将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
LIFULLグループは、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、企業活動を行っています。
コーポレートメッセージ「あらゆるLIFEを、FULLに。」に掲げるとおり、事業を通じた社会課題の解決により、あらゆる人々が安心と喜びに満ちた自分らしい暮らしを実現できる世界を実現することを目指して企業活動を推進しています。
(2)対処すべき課題
当社グループは、以下のような課題に取り組んでまいります。
①HOME'S関連事業の強化
不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』と不動産投資と収益物件の情報サイト『健美家』において不動産情報・価格情報・物件性能評価・不動産事業者評価といった情報の網羅と可視化に加え、一人ひとりにぴったりな住まい探しを支援する新たな検索体験の創出、ユーザー数の増加、顧客基盤の強化に取り組み、ユーザーとクライアント双方に対する提供価値を増加させることで業績の拡大に努めてまいります。
②不動産市場の活性化・拡大
物件の新たな活用の提案や生成AI等を活用した不動産業界の業務効率化等、不動産市場の活性化と拡大に努めてまいります。
③海外事業のグローバルにおける成長力の強化
各種サービスの高度化、M&Aによる戦略的サービス強化地域におけるシェア拡大、マルチメディアをコントロールする統合プラットフォームの構築、オンラインを活用した不動産取引支援を行うDXエージェントの強化に取り組むことで、ユーザーとクライアントに質の高いサービスを提供し、顧客基盤の強化と広告単価の向上に努めております。
一方で足元の業績を鑑み、グループの利益最大化のためリストラクチャリングを進めております。
④M&A、事業提携の推進
既存事業の拡充、人材獲得、関連技術の獲得及び新規事業への進出のため、M&Aや事業提携を推進してまいります。
⑤人材採用・育成、組織力の強化
持続的な成長のために、新卒及び中途社員の採用をすすめ、社内外の教育研修プログラムによる専門スキルの向上や会社の価値観の共有等を通じて、当社グループの人的資産及び組織力の強化に努めてまいります。
1.サステナビリティ全般
LIFULLグループは、社是「利他主義」のもと、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、企業活動を行っています。
当社が掲げる公益志本主義の考え方に則り全ての社中(※)に貢献しながら、事業を通じて様々な社会課題を解決することで、社会とLIFULLグループの持続的な発展、さらにはWell-beingな社会の実現に取り組んでまいります。
※社中(Company):
当社ではあえてステークホルダー(利害関係者)ではなく社中(カンパニー)と呼びます。広い意味でのカンパニー(仲間)です。利害が対立する関係ではなく、同じ方向を向いて一緒に歩んでいく大切な仲間という意味です。 社中であるコンシューマー、クライアント、従業員、パートナー、株主、社会、地球環境に配慮した経営をしてまいります。
(1)ガバナンス
当社取締役会は、サステナビリティに関する方針や重要案件の審議・決定を行うとともに、取り組み状況の評価・管理を行います。サステナビリティ推進部門は、担当執行役員であるグループ経営推進本部長の監督の下、当社グループを横断しサステナビリティに関するリスクと機会の特定のために必要な情報のヒアリングを実施して取締役会へ報告、提言を行います。決定した対応施策等の推進においては、サステナビリティ推進部門と各管轄部門、各子会社が参加するサステナビリティ推進会議(原則年4回実施)で連携をとり、グループ横断で迅速に活動を進めることのできる体制を整備しています。

(2)戦略
サステナビリティ方針のもと、事業と社会課題の紐づけやマッピングを行い、「事業を通じて解決する社会課題」「事業活動を支える基盤」「グローバルな課題への取組み」の3つのカテゴリーで8つの重点テーマを定め、サステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定しました。
(事業を通じて解決する社会課題)
テーマ1:住生活
・あらゆる住み替えの選択の自由と利便性の向上
・住宅弱者の解消
テーマ2:地方創生
・空き家、遊休不動産などの新たな利活用促進
・関係人口の拡大
・投融資促進のための新たな仕組みの創設
テーマ3:超高齢社会
・老後の介護の不安の解消
(事業活動を支える基盤)
テーマ4:人材
・社会課題を解決するリーダーの輩出
・DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の推進
・社員のWell-being
テーマ5:情報セキュリティ
・各国における個人情報保護関連法への対応
・サイバー攻撃等への技術的・組織的対応力の強化
・仕組みとしてのセキュアな環境の整備
テーマ6:ガバナンス
・公正な事業活動を率先する人材・組織の育成
・ガバナンス体制の強化
・リスクマネジメントの強化
(グローバルな課題への取組み)
テーマ7:環境
・環境負荷の低減
テーマ8:人権
・人権の尊重・DEIの推進
(3)リスク管理
株式会社LIFULL社長執行役員を委員長とするリスク管理委員会を設置し、LIFULLグループに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを一元的に管理することで、LIFULLグループ全体でのリスク管理体制を構築しています。事業活動全般に関わるリスクについては「事業等のリスク」欄に、気候変動に関わるリスクについては「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応」に記載しています。
(4)指標・目標
各サステナビリティ課題に関する指標・目標は以下のとおりです。
※2024年9月期実績は集計中のため、コーポレートサイトにて順次開示いたします。
グローバルな課題への取組みのうち、環境(環境負荷の低減)については、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応」欄に記載しております。人権(人権の尊重・DEIの推進)については、目標、指標は設定しておりません。
※1 中期ターゲットの期日は、記載のあるもの以外は2025年9月期末
※2 LIFULLグループの活動により移住や地方交流などの地域活性に関わった人の合計
※3 誰もが自分らしく活躍できる環境であるかを5段階で評価、「4 まあ発揮できる環境」+「5 発揮できる環境」の合計
※4 「スペシャリスト」とは、特定の職種において高度な専門性を発揮し、会社に大きく貢献できると評価された人材。当社では、組織マネジメントによる貢献を期待されるマネジメント職と同様に、高度な専門性による貢献を期待されるスペシャリストを、当社の中核人材のひとつに位置付けています。
※5 「あなたがLIFULLで働く上で、将来的に管理職になりたいと思いますか?」という設問に対して「なりたい」と回答した割合
※6 5と同じ調査でスペシャリストになりたいと回答した割合
2.気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応
当社は、気候変動問題を重要視し、サステナビリティ課題(マテリアリティ)の1つとして「環境負荷の低減」を設定しております。あわせて、2023年10月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、TCFD提言に基づいた体制整備と情報開示を進めております。
(1)ガバナンス
当社取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関する方針や重要案件の審議・決定を行うとともに、取り組み状況の評価・管理を行います。サステナビリティ推進部門は、担当執行役員であるグループ経営推進本部長の監督の下、当社グループを横断し気候変動に関するリスクと機会の特定のために必要な情報のヒアリングを実施して取締役会へ報告、提言を行います。決定した対応施策等はサステナビリティ推進部門と各管轄部門、各子会社が連携して遂行します。
(2)戦略
当社は、TCFD提言に基づきシナリオ分析を行い、気候変動がもたらすリスクと機会、及び対策について下表のとおり特定しました。分析にあたっては、脱炭素社会への移行によるCO2排出量削減に向けた動きが急速に進行した社会を想定した1.5℃シナリオを採用しました。
(3)リスク管理
当社グループでは、企業経営・事業継続に影響を及ぼす事業リスクの特定・評価・管理が重要な課題であると認識し、リスク管理委員会において、管理体制を整備しています。気候変動リスクの管理はサステナビリティ推進部門が担当し、リスク管理委員会との連携を図っています。担当執行役員であるグループ経営推進本部長は気候変動リスクについて年1回取締役会への報告を行っています。
(4)指標と目標
