文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「革新創造」を社是とし、「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念に基づき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、健全かつ適切な業務運営を通じて、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指しており、お客様や地域社会、株主からの長期にわたる揺るぎない信頼の確立を図らなければならないものと考えております。
当社グループは、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を実現するため、収益力の拡大が最重要課題と認識しており、特に安定的な企業価値の向上につながる営業利益とその成長率、及び営業活動によるキャッシュ・フローの増加を最重要指標として、収益性の向上・財務体質の充実に取り組んでまいります。
当社グループの主力サービスを取り巻く外部環境としては、賃上げや物価上昇、インバウンド需要の拡大などの経済押上げ要因により、経済は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、実質賃金の低下による個人消費の停滞感や、物価上昇や人件費増加分の価格転嫁の低調など、先行きの不透明な側面もあり引き続き注視が必要な状況であります。
建築業界においては、人口減少や技術者の高齢化などにより、今後のさらなる人手不足の加速が懸念されております。
商環境市場においては、インバウンド需要や国内旅行の増加、再開発や建物の老朽化による建替え・メンテナンスの必要性により、需要は堅調に推移すると見込んでおります。また住宅市場においては、新築市場は住宅価格の上昇や人口減少の影響もあり新設住宅着工戸数が減少し下降トレンドですが、一方で今ある建物を長く快適に住まうために手直しするといったメンテナンス・リフォーム市場は堅調に推移する見通しであります。
建物を取り巻く環境が変化する中で、主力サービスを安定成長させながら、市場の需要拡大が見込まれる分野のサービスをしっかりと伸長できるよう、基本方針は大きくは変えず、施工体制・経営基盤の強化に一層注力してまいります。具体的には、①「労働力・施工力の拡大」、②「生産性の向上」、③「アライアンスの推進」、④「人的資本経営の推進」の4点を特に取り組むべき重要課題として認識しております。
①「労働力・施工力の拡大」については、当社グループは労働集約型のビジネスモデルであり、人材は当社グループの事業にとってなくてはならない重要なファクターであると捉えております。採用環境は厳しくなっており、自社技術者の採用だけでなく社外の労働力の活用が必要不可欠であります。今後も継続して自社技術者・協力会社の双方から労働力を確保することでサービス提供網の拡充を図り、また施工管理者の確保・育成などにより施工力拡大に努め、着実に市場の需要を取り込める体制を構築してまいります。
②「生産性の向上」については、今後の原価高騰などの外部環境の影響を受けながらもしっかりと利益を確保できる会社であるために、永続的に取り組むべき課題であると認識しております。当社グループ全体として改善していく必要はありますが、中でもオペレーション部門をはじめとした販管部門で業務改善を推し進め、体制強化を図り、生産性の向上・利益改善につなげてまいります。
③「アライアンスの推進」については、これまでも様々な企業とアライアンスを進め、受注機会の創出、相互送客の推進、提供サービスの多様化などを追求してまいりました。今後も広い視野でシナジー効果の見込めそうな企業とのアライアンスを積極的に検討し、進めてまいります。
④「人的資本経営の推進」については、前述のとおり、当社グループは労働集約型のビジネスモデルであるため、新規の労働力を確保していくだけではなく、既存の労働力の維持・質の向上に努めることが非常に重要だと捉えております。これまでに人事制度改定や年間休日の増加などによる待遇改善や教育・研修体制の強化を当社グループ全体で推し進めてまいりました。今後は、従業員育成のさらなる促進や、ワーク・ライフ・バランスの推進、また多様な人材の確保に向けた社内体制整備にも注力することで、長く働き続けられる組織風土を醸成し、当社グループの持続的な成長を支えられる盤石な人的基盤の構築を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① ガバナンス
当社グループでは、2023年11月にサステナビリティ推進チームを発足し、当社グループの各部門と連携しながら当社グループ全体としてサステナビリティへの取組みを推進しております。
サステナビリティ推進チームは、当社全部署の部長職者、各事業会社からの選抜者で構成されており、各社の特性を把握し、多様な経験や視点を持った人員で、サステナビリティに関するリスク・機会の識別・評価を行い、その結果を基に、各部門と連携しながらサステナビリティ関連の各リスク・機会に対する取組方針や計画について取りまとめ、進捗管理をしております。
