文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来 商売の原点でもある「信用・奉仕・地域社会に貢献」を経営理念の柱とし、それを確実に実行するために従業員の人間力向上をはかり、顧客・株主・取引先に安心、信頼、満足を提供し続けることを経営方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、会社資産の有効活用による資産効率の確保及び株主資本の成長性の観点から、営業利益及びROE(自己資本純利益率)を重要経営指標として位置付け、収益性を重視した効率経営をはかり、継続的成長を実現する考えでございます。
(3)経営環境
当社グループを取り巻く国内経済は緩やかに回復しているものの、世界各地の情勢、継続的な物価上昇、金融資本市場の変動等が国内の個人消費に与える影響についてより一層見澄ます必要があります。当社は、前期に引き続き当期も月次の客単価が年間を通して、前年同月を上回り続けましたが、今後は、商品政策と価格政策の重要度が増すと思われます。
(4)経営戦略及び優先的に対処すべき課題
上記のような認識に基づき、更なる成長のために、客数の獲得と一人当たりの生産性の向上が当社の大きな課題となっております。ビジネスシーンやオフィスにおける軽装化・カジュアル化の浸透に対応すべく、当社としては、ビジネスウェアの再定義を行い、時流に合った素材・商品を開発し、新たな客層を開拓いたします。また、一人当たりの生産性を向上させるために、階層別のきめ細やかな教育と、IT投資によるオペレーションの簡素化・効率化を実施いたします。
加えて、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの完全子会社化を契機に、迅速な意思決定、サプライチェーンの更なる強靭化を推し進め、グループ全体の効率化、収益力の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視、または管理するための過程、統制及び手続等の体制をコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりませんが、当社グループが置かれている経営環境を踏まえ、サステナビリティに関連するリスク及び機会について、重要性に応じて、取締役に加え執行役員と監査役で構成した経営会議で識別・監視し、取締役会に報告を行う体制としております。
詳細は、「
(2)戦略
ESG活動に関する方針、戦略
当社グループでは、環境に与える負荷を軽減することを目指し、二酸化炭素(t-CO2)の削減、容器包装の簡素化・減量化、リサイクル素材の回収や再生ウールを含む再生繊維の活用に取り組んでおります。
① 二酸化炭素(t-CO2)の削減
省エネの推進により、サステナビリティ関連の最大のリスクをCO2排出による気候変動と考え、大気中に排出されるCO2の量を削減すべく、LED照明への交換や空調設備の更新による消費電力の削減に取り組んでおります。特に当社におけるCO2排出量は、2013年度33,973t-CO2から2023年度12,584t-CO2と63%減と政府目標でもあり、当社の目標でもある2030年に2013年比46%の削減を既に達成し、省エネ法事業者クラス分け評価制度にて「省エネが優良な事業者」とされる「Sクラス」の評価を獲得しております。
② 容器包装の簡素化・減量化
当社グループは環境に与える負荷を軽減することを目指し、容器包装の簡素化・減量化に取り組んでおります。廃棄物減少への取組みとして、レジ袋の有料化、簡易包装を推進しております。特に、容器包装に係る分別収集及び再商品化の推進等に関する法律に基づいて、再生原料40%配合の袋の提供や包装資材を見直し、プラスチック容器から紙容器への置き換えなど、限りある資源の有効活用を目指しております。
③ リサイクル推進
当社グループでは、リユース、リサイクルを通して、限りある資源の有効活用に取り組んでおります。特に、再生ポリエステルを使用した生地の開発、下取りで回収した衣類をフェルト生地に加工し、車の吸音材としての再利用や下取りスーツからウールを抽出し、再生ウールとして再びスーツに活用する取り組み等を行っております。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、連結グループ各社において、会社諸規程や男女比等が異なり、連結グループにおける記載が困難なため、主要な株式会社コナカ単体における記載としております。
① 人材戦略
中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略において、特に次の3点が重要であるとの認識に基づき、健康経営を推進し、働きやすい環境を整え、社員のエンゲージメント向上に努めております。
(a) 「人を大切にする会社」という企業文化の維持・浸透
(b) 人材の多様性の確保
(c) 人材の育成
② 人材育成方針
当社は経営理念にも掲げる「人材の育成」を重視し、従業員を「人財」と考え、一人ひとりに目を向け個々の能力が最大限発揮される職場づくりを目指しております。その実現のため階層別、役職別の勉強会・研修会を行い、個々のレベルアップを促進しております。
③ 社内環境整備方針
当社は社会の変化や多様化する働き方に対応し、持続的に成長し続ける企業を目指して、次の取組みを行っております。
(a) 定休日新設、営業時間短縮、店舗休憩時間の導入
(b) 育児のための短時間勤務の対象範囲を法定よりも拡大
(c) 正社員登用制度の拡充と退職者再雇用制度の積極化
(d) 管理職登用の自主性を重んじる店長立候補制度の導入
(e) 全従業員がより活発なコミュニケーションをとり、互いに称賛し合う文化が根付くような社内インフラの整備
(3)リスク管理
当社は、事業の推進に伴って生ずるリスク管理については、重要なものであると認識し、社内諸規程で定めるとともに、コンプライアンス経営と合わせた体制を構築しております。詳細につきましては、「
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を行うことは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであると認識し、事業を通じた課題の解決や社会貢献に向けた活動を推進しており、① 二酸化炭素(t-CO2)の削減については、2013年度比46%減を達成したことから当面現状の施策を継続いたします。② 容器包装の簡素化・減量化については、毎年5%超の削減目標を掲げ、また、③ リサイクル推進については、リサイクル資材の回収や再生ウールの取組みに、より一層注力してまいります。