当社では、二酸化炭素排出量を気候変動に関わる評価指標として、GHGプロトコルに基づき算定しています。2024年9月期の排出量につきましては、原単位データが入手でき次第、2025年2月中にコーポレートサイトにて開示予定です。
(当社グループにおけるCO2排出量)
■集計対象
①Scope1 当社事業活動において直接的なエネルギーの燃焼は行っておりません。
②Scope2 本社および国内、海外拠点のオフィス、または住まいの窓口等の事業施設、店舗における他社から供給された電気の使用によるもの
■算出方法
Scope2 「電気事業者別排出係数一覧」を参照し、算定しているものです。
国内電力:電気事業者別排出係数
海外電力:国際エネルギー機関が公表する国別の排出係数
(Scope3カテゴリー別CO2排出量)
※カテゴリー1「外部サービス」のみ、単位をMtCO2に切り上げて表記しております(クラウドサービス等の利用における排出量が圧倒的に多いため)
■集計対象
カテゴリー1(業務用機器):業務用PC、スマートフォン等の端末の購入
カテゴリー1(外部サービス):AWS等外部のクラウドサービスの利用
カテゴリー6:国内および海外への従業員の出張のための移動(宿泊に伴う排出は除く)
カテゴリー7:従業員のオフィスへの通勤のための移動(通勤交通費を支給していない海外グループ会社、および交通手段別の原単位データを収集していない海外グループ会社は除く)
■算出方法:
カテゴリー1(購入品):「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位DB」を参照し、購入金額に基づき算定しているものです。
カテゴリー1(サービス):サービスプロバイダーより提供されたCO2排出量を記載しているものです。
カテゴリー6:「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位DB」を参照し、出張に伴う旅費交通費の交通手段別に排出原単位を乗じて算出したものです。
カテゴリー7:「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位DB」を参照し、通勤交通費の交通手段別に排出原単位を乗じて算出したものです。
(1)LIFULLの人材戦略
当社は経営理念「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を掲げ、事業活動に取組んでおります。様々な社会課題をビジネスによって解決し、あらゆる人々の暮らしに安心と喜びをもたらすことが当社の使命であり、人的資本をはじめとした各種資本の適切な投下により、多様な事業を通じた社会課題解決と利益創出の好循環を生み出すことを目指しています。
当社の人材戦略においては、社員が経営理念の実現を目指して内発的動機に基づき挑戦することを核とし、以下7つの重点テーマをおいています。
・すべての社員が経営理念を心から実現したいと考えている状態を目指し(①経営理念の共有)、
・経営理念の実現のために社員に期待する思考、行動習慣となる企業文化を設計し浸透させ(②企業文化の設計・浸透)、
・経営理念実現に必要な人材を確保し(③人材の確保)、
これらを基盤として、
・社員一人ひとりの内発的で多様な問題意識を起点とした挑戦を奨励し(④内発的動機に基づく挑戦)、そのために、
・社員が安心して挑戦できる土台を整えつつ、社員の仕事・人生の充実を図り(⑤Well-being)、
・個々人のアウトプットをチームの成果として最大化する仕組みをつくり(⑥チームの成果の最大化)
・さらに仲間同士で違いを歓迎し、化学反応を起こす関係性を醸成すること(⑦違いを歓迎するチーム)
に注力しています。

(2)指標及び目標
経営理念の実現を目指す上で重視している主な指標は「社会課題解決に挑む事業数」と「社中分配前利益(※)」です。人材戦略においてもこの2指標をモニタリングしながら、7つの重点テーマにおける各種施策、取組みを推進しています。
足元では利益の成長を全社的な課題としており、⑥チームの成果の最大化の中の指標として「一人当たり社中分配前利益」を定め、生産性の向上を図るために「KPIマネジメント」をはじめとした各種施策・取組みを進めてきました。これらの結果、2023年9月期に12.0百万円だった一人あたり社中分配前利益は2024年9月期において12.9百万円(前期比+7.5%)に向上しております。
引き続き収益向上に取組み、創出した利益を社会課題解決に向けた新しい事業に投資して、経営理念の実現を目指してまいります。
※当社では、ステークホルダー(コンシューマー、クライアント、従業員、パートナー、株主、社会、地球環境)を広い意味での仲間という意味で「社中」と呼びます。社会への貢献や事業活動の本質的な成果を図る指標として、従業員やパートナーへ配布する前の利益を「社中分配前利益」と定義し、追っています。具体的には売上総利益から事業上必要なコストが差し引かれたもので、人件費や外注費といった社中分配にあたるコストが発生する手前の利益がそれにあたります。
※期末時点で継続する社会課題解決を目標に掲げる事業数。2023年9月期末より計測開始しています。
その他、人材戦略の各重点テーマにおける指標及び目標は以下のとおりです。
※1 「会社の理念の実現に貢献したいか」を5段階で評価。4点または5点をつけた社員の割合
※2 「各経営陣が経営理念を常に語っているか」、「経営理念と一貫性のある戦略を定め、分かりやすく説明しているか」、「経営理念を実現したいと心から思う組織長を登用しているか」等、経営理念実現に向けた経営陣の経営理念体現度を評価するアンケート
※3 現在の仕事は、チャレンジングかを5段階で評価。「1 チャレンジング」及び「2 ややチャレンジング」と感じている社員の割合
※4 目的、幸福、満足、ストレスに関する4つの設問の平均点
※5 「KPIマネジメントを適切に実行できている」と感じている社員の割合
※6 2019年9月期から2024年9月期の期間中に「社会課題解決に挑む事業」の責任者を経験した従業員の人数(退職者を除く)
※7 従業員比率等は2024年9月末時点の実績を記載しております。
※8 「あなたがLIFULLで働く上で、将来的に管理職(またはスペシャリスト)になりたいと思いますか?」という設問に対して「なりたい」と回答した社員の割合
※9 インクルージョンサーベイでのポジティブ評価(2024年9月時点):誰もが自分らしく活躍できる環境であるかを5段階で評価。「4 まあ発揮できる環境」及び「5 発揮できる環境」の合計の比率
(3)各重点テーマにおける取組み
①経営理念の共有
当社では、社員は経営理念を実現するために集まった同志であり、会社は経営理念を実現するために組成されたチームと考えています。すべての社員が常に経営理念を意識し、経営理念の実現を目指して行動できるよう、下記をはじめとした各種の取組みを行っております。
(経営陣による共有機会)
毎月の全社総会の他、新卒入社者・派遣社員も含む中途入社者に向けて行う入社式、育児や介護からの復職者等に対するビジョンシェアリング、入社半年を過ぎた社員を対象に経営陣が持ち回りで講師となり教育する研修「ビジョンカレッジ」等、経営陣が率先して経営理念の共有を推進しています。経営陣の理念共有にかける総時間は年間95時間以上に及びます。(2024年9月期実績)
(役員の心得アンケート/経営陣の経営理念体現評価)
経営理念と一貫性のある経営を行うため、執行役員向けに5箇条の指針(役員の心得)を定めています。 半年に一度、 社員アンケートを実施し、各経営陣が経営理念を常に語っているか、経営理念と一貫性のある戦略を定め、分かりやすく説明しているか、経営理念を実現したいと心から思う組織長を登用しているか等、各指針の体現度について評価する機会を設けています。2024年9月期評価では88.6%の社員が、経営陣が経営理念を実現するための行動ができていると評価しています。
(人事制度)
人事評価制度には社是・経営理念・ガイドラインの体現度合いを評価する項目を設け、半年に一度フィードバックを行うことで、常に理念を意識して行動するように促しています。
(ビジョンツリー)
当社では、社内のすべての組織で経営理念に紐づいた組織ビジョンを策定しています。各組織のビジョンは所属している社員が意見を出しあい、各組織でどんなゴールをどう実現していくか言語化しています。社員一人ひとりが組織ビジョンの策定に参加することで、それを実現するための業務に主体的に取り組むようになります。各組織で策定したビジョンは「ビジョンツリー」という形でまとめ、経営理念から自分の所属組織まで順番に読んでいくことで、経営理念と日々の業務との繋がりを理解することができる仕組みになっています。
これらの活動の結果、84.5%の社員が「経営理念の実現に貢献したい」 と回答しています。
※2024年6月時点の組織サーベイ
②企業文化の設計・浸透
