第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、以下の企業理念を掲げております。

私たちは、一人一人がプロフェッショナルとして、刃物の先を見つめ、新しい価値を創造し、世界のものづくりに貢献します。

基本方針

1. 私たちは、お客様の視点に立ち、信頼される技術とサービスを提供します。

2. 私たちは、わが社にしかできない、世界に通用する仕事に挑戦します。

3. 私たちは、共に働く仲間を尊重し、力を合せ、誇りを持てる会社を目指します。

 

この企業理念にしたがい、「一人一人がプロフェッショナル」を自覚し、「刃物の先」として、刃物の命である刃先、提供する刃物の先に存在するお客様、切削技術の未来を見つめ、研究開発、技術開発につとめ、高付加価値の製品づくりで「新しい価値を創造」し、「世界の兼房」を目指して「世界のものづくりに貢献」することを基本方針としております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、収益性を重視してまいります。その指標としましては、10%以上の連結売上高営業利益率の継続的な実現を目指しております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

次期の経済見通しにつきましては、海外では欧米中心に金融引き締めによる景気減速が懸念され、国内では新型コロナウイルス感染症の5類移行後の好影響やインバウンド回復などが期待される一方、海外経済減速から景気回復は緩やかとなる見込みです。

 このような状況のもと、当社は、2023年度から始まる新たな3ヶ年の中期経営計画の策定を進めており、Time is Money(攻め),Time is Cost(守り)というスローガンのもと、中期ビジョンとして「スピード経営体質への脱皮と、ものづくりを支える『エッセンシャルカンパニー』としての自覚と責任と挑戦」を掲げ、企業体質の改善・改革と、新たなビジネスモデルの創造、ビジネスプロセスの変革を目指してまいります。

具体的な重点戦略は、次のとおりであります。

① グローバル市場におけるプレゼンス強化

✓製品の独自性を追求しつつ、QCD対応によりお客さまへ高付加価値を提供します。

✓グローバル展開に不可欠なマンパワーを強化します。

② ものづくり力とDXの強化

✓ベトナム生産子会社の能力増強体制を早期に安定させ、世界最適生産分業を確立するとともに、主要製品のリードタイムを正常化します。

✓生産設備の省人化・無人化を進めるとともに、製品標準化によるコストダウンを図ります。

✓顧客の課題解決に寄与する新技術・新製品を開発します。

✓全社システムの再構築と基幹システムの見直しを進めます。

③ 経営基盤の強化

✓人財育成制度の再構築により、人財強化を図ります。

✓組織変革により外部環境の変化へ柔軟に対応します。

✓次世代を担う若手人財を中心にSDGsとカーボンニュートラル(GX)達成を目指します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、製品開発の基本ポリシーとして「KANEFUSA For Sustainability」を掲げ、環境配慮製品を数多く生み出してまいりましたが、環境問題のみならず社会が抱える多くの課題に対し、企業がどのように取り組み、そして社会と企業の持続可能性をいかに両立していくかを改めて考えました。

 2050年を見据え、これからの当社グループを担う世代によるSDGsプロジェクトで徹底的に議論をし、外部コンサルタントからのアドバイス、経営層との議論・協議を経て、優先的に取り組む課題を特定いたしました。

 当社グループの強みを活かした課題解決を起点として好循環を起こし、よりよい未来を追求してまいります。

 

(1)優先的に取り組む課題の特定プロセス

SDGsプロジェクト フェーズⅠ(コンサルタント指導のもと、中堅管理職を中心に検討)

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SDGsプロジェクト フェーズⅡ(若手社員を中心に検討)

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(2)優先的に取り組む課題(マテリアリティ)

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(3)サステナビリティ全般に関するガバナンス

 当社グループはサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、リスク管理委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。また、経営戦略委員会において、当社グループが優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)の推進に向け、具体的な取り組みの協議、推進を行っています。取締役会は取り組むべき課題について、定期的に取組状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングおよび指導、監督を行います。

 