サステナビリティ推進チームが協議した事項・取組みの進捗は、リスク管理委員会に適宜報告を行い、指示・指摘事項などを反映したものを取締役会に報告しております。またサステナビリティの取組みに関する重要な事項に関しては、取締役会に付議し決議いたします。

② リスク管理
現在のリスク管理に関しては、サステナビリティ推進チームが、当社グループの事業特性や状況、また社会情勢を勘案し、まずはサステナビリティ関連のリスクに絞った状態で識別を行っております。識別したリスクに対して当社グループの財務状況・財政状態に与える影響度やリスクの発生確率などを加味し、リスクの重要度評価を行い、各リスクの取組方針・計画を取りまとめております。当社グループの総合的リスク管理を実施しているリスク管理委員会とも連携することで、全社リスク状況の全体感を俯瞰しながら管理できる体制となっております。その協議事項・活動結果を、リスク管理委員会に報告し、リスク管理委員会の指示などを反映し取締役会に最終報告を実施しております。機会面については、各担当部門が適宜検討・提案・付議し取組みを進めており、今後社内の状況に応じて、機会面の識別・評価・管理体制も整えてまいります。
リスク・機会への取組方針・計画の進捗状況のモニタリングは適宜サステナビリティ推進チームが行い、リスク管理委員会、そして取締役会に報告を行うことで実効性を高め、リスク低減・機会創出の実現に努めてまいります。
③ 戦略
当社グループは、「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念、また「全ての建物に"キャンディル"」というグループビジョンのもと、世の中に必要とされるサービスを生み出し、提供し続け、企業価値を向上することを目指しております。当社グループとして、グループ理念・グループビジョンに基づいた形で、より蓋然性をもって持続的に成長・存続していけるよう、多角的な視点でサステナビリティ事項に関して検討・推進していく必要性を認識しておりますが、足元では、サステナビリティ推進チームを中心として事業・業績への関連性が高い事項から優先的に取組みを進める方針であります。そして当社グループ全体としての調和を図りながらも、各社の特性に十分配慮した対応をとり、それぞれの理解を深めながら当社グループが一丸となってサステナビリティへの取組みを推進する姿勢を大事にしてまいります。
当社グループのサステナビリティ主要課題は、下記のとおりでありますが、主要課題や、それに基づく方針・施策は、今後の社会情勢や当社の事業状況を鑑みながら定期的に再検討し改良を重ねていくことで、当社グループにできることを見定めてまいります。
(注)取組みの詳細は、当社ウェブサイトの「
「環境」については、従前から関心の高いテーマであり、シックハウス症候群に対応するために「人にも環境にもやさしいオリジナル材料の開発」をするなど、前向きに取り組んでまいりました。現在もリペア・コーティングによる廃棄物の抑制や、環境にもやさしいリペア材料の開発・使用に努めるなど、持続可能な社会に向けて環境関連の対応を着実に実施しております。
「ガバナンス」は、お客様、従業員、事業パートナー、そして株主などといった当社グループのステークホルダーから当社グループへの信頼の要であると考えております。効率性の向上、健全性の維持、透明性の確保、また自然災害や情報インシデントなどの非常事態に対するレジリエンスの確保に向けた体制構築に向け、適宜体制の見直しを行ってまいります。
従業員は労働集約型ビジネスを展開する当社グループにとっては、サービス基盤であり、また当社グループの持続的成長の実現のためにも必要不可欠な存在であります。そのため、上記のサステナビリティ主要課題の中でも、特に「従業員が長くいきいきと働き続けられる職場づくり」の重要性を認識しており、今後も人的投資を行いながら積極的に推進してまいります。「従業員が長くいきいきと働き続けられる職場づくり」に関連する「人的資本・多様性」に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
① 戦略
全国に拠点を張り巡らせた労働集約型ビジネスを展開しており、建物に関する様々なストレスを解消するサービスを提供しております。当社グループの事業の根幹は人であり、提供するサービスはAIなどのシステムでは代替できないものも多く、従業員はなくてはならない存在だと考えております。そのため、サステナビリティ課題の中でも特に人的資本課題は重要であると位置づけております。当社グループでは導入したタレントマネジメントシステムにて、人事情報の一元化と活用・分析を行い、従業員のキャリア支援や能力開発に活用してまいります。今後も「やりがいを感じながら、個々人がしっかりと成長していける職場づくり」「働きやすい職場づくり」という2つの視点をもち「従業員が長くいきいきと働き続けられる」企業を目指すことで、組織の生産価値の最大化を実現してまいります。
ⅰ.多様な人材が活躍できる職場づくり