当社では、経営理念を実現するために社員に期待する行動を定義した「ガイドライン」を策定しています。事業戦略や外部環境の変化により社員に期待するべき行動も変わってくるため、ガイドラインは4~5年に一度の見直しを行っており、現行版は2023年10月に改定したものとなります。時々の変化を反映したガイドラインを運用することで、常に状況に応じた行動の変容を促し、変化に強い企業文化を作りあげています。また、人事評価における評価項目や同僚同士で行う360度フィードバックにおける項目には、ガイドラインの体現度合いを取り入れています。
③人材の確保
当社では、経営理念の実現に向けて、必要に応じて新卒採用、中途採用、海外開発拠点の強化を行い、世界中で優秀な人材を確保しています。
特に、当社の事業にとって重要な職種の一つであるエンジニアについてはグローバルでの開発体制の構築を目指し、2017年にベトナムのVietnam Creative Consulting Co.,Ltdを子会社化(現LIFULL Tech Vietnam)、さらに2023年にマレーシアに子会社(LIFULL Tech Malaysia)を設立しています。現在、国内拠点と海外拠点の連携を強化してグローバル開発体制を構築し、開発力を最大化するスキームを設計しています。エンジニアの社員数は1年で13%増加し、2024年9月末時点で225名となっています。
これらの企業文化設計を基盤として、以下の「個人への投資」と「チームへの投資」を行っています。
④個人への投資「内発的動機付けに基づく挑戦」
当社は人材戦略の核に「内発的動機」を置いています。人はやりたいことに取り組んでいるときにこそもっとも熱中して成果を上げ、自発的に学び、大きく成長します。よって、内発的動機に基づく挑戦機会づくりに投資することが、経営理念実現に向けたもっとも効果的な人的資本投資であるともに、社員のキャリアビジョンの実現にも効果的であると考え、様々な機会を設けています。

ア)経営理念実現に向けた挑戦機会
様々なかたちの挑戦機会を提供することで、社員がガイドラインに則した「大胆な挑戦」をし、戦略的に多様な事業を生み出し続けていくための文化づくりを行っています。
(Social Innovation Forum)
社会課題の解決とイノベーションを生み出す文化の醸成を目的とする全社イベントです。全社員が参加対象で、各自が自身の視点から社会課題を見つめ、解決のアイデアを発想するグループディスカッションを中心としたプログラムです。部署や職種に関わらず、全員が同じ時間を共有しながら課題に向き合い、ディスカッションによって意見を掛け合わせていくことで、アイデアを磨きます。
(SWITCH/新規事業提案制度)
内定者を含めた社員が誰でも新規事業を提案できる制度で、役職や職種、社歴などに関係なく多くの社員が挑戦できる場となっています。「LIFULL 介護」や「LIFULL FaM」など、この制度から様々な子会社・新規事業が生まれています。
(クリエイターの日)
変化の激しい技術開発領域やクリエイティブ領域における知識や能力を高めるため、通常業務を離れて、新たな技術やそのアウトプットに取り組むための社内制度です。技術・アイデアの醸成や様々なプロジェクト発足の機会となっています。
(クリエイティブアワード)
プロジェクトの成果やプロセスを社内で発表し、社員の投票によりグランプリを決める表彰制度です。新しい価値の創出や、既存の機能等の改良・改善といった視点で高評価を獲得したプロジェクトについての知見の共有や、より多くの社員の挑戦意欲の向上に役立っています。
イ)キャリアビジョン実現に向けた挑戦機会
当社では、社員の内発的動機付けを人材戦略の中心に据えているため、仕事の任命はできる限り本人のキャリアビジョンを尊重して行います。社員のキャリアビジョンの実現を支援する制度や取組みを以下のように整備しています。
(キャリア選択制度)
社員個人のキャリアビジョン実現の支援策として、半期に一度自身のキャリアビジョンに沿った部署の異動を希望することができるキャリア選択制度があります。2024年9月期は希望した社員のうち78%の社員の異動希望が叶い、希望の部署に異動をしています。
(キャリフル/社内兼業制度)
部署の異動を伴わない社内兼業制度「キャリフル」では、業務時間の10%を使って所属する部署以外での仕事を経験することができます。2024年9月期は53名の社員が本制度を利用し、自身のキャリア形成や成長の機会として活用しています。
(キャリアライズ/兼業届出制度)
当社では、自身の成長や会社の成長に繋がる場合に兼業を許可しています。2024年9月期はこの「キャリアライズ」を利用して118名の社員が兼業を行っています。
(テクニカルスキル)
社員が自ら専門性を高め、強みを発揮しながら成果を創出できるよう、約50の職種別テクニカルスキルの定義を策定しており、計画的に改定しています。社員は半期に一度、目標設定し、テクニカルスキルの発揮状況の自己評価をおこないます。上司はテクニカルスキルの定義に基づいたフィードバックを行うことで、社員の成長を支援しています。また、すべての社員のスキルを可視化することで、チーム組成時に最適な候補人材を選出することが可能になっています。
(LIFULL大学)
普段の業務や必須研修以外に、社員が自分の意志で学びたい分野の知識・経験を得られる学びの場として、社内大学「LIFULL大学」を設置しています。各学びの場を「ゼミナール(ゼミ)」と名付け、年間約40のゼミを開催しています。講師は原則として自薦や他薦により社員が務めます。2024年9月期は、不動産業界ゼミ、ゼロから学ぶプロジェクトマネジメントゼミ、統計学の基本ゼミ、ファシリテーションゼミ、keelai(社内向け汎用AI)を使いこなすゼミ、マインドフルネスゼミ、D&Iに関わるバイアスへの気づきゼミ、(子供の)入園入学予習ゼミ等、様々なゼミが社員の自発的な提案に沿ったテーマで開催されました。
ウ)プロジェクト文化
当社には全社横断の「プロジェクト」が複数あり、有志社員によって運営されています。経営理念の共有・浸透を掲げるビジョンプロジェクト、ダイバーシティ推進のためのD&I+委員会、社会貢献活動支援(One P's)委員会、クリエイティブアワード運営委員会等、会社全体の課題に目を向け、改善・提案していくために、多数の社員が自発的に参加、活動しています。プロジェクトに参加する社員ののべ人数は、2024年9月末時点で全社で99人に上り、ボトムアップで会社をより良くするための様々な取組みを行っています。
エ)人材の抜擢
現在当社では積極的な組織長への登用(抜擢)を行っています。抜擢によって、リーダーのポテンシャルを有する人材の発掘や、抜擢された人材の周囲の人材によい刺激を与えることを目的としています。2024年10月には、全社員の5%が新たに一つ上の組織階層に登用されました。
これら「内発的動機付けに基づく挑戦」を推奨する様々な機会や各取組みを通して、現在の仕事は、チャレンジングかを5段階で評価した結果、「チャレンジできている」と感じている人の割合は82.0%となりました。
このように挑戦の機会を創出し、実力主義による多様な人材を登用することで、経営理念の実現に向けた事業創出を可能とする人材の輩出を目指しています。
⑤個人への投資「Well-being」
当社では、Well-beingを追求することは、社員の内発的動機に基づく挑戦や生産性の向上に繋がり、その結果として事業の持続的成長や企業価値の向上につながるものと考えています。
ア)心身の健康支援
「まなぶ、はかる、しえんする」の3つの活動を柱に、社員が内発的動機に基づいてセルフケアができるような支援をおこなっています。「まなぶ」においては、健康診断結果の読み方、産業医によるテーマ別のセミナーの定期開催等、自身でメンタルヘルス、フィジカルヘルスの向上に取り組めるように、専門家から様々な知見を得られる機会を提供しています。
「はかる」については、フィジカル、メンタル、エンゲージメント等の状態を定期的に測定して社員にフィードバックすることで、個々の課題、原因、打ち手を明確にします。2023年4月から2024年3月の健康診断の受診率は100%(前期比+0ポイント)、2022年4月~2023年3月の睡眠習慣(適正な睡眠習慣を有する者の割合)75.7%(前期比▲0.6ポイント)、飲酒習慣(不適正な飲酒習慣を有する者の割合)15.0%(前期比▲2.1ポイント)、喫煙習慣(不適正な喫煙習慣を有している者の割合)率は18.1%(前期比+0.9ポイント)となっています。
また、2024年9月期のストレスチェックの受検率は93.37%(厚生労働省の基準値:78%)、高ストレス判定率は10.49% (同・基準値:14.2%)と昨年よりも0.03ポイント増加しています。
また、仕事の量的負荷は8.8点(同・基準値:8.4)と基準値を上回っていますが、仕事のコントロールは9.0点(同・基準値:7.9)、上司の支援は8.7点(同・基準値:7.5)、同僚の支援は8.5点(同・基準値:8.1)と、健全な負荷がかかりつつも、自身で仕事のコントロールができ、上司・同僚からの支援がしっかり得られている状態を維持しています。
イ)多様で柔軟な働き方の推進