(4)戦略

サステナビリティに関する戦略

 当社グループでは、マテリアリティの1つとして、SDGsゴール「13. 気候変動に具体的な対策を」を選定しており、以下のとおり、短期・中期・長期の時間軸で事業活動に影響を与えると想定される気候変動リスクおよび機会について認識し、温室効果ガス(GHG)排出量削減に関する取り組みや機会の獲得に向けた対応策を検討しております。

 

区分

種類

想定される気候変動リスク・機会

事業活動への影響

時間軸

評価

移行

リスク

政策・

法規制

GHG排出/削減に関する法規制の強化

炭素税や新たな税制導入によるコスト増大

中期

技術

GHG排出/削減に配慮した設備投資・消耗品の購買

低炭素設備、省電力設備、太陽光発電設備等の設備投資増加やカーボンニュートラル達成企業製品購入増加

中期

市場

顧客ニーズの変化

気候変動に係る顧客の取引先選定基準への未適合による取引停止(売上・利益の喪失)

長期

GHG排出/削減による顧客の製造品目変化および製造工程変化

顧客の製造品目変化(ガソリンエンジン減少等)や製造工程変化に伴う当社製品需要の減少(売上・利益の喪失)

短期~長期

再エネ需要増加によるエネルギー価格の高騰

再エネ調達によるエネルギーコストの増加

中期~長期

評判

情報開示不足による企業価値毀損

気候変動対策・GHG排出量等の情報開示不足による株価低迷・企業価値の毀損

中期

物理

リスク

急性

激甚災害の発生(顧客および仕入先)

サプライチェーン混乱による売上・利益の喪失

短期~長期

激甚災害の発生(当社)

当社資産の毀損やシステムダウンおよび従業員の死傷による事業停止

短期~長期

慢性

平均気温の上昇

遮熱装置・空気循環・冷房設備等のコスト増大

短期

気象パターンの変化

気象災害による従業員の健康リスク増加、交通網の遮断、事故の多発等

中期

機会

市場

市場変化による需要増加

EV化や木材関連製品・バイオマス発電等の需要拡大に伴う当社製品需要の増加

短期~長期

顧客ニーズの多様化

顧客の省電力(軽量化・切削抵抗減少化等)や歩留まり向上に貢献できる製品の開発

短期~長期

カーボンフットプリントへの対応

顧客のカーボンフットプリント要望への対応による機会創出

短期~長期

評判

脱炭素化への対応

脱炭素化への貢献による社会的評価の向上

中期

 

 

人的資本に関する戦略

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び取組み>

 「企業理念」実現の原動力は、人材の活躍に他なりません。多様な価値観を有しながら、理念に共感した従業員が、能力を高め、その力を発揮することで、企業はその存在意義を果たすことができます。

 当社では、この原動力である人材を育むために、「人事基本理念」を制定し、公正で働きがいがあり活力溢れる組織運営と企業の発展並びに社員の幸せの実現を目指してまいりました。

 

a. 人事基本理念

世界のものづくりに貢献するプロフェッショナル集団を目指して

○ 職能・役割・業績に応じて公正に処遇し、社員の働きがいを追求する

○ 相互に連携し、自由闊達で活力あふれる職場づくりを推し進める

○ 変化に対応できる人を創り、グローバル企業への成長・発展を実現する

 

b. 重点課題

(1)能力・成果主義人事制度のレベルアップ・・・職能資格制度のメンテナンス

                        人事考課制度の公正な運用

                        賃金制度の適時・適切な見直し

(2)能力開発の推進・・・・・・・・・・・・・・教育訓練体系の拡充

                        異動・配置の計画的推進

                        管理監督者によるOJTの実践

(3)中期経営計画に基づく人材の強化・・・・・・中期人員計画の推進

                        グローバル人材の確保

                        部門別適性人員の把握と配置

 

c. 教育訓練

 世界のものづくりに貢献できるプロフェッショナル人材を育成するために、日々の業務については、先輩、上司によるOJTを中心とした技能の継承と、昇格昇進時の一般的な階層別研修に加え、下記のような教育訓練を実施し、人材の育成に取り組んでおります。

