,489,335

改修工事

2,696,876

2,696,876

直接受注工事

1,550,224

1,550,224

7,736,436

7,736,436

第69期

自 2023年10月1日

至 2024年9月30日

新築防水工事

3,140,307

3,140,307

改修工事

3,283,506

3,283,506

直接受注工事

1,617,392

1,617,392

8,041,206

8,041,206

(注)完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第68期

鹿島建設㈱

GRAND MARINA TOKYO パークタワー

勝どきサウス

新築防水工事

㈱大林組

住友不動産東京三田ガーデンタワー

新築防水工事

鹿島建設㈱

恵比寿ガーデンプレイス高層外壁補修

改修工事

㈱竹中工務店

パシフィックガーデン茅ヶ崎外壁改修工事

改修工事

管理組合

ライオンズ東久留米大規模修繕工事

直接受注工事

第69期

清水建設㈱

麻布台ヒルズ森JPタワー

新築防水工事

鹿島建設㈱

Shibuya Sakura Stage

新築防水工事

鹿島建設㈱

文京グリーンコート センター棟

改修工事

㈱ザイマックス

錦糸町プライムタワー外壁改修

改修工事

管理組合

パティオス2番街 第2回大規模修繕工事

直接受注工事

 

d.手持工事高 (2024年9月30日現在)

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

合計(千円)

新築防水工事

2,714,503

2,714,503

改修工事

2,576,658

2,576,658

直接受注工事

621,823

621,823

5,912,985

5,912,985

(注)手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

大成建設㈱

(仮称)港区三田一丁目計画 南棟

新築防水工事

2025年3月完工予定

鹿島建設㈱

豊洲4-2街区開発計画A棟

新築防水工事

2025年9月完工予定

鹿島建設㈱

浦安ブライトンホテル東京ベイ

外壁改修工事

改修工事

2025年3月完工予定

三井住友建設㈱

住友不動産飯田橋ファーストビル

改修工事

2025年3月完工予定

施主直

住友不動産青山通りビル

直接受注工事

2025年1月完工予定

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当社グループの財政状態は以下のとおりであります。なお、財政状態につきましては、工事進捗に伴って発生する契約資産を含む売上債権や未成工事支出金、仕入債務や未成工事受入金等により変動いたします。

 なお、具体的な財政数値については「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(資産合計)

 資産増加の要因については、主に空気設備工業株式会社の取得に伴いのれんが4億15百万円増加したことによるものであります。

 

(負債合計)

 負債増加の要因については、主に社債の発行に伴い社債が6億6百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産合計)

 純資産増加の要因については、主に完成工事高の増加に伴い利益剰余金が1億54百万円増加したことによるものであります。

 

2)経営成績

(売上高)

 具体的な経営成績の要因については「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(完成工事原価、販売費及び一般管理費)

 完成工事原価は完成工事高の増加等に伴い、71億58百万円(前年同期は68億99百万円)となり、販売費及び一般管理費は、従業員給与手当の増加等により13億81百万円(前年同期は12億31百万円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、増収ではありましたが、子会社買収の一過性の要因である社債発行費及び子会社取得関連費用の増加等に伴い2億77百万円(前年同期は3億44百万円)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況、3 事業等のリスク」に記載のとおりであると認識しております。

 

2)経営者の問題意識と今後の方針についての検討

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり検討しております。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等に関しましては、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」をご参照ください。

 なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は4.6%であります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(建設工事業)

 売上高は80億55百万円(前年同期は77億36百万円)、セグメント利益は3億73百万円(前年同期は4億18百万円)となりました。

 セグメント資産は、株式会社イノベイトを設立したことに加え、完成工事未収入金が増加した結果、前連結会計年度末に比べ1億39百万円増加し、69億63百万円となりました。

 

(設備工事業)

 売上高は9億3百万円(前年同期は9億円)、セグメント利益は33百万円(前年同期は85百万円)となりました。

 セグメント資産は、買収により空気設備工業株式会社が加わった結果、前連結会計年度末に比べ7億16百万円増加し、16億88百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの検討内容といたしましては、税金等調整前当期純利益が4億21百万円と比較的大きかったことに加え、社債の発行による収入7億39百万円等により、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ4億11百万円増加し、22億79百万円となりました。

