第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2020年

9月期

2021年

9月期

2022年

9月期

2023年

9月期

2024年

9月期

売上高

(千円)

334,338

502,559

585,161

897,422

1,002,540

経常損失(△)

(千円)

113,960

63,779

113,873

108,156

138,087

当期純損失(△)

(千円)

116,424

74,135

234,324

112,215

133,881

持分法を適用した

場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

498,100

773,100

1,596,272

1,600,178

1,600,529

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

270,000

9,123,000

11,146,000

11,277,700

11,290,900

A種種類株式

900,000

B種種類株式

374,100

C種種類株式

95,700

D種種類株式

純資産額

(千円)

324,847

800,711

2,217,772

2,110,488

1,975,121

総資産額

(千円)

574,472

1,125,905

3,384,306

2,672,098

2,736,290

1株当たり
純資産額

(円)

39.13

87.75

198.51

186.93

174.91

1株当たり配当額
(1株当たり
中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり
当期純損失(△)

(円)

14.03

8.67

22.33

9.97

11.87

潜在株式調整後

1株当たり
当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

56.5

71.1

65.5

78.9

72.2

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・
フロー

(千円)

171,175

205,153

337,564

321,199

3,378

投資活動による

キャッシュ・
フロー

(千円)

10,237

26,145

36,477

13,410

81,333

財務活動による

キャッシュ・
フロー

(千円)

13,471

634,251

1,612,812

5,299

48,855

現金及び現金
同等物の期末残高

(千円)

424,116

827,069

2,740,969

2,401,060

2,274,249

従業員数

(名)

30

30

35

43

47

(外、平均臨時
雇用者数)

(2)

(4)

(11)

(13)

(11)

 

 

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2020年

9月期

2021年

9月期

2022年

9月期

2023年

9月期

2024年

9月期

株主総利回り

(%)

107.1

80.0

(比較指標:東証グロース指数)

(%)

(―)

(―)

(―)

(106.2)

(94.1)

最高株価

(円)

1,870

902

757

最低株価

(円)

560

421

415

 

注1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度にかかる主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.第10期から第14期の経常損失及び当期純損失の計上は、技術基盤の確立のための研究開発活動にかかる先行投資によるものであります。

3.第10期から第14期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、1株当たり当期純損失であり、かつ、第10期及び第11期については、潜在株式は存在するものの当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向は、配当を行っていないため記載しておりません。

5.株価収益率及び自己資本利益率は、当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

6.2019年11月15日開催の臨時株主総会及び2021年9月6日開催の臨時株主総会の決議に基づき、それぞれ株式1株につき10株、1株につき300株の分割を行いました。また、2021年9月6日開催の臨時株主総会の決議に基づき、同日付でA種種類株式、B種種類株式、C種種類株式及びD種種類株式にかかる定款の定めを廃止し、各種類株式はそれぞれ当社の普通株式3,000株、12,470株、3,190株及び2,750株に転換しておりますが、第10期の期首に当該株式分割、転換が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

7.第10期から第12期の株主総利回り及び比較指標並びに第10期及び第11期の最高株価、最低株価については、2021年12月24日に東京証券取引所マザーズに上場したため、記載しておりません。第13期以降の株主総利回り及び比較指標は、2022年9月期末を基準として算定しております。

8.第12期の最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおける株価を記載し、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。

 

2 【沿革】

当社は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)において、30年近く開発されてきた、バイオマスから化学品を製造するバイオものづくり技術(RITE Bioprocess®)の実用化を目指して、2011年9月に設立されました。

「公益財団発技術開発型ベンチャー」として、当初ラボスケールであった技術を商用スケールまで進展させ、2018年よりライセンシーにおいて本格的な商業生産、販売が始まったところであります。

また、設立以降の経緯は次のとおりであります。

 

年月

概要

2011年9月

Green Earth Institute株式会社を設立。(資本金:10,000千円)

