文中における将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「創造と調和」を経営の基本理念としております。社会、自然そして人との調和を大切にしながら、社会の求める良い製品を作り出していくことで、物質的にも精神的にも豊かな社会の実現に寄与できる企業となることを目指しております。
また、当社は、成長を続けるエレクトロニクス業界においてその事業環境の変化に適時的確に対応し、社内外の経営資源を有効に活用することにより、継続的な成長と収益を実現できる経営体質の確立を目指すとともに、今後もファインテクノロジーをベースにエレクトロニクス産業の一翼を担う社会的存在価値のある技術開発型企業として、社会に貢献してまいる所存であります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、「エレクトロニクスとテクノロジーの力で社会に貢献する」をパーパスとして掲げ、持続的な「企業価値向上」と「株主価値向上」を目指しております。中長期的な経営指標の目標を「営業利益率 20%以上」「ROE 15%以上」「売上高総資産回転率 1.0以上」と定め、その実現に向け、次の4項目の経営課題に取組んでまいります。
① 既存フォトマスク事業における収益力の向上
フラットパネルディスプレー業界におきましては、有機ELパネル、液晶パネルともに高精細化や高機能化、製品ラインナップの拡充に向けた開発が引き続き行われる見込みです。また、今後もパネル工場の新設が計画されております。このような状況の中、パネルメーカーからの高精度、高精細なフォトマスク技術への期待はさらに高まり、特にスマートフォン向けに有機ELパネル用のフォトマスク需要は増加すると想定しております。これらの需要を獲得するため、生産能力の向上と高精細対応を目的とした成長投資を行い、収益力の向上を図ってまいります。
② 新規事業立ち上げによる収益基盤の拡大
フォトマスク事業に次ぐ新たな事業として、現在、RFID分野、ヘルスケア分野に挑戦し、早期黒字化を目指しております。RFID分野では「エクストリームタグ」、ヘルスケア分野では「デジタルコルポスコープQ-CO」や「電気刺激装置WILMO」の拡販に努め、取扱製品拡充や新たな自社製品の開発などにも取り組んでまいります。また、新たな領域への参入、M&Aについても検討を進めてまいります。
③ 関連子会社によるグループ力の向上
フォトマスク事業に関して、台湾では製造および販売、中国、韓国では販売を行っており、当社を含めた各社が連携をより深めることで既存顧客に対するシェア向上と新規取引先の開拓に取り組むとともに、ヘルスケア分野の製品販路拡大を推進することにより、当社グループとしての総合力の向上を目指してまいります。
④ 持続的成長を支える経営基盤の強化
当社グループの今後の成長を促し企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの強化とともに、人材育成、環境負荷低減、事業による社会貢献などに取り組んでまいります。特に人材については、持続的な成長の源泉であると考えており、経営を担える人材、専門性を有するプロフェッショナルな人材の獲得や育成に注力してまいります。
当社は、経営理念「創造と調和」のもと、サステナビリティに関する課題への取り組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値を向上させ、さらには経済価値との好循環を生み出すことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しております。
<ガバナンス>
当社は、2021年10月にサステナビリティ委員会を取締役会の直轄組織として新設し、2021年12月にサステナビリティ推進規程を制定しました。当委員会においては、気候変動を含むサステナビリティ関連諸課題の重要事項等を審議し、取締役会に報告を行っております。
当社は、「SKE サステナビリティポリシー」を制定し、その中で5つの重要課題を定め、諸課題への対応を通じて自らの企業価値を向上させ、社会の持続的発展に貢献できるよう努めてまいります。
<リスク管理>
当社は、コンプライアンス委員会およびリスク管理委員会を設置しており、経営危機につながる可能性があるリスクに関する重要事項の審議を行い、改善の方向性を当該部門に提案するとともに、適宜取締役会に報告することとしております。サステナビリティに関連するリスクについても必要に応じてサステナビリティ委員会と連携のうえ、全社的なリスク管理と連動させてまいります。
リスクの詳細は、「
<ガバナンス>
気候変動をはじめとする地球環境の変化は、経済活動のみならず私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしつつあり、人類共通の大きなリスクであると認識しています。このような気候変動を含む環境課題を経営上の重要事項と捉え、リスク管理委員会とその方針を受けた環境・安全グループが主となって、CO2排出量削減の取り組みを進めており、その進捗状況は適宜取締役会に報告しております。
<戦略>
当社の事業形態は装置産業であり、装置稼働による電力消費(CO2排出)は避けられない状況にありますが、その中でも主要装置をより消費電力の少ない装置への切替えや、太陽光発電等の再生可能エネルギーへの切替えを推進しCO2排出量の削減に努めてまいります。
<指標及び目標>