 今後も、人づくりを通して、社会・環境への貢献に努めて参ります。

 

社内技能認定試験

・新入社員などの若手社員が取り組む当社独自の教育プログラム。職種別に異なる試験を設定し、昇格要件の一つとなっている。

<生産職掌>

 自社の製造工程を題材とした実技試験と、製品知識、製造工程および一般的な工業知識に関わる学科試験に合格

<技術職掌>

 製品知識、製造工程および一般的な工業知識に関わる学科試験を2回合格

<営業職および事務職>

 製品知識に関する学科試験と、それぞれの職種に関わるビジネスキャリア検定2科目合格

改善伝道師塾

・選抜型の教育訓練プログラム。

・将来の管理職を目指す者が、自身の所属とは異なる部署で、業務改善に取り組む。

・ポジションパワーを活かせない環境下で、人を動かすマネジメントを実践的訓練の場で学ぶ。

GTE育成プログラム

・海外拠点に赴任し、現地顧客の技術課題の解決や、新製品開発のテーマ探索を担う中堅技術者(GTE:グローバルテクニカルエンジニア)育成プログラム。

・育成メンバーが相互に指導者となり、知識・技能の深耕・拡大を図る。

・幹部社員、先任者、専門家による啓蒙、アドバイス、知識供与の他、語学研修等を含め、グローバルに活躍するための総合的なスキル向上に取り組む。

国家技能検定

・自己啓発支援として、生産職掌および技術職掌の国家技能検定取得を奨励。

 

 

d. 人権の尊重・多様性の確保

 当社グループは、従業員一人ひとりの個人の尊厳・名誉・プライバシー等を尊重し、国籍・人種・社会的地位・性別・性的指向・宗教・障がいの有無等による差別や嫌がらせ(ハラスメント)を行いません。また、世界各国の労働関係法令を遵守し、強制労働および児童労働を認めません。

 

<社内環境整備に関する方針及び取組み>

 当社は、安全で衛生的な職場環境をつくり、労働災害の防止と健康維持に努めるとともに、従業員一人ひとりが規律を重んじ、知識の習得や技術の向上および技能の継承に積極的に取り組む風土づくりを行っています。また、生産性向上により労働時間の適正化を図り、ワーク・ライフ・バランスと企業発展の両立を目指しています。

 具体的には、毎月、安全衛生委員会を招集し、事故報告、ヒヤリハット・リスクアセスメント報告・各部門の安全衛生活動報告等の情報共有を行い、労働災害防止の啓発活動を行うとともに、健康マイレージ運動、ストレスチェック、メンタル不調者を対象としたセカンド産業医制度などにより、従業員が心身ともに健康維持できるよう取り組んでおります。また、四半期毎に時間管理委員会を招集し、所定外労働時間の管理状況や有給休暇の取得状況、勤務時間インターバル規制(11時間以上)の順守状況等、適切な労働時間管理が行われているか確認をしています。

 

(5)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ全般に関するリスク管理について、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 企業統治に関するその他の事項 ロ. リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおり、リスク管理委員会において組織横断的リスク状況の監視、評価を行うとともに、リスク発生時の対応やリスク管理体制の強化に努めています。また、特に気候変動関連リスクに関しては、環境管理委員会を通じ、自社の事業活動におけるGHG排出削減についての具体的な取り組みや、顧客のGHG排出削減へ貢献できる環境配慮型製品開発・販売状況について進捗状況を監視しております。

 

(6)指標及び目標

サステナビリティに関する指標・目標

 前項「(4)戦略サステナビリティに関する戦略」に記載の気候関連リスク・機会を管理するための指標として、GHG(Scope1・2・3)排出量を指標と定め、現在その測定に取り組んでおります。また、気候変動リスク以外のマテリアリティも含め、サステナビリティ戦略における課題や目標として、2023年度から始まる3年間の新たな中期経営計画において以下のアクションプランを掲げております。