また、当社では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について次の指標を用いております。
当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
実績(2024年9月末) |
目標 |
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男性 女性 合計 |
男性:4.0% 女性:8.3% 合計: |
男性:4.0% 女性:6.0% 合計: |
(注)1.上記表は正社員の比率を表しております。
2.男性の育児休業取得率=「育児休業をした男性労働者数」/「配偶者が出産した男性労働者数」。
3.離職率については、定年退職者を除いて算出しております。
4.連結グループとしての実績は、従業員における女性比率53.2%、管理職に占める女性従業員の比率11.4%、男性従業員の育児休業取得率(2週間以上)56.5%、離職率19.2%であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)パンデミック発生等に関するリスク
新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックが発生した場合、世界各国で渡航制限や外出制限などの措置が行われ、経済活動に大きな影響が及ぶ可能性があります。当社グループにおきましても、政府や自治体の外出自粛要請に基づく店舗の休業や営業時間の短縮、個人消費の大幅な縮小等による売上高の減少、国内外での商品調達網の寸断等の懸念があり、このような事態が長期化した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)景気変動及び季節的要因について
当社グループの主力事業でありますファッション事業は、事業の性質上、売上高に季節的変動があり、第1四半期、第2四半期及び第3四半期に比し第4四半期の売上高の割合が低くなります。また、国内外の景気や消費動向及び天候不順等により、売上高に大きな影響を受けます。したがって、これらの要因が当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)サステナビリティ課題について
近年、気候変動への取り組みは世界的な社会課題となっており、また、資源枯渇や人権侵害といった問題も顕在化し、サステナビリティに関する課題は増加傾向にあります。
こうしたサステナビリティ課題に対して適切な対応が取られていない場合、人材の確保、顧客との取引の停止や行政罰、企業の信用やブランド価値の低下に繋がる可能性があります。
(4)個人情報の管理について
当社グループは、店頭販売等において個人情報を取得し、ダイレクトメール等に利用しております。個人情報の管理については、万全を期しておりますが、予期せぬ事態により流出する可能性は皆無ではなく、個人情報の流出が発生した場合には、信用力の低下による売上高の減少等の影響を及ぼす可能性があります。
(5)出店政策について
当社グループは、立地環境の変化等により、収益性が低下し、業態変更若しくは退店等が必要となった場合には、損失等が発生する可能性があります。
ファッション事業においては、主に店舗の土地及び建物を賃借する方式で出店しており、出店時に、土地等所有者に対して、敷金及び保証金並びに建設協力金として、資金の差入を行っており、建設協力金等は当社が支払う賃借料との相殺により回収しております。新規出店に際しては、対象物件の権利関係等の確認を行っておりますが、土地所有者である法人、個人が破綻等の状況に陥り、土地等の継続的使用や債権の回収が困難となった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、締結している土地等に係る長期賃貸借契約のうち、当社の事情により中途解約する場合、当社が代替借主を紹介することを敷金及び保証金の返還条件としているものがあります。そのため、当社の事情により中途解約する場合には新たな代替借主を紹介できないことにより、敷金及び保証金等を放棄する可能性があります。
(6)ブランド政策について
当社グループは、立地条件や物件のコンセプトに合わせて多種多様なブランドの店舗を展開しております。当社グループでは店舗名等のブランドは重要であると認識しブランド政策を行っておりますが、各顧客層の嗜好やライフスタイルの変化等により当社グループのブランド戦略が受け入れられなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制について
① ファッション事業に関連する法的規制
ファッション事業においては、出店に際し2000年6月に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行されたことに伴い、売場面積1,000㎡超の店舗は都道府県又は政令指定都市の規制(交通渋滞の緩和、騒音等)を受けております。当社の店舗の売場面積は、原則として1,000㎡以下が中心でありますが、売場面積が1,000㎡以下であっても地方自治体が独自の厳しい街づくり条例や開発指導要綱等を制定するケースがあり、出店規制の影響を受けることがあります。
② フードサービス事業に関連する法的規制
フードサービス事業においては、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上並びに増進に寄与することを目的とした食品衛生法の規制を受けております。当社グループは、消費者に安全な食品を提供するために、保健所の指導で行っている衛生検査に加えて、必要に応じて随時各種検査を実施しております。
また、独自に策定したクリンリネスマニュアル、指導書に基づき、定期的に店舗の衛生状態を管理しております。今後においても、衛生面に留意していく方針でありますが、近年、消費者の食品の安全性に関心が高まっていることにより、食中毒の発生等、当社グループ固有の衛生問題のみならず、仕入先における無認可添加物の使用による食品製造工程に対する不信、同業他社の衛生管理問題等による連鎖反応的風評等の社会全般的な問題等、各種の衛生上の問題が発生した場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられることがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 教育事業に関連する法的規制
教育事業においては、児童福祉法や認可外保育施設監督要綱を遵守しておりますが、何らかの事由により、これらの許認可が取り消された場合や営業が停止となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)大規模な自然災害等について