CO2排出量の削減を行い、事業を通じて脱炭素社会の実現に貢献することが、気候関連リスクの低減と機会の増大につながると考えます。事業活動によるCO2排出量の削減に取り組む中で、Scope1+Scope2については2024年9月期から2026年9月期の3年間で300トンの削減を(2024年9月期実績152トン削減)、Scope3については2025年9月期より毎年5%の削減を目指しております。
(3) 人的資本・多様性
当社は、個人の多様性を尊重しつつ、それぞれが信頼・連携し合い、総合力を発揮することで、企業の持続的成長が出来ると考えています。今後も総合力を発揮し続けるために、多様な人材が活躍できる環境を整えてまいります。また、激しく変化する事業環境の中で、当社が変革し続けていくための人材の獲得と育成に継続的に投資し、人材基盤をさらに強化してまいります。
<戦略>
① 自己啓発
階層別、職種別にそれぞれが進んで自己啓発に取り組めるよう「ビジネス能力検定ジョブパス、ビジネス キャリア制度、選択型自己啓発セミナーなど」のプログラムを準備し、個人の能力研鑽の進捗度に合わせた能力開発を支援してまいります。
② 多様性の確保
女性活躍推進については、育児短時間勤務や時間単位での有給休暇取得、在宅勤務など、業務と育児の両立を支援する各種施策を実施し、女性社員が永く働ける職場づくりを推進するとともに、女性管理職の比率を引き上げるための管理職研修等を実施してまいります。
また、中途採用を積極的に行い、有能な人材を確保するとともに、継続した育成を行う中で管理職への登用を推進します。当社管理職のおよそ8割は中途採用者であり、中には派遣社員や契約社員から正社員として登用され、管理職として活躍している社員もおります。
③ 働きがいのある職場環境の整備
ハラスメントのある職場は、される側もそれを見ている周囲にも悪影響を及ぼすものであり、決して許されるものでは無いとの認識のもと、徹底したハラスメント研修を実施しています。研修を繰り返し受講することで、ハラスメントの撲滅をはかり、誰もが気持ちよく働ける職場環境を整えてまいります。
また健康経営と言う観点からは、メンタルヘルスケアの充実を進めてまいります。メンタルヘルスの不調は本人の問題にとどまることなく、企業組織にとっても生産性を低下させる要因でもあることから、メンタルヘルスの正しい理解、ストレスチェックを利用したストレスへの気づきの機会創出に加え、ラインによるケアがより重要になるとの認識のもと、メンタルヘルスマネジメントの有資格者の増員を目指してまいります。
<指標及び目標>
(注) 1 男性育児休業取得率及び女性採用比率については、実績年度では目標を達成しておりますが、
該当者が少数であるため変動が大きく、今後とも維持できるように取り組んでまいります。
2 年度は当年4月1日~翌年3月31日の1年間に係る指標及び目標となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 需要動向について
当社グループが製造・販売する大型フォトマスクに関する需要は、当社グループの顧客であるパネルメーカーの設備投資動向や生産・開発動向に影響を受けることから、国内外の経済情勢や市況の下降局面、又は顧客の経営方針や経営環境の変化により変動すると考えられ、その変動が大きい場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競争環境について
当社グループが属する大型フォトマスク市場においては、主要顧客であるパネルメーカー間による技術競争、コストダウン圧力により、当社グループと競合他社との間で日常的に厳しい競争環境が発生しております。当社グループでは、競争優位を確保するため、生産性向上や納期短縮、部材調達コスト低減及び固定費削減などの経営努力を強力に推進しておりますが、今後、当社グループの想定した以上に競争環境が厳しくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 設備投資による影響について
大型フォトマスク事業の成長において設備投資の継続実施は不可欠なものであります。その際には、将来の需要を予測し、これに見合った生産能力を実現できるよう設備投資を実施しておりますが、当社グループの予測した需要の増加が得られないことによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 海外での事業展開について
当社グループの当連結会計年度における海外売上高は233億33百万円(間接輸出含む)となっており、連結売上高総額に対する割合は、90.7%となっております。今後も中国、韓国、台湾等の海外市場の拡大が見込まれ、海外企業への売上高は増加することが予想されます。中国、韓国、台湾において政治的、経済的リスクがあり、関係が急速に悪化する可能性があります。また、国際税務に関する考え方の変化により、移転価格税制等に対する見解が変更される可能性もあります。このような現地での社会的あるいは経済的環境の変化が生じた場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 固定資産の減損損失計上について
当社グループが保有する製造装置等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 少数取引先への依存について