製造

・生産設備の待機電力・フリクション低減によるGHG排出20%削減

・熱処理設備GHG排出20%削減

・GHGフリーエネルギー導入(本社全エネルギーの20%以上)

・検査工AI化による無人化(全社検査人員30%減)

・切削データ等のデータベース化検討

・脱プラ化、環境配慮包装材採用、3R推進

・自動化、省人化、デジタル化推進

営業

・EV自動車部品、蓄電池産業、リサイクル産業、バイオマス市場、セルロースナノファイバー市場の攻略

・木材資源活用の高まりへの対応

・薄鋸化、コーティング、希少金属、静音等の環境配慮型ビジネス加速

・カーボンフットプリント対応

・最適な倉庫管理システムの構築

・当社SDGs取組・目標をグローバルパートナーへ共有

管理

 

開発

・環境活動の2030年長期数値目標とプロセス目標の設定及びモニタリング

・分業・サプライチェーンの再構築と災害対策を踏まえた本社工場リニューアルの計画

・子会社会計システム統一化に向けた活動

・PT.カネフサインドネシアへ全社システム導入着手

・年間1件以上の環境配慮型新製品発売

・大学、関係企業との共同研究による技術進化促進

 

 

人的資本に関する指標・目標

 当社では、前項「(4)戦略」において記載した、<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び取組み>について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)」に記載のとおりであります。

 

a. 多様性確保

指標

目標

実績(当連結会計年度)

障がい者雇用比率

2024年3月までに2.5%以上

2.5%

全社員の有給休暇取得率「70%以上」

有給休暇取得率「70%以上」の割合100%

有給休暇取得率「70%以上」の割合71.9%

(なお同取得率「65%以上」の割合は92.9%)

 

b. 人材育成

指標

目標

実績(当連結会計年度)

社内技能認定試験合格率

 (製造・学科)

 (製造・実技)

(営業・学科)  各々100%

(製造・学科) 29%

(製造・実技)100%

(営業・学科)100%

GTE育成プログラム選抜者

2年毎に3~4名

4名

国家技能検定合格率

毎年40%以上

22%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

(1) 経済状況について

 当社グループは、事業を日本、インドネシア、米国、欧州、中国、インド、ブラジル、メキシコ、ベトナムに展開しております。連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度においては50.4%、前連結会計年度においては47.9%となっており、日本経済だけでなく、関係会社が存在する地域における経済動向の悪化により需要が低下した場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 販売状況について

 当社グループの製品は、木材加工、金属加工、製紙・紙工等の広範囲な産業分野で使用されております。売上構成では、木材加工を中心とした住宅関連業界に対するウエイトが高い状況にありますが、金属加工における自動車関連業界に対するウエイトも高まってきております。このため、日本国内における新設住宅着工戸数の変動やグローバル市場における自動車業界の生産及び販売動向により、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) カントリーリスクについて

 当社グループは、海外諸国において事業活動を行っております。これらの国において、戦争・テロ・暴動・その他の要因による社会的混乱、労働法制・労働環境の相違による労働争議の発生、法的規制、租税制度の予期せぬ変更等により当社グループの業績への影響が懸念されます。また、グループ会社間における取引価格については、日本及び相手国の移転価格税制など国際税務を順守するよう注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違等により追加課税が発生し、当社グループ業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 為替相場の変動によるリスク

 当社グループは、販売・生産などの活動をグローバルに推進しており、海外取引は今後も拡大が見込まれますが、海外取引及び外貨建資産・負債については、米ドル・ユーロなど各通貨と日本円との為替相場変動の影響を受けております。また、当社グループは海外に9社の連結子会社を有しており、当社連結財務諸表において、海外連結子会社の外貨建財務諸表金額は換算時の為替レートにより円換算されるため、同様に為替相場変動の影響を受けております。

 当社グループでは、為替予約等を実施することで為替相場変動によるリスクの軽減を図っておりますが、これにより当該リスクを回避できるものではなく、為替相場が異常な変動をした場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 原材料価格の変動による影響について