当社グループは、店舗による事業展開を行っており、大規模地震・自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)固定資産の減損会計の適用について
「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、今後の業績や地価の変動等により、固定資産減損損失が特別損失に計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、固定資産の大部分は、ファッション事業における店舗固定資産であります。
(10)為替変動のリスク
当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替変動は、当社の外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建で取引されている商品・原材料の価格にも影響を及ぼす可能性があります。為替リスクを軽減し、また、これを回避するために様々な手段を講じておりますが、為替相場の変動が当社の事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11)借入金の財務制限条項について
当社グループは、機動的かつ安定的な資金調達を行うため取引金融機関とシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約を締結しており、それぞれについて財務制限条項が付されております。
① 当社におけるシンジケートローン契約(2024年5月13日締結)
当連結会計年度末におけるシンジケートローン借入実行残高 6,980百万円
契約に付されている財務制限条項は以下のとおりであります。
(a)連結の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を計画値の90%以上に維持すること
(b)連結の純資産額を直前期の90%以上に維持すること
(c)第2四半期会計期間末及び事業年度末における単体の総借入額を運転資金の金額以下とすること
なお、財務制限条項は、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドのシンジケートローン契約にも適用されます。
② 当社の連結子会社である株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドにおけるシンジケートローン契約(2024年5月13日締結)
当連結会計年度末におけるシンジケートローン借入実行残高 5,032百万円
契約に付されている財務制限条項は以下のとおりであります。
・各四半期累計期間におけるサマンサ連結の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を計画値の90%以上に維持すること
(12)資金調達環境の変化等
当社グループは、借入れによる資金調達を行っていますが、金利等の市場環境、資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化により、今後新たに借換え又は新規の借入を行う際に借入条件に変化が生じ、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
(13)関係会社株式等の評価について
当社は、関係会社株式について、関係会社の財政状態等を勘案し評価を行っております。関係会社各社の業績が著しく悪化し、将来にわたって事業が計画どおりに展開しないと判断された場合又は株式の時価が下落した場合には、関係会社事業損失引当金等の計上又は関係会社株式の減損処理の必要に迫られます。その場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)関係会社に対する貸付金及び債務保証について
当社は、関係会社に対して、運転資金の貸付を行っております。また、関係会社の金融機関からの借入金について、当社が債務保証を行っているケースもあります。関係会社の経営状況の悪化等により貸倒引当金の計上や債務保証の履行等が発生する可能性があります。
(15)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は当連結会計年度において、連結子会社である株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド(以下「STJ」という。)の救済を目的に、2024年7月1日付で当社を株式交換完全親会社、STJを株式交換完全子会社とする株式交換を実施したことにより、借入金を含む資金について親会社及び子会社一体で運用することとなりました。また、当社グループは、当連結会計年度において、5期連続で営業損失及び経常損失を、7期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。当連結会計年度末時点で流動比率は121.5%と流動資産の額が流動負債の額を上回っているものの、財務制限条項に抵触した金融機関借入金120億12百万円が存在しております。このような状況を踏まえ、当連結会計年度において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
当該状況を解消するために、当社においては、一人当たりの生産性の向上とビジネスウェアの再定義による新たな客層の開拓に注力してまいります。子会社の事業構造改革につきましては経営統合により、これまでにも増して迅速かつ効率的な意思決定の下、当社のリソースを活用することによるSTJ本部系の業務効率化の促進と、全方位的かつ抜本的な構造改革施策を速やかに断行し、最速で収益力の改善を達成いたします。
資金面においても資金繰りの検討を行い、手元資金を充実させるべく、あらゆる施策を検討しております。
また、取引金融機関と定期的に協議を行い良好な関係を維持することで、今後も継続的な支援を得られる見通しであることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、資産除去債務の会計処理について会計方針の変更を行っており、遡及修正後の数値で前連結会計年度との比較を行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計方針の変更)」をご覧ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、所得環境の改善や訪日外国人観光客の消費拡大による景気の回復が期待されております。しかしながら、各地での紛争、資源価格・物価の上昇、不安定な金融市場など、世界的に不確実性・複雑性・変動性が増しております。また、暖冬、台風や長引く猛暑等、不安定な気候が継続したことにより人流や季節商品の需要が抑制されるなど、厳しい経営環境となりました。