厚生労働省の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度に係る基準における平均値によると、2024年の建設業界の女性就業比率は14.4%と全産業平均の27.2%を大きく下回っておりますが、当事業年度末時点においては当社グループの女性従業員比率は37.6%と、建設業界の中でも女性就業率が高く、男女関係なく活躍できる職場づくりを行っております。一方で、管理職に占める女性労働者の割合がグループ全体で低い傾向にあるため、今後は性別に関係なくキャリアプランを自由に描ける育成・研修を推進することで、女性の管理職への昇進意欲増進に取り組んでまいります。また、時間外労働管理の徹底、有給休暇の取得推進、女性も男性も取得しやすい育休制度の推進、時短勤務・在宅勤務制度や副業制度などを駆使しながら、介護や出産・子育て、働く地域や場所など、多様な働き方のニーズに対応することで従業員のワーク・ライフ・バランスの実現を目指しております。このような職場づくりを継続的に進めることで、従業員のライフプランとキャリアプランが調和できる環境を整えてまいります。
ⅱ.従業員が積極的に学べる仕組みづくり
当社グループが今後成長していくためには新規採用を進めるだけでなく、既存の従業員のスキルアップは必要不可欠であると捉えております。経営幹部を中心とした事業成長研修、世代別の研修、管理職研修、テーマ別の社内研修などを実施してまいりましたが、社会の変化や社内の多様化に併せて今後さらに研修の充実と、資格取得支援制度の導入や情報の可視化による自主的に学びやすい仕組みづくりを通して、従業員のリスキリング・アップスキリングに取り組んでまいります。
ⅲ.達成感を感じられる職場づくり
当社グループでは、毎年期末に当該事業年度の事業取組みの振返りと翌事業年度の事業方針を共有する方針勉強会を開催することで、全従業員に会社全体の事業活動や目標数値などを共有し会社全体として目指すべき方向性を揃える機会を設けております。また、当社グループ各社にて表彰制度を設けており、年に1度新人を含めて業績に貢献した従業員や長年勤務した従業員へ敬意を込めて表彰し、グループ全体で互いに褒めあう文化を醸成し、モチベーションの向上につなげております。
② 指標及び目標
当社グループでは、働く人・働き方の多様性を実現するための指標として管理職に占める女性労働者の割合と男性労働者の育児休業取得率の向上を目指してまいります。
当社グループの事業内容その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を以下に記載しております。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与え得るリスク要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において入手可能な情報に基づいて、当社グループが判断したものであります。
(1)業績の季節的変動について
当社グループが行うリペアサービス、住環境向け建築サービス、商環境向け建築サービスにおいては、戸建住宅、集合住宅、商業施設等の引渡しが集中する3月及び9月に売上が拡大する傾向があります。当該時期に、何らかの事由により売上が減少した場合は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(2)建築関連の市場環境の変化について
当社グループは、戸建住宅及び集合住宅向けのリペア(補修)業務や点検業務、商業施設向けの施工業務等、建築関連向けのサービスを主たる事業領域としております。当該事業は、景気動向、金利、地価、税制及び政策等に大きく影響を受けます。
今後の景況感の悪化、所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、政策の変更及び税制の変更があった場合は、市場環境が変化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害や感染症等の発生について
地震、台風等の大規模な自然災害やウイルス等による感染拡大により、工事の中断や大幅な遅延が発生し、あるいは当社グループの事業所等が大規模な被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合について
当社グループの提供する建築サービス関連業界は、個人事業主でも技術を身に付ければ容易に事業を開始できる等、参入障壁が低くなっております。当社グループは、人材の採用、教育及び協力会社網の整備といった点で新規参入者に対して優位にあると考えておりますが、今後、新規参入者の増加により競争が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)のれんについて
当社グループは、過去のM&A及びグループ再編の結果、多額ののれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、当社グループの対象となる事業において将来の収益力が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)多額の借入金について