フレックスタイム制、週休3日制度、事由を問わない短時間勤務、社員が自身のLIFEをFULLにするための休暇制度等、多様な事情を抱える社員が力を発揮できるよう制度を整えています。近年では、ハイブリッドワークの環境下においても、新入社員が帰属意識を感じられるよう「コミュニケーションルール」を定め、全社・各チーム・上司それぞれの関係性において、心理的安全を確保するための基本のコミュニケーション設計を行い運用しています。
これらの活動の結果、Well-beingスコア※は、5点満点中3.45点(前期比+0.05ポイント)となりました。
※Well-beingスコア:目的、幸福、満足、ストレスに関する4つの設問の平均点
⑥チームへの投資「チームの成果の最大化」
当社では「生産性の向上」を全社的な組織課題と位置づけ、その向上に向けて様々な取組みを行っています。
ア)KPIマネジメント
当社では、当社社外取締役でKPIマネジメントの第一人者である中尾隆一郎の指導のもと、全社でKPIマネジメントを実践しています。KPIマネジメントとは、KPI(重要業績評価指標)をもとに目標達成までを管理するマネジメント方法です。全組織において、目標達成に向け最も投資対効果の高い先行指標を特定し、リソースを集中するノウハウを浸透させることで、効果的に成果を上げるようになっています。2024年9月時点で、78.7%の社員が、KPIマネジメントを適切に実行できていると回答しています。
イ)日次採算性向上
KPIマネジメントを支える仕組みとして、社員が各業務にかかる工数を記録し、振り返りができる「工数管理」を導入しました。時間配分を見直し、KGI(経営目標達成指標)達成につながるコア業務により多くの時間を充てられるよう改善することで、生産性を高めています。
ウ)ハイブリッドワーク
当社では週3日オフィス勤務を基本のルールとしています。管掌執行役員の承認のもと、「チームの成果が最大化」を目的に、チームごとに最適なルールに変更することも可能です。
エ)サクセッションプラン
経営に大きな影響を及ぼす経営者や主要事業・機能責任者の後継者育成計画を立案し、育成しています。取締役候補については指名委員会、執行役員以下の主要事業・機能責任者については未来人材会議という会議体をそれぞれ定期的に開催し、後継者候補人材の特定、育成状況のモニタリング、今後の育成計画の決定などを行っています。
オ)社会課題解決に挑む事業の責任者を経験した人数
2019年9月期から2024年9月期の期間中に「社会課題解決に挑む事業」の責任者を経験した従業員の人数は25人となりました(退職者を除く)。
これらのチームの成果の最大化による生産性向上の取組みの結果、2024年9月期の一人あたり社中分配前利益は、12.9百万円(前期比+7.5%)と改善しました。
⑦チームへの投資「違いを歓迎するチーム」
当社では、多様な個性を持つすべての社員が内発的動機に基づき挑戦できるよう、互いの違いを歓迎し、それぞれの力を最大限発揮できるチームをつくっています。
ア)心理的安全性向上に向けた取組み
当社では、社員が上司や他のメンバーに対し、自分の考えや感情を率直に伝えることができ、間違ったことや反対意見を述べても安全だと感じられる雰囲気「心理的安全性」を重視しています。ガイドラインでは「敬意をもって意志を伝え、決定には全力を尽くす」という条文を定め、相手に敬意を払いながら自分の意志を率直に伝えることを求めています。
これを可能にするための施策として「チームビルディングプログラム」を全社的に行っています。互いのことを理解し、チームが「率直なコミュニケーションができる安全な場」と感じられるよう、各部門長がチームや個々の状態に合わせたプログラムを検討し、実施しています。また、各部署内でのランチ会や飲み会などのコミュニケーション予算として月3,500円を支援しています。さらに、ハイブリッドワークの環境下においても社員同士や新入社員が帰属意識を感じられるよう「コミュニケーションルール」を定め、上司との1on1の頻度や出社して顔を合わせる「コミュデイ」等、全社・各チーム・上司とメンバーそれぞれの関係性において、心理的安全を確保するための基本のコミュニケーション設計を行い運用しています。また、全社的な部門を超えたコミュニケーションの機会としてサークル活動を支援しています。1サークルに月1万円の支援金を支給しており、2024年9月末現在、約70のサークルが活動しており、社員の約52%が参加しています。事業年度の初めには全社員が参加するキックオフイベントを開催しており、部門を超えた交流機会となっています。
イ)多様な人材の活躍
当社では、多様な個性やバックグラウンドを持つ従業員一人ひとりが、互いの違いを歓迎し、それぞれの能力を存分に発揮できる組織風土を育むことでイノベーションを促進しています。
正社員の女性比率は2024年9月期39.9%となっております。女性管理職比率は2022年9月期18.6%、2023年9月期19.2%、2024年9月期22.8%と改善しています。管理職の登用に関し、当社では男女問わず公平な機会を提供し、能力と人格を兼ね備えた人物を昇進の対象とするというポリシーから女性管理職比率の数値目標は設定しておりませんが、管理職やスペシャリストを目指す社員の割合(キャリア志向調査:2024年9月期時点、管理職意向:女性29%・男性50%、スペシャリスト意向:女性31%・男性34%)の性差を課題と捉え、管理職やスペシャリストを目指す女性社員の割合が男性社員と同程度になることを目標に、研修プログラム等を実施しています。
また、採用・登用にあたっては、ジェンダーなどの属性のみならず、知識・経験の多様性を重視しています。全社に占める中途社員比率は2024年9月期では75.2%でした。
当社の障害者雇用率は2024年9月期末で3.04%(法定雇用率2.5%)です。社内にジョブコーチの資格をもつ障害者職業生活相談員を選任しており、障害者が自身の特性や強みを発揮しながら、安心して仕事ができるようサポートしています。
その他、50歳になった社員のキャリアプランや人生設計を支援する「elFULL(エルフル)プログラム」の定期開催、事実婚パートナー、同性パートナーに対する各種休暇制度や慶弔見舞金制度の適用等も行っています。
これらの活動によって、86%※の社員が「今の職場は誰もが持ち得る力を最大限発揮できる環境だと感じている」と回答しています。
※インクルージョンサーベイでのポジティブ評価(2024年9月時点):誰もが自分らしく活躍できる環境であるかを5段階で評価。「4 まあ発揮できる環境」及び「5 発揮できる環境」の合計の比率。
以下において、当社グループの事業や事業運営、及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼすと考えられるリスクを記載しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
また、以下の記載は、当社グループに係るすべてのリスクを網羅することを意図したものではありません。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
①事業戦略に関するリスク
(HOME'S関連事業)
(ア)問合せ数の減少について
『LIFULL HOME'S』では、一部のサービスで顧客である不動産事業者と利用者のマッチング数に応じた成果報酬型の課金形式を採用しています。
当該価格体系は成果の数により収益が変動するため、事業環境の変化や『LIFULL HOME'S』自体の集客力の低下等により、顧客である不動産事業者に提供する成果の数が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)サービス料金体系について
各種サービスの価格体系は、他企業における類似商品との価格対比や当社グループ商品の付加価値の向上、コストの変動等により、見直しを行う場合があります。
価格の見直しにより、クライアントの利用状況が大きく変化した場合や当社グループ商品に関してコストの変動を価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)クライアントの減少について
『LIFULL HOME'S』では、当社の利用規約の違反による強制退会等、何らかしらの事由により退会数が増加、特に多数の支店を抱える団体等との間の大口契約が終了した場合には、クライアント数が減少することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)クライアントとユーザーとのトラブルについて
当社は、情報審査部門を設置し、『LIFULL HOME'S』に掲載された情報が適正か随時確認しています。能動的な調査に加え、AIやビッグデータを活用し間違いの可能性がある情報を迅速に特定する仕組みや、不動産管理会社が保有する成約・申込等のデータを毎日受領し、『LIFULL HOME'S』の掲載情報と照合して、該当する物件情報を自動で非掲載にする等、情報精度を向上させる取組みを実施しています。またクライアントとユーザーとの間に何かしらのトラブルが発生し、ユーザーより当社へ連絡があった場合には、当社担当者より当該クライアントへ事実確認とユーザーへの説明及びトラブルの原因となった事項の改善を求めており、状況に応じて利用契約の解除を行う等の対応を行っています。