このような状況のもと、主力となるファッション事業においては、新商品の投入や生産体制の再構築により、最大商戦であるフレッシャーズ商戦までは好調に推移しましたが、第2四半期以降は、客単価は前年同月を上回り続けたものの、客数で苦戦いたしました。「コナカ・フタタ」では、新しい客層を取り込むために、デジタルマーケティングを使って若年層への認知度向上を図ったほか、レディーススーツとフォーマルのブランドを新たに立ち上げて、ワンランク上の商品をご提案し、新規の女性のお客様から好評を得ました。「SUIT SELECT」では、店舗スタッフの充実を図り、高級素材を用いた既製スーツと『AI SPEED ORDER』をご提案する機会が増加し、客単価の向上に繋がりました。また抽出後のコーヒー豆を染料として再利用した「猿田彦珈琲」とのサステナブルなコラボレーション商品が注目されました。オーダー専業の「DIFFERENCE」では、イタリアの最高級生地メーカー「Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)」と共同企画した生地が多くのお客様からご好評をいただき、客単価を伸ばしました。また、オーダー需要の高まりに対応するため、新たな海外生産拠点を開設し、納期の安定化とキャパシティ拡大により、機会損失を減少させました。この結果、新たな経営体制のもと、業績改善を推し進める株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの当連結対象期間(2023年9月1日から2024年8月31日)を含め、売上高は592億54百万円(前年同期比6.0%減)となりました。
フードサービス事業につきましては、「かつや」を中心に価格の適正化や期間限定メニューが客数、客単価を押し上げ、売上高は20億6百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
教育事業につきましては、「Kids Duo」の生徒数が増加し、売上高は9億56百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
グループの店舗数につきましては、サマンサタバサグループを含め、合計34店舗を新規に出店する一方、87店舗を退店し、当社が416店舗、グループ全体で669店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は622億17百万円(前年同期比5.4%減)、営業損失は株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの営業損失11億56百万円を取り込んだ結果、13億48百万円(前期は営業損失9億14百万円)、経常損失は11億59百万円(前期は経常損失6億85百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は30億62百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1億19百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、21億76百万円と前連結会計年度と比べ33億17百万円減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は2億28百万円(前年同期は4億15百万円の獲得)となりました。これは主に減損損失21億3百万円、棚卸資産の減少17億91百万円及び減価償却費8億43百万円の計上がありましたが、税金等調整前当期純損失26億14百万円及び固定資産売却益11億31百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は20億19百万円(前年同期は12億48百万円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出12億38百万円がありましたが、有形固定資産の売却による収入38億46百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は48億9百万円(前年同期は27億35百万円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入103億64百万円がありましたが、短期借入金の純減額46億20百万円、長期借入金の返済による支出102億48百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産、受注実績
該当事項はありません。
(b)仕入実績
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比(%) |
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重 衣 料(百万円) |
9,073 |
△0.6 |
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中 衣 料(百万円) |
1,946 |
△0.7 |
|
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軽 衣 料(百万円) |
3,901 |
△2.2 |
|
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服飾雑貨(百万円) |
7,161 |
△23.4 |
|
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そ の 他(百万円) |
430 |
△24.2 |
|
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ファッション事業(百万円) |
22,514 |
△9.9 |
|
|
フードサービス事業(百万円) |
746 |
6.9 |
|
|
教育事業(百万円) |
69 |
0.9 |
|
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合計(百万円) |
23,330 |
△9.4 |
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(注)1.重 衣 料……スーツ・フォーマル・イージーオーダー・コート
2.中 衣 料……ジャケット・ボトムス・アウター