 当社グループの製品は、鋼材や超硬合金等を原材料として使用しておりますが、これら原材料の価格は、需給バランスや市況の変化等により変動する可能性があります。原材料価格が異常な変動をした場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 会計上の見積りについて

 当社グループは、財務諸表の作成にあたり会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

棚卸資産の評価

 当社グループは、国内及び海外において顧客の様々な需要に対応していることから、顧客の仕様に合わせた受注生産を主としており製品の種類は多岐にわたっております。当社グループは棚卸資産の適切な管理を行っておりますが、正味売却価額と取得原価を比較して正味売却価額が取得原価を下回っている場合、また、営業循環過程から外れた滞留等の棚卸資産については規則的に帳簿価額を切り下げる評価減を実施する事としており、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損会計の適用にあたり、当社については原則として各支社・営業所を、連結子会社については各社を1つのグルーピングの単位として減損の兆候の有無を判定しております。

 当連結会計年度において、国際財務報告基準を適用している昆山兼房高科技刀具有限公司の中国国内における経営環境が著しく悪化したことから、昆山兼房高科技刀具有限公司が保有する固定資産について、収益性が低下したことにより減損の兆候があると判断しましたが、減損損失の認識の判定において、当該資産グループの処分コスト控除後の公正価値がその帳簿価額を上回っていたことから、減損損失の認識は不要と判断いたしました。

 処分コスト控除後の公正価値の算定に用いた仮定は合理的であると判断しておりますが、市況変動等による将来の不確実な状況変化により、不動産や機械装置の処分コスト控除後の公正価値等の見積もりの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には減損損失を認識する可能性があり、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

(7) 環境保護について

 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー等に関する様々な環境関連法令の適用を受けております。また、将来環境に関する規制や社会的要求がより厳しくなり、有害物質の除去や温室効果ガス排出削減等の責任が追加される可能性があります。当社では、ISO14001の認証を取得するなどして環境に配慮した事業活動を展開しておりますが、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関して、環境に関する法的、社会的責任を負う事態が発生した場合には、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 自然災害、感染症の流行によるリスクについて

 当社グループの生産拠点のうち、国内は当社の本社工場(愛知県丹羽郡大口町)1ヵ所のみであり、将来発生が予想されている東海及び東南海地震等の災害により大きな被害を受ける可能性があります。また、感染症が世界的に大流行した場合は販売及び生産活動が阻害される可能性があります。当社グループは、インドネシア、中国、ベトナムに生産拠点を設けてリスク分散を行っており、サプライチェーンへの影響に対応しておりますが、大規模な災害や世界的な感染症が発生した場合は事業活動が滞り、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 情報セキュリティリスクについて

 当社グループは、取引先の情報、従業員の個人情報、経営に関する機密情報等を保管・管理しております。近年増加するサイバー攻撃に対し、情報セキュリティの重要性が高まる中、当社グループでは、取り扱う情報を事業活動の展開ならびに付加価値を創出するための重要な資産と位置づけ、情報の漏洩が生じないよう情報セキュリティに関する体制や社内教育、規程を整備し、システム停止等の事業継続リスクを低減させるよう対応しておりますが、サイバー攻撃によるインシデントが発生した場合には、損害賠償義務や社会的信用の低下により、当社グループの事業及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、国際財務報告基準(IFRS)を適用している連結子会社PT.カネフサインドネシアにおいて、IFRS解釈指針委員会アジェンダ決定「給付の勤務期間への帰属(IAS第19号)」、及び2022年4月にインドネシアの会計基準設定主体(DSAK-IAI)が発行した「給付金を勤務期間に帰属させることに関するプレスリリース (PSAK 24プレスリリース)」を踏まえ、退職給付債務の計算方法を変更しており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州は足元では物価上昇に鈍化の兆しが見られるものの、金融引き締めの影響による個人消費抑制や企業のコスト増などにより景気への下押し圧力が強まっています。中国ではゼロコロナ政策の撤廃により社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかながら回復基調にあります。一方、わが国経済は、ウィズコロナの定着により個人消費は対面型サービスを中心に持ち直しの動きが見られますが、企業活動においては、物価高や海外経済減速が重石となり、景気の先行き不透明感は依然残ったままです。