しかしながら、当社からクライアントへの改善要求は強制力を持つものではなく、クライアントとユーザーの間のトラブルが解消しない場合には、当社グループが提供するサービスの評判が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)広告宣伝活動の効果について
当社は、サイトの集客や認知度向上、ユーザー・クライアント獲得のため、積極的な広告宣伝投資を行っています。サイト集客を目的としたWebマーケティングでは、何らかの理由で競合環境が激化した場合、キーワードを獲得するための広告単価が上昇することがあります。また、ブランディングでは、効果測定等をもとに費用対効果が最大化するよう投資を行っていますが、投資効果を過大に見積もっていた場合や、サービスの不具合等、何らかの理由でブランド価値の棄損が生じた場合には、広告費が増大したり、投資額による効果が低下することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(海外事業)
(ア)グローバル展開について
当社グループは、グローバルプラットフォームの構築を中長期成長戦略の柱の一つとして掲げており、60を超える国や地域でサービス展開しています。グローバル展開においては、言語や文化、商慣習、法令や各種制度、政治的要因、地理的要因等の地域特性によるビジネスリスクや法規制等に加え、グローバルにおける競合の台頭や時差による対応の遅れ等、リスクは多岐にわたり存在しています。当社グループはリスクを最小限にすべく十分な対策を講じたうえで事業展開を進める方針ですが、予測困難なビジネスリスクや法令の変更等をはじめ、リスクに対応できない場合には、当社グループの海外事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
またグローバルにおけるサービス展開にあたり様々なリスクの特定と対応に一定の費用が発生するほか、既存サービスにおいても、法令の変更等に対応する費用の増加ならびに対応による収益機会の喪失や競争力の低下等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(新規事業)
(ア)新規事業の開始について
当社グループは、技術革新やビジネスモデルの変化のスピードが速いインターネットを基盤とした様々なサービスを展開しています。既存サービスの競争力強化に向けた様々な取組みを実施する一方、新たな収益の柱となるサービスや、時代に合わせたサービスの創出を目的として、新規領域への参入にも取組んでいます。新規事業の開始にあたっては、事前調査に基づく事業計画の策定と投資対効果の予測をしています。
しかしながら、新規事業による当社グループの事業及び業績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により期待通りの成果を生まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規に参入した市場やサービス内容等により、固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因が当社グループのリスク要因となる可能性があります。
②企業経営に関するリスク
(ア)M&A・出資に伴うリスクについて
当社グループの成長戦略の実行に向けて、既存サービスの拡充、関連技術の獲得、人材の獲得や新規サービスの展開、その他戦略上重要な資産の獲得等を目的とした、積極的な買収(M&A)や合弁事業の展開を経営の重要課題として位置付けています。当社グループは買収の検討に際し、対象企業の事業、財務、契約関係等について詳細なデューディリジェンスを実施することで極力リスクを回避するように努めており、定められた承認プロセスを経て投資判断していますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、投資時に対象企業の企業価値を過大に見積もっていた場合や、事業環境の変化等により計画が変更となる場合、内部統制システム等の統一や融合が進まない場合、投資企業の役職員を含むキーマンが何らかの理由により離職又は業務執行が困難になった場合等、投資後に何らかの事由により期待通りの成果を生まない場合には、当社グループの財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
業務提携や合弁事業においては、当社グループが支配権を有するとは限らないため、パートナー事業者との経営方針の相違や、当社グループ以外の企業からの資金調達を含む提携による戦略の変更等、投資決定時に期待した通りの成果を生まない場合には、かかる投資資本の回収ができなくなる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、非流動資産にのれんを計上しており、資産合計に占める割合が高くなっております。当社は連結財務諸表の作成にあたり国際会計基準(IFRS)を適用しているため、当該のれんの償却は不要となりますが、のれんの対象となる会社の収益性が著しく低下し、将来的な効果である回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 12.のれん」をご参照ください。
(イ)グループ会社管理について
当社は国内外のグループ各社に対して、LIFULLグループ経営理念の浸透を図ると共に、グループ会社管理規定に基づき決裁権限を定め、グループ会社の独立性にも考慮した管理体制を整備しています。しかしながら、グループ会社の役職員等による不正の発生や、グループ会社管理が十分に機能しなかった場合には、当社グループの業績や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)外部検索エンジンへの依存について
当社グループが運営するサイトに訪れるユーザーは概ね検索エンジン経由であり、これらの集客は検索エンジンの表示結果に依存しています。検索エンジンの表示結果についてどのような条件により上位表示されるかは、各検索エンジンの運営者のポリシーやルールによるものであり、当社グループがその判断に介在する余地はありません。積極的なブランディングプロモーション等独自の集客力強化に努めるとともに、検索結果において上位に表示されるべくSEO等の必要な対策を進めていますが、検索エンジンの運営者による上位表示方針の変更等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じた場合には、当社グループが運営するサイトへの集客効果が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)システムトラブルについて
当社グループのサービスの多くは、コンピューターシステムとそれを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。そのためコンピュータウィルス・マルウェア等の進入やハッカー等による外部からの攻撃等に対処すべく各種のセキュリティ対策を実施しており、サーバーのデータについては常時バックアップを取る体制を採っています。
しかしながらネットワーク又はコンピューターシステムにおけるハードウェアやソフトウェアの不具合や障害、第三者による外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、当社及び外注先の役職員による人為的なミス、災害や事故等による通信ネットワークの切断、急激なアクセス増によるサーバーの一時的な作動不能、電力トラブル等が発生することで、一時もしくは一定期間にわたりサービスの一部又は全部の提供を中断する場合には、収益機会の喪失や当社グループのシステム自体への信頼低下及び損害賠償が生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)個人情報の取り扱いについて
当社グループは、運営する各種サービスにおいて、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、勤務先情報、生年月日、性別等の個人情報を取得しています。また取引先の機密情報等、重要な情報を多数扱っています。当社グループは、これらの情報の適正な管理を極めて重要な責務と考え、その取扱いには細心の注意を払うとともに、情報の取扱いに係わる社内規程の整備、定期的な従業員教育の実施、システムのセキュリティ強化、情報取扱い状況の内部監査等、情報管理の強化に努めています。また、法令その他諸規則等の要請に基づき個人情報を開示すべき義務が生じた場合、顧問弁護士及び関係する監督官庁との慎重な審議を行った上で、その対応を確定しています。