当社は本書提出日現在、複数の金融機関から多額の資金を借入れており、当該金融機関と締結している金銭消費貸借契約等の中には、連結経常損失を計上しないこと、連結純資産額の水準を一定以上に維持すること、純有利子負債が0を上回らないことなど、財務制限条項が定められているものがあります。
今後、当社では借入金を減少させるべく取り組んでまいりますが、金利が上昇した場合、事業計画の未達成等により借入金の返済計画に変更が生じた場合、財務制限条項に抵触したことにより借入金を一括返済する必要が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材について
当社グループにおいては、人材の安定的な確保及び育成が事業継続のために不可欠でありますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や退職者が増加した場合、不祥事により損害が発生した場合や士気が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)外注先の確保について
当社グループでは、受注したサービスの一部を協力会社に発注しております。協力会社については、事前に面談の上、企業規模、法令遵守、保険加入状況、サービス品質、反社チェックなどを行い、安全・品質管理の徹底等に最善を期しておりますが、個別の作業現場においてトラブルが発生した場合、また今後、受注件数の増加に適した形で協力会社を確保できなかった場合は、当社グループの業務の停滞につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)労働環境の変化について
当社グループには、正社員のほか有期契約社員、登録スタッフ等、様々な雇用形態の社員が業務に従事しております。当社グループでは、長時間労働の抑制や社会保険の適用拡大等、労働環境の変化や法改正に対応しておりますが、今後、労働関連法規制への違反等が発生した場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、人手不足等による人件費の高騰や外注費の増加が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法令違反、法的規制に関するリスク
当社グループは、労働基準法等労働法のほか、建設業法、労働者派遣法など関連法令による規制を受けております。当社グループでは、関連法令を遵守して事業を展開しており、本書提出日現在において、法令違反による許認可の取消しなど事業運営に支障を来すような事象は発生しておりませんが、それらの法令が改正された場合や当社グループ又は当社グループ従業員が関連法令違反を犯した場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループ各社が取得している許認可等の状況は以下のとおりであります。
(11)訴訟等に関するリスク
当社グループは広範な事業活動を行っており、知的財産権、環境、労務等に関連した訴訟等の対象となるリスクがあります。重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)重大な事故の発生について
当社グループが手掛けるサービスの中には、建設現場における重量物の搬出入や高所での作業等、危険を伴うサービスがあります。当社グループでは、従業員への教育や指導を通じ、従業員の安全確保に努めておりますが、それらへの対応が不十分であった場合には、重大な事故につながり、当社グループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)個人情報保護について
当社グループでは、取引先及び住宅オーナー等に係る個人情報を有しております。子会社の株式会社バーンリペアでプライバシーマークを取得している等、個人情報保護に対する適切な対応を行うための体制を整備しておりますが、今後、個人情報の漏洩事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報システムへの依存について
当社グループは、受発注、作業日程管理、請求等に関する業務を情報システムを利用して行っております。プログラムの不具合やコンピュータ・ウイルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに重大な障害が発生した場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)内部管理体制について
当社グループは、建築サービスを手掛ける企業同士がM&Aにより経営統合し、形成されてきたため、独自の企業文化や経営管理手法を有する企業によりグループが構成されておりました。当社は、グループ各社の内部管理体制を整備しており、今後も強化していく予定でありますが、事業の急速な拡大等により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)その他の関係会社との関係について