大型フォトマスク事業においては、当社グループの販売上位数社への販売依存度は高く、また、主要な仕入先は、高品質な主材料を生産するメーカー及び生産設備メーカーが限られております。当社グループとこれらの取引先とは良好な関係を保っておりますが、このような取引関係が困難になった場合、あるいは、良好な関係は維持しつつも、これら主要顧客からの受注が想定以上に減少、もしくは主要な仕入先からの購入が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 新規事業や新製品開発について
当社グループでは、フォトマスク事業につづく新規事業を立ち上げて収益基盤を拡大することに取り組んでおります。新規事業が安定して収益を生み出すまでには、一定の期間と投資が必要となりますが、事業環境の急激な変化により当社グループが予想した通りに新規事業が進展しなかった場合には、投資が回収できず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 生産・開発拠点について
当社グループは、生産・開発拠点を国内(京都府・滋賀県)及び台湾(台南)と、大型フォトマスクの販売先であるパネルメーカーが集中する東アジアに集約することで、効率的な生産・開発体制を構築し、製品の品質、精度、価格競争力等を高めてまいりました。しかしながら、当該地域は地震等の災害発生リスクが高いことにより、主要な生産設備には免震装置を設置するなどの対策を講じております。また、生産設備においては、定期的なメンテナンスやリプレイス等の老朽化対策を行い継続的な生産活動の維持、向上に努めておりますが、当社グループの想定を超えた大規模地震等の災害の発生や予期せぬ重大な装置トラブル、労働災害の発生により、当社グループの生産・開発体制に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 自然災害、事故等について
当社グループでは、地震、風水害、火災、落雷の他、大規模事故、爆発、紛争、テロ行為、広域疾病その他緊急対応が必要な場合に、人命、会社資産、業務の維持・継続を図り、迅速的確な対応を可能とするための事業継続計画を設定し、自然災害、事故等に備えておりますが、当社グループの想定を超えた災害の発生により、当社グループ及び取引先の事業活動に直接的又は間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 知的財産について
当社グループは、フラットパネルディスプレー用フォトマスクメーカーの先駆者として、製品競争力強化のために技術・ノウハウ・知的財産権等を蓄積しております。これらの保全には細心の注意を払っておりますが、第三者により侵害される、あるいは当社の認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材育成及び確保について
当社グループは、持続的成長を支える経営基盤の強化を図るためにも、優秀な人材を確保する必要があります。当社グループでは、幅広い基礎知識と豊富な経験を持つ人材を多数確保しており、また継続的に教育・研修を行い、当社グループを支える次世代の中核人材育成を強化しておりますが、有能な人材の確保及び育成が想定通りに進捗しなかった場合、あるいは当社グループの人材が社外に流出した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報セキュリティについて
当社グループは、顧客との信頼関係、社会的信用、技術競争力の維持・強化を目的として、当社グループが保有する情報資産の保護に努めるため、情報セキュリティポリシーに基づく社内規程の整備、教育・研修の実施並びに内部監査の実施などにより、強固な情報セキュリティ管理体制を構築しておりますが、コンピューターウィルスの感染や不正アクセス、その他の不測の事態により、これらの情報が流出した場合、社会的信用の低下や多額の賠償費用等の負担が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 戦略的提携、投資及び企業買収について
当社グループでは、企業競争力の強化や収益性の向上のために、先行的な設備投資や他企業との協業、買収を実施する可能性があります。とりわけ企業買収においては、さまざまな角度から十分な検討を行いますが、買収後に事業計画通りに進捗しない場合は、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 原材料の調達について
当社グループの製品である大型フォトマスクの主要素材は、合成石英を原材料としたマスクブランクスであります。当社グループでは、複数のサプライヤーと契約を締結し、安定的な調達を心がけておりますが、急激な市場変動や取引量あるいは調達価格の変動などにより、材料調達の遅延、数量不足又は調達コストが増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 係争・紛争について
当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、コンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。しかしながら、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(16) 為替変動の影響について
当社グループにおける海外取引は円建てを基本としておりますが、一部の販売先が外貨建取引につき、今後の取引の拡大及び大幅な為替相場変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 製造物責任について