このように、各種情報の保護に注力していますが、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により、これらの情報の外部流出、消失、改ざん又は不正利用等が発生した場合には、損害賠償請求や適切な対応を行うための費用負担、収益機会の喪失、監督官庁からの処分、当社グループの社会的信用の失墜とそれに伴うユーザー及びクライアントの減少等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(カ)知的財産権等について
当社グループの事業運営に重大な影響を与える特殊な技術、ビジネスモデル、商標、及び著作物等の使用に対する損害賠償請求等を受け、多額の支払いやサービスの停止等を余儀なくされた場合には、当社グループの業績や事業運営に重大な影響を与える可能性があります。
一方、当社グループが第三者により何らかしらの権利を侵害された場合には、当社グループの権利保護のために、訴訟を含む費用が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(キ)コンプライアンスについて
当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部統制システムの強化を経営上の重要課題のひとつとして位置づけ、グループ各社の従業員等に対して適切な指示、指導を実施し、反社会的勢力との関係遮断や不正行為の防止・発見のために必要な予防策を講じています。
当社グループは事業の運営にあたり、必要に応じて関係機関への確認や弁護士等の外部専門家への相談を実施していますが、コンプライアンスをはじめとした内部統制システムには一定の限界があるため、リスクを完全に排除できるものではなく、当社グループや取引先に起因するものを含め、将来において法令違反等が生じた場合や、故意ではないものの法令その他諸規則の解釈の相違等により行政機関から行政指導等を受けた場合には、当社グループの信頼性や企業イメージの低下によるユーザー及び顧客の離反、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また各種法令の解釈の見直しや条件の追加、当社グループの事業に不利な影響を与え得る規制の強化等が実施された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ク)人材の確保と育成について
当社グループは主としてインターネットを活用し、住宅や高齢者向け施設、トランクルームといった様々な分野におけるサービスを提供しています。そのためインターネットやIT技術をはじめとする研究・開発人材や、各サービス分野において専門性を有する人材が必要であり、各サービスの競争力強化に向けて人材の継続的な確保と育成を経営の重要課題として位置付けています。しかしながら、近年様々な業界がDXに取組んでいることを背景に、特にIT人材の不足や、それに起因する雇用条件の上昇及び人材獲得競争の激化が進んでいます。今後、各サービス分野や職種、及び地域における人材獲得競争の激化等により、優秀な人材の確保が困難となる場合や、人材流出が生じる場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③外部環境に関するリスク
(ア)景気変動に伴うリスクについて
当社グループが主として事業を展開しているインターネット広告市場は、インターネットの普及、スマートフォンの普及・利用拡大や、様々な分野におけるオンライン化等を背景に規模拡大を継続しています。しかしながら、広告主の広告戦略は、事業の状況、事業環境の変化により決定されるため、景気変動による影響が大きく、今後景気が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)災害等のリスクについて
当社グループでは、有事の際に備え、事業継続計画(BCP)を策定していますが、大規模災害や疫病・疾病の蔓延、地域・国際紛争といった想定を超えた災害が発生した場合は、当社グループの事業活動及びサービス提供自体が困難となる可能性があります。また、災害の発生やその影響期間の長期化により、社会全体の経済活動が停滞した場合には、当社グループの提供するサービスに対するニーズが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)為替の影響について
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、急激な為替レートの変動は、地域間の企業取引及び海外拠点における商品価格やサービスコストに影響し、売上収益や損益等の業績に影響を与えます。また、海外における資産価値や負債価値は、連結財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)同業他社について
当社グループが運営する『LIFULL HOME'S』『Trovit』『Mitula』『Nestoria』『LIFULL介護』等のインターネット関連サービスには、複数の競合が存在しています。またインターネット関連サービス以外のサービスについても同様に複数の競合が存在しています。
当社グループでは今後も当社サービスの競争力強化に向けた投資を実施し、他社との差別化に努める方針ですが、当社の競争力強化に向けた投資が計画通りの成果を上げられない可能性や、インターネット業界の参入障壁は低く新規参入が容易であること、革新的な技術やビジネスモデルの競合の出現競合等により、競合環境が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(オ)技術革新について
当社グループの各事業はICT(情報通信技術)を事業基盤としており、先進技術を積極的に活用することで各サービスの価値向上に取り組んでいます。しかしながら、ICTの進歩はめまぐるしく、何らかしらの要因により当社グループにとって利用価値の高い技術への対応が遅れた場合には、導入している技術が陳腐化することで、提供する各サービスに対するユーザー、クライアント等の満足度が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新技術に対応するためのネットワーク関連機器及びソフトウェアの購入やライセンス料金、自社あるいは外部委託による開発等の費用が増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④その他のリスク
(ア)配当政策について
当社は、積極的な事業展開の推進により、利益の継続的な増加を目指す「将来の成長に対する投資」及び財務体質の充実・強化を図るための「内部留保」を中心に据えながら、「株主の皆様への利益還元」を重要な経営方針の一つとして位置付けています。
配当金は、中長期的な事業計画等を勘案して、毎期の業績に応じた弾力的な成果の配分を行うことを基本方針としており、当社グループの単年度の業績が赤字になった際は、配当金額をゼロとさせていただく可能性があります。
(イ)楽天グループ株式会社との関係について
楽天グループ株式会社は、当社株式を保有する大株主であり、当社のその他の関係会社に該当します。同社と当社との間では、同社が運営するポータルサイトへの当社不動産情報を掲載する等の商取引関係がある等、広範囲に亘る友好的な関係にあります。
将来においても同社との関係が現状と同様のものであるか否かは不明であります。同社との現在の関係が維持されなかった場合、取引高は当社グループの収益の中では比較的小さいものの、当社の今後の事業展開や資本政策に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念として掲げ、あらゆるステークホルダーに配慮した健全な事業活動を通じ、当社グループの企業価値向上と、持続的な社会の発展に貢献することを目指しております。当期における事業環境は、国内においては、雇用・所得環境に改善の動きがみられること等を背景に、緩やかな回復基調が続いているものの、エネルギー価格の高騰や円安基調の継続等に起因する物価上昇感から、個人消費の回復は限定的となっております。
当社の主要な事業領域である建設・不動産業界においては、新築着工件数の減少と、資材・人件費高騰等による新築物件の価格上昇が継続しており、当期(2023年10月~2024年9月)の全国移動者数は前期比0.2%減少しています(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より)。海外においては、世界的な金融引き締めに伴う影響や景気の下振れなどもあり、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
このような環境のもと、当社グループは、主力事業であるHOME'S関連事業と海外事業を中心に、中期経営計画(2021年~2025年)の達成に向け収益力の向上に努め、中長期的な事業成長を目指した積極的な投資を継続すると共に、主力事業へ経営リソースの集中を行っております。その一環として、2024年2月には、「LIFULLトランクルーム」の運営を行っていた株式会社LIFULL SPACEの株式譲渡を実施しました。