3.軽 衣 料……カジュアル・ワイシャツ・ネクタイ・アンダーウェア
4.服飾雑貨……シューズ・バッグ・ジュエリー・アクセサリー他
5.そ の 他……サービスの提供等
(c)販売実績
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比(%) |
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重 衣 料(百万円) |
23,834 |
△2.0 |
|
中 衣 料(百万円) |
5,082 |
1.1 |
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軽 衣 料(百万円) |
10,085 |
△0.1 |
|
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服飾雑貨(百万円) |
19,686 |
△14.8 |
|
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そ の 他(百万円) |
565 |
14.6 |
|
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ファッション事業(百万円) |
59,254 |
△6.0 |
|
|
フードサービス事業(百万円) |
2,006 |
8.1 |
|
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教育事業(百万円) |
956 |
6.5 |
|
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合計(百万円) |
62,217 |
△5.4 |
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(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.重 衣 料……スーツ・フォーマル・イージーオーダー・コート
3.中 衣 料……ジャケット・ボトムス・アウター
4.軽 衣 料……カジュアル・ワイシャツ・ネクタイ・アンダーウェア
5.服飾雑貨……シューズ・バッグ・ジュエリー・アクセサリー他
6.そ の 他……サービスの提供等
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資 産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ86億74百万円減少し444億58百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ53億94百万円減少し193億69百万円となりました。主な要因は、前連結会計年度末と比べ現金及び預金が37億12百万円、商品及び製品が20億12百万円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べ32億79百万円減少し250億89百万円となりました。主な要因は、固定資産の売却や減損損失の計上等により、有形固定資産が31億54百万円減少したことによるものであります。
(負 債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ53億89百万円減少し282億24百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ127億39百万円減少し159億40百万円となり、固定負債は、前連結会計年度末と比べ73億49百万円増加し122億83百万円となりました。これは主に既存の借入金をシンジケートローンの形式でリファイナンスしたことにより、短期借入金が46億20百万円、1年内返済予定の長期借入金が65億96百万円減少し、長期借入金が68億円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ32億84百万円減少し162億34百万円となりまし た。
(b)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、主にファッション事業において、新商品の投入や生産体制の再構築により、最大商戦であるフレッシャーズ商戦までは好調に推移しましたが、第2四半期以降は、客単価は前年同月を上回り続けたものの、客数で苦戦いたしました。
「コナカ・フタタ」では、デジタルマーケティングを使って若年層への認知度向上を図ったほか、レディーススーツとフォーマルのブランドを新たに立ち上げて、新規の女性のお客様から好評を得ました。
「SUIT SELECT」では、店舗スタッフの充実を図り、高級素材を用いた既製スーツと『AI SPEED ORDER』をご提案する機会が増加し、客単価の向上に繋がりました。
オーダー専業の「DIFFERENCE」では、オーダー需要の高まりに対応するため、新たな海外生産拠点を開設し、納期の安定化とキャパシティ拡大により、機会損失を減少させました。この結果、新たな経営体制のもと、業績改善を推し進める株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの当連結対象期間(2023年9月1日から2024年8月31日)を含め、売上高は622億17百万円(前年同期比5.4%減)となりました。
(営業損失、経常損失)
売上高の減少に伴い販管費を削減したものの、世界的な資源価格の高騰と歴史的円安による仕入コストが上昇したことも要因の一つではありますが、売上減少による影響が最も大きく営業損失は13億48百万円(前年同期は営業損失9億14百万円)、経常損失は11億59百万円(前年同期は経常損失6億85百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
親会社株主に帰属する当期純損失は、特別利益に固定資産売却益11億51百万円の計上等があったものの、特別損失に減損損失21億3百万円の計上等により30億62百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1億19百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)資本の財源及び資金の流動性
・資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。
設備投資需要のうち主なものは、新規店舗出店に伴う建物及び什器、備品の取得の他、差入保証金等であります。
・財務政策