2012年2月

公益財団法人地球環境産業技術研究機構との間でアミノ酸等の製造に必要なRITE Bioprocess®の特許の実施権契約を締結。

2012年8月

米国工業微生物学会(SIMB)にて、国立再生可能エネルギー研究所 (The National Renewable Energy Laboratory(NREL))とのセルロース系バイオマス由来のエタノールの共同研究成果を発表。

2016年3月

バイオマス由来のアラニン(アミノ酸の一種)の商用スケールでの量産に成功。

2018年4月

中国企業とバリン(アミノ酸の一種)にかかるライセンス契約を締結。

2018年10月

ライセンシーにおいてバリンの製造販売を開始。

2021年2月

当社が製造した古着由来のバイオジェット燃料を搭載した日本航空株式会社の商用機が、日本初の純国産バイオジェット燃料によるフライトを実現。

2021年2月

DIC株式会社とアスパラギン酸(樹脂原料)にかかるライセンス契約を締結。

2021年7月

「サーキュラーバイオ®エタノールプロジェクト」第1弾として、シュレッターごみ由来のエタノール消毒液が完成。

2021年8月

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構よりバイオファウンドリ事業を受託(採択時において6年間、総額54億円(税込))。

2021年12月

東京証券取引所マザーズに上場。

2022年3月

DIC株式会社とβアラニン(アミノ酸の一種)にかかるライセンス契約を締結。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、マザーズ市場からグロース市場へ移行。

2022年9月

環境省より「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(廃棄物等バイオマスを用いた省CO2型ジェット燃料又はジェット燃料原料製造・社会実装化実証事業)」を受託(採択時において2年間、約2億円(税込))。

2022年10月

電源開発株式会社とオイルパーム廃木を活用した複合事業にかかる調査契約を締結。

2023年1月

日本製紙株式会社、住友商事株式会社と、木質バイオマスを原料とするバイオエタノール商用生産及びバイオ化学製品の展開にかかる基本合意書を締結。

2023年8月

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構よりグリーンイノベーション基金事業を受託。

2023年11月

住友林業株式会社と木質バイオマスを原料としたバイオものづくり事業の推進にかかる資本業務提携契約を締結。

2024年2月

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構より第1回バイオものづくり革命推進事業の交付を受ける(採択時において8年間、総額約24億円(税抜))。

 

注1.RITE Bioprocess®は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の登録商標(登録第5796262号)であります。(使用許諾済)

2.「サーキュラーバイオ®エタノールプロジェクト」は、古紙は残渣等の廃棄物よりエタノール製品を生産し、循環型経済を推進する当社プロジェクトであります。

3.バイオファウンドリ事業は、日本における大学や企業等が保有する、バイオものづくり技術の商用化のための生産プロセスの開発、実証等を実施するプラットフォーム(バイオファウンドリ拠点)を構築、運用する事業であります。

4.グリーンイノベーション基金事業は、日本のカーボンニュートラル実現に向けて創設された総額2兆円の基金であり、研究開発・実証から社会実装までを見据え、企業等の取組みに対して10年間の継続的な支援を行うものであります。

5.バイオものづくり革命推進事業は、未利用資源の収集・原料化、微生物等の改変技術、生産・分離・精製・加工技術、社会実装に必要な制度や標準化等のバイオものづくりのバリューチェーン構築に必要となる技術開発及び実証の一貫した支援を行うものであります。

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の特徴

当社は、コリネ型細菌という微生物を活用した高効率な発酵技術(バイオプロセス)をコア技術として設立された技術開発型ベンチャーであります。

当社は、現在石油を原料として生産されている化学品を、農業残渣や食品残渣等のバイオマス由来のものに転換、又は従来バイオマスより生産されている製品につき、より効率的な生産方法に代替していくことによる、持続可能な社会の実現を経営理念として掲げており、当社の技術により、石油を使わず、バイオマスから化学品を作る「バイオエコノミー」と資源の循環により持続的な社会を作る「サーキュラーエコノミー」の両方を同時に実現してまいります。