このような状況の下、当社グループは生産性の維持・向上、顧客への訪問やオンライン会議を活用し、国内住宅関連市場の占有率拡大や非住宅関連市場の販売拡大により前年同期を上回る結果となりました。国内における売上は、住宅関連刃物、非住宅関連刃物ともに前年同期から増加しました。また、海外での売上も、アジア及び米国向けを中心に増加し、当連結会計年度の売上高は211億1千9百万円(前年同期比7.4%増)となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における流動資産は187億9千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億5千6百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が3億2千8百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が6億7千7百万円増加し、商品及び製品が4億9千8百万円増加したことによるものであります。固定資産は150億7千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億9千5百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が17億4千7百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、338億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億5千2百万円増加いたしました。

(負債合計)

当連結会計年度末における流動負債は46億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億5千3百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が2億2千2百万円減少したものの、未払金が4億2千4百万円増加し、流動負債その他が3億2千6百万円増加したことによるものであります。固定負債は18億5千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ5千8百万円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が1億8百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は、64億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億9千5百万円増加いたしました。

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は273億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億5千6百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が10億5千9百万円増加し、利益剰余金が8億7千3百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は80.9%(前連結会計年度末は80.8%)となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、国内における売上は、住宅関連刃物、非住宅関連刃物ともに前期から増加しました。また、海外での売上も、アジア及び米国向けを中心に増加し、当連結会計年度の売上高は211億1千9百万円(前年同期比7.4%増)となりました。

利益面につきましては、資材価格の上昇により原価率が悪化したため、営業利益は14億4千万円(前年同期比18.9%減)となりました。営業外収益として為替差益を1億8千3百万円計上したことから経常利益は16億6千3百万円(前年同期比14.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は12億7千6百万円(前年同期比5.2%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。

 

(日本)

 国内向けでは、住宅関連刃物、非住宅関連刃物ともに増加し、海外向けでは自動車関連刃物及び鋼管関連刃物が増加したことから、売上高は169億7千7百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は10億9百万円(前年同期比6.0%増)となりました。

(インドネシア)

 木工関連刃物及び製紙関連刃物が増加したことから、売上高は42億1千1百万円(前年同期比25.5%増)、営業利益は4億3千5百万円(前年同期比21.3%増)となりました。

(米国)

 自動車関連刃物及び鋼管関連刃物が増加したことから、売上高は18億9千1百万円(前年同期比23.6%増)、営業利益は1億3千4百万円(前年同期比12.7%増)となりました。

(欧州)

 自動車関連刃物及び製紙関連刃物が増加したことから、売上高は24億1千万円(前年同期比11.3%増)となりましたが、輸送コストの増加などにより営業利益は1億4千4百万円(前年同期比33.9%減)となりました。

(中国)

 大規模なロックダウンによる工場の一時操業停止が影響し、売上高18億7千2百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益は1千1百万円(前年同期比86.3%減)となりました。

(ベトナム)

自動車関連刃物及び鋼管関連刃物などが増加したことから、売上高は8億8千7百万円(前年同期比33.3%増)となりましたが、工場拡張に伴う申請費用の増加などにより営業利益は6千1百万円(前年同期比30.2%減)となりました。

なお、セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億2千8百万円減少し、当連結会計年度末には68億3千5百万円(前年同期比4.6%減)となりました。


 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は22億2千3百万円(前年同期比16.6%増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益19億4千万円、減価償却費16億4千4百万円、売上債権の減少額3億8千1百万円であります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額8億9千5百万円、仕入債務の減少額3億4千5百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は22億8千1百万円(前年同期比198.6%増)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出26億6千9百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は5億円(前年同期は8億8千1百万円の収入)となりました。これは、主として配当金の支払額4億3百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