資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本とし、資金調達を行う場合には、経済情勢や金融環境を踏まえ、当社グループにとっての最良の方法で行いたいと考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1)当社は、下記の提携ブランドについて契約を締結しております。
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契約先 |
契約内容 |
契約期間 |
ブランド名 |
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MNインターファッション株式会社 |
1.VINCI UOMO S.R.L.より独占的使用権を取得した商標の使用許諾 2.技術情報及び見本の提供 3.日本国内、中国、タイ、ミャンマー、インド、ベトナムにおける独占的製造権及び販売権 4.ロイヤリティ支払方法(定額) |
2022年11月30日 ~ 2028年8月31日 |
DONATO VINCI VINCI UOMO |
(2)当社と株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド(以下「STJ」という。当社とSTJを併せ、以下「両社」という。)は、2024年2月20日に締結した基本合意書(以下「本件基本合意書」という。)に基づき、2024年4月10日開催したそれぞれの取締役会において、2024年7月1日を効力発生日とする株式交換(以下「本件株式交換」という。)による経営統合(以下「本件経営統合」という)を行うことを決議し、同日、両社の間で株式交換契約書(以下「本件株式交換契約」という。)を締結いたしました。
① 株式交換の内容
当社を株式交換完全親会社、STJを株式交換完全子会社とする株式交換
② 株式交換の日(効力発生日)
2024年7月1日
③ 株式交換の方法
当社を株式交換完全親会社、STJを株式交換完全子会社とする株式交換となります。本件株式交換は、STJについては、2024年5月29日に開催の定時株主総会及び普通株主による種類株主総会にて、本件株式交換契約の承認を得た上で行われました。なお、当社については、会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより、株主総会の承認を受けずに行いました。
④ 株式交換比率
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当 社 (株式交換完全親会社) |
STJ (株式交換完全子会社) |
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本件株式交換に係る割当比率 |
1 |
0.155 |
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本件株式交換により交付する株式数 |
コナカの普通株式:4,175,805株 |
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⑤ 株式交換比率の算定根拠
当社及びSTJは、本件株式交換に用いられる上記④ 株式交換比率に記載の本件株式交換比率の算定に当たって公正性・妥当性を確保するため、それぞれ個別に、両社から独立した第三者算定機関に株式交換比率の算定を依頼することとし、当社は株式会社AGS FASを、STJは野村證券株式会社を、それぞれの第三者算定機関に選定いたしました。
当社及びSTJは、両社がそれぞれの第三者算定機関から提出を受けた市場株価法、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法による株式交換比率の算定結果を参考に、両社の財務状況・資産状況・将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、交渉・協議を重ねてまいりました。その結果、当社及びSTJは、本件株式交換比率は妥当であり、それぞれの株主の皆様の利益に資するとの判断に至ったため、本件株式交換比率により本件株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
⑥ 株式交換完全親会社となる会社の概要
資 本 金 5,305百万円(2024年9月30日現在)
事業内容 ビジネスウェア及びその関連用品を販売
(3)シンジケートローン契約の締結
当社グループは、2024年9月期第2四半期連結会計期間から継続企業の前提に関する重要な疑義が存在する状況となっており、安定的かつ機動的な資金調達体制の構築、既存借入金のリファイナンスを目的として契約を締結しております。
① 当社は、2024年5月13日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結いたしました。
(a)シンジケートローン契約締結の理由
当社の事業展開における資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制の構築、既存借入金のリファイナンスを目的として契約を締結するものであります。
(b)シンジケートローン契約の概要
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アレンジャー |
株式会社三井住友銀行 |
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コ・アレンジャー |
株式会社みずほ銀行 |
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参加金融機関 |
株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行 株式会社りそな銀行、株式会社横浜銀行、三井住友信託銀行株式会社 |
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契約締結日 |
2024年5月13日 |
トランシェA
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組成金額 |
3,137百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+0.6% |
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実行日 |
2024年5月15日 |
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最終弁済期日 |
2027年5月14日 |
トランシェB