当社は2022年8月に株式会社サカイ引越センターと資本業務提携契約を締結し、同社は当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当しております。株式会社サカイ引越センターによる当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、同社との業務提携内容に変更が生じた場合には、当社の今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、最低賃金上昇や人手不足などの影響でさらに気運が高まっている賃上げをはじめとして、雇用環境・所得環境の改善が幅広い業界で見受けられ、継続的な物価上昇や前年を上回るインバウンド需要の拡大もあり、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、中小企業を中心に多くの企業においては、人件費や原材料価格などのコスト上昇が加速しているにも関わらず、売価をコスト上昇に見合う形で引き上げることが難しい状況に直面し、少しずつ進展は見られるものの未だ価格転嫁の進捗は芳しくない状況であり、厳しい経営環境下にあります。また、家計においては、長期にわたる実質賃金減少からの一時的な増加は見られたものの、物価上昇に起因する節約志向の影響で消費者マインドの改善には足踏みが見られ、先行き不透明な状況が続いております。加えて、今後の物価や外国為替市場の動向に影響を与え得る日米の金利差や中東情勢、中国経済などの動向にも引き続き注意する必要があります。
建設業界としては、慢性的な人手不足という課題に直面し、人員確保のため各企業で賃上げや福利厚生の充実など雇用環境改善の動きが高まっており、企業間での人材獲得競争は激しさを増しております。また建築資材価格の高止まりや、人件費増加により建築コストは上昇基調であり厳しい状況下にあります。
他方、当社グループ事業に関係の深い住宅業界におきましては、実質賃金の低下や住宅価格の上昇により、住宅需要が低迷しており、国土交通省発表による2023年10月~2024年9月累計の新設住宅着工戸数は、戸建てが前年同期比90.5%と減少し、分譲マンションが前年同期比99.9%と前年同期並みに推移し、住宅市場全体としては前年同期比95.7%と減少いたしました。商環境に関しましては、物価高騰により個人消費に停滞感はあるものの、インバウンド需要がコロナ禍以前を超える規模になってきているなど総じて堅調に推移いたしました。
このような状況のもとで、当社グループは「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念に基づき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指して、激しく移り変わるお客様のニーズや時代の変化に寄り添いながら、2021年に新しく閣議決定されました「住生活基本計画」に沿ったサービスの拡充に取り組み、住宅関連・商業施設関連サービスの売上拡大に努めてまいりました。
物価の上昇や人材獲得競争の激化などの厳しい経営環境の中、当社グループは協力会社網の充実を図り労働力確保に努めたことにより、着実に市場の需要を取り込み、売上高は伸長いたしました。一方で、材料費・外注費などの高騰による原価の増加や、管理職の増員・従業員の待遇改善・営業活動の強化などによる販売費及び一般管理費の増加の影響で、各段階利益は想定よりも減少いたしました。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は6,134,261千円となり、前連結会計年度末に比べ90,967千円の減少となりました。負債合計は3,334,643千円となり、前連結会計年度末に比べ184,498千円の減少となりました。純資産合計は2,799,618千円となり、前連結会計年度末に比べ93,531千円の増加となりました。
当連結会計年度における売上高は13,224,257千円(前年同期比107.4%)、営業利益は359,202千円(前年同期比79.4%)、経常利益は350,393千円(前年同期比79.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は137,956千円(前年同期比61.4%)となりました。なお、当社グループでは組織再編及びM&Aの実施に伴い発生したのれん償却費を販売費及び一般管理費に192,223千円計上しており、これを加えたのれん償却前経常利益は542,617千円(前年同期比85.6%)、のれん償却前親会社株主に帰属する当期純利益は330,180千円(前年同期比79.2%)となりました。
当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントとしておりますが、サービス区分別の状況は以下のとおりであります。
第1四半期連結会計期間より、「抗ウイルス抗菌サービス」を「住環境向け建築サービス」に含む形で区分変更しております。なお、以下の前年同期との比較・分析は変更後の区分に基づいております。
(リペアサービス)
当連結会計年度におけるリペアサービスの連結売上高は4,381,193千円(前年同期比101.0%)となりました。