12,445,823

101.4

インドネシア(千円)

3,853,898

123.2

米国(千円)

26,636

391.7

欧州(千円)

中国(千円)

1,381,200

86.0

ベトナム(千円)

409,588

100.9

報告セグメント計(千円)

18,117,147

104.0

その他(千円)

51,930

121.4

合計(千円)

18,169,077

104.0

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本(千円)

11,249,711

92.8

1,241,354

70.0

インドネシア(千円)

2,341,647

100.4

315,715

73.8

米国(千円)

2,018,093

98.7

1,025,825

114.1

欧州(千円)

2,168,604

87.7

661,839

73.3

中国(千円)

790,572

81.9

47,625

42.0

ベトナム(千円)

226,365

129.4

17,993

135.4

報告セグメント計(千円)

18,794,995

93.5

3,310,353

80.2

その他(千円)

1,547,589

134.3

194,795

127.6

合計(千円)

20,342,585

95.7

3,505,148

81.9

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

11,781,053

101.6

インドネシア(千円)

2,453,521

116.1

米国(千円)

1,891,344

123.6

欧州(千円)

2,410,060

111.2

中国(千円)

856,253

87.4

ベトナム(千円)

221,657

129.7

報告セグメント計(千円)

19,613,890

105.7

その他(千円)

1,505,445

135.0

合計(千円)

21,119,336

107.4

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が10%以上に該当するものがないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、国内における売上は、住宅関連刃物、非住宅関連刃物ともに前期から増加しました。また、海外での売上も、アジア及び米国向けを中心に増加し、当連結会計年度の売上高は211億1千9百万円(前年同期比7.4%増)となりました。

 

製品区分別売上高においては、平刃類では木工関連刃物や製紙関連刃物が増加したことなどにより、売上高は68億3千2百万円(前年同期比9.2%増)となりました。精密刃具類ではダイヤ製品が増加したことなどにより、売上高は39億7千8百万円(前年同期比2.0%増)となり、丸鋸類では木工関連刃物や自動車関連刃物が増加し、売上高は99億9千2百万円(前年同期比8.1%増)となりました。また、商品の売上高は3億1千5百万円(前年同期比19.2%増)となりました。

 

売上原価は、前連結会計年度に比べ13億5千9百万円増加の147億1千4百万円となりましたが、売上原価率は前連結会計年度の67.9%から当連結会計年度69.7%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ4億2千6百万円増加の49億6千3百万円となりました。人件費が前連結会計年度に比べ9千3百万円増加、経費が3億3千2百万円増加しております。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ3億3千4百万円減少の14億4千万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度の9.0%から当連結会計年度6.8%となりました。

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は2億2千2百万円の収益計上となりました。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ2億7千1百万円減少の16億6千3百万円となりました。

特別利益から特別損失を差し引いた純額は2億7千7百万円の収益計上となりました。これは固定資産売却益2億1千6百万円を計上したことなどによります。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ3千8百万円増加の19億4千万円となり、法人税等は前連結会計年度に比べ1億8百万円増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6千9百万円減少の12億7千6百万円となりました。

なお、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度96円87銭から当連結会計年度91円84銭となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、経済状況、販売状況、カントリーリスク、為替相場の変動、原材料価格の変動、会計上の見積り、環境保護、自然災害、感染症の流行によるリスク、情報セキュリティリスク等があります。当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(日本)

売上高は、国内向けでは、住宅関連刃物、非住宅関連刃物ともに増加し、海外向けでは自動車関連刃物及び鋼管関連刃物が増加したことから、前年同期比5.0%増の169億7千7百万円となりました。

セグメント利益(営業利益ベース、以下同じ。)は、前年同期比6.0%増の10億9百万円となりました。

セグメント資産は、有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ8億4千1百万円増加の286億2千2百万円となりました。

(インドネシア)

売上高は、木工関連刃物及び製紙関連刃物などが増加したことから、前年同期比25.5%増の42億1千1百万円となりました。

セグメント利益は、前年同期比21.3%増の4億3千5百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ9億8千7百万円増加の49億4千1百万円となりました。