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コミット金額 |
1,882百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+0.5% |
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コミットメント期間 |
2024年5月15日~2025年5月15日 (2027年5月14日まで2回の延長条項) |
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条件 |
借入可能金額については、トランシェAとの合算極度額を3,137百万円に設定されております。 |
トランシェC
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コミット金額 |
4,000百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+0.5% |
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コミットメント期間 |
2024年5月15日~2025年5月15日 (2027年5月14日まで2回の延長条項) |
担保提供:株式、不動産(建物・土地)
(c)財務制限条項
上記の契約については、財務制限条項が付されており、下記のいずれかの条項に抵触した場合、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
a 連結の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を計画値の90%以上に維持すること
b 連結の純資産額を直前期の90%以上に維持すること
c 第2四半期会計期間末及び事業年度末における単体の総借入額を運転資金の金額以下とすること
なお、財務制限条項は、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドのシンジケートローン契約にも適用されます。
② 当社の連結子会社である株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドは、2024年5月13日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結いたしました。
(a)シンジケートローン契約締結の理由
株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの事業展開における資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制の構築、既存借入金のリファイナンスを目的として契約を締結するものであります。
(b)シンジケートローン契約の概要
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アレンジャー |
株式会社三井住友銀行 |
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コ・アレンジャー |
株式会社みずほ銀行 |
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参加金融機関 |
株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行 株式会社りそな銀行、株式会社横浜銀行 |
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契約締結日 |
2024年5月13日 |
トランシェA
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組成金額 |
2,048百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+1.0% |
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実行日 |
2024年5月15日 |
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最終弁済期日 |
2026年5月29日 |
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保証内容 |
当社による債務保証 |
トランシェB
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組成金額 |
2,309百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+1.0% |
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実行日 |
2024年5月15日 |
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最終弁済期日 |
2026年5月29日 |
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保証内容 |
当社による債務保証 |
トランシェC
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組成金額 |
2,957百万円 |
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適用利率 |
TIBOR+1.0% |
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実行日 |
2024年5月15日 |
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最終弁済日 |
2026年5月29日 |
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担保提供 |
不動産(土地・建物)、商品 |
(c)財務制限条項
上記の契約については、財務制限条項が付されており、下記の条項に抵触した場合、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
・各四半期累計期間におけるサマンサ連結の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を計画値の90%以上に維持すること
特記事項はありません。