当社グループが取り扱うすべての製品・商品について製造物責任賠償リスクが内在しております。特に、新規事業として取り組んでおりますヘルスケア分野では、管理医療機器を販売しており、この製品に何らかの問題が発生した場合には、人体への影響、被害を考慮して自主回収を行うことがあり、その場合には回収に時間及び多大な費用を要し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 環境問題について
当社グループでは、環境問題への取り組みは企業価値向上につながる重要な企業活動の一つであると考え、エネルギー使用量削減や廃棄物削減、社内講演会の開催や環境関連施設の見学等、事業活動における環境負荷を低減するため、さまざまな環境保全活動を行っておりますが、恒久的に環境問題を発生させないとの保証はなく、それが生じた場合、多額の費用負担の発生及び企業イメージの悪化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 反社会的勢力との取引について
当社グループは、反社会的勢力との関係が疑われる者との取引を排除すべく、新規の取引に先立ち、反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認や反社会的勢力ではないことの表明及び確約書の締結をするなど、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っています。しかしながら、当社グループの厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力との取引を排除できない可能性があります。このような問題が認められた場合、対策費用の増大、監督官庁等による処分・命令、社会的な評判の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて21億38百万円減少し、396億74百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べて26億86百万円減少し、75億6百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べて5億47百万円増加し、321億68百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化を反映し、緩やかな回復の動きが見られました。一方、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や、インフレ抑制のための欧米各国における政策金利の高止まり、急激な為替変動などの影響により、先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く事業環境は、フラットパネルディスプレー業界におきましては、液晶パネルメーカーの量産ラインで生産調整が行われたものの、テレビの販売不振などで需給が悪化したことで、パネル価格は緩やかに下落しました。スマートフォン向けには、新機種開発が慎重に進められたことに加え、有機ELパネルの量産が活発となったことにより、パネルの開発は低調となりました。モニターやノートパソコンなどのIT製品向けには有機ELパネルの開発が増加しました。また、中国、韓国において新たな第8世代の有機ELパネル工場稼働に向けた動きが進展しました。
このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの売上高につきましては、257億27百万円(前期比8.5%減)となりました。利益につきましては、営業利益30億59百万円(前期比36.0%減)、経常利益30億56百万円(前期比39.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益22億91百万円(前期比32.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。なお、売上高はセグメント間取引の相殺消去後の数値となります。
(大型フォトマスク事業)
大型フォトマスク事業では、IT製品向けに有機ELパネル用の需要が、韓国、中国市場で増加しました。スマートフォン向けには中国、台湾市場において需要が減少しました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業では、RFID分野では、ソリューション提案を含めた販売活動を行った結果、受注が拡大しました。ヘルスケア分野は、「デジタルコルポスコープQ-CO」の売上が増加しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ28億2百万円減少し、124億82百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、38億89百万円(前期は53億43百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30億52百万円、減価償却費28億41百万円、売上債権の減少額6億89百万円、仕入債務の減少額9億45百万円、法人税等の支払額18億12百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、41億45百万円(前期は25億10百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出39億80百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、25億14百万円(前期は14億85百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出8億円や配当金の支払額16億97百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) 