(米国)

売上高は、自動車関連刃物及び鋼管関連刃物が増加したことから、前年同期比23.6%増の18億9千1百万円となりました。

セグメント利益は、前年同期比12.7%増の1億3千4百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億4百万円増加の13億9千7百万円となりました。

(欧州)

売上高は、自動車関連刃物及び製紙関連刃物が増加したことから、前年同期比11.3%増の24億1千万円となりました。

セグメント利益は、輸送コストの増加などにより、前年同期比33.9%減の1億4千4百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億3千9百万円増加の13億6千9百万円となりました。

(中国)

売上高は、大規模なロックダウンによる工場の一時操業停止が影響し、前年同期比8.1%減の18億7千2百万円となりました。

セグメント利益は、前年同期比86.3%減の1千1百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億8千8百万円減少の23億5千6百万円となりました。

(ベトナム)

売上高は、自動車関連刃物及び鋼管関連刃物などが増加したことから、前年同期比33.3%増の8億8千7百万円となりました。

セグメント利益は、工場拡張に伴う申請費用の増加などにより前年同期比30.2%減の6千1百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ14億5千1百万円増加の36億2千8百万円となりました。

(その他)

報告セグメントに含まれないその他の地域・事業を「その他」として区分しており、売上高は前年同期比34.8%増の15億6百万円、セグメント利益は、前年同期比16.5%増の1億1千5百万円、セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ3億4千2百万円増加の11億3千2百万円となりました。

なお、セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。当連結会計年度では有形固定資産の取得による支出26億6千9百万円を計上したことなどから、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億2千8百万円減少の68億3千5百万円の状況であります。

当連結会計年度末現在における重要な設備の新設等に係る今後の設備投資では、主に生産設備の更新・合理化などを計画しておりますが、その所要資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり当連結会計年度末における資産、負債の金額並びに当連結会計年度における収益、費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りが必要となりますが、当社グループは、過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当する事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループはグローバルな市場で高度なモノづくりに対応するため、切削加工における「長寿命化」「高精度化」「低騒音化」などの市場ニーズを解決する高付加価値工具及び周辺技術の研究開発を行っております。主な活動は、当社テクニカルセンター及びコミュニケーションセンターにおいて実施しており、主要課題として地球環境に優しい環境配慮型新製品を重点に「各種表面処理技術の研究」「工具材料として希少金属の有効利用」「差別化新製品の開発と製品群の拡充」「新規市場分野向け高精度工具開発及び製造技術の研究」などを中心に研究開発し、グローバルに製品販売しております。

当連結会計年度のトピックとして、一昨年度に開発したアルミ加工用ヘッド交換式多刃ダイヤフェースミル「Nova E’z Disc」が、「22年超モノづくり部品大賞」(主催 モノづくり日本会議、日刊工業新聞社)において奨励賞を受賞しました。本製品は、多結晶ダイヤモンド(PCD)刃を有するディスク形状の替刃ヘッドによって、ディスクをボディーに締結するだけの簡便な方法で刃先全てを一度に交換可能となり、加えて熟練者が時間を掛けて行っていた刃先振れ精度調整も不要となります。これらによりインサートタイプに比べ段取り時間が1/10以下に短縮されます。また、独自のロウ付け技術によりインサートタイプの2倍程度の刃数を有することで、従来当社製品が特長としてきた高速・高能率加工も併せて実現しています。

当連結会計年度の開発成果としましては、鋳鉄加工用ヘッド交換式cBNフェースミル「Cast E’z Disc」を開発いたしました。高い耐欠損性能を有する特殊刃型の採用による工具の長寿命化と、「Nova E’z Disc」で確立したヘッド交換式の技術を利用しました。これらにより、工具交換頻度の高い鋳鉄加工において、替刃交換頻度と替刃交換時間がどちらも削減され、効果的にダウンタイムを削減することが可能となりました。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は259百万円となっております。