 また、その他キャッシュ・フローへ影響を与えたものにつきましては、子会社株式の取得による支出4億91百万円、長期借入金の返済による支出2億75百万円、長期借入れによる収入2億円等があります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、建設工事業及び設備工事業により構成される工事業に関わる、材料費、労務費、外注費及び経費に係る費用に加えて販売費及び一般管理費等であります。

 

2)財政政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。

 主要な運転資金及び設備資金に関しては、子会社のものを含めて当社においてコントロールを行いながら、資金調達コストの低減に努め、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。また、資金の流動性確保の観点から、設備投資に係る借入れは長期を中心に行っております。

 この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は11億34百万円となっております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っております。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社の連結子会社である株式会社マサルファシリティーズは、空気設備工業株式会社の全株主との間で2024年4月8日を譲渡日とする株式譲渡契約を2024年3月27日に締結いたしました。この契約に基づき、2024年4月8日付で空気設備工業株式会社の全株式を取得し、子会社化いたしました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

6【研究開発活動】

(建設工事業)

 当社グループは、建物防水工事において、施工機器・工具の開発、工法の開発、材料・副資材の開発・改良、特に産業廃棄物の低減など同業他社に先がけて積極的に推進してまいりました。建築物は時代のニーズに応えながら高層化、軽量化、外装材の高級化、デザインの複雑化、低価格化など常に変化しており、当社もこれらの変化に対応した研究開発を推進することが今後も重要なテーマとなっております。

 当社グループの技術本部は、実際の作業を通して発見する課題について、設計事務所、総合建設会社、材料メーカー、材料ディーラー等との共同研究、又は自主研究を行っております。

 当連結会計年度における研究は次のとおりであります。なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は、技術スタッフの人件費等を含めて総額32,260千円であります。

 

(1) 新規シーリング材の耐久性及び市場対応性の研究

(2) ガラス突合わせ目地のシーリング工法の研究

(3) 長期耐久性材料の研究

(4) シーリング工事長期保証に関する研究

(5) ガラススクリーン構法のシーリング施工に関する研究

(6) 世界のカーテンウォールの動向調査

(7) ムーブメントが大きい目地の剥離のメカニズム研究(プライマーの開発研究)

(8) ボンドブレーカー貼り治具の研究

(9) 石目地施工方法の研究

(10) 有機溶剤代替品の完成・販売/4SクリンNEWの洗浄力アップ

(11) 石目地汚染除去方法の研究

(12) 有機溶剤使用量の削減研究

(13) シーリング工事施工能力(生産性)向上研究

(14) 逆打ち工法における打継部処理の工法研究

(15) 各種止水材の研究

(16) ウレタン塗膜の新工法に関する研究

(17) ウレタン塗膜・膜厚測定器の開発

(18) 太陽光発電に関わる防水工事の研究

(19) 地下ピット防水仕様の研究

(20) 防水新工法の研究

(21) 外壁汚染の洗浄方法の研究

(22) シーリング材切取り方法の研究

(23) 外壁汚染防止コーティング材の研究

(24) 水切ゴムによる外壁汚染防止の研究

(25) 外装材を傷めない洗浄材の研究

(26) シリコーンオイル除去材の研究

(27) コンクリート・モルタル表面保護材の研究

(28) ガラスグレージングガスケット改修方法の検証

(29) 浸透性防水剤の研究

(30) シーリング防水工事あばた防止工法の開発

(31) 作業車の衝突防止センサーの開発

(32) 外壁調査プロット作業の開発

(33) シーリング目地の余寿命診断技法の開発研究

(34) 外壁タイル調査診断技法の開発研究

(35) 外壁被着体洗浄剤の開発研究

(36) コロナ放電技術を駆使した接着力向上の開発研究

(37) マサルブランド、オリジナルシーリング材の開発

(38) シールノズル開発

(39) ACW漏水対策試験および開発

(40) シーリング剥離防止技術開発

 

(設備工事業)

設備工事業において研究開発活動は行われておりません。