これらの結果、当期における連結業績は、売上収益34,466百万円(前期比△5.3%)となりましたが、前期に計上されている一時的な地域創生ファンドの売上収益2,517百万円と、2024年2月に株式譲渡を行ったLIFULL SPACEの前期の第3四半期以降の売上収益を除くと、前期比+2.1%の増収となっております。
一方で、LIFULL CONNECTで構成される海外事業では、売上及び収益性改善のために2023年12月に経営体制を刷新し、立て直し計画を遂行しておりましたが、一部の指標では改善が見られたものの自然流入の減少傾向は継続し、立て直し計画からも乖離が生じたため、のれんの減損損失7,056百万円を計上しました。また、前CEOの退任や体制移行に伴う一時的な費用が発生していることや、国内のHOME'S関連事業で中長期の成長拡大に向けた積極的な採用活動を行っていること等により、営業損失6,443百万円(前期は営業利益1,842百万円)、税引前損失7,076百万円(前期は税引前利益1,518百万円)、当期損失8,462百万円(前期は当期利益963百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失8,463百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期利益939百万円)となりました。
また、これらの状況を踏まえ、海外事業の赤字を止めるべくリストラクチャリング計画を進めており、2024年11月13日に、LIFULL CONNECTの株式を異動することについて具体的な協議をFAZWAZ PTE. LTD.の創業者と進める旨の基本合意契約書を締結いたしました。詳細は、同日発表の、「海外特定子会社の異動に関するお知らせ」をご覧ください。本異動が実施された場合、LIFULL CONNECTは連結対象から除外される予定です。
なお、当期におけるセグメント毎の売上収益及びセグメント利益(損失△)は、以下のとおりです。
当社グループの連結子会社であるLIFULL Tech Vietnam Co.,Ltd.及びLIFULL Tech Malaysia SDN.BHD.について、従来はLIFULL HOME'Sと外部からの開発案件の受託を主な事業としておりましたが、LIFULL HOME'Sの受託案件を中心に行い当該事業の加速に寄与する計画に変更いたしました。
この変更に伴い、当連結会計年度より、LIFULL Tech Vietnam Co.,Ltd.及びLIFULL Tech Malaysia SDN.BHD.が属する報告セグメントを海外事業からHOME'S関連事業に変更しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(注1) セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
(注2) 前期のセグメント損失は246百万円であります。
(注3) 前期のセグメント損失は204百万円であります。
当セグメントは、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」や不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」及び関連事業で構成されています。
LIFULL HOME'Sでは、当期は前期から引き続き、クライアント・ユーザーへの価値提供の向上と競争力強化に向けて、より一人ひとりにぴったりな住まい探しを提案し、成約確度の高い送客を行えるよう、AI技術を活用した新機能の開発や、ユーザー体験の向上を目的としたUX・UIの改修、クライアントネットワークの拡大・強化に取り組んでおります。国内の移動者数がほぼ横ばいで推移する中、各種施策の効果によりトラフィックは順調に増加し、当事業の売上収益は24,034百万円(前期比+3.4%)となりました。中長期の成長拡大に向けて積極的な採用活動を行ったこと等から、セグメント利益は2,673百万円(同△3.8%)となりました。
②海外事業
当セグメントは、主にLIFULL CONNECTが運営する不動産・住宅情報のポータルサイトとアグリゲーションサイト、DXエージェント(テクノロジーを活用した不動産取引。2023年1月より連結したFazWaz Thailand Co., Ltd.を中心に展開)により構成されています。
当期においても、成長戦略「Moving to Direct」(ユーザーとクライアントへのサービス提供価値を高めながらDXエージェントやポータルサイトを強化する戦略)を継続して推進しました。その結果、DXエージェントのFazWazを中心にDirect領域は好調に進捗しているものの、外部環境の急激な変化等からアグリゲーションサイトの減収が継続しており、売上の向上と収益性の回復に向けて、2023年12月に役員と経営体制の変更を行い、立て直し計画を進めております。
以上の結果、当事業の売上収益は8,154百万円(同△1.2%)となりました。主な増収要因は、前期に連結を開始した2社(2023年1月にFazWaz Thailand Co., Ltd.、2023年3月にMedios de Clasificados, S. De R.L. de CV)によるものです。アグリゲーションの減収に加え、立て直しのための前CEOの退任や体制移行に伴う一時的な費用が発生したことから、セグメント損失は1,464百万円(前期はセグメント損失246百万円、1,218百万円の悪化)となりました。
海外事業については、立て直し計画により一部の指標では改善が見られるものの、今後もアグリゲーションの減収は継続する見通しであることから、のれんの減損損失7,056百万円を計上しました。
また、これらの状況を踏まえ、海外事業の赤字を止めるべくリストラクチャリング計画を進めており、2024年11月13日に、LIFULL CONNECTの株式を異動することについて具体的な協議をFAZWAZ PTE. LTD.の創業者と進める旨の基本合意契約書を締結いたしました。詳細は、同日発表の「海外特定子会社の異動に関するお知らせ」をご覧ください。本異動が実施された場合、LIFULL CONNECTは当社の連結対象から除外される予定です。
③その他
その他は、老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」、地方創生事業等により構成されています。
当事業の売上収益は2,288百万円(同△53.6%)、セグメント損失は421百万円(前期はセグメント損失204百万円、216百万円の悪化)となりました。
前期に地域創生ファンドのホテル案件等の売却により一時的に売上が増加したことと、2024年2月に収納スペースの検索サイトを運営していたLIFULL SPACEを譲渡したことによる減収であり、地域創生ファンドの一時的な売上と、LIFULL SPACEの前期の第3四半期以降の売上を除いた場合、売上収益は前期と同水準となります。また、この地域創生ファンドの一時的な売却に係る利益を除いた場合、当期のセグメント損失は前期より改善しております。
以下の項目等、より詳しい決算内容に関しては、当社投資家情報サイトより、2024年11月13日発表の「2024年9月期 決算説明資料」をご覧ください。
参考URL:https://LIFULL.com/ir/
<決算説明資料の主な項目>
・簡易損益計算書 ・・・ 簡易損益計算書(IFRS)
・セグメント別売上収益 ・・・ セグメント別売上収益(IFRS)
・業績予想の進捗状況 ・・・ 簡易損益計算書、サービス別売上収益
・事業の状況 ・・・ セグメント毎の主な取組状況
・四半期別の業績推移 ・・・ 連結損益計算書(簡易版)、連結セグメント別損益
・外部市況データ月別推移 ・・・ マンション発売戸数、マンション価格、新設住宅着工戸数、日本全国移動者数、日本人口
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(流動資産)
流動資産の残高は21,589百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)に比べ1,474百万円減少しております。主な要因は、現金及び現金同等物の減少1,876百万円、売掛金及びその他の短期債権の減少330百万円、その他の短期金融資産の増加652百万円、その他の流動資産の増加80百万円であります。
(非流動資産)
非流動資産の残高は19,602百万円となり、前期末に比べ8,500百万円減少しております。主な要因は、有形固定資産の減少95百万円、使用権資産の減少446百万円、のれんの減少6,395百万円、無形資産の減少828百万円、持分法で会計処理されている投資の減少330百万円、その他の長期金融資産の増加180百万円、繰延税金資産の減少617百万円、その他の非流動資産の増加32百万円であります。
以上の結果、当期末の資産合計は41,191百万円となり、前期末に比べ9,975百万円減少しております。
(流動負債)