そして、今後、増加してくるであろう世界中のバイオものづくりプラントにおいて当社の技術が使われ、「創造的な技術力、提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になる」ことを目指しております。

 

当社は、自らは商用生産設備を保有せず、研究開発受託と、そこから展開されるライセンス、自社販売、テクノロジーパッケージという4つのビジネスモデルを軸としております。新技術の商用化には、大別して4つの段階があり、技術開発の対象を選定するStage0、技術的及び市場的な可能性を実証するStage1、対象製品に対する需要を抱える企業等と最適な菌体及び生産プロセスを開発するStage2、そして研究開発の成果である技術のパイロットテストの実施、パートナー企業等にライセンス供与、当該技術や設備の導入又は当該技術を使用した自社販売(外部へ委託生産し、当社が販売)するStage3となります。

各Stageにおける具体的な実施事項は次のとおりであり、Stage2(開発段階)においては、主として研究開発収入、Stage3(商用化段階)においては、主としてライセンス一時金、ロイヤリティ収入又は製品販売収入を収益として計上しており、特許権等の活用による長期的かつ安定的な収益形態を目指しております。

 

① Stage0~1「研究段階」

・開発品候補の選定:市場の需要等より開発すべき化学品の候補を選定

・PoC(Proof of Concept):開発候補品の技術的な開発可能性、特許権の抵触の有無、市場規模、競合製品及び市場優位性等の確認

 

② Stage2「開発段階」

・菌体の設計及び開発:意図する化学品を効率的に生産する菌体の設計、開発

・生産プロセスの開発:意図する化学品を生産可能な菌体をラボレベルで増殖させるプロセスの開発

・生産プロセスのスケールアップ:実機レベルで菌体を増殖可能とするためのシミュレーション等の実施

 

③ Stage3「商用化段階」

・パイロットテストの実施:ライセンス候補先又は当社における、Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にしたパイロットスケールで化学品を生産実証

・実機テストの実施:ライセンシーにおける商用化のための商用プラントでの試作とサンプル提供等(商用生産準備)

・プラント導入:Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にした生産プラントの導入

・製造販売:ライセンシーにおける商用生産又は当社における委託生産の開始及び製品(化学品)販売の実施

 

当社においては、開発対象とする製品や提供するサービス等の区分とパートナー企業の組合せごとに、このような研究開発から商用化までの流れに沿って進められる案件をパイプラインと称しております。

主としてStage2が研究開発事業、Stage3がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業の領域であり、研究開発事業がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業へと成長することから、これらのビジネスモデルを総じて1つのバイオものづくり事業というセグメントとしております。

売上高にかかるパイプライン総数の推移は次のとおりであります。

 

 

2022年9月

2023年9月

2024年9月

売上高(億円)

5.8

8.9

10.0

パイプライン総数

(件)

(注)

Stage2

19

14

20

Stage3

13

2

2

合計

32

16

22

 

注.当該事業年度中に売上を計上したパイプラインの数

 

 

 


 

※1 横軸は、当社の標準的な業務のステップであるが、実際の業務に要する時間を表しているものではない。

※2 各収益は、当該業務ステップでの対価であるが、収益計上の時期・金額規模を表しているものではない。

※3 各収益に対する過年度実績からの平均金額及びロイヤリティ収入に対するロイヤリティ率は、パートナー企業の研究開発及び事業の進捗に関連するため、非公開とさせていただく。

※4 マイルストン型の収入であるが、マイルストンの数は、研究開発の契約形態により異なる。

※5 パートナー企業が自社保有の発酵設備を用いてパイロットテストをする際の当社の技術的支援等に対する対価である。

※6 当社がパイロットテスト及び実機テストを実施する際の対価である。

※7 コマーシャルプラントに先立ち、パイロットテスト用のプラントを導入する場合に発生する対価であるセミコマーシャルプラントやデモプラントと呼ばれる準商用生産用のプラントを導入することもある。