2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当該割合が100分の10未満である相手先別の販売実績につきましては、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする項目については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は、以下のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性について
当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要となった場合、翌年度以降において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
a.経営成績等の状況
1)財政状態
(資産)
資産の減少は、主に有形固定資産が13億1百万円増加した一方で、現金及び預金が28億2百万円、受取手形及び売掛金が6億52百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債の減少は、主に電子記録債務が7億51百万円、長期借入金が8億円、未払法人税等が8億23百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産の増加は、主に剰余金の配当により16億97百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を22億91百万円計上したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末の75.6%から5.5ポイント上昇し、81.1%となりました。
2)経営成績
当連結会計年度につきましては、スマートフォン向けには、新機種開発が慎重に進められたことに加え、有機ELパネルの量産が活発となったことにより、パネルの開発は低調となりました。モニターやノートパソコンなどのIT製品向けには有機ELパネルの開発が増加しました。その結果、当連結会計年度の売上高は23億85百万円減少し、257億27百万円となり、営業利益は30億59百万円、経常利益は30億56百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は22億91百万円となりました。また、目標とする経営指標である、売上高営業利益率は11.9%、ROEは7.2%、売上高総資産回転率は0.63となりました。
3)キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費・外注加工費の支払いのほか、設備の維持に係る修繕費、人件費等の費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として自己資金によって賄っており、必要に応じて借入れによる資金調達を実施しております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は10億39百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は124億82百万円となっております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループにおける当連結会計年度の研究開発活動は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(大型フォトマスク事業)
(1) 研究開発の目的及び体制
大型フォトマスク事業におきましては、顧客ニーズにタイムリーかつ的確に対応することを目的として、当社技術開発本部と連結子会社である頂正科技股份有限公司が連携し、研究開発活動に取り組んでおります。また、顧客と直に接している営業本部の中に技術企画部を設け、直近及び今後の顧客動向を技術開発本部に伝達し、実効的かつ効率的な研究開発活動につなげております。
(2) 研究開発のテーマ及び成果
フラットパネルディスプレーの高精細化、低消費電力やフォルダブル等の高機能化への対応が求められるなか、フォトマスクの精度改善や最先端露光装置に対応するフォトマスクの開発を行いました。加えて、価格競争力や納期対応力を高めるための取り組みを行いました。
大型フォトマスク事業における当連結会計年度の研究開発費は
(ソリューション事業)
(1) 研究開発の目的及び体制
ソリューション事業におきましては、当社グループの新しい柱となる事業の開発を目的として、開発事業ごとに組織を編成し、研究開発活動に取り組んでおります。
(2) 研究開発のテーマ及び成果
RFID分野におきましては、各種RFIDタグの機能向上やリニューアルに向けた開発を行いました。ヘルスケア分野におきましては、取扱製品の拡充やリニューアル、また新たな製品の上市に向けた研究開発を行いました。
その他にも、有望事業の探索や最先端技術の調査などを行い、M&Aや他企業との業務連携などの外部技術の導入や異業種への参入等、幅広い視野で新規事業開発を進めております。
ソリューション事業における当連結会計年度の研究開発費は