戸建向けリペアの売上高は、比較的高単価である案件割合は増加しておりますが、新設住宅着工戸数の減少の影響を受け、3,446,968千円(前年同期比98.0%)と前年同期並みで推移いたしました。集合住宅向けリペアの売上高は、労働力確保により市場需要を着実に取り込んだ結果、934,224千円(前年同期比113.6%)となりました。
(住環境向け建築サービス)
当連結会計年度における住環境向け建築サービスの連結売上高は3,894,350千円(前年同期比112.3%)となりました。
定期点検の売上高は、契約単価が引き続き上昇傾向であることなどにより、1,569,815千円(前年同期比108.9%)となりました。小型修繕、各種施工、検査、コーティングの売上高は、集合住宅向けリペア同様、人員強化により集合住宅の検査受注が増加した結果、2,010,380千円(前年同期比111.2%)と伸長いたしました。リコール対応の売上高は314,154千円(前年同期比144.0%)となりました。
(商環境向け建築サービス)
当連結会計年度における商環境向け建築サービスの連結売上高は4,264,709千円(前年同期比110.4%)となりました。
商環境向け建築サービスは主に商業施設などの内装工事、家具組立て、揚重を提供しておりますが、商環境市場の需要堅調による店舗・商業施設、医療施設、オフィスなどの大型内装工事案件の増加により、増収となりました。
(商材販売)
当連結会計年度における商材販売の売上高は684,004千円(前年同期比106.9%)となりました。
商材販売は主にリペア材料やメンテナンス商材を販売しておりますが、堅調に推移いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は1,616,316千円と、前連結会計年度末に比べ80千円の増加となりました。
当連結会計年度末における各活動によるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、377,866千円(前年同期は595,460千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益350,393千円を計上したこと、のれん償却額192,223千円、法人税等の支払額199,405千円を計上したことなどによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、74,179千円(前年同期は41,215千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12,638千円、無形固定資産の取得による支出9,379千円、投資有価証券の取得による支出49,922千円などによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、303,606千円(前年同期は830,421千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増額200,000千円、長期借入れによる収入300,000千円、長期借入金の返済による支出738,329千円などによるものであります。
当社グループは、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。
当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントであり、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの報告セグメントは単一であるため、サービスごとに記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
ⅰ.財政状態の分析
(総資産)
当連結会計年度末における資産合計は6,134,261千円となり、前連結会計年度末に比べ90,967千円の減少となりました。
流動資産は3,675,954千円となり、前連結会計年度末に比べ13,664千円の増加となりました。これは、主に受取手形及び売掛金が18,617千円増加したことなどによります。
固定資産は2,458,306千円となり、前連結会計年度末に比べ104,631千円の減少となりました。これは、主にのれんが192,223千円減少したこと、ソフトウエアが26,220千円減少したこと、投資有価証券が60,538千円増加したこと、繰延税金資産が21,304千円増加したことなどによります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は3,334,643千円となり、前連結会計年度末に比べ184,498千円の減少となりました。
流動負債は2,959,043千円となり、前連結会計年度末に比べ176,563千円の増加となりました。これは、主に買掛金が59,990千円減少したこと、短期借入金が200,000千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が80,812千円減少したこと、賞与引当金が68,068千円増加したことなどによります。