※8 コマーシャルプラント商用生産用のプラントを導入する場合に発生する対価である。

※9 開発成功率・ライセンスまでの期間・上市までの期間は、パイプラインごとに研究開発の難易度・着手するステージ等にバラつきがあり、当社の標準的な数値を示すことが困難であるため、非公開とさせていただく。

 

(2) 技術の特徴

当社が得意とするバイオものづくり技術は、次の9つの特徴を有します。これらの特徴的な技術の組合せによって、遺伝子操作により高度に機能が設計された微生物を活用した、高効率なバイオものづくりを実現しております。

 


 

① 独創的な人工代謝経路設計

より高効率な生産を実現するために、微生物自体について、当社が保有する技術やノウハウや人工代謝経路設計を使い、複数の遺伝子を破壊、もしくは導入することにより、副生物の生成を抑えて原料の利用効率を高める等の代謝経路の最適化や、酵素特性の改変、特定物質への耐性の付与等の開発を行っております。

 

② 増殖非依存型バイオプロセス

従来の発酵法によるバイオマスからの化学品の生産は、微生物の生命活動(増殖)を利用し、その生命活動のための多段階の酵素反応(代謝)の過程で生成される物質を得るものであります。よって微生物の分裂増殖に依存して生産を行います。

そのため、増殖のためのエネルギー、場所、時間を必要とし、石油等の非バイオマスからの化学反応による生産と比較して生産性が大幅に低く、経済的な障壁となっておりました。

しかし、増殖非依存型バイオプロセスは、微生物(コリネ型細菌)が、増殖できない酸素抑制条件において、増殖をしないものの代謝活性を高く維持するという特徴に着目し、増殖をさせずに代謝のみを行わせることにより、低コストで高い生産性を発揮する独創的な発酵法であります。

増殖非依存型バイオプロセスでは、大量に培養したコリネ型細菌を反応器に高密度に充填し、酸素抑制条件下で増殖を停止させてコリネ型細菌の活動を物質生産に集中させる手法により、従来の発酵法と比較して高い原料効率で小規模な設備で短時間に対象物質を多量に得ることができます。

また、増殖に依存しないため、非可食バイオマスを原料とする代謝の過程で生じるフェノール類やアルデヒド類、有機酸類等の副生物による、発酵阻害(増殖阻害)の影響をあまり受けずに生産することができます。

 


 

③ 実験計画法による培養条件の最適化

実験計画法(Design of Experiments)※1での統計解析により、それぞれのバイオプロセスにおける重要パラメータを抽出し、決定的スクリーニング表(Definitive Screening Design)※2で条件を最適化できます。

 


※1 実験計画法(DOE/Design of Experiments):少ない実験回数の結果から、統計解析により効率よく実験結果を得るために実験を計画する手法

※2 決定的スクリーニング計画(DSD/Definitive Screening Design):様々な培養条件について低・中・高の3条件を設定し、各条件で得られる結果から、複数の条件について同時に最適条件を導き出す計画手法

※3 出典:「Aspartic Acid Market Size To Reach $168.0 Million By 2030」

   https://www.grandviewresearch.com/press-release/global-aspartic-acid-market

※4 当該図は、実験計画法のイメージ図であり、実際の重要パラメータ抽出と条件最適化を表現しているものではない

※5 応答曲面法:実験データを基にして近似曲面を生成し、最適化を行う設計手法

 

 

④ 発酵原料となる糖を抽出する前処理設備や発酵液からの精製設備の導入

バイオファウンドリ研究所に、発酵原料となる糖質をバイオマスから取得する前処理設備として二軸同方向押出加熱器や発酵液からの精製設備として、樹脂塔、晶析、濃縮、膜分離等の多種類の装置を導入。