流動負債の残高は10,295百万円となり、前期末に比べ1,831百万円減少しております。主な要因は、買掛金及びその他の短期債務の減少285百万円、借入金の減少1,757百万円、リース負債の増加27百万円、未払法人所得税の減少110百万円、及び、その他の流動負債の増加294百万円であります。
(非流動負債)
非流動負債の残高は6,693百万円となり、前期末に比べ208百万円増加しております。主な要因は、借入金の減少43百万円、リース負債の減少477百万円、その他の長期金融負債の増加749百万円、繰延税金負債の減少61百万円、及び、その他の非流動負債の増加21百万円等であります。
以上の結果、当期末の負債合計は16,989百万円となり、前期末に比べ1,623百万円減少しております。
(資本)
当期末における資本の残高は24,202百万円となり、前期末に比べ8,352百万円減少しております。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期損失による利益剰余金の減少8,463百万円、剰余金の配当による利益剰余金の減少545百万円、その他の包括利益によるその他の資本の構成要素の増加753百万円、株式報酬取引による資本剰余金の減少45百万円、及び、非支配持分株主との資本取引による資本剰余金の減少51百万円等であります。
当期における現金及び現金同等物(以下、資金)は、1,876百万円減少し、14,633百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は1,671百万円となり、前連結会計年度(以下、前期)の増加した資金6,233百万円と比べ、4,561百万円の減少となりました。主な要因は、税引前当期損失が7,076百万円と前期の税引前当期利益1,518百万円に比べ8,594百万円減少したこと、減価償却費及び償却費が1,974百万円と前期に比べ122百万円減少したこと、減損損失が7,081百万円と前期に比べ6,952百万円増加したこと、売掛金及びその他の短期債権の増減額が378百万円と前期に比べ297百万円減少したこと、買掛金及びその他の短期債務の増減額が△351百万円と前期に比べ1,420百万円増加したこと、棚卸資産の増減額が△106百万円と前期に比べ2,101百万円減少したこと、条件付対価に係る公正価値変動額が785百万円と前期に比べ10百万円増加したこと、その他が△348百万円と前期に比べ1,234百万円減少したこと、及び、法人所得税の支払額が821百万円と前期に比べ689百万円増加したこと等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は718百万円となり、前期の減少した資金1,743百万円と比べ、1,024百万円の増加となりました。主な要因は、前期は子会社の取得による支出が1,264百万円、関連会社株式の売却による収入が858百万円それぞれ発生していたこと、当期は資本性金融資産の取得による支出が248百万円、子会社株式の売却による収入が939百万円、関連会社株式の取得による支出が124百万円それぞれ発生したこと、有形固定資産の取得による支出が250百万円と前期に比べ118百万円増加したこと、無形資産の取得による支出が148百万円と前期に比べ239百万円減少したこと、貸付による支出が2,666百万円と前期に比べ223百万円増加したこと、貸付金の回収による収入が1,966百万円と前期に比べ414百万円増加したこと、及び、その他が△230百万円と前期に比べ286百万円減少したこと等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は2,977百万円となり、前期の減少した資金5,079百万円と比べ、2,102百万円の増加となりました。主な要因は、当期は長期借入れによる収入が100百万円、非支配持分からの子会社持分取得による支出が65百万円それぞれ発生したこと、短期借入金の返済による支出が2,029百万円と前期に比べ229百万円増加したこと、長期借入金の返済による支出が217百万円と前期に比べ1,375百万円減少したこと、配当金の支払額が545百万円と前期に比べ248百万円増加したこと、非支配持分への配当金の支払額が1百万円と前期と比べ55百万円減少したこと、非支配持分からの払込による収入が100百万円と前期に比べ97百万円増加したこと、及び、自己株式の取得による支出が0百万円と前期に比べ999百万円減少したこと等であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益及び営業利益)
当連結会計年度(以下、当期)においては、国内においては、前期から引き続き、主力事業である不動産関連情報サービスの継続的な成長に向けて積極的な集中投資を行っており、トランクルームの検索サイト等の周辺事業の売却等により、主力事業への経営リソースの集中を行いました。
一方、海外事業においては、収益性改善のため、経営体制を刷新し立て直し計画を進行しており、立て直しに伴う一時費用が増加しました。また、立て直し計画により一部指標に改善はみられるものの、アグリゲーションサイトの減収が今後も継続する見通しであることから、のれんの減損損失7,056百万円を計上しました。
この結果、当期における売上収益は34,466百万円、営業損失は6,443百万円となりました。
これらの状況を踏まえて、海外事業のリストラクチャリング計画を進めております。詳細は、2024年11月13日発表の「海外特定子会社の異動に関するお知らせ」をご覧ください。本異動が実施された場合、LIFULL CONNECTは当社の連結対象から除外される予定です。
当期は持分法投資損失193百万円及び持分法による投資の減損損失261百万円等が発生したこと、また、法人所得税費用1,386百万円を計上した結果、当期損失は8,462百万円となりました。
資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析は「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要は販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。
(財務政策)
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、効率的な資金の確保を最優先しております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
短期的な運転資金の調達並びに設備投資資金等の調達に関しましては、自己資金及び複数の金融機関より確保している融資枠からの借入金を基本としております。
「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、日本及び海外において不動産情報サービス事業を中心に、住まいの情報を提供しております。また、住まいの情報のみならず、介護施設やトランクルーム等、暮らしにかかわる様々な情報サービスを提供しております。
当社グループが重視している経営指標は、売上収益、CAGR、営業利益、営業利益率であり、事業上の指標として、HOME'S関連事業においては掲載物件数、顧客数、一顧客あたり平均売上(ARPA)、サイトの訪問者数、問合せ数(ユーザーから不動産会社等に対するメールや電話での問合せ)等を重視しております。
当社グループでは「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念として掲げており、あらゆる人が安心と喜びをもって未来へと進んでいくためのサポートをしたいと考えております。世の中に溢れている大量の情報を蓄積・整理・統合し、情報を必要としているユーザーに対し、様々なデバイスやチャネルを通じて最適な情報を提供することに取り組んでおります。
この戦略に基づき、「HOME'S関連事業の強化」、「海外事業のグローバルにおける競争力強化」、「不動産領域以外の新規領域事業の収益化と新規事業開発」に重点的に取り組んでまいります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」という経営理念のもと、先進技術を積極的に活用しながら様々なサービス開発に取り組んできました。近年の技術進歩は目覚ましく、AI、ロボット、IoEといった新たな技術の活用事例も出てきている中、当社でも現存技術の改善・改革を実行すると同時に、魅力ある新技術の開発、活用は必要課題であり、研究開発力の強化は当社にとって重要課題のひとつであると考えています。
当社では、積極的なAI技術の活用によりサービスの品質や業務の生産性向上を目指し、2018年からAI活用のための専門組織を設置。当社グループの持つビッグデータやAI技術を活用し、レコメンデーションエンジンの研究開発や、機械学習による業務効率化につながる機能開発、住宅の平面間取り画像をもとに3Dモデルを生成する技術の開発等の取り組みを継続しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は