固定負債は375,600千円となり、前連結会計年度末に比べ361,061千円の減少となりました。これは、主に長期借入金が357,517千円減少したことなどによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,799,618千円となり、前連結会計年度末に比べ93,531千円の増加となりました。これは、主に利益剰余金が73,434千円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は45.6%(前連結会計年度末比2.1ポイント上昇)となりました。
ⅱ.経営成績の分析
当社グループのサービス区分別売上高は前連結会計年度に比べ、リペアサービスは前年同期比101.0%の4,381,193千円、住環境向け建築サービスは前年同期比112.3%の3,894,350千円、商環境向け建築サービスは前年同期比110.4%の4,264,709千円、商材販売は前年同期比106.9%の684,004千円となり、連結売上高は前年同期比107.4%の13,224,257千円となりました。全サービス、前連結会計年度に比べて売上高は伸長いたしましたが、連結売上高の増加要因としては、過去最高売上高を達成した住環境向け建築サービスと商環境向け建築サービスの好調が大きく影響しております。住環境向け建築サービスは、人員体制強化に努めてきた集合住宅の引渡し前検査が好調であり、ストック型の定期点検も着実に積上げたこと、また商環境向け建築サービスは、大型の内装工事案件を中心に商環境市場の需要を取り込んだことで、連結売上高を牽引いたしました。
原価と販売費及び一般管理費に関しましては、どちらも想定よりも増加し、利益を下押しする形となりました。当社グループも原価高騰の影響を受け、材料費や外注費が増加いたしましたが、費用増加分をサービス売価に転嫁しきれずに売上総利益率は低下いたしました。また将来の成長に向けた労働力・人的基盤の強化を図るための人員体制強化・待遇改善に連動する人件費、交通費などの営業活動関連費用や、人材派遣などの業務委託費の増加などにより、売上高の増加以上に販売費及び一般管理費が前年より増加いたしました。結果として、前連結会計年度に比べ営業利益は前年同期比79.4%の359,202千円、経常利益は前年同期比79.3%の350,393千円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比61.4%の137,956千円となりました。
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要は、主に人件費及び外注費の支払い、リペア材料・メンテナンス商材の仕入資金であります。当社グループは、事業活動に必要な資金を確保するため、内部資金を活用するほか、金融機関からの借入を行っております。また、資金使途に応じて最適な資金調達手法を検討し、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債および収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、株式会社サカイ引越センターとの間で、資本業務提携契約を締結しております。
(1)業務提携の目的・理由
建物のメンテナンス(修繕・改修・維持・管理)事業における強みを有する当社グループと、引越運送事業における強みを有する株式会社サカイ引越センターが、それぞれの経営資源を相互に活用し、次世代サービスの構築につながる中長期的な取組みを進めることによる両社の事業拡大と発展を図ることを目的としております。
(2)業務提携の内容
両グループが保有する経営資源やノウハウを相互に活用し、両グループが展開する事業の拡大及び発展を図ることを主たる目的として、主に以下の事項について業務提携を行ってまいります。
① 当社グループによる株式会社サカイ引越センターの引越運送事業に対する成長に向けた取組み
② 株式会社サカイ引越センターによる当社グループのリペア事業及びリフォーム事業に対する成長に向けた取組み
③ その他、株式会社サカイ引越センター及び株式会社サカイ引越センターの関連会社と当社グループの企業価値向上に向けた取組み
(3)株式会社サカイ引越センターによる当社普通株式の取得
株式会社サカイ引越センターは、2022年8月に新生クレアシオンパートナーズ2号投資事業有限責任組合が保有する当社普通株式2,521,200株を市場外の相対取引により取得し、当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当しております。
(4)提携推進委員会の設置
業務提携の具体化、深化その他さらなる発展の可能性等について継続的に検討及び協議を行うことを目的として、提携推進委員会を設置しております。
(5)役員の派遣
株式会社サカイ引越センターは当社に対し取締役候補者1名を推薦することができ、当社は当社株主総会において、当該取締役候補者を含む取締役選任議案を付議することについて合意しております。
該当事項はありません。