 


 

⑤ CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)による高度な数値解析

モノづくりにおいて、ラボスケールで良いデータが得られても、商用スケールにした場合、同様の結果が得られるとは限りません。特に、バイオものづくりでは、菌体という生きものを扱っていることから、設備の種類や大きさ、生産規模等の環境によって菌体のパフォーマンスが大きく異なることから、これまで商用スケールにおける生産予測が難しく、少しずつスケールアップするというのが常道でありました。

当社は、バイオ生産プロセスにおけるCFDに基づくコンピュータシミュレーションシステムを開発しており、本システムの活用により、精度良く商用生産時における生産環境を予測し、短期間、低コストでスケールアップすることが可能となります。

 


※ 従来のコンピュータシミュレーションでは、気体・液体・固体が混在する培養槽内の環境を再現するのは困難であります。

 

 

⑥ スケールダウンモデルによる大型槽の培養条件の再現

スケールアップにあたって、CFDで予測した大型槽環境下で、微生物の生産性がどうなるかをスモールスケールで再現する手法(スケールダウンモデル※1)を使って、商用生産時の条件の最適化を図ることが可能となります。

 


 

 

 

※1 スケールダウンモデル:開発当初から最終生産(大型培養槽)の影響を確認しながら検討を進める手法

 

⑦ 生産プロセスの修正をしながらの生産実証

生産プロセスのパイロットテストの経験を数多く有する当社が、パイロットテストやサンプル生産を実施することにより、開発へのフィードバックが円滑に実施され、商用化までの期間が短縮されることになります。

 

 

⑧ 3,000L発酵槽によるスケールアップ検証

バイオファウンドリ研究所で最大3,000L発酵槽によるスケールアップ検証が可能であり、サンプル作成も可能です 。

 


※1 DO(Dissolved Oxygen/溶存酸素濃度):培養液中に溶解している酸素の濃度。微生物が呼吸により消費するため、培養液中に空気を吹き込み、一定濃度を維持することが必要

※2 排ガス濃度:微生物が呼吸によって排出したCO2(二酸化炭素)と吹き込んだ空気で利用できなかったO2(酸素)濃度を測定することで微生物の生育状態を把握している

※3 濁度:培養液に光を透過させて、透過光の量を測定することで微生物の増殖によって生じる濁りを菌数の指標としている

 

 

⑨ エンジニアリング会社との協力によるテクノロジーパッケージ作成

エンジニアリング会社と協力してソフト面(菌体、生産プロセス情報等)とハード面(設備設計書、プラント建設等)を兼ね備えたテクノロジーパッケージを製作し、バイオ化学品を生産したいパートナー企業に提供します。

 


 

 


 

 

(3) 事業系統図等

当社の事業系統図は次のとおりであります。

 


※1 OEM(Original Equipment Manufacturer):委託者のブランドで製品を生産すること、又は生産するメーカーのこと

 

(4) 用語

本書で使用する用語の解説は次のとおりであります。

用語

解説

アミノ酸

酸性基であるカルボキシル基(-COOH)と塩基性基であるアミノ基(-NH2)から構成される有機化合物。ペプチド結合(-CONH-)によりタンパク質を合成する。種類により甘味、苦味、酸味やうま味を持つ栄養素でもあり、食品添加物や医薬品原料、化粧品原料に使用される。

アラニン

生体のエネルギー生成に重要なアミノ酸である。糖や酸の代謝、免疫力の向上や、筋肉組織、脳、中枢神経系へのエネルギーの供給に関わる。

カーボンニュートラル

一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であるという概念。バイオマスは燃焼するとCO2を排出するが、そのCO2は植物等が成長する過程で、大気中から吸収したものであり、総量としてCO2の量は変化しないという考え方である。

グルコース

単糖類の1つであるブドウ糖(C6H12O6)。生物が活動するためのエネルギー源となる。天然に存在する単糖類は炭素原子(C)を6個持つものが多く、グルコースと同じ分子式であり、構造が異なる糖として、ガラクトース、マンノースが存在する。

酵素

生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子

コリネ型細菌

(Corynebacterium

glutamicum)

グラム陽性(グラム染色法により紫色に染まる細胞壁の厚い菌)土壌細菌であり、グルタミン酸やリジンをはじめとする、食品用、飼料用、医薬用のアミノ酸の工業生産菌として使用される。

サーキュラーエコノミー

従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアな経済(線形経済)に代わる、製品と資源の価値を可能な限り長く保全、維持し、廃棄物の発生を最小化した経済システム

生分解性

物質が微生物等の生物の作用により分解する性質。一般的には樹脂(プラスチック)等の有機化合物が土壌や水中の微生物により分解される性質を指す。

 

 

用語

解説

セルロース

植物細胞の細胞壁及び植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占める炭水化物(グルコースが結合した多糖類)である。

糖類

本書では、糖(C6H12O6)の最小単位である単糖類、複数個の単糖類が脱水縮合して結合(グリコシド結合)した少糖類、及び多数の単糖類がグリコシド結合した多糖類を指す。

バイオ化学品

化石資源ではなく再生可能資源であるバイオマスを原料として製造された化学製品。一般的に、酵素、酵母、微生物などを利用するバイオプロセスを使う。

バイオファウンドリ

合成生物学や未利用微生物の実用化も含めた微生物等の育種から生産に必要な大量培養に至るまでのバイオ生産システム

バイオプロセス

本書においては、バイオものづくり技術により目的物を生産するまでの工程及び当該工程の最適化を指す。

バイオマス

生物資源(bio)の量(mass)を表す概念であり、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。

バイオものづくり

遺伝子技術を活用して微生物や動植物等の細胞によって物質を生産することであり、化学素材、燃料、医薬品、動物繊維、食品等、様々な産業分野で利用される技術。

発酵

細菌等の微生物が、有機物を分解、合成してエネルギーや別の有機物を生産する過程(代謝)であり、主にヒトにとって有益な物質を生産するものを指す。

バリン

人の体内で合成されない必須アミノ酸である。たんぱく質の合成、肝機能向上、血液中の窒素バランスの調整、中枢性疲労の軽減に関わる。

非可食バイオマス

ヒトが食用にしない植物材料

ヘミセルロース

植物細胞壁の主要な構成要素の一つであり、不溶性、非結晶性の多糖類の総称。植物の細胞壁で、セルロースやリグニン各々を「結合させる機能」を担っている。樹木・植物の約20~30%を占める。

ライセンサー

知的財産権の実施許諾者

ライセンシー

知的財産権の実施権者

リグニン

植物細胞壁の主要な構成要素の一つであり、高分子化合物のポリマーである。抗菌性や難燃性があると考えられており、植物に強度を与える化合物。樹木・植物の約20~30%を占める。

CFD

(Computational Fluid

Dynamics)

偏微分方程式の数値解法等を駆使して、流体に関する運動方程式をコンピュータで解く数値流体力学により、空気の流れや温度の分布状況の可視化を行う数値解析、シミュレーション手法

Proof of Concept

新しい概念や理論、原理等が実現可能であることを示すための試行

 

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

2024年9月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

47

48.1

4.3

6,811

(11)

 

 

部門

従業員数(人)

研究開発部門

33

(11)

営業部門

8

企画/管理部門

6

合計

47

(11)

 

注1.当社の従業員には他社への出向者はおりません。

2.従業員数の( )は派遣社員及び他社からの出向者の人員数であり、外書きであります。

3.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、最近1年間の平均値であり、派遣社員及び他社からの出向者を対象外としております。

4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

5.当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、従業員数は部門別に記載しております。

 

(2) 労働組合の状況

当社において労働組合は存在しませんが、労使関係については円滑な関係にあります。